JP6568718B2 - 脂質の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、脂質の製造方法、及びこれに用いる形質転換体に関する。
脂肪酸は脂質の主要構成成分の1種であり、生体内においてグリセリンとのエステル結合により生成するトリアシルグリセロール等の脂質を構成する。また、多くの動植物において脂肪酸はエネルギー源として貯蔵され利用される物質でもある。動植物内に蓄えられた脂肪酸や脂質(油脂)は、食用又は工業用として広く利用されている。
例えば、炭素数12〜18前後の高級脂肪酸を還元して得られる高級アルコールの誘導体は、界面活性剤として用いられている。アルキル硫酸エステル塩やアルキルベンゼンスルホン酸塩等は陰イオン性界面活性剤として利用されている。また、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルやアルキルポリグリコシド等は非イオン性界面活性剤として利用されている。そしてこれらの界面活性剤は、いずれも洗浄剤又は殺菌剤に利用されている。同じく高級アルコールの誘導体としてアルキルアミン塩やモノ又はジアルキル4級アミン塩等のカチオン性界面活性剤は、繊維処理剤や毛髪リンス剤又は殺菌剤に日常的に利用されている。また、ベンザルコニウム型4級アンモニウム塩は殺菌剤や防腐剤に日常的に利用されている。さらに、植物油脂はバイオディーゼル燃料の原料としても利用されている。
植物の脂肪酸合成経路は葉緑体に局在する。葉緑体ではアセチル−ACP(acyl-carrier-protein)を出発物質とし、炭素鎖の伸長反応が繰り返され、最終的に炭素数16又は18のアシル−ACP(脂肪酸残基であるアシル基とアシルキャリアプロテインとからなる複合体)が合成される。この脂肪酸合成経路に関与する酵素のうち、β−ケトアシル−ACPシンターゼ(β-Ketoacyl-acyl-carrier-protein synthase、以下「KAS」ともいう)はアシル基の鎖長制御に関与する酵素である。植物では、KAS I、KAS II、KAS III、KAS IV、のそれぞれ機能が異なる4種のKASが存在することが知られている。このうち、KAS IIIは鎖長伸長反応の開始段階で働き、炭素数2のアセチル−ACPを炭素数4のアシル−ACPに伸長する。それ以降の伸長反応には、KAS I、KAS II、及びKAS IVが関与する。KAS Iは主に炭素数16のパルミトイル−ACPまでの伸長反応に関与し、KAS IIは主に炭素数18のステアロイルACPまでの伸長反応に関与する。一方、KAS IVは炭素数6〜14の中鎖アシル−ACPまでの伸長反応に関与するといわれている。KAS IVについては、植物でもあまり知見が得られておらず、クフェア(Cuphea)などの中鎖脂肪酸を蓄積する植物に特有のKASとされている(特許文献1、及び非特許文献1参照)。
シアノバクテリア(藍色細菌)は真正細菌の一群であり、光合成によって酸素を産生し、COを固定化する能力を有する。シアノバクテリアは、外膜とペプチドグリカンの細胞壁を有し、グラム陰性菌に分類される。しかし、典型的なグラム陰性菌とは分類学上系統的に離れている。シアノバクテリアは、それらが10数億年前に真核生物に細胞内共生(1次共生)したことが葉緑体の起源であると考えられている。そのため、葉緑体の祖先生物として光合成研究に広く利用されている。また、シアノバクテリアは他の植物と比べて生育が速く、かつ高い光合成能力を有する。さらにシアノバクテリアは形質転換能も有する。
そのためシアノバクテリアは外来DNAを細胞内に導入することで微生物学的な物質生産に利用可能であることから、バイオ燃料などの物質の生産用宿主として注目されている。
シアノバクテリアを用いた物質生産の例として、脂肪酸の生産が報告されている(非特許文献2)。しかし、シアノバクテリアの光合成に依存した、大気中の二酸化炭素などを炭素源とした脂肪酸の生産技術は、その生産性が未だ低レベルにある。
国際公開第98/46776号パンフレット
Dehesh K.et al.,The Plant Journal,1998,vol.15(3),p.383-390 Liu X.et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,2011,vol.108,p.6899-6904
本発明は、中鎖脂肪酸又はこれを構成成分とする脂質の生産性及び生産される脂肪酸の総量を向上させる、シアノバクテリアを用いた脂質の製造方法を提供することを課題とする。
また本発明は、中鎖脂肪酸又はこれを構成成分とする脂質の生産性及び生産される全脂肪酸の生産性を向上させた、シアノバクテリアの形質転換体を提供することを課題とする。
本発明者らは上記課題に鑑み、鋭意検討を行った。
本発明者らはまず、中鎖脂肪酸の生産性及び生産される脂肪酸の総量を向上させるために宿主に導入するKASとして、藻類の1種であるナンノクロロプシス(Nannochloropsis)属の藻類のKASに着目した。そして、ナンノクロロプシス属の藻類のKASをシアノバクテリアに導入して形質転換体を作製したところ、形質転換体が生産する中鎖脂肪酸又はこれを構成成分とする脂質の生産性及び生産される脂肪酸の総量が有意に向上することを見出した。
本発明はこれらの知見に基づいて完成するに至ったものである。
本発明は、下記タンパク質(a)又は(b)をコードする遺伝子をシアノバクテリアに導入して得た形質転換体を培養して脂肪酸又はこれを構成成分とする脂質を生産させる、脂質の製造方法に関する。
(a)配列番号1で表されるアミノ酸配列からなるタンパク質
(b)前記タンパク質(a)のアミノ酸配列と60%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、かつβ−ケトアシル−ACPシンターゼ活性(以下、「KAS活性」ともいう)を有するタンパク質
また本発明は、シアノバクテリアに前記タンパク質(a)又は(b)をコードする遺伝子を導入して得られた形質転換体に関する。
本発明の脂質の製造方法によれば、中鎖脂肪酸又はこれを構成成分とする脂質の生産性及び生産される脂肪酸の総量を向上させることができる。
また本発明の形質転換体は、中鎖脂肪酸又はこれを構成成分とする脂質の生産性及び生産される全脂肪酸の生産性に優れる。
本明細書における「脂質」は、中性脂肪、ろう、セラミド等の単純脂質;リン脂質、糖脂質、スルホ脂質等の複合脂質;及びこれらの脂質から誘導される、脂肪酸、アルコール類、炭化水素類等の誘導脂質を包含するものである。
また本明細書において、脂肪酸や脂肪酸を構成するアシル基の表記において「Cx:y」とあるのは、炭素原子数xで二重結合の数がyであることを表す。「Cx」は炭素原子数xの脂肪酸やアシル基を表す。
さらに本明細書において、塩基配列及びアミノ酸配列の同一性は、Lipman-Pearson法(Science,1985,vol.227,p.1435-1441)によって計算される。具体的には、遺伝情報処理ソフトウェアGenetyx-Winのホモロジー解析(Search homology)プログラムを用いて、Unit size to compare(ktup)を2として解析を行うことにより算出される。
本発明の形質転換体は、下記タンパク質(a)又は(b)をコードする遺伝子(以下、「KAS遺伝子」ともいう)で形質転換されている。
(a)配列番号1で表されるアミノ酸配列からなるタンパク質
(b)タンパク質(a)のアミノ酸配列と60%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、かつKAS活性を有するタンパク質(前記タンパク質(a)と機能的に均等なタンパク質)
配列番号1のアミノ酸配列からなるタンパク質は、ナンノクロロプシス属の藻類であるナンノクロロプシス・オキュラータ(Nannochloropsis oculata)NIES2145由来のKASである。
KASは、脂肪酸合成経路においてアシル基の鎖長制御に関与する酵素である。植物と同様、藻類の脂肪酸合成経路も葉緑体に局在する。葉緑体では、アセチル−ACPを出発物質とし、炭素鎖の伸長反応が繰り返され、最終的に炭素数16又は18のアシル−ACPが合成される。次いで、アシル−ACPチオエステラーゼ(以下、「TE」ともいう)の作用によってアシル−ACPのチオエステル結合が加水分解され、遊離の脂肪酸が生成する。
脂肪酸合成の第一段階では、アセチル−ACPとマロニルACPとの縮合反応により、アセトアセチルACPが生成する。この反応をKASが触媒する。次いで、β−ケトアシル−ACPレダクターゼによりアセトアセチルACPのケト基が還元されてヒドロキシブチリルACPが生成する。続いて、β−ヒドロキシアシル−ACPデヒドラーゼによりヒドロキシブチリルACPが脱水され、クロトニルACPが生成する。最後に、エノイル−ACPレダクターゼによりクロトニルACPが還元されて、ブチリルACPが生成する。これら一連の反応により、アセチル−ACPからアシル基の炭素鎖が2個伸長されたブチリルACPが生成する。以下、同様の反応を繰り返すことで、アシル−ACPの炭素鎖が伸長し、最終的に炭素数16又は18のアシル−ACPが合成される。
本明細書において「KAS活性」とは、アセチル−ACPやアシル−ACPと、マロニルACPとの縮合反応を触媒する活性を意味する。
タンパク質がKAS活性を有することは、例えば、宿主細胞内で機能するプロモーターの下流に前記タンパク質をコードする遺伝子を連結した融合遺伝子を、脂肪酸分解系が欠損した宿主細胞へ導入し、導入した遺伝子が発現する条件下で細胞を培養し、宿主細胞内又は培養液中の脂肪酸組成の変化を常法により分析することで確認できる。あるいは、宿主細胞内で機能するプロモーターの下流に前記タンパク質をコードする遺伝子を連結した融合遺伝子を宿主細胞へ導入し、導入した遺伝子が発現する条件下で細胞を培養した後、細胞の破砕液に対し、各種アシル−ACPを基質とした鎖長伸長反応を行うことにより確認できる。
KASはその基質特異性によってKAS I、KAS II、KAS III、又はKAS IVに分類される。KAS IIIは、炭素数2のアセチル−ACPを基質とし、炭素数2から4の伸長反応を触媒する。KAS Iは、主に炭素数4から16の伸長反応を触媒し、炭素数16のパルミトイル−ACPを合成する。KAS IIは、主に炭素数16から18の伸長反応を触媒し、炭素数18のステアロイルACPを合成する。KAS IVは炭素数6から14の伸長反応を触媒し、中鎖アシル−ACPを合成する。
前記タンパク質(a)は、後述の実施例で示すように、中鎖アシル−ACPに対する基質特異性を有する。よって前記タンパク質(a)は、KAS IVであると考えられる。ここで「中鎖アシル−ACPに対する基質特異性」とは、KASが、主に炭素数4〜12のアシルACPを基質とし、炭素数14までの中鎖アシルACP合成の伸長反応を触媒することをいう。また本明細書において「中鎖」とは、アシル基の炭素数が6以上14以下であることをいう。
KASの中鎖アシル−ACPに対する基質特異性については、例えば、宿主細胞内で機能するプロモーターの下流にタンパク質をコードする遺伝子を連結した融合遺伝子を、脂肪酸分解系が欠損した宿主細胞へ導入し、導入した遺伝子が発現する条件下で細胞を培養して、宿主細胞又は培養液中の脂肪酸組成の変化を常法により分析することで確認できる。また、上記の系に後述する中鎖アシル−ACPに対する基質特異性を有するTEを共発現させ、中鎖アシル−ACPに対する基質特異性を有するTE単独を発現させた場合の脂肪酸組成と比較することにより確認できる。また、宿主細胞内で機能するプロモーターの下流にタンパク質をコードする遺伝子を連結した融合遺伝子を、宿主細胞へ導入し、導入した遺伝子が発現する条件下で細胞を培養した後、細胞の破砕液に対し、中鎖アシル−ACPを基質とした鎖長伸長反応を行うことにより確認できる。
前記タンパク質(b)において、KAS活性の点から、前記タンパク質(a)のアミノ酸配列との同一性は70%以上が好ましく、80%以上がより好ましく、90%以上がさらに好ましく、91%以上が特に好ましく、95%以上が最も好ましい。
前記タンパク質(b)としては、下記タンパク質(a1)が挙げられる。

(a1)配列番号3で表されるアミノ酸配列からなるタンパク質

配列番号3のアミノ酸配列からなるタンパク質は、ナンノクロロプシス・ガディタナ(Nannochloropsis gaditana)CCMP526由来のKASである。配列番号3のアミノ酸配列は、配列番号1のアミノ酸配列と約90%の同一性を有する。
また、前記タンパク質(b)として、前記タンパク質(a)又は(a1)のアミノ酸配列に、1又は数個(例えば1個以上184個以下、好ましくは1個以上138個以下、より好ましくは1個以上92個以下、さらに好ましくは1個以上46個以下、特に好ましくは1個以上42個以下、最も好ましくは1個以上23個以下)のアミノ酸を欠失、置換、挿入又は付加したタンパク質が挙げられる。アミノ酸配列に変異を導入する方法としては、例えば、アミノ酸配列をコードする塩基配列に変異を導入する方法が挙げられる。変異を導入する方法としては、部位特異的な変異導入法が挙げられる。具体的な部位特異的変異の導入方法としては、Splicing overlap extension(SOE)-PCR反応を利用した方法、ODA法、Kunkel法等が挙げられる。また、Site-Directed Mutagenesis System Mutan-SuperExpress Kmキット(商品名、タカラバイオ社)、Transformer TM Site-Directed Mutagenesisキット(商品名、Clonetech社)、KOD-Plus-Mutagenesis Kit(商品名、東洋紡社)等の市販のキットを利用することもできる。また、ランダムな遺伝子変異を与えた後、適当な方法により酵素活性の評価及び遺伝子解析を行うことにより目的遺伝子を取得することもできる。
前記KAS遺伝子の一例として、下記DNA(d)又は(e)からなる遺伝子が挙げられる。

(d)配列番号2で表される塩基配列からなるDNA
(e)前記DNA(d)の塩基配列と60%以上の同一性を有する塩基配列からなり、かつKAS活性を有するタンパク質をコードするDNA

配列番号2の塩基配列は、配列番号1のアミノ酸配列からなるタンパク質をコードする遺伝子の塩基配列である。
前記DNA(e)において、KAS活性の点から、前記DNA(d)の塩基配列との同一性は65%以上が好ましく、70%以上がより好ましく、75%以上がさらに好ましく、78%以上がよりさらに好ましく、80%以上がよりさらに好ましく、90%以上が特に好ましく、95%以上が最も好ましい。また前記DNA(e)として、配列番号2で表される塩基配列において1又は数個(例えば1個以上546個以下、好ましくは1個以上478個以下、より好ましくは1個以上410個以下、さらに好ましくは1個以上342個以下、さらに好ましくは1個以上301個以下、さらに好ましくは1個以上273個以下、特に好ましくは1個以上137個以下、最も好ましくは1個以上69個以下)の塩基が欠失、置換、挿入、又は付加されており、かつKAS活性を有するタンパク質をコードするDNAも好ましい。
また前記DNA(e)としては、下記DNA(d1)が挙げられる。

(d1)配列番号4で表される塩基配列からなるDNA

配列番号4の塩基配列は、配列番号3のアミノ酸配列からなるタンパク質をコードする遺伝子の塩基配列である。配列番号4で表される塩基配列は、配列番号2で表される塩基配列と約77%の同一性を有する。
KAS遺伝子は、通常の遺伝子工学的手法により得ることができる。例えば、配列番号1に示すアミノ酸配列又は配列番号2に示す塩基配列に基づいて、KAS遺伝子を人工的に合成できる。KAS遺伝子の合成は、例えば、インビトロジェン社等のサービスを利用することができる。また、ナンノクロロプシス・オキュラータのゲノムからクローニングによって取得することもできる。例えば、Molecular Cloning−A LABORATORY MANUAL THIRD EDITION[Joseph Sambrook,David W. Russell,Cold Spring Harbor Laboratory Press(2001)]記載の方法等により行うことができる。また、実施例で用いたナンノクロロプシス・オキュラータNIES-2145は、国立環境研究所(NIES)より入手することができる。
本発明の形質転換体は、前記KAS遺伝子に加えて、TEをコードする遺伝子(以下、「TE遺伝子」ともいう)を宿主に導入してなるものが好ましい。
TEは、KAS等の脂肪酸合成酵素によって合成されたアシル−ACPのチオエステル結合を加水分解し、遊離の脂肪酸を生成する酵素である。TEの作用によってACP上での脂肪酸合成が終了し、切り出された脂肪酸はトリアシルグリセロール等の合成に供される。そのため、宿主にKAS遺伝子とTE遺伝子を共導入することで、形質転換体の脂質の生産性、特に脂肪酸の生産性を一層向上させることができる。
本発明で用いることができるTEは、アシル−ACPチオエステラーゼ活性(以下、「TE活性」ともいう)を有するタンパク質であればよい。ここで「TE活性」とは、アシル−ACPのチオエステル結合を加水分解する活性をいう。
TEは、基質であるアシル−ACPを構成するアシル基(脂肪酸残基)の炭素原子数や不飽和結合数によって異なる反応特異性を示す複数のTEが存在していることが知られている。よってTEは、生体内での脂肪酸組成を決める重要なファクターであると考えられている。
上述のように、前記タンパク質(a)又は(b)は中鎖アシル−ACPに対する基質特異性を有するKASである。よって共導入するTEも、中鎖アシル−ACPに対する基質特異性を有するTEをコードする遺伝子であることが好ましい。中鎖アシル−ACPに対する基質特異性を有するTEを用いることで、中鎖脂肪酸の生産性を一層向上させることができる。特に、中鎖アシル−ACPに対する基質特異性を有するTEをコードする遺伝子を元来有していない宿主を形質転換に用いる場合、中鎖アシル−ACPに対する基質特異性を有するTEをコードする遺伝子の共導入が効果的である。
本発明で用いることができるTEは、通常のTEや、それらと機能的に均等なタンパク質から、宿主の種類等に応じて適宜選択することができる。
具体的には、Cuphea calophylla subsp. mesostemonのTE(GenBank ABB71581);Cinnamomum camphoraのTE(GenBank AAC49151.1);Myristica fragransのTE(GenBank AAB71729及びAAB71730);Cuphea lanceolataのTE(GenBank CAA54060);Cuphea hookerianaのTE(GenBank Q39513);Ulumus americanaのTE(GenBank AAB71731);Sorghum bicolorのTE(GenBank EER87824);Sorghum bicolorのTE(GenBank EER88593);Cocos nuciferaのTE(CnFatB1:Jing et al. BMC Biochemistry 2011, 12:44参照);Cocos nuciferaのTE(CnFatB2:Jing et al. BMC Biochemistry 2011, 12:44参照);Cuphea viscosissimaのTE(CvFatB1:Jing et al. BMC Biochemistry 2011, 12:44参照);Cuphea viscosissimaのTE(CvFatB2:Jing et al. BMC Biochemistry 2011, 12:44参照);Cuphea viscosissimaのTE(CvFatB3:Jing et al. BMC Biochemistry 2011, 12:44参照);Elaeis guineensisのTE(GenBank AAD42220);Desulfovibrio vulgarisのTE(GenBank ACL08376);Bacteriodes fragilisのTE(GenBank CAH09236);Parabacteriodes distasonisのTE(GenBank ABR43801);Bacteroides thetaiotaomicronのTE(GenBank AAO77182);Clostridium asparagiformeのTE(GenBank EEG55387);Bryanthella formatexigensのTE(GenBank EET61113);Geobacillus sp.のTE(GenBank EDV77528);Streptococcus dysgalactiaeのTE(GenBank BAH81730);Lactobacillus brevisのTE(GenBank ABJ63754);Lactobacillus plantarumのTE(GenBank CAD63310);Anaerococcus tetradiusのTE(GenBank EEI82564);Bdellovibrio bacteriovorusのTE(GenBank CAE80300);Clostridium thermocellumのTE(GenBank ABN54268);Arabidopsis thalianaのTE;Bradyrhizobium japonicumのTE;Brassica napusのTE;Cinnamonum camphorumのTE;Capsicum chinenseのTE;Cuphea hookerianaのTE;Cuphea lanceolataのTE;Cuphea palustrisのTE;Coriandrum sativum L.のTE;Carthamus tinctoriusのTE;Cuphea wrightiiのTE;Gossypium hirsutumのTE;Garcinia mangostanaのTE;Helianthus annuusのTE;Iris germanicaのTE;Iris tectorumのTE;Triticum aestivumのTE;Ulmus AmericanaのTE;Escherichia coliのTE;Cocos nuciferaのTE(CnFatB3:Jing et al. BMC Biochemistry 2011, 12:44参照、配列番号5、これをコードする遺伝子の塩基配列:配列番号6);Nannochloropsis oculataのTE(配列番号7、これをコードする遺伝子の塩基配列:配列番号8);Umbellularia californicaのTE(GenBank AAA34215.1、配列番号9、これをコードする遺伝子の塩基配列:配列番号10);Nannochloropsis gaditanaのTE(配列番号11、これをコードする遺伝子の塩基配列:配列番号12);Nannochloropsis granulataのTE(配列番号13、これをコードする遺伝子の塩基配列:配列番号14);Symbiodinium microadriaticumのTE(配列番号15、これをコードする遺伝子の塩基配列:配列番号16)、等が挙げられる。また、これらと機能的に均等なタンパク質として、上述したいずれかのTEのアミノ酸配列と50%以上(好ましくは70%以上、より好ましくは80%以上、さらに好ましくは90%以上)の同一性を有するアミノ酸配列からなり、かつTE活性を有するタンパク質も用いることができる。あるいは、上述したいずれかのTEのアミノ酸配列に1又は数個(例えば1個以上147個以下、好ましくは1個以上119個以下、より好ましくは1個以上59個以下、さらに好ましくは1個以上30個以下)のアミノ酸が欠失、置換、挿入又は付加され、かつTE活性を有するタンパク質も用いることができる。
前記TEの中でも、中鎖アシル−ACPに対する基質特異性を有するTEが好ましく、Umbellularia californicaのTE、Cocos nuciferaのTE、Cinnamonum camphorumのTE、Nannochloropsis oculataのTE、Nannochloropsis gaditanaのTE、Nannochloropsis granulataのTE、Symbiodinium microadriaticumのTE、これらのTEのアミノ酸配列と50%以上(好ましくは70%以上、より好ましくは80%以上、さらに好ましくは90%以上)の同一性を有するアミノ酸配列からなり、かつ中鎖アシル−ACPに対する基質特異性を示すTE活性を有するタンパク質、又はこれらのTEのアミノ酸配列に1又は数個(例えば1個以上147個以下、好ましくは1個以上119個以下、より好ましくは1個以上59個以下、さらに好ましくは1個以上30個以下)のアミノ酸が欠失、置換、挿入又は付加され、かつ中鎖アシル−ACPに対する基質特異性を示すTE活性を有するタンパク質が好ましい。
これらのTE及びそれらをコードする遺伝子の配列情報等は、例えば、国立生物工学情報センター(National Center for Biotechnology Information, NCBI)などから入手することができる。
TEは、基質となるアシル−ACPの脂肪酸鎖長及び不飽和度に対して特異性を有する。したがって、導入するTEの種類を変えることによって、シアノバクテリアに所望の鎖長や不飽和度の遊離脂肪酸を生産させることができる。
例えば、Umbellularia californica由来のTE(UcTE)は炭素数12のアシル基に基質特異性を有し、生成する遊離脂肪酸は主にラウリン酸(C12:0)などの炭素数12の遊離脂肪酸である。また、Cinnamonum camphorum及びCocos nuciferaのTEは炭素数14のアシル基に基質特異性を有し、生成する遊離脂肪酸は主にミリスチン酸(C14:0)などの炭素数14の遊離脂肪酸である。また、Escherichia coli K-12株のTEは、炭素数16又は18のアシル基に基質特異性を有し、生成する遊離脂肪酸は主にパルミチン酸(C16:0)、パルミトレイン酸(C16:1)、ステアリン酸(C18:0)、オレイン酸(C18:1)、リノール酸(C18:2)、リノレン酸(C18:3)などの炭素数16又は18の遊離脂肪酸である。
本発明においてTE活性は、例えば、宿主細胞内で機能するプロモーターの下流にTE遺伝子を連結した融合遺伝子を、脂肪酸分解系が欠損した宿主細胞へ導入し、導入したTE遺伝子が発現する条件下で細胞を培養して、宿主細胞又は培養液中の脂肪酸組成の変化を常法により分析することで確認できる。あるいは、宿主細胞内で機能するプロモーターの下流にTE遺伝子を連結した融合遺伝子を宿主細胞へ導入し、導入したTE遺伝子が発現する条件下で細胞を培養した後、細胞の破砕液に対し、Yuanらの方法(Yuan L.et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,1995,vol.92(23),p.10639-10643)に従い各種アシル−ACPを基質とした反応を行うことにより確認できる。
本発明の形質転換体は、後述するシアノバクテリアに前記KAS遺伝子を導入して得られる。当該形質転換体は、宿主自体に比べ、中鎖脂肪酸及びこれを構成成分とする脂質の生産性が有意に向上するとともに、生産される脂肪酸の総量も有意に向上する。なお、宿主や形質転換体の脂肪酸及び脂質の生産性については、実施例で用いた方法により測定することができる。
本発明の形質転換体の宿主として用いるシアノバクテリアは、クロロフィルを用いた光合成を行う原核生物の一群である。
シアノバクテリアは多様性に富んでおり、細胞の形状のみを見ても、シネコシスティス・エスピー(Synechocystis sp.)PCC6803のような単細胞性のもの、ヘテロシストを形成し窒素固定を行うアナベナ・エスピー(Anabaena sp.)PCC7120のように多細胞がヒモ状に繋がっている糸状性のもの、又はらせん状や分岐状のもの等がある。
生育環境についても、別府温泉から単離されたサーモシネココッカス・エロンガタス(Thermosynechococcus elongatus)BP-1のような好熱性のもの、海洋性で沿岸部に生息するシネココッカス・エスピー(Synechococcus sp.)CC9311、又は外洋に生息するシネココッカス・エスピーWH8102など、様々な条件に適応した種が見られる。
また、種独自の特徴を持つものとして、ミクロシスティス・エルギノーサ(Microcystis aeruginosa)のように、ガス小胞を持ち毒素を産生することのできるものや、チラコイドを持たず集光アンテナであるフィコビリソームが原形質膜に結合しているグロイオバクター・ビオラセウス(Gloeobacter violaceus)PCC7421、又は一般的な光合成生物のようにクロロフィルaでなくクロロフィルdを主要な(>95%)光合成色素として持つ海洋性のアクリオクロリス・マリナ(Acaryochloris marina)なども挙げられる。
シアノバクテリアでは、光合成により固定された二酸化炭素は多数の酵素反応プロセスを経てアセチル−CoAへと変換される。脂肪酸合成の最初の段階は、アセチル−CoAカルボキシラーゼの作用による、アセチル−CoAとCO2からのマロニル−CoAの合成である。次に、マロニル−CoAがマロニルCoA:ACPトランスアシラーゼの作用によってマロニル−ACPへと変換される。その後、脂肪酸シンテターゼ(又はアシル−ACPシンテターゼ)の進行的作用時に、炭素単位2個の連続的付加が起こり、炭素が2個ずつ増加した、アシル−ACPが合成され、膜脂質等の合成中間体として利用される。
本発明の形質転換体の宿主としては、あらゆる種類のシアノバクテリアを用いることができる。例えば、シネコシスティス(Synechocystis)属、シネココッカス(Synechococcus)属、サーモシネココッカス(Thermosynechococcus)属、トリコデスミウム(Trichodesmium)属、アカリオクロリス(Acaryochloris)属、クロコスファエラ(Crocosphaera)属、及びアナベナ(Anabaena)属のシアノバクテリアが挙げられる。このうち、シネコシスティス属、シネココッカス属、サーモシネココッカス属又はアナベナ属のシアノバクテリアが好ましく、シネコシスティス属又はシネココッカス属のシアノバクテリアがより好ましい。また本発明で用いる宿主としては、シネコシスティス・エスピーPCC6803、シネコシスティス・エスピーPCC7509、シネコシスティス・エスピーPCC6714、シネココッカス・エロンガタスエスピー(Synechococcus elongatus sp.)PCC7942、サーモシネココッカス・エロンガタスBP-1、トリコデスミウム・エリスラエウム(Trichodesmium erythraeum)IMS101、アカリオクロリス・マリアナ(Acaryochloris mariana)MBIC11017、クロコスファエラ・ワトソニー(Crocosphaera watsonii)WH8501、及びアナベナ・エスピー(Anabaena sp.)PCC7120がより好ましく、シネコシスティス・エスピーPCC6803及びシネココッカス・エロンガタスエスピーPCC7942がより好ましく、シネココッカス・エロンガタスエスピーPCC7942がさらに好ましい。
本発明の形質転換体は、前記KAS遺伝子を常法により前記宿主に導入することで得られる。具体的には、前記KAS遺伝子を宿主細胞中で発現させることのできる発現ベクターを調製し、これを宿主細胞に導入して宿主細胞を形質転換させることにより作製できる。
前記KAS遺伝子に加えて前記TE遺伝子も導入した形質転換体も、常法により作製できる。
遺伝子発現用プラスミドベクターの母体となるベクター(プラスミド)としては、目的のタンパク質をコードする遺伝子を宿主に導入することができ、宿主細胞内で当該遺伝子を発現させることができるベクターであればよい。例えば、導入する宿主の種類に応じたプロモーターやターミネーター等の発現調節領域を有するベクターであって、複製開始点や選択マーカー等を有するベクターを用いることができる。また、プラスミド等の染色体外で自立増殖・複製するベクターであってもよいし、染色体内に組み込まれるベクターであってもよい。
本発明で好ましく用いることができる発現ベクターとしては、pUC系ベクター(タカラバイオ社製)、pBluescript(pBS) II SK(-)(Stratagene社製)、pSTV系ベクター(タカラバイオ社製)、pET系ベクター(タカラバイオ社製)、pGEX系ベクター(GEヘルスケア社製)、pCold系ベクター(タカラバイオ社製)、pHY300PLK(タカラバイオ社製)、pUB110(Mckenzie,T. et al.,(1986),Plasmid 15(2);p.93-103)、pBR322(タカラバイオ社製)、pRS403(ストラタジーン社製)、pMW218/219(ニッポンジーン社製)、pRI系ベクター(タカラバイオ社製)、pBI系ベクター(クロンテック社製)、及びIN3系ベクター(インプランタイノベーションズ社製)が挙げられる。このうち、pUC系ベクターがより好ましい。
また、前記発現ベクターに組み込んだ目的のタンパク質をコードする遺伝子の発現を調整するプロモーターの種類も、使用する宿主の種類に応じて適宜選択することができる。本発明で好ましく用いることができるプロモーターとしては、lacプロモーター、trpプロモーター、tacプロモーター、trcプロモーター、T7プロモーター、SpoVGプロモーター、イソプロピルβ-D-1-チオガラクトピラノシド(IPTG)の添加によって誘導可能な誘導体に関するプロモーター、Rubiscoオペロン(rbc)、PSI反応中心タンパク質(psaAB)、PSIIのD1タンパク質(psbA)、リボゾームRNAをコードするrrnAオペロン遺伝子のプロモーターが挙げられる。このうち、rrnAオペロン遺伝子のプロモーターがより好ましい。
また、目的のタンパク質をコードする遺伝子が組み込まれたことを確認するための選択マーカーの種類も、使用する宿主の種類に応じて適宜選択することができる。本発明で好ましく用いることができる選択マーカーとしては、クロラムフェニコール耐性遺伝子、エリスロマイシン耐性遺伝子、ネオマイシン耐性遺伝子、カナマイシン耐性遺伝子、スペクチノマイシン耐性遺伝子、及びゲンタマイシン耐性遺伝子等の薬剤耐性遺伝子が挙げられる。さらに、栄養要求性に関連する遺伝子の欠損等を選択マーカー遺伝子として使用することもできる。
目的のタンパク質をコードする遺伝子の前記ベクターへの導入は、制限酵素処理やライゲーション等の常法により行うことができる。
またシアノバクテリアに導入する異種遺伝子は、シアノバクテリアにおけるコドン使用頻度にあわせてコドンを至適化されることが好ましい。各種生物が使用するコドンの情報は、Codon Usage Database(www.kazusa.or.jp/codon/)から入手可能である。
また、形質転換方法は、使用する宿主の種類に応じて常法より適宜選択することができる。形質転換方法としては、自然形質転換法、エレクトロポレーション法、及び接合法が挙げられる。
本発明の形質転換体に用いる宿主は、アシル−ACPシンテターゼ(以下、「aas」ともいう)の機能を喪失させたシアノバクテリアであることが好ましい。宿主として、aasの機能を喪失させたシアノバクテリアを用いることで、形質転換体が生産した脂質の分泌能を向上させることができる。
ここで「aas」とは脂肪酸合成に関わる酵素の1種であって、遊離脂肪酸とACPタンパク質を基質として、ATP依存的にチオエステル結合を形成し、アシル−ACPを産生する機能を有する。シアノバクテリアにおいてaasの機能を喪失させることで脂肪酸の蓄積及び分泌が促進されることが知られている(Plant Physiology,2010,vol.152(3),p.1598-1610参照)。
本明細書において「aasの機能を喪失させる」とは、宿主が有するaasのアシル−ACP合成機能を喪失させることを意味する。
aasの機能を喪失させるための手段としては、タンパク質の機能の喪失に通常使用される手段から適宜選択することができる。例えば、aasをコードする遺伝子(以下、「aas遺伝子」ともいう)を欠失又は不活性化させる方法、aas遺伝子の転写を阻害する変異を導入する方法、aas遺伝子の転写産物の翻訳を阻害する方法、aasを特異的に阻害する阻害剤を投与する方法などが挙げられる。前記aas遺伝子を欠失又は不活性化させる手段としては、aas遺伝子の塩基配列上の1個以上の塩基に対する突然変異の導入、aas遺伝子の塩基配列に対して別の塩基配列の置換又は挿入、aas遺伝子の塩基配列の一部若しくは全部の削除などが挙げられる。aas遺伝子の転写を阻害する変異を導入する手段としては、aas遺伝子のプロモーター領域に対する突然変異導入や、別の塩基配列での置換若しくは挿入による当該プロモーターの欠失又は不活性化が挙げられる。上記突然変異導や、塩基配列の置換若しくは挿入のための具体的な手法としては、紫外線照射や部位特異的変異導入、相同組換え法、SOE(splicing by overlap extension)−PCR法などを挙げることができる。転写産物の翻訳を阻害する手段としては、マイクロRNAによるRNA干渉を挙げることができる。aasの特異的阻害剤としては、aasやその受容体又はリガンドに特異的な抗体が挙げられる。
本発明では、シアノバクテリアのaasの機能を喪失させるために、シアノバクテリアのaas遺伝子を欠失又は不活性化させる方法がより好ましい。なお、シアノバクテリアのaasのアミノ酸配列、aas遺伝子の位置やその塩基配列の情報は、CyanoBase(genome.microbedb.jp/cyanobase/)やNCBIデータベース([www.ncbi.nlm.nih.gov/genome/]又は[www.ncbi.nlm.nih.gov/protein/])から取得することができる。
前記aasとしては、シネコシスティス・エスピーPCC6803のSlr1609、シネコシスティス・エスピーPCC7509のSyn7509DRAFT_00010940、シネココッカス・エロンガタスエスピーPCC7942のSynpcc7942_0918、サーモシネココッカス・エロンガタスBP-1のTll1301、トリコデスミウム・エリスラエウムIMS101のTery_1829、アカリオクロリス・マリアナMBIC11017のAM1_5562及びAM1_2147、クロコスファエラ・ワトソニーWH8501のCwat_5663、アナベナ・エスピーPCC7120のAlr3602等が知られている。
また前記aas遺伝子としては、シネコシスティス・エスピーPCC6803のSlr1609遺伝子(NCBI Gene ID:953643)、シネコシスティス・エスピーPCC7509のSyn7509DRAFT_00010940遺伝子(GenBank ID:ELR87398.1)、シネココッカス・エロンガタスエスピーPCC7942のSynpcc7942_0918遺伝子(配列番号46)、サーモシネココッカス・エロンガタスBP-1のTll1301遺伝子、トリコデスミウム・エリスラエウムIMS101のTery_1829遺伝子、アカリオクロリス・マリアナMBIC11017のAM1_5562遺伝子及びAM1_2147遺伝子、クロコスファエラ・ワトソニーWH8501のCwat_5663遺伝子、アナベナ・エスピーPCC7120のAlr3602遺伝子等が知られている。本明細書における「aas遺伝子」には、前記遺伝子、これら遺伝子の塩基配列との同一性が40%以上、好ましくは50%以上、より好ましくは60%以上、さらに好ましくは70%以上、特に好ましくは80%以上、最も好ましくは90%以上、であり、かつアシル−ACPの合成能を有するポリペプチドをコードする遺伝子、及びこれら遺伝子の塩基配列に、1又は数個、通常1個以上1170個以下、好ましくは1個以上975個以下、より好ましくは1個以上780個以下、さらに好ましくは1個以上585個以下、特に好ましくは1個以上390個以下、最も好ましくは1個以上195個以下、の塩基が欠失、置換、挿入又は付加されており、かつアシル−ACPの合成能を有するポリペプチドをコードする遺伝子を包含する。
シアノバクテリアのaasの機能を喪失させるために、aas遺伝子のコード領域中に異種遺伝子、好ましくは前述のTE遺伝子、を導入することが好ましい。aas遺伝子のコード領域中に前述のTE遺伝子を導入することで、シアノバクテリアのaasの機能の喪失と、TE発現能の付与を行うことができる。また、aas遺伝子のコード領域中に前述のTE遺伝子を導入することで、TEの作用により生成された遊離脂肪酸を効率的に分泌させることができる。
シアノバクテリアのaasの機能を喪失させる方法としては、例えば、SOE−PCR法により両端にaas遺伝子領域のDNA断片が付加されたTE遺伝子のDNA断片を構築し、これをベクターに挿入する。そして該ベクターをシアノバクテリアに導入してゲノム上のaas遺伝子領域との相同組換えを起こし、ゲノム上のaas遺伝子の領域にTE遺伝子が導入することで、シアノバクテリアのaasの機能を喪失させることができる。
あるいは、シアノバクテリアのゲノム上における、遺伝子導入を行ってもシアノバクテリアに影響を与えないニュートラルサイトにTE遺伝子を導入してもよい。
本発明の形質転換体は、中鎖脂肪酸又はこれを構成成分とする脂質の生産性及び生産される全脂肪酸の生産性が宿主と比較して向上している。したがって、本発明の形質転換体を適切な条件で培養し、次いで得られた培養物又は生育物から脂質を回収すれば、効率のよく脂質を製造することができる。ここで「培養物」とは培養した後の培養液及び形質転換体をいい、「生育物」とは生育した後の形質転換体をいう。
本発明の形質転換体の培養は、BG-11培地(J.Gen.Microbiol.,1979,vol.111,p.1-61)、A培地(Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.,1980,vol.77,p.6052-6056)、AA培地(Plant Physiol.,1955,vol.30,p.366-372)など、シアノバクテリアの培養に通常用いられる培地を用いて、液体培養又はその変法により実施することができる。
脂質生産のための培養期間としては、十分に菌体が増殖した条件で脂肪酸が高濃度に蓄積するように行えばよく、例えば、7〜45日間、好ましくは10〜30日間、より好ましくは14〜21日間、通気攪拌培養又は振とう培養がすることが好適である。
形質転換体が生産した脂質を回収する方法としては、常法から適宜選択することができる。例えば、前述の培養物、生育物又は形質転換体から、ろ過、遠心分離、細胞の破砕、ゲルろ過クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、クロロホルム/メタノール抽出法、ヘキサン抽出法、又はエタノール抽出法等により脂質成分を単離、回収することができる。より大規模な培養を行った場合は、培養物、生育物又は形質転換体より油分を圧搾又は抽出により回収後、脱ガム、脱酸、脱色、脱蝋、脱臭等の一般的な精製を行い、脂質を得ることができる。このように脂質成分を単離した後、単離した脂質を加水分解することで脂肪酸を得ることができる。脂質成分から脂肪酸を単離する方法としては、例えば、アルカリ溶液中で70℃程度の高温で処理をする方法、リパーゼ処理をする方法、又は高圧熱水を用いて分解する方法等が挙げられる。
また、aasの機能を喪失させた形質転換体を用いた場合、生産された脂質は細胞外に分泌される。よって、脂質を回収するために菌体を破壊する必要がなく、脂質回収後に残った細胞を繰り返し脂質生産に使用することができる。
本発明の製造方法により得られる脂質は、その利用性の点から、単純脂質及び誘導脂質から選ばれる1種以上を含んでいることが好ましく、誘導脂質を含んでいることがより好ましく、脂肪酸又はそのエステルを含んでいることがさらに好ましく、脂肪酸又はそのエステルであることがよりさらに好ましい。脂質中に含まれる脂肪酸又はそのエステルは、界面活性剤等への利用性から、中鎖脂肪酸又はそのエステルが好ましく、炭素原子数12〜14の脂肪酸又はそのエステルがより好ましく、炭素原子数12〜14の飽和脂肪酸又はそのエステルがさらに好ましく、ラウリン酸若しくはミリスチン酸又はそのエステルが特に好ましい。
本発明の製造方法により得られる脂質は、食用として用いる他、化粧品等の乳化剤、石鹸や洗剤等の洗浄剤、繊維処理剤、毛髪リンス剤、又は殺菌剤や防腐剤として利用することができる。
上述した実施形態に関し、本発明はさらに以下の脂質の製造方法、形質転換体、形質転換体の製造方法、及び脂質生産性の向上方法を開示する。
<1>下記タンパク質(a)又は(b)をコードする遺伝子をシアノバクテリアに導入して得た形質転換体を培養して脂肪酸又はこれを構成成分とする脂質を生産させる、脂質の製造方法。
(a)配列番号1で表されるアミノ酸配列からなるタンパク質
(b)前記タンパク質(a)のアミノ酸配列と60%以上、好ましくは70%以上、より好ましくは80%以上、さらに好ましくは90%以上、特に好ましくは91%以上、最も好ましくは95%以上、の同一性を有するアミノ酸配列からなり、かつKAS活性を有するタンパク質
<2>前記タンパク質(b)が、配列番号3で表されるアミノ酸配列からなるタンパク質(a1)である、前記<1>項記載の方法。
<3>前記タンパク質(b)が、前記タンパク質(a)又は(a1)のアミノ酸配列に、1又は数個、例えば1個以上184個以下、好ましくは1個以上138個以下、より好ましくは1個以上92個以下、さらに好ましくは1個以上46個以下、特に好ましくは1個以上42個以下、最も好ましくは1個以上23個以下、のアミノ酸が欠失、置換、挿入又は付加されたタンパク質である、前記<1>又は<2>項記載の方法。
<4>前記タンパク質(a)又は(b)をコードする遺伝子が、下記DNA(d)又は(e)からなる遺伝子である、前記<1>〜<3>のいずれか1項記載の方法。
(d)配列番号2で表される塩基配列からなるDNA
(e)前記DNA(d)の塩基配列と60%以上、好ましくは65%以上、より好ましくは70%以上、さらに好ましくは75%以上、よりさらに好ましくは78%以上、よりさらに好ましくは80%以上、特に好ましくは90%以上、最も好ましくは95%以上、の同一性を有する塩基配列からなり、かつKAS活性を有するタンパク質をコードするDNA
<5>前記DNA(e)が、配列番号4で表される塩基配列からなるDNAである、前記<4>項記載の方法。
<6>前記脂質が、中鎖脂肪酸又はそのエステルである、前記<1>〜<5>のいずれか1項記載の方法。
<7>前記タンパク質(a)又は(b)が、中鎖アシル−ACPに対する基質特異性を有するKASである、前記<1>〜<6>のいずれか1項記載の方法。
<8>中鎖アシル−ACPに対する基質特異性を有するTEをコードする遺伝子が前記シアノバクテリアにさらに導入されている、前記<1>〜<7>のいずれか1項記載の方法。
<9>前記TEが、Cocos nuciferaのTE、Cinnamonum camphorumのTE、Nannochloropsis oculataのTE、Umbellularia californicaのTE、Nannochloropsis gaditanaのTE、Nannochloropsis granulata、及びSymbiodinium microadriaticumのTEからなる群より選ばれる少なくとも1種のTEである、前記<8>項記載の方法。
<10>前記シアノバクテリアが、シネコシスティス属、シネココッカス属、サーモシネココッカス属、トリコデスミウム属、アカリオクロリス属、クロコスファエラ属、及びアナベナ属からなる群より選ばれるシアノバクテリア、好ましくはシネコシスティス属又はシネココッカス属のシアノバクテリア、より好ましくはシネココッカス属のシアノバクテリア、である、前記<1>〜<9>のいずれか1項記載の方法。
<11>前記シアノバクテリアにおいてaasの機能が喪失している、前記<1>〜<10>のいずれか1項記載の方法。
<12>前記シアノバクテリアにおいてaas遺伝子を欠失又は不活性化させた、前記<11>項記載の方法。
<13>前記aas遺伝子が、Slr1609遺伝子、Syn7509DRAFT_00010940遺伝子、Synpcc7942_0918遺伝子、Tll1301遺伝子、Tery_1829遺伝子、AM1_5562遺伝子、AM1_2147遺伝子、Cwat_5663遺伝子、Alr3602遺伝子、これら遺伝子の塩基配列との同一性が40%以上、好ましくは50%以上、より好ましくは60%以上、さらに好ましくは70%以上、特に好ましくは80%以上、最も好ましくは90%以上でありかつアシル−ACPの合成能を有するポリペプチドをコードする遺伝子、及びこれら遺伝子の塩基配列に、1又は数個、通常1個以上1170個以下、好ましくは1個以上975個以下、より好ましくは1個以上780個以下、さらに好ましくは1個以上585個以下、特に好ましくは1個以上390個以下、最も好ましくは1個以上195個以下、の塩基が欠失、置換、挿入又は付加されており、かつアシル−ACPの合成能を有するポリペプチドをコードする遺伝子からなる群より選ばれる、より好ましくはSlr1609遺伝子、Syn7509DRAFT_00010940遺伝子、Synpcc7942_0918遺伝子、Tll1301遺伝子、Tery_1829遺伝子、AM1_5562遺伝子、AM1_2147遺伝子、Cwat_5663遺伝子又はAlr3602遺伝子、である、前記<12>項記載の方法。
<14>BG-11培地を用いて前記形質転換体を培養する、前記<1>〜<13>のいずれか1項記載の方法。
<15>生産させた脂質を前記基質転換体の細胞外に分泌させる、前記<1>〜<14>のいずれか1項記載の方法。
<16>ラウリン酸及びミリスチン酸の生産性を向上させる、前記<1>〜<15>のいずれか1項記載の方法。
<17>シアノバクテリアに前記タンパク質(a)又は(b)をコードする遺伝子を導入して得られた形質転換体。
<18>シアノバクテリアに前記タンパク質(a)又は(b)をコードする遺伝子を導入する、形質転換体の製造方法。
<19>前記タンパク質(a)又は(b)をコードする遺伝子をシアノバクテリアに導入し、得られた形質転換体の脂質の生産性を向上させる、シアノバクテリアの脂質生産性の向上方法。
<20>前記タンパク質(b)が、配列番号3で表されるアミノ酸配列からなるタンパク質(a1)である、前記<17>〜<19>のいずれか1項記載の形質転換体又は方法。
<21>前記タンパク質(b)が、前記タンパク質(a)又は(a1)のアミノ酸配列に、1又は数個、例えば1個以上184個以下、好ましくは1個以上138個以下、より好ましくは1個以上92個以下、さらに好ましくは1個以上46個以下、特に好ましくは1個以上42個以下、最も好ましくは1個以上23個以下、のアミノ酸が欠失、置換、挿入又は付加されたタンパク質である、前記<17>〜<20>のいずれか1項記載の形質転換体又は方法。
<22>前記タンパク質(a)又は(b)をコードする遺伝子が、前記DNA(d)又は(e)からなる遺伝子である、前記<17>〜<21>のいずれか1項記載の形質転換体又は方法。
<23>前記DNA(e)が、配列番号4で表される塩基配列からなるDNAである、前記<22>項記載の形質転換体又は方法。
<24>前記脂質が、中鎖脂肪酸又はそのエステルである、前記<17>〜<23>のいずれか1項記載の形質転換体又は方法。
<25>前記タンパク質(a)又は(b)が、中鎖アシル−ACPに対する基質特異性を有するKASである、前記<17>〜<24>のいずれか1項記載の形質転換体又は方法。
<26>中鎖アシル−ACPに対する基質特異性を有するTEをコードする遺伝子が前記シアノバクテリアにさらに導入されている、前記<17>〜<25>のいずれか1項記載の形質転換体又は方法。
<27>前記TEが、Cocos nuciferaのTE、Cinnamonum camphorumのTE、Nannochloropsis oculataのTE、Umbellularia californicaのTE、Nannochloropsis gaditanaのTE、Nannochloropsis granulata、及びSymbiodinium microadriaticumのTEからなる群より選ばれる少なくとも1種のTEである、前記<26>項記載の形質転換体又は方法。
<28>前記シアノバクテリアが、シネコシスティス属、シネココッカス属、サーモシネココッカス属、トリコデスミウム属、アカリオクロリス属、クロコスファエラ属、及びアナベナ属からなる群より選ばれるシアノバクテリア、好ましくはシネコシスティス属又はシネココッカス属のシアノバクテリア、より好ましくはシネココッカス属のシアノバクテリア、である、前記<17>〜<27>のいずれか1項記載の形質転換体又は方法。
<29>前記シアノバクテリアにおいてaasの機能が喪失している、前記<17>〜<28>のいずれか1項記載の形質転換体又は方法。
<30>前記シアノバクテリアにおいてaas遺伝子を欠失又は不活性化させた、前記<29>項記載の形質転換体又は方法。
<31>前記aas遺伝子が、Slr1609遺伝子、Syn7509DRAFT_00010940遺伝子、Synpcc7942_0918遺伝子、Tll1301遺伝子、Tery_1829遺伝子、AM1_5562遺伝子、AM1_2147遺伝子、Cwat_5663遺伝子、Alr3602遺伝子、これら遺伝子の塩基配列との同一性が40%以上、好ましくは50%以上、より好ましくは60%以上、さらに好ましくは70%以上、特に好ましくは80%以上、最も好ましくは90%以上でありかつアシル−ACPの合成能を有するポリペプチドをコードする遺伝子、及びこれら遺伝子の塩基配列に、1又は数個、通常1個以上1170個以下、好ましくは1個以上975個以下、より好ましくは1個以上780個以下、さらに好ましくは1個以上585個以下、特に好ましくは1個以上390個以下、最も好ましくは1個以上195個以下、の塩基が欠失、置換、挿入又は付加されており、かつアシル−ACPの合成能を有するポリペプチドをコードする遺伝子からなる群より選ばれる、より好ましくはSlr1609遺伝子、Syn7509DRAFT_00010940遺伝子、Synpcc7942_0918遺伝子、Tll1301遺伝子、Tery_1829遺伝子、AM1_5562遺伝子、AM1_2147遺伝子、Cwat_5663遺伝子又はAlr3602遺伝子、である、前記<30>項記載の形質転換体又は方法。
<32>生産させた脂質を前記基質転換体の細胞外に分泌させる、前記<17>〜<31>のいずれか1項記載の形質転換体又は方法。
<33>ラウリン酸及びミリスチン酸の生産性を向上させる、前記<17>〜<32>のいずれか1項記載の形質転換体又は方法。
以下、本発明を実施例に基づきさらに詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
ここで、本実施例で用いるプライマーの塩基配列を表1に示す。
Figure 0006568718
作製例 形質転換体の作製
(1)aas遺伝子の不活性化及びTE遺伝子の導入を行った株の構築
シネココッカス・エロンガタスエスピーPCC7942株の野生株のゲノムDNAより、表1記載のプライマーpUC118/0918up-F(配列番号24)及び0918down/pUC118-R(配列番号25)を用いSynpcc7942_0918遺伝子(aas遺伝子)を含む断片(2864bp、配列番号47)を増幅した。増幅した断片をpUC118プラスミド(タカラバイオ株式会社)のHincIIサイト間にIn-Fusion(登録商標)PCRクローニング法(Clontech)を用いて挿入し、Synpcc7942_0918遺伝子(aas遺伝子)を組み込んだpUC118-Synpcc7942_0918プラスミドを取得した。
pDG1726プラスミド(Guerout-Fleury et al.,Gene,1995,vol.167,p.335-336)を鋳型として、表1記載のプライマー0918up/spr-F(配列番号26)及びspr/0918down-R(配列番号27)を用いてPCRを行い、スペクチノマイシン耐性マーカー遺伝子(配列番号17)断片(以下、「sp断片」ともいう)を取得した。
次に、前記pUC118-Synpcc7942_0918プラスミドを鋳型として、表1記載のプライマー0918up-R(配列番号28)及び0918down-F(配列番号29)を用いてPCRを行い、Synpcc7942_0918遺伝子(aas遺伝子)のコード領域間の927bp領域が削除された直鎖DNA断片を取得した。
前記直鎖DNA断片と前記sp断片とをIn-Fusion(登録商標)PCRクローニング法(Clontech)を用いて結合し、sp断片が挿入されたSynpcc7942_0918遺伝子コード領域のDNA配列を含むpUC118-Synpcc7942_0918::spプラスミドを得た。
前記pUC118-Synpcc7942_0918::spプラスミドを鋳型とし、表1記載のプライマー0918up-R(配列番号28)及びSp-F(配列番号30)を用いてPCRを行い、pUC118-Synpcc7942_0918::spプラスミドを線状化した。
また、表1記載のプライマー0918up/PpsbA1-F(配列番号31)及びPpsbA1/UcTE-R(配列番号32)を用いてPCRを行い、シネココッカス・エロンガタスエスピーPCC7942由来psbA1遺伝子のプロモーター領域断片(配列番号18)を増幅した。
さらに、Liu X.et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,2011,vol.108,p.6899-6904に記載されているシネコシスティス・エスピーPCC6803にあわせてコドンを最適化した配列を合成した。合成したcDNAを鋳型とし、これを表1記載のプライマーUcTE-F(配列番号33)及びUcTE/spr-R(配列番号34)を用いてPCRを行い、ウンベリラリア・カリフォルニカ由来のTE遺伝子(以下、「UcTE遺伝子」ともいう、配列番号19)の断片を増幅した。
次いで、前述の、線状化したpUC118-Synpcc7942_0918::spプラスミド、psbA1遺伝子のプロモーター領域断片、及びUcTE遺伝子の断片を混合し、In-Fusion(登録商標)PCRクローニング法(Clontech)によりクローニングし、Synpcc7942_0918遺伝子のコード領域間に、psbA1遺伝子のプロモーター領域断片、UcTE遺伝子の断片及びsp断片をこの順で挿入された、pUC118-Synpcc7942_0918::PpsbA1-UcTE-spプラスミドを得た。
前記pUC118-Synpcc7942_0918::PpsbA1-UcTE-spプラスミドを用いて、シネココッカス・エロンガタスエスピーPCC7942野生株を自然形質転換法により形質転換し、スペクチノマイシン耐性により選抜した。このようにして、ゲノム上のaas遺伝子(Synpcc7942_0918遺伝子)コード領域間に、コドンを最適化したUcTE遺伝子を導入することにより、aas遺伝子が不活性化するとともにTE発現能が付与されたΔ0918::UcTE株を取得した。
(2)aas遺伝子の不活性化、TE遺伝子の導入及びKAS遺伝子の導入を行った株の構築
シネココッカス・エロンガタスエスピーPCC7942の野生株のゲノムDNAを鋳型として、表1記載のpUC118/NS1up-F(配列番号35)とNS1up/Kmr-R(配列番号36)のプライマーセットを用いて、ニュートラルサイトNS1領域の上流断片(NS1up断片、配列番号20)を増幅した。また、前記ゲノムDNAを鋳型として、表1記載のKmr/NS1down-F(配列番号37)とNS1down/pUC118-R(配列番号38)のプライマーセットを用いて、ニュートラルサイトNS1領域の下流断片(NS1down断片、配列番号21)を増幅した。さらに、pJH1プラスミド(Trieu-Cuot P et al.,Gene,1983,vol.23,p.331-341)を鋳型として、表1記載のプライマーKmr-F(配列番号39)及びKmr-R(配列番号40)を用いてPCRを行い、カナマイシン耐性マーカー遺伝子断片(Km断片:配列番号22)を増幅した。
前述の、NS1up断片、NS1down断片、及びKm断片をpUC118プラスミド(タカラバイオ社製)のHincIIサイト間にIn-Fusion(登録商標)PCRクローニング法(Clontech)を用いて挿入し、pUC118-NS1::Kmプラスミドを取得した。
前記pUC118-NS1::Kmプラスミドを鋳型とし、表1記載のプライマーNS1up-R(配列番号41)及びKmr-F(配列番号39)を用いてPCRを行い、pUC118-NS1::Kmプラスミドを線状化した。
また、表1記載のプライマー0918up/PrrnA-F(配列番号42)及びPrrnA-R(配列番号43)を用いてPCRを行い、シネココッカス・エロンガタスエスピーPCC7942由来rrnAオペロン遺伝子のプロモーター領域断片(配列番号23)をPCR増幅した。
さらに、ナンノクロロプシス・オキュラータ由来のKAS遺伝子(NoKASIV遺伝子、配列番号2)のcDNAライブラリーをナンノクロロプシス・オキュラータNIES-2145株より作製した。そして作製したcDNAライブラリーを鋳型として、表1記載のプライマーPrrnA/NoKASIV-F(配列番号44)及びNoKASIV/kmr-R(配列番号45)を用いてPCRを行い、NoKASIV遺伝子断片を増幅した。
次いで、前述の、線状化したpUC118-NS1::Kmプラスミド、rrnAオペロン遺伝子のプロモーター領域断片、及びNoKASIV遺伝子断片を混合し、In-Fusion(登録商標)PCRクローニング法(Clontech)によりクローニングし、シネココッカス・エロンガタスエスピーPCC7942のゲノム中のニュートラルサイトNS1領域間にrrnAオペロン遺伝子のプロモーター領域断片、NoKASIV遺伝子断片、及びKm断片がこの順で挿入された、pUC118-NS1::PrrnA-NoKASIV-Kmプラスミドを得た。
前記pUC118-NS1::PrrnA-NoKASIV-Kmプラスミドを用いて、前記Δ0918::UcTE株を自然形質転換法により形質転換し、カナマイシン耐性により選抜した。このようにして、ゲノム上のNS1領域間にNoKASIV遺伝子発現コンストラクトを導入することでKAS発現能が付与され、さらにゲノム上のaas遺伝子(Synpcc7942_0918遺伝子)コード領域間にコドンを最適化したUcTE遺伝子を導入することにより、aas遺伝子が不活性化するとともにTE発現能が付与された、ΔNS1::NoKASIVΔ0918::UcTE株を取得した。
試験例 脂質の製造
下記表2に示す組成のBG-11培地25mLを加えた50mL三角フラスコ中で、一定の照明下(60μE・m-2・sec-1)、30℃にてロータリーシェーカー(120rpm)を用いて、初発菌体濃度をOD730=0.2に設定し、前記形質転換体の培養を2週間行った。なおBG-11培地には、形質転換体の種類に応じて、スペクチノマイシン及び/又はカナマイシンを20μg/mLの濃度となるよう添加した。
Figure 0006568718
培養終了後、培養液25mLにNaH2PO4を1g、及び内部標準としてメタノールに溶解した7-ペンタデカノン(1mg/mL)50μLを添加した。この液にヘキサン10mLを添加し、十分に攪拌し、10分間静置した。室温、2500rpmで10分間遠心分離を行った後、上層部分をナス型フラスコに採取した。遠心分離した下層にさらにヘキサン5mLを添加して攪拌し、遠心分離を2回行い、減圧濃縮を行うことで乾燥サンプルを得た。
乾燥サンプルに、0.5N水酸化カリウム/メタノール溶液0.7mLを添加し、80℃で30分恒温した。続いて14%三フッ化ホウ素溶液(SIGMA社製)1mLを添加し、80℃にて10分恒温した。その後、ヘキサン、飽和食塩水を各1mL添加し激しく撹拌し、室温にて30分放置した。そして、上層のヘキサン層を回収し、脂肪酸メチルエステルを得た。
得られた脂肪酸メチルエステルをガスクロマトグラフィー解析に供した。ガスクロマトグラフィーは、7890A(Agilent Technologies)を用いて、下記の条件下で解析を実施した。
(解析条件)
キャピラリーカラム:DB-1 MS 30m×200μm×0.25μm(J&W Scientific社製)
移動相:高純度ヘリウム
カラム内流量:1.0mL/分
昇温プログラム:100℃(1分間)→10℃/分→300℃(5分間)
平衡化時間:1分間
注入口:スプリット注入(スプリット比:100:1),圧力14.49psi,104mL/分
注入量1μL
洗浄バイアル:メタノール・クロロホルム
検出器温度:300℃
ガスクロマトグラフィー解析により得られた波形データのピーク面積より、各脂肪酸のメチルエステル量を定量した。なお、測定した各ピーク面積を内部標準である7-ペンタデカノンのピーク面積と比較することで試料間の補正を行った。
培養1Lあたりに含まれる各脂肪酸の量及びこれらの合計量を算出した。さらに、Δ0918::UcTE株の各脂肪酸量及び総脂肪酸量をそれぞれ1とし、ΔNS1::NoKASIVΔ0918::UcTE株の各脂肪酸量及び総脂肪酸量をそれぞれ相対値で算出した。
その結果を表3に示す。なお表3の結果は、独立した3回の培養とクロマトグラフィー解析の結果の平均値である。
Figure 0006568718
表3に示すように、ΔNS1::NoKASIVΔ0918::UcTE株は、Δ0918::UcTE株と比較して、総脂肪酸生産量が1.43倍増加した。さらに、中鎖脂肪酸であるラウリン酸及びミリスチン酸の生産量も、ΔNS1::NoKASIVΔ0918::UcTE株は、Δ0918::UcTE株と比較して、1.53倍〜1.62倍も向上した。
以上のように、シアノバクテリアにKAS遺伝子を導入することで、中鎖脂肪酸の生産性及び生産される全脂肪酸の生産性を向上させた形質転換体を作製することができる。そしてこの形質転換体を培養することで、中鎖脂肪酸の生産性及び生産される脂肪酸の総量を向上させることができる。

Claims (13)

  1. 下記タンパク質(a)又は(b)をコードする遺伝子をシアノバクテリアに導入して得た形質転換体を培養して脂肪酸又はこれを構成成分とする脂質を生産させる、脂質の製造方法。
    (a)配列番号1で表されるアミノ酸配列からなるタンパク質
    (b)前記タンパク質(a)のアミノ酸配列と90%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、かつβ−ケトアシル−ACPシンターゼ活性を有するタンパク質
  2. 前記脂質が、中鎖脂肪酸又はそのエステルである、請求項1記載の製造方法。
  3. 前記タンパク質(a)又は(b)が、中鎖アシル−ACPに対する基質特異性を有するβ−ケトアシル−ACPシンターゼである、請求項1又は2記載の製造方法。
  4. 中鎖アシル−ACPに対する基質特異性を有するアシル−ACPチオエステラーゼをコードする遺伝子が前記シアノバクテリアにさらに導入されている、請求項1〜3のいずれか1項記載の製造方法。
  5. 前記シアノバクテリアが、シネコシスティス(Synechocystis)属又はシネココッカス(Synechococcus)属のシアノバクテリアである、請求項1〜4のいずれか1項記載の製造方法。
  6. 前記シアノバクテリアのアシル−ACPシンテターゼの機能が喪失している、請求項1〜5のいずれか1項記載の製造方法。
  7. シアノバクテリアに下記タンパク質(a)又は(b)をコードする遺伝子を導入して得られた形質転換体。
    (a)配列番号1で表されるアミノ酸配列からなるタンパク質
    (b)前記タンパク質(a)のアミノ酸配列と90%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、かつβ−ケトアシル−ACPシンターゼ活性を有するタンパク質
  8. 前記タンパク質(a)又は(b)が、中鎖アシル−ACPに対する基質特異性を有するβ−ケトアシル−ACPシンターゼである、請求項7記載の形質転換体。
  9. 中鎖アシル−ACPに対する基質特異性を有するアシル−ACPチオエステラーゼをコードする遺伝子が前記シアノバクテリアにさらに導入されている、請求項7又は8記載の形質転換体。
  10. 前記シアノバクテリアが、シネコシスティス(Synechocystis)属又はシネココッカス(Synechococcus)属のシアノバクテリアである、請求項7〜9のいずれか1項記載の形質転換体。
  11. 前記シアノバクテリアのアシル−ACPシンテターゼの機能が喪失している、請求項7〜10のいずれか1項記載の形質転換体。
  12. ラウリン酸及びミリスチン酸の生産性を向上させる、請求項1〜6のいずれか1項記載の製造方法。
  13. ラウリン酸及びミリスチン酸の生産性を向上させる、請求項7〜11のいずれか1項記載の形質転換体。
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