JP6592434B2 - 脂質の製造方法 - Google Patents
脂質の製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP6592434B2 JP6592434B2 JP2016529505A JP2016529505A JP6592434B2 JP 6592434 B2 JP6592434 B2 JP 6592434B2 JP 2016529505 A JP2016529505 A JP 2016529505A JP 2016529505 A JP2016529505 A JP 2016529505A JP 6592434 B2 JP6592434 B2 JP 6592434B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- seq
- amino acid
- positions
- substituted
- acid sequence
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Active
Links
Classifications
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C12—BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
- C12P—FERMENTATION OR ENZYME-USING PROCESSES TO SYNTHESISE A DESIRED CHEMICAL COMPOUND OR COMPOSITION OR TO SEPARATE OPTICAL ISOMERS FROM A RACEMIC MIXTURE
- C12P7/00—Preparation of oxygen-containing organic compounds
- C12P7/64—Fats; Fatty oils; Ester-type waxes; Higher fatty acids, i.e. having at least seven carbon atoms in an unbroken chain bound to a carboxyl group; Oxidised oils or fats
- C12P7/6409—Fatty acids
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C12—BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
- C12N—MICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
- C12N15/00—Mutation or genetic engineering; DNA or RNA concerning genetic engineering, vectors, e.g. plasmids, or their isolation, preparation or purification; Use of hosts therefor
- C12N15/09—Recombinant DNA-technology
- C12N15/63—Introduction of foreign genetic material using vectors; Vectors; Use of hosts therefor; Regulation of expression
- C12N15/70—Vectors or expression systems specially adapted for E. coli
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C12—BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
- C12N—MICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
- C12N15/00—Mutation or genetic engineering; DNA or RNA concerning genetic engineering, vectors, e.g. plasmids, or their isolation, preparation or purification; Use of hosts therefor
- C12N15/09—Recombinant DNA-technology
- C12N15/63—Introduction of foreign genetic material using vectors; Vectors; Use of hosts therefor; Regulation of expression
- C12N15/79—Vectors or expression systems specially adapted for eukaryotic hosts
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C12—BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
- C12N—MICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
- C12N9/00—Enzymes; Proenzymes; Compositions thereof; Processes for preparing, activating, inhibiting, separating or purifying enzymes
- C12N9/14—Hydrolases (3)
- C12N9/16—Hydrolases (3) acting on ester bonds (3.1)
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C12—BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
- C12P—FERMENTATION OR ENZYME-USING PROCESSES TO SYNTHESISE A DESIRED CHEMICAL COMPOUND OR COMPOSITION OR TO SEPARATE OPTICAL ISOMERS FROM A RACEMIC MIXTURE
- C12P7/00—Preparation of oxygen-containing organic compounds
- C12P7/64—Fats; Fatty oils; Ester-type waxes; Higher fatty acids, i.e. having at least seven carbon atoms in an unbroken chain bound to a carboxyl group; Oxidised oils or fats
- C12P7/6436—Fatty acid esters
- C12P7/6445—Glycerides
- C12P7/6463—Glycerides obtained from glyceride producing microorganisms, e.g. single cell oil
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C12—BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
- C12Y—ENZYMES
- C12Y301/00—Hydrolases acting on ester bonds (3.1)
- C12Y301/02—Thioester hydrolases (3.1.2)
- C12Y301/02014—Oleoyl-[acyl-carrier-protein] hydrolase (3.1.2.14), i.e. ACP-thioesterase
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C12—BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
- C12N—MICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
- C12N2510/00—Genetically modified cells
- C12N2510/02—Cells for production
Description
例えば、炭素数12〜18前後の高級脂肪酸を還元して得られる高級アルコールの誘導体は、界面活性剤として用いられている。アルキル硫酸エステル塩やアルキルベンゼンスルホン酸塩等は陰イオン性界面活性剤として利用されている。また、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルやアルキルポリグリコシド等は非イオン性界面活性剤として利用されている。そしてこれらの界面活性剤は、いずれも洗浄剤又は殺菌剤に利用されている。同じ高級アルコールの誘導体であるアルキルアミン塩やモノ又はジアルキル4級アミン塩は、繊維処理剤や毛髪リンス剤又は殺菌剤に日常的に利用されている。また、ベンザルコニウム型4級アンモニウム塩は殺菌剤や防腐剤に日常的に利用されている。さらに、炭素数18前後の高級アルコールは植物の成長促進剤としても有用である。
藻類の脂質合成メカニズムやそれを応用した生産技術について研究が始まってはいるが、未解明な部分も多い。例えば、上述のアシル−ACPチオエステラーゼについても、現在のところ、藻類由来のものはほとんど報告されておらず、珪藻網等でわずかに報告例があるのみである(例えば、非特許文献2)。
(A)配列番号1の128位〜287位のアミノ酸配列において、203位のグリシン及び204位のバリンの少なくとも一方がトリプトファンに置換されたアミノ酸配列からなるタンパク質。
(B)配列番号1の128位〜287位のアミノ酸配列と85%以上の同一性を有するアミノ酸配列において、配列番号1の203位に相当する位置のアミノ酸及び204位に相当する位置のアミノ酸の少なくとも一方がトリプトファンに置換されたアミノ酸配列からなり、かつアシル−ACPチオエステラーゼ活性を有するタンパク質。
(C)前記タンパク質(A)又は(B)のアミノ酸配列を有し、かつアシル−ACPチオエステラーゼ活性を有するタンパク質。
また、本発明は、前記タンパク質(A)〜(C)のいずれか1つをコードする遺伝子に関する。
また、本発明は、宿主に前記遺伝子を導入して得られた形質転換体に関する。
また本明細書において、脂肪酸や脂肪酸を構成するアシル基の表記で「Cx:y」とあるのは、炭素原子数xで二重結合の数がyの脂肪酸やアシル基を表す。また、「Cx脂肪酸」や「Cxアシル」はそれぞれ、炭素原子数xの脂肪酸やアシル基を表す。
以下本明細書において、「アシル−ACPチオエステラーゼ」を単に「TE」ともいい、TEをコードする遺伝子を「アシル−ACPチオエステラーゼ遺伝子」又は「TE遺伝子」ともいう。
本発明のタンパク質(以下、「アシル−ACPチオエステラーゼ改変体」又は「TE改変体」ともいう)は、配列番号1に示すアミノ酸配列の一部が改変され、かつアシル−ACPチオエステラーゼ活性(以下、「TE活性」ともいう)を有するタンパク質、及び当該タンパク質と機能的に均等なタンパク質である。
アシル−ACPチオエステラーゼは、脂肪酸やその誘導体(トリアシルグリセロール(トリグリセリド)等)の生合成系に関与する酵素である。当該酵素は、植物体や藻類では葉緑体等の色素体内において、細菌・真菌や動物体では細胞質内において、脂肪酸生合成過程の中間体であるアシル−ACP(脂肪酸残基であるアシル基とアシルキャリヤープロテインとからなる複合体)のチオエステル結合を加水分解し、遊離の脂肪酸を生成する。TEの作用によって、ACP上での脂肪酸合成が終了し、切り出された脂肪酸はトリアシルグリセロール等の合成に供される。TEには、基質であるアシル−ACPを構成するアシル基(脂肪酸残基)の炭素原子数や不飽和結合数によって異なる反応特異性を示す複数のTEが存在していることが知られている。よってTEは、生体内での脂肪酸組成を決める重要なファクターであると考えられている。
本明細書で記載する「アシル−ACPチオエステラーゼ活性」とは、アシル−ACPのチオエステル結合を加水分解する活性をいう。
(A)配列番号1の128位〜287位のアミノ酸配列において、203位のグリシン及び204位のバリンの少なくとも一方がトリプトファンに置換されたアミノ酸配列からなるタンパク質。
(B)配列番号1の128位〜287位のアミノ酸配列と85%以上の同一性を有するアミノ酸配列において、配列番号1の203位に相当する位置のアミノ酸及び204位に相当する位置のアミノ酸の少なくとも一方がトリプトファンに置換されたアミノ酸配列からなり、かつTE活性を有するタンパク質。
(C)前記タンパク質(A)又は(B)のアミノ酸配列を有し、かつTE活性を有するタンパク質。
本発明者らは、配列番号1のアミノ酸配列中、128位〜287位の領域がTEとして機能するために重要で、TE活性を示すために十分な領域であることを見出した。すなわち、配列番号1の128位〜287位のアミノ酸配列からなるタンパク質は、TE活性を有する。
前記タンパク質(A)は、このTE活性にとって十分な領域を有し、TEとして機能する。
特定の炭素数のアシル−ACP、特にC8アシル−ACP、C10アシル−ACP、及びC12アシル−ACPからなる群より選ばれる少なくとも1種のアシル−ACP、への特異性を向上させる観点から、前記タンパク質(A)において、配列番号1の203位のグリシンがトリプトファンに置換され、204位のバリンがトリプトファン又はフェニルアラニンに置換されていることが好ましく、配列番号1の203位のグリシン及び204位のバリンがそれぞれトリプトファンに置換されていることがより好ましい。
NoTE(G203W):配列番号1の203位のグリシン(Gly;G)がトリプトファン(Trp;W)に置換された、ナンノクロロプシス・オキュラータ由来のTE改変体。
NoTE(G203W+V204F):配列番号1の203位のグリシン(Gly;G)がトリプトファン(Trp;W)に、204位のバリン(Val;V)がフェニルアラニン(Phe;F)置換された、ナンノクロロプシス・オキュラータ由来のTE改変体。
(Ca−1)配列番号1の143位のロイシン(Leu;L)をプロリン(Pro;P)に置換。
(Cb−1)配列番号1の146位のヒスチジン(His;H)をアスパラギン(Asn;N)又はセリン(Ser;S)に置換。
(Cc−1)配列番号1の160位のグリシン(Gly;G)をアラニン(Ala;A)に置換。
(Cd−1)配列番号1の202位のメチオニン(Met;M)をフェニルアラニン(Phe;F)、ヒスチジン(His;H)、ロイシン(Leu;L)、グルタミン(Gln;Q)、又はバリン(Val;V)に置換。
(Ce−1)配列番号1の212位のグリシン(Gly;G)をプロリン(Pro;P)に置換。
(Cf−1)配列番号1の213位のアスパラギン(Asn;N)をチロシン(Tyr;Y)に置換。
(Cg−1)配列番号1の281位のプロリン(Pro;P)をグルタミン(Gln;Q)に置換。
一般に、酵素タンパク質をコードしているアミノ酸配列は、必ずしも全領域の配列が保存されていなければ酵素活性を示さないというものではなく、アミノ酸配列が変化しても酵素活性に影響を与えない領域も存在することが知られている。このような酵素活性に必須でない領域においては、アミノ酸の欠失、置換、挿入又は付加といった変異が導入されても酵素本来の活性を維持することができる。本発明においても、このようにTE活性が保持され、かつ配列番号1で示すアミノ酸配列が一部変異したタンパク質を用いることができる。
本明細書において、アミノ酸配列及び塩基配列の同一性は、Lipman-Pearson法(Science,1985,vol.227,p.1435-1441)によって計算される。具体的には、遺伝情報処理ソフトウェアGenetyx-Win(ソフトウェア開発)のホモロジー解析(homology search)プログラムを用いて、Unit size to compare(ktup)を2として解析を行うことにより算出される。
上述した前記タンパク質(A)と同様、前記タンパク質(B)のアミノ酸配列も、配列番号1の203位に相当する位置のアミノ酸がトリプトファンに置換され、204位に相当する位置のアミノ酸がトリプトファン又はフェニルアラニンに置換されていることが好ましく、配列番号1の203位に相当する位置のアミノ酸及び204位に相当する位置のアミノ酸がそれぞれトリプトファンに置換されていることがより好ましい。
(Ca−2)配列番号1の143位に相当する位置のアミノ酸をプロリンに置換。
(Cb−2)配列番号1の146位に相当する位置のアミノ酸をアスパラギン又はセリンに置換。
(Cc−2)配列番号1の160位に相当する位置のアミノ酸をアラニンに置換。
(Cd−2)配列番号1の202位に相当する位置のアミノ酸をフェニルアラニン、ヒスチジン、ロイシン、グルタミン、又はバリンに置換。
(Ce−2)配列番号1の212位に相当する位置のアミノ酸をプロリンに置換。
(Cf−2)配列番号1の213位に相当する位置のアミノ酸をチロシンに置換。
(Cg−2)配列番号1の281位に相当する位置のアミノ酸をグルタミンに置換。
なお、配列番号1,3,49に示したアミノ酸配列又はその部分配列からなるタンパク質を「野生型TE」といい、野生型TEのアミノ酸配列が一部変異したアミノ酸配列からなるタンパク質を「TE改変体」という。
配列番号1と同様、配列番号3のアミノ酸配列における115位〜274位の領域、及び配列番号49のアミノ酸配列における126位〜285位の領域も、TEとして機能するために重要で、TE活性を示すために十分な領域であることが、本発明者らによって確認されている。したがって、配列番号3の115位〜274位のアミノ酸配列からなるタンパク質、及び配列番号49の126位〜285位のアミノ酸配列からなるタンパク質も、TE活性を有する。
(Ba)配列番号3の115位〜274位のアミノ酸配列において、配列番号3の190位のグリシン及び191位のバリンの少なくとも一方がトリプトファンに置換されたアミノ酸配列からなり、かつTE活性を有するタンパク質。
(Bb)配列番号49の126位〜285位のアミノ酸配列において、配列番号49の201位のグリシン及び202位のバリンの少なくとも一方がトリプトファンに置換されたアミノ酸配列からなり、かつTE活性を有するタンパク質。
また、配列番号1の203位のグリシン、204位のバリン、143位のロイシン、146位のヒスチジン、160位のグリシン、202位のメチオニン、212位のグリシン、213位のアスパラギン、281位のプロリンはそれぞれ、配列番号49の201位のグリシン、202位のバリン、141位のロイシン、144位のヒスチジン、158位のグリシン、200位のメチオニン、210位のグリシン、211位のアスパラギン、279位のプロリンに相当する。
前記タンパク質(Ba)及び(Bb)のアミノ酸配列においても、これらのアミノ酸が前記タンパク質(A)と同様に置換されていることが好ましい。
なお、アミノ酸配列に欠失、置換、挿入、付加等の変異を導入する方法としては、例えば、アミノ酸配列をコードする塩基配列に変異を導入する方法が挙げられる。塩基配列に変異を導入する方法については、後述する。
前記タンパク質(C)を構成するアミノ酸配列中、前記タンパク質(A)又は(B)のアミノ酸配列以外の配列としては、例えば、配列番号1の128位〜287位以外の任意のアミノ酸配列、配列番号3の115位〜274位以外の任意のアミノ酸配列、配列番号49の126位〜285位以外の任意のアミノ酸配列、又はこれらの配列に1又は数個(好ましくは1以上20個以下、より好ましくは1以上15個以下、さらに好ましくは1以上10個以下、よりさらに好ましくは1以上5個以下、よりさらに好ましくは1以上3個以下)の変異が導入されたアミノ酸配列、等が挙げられる。変異としては、アミノ酸の欠失、置換、挿入又は付加が挙げられる。これらの配列は、前記タンパク質(A)又は(B)のアミノ酸配列のN末端側に付加されることが好ましい。
また、前記タンパク質(C)として、前記タンパク質(A)又は(B)のアミノ酸配列に、タンパク質の輸送や分泌に関与するシグナルペプチドが付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質も好ましい。シグナルペプチドの付加の例としては、葉緑体移行シグナルペプチドのN末端への付加等が挙げられる。
さらに、前記タンパク質(C)として、配列番号1、3又は49に示すアミノ酸配列において、前述のアミノ酸置換を有し、配列番号1の1〜127位、配列番号3の1〜114位、又は配列番号49の1〜125位の任意の位置でN末端側が欠失したアミノ酸配列からなるタンパク質であってもよい。
また、大腸菌等の宿主細胞内で機能するプロモーターの下流にTE遺伝子を連結した融合遺伝子を宿主細胞へ導入し、導入したTE遺伝子が発現する条件で細胞を培養した後、細胞の破砕液に対し、Yuanらの方法(Yuan L.et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,1995,vol.92(23),p.10639-10643)によって調製した各種アシル−ACPを基質とした反応を行うことにより、TE活性を測定することができる。
また、ナンノクロロプシス・オキュラータ等のナンノクロロプシス属に属する藻類は、The culture collection of algae at University of Texas at Austin (UTEX)、独立行政法人国立環境研究所(NIES)、National Center for Marine Algae and Microbiota (NCMA:旧CCMP)、Culture Collection of Algae and Protozoa (CCAP)、Australian National Algae Culture Collection(CSIRO)等から入手できる。
本発明の遺伝子は、前記タンパク質(A)〜(C)のいずれか1つをコードする遺伝子である。
配列番号1に示すアミノ酸配列をコードする遺伝子の例として、配列番号2に示す塩基配列からなる遺伝子が挙げられる。配列番号2に示す塩基配列は、ナンノクロロプシス・オキュラータNIES2145株由来の野生型TEをコードする遺伝子の塩基配列である。配列番号2の382位〜864位の塩基配列は、配列番号1の128位〜287位のアミノ酸配列をコードする。
配列番号3に示すアミノ酸配列をコードする遺伝子の例として、配列番号4に示す塩基配列からなる遺伝子が挙げられる。配列番号4に示す塩基配列は、ナンノクロロプシス・ガディタナCCMP526株由来の野生型TEをコードする遺伝子の塩基配列である。配列番号4の343位〜825位の塩基配列は、配列番号3の115位〜274位のアミノ酸配列をコードする。配列番号4の343位〜825位までの塩基配列は、配列番号2の382位〜864位までの塩基配列と約76%の同一性を有する。
配列番号49に示すアミノ酸配列をコードする遺伝子の例として、配列番号50に示す塩基配列からなる遺伝子が挙げられる。配列番号50に示す塩基配列は、ナンノクロロプシス・グラニュラータNIES2588株由来の野生型TEをコードする遺伝子の塩基配列である。配列番号50の376位〜858位の塩基配列は、配列番号49の126位〜285位のアミノ酸配列をコードする。配列番号50の376位〜858位の塩基配列は、配列番号2の382位〜864位までの塩基配列と約93%の同一性を有する。
(A1)配列番号2の382位〜864位の塩基配列において、607位〜609位の塩基及び610位〜612位の塩基の少なくとも一方がトリプトファンをコードする塩基に置換された塩基配列からなるDNA。
(B1)配列番号2の382位〜864位の塩基配列と70%以上の同一性を有する塩基配列において、配列番号2の607位〜609位に相当する位置の塩基及び610位〜612位に相当する位置の塩基の少なくとも一方がトリプトファンをコードする塩基に置換された塩基配列からなり、かつTE活性を有するタンパク質をコードするDNA。
(C1)前記DNA(A1)又は(B1)の塩基配列を有し、かつTE活性を有するタンパク質をコードするDNA。
前記DNA(A1)からなる遺伝子の塩基配列は、配列番号2の607位〜609位の塩基(コドン)がトリプトファンをコードする塩基に置換され、610位〜612位の塩基がトリプトファンをコードする塩基又はフェニルアラニンをコードする塩基に置換されていることが好ましく、配列番号2の607位〜609位の塩基及び610位〜612位の塩基がそれぞれトリプトファンをコードする塩基に置換されていることがより好ましい。
(C1a−1)配列番号2の427位〜429位の塩基がプロリンをコードする塩基に置換。
(C1b−1)配列番号2の436位〜438位の塩基がアスパラギン又はセリンをコードする塩基に置換。
(C1c−1)配列番号2の478位〜480位の塩基がアラニンをコードする塩基に置換。
(C1d−1)配列番号2の604位〜606位の塩基がフェニルアラニン、ヒスチジン、ロイシン、グルタミン、又はバリンをコードする塩基に置換。
(C1e−1)配列番号2の634位〜636位の塩基がプロリンをコードする塩基に置換。
(C1f−1)配列番号2の637位〜639位の塩基がチロシンをコードする塩基に置換。
(C1g−1)配列番号2の841位〜843位の塩基がグルタミンをコードする塩基に置換。
前記DNA(B1)からなる遺伝子の塩基配列は、配列番号2の607位〜609位に相当する位置の塩基がトリプトファンをコードする塩基に置換され、610位〜612位に相当する位置の塩基がトリプトファン又はフェニルアラニンをコードする塩基に置換されていることが好ましく、配列番号2の607位〜609位に相当する位置の塩基及び610位〜612位に相当する位置の塩基がそれぞれトリプトファンをコードする塩基に置換されていることがより好ましい。
(C1a−2)配列番号2の427位〜429位に相当する位置の塩基がプロリンをコードする塩基に置換。
(C1b−2)配列番号2の436位〜438位に相当する位置の塩基がアスパラギン又はセリンをコードする塩基に置換。
(C1c−2)配列番号2の478位〜480位に相当する位置の塩基がアラニンをコードする塩基に置換。
(C1d−2)配列番号2の604位〜606位に相当する位置の塩基がフェニルアラニン、ヒスチジン、ロイシン、グルタミン、又はバリンをコードする塩基に置換。
(C1e−2)配列番号2の634位〜636位に相当する位置の塩基がプロリンをコードする塩基に置換。
(C1f−2)配列番号2の637位〜639位に相当する位置の塩基がチロシンをコードする塩基に置換。
(C1g−2)配列番号2の841位〜843位に相当する位置の塩基がグルタミンをコードする塩基に置換。
(B1a)配列番号4の343位〜825位の塩基配列において、568位〜570位の塩基及び571位〜573位の塩基の少なくとも一方がトリプトファンをコードする塩基に置換された塩基配列からなり、かつTE活性を有するタンパク質をコードするDNA。
(B1b)配列番号50の376位〜858位の塩基配列において、601位〜603位の塩基及び604位〜606位の塩基の少なくとも一方がトリプトファンをコードする塩基に置換された塩基配列からなり、かつTE活性を有するタンパク質をコードするDNA。
また、配列番号2の607位〜609位の塩基、610位〜612位の塩基、427位〜429位の塩基、436位〜438位の塩基、478位〜480位の塩基、604位〜606位の塩基、634位〜636位の塩基、637位〜639位、841位〜843位の塩基の塩基はそれぞれ、配列番号50の601位〜603位の塩基、604位〜606位の塩基、421位〜423位の塩基、430位〜432位の塩基、472位〜474位の塩基、598位〜600位の塩基、628位〜630位の塩基、631位〜633位の塩基、835位〜837位の塩基に相当する。
前記DNA(B1a)及び(B1b)の塩基配列においても、これらの塩基が前記DNA(A1)の塩基配列と同様に置換されていることが好ましい。
塩基配列に欠失、置換、挿入、付加等の変異を導入する方法としては、例えば、部位特異的な変異導入法が挙げられる。具体的な部位特異的変異の導入方法としては、Splicing overlap extension(SOE)PCRを利用した方法、ODA法、Kunkel法等が挙げられる。また、Site-Directed Mutagenesis System Mutan-SuperExpress Kmキット(タカラバイオ社)、Transformer TM Site-Directed Mutagenesisキット(Clonetech社)、KOD-Plus-Mutagenesis Kit(東洋紡社)等の市販のキットを利用することもできる。また、ランダムな遺伝子変異を与えた後、適当な方法により酵素活性の評価及び遺伝子解析を行うことにより目的遺伝子を取得することもできる。
前記DNA(C1)の塩基配列中、前記DNA(A1)又は(B1)の塩基配列以外の塩基配列としては、例えば、配列番号2の382位〜864位以外の任意の塩基配列、配列番号4の343位〜825位以外の任意の塩基配列、配列番号50の376位〜858位以外の任意の塩基配列、又はこれらの配列に1又は数個(好ましくは1以上20個以下、より好ましくは1以上15個以下、さらに好ましくは1以上10個以下、よりさらに好ましくは1以上5個以下、さらに好ましくは1以上3個以下)の変異が導入された塩基配列、等が挙げられる。変異としては、塩基の欠失、置換、挿入又は付加が挙げられる。これらの配列は、前記DNA(A1)又は(B1)の塩基配列の5’末端側に付加されることが好ましい。
また、タンパク質の輸送や分泌に関与するシグナルペプチドをコードする塩基配列も好ましい。シグナルペプチドとしては、前記タンパク質(C)で述べたものが挙げられる。シグナルペプチドをコードする塩基配列は、前記DNA(A1)又は(B1)の塩基配列の5'末端側に付加されることが好ましい。
さらに、前記DNA(C1)として、配列番号2、4又は50に示す塩基配列において、前述の塩基置換を有し、配列番号2の1〜381位、配列番号4の1〜342位、又は配列番号50の1〜375位の任意の位置で5'末端側が欠失した塩基配列からなるDNAであってもよい。
PCR反応で増幅したDNAを、メチル化DNAを特異的に切断するDpnI酵素で処理し、これを用いて大腸菌を形質転換し、抗生物質含有プレート培地で選択する。形質転換された大腸菌よりプラスミド抽出することで、目的のアミノ酸変異が導入されたTE改変体をコードする遺伝子を取得することができる。
本発明の形質転換体は、宿主に前記タンパク質(A)〜(C)のいずれか1つをコードする遺伝子を導入して得られる。当該形質転換体では、ナンノクロロプシス属に属する藻類由来の野生型TE遺伝子を導入した形質転換体に比べ、特定の炭素数の脂質の生産能、特にC8脂肪酸、C10脂肪酸、又はC12脂肪酸及びこれを構成成分とする脂質の生産能が有意に向上する。また、当該形質転換体では、野生型TE遺伝子を導入した形質転換体と比べ、前述した特定の炭素数の脂肪酸の生産性が向上することにより、生産される脂質中の脂肪酸組成が変化する。なお、宿主や形質転換体の脂肪酸及び脂質の生産能については、実施例で用いた方法により測定することができる。
前記微生物は原核生物、真核生物のいずれであってもよく、エシェリキア(Escherichia)属の微生物やバシラス(Bacillus)属の微生物等の原核生物、又は酵母や糸状菌等の真核微生物を用いることができる。なかでも、脂質生産性の観点から、大腸菌(Escherichia coli)、枯草菌(Bacillus subtilis)、赤色酵母(Rhodosporidium toruloides)、モルチエレラ・エスピー(Mortierella sp.)が好ましく、大腸菌がより好ましい。
前記藻類や微細藻類としては、遺伝子組換え手法が確立している観点から、クラミドモナス(Chlamydomonas)属の藻類、クロレラ(Chlorella)属の藻類、ファエオダクティラム(Phaeodactylum)属の藻類、又はナンノクロロプシス属の藻類が好ましく、ナンノクロロプシス属の藻類がより好ましい。ナンノクロロプシス属の藻類の具体例としては、ナンノクロロプシス・オキュラータ、ナンノクロロプシス・ガディタナ、ナンノクロロプシス・サリナ(Nannochloropsis salina)、ナンノクロロプシス・オセアニカ(Nannochloropsis oceanica)、ナンノクロロプシス・アトムス(Nannochloropsis atomus)、ナンノクロロプシス・マキュラタ(Nannochloropsis maculata)、ナンノクロロプシス・グラニュラータ、ナンノクロロプシス・エスピー(Nannochloropsis sp.)等が挙げられる。なかでも、脂質生産性の観点から、ナンノクロロプシス・オキュラータ、又はナンノクロロプシス・ガディタナが好ましく、ナンノクロロプシス・オキュラータがより好ましい。
前記植物体としては、種子に脂質を高含有する観点から、シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)、ナタネ、ココヤシ、パーム、クフェア、又はヤトロファが好ましく、シロイヌナズナがより好ましい。
本発明で好ましく用いることができる発現用ベクターとしては、微生物を宿主とする場合には、例えば、pBluescript(pBS) II SK(-)(Stratagene社製)、pSTV系ベクター(タカラバイオ社製)、pUC系ベクター(宝酒造社製)、pET系ベクター(タカラバイオ社製)、pGEX系ベクター(GEヘルスケア社製)、pCold系ベクター(タカラバイオ社製)、pHY300PLK(タカラバイオ社製)、pUB110(Mckenzie,T. et al.,(1986),Plasmid 15(2);p.93-103)、pBR322(タカラバイオ社製)、pRS403(ストラタジーン社製)、又はpMW218/219(ニッポンジーン社製)が挙げられる。特に、宿主が大腸菌の場合は、pBluescript II SK(-)、又はpMW218/219が好ましく用いられる。
藻類又は微細藻類を宿主とする場合には、例えば、pUC19(タカラバイオ社製)、P66(Chlamydomonas Center)、P-322(Chlamydomonas Center)、pPha-T1(非特許文献2参照)、又はpJET1(コスモ・バイオ社製)が挙げられる。特に、宿主がナンノクロロプシス属に属する藻類の場合は、pUC19、pPha-T1、又はpJET1が好ましく用いられる。また、宿主がナンノクロロプシス属に属する藻類の場合には、Oliver Kilian,et al.,Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America,Dec 27;108(52),2011、の文献記載の方法を参考にして、本発明の遺伝子、プロモーター及びターミネーターからなるDNA断片(遺伝子発現カセット)を用いて宿主を形質転換することもできる。このDNA断片としては、例えば、PCRにより増幅したDNA断片や制限酵素で切断したDNA断片が挙げられる。
植物細胞を宿主とする場合には、例えば、pRI系ベクター(タカラバイオ社製)、pBI系ベクター(クロンテック社製)、又はIN3系ベクター(インプランタイノベーションズ社製)が挙げられる。特に、宿主がシロイヌナズナの場合は、pRI系ベクター又はpBI系ベクターが好ましく用いられる。
また、目的のタンパク質をコードする遺伝子が組み込まれたことを確認するための選択マーカーの種類も、使用する宿主やベクターの種類に応じて適宜選択することができる。本発明で好ましく用いることができる選択マーカーとしては、アンピシリン耐性遺伝子、クロラムフェニコール耐性遺伝子、エリスロマイシン耐性遺伝子、ネオマイシン耐性遺伝子、カナマイシン耐性遺伝子、スペクチノマイシン耐性遺伝子、テトラサイクリン耐性遺伝子、ブラストサイジンS耐性遺伝子、ビアラホス耐性遺伝子、ゼオシン耐性遺伝子、パロモマイシン耐性遺伝子、又はハイグロマイシン耐性遺伝子等の薬剤耐性遺伝子が挙げられる。さらに、栄養要求性に関連する遺伝子の欠損等を選択マーカー遺伝子として使用することも可能である。
形質転換方法としては、使用する宿主やベクターの種類に応じて常法より適宜選択することができる。例えば、カルシウムイオンを用いる方法、一般的なコンピテントセル形質転換方法(J.Bacterial.93,1925(1967))、プロトプラスト形質転換法、エレクトロポレーション法又はLP形質転換方法等を用いることができる。宿主としてナンノクロロプシス属の藻類を用いる場合、Randor Radakovits, et al.,Nature Communications,DOI:10.1038/ncomms1688,2012、等に記載のエレクトロポレーション法を用いて形質転換を行うこともできる。
本発明の脂質の製造方法は、TE改変体をコードする遺伝子を導入した形質転換体を培養し、脂質を生産させる工程を含む。当該工程は、脂質の生産性向上の観点から、TE改変体をコードする遺伝子を導入した形質転換体を適切な条件にて培養して培養物を得る工程、及び得られた培養物から脂質を採取する工程を含むことが好ましい。なお、本明細書で記載する「形質転換体を培養する」とは、微生物、藻類、植物体、動物体、及びそれらの細胞や組織を培養、生育することをいい、植物体を土壌等で栽培することも含まれる。また、「培養物」には、形質転換体の培養液に加えて、培養等した後の形質転換体そのものも含まれる。
また、脂質の生産効率の点から、培地中に、例えばTEの基質或いは脂肪酸生合成系に関与する前駆物質としてグリセロール、酢酸、又はマロン酸等を添加してもよい。
また、シロイヌナズナを宿主として用いた形質転換体の場合、土壌で温度条件20〜25℃、白色光を連続照射又は明期16時間・暗期8時間等の光条件下で1〜2か月間栽培を行うことが挙げられる。
培地は天然海水又は人工海水をベースにしたものを使用してもよいし、市販の培地を使用してもよい。具体的な培地としては、f/2培地、ESM培地、ダイゴIMK培地、L1培地、MNK培地、等を挙げることができる。なかでも、脂質の生産性向上及び栄養成分濃度の観点から、f/2培地、ESM培地、又はダイゴIMK培地が好ましく、f/2培地、又はダイゴIMK培地がより好ましく、f/2培地がさらに好ましい。藻類の生育促進、脂肪酸の生産性向上のため、培地に、窒素源、リン源、金属塩、ビタミン類、微量金属等を適宜添加することができる。
培地に接種する藻類の量は特に限定されないが、生育性の点から、培地当り1〜50%(vol/vol)が好ましく、1〜10%(vol/vol)がより好ましい。培養温度は、藻類の増殖に悪影響を与えない範囲であれば特に制限されないが、通常、5〜40℃の範囲である。藻類の生育促進、脂肪酸の生産性向上、及び生産コストの低減の観点から、好ましくは10〜35℃であり、より好ましくは15〜30℃である。
また、藻類の培養は、光合成ができるよう光照射下で行うことが好ましい。光照射は、光合成が可能な条件であればよく、人工光でも太陽光でもよい。光照射時の照度としては、藻類の生育促進、脂肪酸の生産性向上の観点から、好ましくは100〜50000ルクスの範囲、より好ましくは300〜10000ルクスの範囲、さらに好ましくは1000〜6000ルクスの範囲である。また、光照射の間隔は、特に制限されないが、前記と同様の観点から、明暗周期で行うことが好ましく、24時間のうち明期が好ましくは8〜24時間、より好ましくは10〜18時間、さらに好ましくは12時間である。
また、藻類の培養は、光合成ができるように二酸化炭素を含む気体の存在下、又は炭酸水素ナトリウムなどの炭酸塩を含む培地で行うことが好ましい。気体中の二酸化炭素の濃度は特に限定されないが、生育促進、脂肪酸の生産性向上の観点から0.03(大気条件と同程度)〜10%が好ましく、より好ましくは0.05〜5%、さらに好ましくは0.1〜3%、よりさらに好ましくは0.3〜1%である。炭酸塩の濃度は特に限定されないが、例えば炭酸水素ナトリウムを用いる場合、生育促進、脂肪酸の生産性向上の観点から0.01〜5質量%が好ましく、より好ましくは0.05〜2質量%、さらに好ましくは0.1〜1質量%である。
培養時間は特に限定されず、脂質を高濃度に蓄積する藻体が高い濃度で増殖できるように、長期間(例えば150日程度)行なってもよい。藻類の生育促進、脂肪酸の生産性向上、及び生産コストの低減の観点から、培養期間は、好ましくは3〜90日間、より好ましくは3〜30日間、さらに好ましくは7〜30日間である。なお、培養は、通気攪拌培養、振とう培養又は静置培養のいずれでもよく、通気性の向上の観点から、振とう培養が好ましい。
採取された総脂質成分中の総脂肪酸量に対するC12脂肪酸の含有量は、界面活性剤として利用する観点から、好ましくは3質量%以上である。ここで、「採取された総脂質成分」とは、実施例で用いられた方法により算出された総脂質成分をいう。
(A)配列番号1の128位〜287位のアミノ酸配列において、203位のグリシン及び204位のバリンの少なくとも一方がトリプトファンに置換されたアミノ酸配列からなるタンパク質。
(B)配列番号1の128位〜287位のアミノ酸配列と85%以上の同一性を有するアミノ酸配列において、配列番号1の203位に相当する位置のアミノ酸及び204位に相当する位置のアミノ酸の少なくとも一方がトリプトファンに置換されたアミノ酸配列からなり、かつアシル−ACPチオエステラーゼ活性を有するタンパク質。
(C)前記タンパク質(A)又は(B)のアミノ酸配列を有し、かつアシル−ACPチオエステラーゼ活性を有するタンパク質。
<3>前記タンパク質(B)が、配列番号1の128位〜287位のアミノ酸配列、配列番号3の115位〜274位のアミノ酸配列、又は配列番号49の126位〜285位のアミノ酸配列に1又は数個、好ましくは1〜5個、より好ましくは1〜4個、さらに好ましくは1〜3個、さらに好ましくは1〜2個、のアミノ酸が欠失、置換、挿入、又は付加されたアミノ酸配列において、配列番号1の203位に相当する位置のアミノ酸及び204位に相当する位置のアミノ酸の少なくとも一方がトリプトファンに置換されたアミノ酸配列からなり、かつアシル−ACPチオエステラーゼ活性を有するタンパク質である、前記<1>又は<2>項記載の製造方法。
<4>前記タンパク質(B)が、下記タンパク質(Ba)又は(Bb)である、前記<1>〜<3>のいずれか1項記載の製造方法。
(Ba)配列番号3の115位〜274位のアミノ酸配列において、配列番号3の190位のグリシン及び191位のバリンの少なくとも一方がトリプトファンに置換されたアミノ酸配列からなり、かつアシル−ACPチオエステラーゼ活性を有するタンパク質。
(Bb)配列番号49の126位〜285位のアミノ酸配列において、配列番号49の201位のグリシン及び202位のバリンの少なくとも一方がトリプトファンに置換されたアミノ酸配列からなり、かつアシル−ACPチオエステラーゼ活性を有するタンパク質。
<6>前記タンパク質(C)が、前記タンパク質(A)のアミノ酸配列のN末端側に、配列番号1の1位〜127位のアミノ酸配列、配列番号1の49位〜127位のアミノ酸配列、配列番号1の58位〜127位のアミノ酸配列、配列番号1の78位〜127位のアミノ酸配列、配列番号1の87位〜127位のアミノ酸配列、配列番号1の88位〜127位のアミノ酸配列、配列番号1の98位〜127位のアミノ酸配列、配列番号1の108位〜127位のアミノ酸配列、配列番号1の118位〜127位のアミノ酸配列、又はこれらの配列に1又は数個、好ましくは1個以上20個以下、より好ましくは1個以上15個以下、さらに好ましくは1個以上10個以下、よりさらに好ましくは1個以上5個以下、よりさらに好ましくは1個以上3個以下のアミノ酸が欠失、置換、挿入又は付加されたアミノ酸配列、が付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質であり、かつアシル−ACPチオエステラーゼ活性を有するタンパク質である、前記<1>〜<5>のいずれか1項記載の製造方法。
<7>前記タンパク質(C)が、前記タンパク質(Ba)のアミノ酸配列のN末端側に、配列番号3の36位〜114位のアミノ酸配列、配列番号3の45位〜114位のアミノ酸配列、配列番号3の55位〜114位のアミノ酸配列、配列番号3の65位〜114位のアミノ酸配列、配列番号3の75位〜114位のアミノ酸配列、配列番号3の85位〜114位のアミノ酸配列、配列番号3の95位〜114位のアミノ酸配列、配列番号3の105位〜114位のアミノ酸配列、又はこれらの配列に1又は数個、好ましくは1個以上20個以下、より好ましくは1個以上15個以下、さらに好ましくは1個以上10個以下、よりさらに好ましくは1個以上5個以下、よりさらに好ましくは1個以上3個以下のアミノ酸が欠失、置換、挿入又は付加されたアミノ酸配列、が付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質であり、かつアシル−ACPチオエステラーゼ活性を有するタンパク質である、前記<1>〜<5>のいずれか1項記載の製造方法。
<8>前記タンパク質(C)が、前記タンパク質(Bb)のアミノ酸配列のN末端側に、配列番号49の1位〜125位のアミノ酸配列、配列番号49の35位〜125位のアミノ酸配列、配列番号49の55位〜125位のアミノ酸配列、配列番号49の85位〜125位のアミノ酸配列、又はこれらの配列に1又は数個、好ましくは1個以上20個以下、より好ましくは1個以上15個以下、さらに好ましくは1個以上10個以下、よりさらに好ましくは1個以上5個以下、よりさらに好ましくは1個以上3個以下のアミノ酸が欠失、置換、挿入又は付加されたアミノ酸配列、が付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質であり、かつアシル−ACPチオエステラーゼ活性を有するタンパク質である、前記<1>〜<5>のいずれか1項記載の製造方法。
<10>前記タンパク質(A)〜(C)が、さらに下記(Ca)〜(Cg)からなる群より選ばれる少なくとも1つのアミノ酸置換を有する、前記<1>〜<9>のいずれか1項記載の製造方法。
(Ca)配列番号1の143位のロイシン又はこれに相当する位置のアミノ酸がプロリンに置換。
(Cb)配列番号1の146位のヒスチジン又はこれに相当する位置のアミノ酸がアスパラギン又はセリンに置換。
(Cc)配列番号1の160位のグリシン又はこれに相当する位置のアミノ酸がアラニンに置換。
(Cd)配列番号1の202位のメチオニン又はこれに相当する位置のアミノ酸がフェニルアラニン、ヒスチジン、ロイシン、グルタミン、又はバリンに置換。
(Ce)配列番号1の212位のグリシン又はこれに相当する位置のアミノ酸がプロリンに置換。
(Cf)配列番号1の213位のアスパラギン又はこれに相当する位置のアミノ酸がチロシンに置換。
(Cg)配列番号1の281位のプロリン又はこれに相当する位置のアミノ酸がグルタミンに置換。
<11>前記タンパク質(A)〜(C)のアミノ酸配列が、配列番号1の203位のグリシン又はこれに相当する位置及び204位のバリン又はこれに相当する位置がそれぞれトリプトファンに置換され、前記(Ca)〜(Cg)からなる群より選ばれる1つ又は2つのアミノ酸置換を有する、前記<10>項記載の製造方法。
<12>前記タンパク質(A)〜(C)のアミノ酸配列が、配列番号1の204位のバリン又はこれに相当する位置がトリプトファンに置換され、前記(Ca)〜(Cg)からなる群より選ばれる1つ又は2つのアミノ酸置換を有する、前記<10>項記載の製造方法。
(1)配列番号1の203位のグリシン又はこれに相当する位置のアミノ酸がトリプトファンに置換。
(2)配列番号1の204位のバリン又はこれに相当する位置のアミノ酸がトリプトファンに置換。
(3)配列番号1の203位のグリシン及び204位のバリン又はこれらに相当する位置のアミノ酸それぞれがトリプトファンに置換。
(4)配列番号1の203位のグリシン又はこれに相当する位置のアミノ酸がトリプトファンに、204位のバリン又はこれに相当する位置のアミノ酸がフェニルアラニンに置換。
(5)配列番号1の203位のグリシン及び204位のバリン又はこれらに相当する位置のアミノ酸それぞれがトリプトファンに、143位のロイシン又はこれに相当する位置のアミノ酸がプロリンに置換。
(6)配列番号1の203位のグリシン及び204位のバリン又はこれらに相当する位置のアミノ酸それぞれがトリプトファンに、160位のグリシン又はこれに相当する位置のアミノ酸がアラニンに置換。
(7)配列番号1の203位のグリシン及び204位のバリン又はこれらに相当する位置のアミノ酸それぞれがトリプトファンに、212位のグリシン又はこれに相当する位置のアミノ酸がプロリンに置換。
(8)配列番号1の203位のグリシン及び204位のバリン又はこれらに相当する位置のアミノ酸それぞれがトリプトファンに、213位のアスパラギン又はこれに相当する位置のアミノ酸がチロシンに置換。
(9)配列番号1の203位のグリシン及び204位のバリン又はこれらに相当する位置のアミノ酸それぞれがトリプトファンに、160位のグリシン又はこれに相当する位置のアミノ酸がアラニンに、213位のアスパラギン又はこれに相当する位置のアミノ酸がチロシンに置換。
(10)配列番号3の190位のグリシン及び191位のバリン又はこれらに相当する位置のアミノ酸それぞれがトリプトファンに置換。
(11)配列番号1の204位のバリン又はこれに相当する位置のアミノ酸がトリプトファンに、146位のヒスチジン又はこれに相当する位置のアミノ酸がアスパラギン、又はセリンに置換。
(12)配列番号1の204位のバリン又はこれに相当する位置のアミノ酸がトリプトファンに、202位のメチオニン又はこれに相当する位置のアミノ酸がフェニルアラニン、ヒスチジン、ロイシン、グルタミン、又はバリンに置換。
(13)配列番号1の204位のバリン又はこれに相当する位置のアミノ酸がトリプトファンに、281位のプロリン又はこれに相当する位置のアミノ酸がグルタミンに置換。
(14)配列番号1の204位のバリン又はこれに相当する位置のアミノ酸がトリプトファンに、202位のメチオニン又はこれに相当する位置のアミノ酸がヒスチジンに、281位のプロリン又はこれに相当する位置のアミノ酸がグルタミンに置換。
(A1)配列番号2の382位〜864位の塩基配列において、607位〜609位の塩基及び610位〜612位の塩基の少なくとも一方がトリプトファンをコードする塩基に置換された塩基配列からなるDNA。
(B1)配列番号2の382位〜864位の塩基配列と70%以上の同一性を有する塩基配列において、配列番号2の607位〜609位に相当する位置の塩基及び610位〜612位に相当する位置の塩基の少なくとも一方がトリプトファンをコードする塩基に置換された塩基配列からなり、かつアシル−ACPチオエステラーゼ活性を有するタンパク質をコードするDNA。
(C1)前記DNA(a)又は(b)の塩基配列を有し、かつアシル−ACPチオエステラーゼ活性を有するタンパク質をコードするDNA。
<16>前記DNA(B1)が、配列番号2の382位〜864位の塩基配列、配列番号4の343位〜825位の塩基配列、又は配列番号50の376位〜858位の塩基配列において1又は数個、好ましくは1〜20個、より好ましくは1〜15個、さらに好ましくは1〜10個、さらに好ましくは1〜5個、よりさらに好ましくは1〜3個、の塩基が欠失、置換、挿入、又は付加された塩基配列において、配列番号2の607位〜609位に相当する位置の塩基及び610位〜612位に相当する位置の塩基の少なくとも一方がトリプトファンをコードする塩基に置換された塩基配列からなり、かつアシル−ACPチオエステラーゼ活性を有するタンパク質をコードするDNAである、前記<14>又は<15>項記載の製造方法。
<17>前記DNA(B1)が下記DNA(B1a)又は(B1b)である、前記<14>〜<16>のいずれか1項記載の製造方法。
(B1a)配列番号4の343位〜825位の塩基配列において、配列番号4の568位〜570位の塩基及び571位〜573位の塩基の少なくとも一方がトリプトファンをコードする塩基に置換された塩基配列からなり、かつアシル−ACPチオエステラーゼ活性を有するタンパク質をコードするDNA。
(B1b)配列番号50の376位〜858位の塩基配列において、配列番号50の601位〜603位の塩基及び604位〜606位の塩基の少なくとも一方がトリプトファンをコードする塩基に置換された塩基配列からなり、かつアシル−ACPチオエステラーゼ活性を有するタンパク質をコードするDNA。
<19>前記DNA(C1)が、前記DNA(A1)の塩基配列の5'末端側に、配列番号2の1位〜381位の塩基配列、配列番号2の145位〜381位の塩基配列、配列番号2の172位〜381位の塩基配列、配列番号2の232位〜381位の塩基配列、配列番号2の259位〜381位の塩基配列、配列番号2の262位〜381位の塩基配列、配列番号2の292位〜381位の塩基配列、配列番号2の322位〜381位の塩基配列、配列番号2の352位〜381位の塩基配列、又はこれらの配列に1又は数個、好ましくは1個以上20個以下、より好ましくは1個以上15個以下、さらに好ましくは1個以上10個以下、よりさらに好ましくは1個以上5個以下、よりさらに好ましくは1個以上3個以下、の塩基が欠失、置換、挿入又は付加された塩基配列、が付加された塩基配列からなり、かつアシル−ACPチオエステラーゼ活性を有するタンパク質をコードするDNAである、前記<14>〜<18>のいずれか1項記載の製造方法。
<20>前記DNA(C1)が、前記DNA(B1a)の塩基配列の5'末端側に、配列番号4の106位〜342位の塩基配列、配列番号4の133位〜342位の塩基配列、配列番号4の163位〜342位の塩基配列、配列番号4の193位〜342位の塩基配列、配列番号4の223位〜342位の塩基配列、配列番号4の253位〜342位の塩基配列、配列番号4の283位〜342位の塩基配列、配列番号4の313位〜342位の塩基配列、又はこれらの配列に1又は数個、好ましくは1個以上20個以下、より好ましくは1個以上15個以下、さらに好ましくは1個以上10個以下、よりさらに好ましくは1個以上5個以下、よりさらに好ましくは1個以上3個以下、の塩基の欠失、置換、挿入又は付加された塩基配列からなり、かつアシル−ACPチオエステラーゼ活性を有するタンパク質をコードするDNAである、前記<14>〜<18>のいずれか1項記載の製造方法。
<21>前記DNA(C1)が、前記DNA(B1b)の塩基配列の5'末端側に、配列番号50の1位〜375位の塩基配列、配列番号50の103位〜375位の塩基配列、配列番号50の163位〜375位の塩基配列、配列番号50の253位〜375位の塩基配列、又はこれらの配列に1又は数個(好ましくは1個以上20個以下、より好ましくは1個以上15個以下、さらに好ましくは1個以上10個以下、よりさらに好ましくは1個以上5個以下、よりさらに好ましくは1個以上3個以下、の塩基の欠失、置換、挿入又は付加された塩基配列からなり、かつアシル−ACPチオエステラーゼ活性を有するタンパク質をコードするDNAである、前記<14>〜<18>のいずれか1項記載の製造方法。
<23>前記DNA(A1)〜(C1)が、さらに下記(C1a)〜(C1g)からなる群より選ばれる少なくとも1つの塩基置換を有する、前記<14>〜<22>のいずれか1項記載の製造方法。
(C1a)配列番号2の427位〜429位の塩基又はこれに相当する位置の塩基がプロリンをコードする塩基に置換。
(C1b)配列番号2の436位〜438位の塩基又はこれに相当する位置の塩基がアスパラギン又はセリンをコードする塩基に置換。
(C1c)配列番号2の478位〜480位の塩基又はこれに相当する位置の塩基がアラニンをコードする塩基に置換。
(C1d)配列番号2の604位〜606位の塩基又はこれに相当する位置の塩基がフェニルアラニン、ヒスチジン、ロイシン、グルタミン、又はバリンをコードする塩基に置換。
(C1e)配列番号2の634位〜636位の塩基又はこれに相当する位置の塩基がプロリンをコードする塩基に置換。
(C1f)配列番号2の637位〜639位の塩基又はこれに相当する位置の塩基がチロシンをコードする塩基に置換。
(C1g)配列番号2の841位〜843位の塩基又はこれに相当する位置の塩基がグルタミンをコードする塩基に置換。
<24>前記DNA(A1)〜(C1)の塩基配列が、配列番号2の607位〜609位の塩基又はこれに相当する位置の塩基及び610位〜612位の塩基又はこれに相当する位置の塩基がそれぞれトリプトファンをコードする塩基に置換され、前記(C1a)〜(C1g)からなる群より選ばれる1つ又は2つの塩基置換を有する、前記<23>項記載の製造方法。
<25>前記DNA(A1)〜(C1)の塩基配列が、配列番号2の610位〜612位の塩基又はこれに相当する位置の塩基がトリプトファンをコードする塩基に置換され、前記(C1a)〜(C1g)からなる群より選ばれる1つ又は2つの塩基置換を有する、前記<23>項記載の製造方法。
(1-1)配列番号2の607位〜609位の塩基又はこれらに相当する位置の塩基がトリプトファンをコードする塩基に置換。
(2-1)配列番号2の610位〜612位の塩基又はこれらに相当する位置の塩基がトリプトファンをコードする塩基に置換。
(3-1)配列番号2の607位〜609位の塩基及び610位〜612位の塩基又はこれらに相当する位置の塩基それぞれがトリプトファンをコードする塩基に置換。
(4-1)配列番号2の607位〜609位の塩基又はこれらに相当する位置の塩基がトリプトファンをコードする塩基に、610位〜612位の塩基又はこれらに相当する位置の塩基がフェニルアラニンをコードする塩基に置換。
(5-1)配列番号2の607位〜609位の塩基及び610位〜612位の塩基又はこれらに相当する位置の塩基それぞれがトリプトファンをコードする塩基に、427位〜429位の塩基又はこれらに相当する位置の塩基がプロリンをコードする塩基に置換。
(6-1)配列番号2の607位〜609位の塩基及び610位〜612位の塩基又はこれらに相当する位置の塩基それぞれがトリプトファンをコードする塩基に、478位〜480位の塩基又はこれに相当する位置の塩基がアラニンをコードする塩基に置換。
(7-1)配列番号2の607位〜609位の塩基及び610位〜612位の塩基又はこれらに相当する位置の塩基それぞれがトリプトファンをコードする塩基に、634位〜636位の塩基又はこれらに相当する位置の塩基がプロリンをコードする塩基に置換。
(8-1)配列番号2の607位〜609位の塩基及び610位〜612位の塩基又はこれらに相当する位置の塩基それぞれがトリプトファンをコードする塩基に、637位〜639位の塩基又はこれらに相当する位置の塩基がチロシンをコードする塩基に置換。
(9-1)配列番号2の607位〜609位の塩基及び610位〜612位の塩基又はこれらに相当する位置の塩基それぞれがトリプトファンをコードする塩基に、478位〜480位の塩基又はこれらに相当する位置の塩基がアラニンをコードする塩基に、637位〜639位の塩基又はこれらに相当する位置の塩基がチロシンをコードする塩基に置換。
(10-1)配列番号4の568位〜570位の塩基及び571位〜573位の塩基又はこれらに相当する位置の塩基それぞれがトリプトファンをコードする塩基に置換。
(11-1)配列番号2の610位〜612位の塩基又はこれらに相当する位置の塩基がトリプトファンをコードする塩基に、436位〜438位の塩基又はこれらに相当する位置の塩基がアスパラギン、又はセリンをコードする塩基に置換。
(12-1)配列番号2の610位〜612位の塩基又はこれらに相当する位置の塩基がトリプトファンをコードする塩基に、604位〜606位の塩基又はこれらに相当する位置の塩基がフェニルアラニン、ヒスチジン、ロイシン、グルタミン、又はバリンをコードする塩基に置換。
(13-1)配列番号2の610位〜612位の塩基又はこれらに相当する位置の塩基がトリプトファンをコードする塩基に、841位〜843位の塩基又はこれらに相当する位置の塩基がグルタミンをコードする塩基に置換。
(14-1)配列番号2の610位〜612位の塩基又はこれらに相当する位置の塩基がトリプトファンをコードする塩基に、604位〜606位の塩基又はこれらに相当する位置の塩基がヒスチジンをコードする塩基に、841位〜843位の塩基又はこれらに相当する位置の塩基がグルタミンをコードする塩基に置換。
<28>前記微生物が微細藻類、好ましくはナンノクロロプシス属に属する藻類、である、前記<27>項記載の製造方法。
<29>前記微生物が大腸菌である、前記<27>項記載の製造方法。
<30>前記脂質が炭素数8、10、若しくは12の脂肪酸又はそのエステルを含む、前記<1>〜<29>のいずれか1項記載の製造方法。
<31>前記脂質中の炭素数8、10、又は12の脂肪酸の含有率が、配列番号1のアミノ酸配列からなるタンパク質をコードする遺伝子を導入した形質転換体から採取された脂質と比べて増加している、前記<1>〜<30>のいずれか1項記載の製造方法。
<33>前記タンパク質が、前記<1>〜<13>のいずれか1項に記載の製造方法で規定するタンパク質のいずれか1つである、前記<32>項記載のタンパク質。
<34>前記<32>又は<33>項記載のタンパク質をコードする遺伝子。
<35>前記(A1)〜(C1)で規定するいずれか1つのDNAからなる遺伝子。
<36>前記DNAが、前記<14>〜<26>のいずれか1項に記載の製造方法で規定するDNAのいずれか1つである、前記<34>又は<35>項記載の遺伝子。
<37>前記<34>〜<36>のいずれか1項記載の遺伝子を含有する、組換えベクター。
<39>前記<34>〜<36>のいずれか1項記載の遺伝子、又は前記<37>項記載の組換えベクターを宿主に導入する、形質転換体の作製方法。
<40>前記宿主が微生物である、前記<38>又は<39>項記載の形質転換体又はその作製方法。
<41>前記微生物が微細藻類、好ましくはナンノクロロプシス属に属する藻類、である、前記<40>項記載の形質転換体又はその作製方法。
<42>前記微生物が大腸菌である、前記<40>項記載の形質転換体又はその作製方法。
<44>前記脂質が炭素数8、10、若しくは12の脂肪酸又はそのエステルを含む、前記<43>項記載の使用。
<46>宿主に前記<34>〜<36>のいずれか1項記載の遺伝子、又は前記<37>項記載の組換えベクターを導入する、脂質の生産性を向上させる方法。
<47>前記脂質が炭素数8、10、若しくは12の脂肪酸又はそのエステルを含む、前記<45>又は<46>項記載の方法。
<48>宿主に前記<34>〜<36>のいずれか1項記載の遺伝子、又は前記<37>項記載の組換えベクターを導入する、炭素数8、10、又は12の脂肪酸の生産性を向上させる方法。
(1)NoTE遺伝子の取得、及びNoTE発現プラスミドの構築
ナンノクロロプシス・オキュラータNIES2145株(独立行政法人国立環境研究所(NIES)より入手)の全RNAを抽出し、SuperScript(商標)III First-Strand Synthesis SuperMix for qRT-PCR(invitrogen社製)を用いて逆転写を行ってcDNAを得た。このcDNAを鋳型として、表1に示すプライマー番号5及びプライマー番号6のプライマー対を用いたPCRにより、配列番号2の262位〜864位の塩基配列からなる遺伝子断片を取得した。また、プラスミドベクターpBluescriptII SK(-)(Stratagene社製)を鋳型として、表1に示すプライマー番号7及びプライマー番号8のプライマー対を用いたPCRによりpBluescriptII SK(-)を増幅し、制限酵素DpnI(東洋紡株式会社製)処理により鋳型の消化を行った。これら2つの断片を、High Pure PCR Product Purification Kit(Roche Applied Science社製)を用いて精製した後に、In-Fusion HD Cloning Kit(Clontech社製)を用いて融合し、NoTE発現プラスミドNoTE_262を構築した。このプラスミドNoTE_262は、配列番号1に示すアミノ酸配列のN末端側1位〜87位のアミノ酸残基を除去し、その上流にプラスミドベクターpBluescriptII SK(-)由来のLacZタンパク質のN末端側1位〜29位のアミノ酸残基が融合したタンパク質を発現させるように構築した。
なお、以下のプラスミド表記において、「NoTE_262」は、配列番号1の88位〜287位のアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードする塩基配列として、配列番号2の262位〜864位の塩基配列をプラスミドが有することを意味する。
前記プラスミドNoTE_262を鋳型として、表1に示すプライマー番号9〜12のいずれか1つのプライマーと、プライマー番号13のプライマー対を用いてPCRを行い、配列番号2に示す塩基配列の262位〜864位の塩基の一部を変異させた遺伝子断片をそれぞれ取得した。これらの遺伝子断片を用いて、前記手法と同様の手法により、各種NoTE改変体発現プラスミド(NoTE_262(G203W)、NoTE_262(V204W)、NoTE_262(G203W+V204W)、NoTE_262(G203W+V204F))をそれぞれ構築した。これらのプラスミドは、配列番号2の塩基配列に対して、下記の部位のコドンが改変されている。
(ii)NoTE_262(V204W):配列番号1に示すアミノ酸配列の204位のバリンをコードするコドンがトリプトファンをコードするコドン(TGG)に置換されている。
(iii)NoTE_262(G203W+V204W):配列番号1に示すアミノ酸配列の203位のグリシンをコードするコドンがトリプトファンをコードするコドン(TGG)に、204位のバリンをコードするコドンがトリプトファンをコードするコドン(TGG)に、それぞれ置換されている。
(iv)NoTE_262(G203W+V204F):配列番号1に示すアミノ酸配列の203位のグリシンをコードするコドンがトリプトファンをコードするコドン(TGG)に、204位のバリンをコードするコドンがフェニルアラニンをコードするコドン(TTT)に、それぞれ置換されている。
(vi)NoTE_262(WW+G160A):配列番号1に示すアミノ酸配列の203位のグリシンをコードするコドンがトリプトファンをコードするコドン(TGG)に、204位のバリンをコードするコドンがトリプトファンをコードするコドン(TGG)に、160位のグリシンをコードするコドンがアラニンをコードするコドン(GCT)に、それぞれ置換されている。
(vii)NoTE_262(WW+G212P):配列番号1に示すアミノ酸配列の203位のグリシンをコードするコドンがトリプトファンをコードするコドン(TGG)に、204位のバリンをコードするコドンがトリプトファンをコードするコドン(TGG)に、212位のグリシンをコードするコドンがプロリンをコードするコドン(CCA)に、それぞれ置換されている。
(viii)NoTE_262(WW+N213Y):配列番号1に示すアミノ酸配列の203位のグリシンをコードするコドンがトリプトファンをコードするコドン(TGG)に、204位のバリンをコードするコドンがトリプトファンをコードするコドン(TGG)に、213位のアスパラギンをコードするコドンがチロシンをコードするコドン(TAC)に、それぞれ置換されている。
前記各種NoTE改変体発現プラスミドを用いて、大腸菌突然変異株(K27株(fadD88)、Overath et al.,Eur.J.Biochem.,1969,vol.7,p.559-574参照)をコンピテントセル形質転換法により形質転換した。得られた形質転換体を30℃で一晩静置し、得られたコロニーをLBAmp液体培地(Bacto Trypton 1%,Yeast Extract 0.5%,NaCl 1%,アンピシリンナトリウム50μg/mL)1mLに接種し、30℃で一晩培養した。この培養液2μLを、2mLのOvernight Express Instant TB Medium(Novagen社)に接種し、30℃で振とう培養した。24時間の培養後、培養液に含まれる脂質成分を、下記に示す方法にて分析した。なお、陰性対照として、プラスミドベクターpBluescriptII SK(-)で形質転換した大腸菌K27株、及び前述の野生型NoTE発現プラスミド(NoTE_262)で形質転換した大腸菌K27株についても同様に実験を行った。
培養液1mLに、内部標準として1mg/mLの7-ペンタデカノン50μLを添加後、クロロホルム0.5mL、メタノール1mL及び2N塩酸10μLを培養液に添加して激しく攪拌し、30分間放置した。その後さらに、クロロホルム0.5mL及び1.5%KCl0.5mLを添加して攪拌し、3,000rpmにて15分間遠心分離を行い、パスツールピペットにてクロロホルム層(下層)を回収した。
得られたクロロホルム層に窒素ガスを吹き付けて乾固し、0.5N水酸化カリウム/メタノール溶液0.7mLを添加し、80℃で30分間恒温した。続いて14%三フッ化ホウ素溶液(SIGMA社製)1mLを添加し、80℃にて10分間恒温した。その後、ヘキサン及び飽和食塩水を各1mL添加し激しく撹拌し、室温にて30分間放置し、上層であるヘキサン層を回収して脂肪酸エステルを得た。
<ガスクロマトグラフィー条件>
キャピラリーカラム:DB-1 MS(30m×200μm×0.25μm、J&W Scientific社製)
移動相:高純度ヘリウム
カラム内流量:1.0mL/分
昇温プログラム:100℃(1分間)→10℃/分→300℃(5分間)
平衡化時間:1分間
注入口:スプリット注入(スプリット比:100:1)
圧力:14.49psi,104mL/分
注入量:1μL
洗浄バイアル:メタノール・クロロホルム
検出器温度:300℃
ガスクロマトグラフィー解析により得られた波形データのピーク面積より、各脂肪酸のメチルエステル量を定量した。各ピーク面積を、内部標準である7-ペンタデカノンのピーク面積と比較することで試料間の補正を行い、培養液1リットルあたりの各脂肪酸量を算出した。さらに、各脂肪酸量の総和を総脂肪酸量とし、総脂肪酸量に占める各脂肪酸量の割合を算出した。
その結果を表5に示す。なお、以下の表において、「TFA」は総脂肪酸量を、「脂肪酸組成(%TFA)」は総脂肪酸の重量に対する各脂肪酸量の割合を示す。また、「C17:0Δ」及び「C19:0Δ」はそれぞれ、cis-9,10-Methylen-hexadecanoic acid及びcis-11,12-Methylen-octadecanoic acidを表す。さらに「C12:n」は、C12:1とC12:0の脂肪酸の総和を表し、「C12:n(%TFA)」は、総脂肪酸の重量に対するC12:nの脂肪酸量の割合を表す。
また、配列番号1に示すアミノ酸配列の203位と204位のアミノ酸の両方がトリプトファンに置換されるように構築したプラスミドNoTE_262(G203W+V204W)、及び配列番号1に示すアミノ酸配列の203位と204位のアミノ酸がそれぞれトリプトファン及びフェニルアラニンに置換されるように構築したプラスミドNoTE_262(G203W+V204F)、をそれぞれ導入した形質転換体では、NoTE_262(G203W)及びNoTE_262(V204W)をそれぞれ導入した形質転換体と比べ、総脂肪酸量に占めるC10脂肪酸及びC12脂肪酸の含有率がさらに増加した。
さらに、配列番号1に示すアミノ酸配列の203位と204位のアミノ酸に加えて、他の特定の位置のアミノ酸を特定のアミノ酸に置換されるように構築したNoTE_262(WW+L143P)、NoTE_262(WW+G160A)、NoTE_262(WW+G212P)、NoTE_262(WW+N213Y)を導入した形質転換体では、NoTE_262(G203W+V204W)を導入した形質転換体と比べ、総脂肪酸量に占めるC10脂肪酸及びC12脂肪酸の含有率がさらに増加した。特に、NoTE_262(WW+G160A+N213Y)を導入した形質転換体では、NoTE_262(WW+G160A)やNoTE(WW+N213Y)を導入した形質転換体株と比べ、総脂肪酸量に占めるC10脂肪酸及びC12脂肪酸の含有率が一層増加した。
(1)NoTE改変体発現プラスミドの構築
実施例1で作製した前記プラスミドNoTE_262及びNoTE_262(G203W+V204W)をそれぞれ鋳型として、表1に示すプライマー番号22及びプライマー番号8のプライマー対を用いてPCRを行い、配列番号2に示す塩基配列の382位〜864位の塩基配列からなる遺伝子断片、及び配列番号2に示す塩基配列の382位〜864位の塩基の一部を変異させた遺伝子断片をそれぞれ取得した。これらの遺伝子断片を用いて、実施例1と同様の手法により、NoTE発現プラスミド(NoTE_382)、及びNoTE改変体発現プラスミド(NoTE_382(G203W+V204W))をそれぞれ構築した。
なお、以下のプラスミド表記において、「NoTE_382」は、配列番号1の128位〜287位のアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードする塩基配列として、配列番号2の382位〜864位の塩基配列をプラスミドが有することを意味する。
また、前記プラスミドNoTE_382(G203W+V204W)は、配列番号2の塩基配列に対して、下記の部位のコドンが改変されている。
実施例1と同様の方法で、前記プラスミドNoTE_382(G203W+V204W)を大腸菌へ導入して培養を行い、培養液に含まれる脂質成分の分析を行った。また、陰性対象として、前記プラスミドNoTE_382についても同様の実験を行った。結果を表6に示す。
(1)NgTE遺伝子の取得、及びNgTE発現プラスミドの構築
配列番号3に示すアミノ酸配列からなるナンノクロロプシス・ガディタナ由来アシル−ACPチオエステラーゼをコードする遺伝子(NgTE遺伝子、配列番号4)を、人工遺伝子の受託合成サービスを利用して取得した。
前記NgTE遺伝子を鋳型として、表1に示すプライマー番号23及びプライマー番号24のプライマー対を用いたPCRにより、配列番号4の253位〜825位の塩基配列からなる遺伝子断片を取得した。得られた遺伝子断片を、実施例1と同様の方法でpBluescriptII SK(-)ベクターに融合し、野生型NgTE発現プラスミドNgTE_253を構築した。このプラスミドNgTE_253は、配列番号3に示すアミノ酸配列のN末端側1位〜84位のアミノ酸残基を除去し、その上流にプラスミドベクターpBluescriptII SK(-)由来のLacZタンパク質のN末端側1位〜29位のアミノ酸残基が融合したタンパク質を発現させるように構築した。
なお、以下のプラスミド表記において、「NgTE_253」は、配列番号3の85位〜274位のアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードする塩基配列として、配列番号4の253位〜825位の塩基配列をプラスミドが有することを意味する。
前記プラスミドNgTE_253を鋳型として、表1に示すプライマー番号25及びプライマー番号26のプライマー対を用いてPCRを行い、配列番号4に示す塩基配列の253位〜825位の塩基の一部を変異させた遺伝子断片を取得した。得られた遺伝子断片を用いて、実施例1と同様の手法により、NgTE改変体発現プラスミド(NgTE_253(G190W+V191W))を構築した。
なお、前記プラスミドNgTE_253(G190W+V191W)は、配列番号4の塩基配列に対して、下記の部位のコドンが改変されている。
実施例1と同様の方法で、前記プラスミドNgTE_253(G190W+V191W)を大腸菌へ導入して培養を行い、培養液に含まれる脂質成分の分析を行った。また、陰性対象として、前記プラスミドNgTE_253についても同様の実験を行った。結果を表7に示す。
(1)NoTE改変体発現プラスミドの構築
実施例1で作製したプラスミドNoTE_262、NoTE_262(G203W+V204F)、及びNoTE_262(G203W+V204W)を鋳型として、表2に示すプライマー番号27及びプライマー番号28のプライマー対を用いてPCRを行い、配列番号2に示す塩基配列の262位〜864位の塩基配列からなる遺伝子断片、及び配列番号2に示す塩基配列の262位〜864位の塩基の一部を変異させた遺伝子断片をそれぞれ取得した。
なお、前記プラスミドは、配列番号1の88位〜287位のアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードする塩基配列として、配列番号2の262位〜864位の塩基配列をプラスミドが有する。
また、前記NoTE改変体発現用プラスミドは、配列番号2の塩基配列に対して、下記の部位のコドンが改変されている。
(xiii)NoTE_262(G203W+V204W)_Nanno:配列番号1に示すアミノ酸配列の203位のグリシンをコードするコドンがトリプトファンをコードするコドン(TGG)に、204位のバリンをコードするコドンがトリプトファンをコードするコドン(TGG)に、それぞれ置換されている。
ゼオシン耐性遺伝子(配列番号40)、及び文献(Randor Radakovits, et al.,Nature Communications,DOI:10.1038/ncomms1688,2012)記載のナンノクロロプシス・ガディタナCCMP526株由来チューブリンプロモーター配列(配列番号41)を人工合成した。
合成したDNA断片を鋳型として、表2に示すプライマー番号42及びプライマー番号43のプライマー対、並びにプライマー番号44及びプライマー番号45のプライマー対をそれぞれ用いてPCRを行い、ゼオシン耐性遺伝子及びチューブリンプロモーター配列をそれぞれ取得した。これらの増幅断片と、前記VCP1ターミネーター配列、及びプラスミドベクターpUC19の増幅断片を、実施例1と同様の方法で融合し、ゼオシン耐性遺伝子発現プラスミドを構築した。なお、本発現プラスミドは、チューブリンプロモーター配列、ゼオシン耐性遺伝子、VCP1ターミネーター配列の順に連結したゼオシン耐性遺伝子発現用配列と、pUC19ベクター配列からなる。
前記発現プラスミドNoTE_262_Nanno、NoTE_262(G203W+V204F)_Nanno、及びNoTE_262(G203W+V204W)_Nannoを鋳型として、表2に示すプライマー番号46とプライマー番号47のプライマー対を用いてPCRを行い、当該プラスミド中のNoTE遺伝子発現用配列を増幅した。
また、前記ゼオシン耐性遺伝子発現用プラスミドを鋳型として、表2に示すプライマー番号48とプライマー番号47のプライマー対を用いてPCRを行い、ゼオシン耐性遺伝子発現用配列を増幅した。
増幅したDNA断片を、High Pure PCR Product Purification Kit(Roche Applied Science社製)を用いて精製した。なお、精製の際の溶出には、キットに含まれる溶出バッファーではなく、滅菌水を用いた。
f/2液体培地(NaNO3 75mg、NaH2PO4・2H2O 6mg、ビタミンB12 0.5μg、ビオチン 0.5μg、チアミン 100μg、Na2SiO3・9H2O 10mg、Na2EDTA・2H2O 4.4mg、FeCl3・6H2O 3.16mg、FeCl3・6H2O 12μg、ZnSO4・7H2O 21μg、MnCl2・4H2O 180μg、CuSO4・5H2O 7μg、Na2MoO4・2H2O 7μg/人工海水1L)にて24時間回復培養を行った。その後に、2μg/mLのゼオシン含有f/2寒天培地に塗布し、25℃、0.3%CO2雰囲気下、12h/12h明暗条件にて2〜3週間培養した。得られたコロニーの中から、NoTE遺伝子発現用断片を含むものをPCR法により選抜した。選抜した株を、f/2培地の窒素濃度を15倍、リン濃度を5倍に増強した培地(以下、N15P5培地)20mLに播種し、25℃、0.3%CO2雰囲気下、12h/12h明暗条件にて4週間振盪培養し、前培養液とした。前培養液2mLを、18mLのN15P5培地に植継ぎ、25℃、0.3%CO2雰囲気下、12h/12h明暗条件にて2週間振盪培養した。なお、陰性対照として、野生株であるナンノクロロプシス・オキュラータNIES2145株についても同様に実験を行った。
培養後実施例1と同様の方法で、培養液に含まれる脂質成分の分析を行った。結果を表8に示す。なお、表8において、「n」は、0〜5の整数を表し、例えば「C18:n」と記載した場合には、組成がC18:0,C18:1,C18:2,C18:3,C18:4,及びC18:5の各脂肪酸の総和を表す。
(1)NoTE多重改変体発現プラスミドの構築
実施例1で作製したプラスミドNoTE_262(V204W)を鋳型として、表3に示すプライマー番号51とプライマー番号52のプライマー対、プライマー番号51とプライマー番号53のプライマー対、プライマー番号54とプライマー番号55のプライマー対、プライマー番号54とプライマー番号56のプライマー対、プライマー番号54とプライマー番号57のプライマー対、プライマー番号54とプライマー番号58のプライマー対、プライマー番号54とプライマー番号59のプライマー対、並びにプライマー番号60とプライマー番号61のプライマー対をそれぞれ用いてPCRを行い、配列番号2の262位〜864位の塩基の一部を変異させた遺伝子断片をそれぞれ取得した。これらの遺伝子断片を用いて、前記手法と同様の手法により、各種NoTE改変体発現プラスミド(NoTE_262(V204W+H146N)、NoTE_262(V204W+H146S)、NoTE_262(V204W+M202F)、NoTE_262(V204W+M202H)、NoTE_262(V204W+M202L)、NoTE_262(V204W+M202Q)、NoTE_262(V204W+M202V)、NoTE_262(V204W+P281Q))をそれぞれ構築した。これらのプラスミドは、配列番号2の塩基配列に対して、下記の部位のコドンが改変されている。
(xv)NoTE_262(V204W+H146S):配列番号1に示すアミノ酸配列の204位のバリンをコードするコドンがトリプトファンをコードするコドン(TGG)に、146位のヒスチジンをコードするコドンがセリンをコードするコドン(TCA)に、それぞれ置換されている。
(xvi)NoTE_262(V204W+M202F):配列番号1に示すアミノ酸配列の204位のバリンをコードするコドンがトリプトファンをコードするコドン(TGG)に、202位のメチオニンをコードするコドンがフェニルアラニン(F)をコードするコドン(TTC)に、それぞれ置換されている。
(xvii)NoTE_262(V204W+M202H):配列番号1に示すアミノ酸配列の204位のバリンをコードするコドンがトリプトファンをコードするコドン(TGG)に、202位のメチオニンをコードするコドンがヒスチジンをコードするコドン(CAT)に、それぞれ置換されている。
(xviii)NoTE_262(V204W+M202L):配列番号1に示すアミノ酸配列の204位のバリンをコードするコドンがトリプトファンをコードするコドン(TGG)に、202位のメチオニンをコードするコドンがロイシンをコードするコドン(CTA)に、それぞれ置換されている。
(xix)NoTE_262(V204W+M202Q):配列番号1に示すアミノ酸配列の204位のバリンをコードするコドンがトリプトファンをコードするコドン(TGG)に、202位のメチオニンをコードするコドンがグルタミンをコードするコドン(CAA)に、それぞれ置換されている。
(xx)NoTE_262(V204W+M202V):配列番号1に示すアミノ酸配列の204位のバリンをコードするコドンがトリプトファンをコードするコドン(TGG)に、202位のメチオニンをコードするコドンがバリンをコードするコドン(GTA)に、それぞれ置換されている。
(xxi)NoTE_262(V204W+P281Q):配列番号1に示すアミノ酸配列の204位のバリンをコードするコドンがトリプトファンをコードするコドン(TGG)に、281位のプロリンをコードするコドンがグルタミンをコードするコドン(CAG)に、それぞれ置換されている。
実施例1と同様の方法で、前記発現プラスミドを大腸菌へ導入して培養を行い、培養液に含まれる脂質成分の分析を行った。また、比較対象として、前記発現プラスミドNoTE_262、NoTE_262(V204W)についても同様の実験を行った。結果を表9に示す。
また、配列番号1に示すアミノ酸配列の146位のアミノ酸が置換されるように構築した、プラスミドNoTE_262(V204W+H146N)及びプラスミドNoTE_262(V204W+H146S)をそれぞれ導入した形質転換体では、NoTE_262導入株やNoTE_262(V204W)をそれぞれ導入した形質転換体ではほとんど存在を確認できなかったC8脂肪酸の生産が確認された。
さらに、配列番号1に示すアミノ酸配列の204位のバリンをトリプトファンに、202位のメチオニンや281位のプロリンを他のアミノ酸にそれぞれ置換されるように構築したプラスミドを導入した形質転換体では、NoTE_262(V204W)を導入した形質転換体と比べ、総脂肪酸量に占めるC12脂肪酸の含有率がさらに増加した。
(1)NoTE改変体発現プラスミドの構築
実施例1で作製したプラスミドNoTE_262、NoTE_262(G203W)、NoTE_262(V204W)、及びNoTE_262(G203W+V204W)を鋳型として、表2に示すプライマー番号27及びプライマー番号28のプライマー対を用いてPCRを行い、配列番号2に示す塩基配列の262位〜864位の塩基配列からなる遺伝子断片、及び配列番号2に示す塩基配列の262位〜864位の塩基の一部を変異させた遺伝子断片をそれぞれ取得した。
前記NoTE発現カセットと、ゼオシン耐性遺伝子発現カセット及びpUC19配列からなる断片を、実施例1と同様の方法で融合し、NoTE発現カセットとゼオシン耐性遺伝子発現カセットが連結した薬剤耐性連結型NoTE発現プラスミド(NoTE_262_Nanno(zeo)、NoTE_262(G203W)_Nanno(zeo)、NoTE_262(V204W)_Nanno(zeo)、及びNoTE_262(G203W+V204W)_Nanno(zeo))をそれぞれ構築した。前記NoTE発現プラスミドは、配列番号2の塩基配列に対して、下記の部位のコドンが改変されている。
(xxiv)NoTE_262(V204W)_Nanno(zeo):配列番号1に示すアミノ酸配列の204位のバリンをコードするコドンがトリプトファンをコードするコドン(TGG)に置換されている。
(xxv)NoTE_262(G203W+V204W)_Nanno(zeo):配列番号1に示すアミノ酸配列の203位のグリシンをコードするコドンがトリプトファンをコードするコドン(TGG)に、204位のバリンをコードするコドンがトリプトファンをコードするコドン(TGG)に、それぞれ置換されている。
前記発現プラスミドNoTE_262_Nanno(zeo)、NoTE_262(G203W)_Nanno(zeo)、NoTE_262(V204W)_Nanno(zeo)、及びNoTE_262(G203W+V204W)_Nanno(zeo)を鋳型として、表2に示すプライマー番号46とプライマー番号47のプライマー対を用いてPCRを行い、NoTE遺伝子発現カセットとゼオシン耐性遺伝子発現カセットが連結した断片を増幅した。
実施例4と同様の方法で、得られたDNA断片を精製し、エレクトロポレーション法によりナンノクロロプシス・オキュラータNIES2145株に導入した。
実施例4と同様の方法で、形質転換体の選抜及び培養を行い、培養液に含まれる脂質成分の分析を行った。なお、脂質抽出の際に用いるヘキサンの量は0.5mLとした。結果を表10に示す。
(1)N末端長を変更したNoTE改変体発現プラスミドの構築
実施例1で調製したナンノクロロプシス・オキュラータNIES2145株のcDNAを鋳型として、表4に示すプライマー番号64〜69及び表1に示すプライマー番号22のいずれか1つのプライマーと、表1に示すプライマー番号6のプライマー対を用いてPCRを行い、配列番号2の1〜864位の塩基配列からなる遺伝子断片、配列番号2の172〜864位の塩基配列からなる遺伝子断片、配列番号2の232〜864位の塩基配列からなる遺伝子断片、配列番号2の292〜864位の塩基配列からなる遺伝子断片、配列番号2の322〜864位の塩基配列からなる遺伝子断片、配列番号2の352〜864位の塩基配列からなる遺伝子断片、配列番号2の382〜864位の塩基配列からなる遺伝子断片、をそれぞれ取得した。これらの遺伝子断片を用いて、実施例1と同様の方法により、N末端長を変更したNoTE発現プラスミドNoTE_1、NoTE_172、NoTE_232、NoTE_292、NoTE_322、NoTE_352、NoTE_382、をそれぞれ構築した。
なお、以下のプラスミド表記において、「NoTE_1」、「NoTE_172」、「NoTE_232」、「NoTE_292」、「NoTE_322」、「NoTE_352」、「NoTE_382」はそれぞれ、配列番号1の1〜287位、57〜287位、77〜287位、97〜287位、107〜287位、117〜287位、127〜287位のアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードする塩基配列として、それぞれ配列番号2の1〜864位、172〜864位、232〜864位、292〜864位、322〜864位、352〜864位、382〜864位の塩基配列をプラスミドが有することを意味する。
これらのプラスミド(xxvi)NoTE_1(V204W)、(xxvii)NoTE_172(V204W)、(xxviii)NoTE_232(V204W)、(xxix)NoTE_292(V204W)、(xxx)NoTE_322(V204W)、(xxxi)NoTE_352(V204W)、(xxxii)NoTE_382(V204W)はいずれも配列番号2の塩基配列に対して、下記の部位のコドンが改変されている。
実施例1と同様の方法で、前記プラスミドNoTE_1(V204W)、NoTE_172(V204W)、NoTE_232(V204W)、NoTE_292(V204W)、NoTE_322(V204W)、NoTE_352(V204W)、NoTE_382(V204W)をそれぞれ大腸菌へ導入して培養を行い、培養液に含まれる脂質成分の分析を行った。また、陰性対象として、前記プラスミドNoTE_1、NoTE_172、NoTE_232、NoTE_292、NoTE_322、NoTE_352、NoTE_382についてもそれぞれ同様の実験を行った。結果を表11に示す。
Claims (17)
- 宿主に下記タンパク質(A)〜(C)のいずれか1つをコードする遺伝子を導入して得られた形質転換体を培養して脂質を生産させる、脂質の製造方法。
(A)配列番号1の128位〜287位のアミノ酸配列において、203位のグリシン及び204位のバリンの少なくとも一方がトリプトファンに置換されたアミノ酸配列からなるタンパク質。
(B)配列番号1の128位〜287位のアミノ酸配列と90%以上の同一性を有するアミノ酸配列、
配列番号1の128位〜287位のアミノ酸配列に1〜8個のアミノ酸が欠失、置換、挿入若しくは付加されたアミノ酸配列、
配列番号3の115位〜274位のアミノ酸配列、
配列番号3の115位〜274位のアミノ酸配列に1〜8個のアミノ酸が欠失、置換、挿入若しくは付加されたアミノ酸配列、
配列番号49の126位〜285位のアミノ酸配列、又は
配列番号49の126位〜285位のアミノ酸配列に1〜8個のアミノ酸が欠失、置換、挿入若しくは付加されたアミノ酸配列
において、配列番号1の203位に相当する位置のアミノ酸及び204位に相当する位置のアミノ酸の少なくとも一方がトリプトファンに置換されたアミノ酸配列からなり、かつアシル−ACPチオエステラーゼ活性を有するタンパク質。
(C)前記タンパク質(A)又は(B)のアミノ酸配列を有し、かつアシル−ACPチオエステラーゼ活性を有するタンパク質。 - 前記タンパク質(A)〜(C)において、配列番号1の203位のグリシン又はこれに相当する位置のアミノ酸がトリプトファンに、配列番号1の204位のバリン又はこれに相当する位置のアミノ酸がトリプトファン又はフェニルアラニンに、それぞれ置換されている、請求項1記載の製造方法。
- 前記タンパク質(A)〜(C)において、配列番号1の203位のグリシン又はこれに相当する位置のアミノ酸及び204位のバリン又はこれに相当する位置のアミノ酸それぞれがトリプトファンに置換されている、請求項1又は2記載の製造方法。
- 前記タンパク質(A)〜(C)が、さらに下記(Ca)〜(Cg)からなる群より選ばれる少なくとも1つのアミノ酸置換を有する、請求項1〜3のいずれか1項記載の製造方法。
(Ca)配列番号1の143位のロイシン又はこれに相当する位置のアミノ酸がプロリンに置換。
(Cb)配列番号1の146位のヒスチジン又はこれに相当する位置のアミノ酸がアスパラギン又はセリンに置換。
(Cc)配列番号1の160位のグリシン又はこれに相当する位置のアミノ酸がアラニンに置換。
(Cd)配列番号1の202位のメチオニン又はこれに相当する位置のアミノ酸がフェニルアラニン、ヒスチジン、ロイシン、グルタミン、又はバリンに置換。
(Ce)配列番号1の212位のグリシン又はこれに相当する位置のアミノ酸がプロリンに置換。
(Cf)配列番号1の213位のアスパラギン又はこれに相当する位置のアミノ酸がチロシンに置換。
(Cg)配列番号1の281位のプロリン又はこれに相当する位置のアミノ酸がグルタミンに置換。 - 前記タンパク質(A)〜(C)のいずれか1つをコードする遺伝子が、下記DNA(A1)〜(C1)のいずれか1つからなる遺伝子である、請求項1〜4のいずれか1項記載の製造方法。
(A1)配列番号2の382位〜864位の塩基配列において、607位〜609位の塩基及び610位〜612位の塩基の少なくとも一方がトリプトファンをコードする塩基に置換された塩基配列からなるDNA。
(B1)配列番号2の382位〜864位の塩基配列に1〜20個の塩基が欠失、置換、挿入若しくは付加された塩基配列、
配列番号4の343位〜825位の塩基配列、
配列番号4の343位〜825位の塩基配列に1〜20個の塩基が欠失、置換、挿入若しくは付加された塩基配列、
配列番号50の376位〜858位の塩基配列、又は
配列番号50の376位〜858位の塩基配列に1〜20個の塩基が欠失、置換、挿入若しくは付加された塩基配列
において、配列番号2の607位〜609位に相当する位置の塩基及び610位〜612位に相当する位置の塩基の少なくとも一方がトリプトファンをコードする塩基に置換された塩基配列からなり、かつアシル−ACPチオエステラーゼ活性を有するタンパク質をコードするDNA。
(C1)前記DNA(a)又は(b)の塩基配列を有し、かつアシル−ACPチオエステラーゼ活性を有するタンパク質をコードするDNA。 - 前記宿主が微生物である、請求項1〜5のいずれか1項記載の製造方法。
- 前記微生物が微細藻類である、請求項6記載の製造方法。
- 前記微細藻類がナンノクロロプシス(Nannochloropsis)属に属する藻類である、請求項7記載の製造方法。
- 前記微生物が大腸菌である、請求項6記載の製造方法。
- 前記脂質が炭素数8、10、若しくは12の脂肪酸又はそのエステルを含む、請求項1〜9のいずれか1項記載の製造方法。
- 下記(A)〜(C)のいずれか1つで規定されるタンパク質。
(A)配列番号1の128位〜287位のアミノ酸配列において、203位のグリシン及び204位のバリンの少なくとも一方がトリプトファンに置換されたアミノ酸配列からなるタンパク質。
(B)配列番号1の128位〜287位のアミノ酸配列と90%以上の同一性を有するアミノ酸配列、
配列番号1の128位〜287位のアミノ酸配列に1〜8個のアミノ酸が欠失、置換、挿入若しくは付加されたアミノ酸配列、
配列番号3の115位〜274位のアミノ酸配列、
配列番号3の115位〜274位のアミノ酸配列に1〜8個のアミノ酸が欠失、置換、挿入若しくは付加されたアミノ酸配列、
配列番号49の126位〜285位のアミノ酸配列、又は
配列番号49の126位〜285位のアミノ酸配列に1〜8個のアミノ酸が欠失、置換、挿入若しくは付加されたアミノ酸配列
において、配列番号1の203位に相当する位置のアミノ酸及び204位に相当する位置のアミノ酸の少なくとも一方がトリプトファンに置換されたアミノ酸配列からなり、かつアシル−ACPチオエステラーゼ活性を有するタンパク質。
(C)前記タンパク質(A)又は(B)のアミノ酸配列を有し、かつアシル−ACPチオエステラーゼ活性を有するタンパク質。 - 請求項11記載のタンパク質をコードする遺伝子。
- 下記(A1)〜(C1)で規定するいずれか1つのDNAからなる遺伝子。
(A1)配列番号2の382位〜864位の塩基配列において、607位〜609位の塩基及び610位〜612位の塩基の少なくとも一方がトリプトファンをコードする塩基に置換された塩基配列からなるDNA。
(B1)配列番号2の382位〜864位の塩基配列に1〜20個の塩基が欠失、置換、挿入若しくは付加された塩基配列、
配列番号4の343位〜825位の塩基配列、
配列番号4の343位〜825位の塩基配列に1〜20個の塩基が欠失、置換、挿入若しくは付加された塩基配列、
配列番号50の376位〜858位の塩基配列、又は
配列番号50の376位〜858位の塩基配列に1〜20個の塩基が欠失、置換、挿入若しくは付加された塩基配列
において、配列番号2の607位〜609位に相当する位置の塩基及び610位〜612位に相当する位置の塩基の少なくとも一方がトリプトファンをコードする塩基に置換された塩基配列からなり、かつアシル−ACPチオエステラーゼ活性を有するタンパク質をコードするDNA。
(C1)前記DNA(a)又は(b)の塩基配列を有し、かつアシル−ACPチオエステラーゼ活性を有するタンパク質をコードするDNA。 - 請求項12又は13記載の遺伝子を含有する組換えベクター。
- 請求項12若しくは13記載の遺伝子、又は請求項14記載の組換えベクターを、宿主に導入してなる形質転換体。
- 宿主に請求項12若しくは13記載の遺伝子、又は請求項14記載の組換えベクターを導入し、得られた形質転換体が生産する脂質中の脂肪酸組成を改変する、脂質中の脂肪酸組成を改変する方法。
- 宿主に請求項12若しくは13記載の遺伝子、又は請求項14記載の組換えベクターを導入する、炭素数8、10、又は12の脂肪酸の生産性を向上させる方法。
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2014127378 | 2014-06-20 | ||
JP2014127378 | 2014-06-20 | ||
PCT/JP2015/067581 WO2015194628A1 (ja) | 2014-06-20 | 2015-06-18 | 脂質の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPWO2015194628A1 JPWO2015194628A1 (ja) | 2017-04-20 |
JP6592434B2 true JP6592434B2 (ja) | 2019-10-16 |
Family
ID=54935606
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2016529505A Active JP6592434B2 (ja) | 2014-06-20 | 2015-06-18 | 脂質の製造方法 |
Country Status (4)
Country | Link |
---|---|
US (1) | US10550412B2 (ja) |
JP (1) | JP6592434B2 (ja) |
AU (1) | AU2015277857B2 (ja) |
WO (1) | WO2015194628A1 (ja) |
Families Citing this family (8)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
AU2013367325B2 (en) | 2012-12-27 | 2019-12-19 | Kao Corporation | Acyl-ACP thioesterase |
BR112016000553A2 (ja) | 2013-07-12 | 2018-05-29 | Kao Corporation | Reed roux ACP チオエステラーゼ |
WO2015133305A1 (ja) | 2014-03-03 | 2015-09-11 | 花王株式会社 | β-ケトアシル-ACPシンターゼを用いた脂質の製造方法 |
US10280440B2 (en) | 2014-11-14 | 2019-05-07 | Kao Corporation | Method of producing lipid using acyl-ACP thioesterase |
JP6568718B2 (ja) | 2015-05-22 | 2019-08-28 | 花王株式会社 | 脂質の製造方法 |
JP6779652B2 (ja) | 2016-04-20 | 2020-11-04 | 花王株式会社 | 脂質の製造方法 |
JP6779664B2 (ja) * | 2016-05-26 | 2020-11-04 | 花王株式会社 | 脂質の製造方法 |
JP7022556B2 (ja) | 2017-10-06 | 2022-02-18 | 花王株式会社 | 脂質の製造方法 |
Family Cites Families (23)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US5512482A (en) | 1990-04-26 | 1996-04-30 | Calgene, Inc. | Plant thioesterases |
JPH07501924A (ja) | 1991-05-21 | 1995-03-02 | カルジーン,インコーポレイティド | 植物の中位鎖チオエステラーゼ |
US6150512A (en) | 1995-05-15 | 2000-11-21 | Yuan; Ling | Engineering plant thioesterases and disclosure of plant thioesterases having novel substrate specificity |
WO1996036719A1 (en) | 1995-05-15 | 1996-11-21 | Calgene, Inc. | Engineering plant thioesterases and disclosure of plant thioesterases having novel substrate specificity |
AU2009231810A1 (en) | 2008-03-31 | 2009-10-08 | Kuehnle Agrosystems, Inc. | Nuclear based expression of genes for production of biofuels and process co-products in algae |
JP5798729B2 (ja) | 2009-12-25 | 2015-10-21 | 花王株式会社 | チオエステラーゼ改変体を用いた脂肪酸含有脂質の製造方法 |
US20110217743A1 (en) | 2010-03-03 | 2011-09-08 | Kao Corporation | Method of Producing Lauric Acid-containing Oil or Fat |
JP5868962B2 (ja) | 2010-05-28 | 2016-02-24 | ソラザイム, インコーポレイテッドSolazyme Inc | 組み換え従属栄養性微生物から産生された用途に応じた油 |
EP3521408B1 (en) | 2010-11-03 | 2021-12-22 | Corbion Biotech, Inc. | Genetically-engineered chlorella or prototheca microbe and oil produced therefrom |
WO2012122343A2 (en) | 2011-03-08 | 2012-09-13 | Newlight Technologies, Llc | Polyhydroxyalkanoate production method |
EP2647696A1 (de) | 2012-04-02 | 2013-10-09 | Evonik Degussa GmbH | Verfahren zur aeroben Herstellung von Alanin oder einer unter Verbrauch von Alanin entstehenden Verbindung |
US20150111264A1 (en) | 2012-05-08 | 2015-04-23 | Kao Corporation | Method for Producing Lipid |
JP5925651B2 (ja) | 2012-09-20 | 2016-05-25 | 花王株式会社 | チオエステラーゼ改変体を用いた脂質の製造方法 |
AU2013367325B2 (en) | 2012-12-27 | 2019-12-19 | Kao Corporation | Acyl-ACP thioesterase |
BR112016000553A2 (ja) * | 2013-07-12 | 2018-05-29 | Kao Corporation | Reed roux ACP チオエステラーゼ |
WO2015133305A1 (ja) | 2014-03-03 | 2015-09-11 | 花王株式会社 | β-ケトアシル-ACPシンターゼを用いた脂質の製造方法 |
JP6319889B2 (ja) | 2014-03-19 | 2018-05-09 | 花王株式会社 | アシル−acpチオエステラーゼ改変体を用いた脂質の製造方法 |
MX2017000014A (es) | 2014-08-04 | 2017-05-01 | Kao Corp | Metodo para producir acido graso de cadena media con el uso de beta-cetoacil-proteina portadora de acilo (acp) sintasa. |
US10280440B2 (en) | 2014-11-14 | 2019-05-07 | Kao Corporation | Method of producing lipid using acyl-ACP thioesterase |
AU2015356285A1 (en) | 2014-12-05 | 2017-05-18 | Kao Corporation | Method of producing lipid using acyl-acp thioesterase |
JP6568718B2 (ja) | 2015-05-22 | 2019-08-28 | 花王株式会社 | 脂質の製造方法 |
JP6587468B2 (ja) | 2015-09-11 | 2019-10-09 | 花王株式会社 | 脂質の製造方法 |
JP6779652B2 (ja) | 2016-04-20 | 2020-11-04 | 花王株式会社 | 脂質の製造方法 |
-
2015
- 2015-06-18 US US15/317,345 patent/US10550412B2/en active Active
- 2015-06-18 AU AU2015277857A patent/AU2015277857B2/en not_active Ceased
- 2015-06-18 JP JP2016529505A patent/JP6592434B2/ja active Active
- 2015-06-18 WO PCT/JP2015/067581 patent/WO2015194628A1/ja active Application Filing
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
US10550412B2 (en) | 2020-02-04 |
AU2015277857B2 (en) | 2021-07-22 |
US20170114376A1 (en) | 2017-04-27 |
JPWO2015194628A1 (ja) | 2017-04-20 |
WO2015194628A1 (ja) | 2015-12-23 |
AU2015277857A1 (en) | 2017-01-12 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP6592434B2 (ja) | 脂質の製造方法 | |
JP6491881B2 (ja) | アシル−acpチオエステラーゼ | |
JP6310544B2 (ja) | β−ケトアシル−ACPシンターゼを用いた脂質の製造方法 | |
JP6779652B2 (ja) | 脂質の製造方法 | |
JP6629749B2 (ja) | アシル−acpチオエステラーゼを用いた脂質の製造方法 | |
JP6381139B2 (ja) | アシル−acpチオエステラーゼ | |
JP6319889B2 (ja) | アシル−acpチオエステラーゼ改変体を用いた脂質の製造方法 | |
JP6709169B2 (ja) | アシル−acpチオエステラーゼを用いた脂質の製造方法 | |
JP6779664B2 (ja) | 脂質の製造方法 | |
AU2016320187B2 (en) | Method of producing lipid | |
JP6332855B2 (ja) | アシル−acpチオエステラーゼを用いた脂質の製造方法 | |
WO2017022587A1 (ja) | 脂質の製造方法 | |
JP2016034258A (ja) | ジアシルグリセロールアシルトランスフェラーゼを用いた脂質の製造方法 | |
JP2016054703A (ja) | ラウリン酸の製造方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20180314 |
|
RD02 | Notification of acceptance of power of attorney |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422 Effective date: 20180314 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20190205 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20190403 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20190917 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20190920 |
|
R151 | Written notification of patent or utility model registration |
Ref document number: 6592434 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |