JP6332855B2 - アシル−acpチオエステラーゼを用いた脂質の製造方法 - Google Patents

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本発明は、アシル−ACPチオエステラーゼを用いた脂質の製造方法に関する。また、本発明は、当該方法に用いるアシル−ACPチオエステラーゼを導入した形質転換体、アシル−ACPチオエステラーゼ、及びこれをコードする遺伝子に関する。
脂肪酸は脂質の主要構成成分の1つであり、生体内においてグリセリンとエステル結合をしてトリアシルグリセロール等の脂質を構成し、多くの動植物においてエネルギー源として貯蔵され利用される物質である。動植物内に蓄えられた脂肪酸や脂質は、食用又は工業用として広く利用されている。
例えば、炭素数12〜18前後の高級脂肪酸を還元して得られる高級アルコールの誘導体は、界面活性剤として用いられている。アルキル硫酸エステル塩やアルキルベンゼンスルホン酸塩等は陰イオン性界面活性剤として、また、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルやアルキルポリグリコシド等は非イオン性界面活性剤として、いずれも洗浄剤又は殺菌剤に利用されている。同じく高級アルコールの誘導体としてアルキルアミン塩やモノ又はジアルキル4級アミン塩は、繊維処理剤や毛髪リンス剤又は殺菌剤として、ベンザルコニウム型4級アンモニウム塩は殺菌剤や防腐剤として日常的に利用されている。さらに、炭素数18前後の高級アルコールは植物の成長促進剤としても有用である。
このように脂肪酸や脂質の利用は多岐にわたり、そのため植物等において生体内での脂肪酸や脂質の生産性を向上させる試みがおこなわれている。さらに、脂肪酸の用途や有用性はその炭素数に依存するため、脂肪酸の炭素数、即ち鎖長を制御する試みも行われている。例えば、ゲッケイジュ(Umbellularia californica(California bay))由来のアシル−ACPチオエステラーゼの導入により炭素数12の脂肪酸を蓄積させる方法(特許文献1、非特許文献1)等が提案されている。
近年、バイオ燃料生産に有用であるとして、藻類が注目を集めている。藻類は、バイオディーゼル燃料として利用可能な脂質を光合成によって生産でき、しかも食料と競合しないことから、次世代のバイオマス資源として注目されている。また、藻類は、植物に比べ、高い脂質生産・蓄積能力を有するとの報告もある。
藻類の脂質合成メカニズムやそれを応用した生産技術について研究が始まってはいるが、未解明な部分も多い。例えば、上述のアシル−ACP型チオエステラーゼについても、現在のところ、藻類由来のものはほとんど報告されておらず、珪藻網等でわずかに報告例があるのみである(例えば、非特許文献2)。
特表平7−501924号公報
Voelker TA, Worrell AC, Anderson L, Bleibaum J, Fan C, Hawkins DJ, Radke SE, Davies HM., "Fatty acid biosynthesis redirected to medium chains in transgenic oilseed plants", Science. 1992 Jul 3;257(5066), p.72-74. Yangmin Gong, Xiaojing Guo, Xia Wan, Zhuo Liang, Mulan Jiang, "Characterization of a novel thioesterase (PtTE) from Phaeodactylum tricornutum", Journal of Basic Microbiology, 2011 December, Volume 51, p.666-672.
本発明は、藻類由来のアシル−ACPチオエステラーゼを用いた脂質の製造方法の提供に関する。また、本発明は、当該方法に用いる形質転換体、アシル−ACPチオエステラーゼ、及びこれをコードする遺伝子の提供に関する。
本発明者は、藻類由来の新たなアシル−ACPチオエステラーゼについて鋭意検討を行い、シオミドロ(Ectocarpus)属に属する藻類から、新規のアシル−ACPチオエステラーゼを見出した。さらに、当該アシル−ACPチオエステラーゼを導入した形質転換体で、脂質、特に炭素数8〜14の脂肪酸又はその脂肪酸エステルの生産性が有意に向上することを見出した。この本発明はこれらの知見に基づいて完成するに至ったものである。
すなわち本発明は、宿主に下記(A)又は(B)のタンパク質をコードする遺伝子を導入して形質転換体を得る工程と、得られた形質転換体から脂質を採取する工程とを含む、脂質の製造方法(以下、「本発明の製造方法」ともいう。)に関する。
(A) 配列番号1で表されるアミノ酸配列からなるタンパク質
(B) 配列番号1で表されるアミノ酸配列と80%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、かつアシル−ACPチオエステラーゼ活性を有するタンパク質
また、本発明は、前記(A)又は(B)のタンパク質をコードする遺伝子を、宿主に導入してなる形質転換体(以下、「本発明の形質転換体」ともいう。)に関する。
また、本発明は、下記(C)のタンパク質に関する。
(C) 配列番号1で表されるアミノ酸配列と80%以上の同一性を有するアミノ酸配列であって、配列番号1の169位に相当する位置のアミノ酸がトリプトファンであるアミノ酸配列からなり、かつアシル−ACPチオエステラーゼ活性を有するタンパク質
また、本発明は、前記(C)のタンパク質をコードする遺伝子に関する。
本発明によれば、アシル−ACPチオエステラーゼを用いた脂質の製造方法を提供することができる。また、本発明によれば、当該方法に用いる形質転換体、アシル−ACPチオエステラーゼ、及びこれをコードする遺伝子を提供することができる。本発明の形質転換体及び製造方法は、脂質生産性に優れ、脂質又は脂肪酸の工業的生産に好適に用いることができる。
本発明において、脂質には、単純脂質、複合脂質及び誘導脂質が含まれ、具体的には、脂肪酸、脂肪族アルコール類、炭化水素類(アルカン等)、中性脂質(トリアシルグリセロール等)、ろう、セラミド、リン脂質、糖脂質、スルホ脂質等が含まれる。
また本発明において、脂肪酸や脂肪酸を構成するアシル基の表記でCx:yとあるのは、炭素原子数xで二重結合の数がyであることを表し、Cx脂肪酸は炭素原子数xの脂肪酸を表す。
以下、本発明のアシル−ACPチオエステラーゼ及びその改変体、これを用いた形質転換体及び脂質の製造方法について順に説明する。
1.アシル−ACPチオエステラーゼ
本発明のアシル−ACPチオエステラーゼは、配列番号1で表されるアミノ酸配列を有するタンパク質、及び当該タンパク質と機能的に均等なタンパク質である。具体的に、本発明のアシル−ACPチオエステラーゼには、以下の(A)又は(B)のタンパク質が包含される。
(A) 配列番号1で表されるアミノ酸配列からなるタンパク質
(B) 配列番号1で表されるアミノ酸配列と80%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、かつアシル−ACPチオエステラーゼ活性を有するタンパク質
アシル−ACP(アシルキャリヤープロテイン)チオエステラーゼは、脂肪酸やその誘導体(トリアシルグリセロール(トリグリセリド)等)の生合成系に関与する酵素である。当該酵素は、植物体や藻類では葉緑体等の色素体内において、細菌・真菌や動物体では細胞質内において、脂肪酸生合成過程の中間体であるアシル−ACP(脂肪酸残基であるアシル基とアシルキャリヤープロテインとからなる複合体)のチオエステル結合を加水分解し、遊離の脂肪酸を生成する。アシル−ACPチオエステラーゼの作用によって、ACP上での脂肪酸合成が終了し、切り出された脂肪酸はトリアシルグリセロール等の合成に供される。アシル−ACPチオエステラーゼには、基質であるアシル−ACPを構成するアシル基(脂肪酸残基)の炭素原子数や不飽和結合数によって異なる反応特異性を示す複数のアシル−ACPチオエステラーゼが存在していることが知られており、生体内での脂肪酸組成を決める重要なファクターであると考えられている。
本発明において、「アシル−ACPチオエステラーゼ活性を有する」とは、アシル−ACPのチオエステル結合を加水分解する活性を有することをいう。
配列番号1のアミノ酸配列からなるタンパク質は、シオミドロ(Ectocarpus)属に属する藻類であるシオミドロ(Ectocarpus siliculosus)由来のアシル−ACPチオエステラーゼである。シオミドロのゲノム配列情報は2010年に公開されているが、配列番号1に示すアミノ酸配列の機能はこれまでわかっていなかった。本発明者は、配列番号1に示すアミノ酸配列からなるタンパク質が、アシル−ACPチオエステラーゼであることを同定した。さらに、本発明者が、配列番号1のアミノ酸配列と他の公知のアシル−ACPチオエステラーゼ配列を比較したところ、配列同一性(相同性)が非常に低かった。
(B)のタンパク質は、配列番号1のアミノ酸配列と80%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、かつ、アシル−ACPチオエステラーゼ活性を有する。
一般に、酵素タンパク質をコードしているアミノ酸配列は、必ずしも全領域の配列が保存されていなければ酵素活性を示さないというものではなく、アミノ酸配列が変化しても酵素活性に影響を与えない領域も存在することが知られている。このような酵素活性に必須でない領域においては、アミノ酸の欠失、置換、挿入又は付加といった変異が導入されても酵素本来の活性を維持することができる。本発明においても、このようにアシル−ACPチオエステラーゼ活性が保持され、かつアミノ酸配列が一部変異したタンパク質を用いることができる。
(B)のタンパク質において、アシル−ACPチオエステラーゼ活性の点から、配列番号1のアミノ酸配列との同一性は、85%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましく、95%以上であることがさらに好ましい。より好ましくは97%以上であり、98%以上がさらに好ましく、99%以上がよりさらに好ましい。
本発明においてアミノ酸配列及び塩基配列の同一性はLipman-Pearson法(Science,227,1435,(1985))によって計算される。具体的には、遺伝情報処理ソフトウェアGenetyx-Win(ソフトウェア開発)のホモロジー解析(homology search)プログラムを用いて、Unit size to compare(ktup)を2として解析を行うことにより算出される。
また、(B)のタンパク質のアミノ酸配列として、配列番号1のアミノ酸配列に変異を導入したアミノ酸配列、すなわち、配列番号1のアミノ酸配列において1又は数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入、又は付加されたアミノ酸配列も好ましい。変異アミノ酸配列の例としては、配列番号1のアミノ酸配列において特定のアミノ酸が置換された配列、配列番号1のアミノ酸配列のN末端又はC末端にシグナルペプチド等の他のアミノ酸配列が付加したアミノ酸配列、配列番号1のアミノ酸配列のN末端又はC末端の一部が欠失した配列、等が挙げられる。
(B)のタンパク質のアミノ酸配列において変異アミノ酸の数は、1〜20個であることが好ましく、1〜15個であることがより好ましく、1〜10個であることがよりさらに好ましい。より好ましくは1〜5個であり、1〜3個がさらに好ましく、1〜2個がよりさらに好ましい。
アミノ酸配列に欠失、置換、挿入、付加等の変異を導入する方法としては、例えば、アミノ酸配列をコードする塩基配列に変異を導入する方法が挙げられる。塩基配列に変異を導入する方法については、後述する。
なお、本明細書においては、配列番号1で表されるアミノ酸配列からなるタンパク質を野生型アシル−ACPチオエステラーゼ、配列番号1で表されるアミノ酸配列が一部変異したアミノ酸配列からなるタンパク質をアシル−ACPチオエステラーゼ改変体ともいう。
(B)のタンパク質としては、下記(C)のタンパク質が好ましい。
(C) 配列番号1で表されるアミノ酸配列と80%以上の同一性を有するアミノ酸配列であって、配列番号1の169位に相当する位置のアミノ酸がトリプトファンであるアミノ酸配列からなり、かつアシル−ACPチオエステラーゼ活性を有するタンパク質
配列番号1のアミノ酸配列では、169位のアミノ酸はメチオニンである。(C)のタンパク質は、配列番号1の169位に相当する位置のアミノ酸がトリプトファンに置換されている。後述の実施例に示すように、配列番号1の169位のアミノ酸をトリプトファンに置換したアミノ酸配列からなるアシル−ACPチオエステラーゼ改変体も、優れた脂質生産性を示す。
本明細書においては、アミノ酸置換を以下のように略記することがある。
M169W:アミノ酸配列の169位のメチオニン(Met;M)がトリプトファン(Trp;W)に置換
アミノ酸配列または塩基配列における「相当する位置」または「相当する領域」は、目的アミノ酸配列を参照配列と比較し、各アミノ酸配列中に存在する保存アミノ酸残基に最大の相同性を与えるように配列を整列(アラインメント)させることにより決定することができる。アラインメントは、公知のアルゴリズムを用いて実行することができ、その手順は当業者に公知である。例えば、アラインメントは、上述のリップマン−パーソン法等に基づいて手作業で行うこともできるが、Clustal Wマルチプルアラインメントプログラム(Thompson,J.D.et al,(1994)Nucleic Acids Res.22,p.4673−4680)をデフォルト設定で用いることにより行うことができる。Clustal Wは、例えば、欧州バイオインフォマティクス研究所(European Bioinformatics Institute:EBI,[www.ebi.ac.uk/index.html])や、国立遺伝学研究所が運営する日本DNAデータバンク(DDBJ,[www.ddbj.nig.ac.jp/Welcome−j.html])のウェブサイト上で利用することができる。
(C)のタンパク質のアミノ酸配列として好ましくは、下記(C1)のタンパク質である。
(C1)配列番号1で表されるアミノ酸配列において、169位のメチオニンがトリプトファンに置換されたアミノ酸配列からなり、かつアシル−ACPチオエステラーゼ活性を有するタンパク質。
(C1)のタンパク質では、C8アシル−ACP及びC10アシル−ACPに対する特異性が向上する。すなわち、配列番号1で表されるアミノ酸配列からなるタンパク質と比べて、基質としてC8アシル−ACP及びC10アシル−ACPを選択的に利用し、これを加水分解する活性が向上する。
本発明のタンパク質がアシル−ACPチオエステラーゼ活性を有することは、例えば、大腸菌等の宿主細胞内で機能するプロモーターの下流にアシル−ACPチオエステラーゼ遺伝子を連結した融合遺伝子を脂肪酸分解系が欠損した宿主細胞へ導入し、導入したアシル−ACPチオエステラーゼ遺伝子が発現する条件で培養して、宿主細胞又は培養液中の脂肪酸組成の変化をガスクロマトグラフィー解析等の方法を用いて分析することにより、確認することができる。
また、大腸菌等の宿主細胞内で機能するプロモーターの下流にアシル−ACPチオエステラーゼ遺伝子を連結した融合遺伝子を宿主細胞へ導入し、導入したアシル−ACPチオエステラーゼ遺伝子が発現する条件で細胞を培養した後、細胞の破砕液に対し、Yuanらの方法(Yuan L, Voelker TA, Hawkins DJ. “Modification of the substrate specificity of an acyl-acyl carrier protein thioesterase by protein engineering” Proc Natl Acad Sci U S A. 1995 Nov 7;92(23), p.10639-10643)によって調製した各種アシル−ACPを基質とした反応を行うことにより、アシル−ACPチオエステラーゼ活性を測定することができる。
本発明のタンパク質の取得方法については特に制限はなく、通常行われる化学的或いは遺伝子工学的手法等により得ることができる。例えば、シオミドロから単離、精製等することで天然物由来のタンパク質を取得することができる。また、化学合成によりタンパク質合成を行ってもよく、遺伝子組み換え技術により組換えタンパク質を作製してもよい。組換えタンパク質を作製する場合には、後述するアシル−ACPチオエステラーゼ遺伝子及びその変異体を用いることができる。
2.アシル−ACPチオエステラーゼ遺伝子
本発明のアシル−ACPチオエステラーゼ遺伝子は、前記(A)又は(B)のタンパク質をコードする遺伝子である。
配列番号1に示すアミノ酸配列をコードする遺伝子の例として、配列番号2や配列番号3に示す塩基配列が挙げられる。配列番号3に示す塩基配列は、シオミドロ由来の野生型アシル−ACPチオエステラーゼをコードする遺伝子の塩基配列の一例である。配列番号2に示す塩基配列は、配列番号1のアミノ酸配列情報に基づいて、大腸菌のコドン使用頻度に合わせてコドン最適化を施した塩基配列である。
前記(A)又は(B)のタンパク質をコードする遺伝子の具体例として、下記(a)又は(b)のDNAからなる遺伝子が例示できるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(a) 配列番号2又は配列番号3で表される塩基配列からなるDNA
(b) 配列番号2又は配列番号3で表される塩基配列と70%以上の同一性を有する塩基配列からなり、かつアシル−ACPチオエステラーゼ活性を有するタンパク質をコードするDNA
(b)において、アシル−ACPチオエステラーゼ活性の点から、配列番号2又は配列番号3の塩基配列との同一性は、80%以上であることが好ましく、85%以上であることがより好ましく、90%以上であることがさらに好ましく、95%以上であることがよりさらに好ましい。より好ましくは97%以上であり、98%以上がさらに好ましく、99%以上がよりさらに好ましい。
また、(b)の塩基配列として、配列番号2又は配列番号3の塩基配列に変異を導入した塩基配列、すなわち、配列番号2又は配列番号3の塩基配列において1又は数個の塩基が欠失、置換、挿入、又は付加された塩基配列も好ましい。変異塩基配列の例としては、配列番号2又は配列番号3の塩基配列において特定の塩基が置換された配列、配列番号2又は配列番号3の塩基配列の5’末端又は3’末端にシグナルペプチド等をコードする他の塩基配列が付加した塩基配列、配列番号2又は配列番号3の塩基配列の5’末端又は3’末端の一部が欠失した配列、等が挙げられる。
(b)のDNAの塩基配列において変異塩基の数は、1〜30個であることが好ましく、1〜25個であることがより好ましく、1〜20個であることがさらに好ましく、1〜15個であることがよりさらに好ましい。より好ましくは1〜10個であり、1〜5個がさらに好ましく、1〜3個がよりさらに好ましい。
塩基配列に欠失、置換、挿入、付加等の変異を導入する方法としては、例えば、部位特異的な変異導入法が挙げられる。具体的な部位特異的変異の導入方法としては、Splicing overlap extension(SOE)PCR反応(Horton et al.,Gene 77,61−68,1989)を利用した方法、ODA法(Hashimoto-Gotoh et al.,Gene,152,271-276,1995))、Kunkel法(Kunkel,T. A.,Proc. Natl. Acad. Sci. USA,1985,82,488)等が挙げられる。また、Site-Directed Mutagenesis System Mutan-SuperExpress Kmキット(タカラバイオ社)、Transformer TM Site-Directed Mutagenesisキット(Clonetech社)、KOD-Plus-Mutagenesis Kit(東洋紡社)等の市販のキットを利用することもできる。また、ランダムな遺伝子変異を与えた後、適当な方法により酵素活性の評価及び遺伝子解析を行うことにより目的遺伝子を取得することもできる。
(b)のDNAとしては、下記(c)のDNAが好ましい。
(c) 配列番号2又は配列番号3で表される塩基配列と70%以上の同一性を有する塩基配列であって、配列番号2又は配列番号3の505位〜507位に相当する位置のアミノ酸がトリプトファンをコードする塩基である塩基配列からなり、かつアシル−ACPチオエステラーゼ活性を有するタンパク質をコードするDNA
(c)の塩基配列は、前記(C)のアミノ酸配列が有するアミノ酸置換に相当する塩基置換を有する。配列番号2又は配列番号3の塩基配列では、505位〜507位の塩基はメチオニンをコードする。(c)のDNAでは、これに相当する位置の塩基がトリプトファンをコードする塩基に置換されている。
(c)のDNAの塩基配列として好ましくは、配列番号2又は配列番号3で表される塩基配列において、505位〜507位の塩基がトリプトファンをコードする塩基に置換された塩基配列、である。
本発明のアシル−ACPチオエステラーゼ遺伝子の取得方法としては、特に制限されず、通常の遺伝子工学的手法により得ることができる。例えば、配列番号1に示すアミノ酸配列、又は配列番号2や配列番号3に示す塩基配列に基づいて、人工合成により遺伝子を取得することができる。遺伝子の人工合成は、例えば、インビトロジェン社等のサービスを利用することができる。また、シオミドロからクローニングによって取得することもでき、例えば、Molecular Cloning−A LABORATORY MANUAL THIRD EDITION[Joseph Sambrook,David W. Russell,Cold Spring Harbor Laboratory Press(2001)]記載の方法等により行うことができる。
また、野生型アシル−ACPチオエステラーゼ遺伝子に変異を導入する方法の一例としては、まず、野生型アシル−ACPチオエステラーゼをコードする塩基配列(例えば配列番号2又は配列番号3)を、In-Fusion(登録商標) HD Cloning Kit(Clonthech, Mountain View, California)を用いてベクターに組み込む。次いで、得られたベクターDNAを鋳型にして、所望の変異を有するアミノ酸配列をコードする塩基配列を含むオリゴヌクレオチドをプライマーとして用い、PCR法によってDNA断片を増幅する。PCR反応で増幅したDNAを、メチル化DNAを特異的に切断するDpnI酵素で処理し、これを用いて大腸菌を形質転換し、抗生物質含有プレート培地で選択する。形質転換された大腸菌よりプラスミド抽出することで、目的のアミノ酸変異が導入されたアシル−ACPチオエステラーゼ改変体をコードする遺伝子を取得することができる。
3.形質転換体(組換え体)
本発明の形質転換体は、宿主に前記(A)又は(B)のタンパク質をコードする遺伝子を導入して得られる。当該形質転換体では、脂質の生産能、特にC8〜C16脂肪酸及びこれを構成成分とする脂質の生産能が有意に向上する。また、当該形質転換体では、宿主と比べ、脂質中の脂肪酸組成が変化する。なお、アシル−ACPチオエステラーゼの脂肪酸及び脂質の生産能については、実施例で用いた方法により測定することができる。
本発明の形質転換体は、アシル−ACPチオエステラーゼをコードする遺伝子を、通常の遺伝子工学的方法によって宿主に導入することで得られる。具体的には、アシル−ACPチオエステラーゼをコードする遺伝子を宿主細胞中で発現させることのできる発現ベクターや遺伝子発現カセットを調製し、これを宿主細胞に導入して宿主細胞を形質転換させることにより作製できる。
形質転換体の宿主としては特に限定されず、微生物、植物体、又は動物体を用いることができる。なお、本発明において微生物には藻類や微細藻類が含まれる。製造効率及び得られた脂質の利用性の点から、宿主は微生物又は植物体であることが好ましく、微生物であることがより好ましい。
前記微生物は原核生物、真核生物のいずれであってもよく、エシェリキア(Escherichia)属に属する微生物やバシラス(Bacillus)属に属する微生物等の原核生物、又は酵母や糸状菌等の真核微生物を用いることができる。なかでも、脂質生産性の観点から、エシェリキア属に属する微生物である大腸菌(Escherichia coli)、バシラス属に属する微生物である枯草菌(Bacillus subtilis)、酵母に属する微生物である赤色酵母(Rhodosporidium toruloides)、又は糸状菌に属する微生物であるモルチエレラ エスピー(Mortierella sp.)が好ましく、大腸菌がより好ましい。
また、前記微生物としては、微細藻類も好ましい。前記微細藻類としては、遺伝子組換え手法が確立している観点から、クラミドモナス(Chlamydomonas)属に属する藻類、クロレラ(Chlorella)属に属する藻類、ファエオダクティラム(Phaeodactylum)属に属する藻類、又はナンノクロロプシス(Nannochloropsis)属に属する藻類が好ましく、ナンノクロロプシス属に属する藻類がより好ましい。ナンノクロロプシス属に属する藻類として具体的には、Nannochloropsis oculataNannochloropsis gaditanaNannochloropsis salinaNannochloropsis oceanicaNannochloropsis atomusNannochloropsis maculataNannochloropsis granulata、又はNannochloropsis sp.、等が挙げられる。なかでも、脂質生産性の観点から、Nannochloropsis oculata、又はNannochloropsis gaditanaが好ましく、Nannochloropsis oculataがより好ましい。
前記植物体としては、種子に脂質を高含有する観点から、シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)、ナタネ、ココヤシ、パーム、クフェア、又はヤトロファが好ましく、シロイヌナズナがより好ましい。
発現ベクターの母体となるベクターとしては、アシル−ACPチオエステラーゼをコードする遺伝子を宿主に導入することができ、宿主細胞内で当該遺伝子を発現可能なベクターであればよい。例えば、導入する宿主の種類に応じたプロモーターやターミネーター等の発現調節領域を有するベクターであって、複製開始点や選択マーカー等を有するベクターを用いることができる。また、プラスミド等の染色体外で自立増殖・複製するベクターであってもよいし、染色体内に組み込まれるベクターであってもよい。
具体的なベクターとしては、微生物を宿主とする場合には、例えば、pBluescript(pBS) II SK(-)(Stratagene社製)、pSTV系ベクター(タカラバイオ社製)、pUC系ベクター(宝酒造社製)、pET系ベクター(タカラバイオ社製)、pGEX系ベクター(GEヘルスケア社製)、pCold系ベクター(タカラバイオ社製)、pHY300PLK(タカラバイオ社製)、pUB110(Mckenzie,T. et al.,(1986),Plasmid 15(2);p.93-103)、pBR322(タカラバイオ社製)、pRS403(ストラタジーン社製)、又はpMW218/219(ニッポンジーン社製)が挙げられる。特に、宿主が大腸菌の場合は、pBluescript II SK(-)、又はpMW218/219が好ましく用いられる。
藻類を宿主とする場合には、例えば、pUC19(タカラバイオ社製)、P66(Chlamydomonas Center)、P-322(Chlamydomonas Center)、pPha-T1(非特許文献2参照)、又はpJET1(コスモ・バイオ社製)が挙げられる。特に、宿主がナンノクロロプシス属に属する藻類の場合は、pUC19、pPha-T1、又はpJET1が好ましく用いられる。また、宿主がナンノクロロプシス属に属する藻類の場合には、Oliver Kilian, et al., Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America, Dec 27;108(52), 2011、の文献記載の方法を参考にして、本発明の遺伝子、プロモーター及びターミネーターからなるDNA断片(遺伝子発現カセット)を用いて宿主を形質転換することもできる。このDNA断片としては、例えば、PCR増幅DNA断片や制限酵素切断DNA断片が挙げられる。
植物細胞を宿主とする場合には、例えば、pRI系ベクター(タカラバイオ社製)、pBI系ベクター(クロンテック社製)、又はIN3系ベクター(インプランタイノベーションズ社製)が挙げられる。特に、宿主がシロイヌナズナの場合は、pRI系ベクター又はpBI系ベクターが好ましく用いられる。
発現ベクターや遺伝子発現カセットに用いるプロモーターやターミネーター等の発現調節領域や選択マーカーの種類も特に限定されず、通常使用されるプロモーターやマーカー等を導入する宿主の種類に応じて適宜選択して用いることができる。
具体的なプロモーターとしては、例えば、lacプロモーター、trpプロモーター、tacプロモーター、trcプロモーター、T7プロモーター、SpoVGプロモーター、カリフラワーモザイルウイルス35SRNAプロモーター、ハウスキーピング遺伝子プロモーター(例えば、チューブリンプロモーター、アクチンプロモーター、ユビキチンプロモーター等)、ナタネ由来Napin遺伝子プロモーター、植物由来Rubiscoプロモーター、又はナンノクロロプシス属由来のビオラキサンチン/クロロフィルa結合タンパク質遺伝子のプロモーターが挙げられる。
また、選択マーカーとしては、抗生物質耐性遺伝子(アンピシリン耐性遺伝子、クロラムフェニコール耐性遺伝子、エリスロマイシン耐性遺伝子、ネオマイシン耐性遺伝子、カナマイシン耐性遺伝子、スペクチノマイシン耐性遺伝子、テトラサイクリン耐性遺伝子、ブラストサイジンS耐性遺伝子、ビアラホス耐性遺伝子、ゼオシン耐性遺伝子、パロモマイシン耐性遺伝子、又はハイグロマイシン耐性遺伝子)等の薬剤耐性遺伝子が挙げられる。さらに、栄養要求性に関連する遺伝子の欠損等を選択マーカー遺伝子として使用することも可能である。
上記ベクターにアシル−ACPチオエステラーゼをコードする遺伝子を、制限酵素処理やライゲーション等の通常の手法によって組み込むことにより形質転換に用いる発現ベクターを構築することができる。
形質転換方法としては、宿主に目的遺伝子を導入しうる方法であれば特に限定されるものではない。例えば、カルシウムイオンを用いる方法、一般的なコンピテントセル形質転換方法(J.Bacterial.93,1925(1967))、プロトプラスト形質転換法(Mol.Gen.Genet.168,111(1979))、エレクトロポレーション法(FEMS Microbiol.Lett.55,135(1990))又はLP形質転換方法(T.Akamatsu及びJ.Sekiguchi,Archives of Microbiology,1987,146,p.353-357;T.Akamatsu及びH.Taguchi,Bioscience,Biotechnology,and Biochemistry,2001,65,4,p.823-829)等を用いることができる。宿主がナンノクロロプシス属に属する藻類の場合、Randor Radakovits, et al., Nature Communications, DOI:10.1038/ncomms1688, 2012、に記載のエレクトロポレーション法を用いて形質転換を行うこともできる。
目的遺伝子断片が導入された形質転換体の選択は、選択マーカー等を利用することで行うことができる。例えば、ベクター由来の薬剤耐性遺伝子が、形質転換時に目的DNA断片とともに宿主細胞中に導入された結果、形質転換体が獲得する薬剤耐性を指標に行うことができる。また、ゲノムを鋳型としたPCR法等によって、目的DNA断片の導入を確認することもできる。
4.脂質の製造方法
次いで、上記で得られた形質転換体を用いて脂質を生産する。
本発明の製造方法は、アシル−ACPチオエステラーゼをコードする遺伝子を導入した形質転換体から脂質を採取する工程を含む。当該工程は、脂質の生産性向上の観点から、アシル−ACPチオエステラーゼをコードする遺伝子を導入した形質転換体を適切な条件にて培養して培養物を得る工程、及び得られた培養物から脂質を採取する工程を含むことが好ましい。なお、本発明において形質転換体を培養するとは、微生物、藻類、植物体、動物体、及びそれらの細胞や組織を培養、生育することをいい、植物体を土壌等で栽培することも含まれる。また、培養物には、培養液はもちろん、培養等した後の形質転換体そのものも含まれる。
培養条件は、形質転換体の宿主に応じて適宜選択することができ、その宿主に対して通常用いられる培養条件を使用できる。
また、脂質の生産効率の点から、培地中に、例えばアシル−ACPチオエステラーゼの基質或いは脂肪酸生合成系に関与する前駆物質としてグリセロール、酢酸、又はマロン酸等を添加してもよい。
一例として、大腸菌を宿主として用いた形質転換体の場合、LB培地又はOvernight Express Instant TB Medium(Novagen社)で、30〜37℃、0.5〜1日間培養を行うことが挙げられる。また、シロイヌナズナを宿主として用いた形質転換体の場合、土壌で温度条件20〜25℃、白色光を連続照射又は明期16時間・暗期8時間等の光条件下で1〜2か月間栽培を行うことが挙げられる。
形質転換の宿主が藻類の場合、以下の培地及び培養条件を用いることができる。
培地は天然海水又は人工海水をベースにしたものを使用してもよいし、市販の培養培地を使用してもよい。具体的な培地としては、f/2培地、ESM培地、ダイゴIMK培地、L1培地、MNK培地、等を挙げることができる。なかでも、脂質の生産性向上及び栄養成分濃度の観点から、f/2培地、ESM培地、又はダイゴIMK培地が好ましく、f/2培地、又はダイゴIMK培地がより好ましく、f/2培地がさらに好ましい。藻類の生育促進、中鎖脂肪酸の生産性向上のため、培地に、窒素源、リン源、金属塩、ビタミン類、微量金属等を適宜添加することができる。
培地に接種する藻類の量は特に限定されないが、生育性の点から、培地当り1〜50%(vol/vol)が好ましく、1〜10%(vol/vol)がより好ましい。培養温度は、藻類の増殖に悪影響を与えない範囲であれば特に制限されないが、通常、5〜40℃の範囲である。藻類の生育促進、中鎖脂肪酸の生産性向上、及び生産コストの低減の観点から、好ましくは10〜35℃であり、より好ましくは15〜30℃である。
また、藻類の培養は、光合成ができるよう光照射下で行うことが好ましい。光照射は、光合成が可能な条件であればよく、人工光でも太陽光でもよい。光照射時の照度としては、藻類の生育促進、中鎖脂肪酸の生産性向上の観点から、好ましくは100〜50000ルクスの範囲、より好ましくは300〜10000ルクスの範囲、さらに好ましくは1000〜6000ルクスの範囲である。また、光照射の間隔は、特に制限されないが、前記と同様の観点から、明暗周期で行うことが好ましく、24時間のうち明期が好ましくは8〜24時間、より好ましくは10〜18時間、さらに好ましくは12時間である。
また、藻類の培養は、光合成ができるように二酸化炭素を含む気体の存在下、又は炭酸水素ナトリウムなどの炭酸塩を含む培地で行うことが好ましい。気体中の二酸化炭素の濃度は特に限定されないが、生育促進、中鎖脂肪酸の生産性向上の観点から0.03(大気条件と同程度)〜10%が好ましく、より好ましくは0.05〜5%、さらに好ましくは0.1〜3%、よりさらに好ましくは0.3〜1%である。炭酸塩の濃度は特に限定されないが、例えば炭酸水素ナトリウムを用いる場合、生育促進、中鎖脂肪酸の生産性向上の観点から0.01〜5質量%が好ましく、より好ましくは0.05〜2質量%、さらに好ましくは0.1〜1質量%である。
培養時間は特に限定されず、脂質を高濃度に蓄積する藻体が高い濃度で増殖できるように、長期間(例えば150日程度)行なってもよい。藻類の生育促進、中鎖脂肪酸の生産性向上、及び生産コストの低減の観点から、培養期間は、好ましくは3〜90日間、より好ましくは3〜30日間、さらに好ましくは7〜30日間である。なお、培養は、通気攪拌培養、振とう培養又は静置培養のいずれでもよく、通気性の向上の観点から、振とう培養が好ましい。
形質転換体において産生された脂質を採取する方法としては、通常生体内の脂質成分等を単離する際に用いられる方法、例えば、培養物や形質転換体から、ろ過、遠心分離、細胞の破砕、ゲルろ過クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、クロロホルム/メタノール抽出法、ヘキサン抽出法、又はエタノール抽出法等により脂質成分を単離、回収する方法が挙げられる。より大規模な場合は、培養物や形質転換体より油分を圧搾又は抽出により回収後、脱ガム、脱酸、脱色、脱蝋、脱臭等の一般的な精製を行い、脂質を得ることができる。このように脂質成分を単離した後、単離した脂質を加水分解することで脂肪酸を得ることができる。脂質成分から脂肪酸を単離する方法としては、例えば、アルカリ溶液中で70℃程度の高温で処理をする方法、リパーゼ処理をする方法、又は高圧熱水を用いて分解する方法等が挙げられる。
本発明の製造方法は、脂質の製造に好適に用いることができる。とりわけ、本発明の製造方法は、C8〜C16脂肪酸(好ましくはC8〜C14脂肪酸、及びC16:1脂肪酸)及びその誘導体の製造に好適に用いることができる。
本発明の製造方法において製造される脂質は、その利用性の点から、脂肪酸及びこれを構成成分とする脂質であることが好ましく、脂肪酸又はそのエステルを含んでいることがさらに好ましい。脂質中に含まれる脂肪酸又はそのエステルは、界面活性剤等への利用性からC8〜C16の脂肪酸又はそのエステルが好ましく、C8〜C14の脂肪酸又はそのエステルがより好ましい。
本発明の製造方法、形質転換体により得られる脂肪酸や脂質は、食用として用いる他、化粧品等の乳化剤、石鹸や洗剤等の洗浄剤、繊維処理剤、毛髪リンス剤、又は殺菌剤や防腐剤として利用することができる。
上述した実施形態に関し、本発明はさらに以下の方法、形質転換体、タンパク質、遺伝子を開示する。
<1> 宿主に下記(A)又は(B)のタンパク質をコードする遺伝子を導入して形質転換体を得る工程と、得られた形質転換体から脂質を採取する工程とを含む、脂質の製造方法。
(A) 配列番号1で表されるアミノ酸配列からなるタンパク質
(B) 配列番号1で表されるアミノ酸配列と80%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、かつアシル−ACPチオエステラーゼ活性を有するタンパク質
<2> 前記(B)のタンパク質が、下記(C)のタンパク質である、<1>項記載の製造方法。
(C) 配列番号1で表されるアミノ酸配列と80%以上の同一性を有するアミノ酸配列であって、配列番号1の169位に相当する位置のアミノ酸がトリプトファンであるアミノ酸配列からなり、かつアシル−ACPチオエステラーゼ活性を有するタンパク質
<3> 前記(B)又は(C)において、配列番号1で表されるアミノ酸配列との同一性が85%以上、好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上、97%以上、98%以上、又は99%以上である、<1>又は<2>項記載の製造方法。
<4> 前記(A)又は(B)のタンパク質をコードする遺伝子が、下記(a)又は(b)のDNAからなる遺伝子である、<1>〜<3>のいずれか1項記載の製造方法。
(a) 配列番号2又は配列番号3で表される塩基配列からなるDNA
(b) 配列番号2又は配列番号3で表される塩基配列と70%以上の同一性を有する塩基配列からなり、かつアシル−ACPチオエステラーゼ活性を有するタンパク質をコードするDNA
<5> 前記(b)のDNAが、下記(c)のDNAである、<4>項記載の製造方法。
(c) 配列番号2又は配列番号3で表される塩基配列と70%以上の同一性を有する塩基配列であって、配列番号2又は配列番号3の505位〜507位に相当する位置のアミノ酸がトリプトファンをコードする塩基である塩基配列からなり、かつアシル−ACPチオエステラーゼ活性を有するタンパク質をコードするDNA
<6> 前記(b)又は(c)において、配列番号2又は配列番号3で表される塩基配列との同一性が80%以上、好ましくは85%以上、より好ましくは90%以上、95%以上、97%以上、98%以上、又は99%以上である、<4>又は<5>項記載の製造方法。
<7> 前記宿主が微生物である、<1>〜<6>のいずれか1項記載の製造方法。
<8> 前記微生物が微細藻類である、<7>項記載の製造方法。
<9> 前記微細藻類がナンノクロロプシス(Nannochloropsis)属に属する藻類である、<8>項記載の製造方法。
<10> 前記微生物が大腸菌である、<7>項記載の製造方法。
<11> 前記脂質が炭素数8〜14の脂肪酸又はそのエステルを含む、<1>〜<10>のいずれか1項記載の製造方法。
<12> 前記(A)又は(B)のタンパク質をコードする遺伝子を、宿主に導入してなる形質転換体。
<13> 前記宿主が微生物である、<12>項記載の形質転換体。
<14> 前記微生物が微細藻類である、<13>項記載の形質転換体。
<15> 前記微細藻類がナンノクロロプシス(Nannochloropsis)属に属する藻類である、<14>項記載の形質転換体。
<16> 前記微生物が大腸菌である、<13>項記載の形質転換体。
<17> 前記(C)のタンパク質。
<18> <17>項記載のタンパク質をコードする遺伝子。
<19> 前記(c)のDNAからなる遺伝子。
<20> <18>又は<19>項記載の遺伝子を含有する組換えベクター。
<21> 脂質を製造するための、<12>〜<16>のいずれか1項記載の形質転換体の使用。
<22> 前記脂質が炭素数8〜14の脂肪酸又はそのエステルを含む、<21>項記載の形質転換体の使用。
<23> 宿主に前記(A)又は(B)のタンパク質をコードする遺伝子を導入する工程を含む、脂質中の脂肪酸組成を改変する方法。
<24> 宿主に前記(A)又は(B)のタンパク質をコードする遺伝子を導入する工程を含む、脂質の生産性を向上させる方法。
<25> 前記脂質が炭素数8〜14の脂肪酸又はそのエステルを含む、<24>項記載の方法。
以下、本発明を実施例に基づきさらに詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
実施例1 CBJ26101遺伝子を導入した大腸菌による脂質の製造
1.CBJ26101遺伝子の取得
National Center for Biotechnology Information(NCBI)のタンパクデータベースから、Accession No. CBJ26101として登録されているEctocarpus siliculosus由来の機能未知タンパク質のアミノ酸配列(配列番号1)を取得した。以下、このアミノ酸配列をコードする遺伝子をCBJ26101遺伝子ともいう。オペロンバイオテクノロジー株式会社の提供する人工遺伝子受託合成サービスを利用して、配列番号2に示すCBJ26101遺伝子配列を合成した。なお、配列番号2の遺伝子は、大腸菌のコドン使用頻度に合わせてコドン最適化を施した塩基配列である。
2.CBJ26101遺伝子発現プラスミドの構築
CBJ26101遺伝子を鋳型として、表1に示す配列番号4及び配列番号5のプライマー対を用いたPCR反応により、配列番号2に示す塩基配列からなるCBJ26101遺伝子断片を増幅した。また、プラスミドベクターpBluescriptII SK(-)(Stratagene社製)を鋳型として、表1に示す配列番号6及び配列番号7のプライマー対を用いたPCR反応によりpBluescriptII SK(-)を増幅し、制限酵素DpnI(東洋紡株式会社製)処理により鋳型の消化を行った。これら2つの断片を、High Pure PCR Product Purification Kit(Roche Applied Science社製)を用いて精製した後に、In-Fusion HD Cloning Kit(Clontech社製)を用いて融合し、CBJ26101遺伝子発現プラスミドを構築した。なお、本発現プラスミドは、配列番号1のアミノ酸配列の1位のアミノ酸の上流に、プラスミド由来のLacZタンパク質のN末端側1位〜29位のアミノ酸配列と融合させた形で構築した。
Figure 0006332855
3.発現プラスミドの大腸菌への導入
前記2.で構築したCBJ26101遺伝子発現プラスミドを用いて、大腸菌突然変異株であるK27株(fadD88)(Overath et al, Eur.J.Biochem.7,559-574,1969)をコンピテントセル形質転換法により形質転換した。形質転換処理をしたK27株を30℃で一晩静置し、得られたコロニーをLBAmp液体培地(Bacto Trypton 1%,Yeast Extract 0.5%,NaCl 1%,アンピシリンナトリウム50μg/mL)1mLに接種し、30℃で一晩培養した。この培養液2μLを、2mLのOvernight Express Instant TB Medium(Novagen社)に接種し、30℃で振とう培養した。培養24時間後、培養液に含まれる脂質成分を、下記4.の方法にて解析した。なお、陰性対照として、プラスミドベクターpBluescriptII SK(-)で形質転換した大腸菌K27株についても同様に実験を行った。
4.大腸菌培養液中の脂質の抽出及び構成脂肪酸の分析
培養液1mLに、内部標準として1mg/mLの7−ペンタデカノンを50μL添加後、0.5mLのクロロホルム、1mLのメタノール及び10μLの2N塩酸を培養液に添加して激しく攪拌後30分間放置した。その後さらに、0.5mLのクロロホルム及び0.5mLの1.5%KClを添加して攪拌後、3,000rpmにて15分間間遠心分離を行い、パスツールピペットにてクロロホルム層(下層)を回収した。得られたクロロホルム層に窒素ガスを吹き付けて乾固し、0.5N水酸化カリウム/メタノール溶液0.7mLを添加し、80℃で30分間恒温した。続いて1mLの14%三フッ化ホウ素溶液(SIGMA社製)を添加し、80℃にて10分間恒温した。その後、ヘキサン、飽和食塩水を各1mL添加し激しく撹拌し、室温にて30分間放置後、上層であるヘキサン層を回収して脂肪酸エステルを得た。
得られた脂肪酸エステルをガスクロマトグラフィー解析に供した。測定条件を以下に示す。
キャピラリーカラム:DB−1 MS 30m×200μm×0.25μm(J&W Scientific)、
移動相:高純度ヘリウム、
カラム内流量:1.0mL/分、
昇温プログラム:100℃(1分間)→10℃/分→300℃(5分間)、
平衡化時間:1分間、
注入口:スプリット注入(スプリット比:100:1),
圧力14.49psi,104mL/分,
注入量1μL、
洗浄バイアル:メタノール・クロロホルム、
検出器温度:300℃
また、脂肪酸エステルの同定は、同サンプルを同条件でガスクロマトグラフ質量分析解析に供することにより行った。
ガスクロマトグラフィー解析により得られた波形データのピーク面積より、各脂肪酸のメチルエステル量を定量した。各ピーク面積を、内部標準である7−ペンタデカノンのピーク面積と比較することで試料間の補正を行い、培養液1リットルあたりの各脂肪酸量を算出した。さらに、各脂肪酸量の総和を総脂肪酸量とし、総脂肪酸量に占める各脂肪酸量の割合を算出した。結果を表2に示す。表2には各プラスミド導入株について、独立した3回の実験の平均値および標準偏差を示している。
なお、以下の表において、「TFA」は総脂肪酸量を、「脂肪酸組成(%TFA)」は総脂肪酸の重量に対する各脂肪酸の重量を示す。また、Cx:yとあるのは、炭素原子数xで二重結合数がyの脂肪酸を表し、C17:0ΔおよびC19:0Δはそれぞれcis-9,10-Methylen-hexadecanoic acidおよびcis-11,12-Methylen-octadecanoic acidを表す。
Figure 0006332855
表2から明らかなように、CBJ26101遺伝子を導入した形質転換体では、プラスミドベクターpBluescriptII SK(-)を導入した形質転換体(表2のpBS)と比べ、総脂肪酸量が増加していた。また、CBJ26101遺伝子を導入した形質転換体では、pBluescriptII SK(-)を導入した形質転換体と比べ、脂肪酸組成が変化していた。特に、C8:0、C10:0、C12:1、C12:0、C14:1、C14:0、C16:1脂肪酸の割合が増加した。これらの結果から、CBJ26101遺伝子によりコードされるタンパク質は、アシル−ACPから特定の脂肪酸を切り出すアシル−ACPチオエステラーゼであると考えられる。
また、シオミドロ(Ectocarpus siliculosus)自身の脂肪酸組成について、C8〜C12脂肪酸は検出されず、C14:0及びC16:1脂肪酸も微量であると報告されている(Simon M. et al., The Plant Journal, Volume 71, Issue 3, pages 366‐377, August 2012)。これに対し、CBJ26101遺伝子を導入した形質転換体は、C8〜C12脂肪酸、C14:0及びC16:1脂肪酸を豊富に含むものであった。
実施例2 CBJ26101遺伝子改変体を導入した大腸菌による脂質の製造
1.CBJ26101遺伝子改変体の作製
実施例1の2.で作製したCBJ26101遺伝子発現プラスミドを鋳型とし、表1に示す配列番号8及び配列番号9のプライマー対を用いたPCR反応を行い、配列番号2の塩基配列において505位〜507位の塩基が変異した遺伝子断片を増幅した。得られた遺伝子断片を用いて、実施例1の2.と同様の手法により、発現プラスミドCBJ26101(M169W)を構築した。なお、プラスミドCBJ26101(M169W)が有するCBJ26101遺伝子改変体は、配列番号2に示す塩基配列において505位〜507位の塩基がトリプトファンをコードする塩基TGGに置換された塩基配列からなる。
2.発現プラスミドの大腸菌への導入、大腸菌培養液中の脂質の抽出、及び構成脂肪酸の分析
実施例1の3.と同様の方法で、発現プラスミドCBJ26101(M169W)を大腸菌へ導入し、実施例1の4.と同様の方法で脂質の解析を行った。結果を表3に示す。
Figure 0006332855
表3から明らかなように、配列番号1の169位のアミノ酸がトリプトファンに置換されたCBJ26101(M169W)導入株でも、総脂肪酸量がCBJ26101遺伝子導入株と同程度に増加した。また、CBJ26101遺伝子導入株と同様に、C8:0、C10:0、C12:1、C12:0、C14:1、C14:0、C16:1脂肪酸の割合が増加した。特に、C8:0、C10:0、C12:1脂肪酸の含有率は、CBJ26101遺伝子導入株よりもさらに向上した。

Claims (8)

  1. 宿主に下記(A)又は(B)のタンパク質をコードする遺伝子を導入して形質転換体を得る工程と、得られた形質転換体から脂質を採取する工程とを含む、脂質の製造方法。
    (A) 配列番号1で表されるアミノ酸配列からなるタンパク質
    (B) 配列番号1で表されるアミノ酸配列と90%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、かつアシル−ACPチオエステラーゼ活性を有するタンパク質
  2. 前記(B)のタンパク質が、下記(C)のタンパク質である、請求項1記載の製造方法。
    (C) 配列番号1で表されるアミノ酸配列と90%以上の同一性を有するアミノ酸配列であって、配列番号1の169位に相当する位置のアミノ酸がトリプトファンであるアミノ酸配列からなり、かつアシル−ACPチオエステラーゼ活性を有するタンパク質
  3. 前記宿主が微生物である、請求項1又は2記載の製造方法。
  4. 前記微生物が微細藻類である、請求項3記載の製造方法。
  5. 前記微細藻類がナンノクロロプシス(Nannochloropsis)属に属する藻類である、請求項4記載の製造方法。
  6. 前記微生物が大腸菌である、請求項3記載の製造方法。
  7. 下記(C)のタンパク質。
    (C) 配列番号1で表されるアミノ酸配列と90%以上の同一性を有するアミノ酸配列であって、配列番号1の169位に相当する位置のアミノ酸がトリプトファンであるアミノ酸配列からなり、かつアシル−ACPチオエステラーゼ活性を有するタンパク質
  8. 請求項記載のタンパク質をコードする遺伝子。
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