JP6491881B2 - アシル−acpチオエステラーゼ - Google Patents
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Description
例えば、炭素数12〜18前後の高級脂肪酸を還元して得られる高級アルコールの誘導体は、界面活性剤として用いられている。アルキル硫酸エステル塩やアルキルベンゼンスルホン酸塩等は陰イオン性界面活性剤として、また、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルやアルキルポリグリコシド等は非イオン性界面活性剤として、いずれも洗浄剤又は殺菌剤として利用されている。同じく高級アルコールの誘導体としてアルキルアミン塩やモノ又はジアルキル4級アミン塩等のカチオン性界面活性剤は、繊維処理剤や毛髪リンス剤又は殺菌剤として、ベンザルコニウム型4級アンモニウム塩は殺菌剤や防腐剤として日常的に利用されている。また、植物油脂はバイオディーゼル燃料の原料としても利用されている。
藻類の脂質合成メカニズムやそれを応用した生産技術について研究が始まってはいるが、未解明な部分も多い。例えば、上述のアシル−ACP型チオエステラーゼについても、現在のところ、藻類由来のものはほとんど報告されておらず、珪藻網等でわずかに報告例があるのみである(例えば、非特許文献2)。
(a)配列番号1の115位〜274位までのアミノ酸配列からなるタンパク質
(b)(a)のタンパク質のアミノ酸配列と50%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、かつアシル−ACPチオエステラーゼ活性を有するタンパク質
(c)(a)又は(b)のタンパク質のアミノ酸配列を有し、かつアシル−ACPチオエステラーゼ活性を有するタンパク質
(d)配列番号2の343位〜825位までの塩基配列からなるDNA
(e)(d)のDNAの塩基配列と50%以上の同一性を有する塩基配列からなり、かつアシル−ACPチオエステラーゼ活性を有するタンパク質をコードするDNA
(f)(d)又は(e)のDNAの塩基配列を有し、かつアシル−ACPチオエステラーゼ活性を有するタンパク質をコードするDNA
また、本発明は、前記本発明の形質転換体を培地で培養する工程、及び得られた培養物から脂質を採取する工程、を含む脂質の製造方法(以下、「本発明の製造方法」ともいう)に関する。
また、本発明は、宿主に前記本発明の遺伝子を導入する工程を含む、脂質中の脂肪酸組成を改変する方法に関する。
さらに、本発明は、宿主に前記本発明の遺伝子を導入する工程を含む、脂質の生産性を向上させる方法に関する。
本発明において、脂質には、中性脂肪、ろう、セラミド等の単純脂質、リン脂質、糖脂質、スルホ脂質等の複合脂質、脂肪酸、アルコール類、炭化水素類等の誘導脂質が含まれる。
本発明のタンパク質は、配列番号1のアミノ酸配列中の少なくとも115位〜274位までのアミノ酸配列を有するタンパク質、及び当該タンパク質と機能的に均等なタンパク質である。具体的に、本発明のタンパク質には、以下の(a)〜(c)のタンパク質が包含される。
(a)配列番号1の115位〜274位までのアミノ酸配列からなるタンパク質
(b)(a)のタンパク質のアミノ酸配列と50%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、かつアシル−ACPチオエステラーゼ活性を有するタンパク質
(c)(a)又は(b)のタンパク質のアミノ酸配列を有し、かつアシル−ACPチオエステラーゼ活性を有するタンパク質
アシル−ACP(アシルキャリヤープロテイン)チオエステラーゼは、脂肪酸やその誘導体(トリアシルグリセロール(トリグリセリド)等)の生合成系に関与する酵素である。当該酵素は、植物体や藻類では葉緑体等の色素体内において、細菌・真菌や動物体では細胞質内において、脂肪酸生合成過程の中間体であるアシル−ACP(脂肪酸残基であるアシル基とアシルキャリヤープロテインとからなる複合体)のチオエステル結合を加水分解し、遊離の脂肪酸を生成する。チオエステラーゼの作用によって、ACP上での脂肪酸合成が終了し、切り出された脂肪酸はトリアシルグリセロール等の合成に供される。アシル−ACPチオエステラーゼには、基質であるアシル−ACPを構成するアシル基(脂肪酸残基)の炭素原子数や不飽和結合数によって異なる反応特異性を示す複数のアシル−ACPチオエステラーゼが存在していることが知られており、生体内での脂肪酸組成を決める重要なファクターであると考えられている。
本発明において、「アシル−ACPチオエステラーゼ活性を有する」とは、アシル−ACPのチオエステル結合を加水分解する活性を有することをいう。
本発明者らは、配列番号2の塩基配列からなる遺伝子がアシル−ACPチオエステラーゼ遺伝子であることを同定し、さらに、当該遺伝子がコードするアミノ酸配列において、アシル−ACPチオエステラーゼ活性に重要な領域を見出した。
後述の実施例で実証されているように、配列番号1の115位〜274位までのアミノ酸配列を少なくとも含んでなる組換えタンパク質は、アシル−ACPチオエステラーゼとして機能する。すなわち、配列番号1のアミノ酸配列において、115位〜274位までの領域がアシル−ACPチオエステラーゼ活性にとって十分な領域であると考えられる。
本発明においてアミノ酸配列及び塩基配列の同一性はLipman-Pearson法(Science,227,1435,(1985))によって計算される。具体的には、遺伝情報処理ソフトウェアGenetyx-Win(ソフトウェア開発)のホモロジー解析(homology search)プログラムを用いて、Unit size to compare(ktup)を2として解析を行うことにより算出される。
(a1)配列番号14の128位〜287位までのアミノ酸配列からなるタンパク質
(a2)配列番号16の126位〜285位までのアミノ酸配列からなるタンパク質
配列番号14のアミノ酸配列からなるタンパク質は、ナンノクロロプシス オキュラータ(Nannochloropsis oculata)の新規アシル−ACPチオエステラーゼである。配列番号14の128位〜287位までのアミノ酸配列は、配列番号1の115位〜274位までのアミノ酸配列と約91%の同一性を有する。
また、配列番号16のアミノ酸配列からなるタンパク質は、ナンノクロロプシス グラニュラータ(Nannochloropsis granulata)由来の新規アシル−ACPチオエステラーゼである。配列番号16の126位〜285位までのアミノ酸配列は、配列番号1の115位〜274位までのアミノ酸配列と約90%の同一性を有する。
後述の実施例で実証されているように、配列番号14の128位〜287位までのアミノ酸配列、又は配列番号16の126位〜285位までのアミノ酸配列を少なくとも含んでなる組換えタンパク質は、アシル−ACPチオエステラーゼとして機能する。
前記(b)のタンパク質として、前記(a1)又は(a2)のタンパク質が好ましい。
また、前記(b)のタンパク質として、前記(a1)のタンパク質のアミノ酸配列に、1又は数個(好ましくは1以上10個以下、より好ましくは1以上5個以下、さらに好ましくは1以上3個以下)の変異を導入したタンパク質も好ましい。
さらに、前記(b)のタンパク質として、前記(a2)のタンパク質のアミノ酸配列に、1又は数個(好ましくは1以上10個以下、より好ましくは1以上5個以下、さらに好ましくは1以上3個以下)の変異を導入したタンパク質も好ましい。
上記変異としては、アミノ酸の欠失、置換、挿入又は付加が挙げられる。
アミノ酸配列に変異を導入する方法としては、例えば、アミノ酸配列をコードする塩基配列に変異を導入する方法が挙げられる。塩基配列に変異を導入する方法については後述する。
さらに、前記(c)のタンパク質としては、配列番号1の36位〜274位までのアミノ酸配列からなるタンパク質、配列番号1の45位〜274位までのアミノ酸配列からなるタンパク質、配列番号1の55位〜274位までのアミノ酸配列からなるタンパク質、配列番号1の65位〜274位までのアミノ酸配列からなるタンパク質、配列番号1の75位〜274位までのアミノ酸配列からなるタンパク質、配列番号1の85位〜274位までのアミノ酸配列からなるタンパク質、配列番号1の95位〜274位までのアミノ酸配列からなるタンパク質、配列番号1の105位〜274位までのアミノ酸配列からなるタンパク質がより好ましい。また、これらの配列に1又は数個(好ましくは1以上20個以下、より好ましくは1以上15個以下、さらに好ましくは1以上10個以下、よりさらに好ましくは1以上5個以下、特に好ましくは1以上3個以下)の変異が導入されたアミノ酸配列からなるタンパク質も好ましい。これらのタンパク質は、アシル−ACPチオエステラーゼ活性を有することが後述の実施例により確認されている。
また、前記(c)のタンパク質として、配列番号14のアミノ酸配列からなるタンパク質、配列番号14の49位〜287位までのアミノ酸配列からなるタンパク質、配列番号14の58位〜287位までのアミノ酸配列からなるタンパク質、配列番号14の78位〜287位までのアミノ酸配列からなるタンパク質、配列番号14の88位〜287位までのアミノ酸配列からなるタンパク質、配列番号14の98位〜287位までのアミノ酸配列からなるタンパク質、配列番号14の108位〜287位までのアミノ酸配列からなるタンパク質、配列番号14の118位〜287位までのアミノ酸配列からなるタンパク質、又はこれらの配列に1又は数個(好ましくは1以上20個以下、より好ましくは1以上15個以下、さらに好ましくは1以上10個以下、よりさらに好ましくは1以上5個以下、特に好ましくは1以上3個以下)の変異が導入されたアミノ酸配列からなるタンパク質、がより好ましい。
また、前記(c)のタンパク質として、配列番号16のアミノ酸配列からなるタンパク質、配列番号16の35位〜285位までのアミノ酸配列からなるタンパク質、配列番号16の55位〜285位までのアミノ酸配列からなるタンパク質、配列番号16の85位〜285位までのアミノ酸配列からなるタンパク質、又はこれらの配列に1又は数個(好ましくは1以上20個以下、より好ましくは1以上15個以下、さらに好ましくは1以上10個以下、よりさらに好ましくは1以上5個以下、特に好ましくは1以上3個以下)の変異が導入されたアミノ酸配列からなるタンパク質、がより好ましい。
上記の変異としては、アミノ酸の欠失、置換、挿入又は付加が挙げられる。
また、前記(c)のタンパク質として、前記(a)又は(b)のアミノ酸配列にタンパク質の輸送や分泌に関与するシグナルペプチドが付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質も好ましい。シグナルペプチドの付加としては、葉緑体移行シグナルペプチドのN末端への付加等が挙げられる。
また、大腸菌等の宿主細胞内で機能するプロモーターの下流にアシル−ACPチオエステラーゼ遺伝子を連結した融合遺伝子を宿主細胞へ導入し、導入したアシル−ACPチオエステラーゼ遺伝子が発現する条件で細胞を培養した後、細胞の破砕液に対し、Yuanらの方法(Yuan L, Voelker TA, Hawkins DJ. “Modification of the substrate specificity of an acyl-acyl carrier protein thioesterase by protein engineering” Proc Natl Acad Sci U S A. 1995 Nov 7;92(23), p.10639-10643)によって調製した各種アシル−ACPを基質とした反応を行うことにより、アシル−ACPチオエステラーゼ活性を測定することができる。
本発明の遺伝子は、前記(a)〜(c)のいずれかのタンパク質をコードする遺伝子である。
前記(a)〜(c)のいずれかのタンパク質をコードする遺伝子の具体例として、下記(d)〜(f)のいずれかのDNAからなる遺伝子が挙げられる。
(d)配列番号2の343位〜825位までの塩基配列からなるDNA
(e)(d)のDNAの塩基配列と50%以上の同一性を有する塩基配列からなり、かつアシル−ACPチオエステラーゼ活性を有するタンパク質をコードするDNA
(f)(d)又は(e)のDNAの塩基配列を有し、かつアシル−ACPチオエステラーゼ活性を有するタンパク質をコードするDNA
(d1)配列番号15の382位〜864位までの塩基配列からなるDNA
(d2)配列番号17の376位〜858位までの塩基配列からなるDNA
配列番号15の塩基配列は、ナンノクロロプシス オキュラータ(Nannochloropsis oculata)由来の新規アシル−ACPチオエステラーゼをコードする遺伝子である。配列番号15の382位〜864位までの塩基配列は、配列番号2の343位〜825位までの塩基配列と約76%の同一性を有する。
また、配列番号17の塩基配列は、ナンノクロロプシス グラニュラータ(Nannochloropsis granulata)由来の新規アシル−ACPチオエステラーゼをコードする遺伝子である。配列番号17の376位〜858位までの塩基配列は、配列番号2の343位〜825位までの塩基配列と約75%の同一性を有する。
前記(e)のDNAとして、前記(d1)又は(d2)のDNAが好ましい。
また、前記(e)のDNAとして、前記(d1)のDNAの塩基配列に、1又は数個(好ましくは1以上10個以下、より好ましくは1以上5個以下、さらに好ましくは1以上3個以下)の変異を導入したDNAも好ましい。
また、前記(e)のDNAとして、前記(d2)のDNAの塩基配列に、1又は数個(好ましくは1以上10個以下、より好ましくは1以上5個以下、さらに好ましくは1以上3個以下)の変異を導入したDNAも好ましい。
上記変異としては、塩基の欠失、置換、挿入又は付加が挙げられる。
変異を導入する方法としては、例えば、部位特異的な変異導入法が挙げられる。具体的な部位特異的変異の導入方法としては、Splicing overlap extension(SOE)PCR反応(Horton et al.,Gene 77,61−68,1989)を利用した方法、ODA法(Hashimoto-Gotoh et al.,Gene,152,271-276,1995))、Kunkel法(Kunkel,T. A.,Proc. Natl. Acad. Sci. USA,1985,82,488)等が挙げられる。また、Site-Directed Mutagenesis System Mutan-SuperExpress Kmキット(タカラバイオ社)、Transformer TM Site-Directed Mutagenesisキット(Clonetech社)、KOD-Plus-Mutagenesis Kit(東洋紡社)等の市販のキットを利用することもできる。また、ランダムな遺伝子変異を与えた後、適当な方法により酵素活性の評価及び遺伝子解析を行うことにより目的遺伝子を取得することもできる。
さらに、前記(f)のDNAとしては、配列番号2の106位〜825位までの塩基配列からなるDNA、配列番号2の133位〜825位までの塩基配列からなるDNA、配列番号2の163位〜825位までの塩基配列からなるDNA、配列番号2の193位〜825位までの塩基配列からなるDNA、配列番号2の223位〜825位までの塩基配列からなるDNA、配列番号2の253位〜825位までの塩基配列からなるDNA、配列番号2の283位〜825位までの塩基配列からなるDNA、配列番号2の313位〜825位までの塩基配列からなるDNAがより好ましい。また、これらの配列に1又は数個(好ましくは1以上20個以下、より好ましくは1以上15個以下、さらに好ましくは1以上10個以下、よりさらに好ましくは1以上5個以下、特に好ましくは1以上3個以下)の変異が導入された塩基配列からなるDNAもより好ましい。これらのDNAによりコードされるタンパク質は、アシル−ACPチオエステラーゼ活性を有することが後述の実施例により確認されている。
また、前記(f)のDNAとして、配列番号15の塩基配列からなるDNA、配列番号15の145位〜864位までの塩基配列からなるDNA、配列番号15の172位〜864位までの塩基配列からなるDNA、配列番号15の232位〜864位までの塩基配列からなるDNA、配列番号15の262位〜864位までの塩基配列からなるDNA、配列番号15の292位〜864位までの塩基配列からなるDNA、配列番号15の322位〜864位までの塩基配列からなるDNA、配列番号15の352位〜864位までの塩基配列からなるDNA、又はこれらの配列に1又は数個(好ましくは1以上20個以下、より好ましくは1以上15個以下、さらに好ましくは1以上10個以下、よりさらに好ましくは1以上5個以下、特に好ましくは1以上3個以下)の変異が導入された塩基配列からなるDNA、がより好ましい。
また、前記(f)のDNAとして、配列番号17の塩基配列からなるDNA、配列番号17の103位〜858位までの塩基配列からなるDNA、配列番号17の163位〜858位までの塩基配列からなるDNA、配列番号17の253位〜858位までの塩基配列からなるDNA、又はこれらの配列に1又は数個(好ましくは1以上20個以下、より好ましくは1以上15個以下、さらに好ましくは1以上10個以下、よりさらに好ましくは1以上5個以下、特に好ましくは1以上3個以下)の変異が導入された塩基配列からなるDNA、がより好ましい。
上記の変異としては、塩基の欠失、置換、挿入又は付加が挙げられる。
また、前記(f)のDNAとして、前記(d)又は(e)の塩基配列に、タンパク質の輸送や分泌に関与するシグナルペプチドをコードする塩基配列が付加された塩基配列からなるDNAも好ましい。付加されるシグナルペプチドとしては、前記(c)で述べたものが挙げられる。
(1)第1の態様
本発明の形質転換体の第1の態様は、宿主に本発明のアシル−ACPチオエステラーゼ遺伝子又は当該遺伝子を含有する組換えベクターを導入してなる形質転換体である。
宿主へのアシル−ACPチオエステラーゼ遺伝子の導入は、通常の遺伝子工学的方法によっておこなうことができる。具体的には、本発明のアシル−ACPチオエステラーゼ遺伝子を宿主細胞中で発現させることのできる発現ベクターを調製し、これを宿主細胞に導入して宿主細胞を形質転換させることにより本発明の形質転換体を得ることができる。
前記微生物は原核生物、真核生物のいずれであってもよく、エシェリキア(Escherichia)属に属する微生物やバシラス(Bacillus)属に属する微生物等の原核生物、又は酵母や糸状菌等の真核微生物を用いることができる。なかでも、脂質生産性の観点から、大腸菌(Escherichia coli)、枯草菌(Bacillus subtilis)、赤色酵母(Rhodosporidium toruloides)、又はモルチエレラ エスピー(Mortierella sp.)が好ましく、大腸菌がより好ましい。
また、前記微生物としては、微細藻類も好ましい。前記微細藻類としては、遺伝子組換え手法が確立している観点から、クラミドモナス(Chlamydomonas)属に属する藻類、クロレラ(Chlorella)属に属する藻類、ファエオダクティラム(Phaeodactylum)属に属する藻類、又はナンノクロロプシス属に属する藻類が好ましく、ナンノクロロプシス属に属する藻類がより好ましい。ナンノクロロプシス属に属する藻類として具体的には、Nannochloropsis oculata、Nannochloropsis gaditana、Nannochloropsis salina、Nannochloropsis oceanica、Nannochloropsis atomus、Nannochloropsis maculata、Nannochloropsis granulata、又はNannochloropsis sp.、等が挙げられる。なかでも、脂質生産性の観点から、Nannochloropsis oculata、又はNannochloropsis gaditanaが好ましく、Nannochloropsis oculataがより好ましい。
前記植物体としては、種子に脂質を高含有する観点から、シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)、ナタネ、ココヤシ、パーム、クフェア、又はヤトロファが好ましく、シロイヌナズナがより好ましい。
具体的なベクターとしては、微生物を宿主とする場合には、例えば、pBluescript II SK(-)(Stratagene社製)、pUC119(宝酒造社製)、pET系ベクター(タカラバイオ社製)、pGEX系ベクター(GEヘルスケア社製)、pCold系ベクター(タカラバイオ社製)、pHY300PLK(タカラバイオ社製)、pUB110(Mckenzie,T. et al.,(1986),Plasmid 15(2);p.93-103)、pBR322(タカラバイオ社製)、pRS403(ストラタジーン社製)、又はpMW218/219(ニッポンジーン社製)が挙げられる。特に、宿主が大腸菌の場合は、pBluescript II SK(-)、又はpMW218/219が好ましく用いられる。
藻類を宿主とする場合には、例えば、P66(Chlamydomonas Center)、P-322(Chlamydomonas Center)、pPha-T1(前記非特許文献2参照)、又はpJET1(コスモ・バイオ社製)が挙げられる。特に、宿主がナンノクロロプシス属に属する藻類の場合は、pPha-T1、又はpJET1が好ましく用いられる。また、宿主がナンノクロロプシス属に属する藻類の場合には、Oliver Kilian, et al., Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America, Dec 27;108(52), 2011、の文献記載の方法を参考にして、本発明の遺伝子、プロモーター及びターミネーターからなるDNA断片を用いて宿主を形質転換することもできる。このDNA断片としては、例えば、PCR増幅DNA断片や制限酵素切断DNA断片が挙げられる。
植物細胞を宿主とする場合には、例えば、pRI系ベクター(タカラバイオ社製)、pBI系ベクター(クロンテック社製)、又はIN3系ベクター(インプランタイノベーションズ社製)が挙げられる。特に、宿主がシロイヌナズナの場合は、pRI系ベクター又はpBI系ベクターが好ましく用いられる。
具体的なプロモーターとしては、例えば、lacプロモーター、trpプロモーター、tacプロモーター、trcプロモーター、T7プロモーター、SpoVGプロモーター、カリフラワーモザイルウイルス35SRNAプロモーター、ハウスキーピング遺伝子(チューブリン、アクチン、ユビキチン等)のプロモーター、ナタネ由来Napin遺伝子プロモーター、植物由来Rubiscoプロモーター、又はナンノクロロプシス属由来のビオラキサンチン/クロロフィルa結合タンパク質遺伝子のプロモーターが挙げられる。
また、選択マーカーとしては、抗生物質耐性遺伝子(アンピシリン耐性遺伝子、クロラムフェニコール耐性遺伝子、エリスロマイシン耐性遺伝子、ネオマイシン耐性遺伝子、カナマイシン耐性遺伝子、スペクチノマイシン耐性遺伝子、テトラサイクリン耐性遺伝子、ブラストサイジンS耐性遺伝子、ビアラホス耐性遺伝子、ゼオシン耐性遺伝子、パロモマイシン耐性遺伝子、又はハイグロマイシン耐性遺伝子)等の薬剤耐性遺伝子が挙げられる。さらに、栄養要求性に関連する遺伝子の欠損等を選択マーカー遺伝子として使用することも可能である。
形質転換方法としては、宿主に目的遺伝子を導入しうる方法であれば特に限定されるものではない。例えば、カルシウムイオンを用いる方法、一般的なコンピテントセル形質転換方法(J.Bacterial.93,1925(1967))、プロトプラスト形質転換法(Mol.Gen.Genet.168,111(1979))、エレクトロポレーション法(FEMS Microbiol.Lett.55,135(1990))又はLP形質転換方法(T.Akamatsu及びJ.Sekiguchi,Archives of Microbiology,1987,146,p.353-357;T.Akamatsu及びH.Taguchi,Bioscience,Biotechnology,and Biochemistry,2001,65,4,p.823-829)等を用いることができる。宿主がナンノクロロプシス属に属する藻類の場合、前述のRandor Radakovits, et al., Nature Communications, DOI:10.1038/ncomms1688, 2012、に記載のエレクトロポレーション法を用いて形質転換を行うこともできる。
本発明の形質転換体の第2の態様は、本発明のアシル−ACPチオエステラーゼ遺伝子を有する宿主において、当該遺伝子が欠失、変異又は発現抑制された形質転換体である。当該形質転換体は、宿主中のアシル−ACPチオエステラーゼ遺伝子を、欠失、変異又は発現抑制することで得られる。
前記微細藻類としては、脂質生産性の観点から、ナンノクロロプシス属に属する藻類が好ましい。ナンノクロロプシス属に属する藻類として具体的には、Nannochloropsis oculata、Nannochloropsis gaditana、Nannochloropsis salina、Nannochloropsis oceanica、Nannochloropsis atomus、Nannochloropsis maculata、Nannochloropsis granulata、又はNannochloropsis sp.、等が挙げられる。なかでも、脂質生産性の観点から、Nannochloropsis oculata、又はNannochloropsis gaditanaが好ましく、Nannochloropsis oculataがより好ましい。
本発明の製造方法は、本発明の形質転換体を用いるもので、当該形質転換体を培地で培養する工程、及び得られた培養物から脂質を採取する工程を含む。なお、本発明において形質転換体を培養するとは、微生物、藻類、動植物やそれらの細胞・組織の培養はもちろん、植物体を土壌等で栽培することも含まれる。また、培養物には、培養液はもちろん、培養等した後の形質転換体そのものも含まれる。
培地は天然海水又は人工海水をベースにしたものを使用してもよいし、市販の培養培地を使用してもよい。具体的な培地としては、f/2培地、ESM培地、ダイゴIMK培地、L1培地、MNK培地、等を挙げることができる。なかでも、脂質の生産性向上及び栄養成分濃度の観点から、f/2培地、ESM培地、又はダイゴIMK培地が好ましく、f/2培地、又はダイゴIMK培地がより好ましく、f/2培地がさらに好ましい。藻類の生育促進、中鎖脂肪酸の生産性向上のため、培地に、窒素源、リン源、金属塩、ビタミン類、微量金属等を適宜添加することができる。
培地に接種する藻類の量は特に限定されないが、生育性の点から、培地当り1〜50%(vol/vol)が好ましく、1〜10%(vol/vol)がより好ましい。培養温度は、藻類の増殖に悪影響を与えない範囲であれば特に制限されないが、通常、5〜40℃の範囲である。藻類の生育促進、中鎖脂肪酸の生産性向上、及び生産コストの低減の観点から、好ましくは10〜35℃であり、より好ましくは15〜30℃である。
また、藻類の培養は、光合成ができるよう光照射下で行うことが好ましい。光照射は、光合成が可能な条件であればよく、人工光でも太陽光でもよい。光照射時の照度としては、藻類の生育促進、中鎖脂肪酸の生産性向上の観点から、好ましくは100〜50000ルクスの範囲、より好ましくは300〜10000ルクスの範囲、さらに好ましくは1000〜6000ルクスの範囲である。また、光照射の間隔は、特に制限されないが、前記と同様の観点から、明暗周期で行うことが好ましく、24時間のうち明期が好ましくは8〜24時間、より好ましくは10〜18時間、さらに好ましくは12時間である。
また、藻類の培養は、光合成ができるように二酸化炭素を含む気体の存在下、又は炭酸水素ナトリウムなどの炭酸塩を含む培地で行うことが好ましい。気体中の二酸化炭素の濃度は特に限定されないが、生育促進、中鎖脂肪酸の生産性向上の観点から0.03(大気条件と同程度)〜10%が好ましく、より好ましくは0.05〜5%、さらに好ましくは0.1〜3%、よりさらに好ましくは0.3〜1%である。炭酸塩の濃度は特に限定されないが、例えば炭酸水素ナトリウムを用いる場合、生育促進、中鎖脂肪酸の生産性向上の観点から0.01〜5質量%が好ましく、より好ましくは0.05〜2質量%、さらに好ましくは0.1〜1質量%である。
培養時間は特に限定されず、脂質を高濃度に蓄積する藻体が高い濃度で増殖できるように、長期間(例えば150日程度)行なってもよい。藻類の生育促進、中鎖脂肪酸の生産性向上、及び生産コストの低減の観点から、培養期間は、好ましくは3〜90日間、より好ましくは3〜30日間、さらに好ましくは7〜30日間である。なお、培養は、通気攪拌培養、振とう培養又は静置培養のいずれでもよく、通気性の向上の観点から、振とう培養が好ましい。
(a)配列番号1の115位〜274位までのアミノ酸配列からなるタンパク質
(b)(a)のタンパク質のアミノ酸配列と50%以上、好ましくは60%以上、より好ましくは70%以上、さらに好ましくは80%以上、よりさらに好ましくは90%以上、特に好ましくは95%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、かつアシル−ACPチオエステラーゼ活性を有するタンパク質
(c)(a)又は(b)のタンパク質のアミノ酸配列を有し、かつアシル−ACPチオエステラーゼ活性を有するタンパク質
<2> 前記(b)のタンパク質が、下記(a1)又は(a2)のタンパク質である、<1>項記載のタンパク質。
(a1)配列番号14の128位〜287位までのアミノ酸配列からなるタンパク質
(a2)配列番号16の126位〜285位までのアミノ酸配列からなるタンパク質
<3> 前記(b)のタンパク質が、前記(a)、(a1)及び(a2)から選ばれるいずれかのタンパク質のアミノ酸配列に1又は数個、好ましくは1以上10個以下、より好ましくは1以上5個以下、さらに好ましくは1以上3個以下の変異を導入したアミノ酸配列からなり、かつアシル−ACPチオエステラーゼ活性を有するタンパク質である、<1>項記載のタンパク質。
<4> 前記(c)のタンパク質が、
配列番号1の36位〜274位までのアミノ酸配列からなるタンパク質、
配列番号1の45位〜274位までのアミノ酸配列からなるタンパク質、
配列番号1の55位〜274位までのアミノ酸配列からなるタンパク質、
配列番号1の65位〜274位までのアミノ酸配列からなるタンパク質、
配列番号1の75位〜274位までのアミノ酸配列からなるタンパク質、
配列番号1の85位〜274位までのアミノ酸配列からなるタンパク質、
配列番号1の95位〜274位までのアミノ酸配列からなるタンパク質、
配列番号1の105位〜274位までのアミノ酸配列からなるタンパク質、
配列番号14の1位〜287位までのアミノ酸配列からなるタンパク質、
配列番号14の49位〜287位までのアミノ酸配列からなるタンパク質、
配列番号14の58位〜287位までのアミノ酸配列からなるタンパク質、
配列番号14の78位〜287位までのアミノ酸配列からなるタンパク質、
配列番号14の88位〜287位までのアミノ酸配列からなるタンパク質、
配列番号14の98位〜287位までのアミノ酸配列からなるタンパク質、
配列番号14の108位〜287位までのアミノ酸配列からなるタンパク質、
配列番号14の118位〜287位までのアミノ酸配列からなるタンパク質、
配列番号16の1位〜285位までのアミノ酸配列からなるタンパク質、
配列番号16の35位〜285位までのアミノ酸配列からなるタンパク質、
配列番号16の55位〜285位までのアミノ酸配列からなるタンパク質、
配列番号16の85位〜285位までのアミノ酸配列からなるタンパク質、及び
これらの配列に1又は数個、好ましくは1以上20個以下、より好ましくは1以上15個以下、さらに好ましくは1以上10個以下、よりさらに好ましくは1以上5個以下、特に好ましくは1以上3個以下の変異が導入されたアミノ酸配列からなり、かつアシル−ACPチオエステラーゼ活性を有するタンパク質、
から選ばれるいずれかのタンパク質である、<1>項記載のタンパク質。
<5> 前記変異が、アミノ酸の欠失、置換、挿入又は付加である、<3>又は<4>項記載のタンパク質。
<7> 下記(d)〜(f)のいずれかのDNAからなる遺伝子。
(d)配列番号2の343位〜825位までの塩基配列からなるDNA
(e)(d)のDNAの塩基配列と50%以上、好ましくは60%以上、より好ましくは70%以上、さらに好ましくは80%以上、よりさらに好ましくは90%以上、特に好ましくは95%以上の同一性を有する塩基配列からなり、かつアシル−ACPチオエステラーゼ活性を有するタンパク質をコードするDNA
(f)(d)又は(e)のDNAの塩基配列を有し、かつアシル−ACPチオエステラーゼ活性を有するタンパク質をコードするDNA
<8> 前記(e)のDNAが、下記(d1)又は(d2)のDNAである、<7>項記載の遺伝子。
(d1)配列番号15の382位〜864位までの塩基配列からなるDNA
(d2)配列番号17の376位〜858位までの塩基配列からなるDNA
<9> 前記(e)のDNAが、前記(d)、(d1)及び(d2)から選ばれるいずれかのDNAの塩基配列に1又は数個、好ましくは1以上10個以下、より好ましくは1以上5個以下、さらに好ましくは1以上3個以下の変異を導入した塩基配列からなり、かつアシル−ACPチオエステラーゼ活性を有するタンパク質をコードするDNAである、<7>項記載の遺伝子。
<10> 前記(f)のDNAが、
配列番号2の106位〜825位までの塩基配列からなるDNA、
配列番号2の133位〜825位までの塩基配列からなるDNA、
配列番号2の163位〜825位までの塩基配列からなるDNA、
配列番号2の193位〜825位までの塩基配列からなるDNA、
配列番号2の223位〜825位までの塩基配列からなるDNA、
配列番号2の253位〜825位までの塩基配列からなるDNA、
配列番号2の283位〜825位までの塩基配列からなるDNA、
配列番号2の313位〜825位までの塩基配列からなるDNA、
配列番号15の1位〜864位までの塩基配列からなるDNA、
配列番号15の145位〜864位までの塩基配列からなるDNA、
配列番号15の172位〜864位までの塩基配列からなるDNA、
配列番号15の232位〜864位までの塩基配列からなるDNA、
配列番号15の262位〜864位までの塩基配列からなるDNA、
配列番号15の292位〜864位までの塩基配列からなるDNA、
配列番号15の322位〜864位までの塩基配列からなるDNA、
配列番号15の352位〜864位までの塩基配列からなるDNA、
配列番号17の1位〜858位までの塩基配列からなるDNA、
配列番号17の103位〜858位までの塩基配列からなるDNA、
配列番号17の163位〜858位までの塩基配列からなるDNA、
配列番号17の253位〜858位までの塩基配列からなるDNA、及び
これらの配列に1又は数個、好ましくは1以上20個以下、より好ましくは1以上15個以下、さらに好ましくは1以上10個以下、よりさらに好ましくは1以上5個以下、特に好ましくは1以上3個以下の変異が導入された塩基配列からなり、かつアシル−ACPチオエステラーゼ活性を有するタンパク質をコードするDNA、
から選ばれるいずれかのDNAである、<7>項記載の遺伝子。
<11> 前記変異が、塩基の欠失、置換、挿入又は付加である、<9>又は<10>項記載のタンパク質。
<14> <6>〜<11>のいずれか1項に記載の遺伝子を有する宿主において、当該遺伝子が欠失、変異又は発現抑制された形質転換体。
<15> 前記宿主が微生物である、<13>又は<14>項に記載の形質転換体。
<16> 前記微生物が微細藻類である、<15>項に記載の形質転換体。
<17> 前記微細藻類が、クラミドモナス(Chlamydomonas)属に属する藻類、クロレラ(Chlorella)属に属する藻類、ファエオダクティラム(Phaeodactylum)属に属する藻類、又はナンノクロロプシス(Nannochloropsis)属に属する藻類であり、好ましくはナンノクロロプシス(Nannochloropsis)属に属する藻類である、<16>項に記載の形質転換体。
<18> 前記ナンノクロロプシス(Nannochloropsis)属に属する藻類が、Nannochloropsis oculata、Nannochloropsis gaditana、Nannochloropsis salina、Nannochloropsis oceanica、Nannochloropsis atomus、Nannochloropsis maculata、Nannochloropsis granulata、又はNannochloropsis sp.であり、好ましくは、Nannochloropsis oculata、又はNannochloropsis gaditanaであり、より好ましくは、Nannochloropsis oculataである、<17>項に記載の形質転換体。
<19> 前記微生物が大腸菌である、<15>項に記載の形質転換体。
<21> 前記脂質が、炭素原子数8以上22以下、好ましくは炭素原子数12以上20以下、より好ましくは炭素原子数12以上14以下の脂肪酸及びその誘導体を含む、<20>項に記載の製造方法。
<23> 宿主に<6>〜<11>のいずれか1項に記載の遺伝子を導入する工程を含む、脂質の生産性を向上させる方法。
<24> 宿主中の<6>〜<11>のいずれか1項に記載の遺伝子を、欠失、変異又は発現抑制する工程を含む、脂質中の脂肪酸組成を改変する方法。
1.Nga07062遺伝子の取得
ナンノクロロプシス・ガディタナ(Nannochloropsis gaditana) CCMP526株の全9052遺伝子の配列情報を、Colorado School of Mines 及びGenome Project Solutions が提供するナンノクロロプシス・ゲノムプロジェクト(Nannochloropsis Genome Project (http://nannochloropsis.genomeprojectsolutions-databases.com/))から取得した。そのうちの1つであるNga07062遺伝子(配列番号2に示す塩基配列からなる遺伝子)について、下記の方法により機能の同定を行った。
Nga07062遺伝子を鋳型として、下記表1に示す配列番号3及び配列番号4のプライマー対を用いたPCR反応により、配列番号2の106位〜825位までの塩基配列からなるNga07062遺伝子断片を取得した。なお、配列番号2の塩基配列を有する遺伝子は人工遺伝子の受託合成サービスを利用して取得した。また、プラスミドベクターpBluescriptII SK(-)(Stratagene社製)を鋳型として、下記表1に示す配列番号5及び6のプライマー対を用いたPCR反応によりpBluescriptII SK(-)を増幅し、制限酵素DpnI(東洋紡株式会社製)処理により鋳型の消化を行った。これら2つの断片を、High Pure PCR Product Purification Kit(Roche Applied Science社製)を用いて精製した後に、In-Fusion HD Cloning Kit(Clontech社製)を用いて融合し、Nga07062遺伝子発現用プラスミドNga07062_106を構築した。なお、本発現プラスミドは、Nga07062遺伝子がコードするアミノ酸配列(配列番号1)のN末端側1位〜35位までのアミノ酸配列を除去し、さらにプラスミド由来のLacZタンパク質のN末端側1位〜29位のアミノ酸配列と融合させた形で構築した。
得られた遺伝子断片を用いて、上記と同様にしてpBluescriptII SK(-)ベクターに結合し、Nga07062遺伝子発現用プラスミドNga07062_163、Nga07062_193、Nga07062_223、Nga07062_253、Nga07062_283、Nga07062_313、Nga07062_343、をそれぞれ構築した。なお、これらの発現プラスミドは、Nga07062遺伝子がコードするアミノ酸配列(配列番号1)のN末端側1位〜54位、1位〜64位、1位〜74位、1位〜84位、1位〜94位、1位〜104位、1位〜114位、までのアミノ酸配列をそれぞれ除去し、さらにプラスミド由来のLacZタンパク質のN末端側1位〜29位のアミノ酸配列と融合させた形で構築した。
前記3.で構築した各Nga07062遺伝子発現プラスミドを用いて、大腸菌突然変異株であるK27株(fadD88)(Overath et al, Eur.J.Biochem.7,559-574,1969)をコンピテントセル形質転換法により形質転換した。形質転換処理をしたK27株を37℃で一晩静置し、得られたコロニーをLBAmp液体培地(Bacto Trypton 1%,Yeast Extract 0.5%,NaCl 1%,アンピシリンナトリウム50μg/mL)1mLに接種し、37℃で一晩培養した。前記培養液20μLを、2mLのOvernight Express Instant TB Medium(Novagen社)に接種し、30℃で振とう培養した。培養16時間後、培養液に含まれる脂質成分を、下記5.の方法にて解析した。なお、陰性対照として、プラスミドベクターpBluescriptII SK(-)で形質転換した大腸菌K27株についても同様に実験を行った。
培養液1mLに、内部標準として1mg/mLの7−ペンタデカノンを50μL添加後、0.5mLのクロロホルム、1mLのメタノール及び10μLの2N塩酸を培養液に添加して激しく攪拌後30分間放置した。その後さらに、0.5mLのクロロホルム及び0.5mLの1.5%KClを添加して攪拌後、3,000rpmにて15分間間遠心分離を行い、パスツールピペットにてクロロホルム層(下層)を回収した。得られたクロロホルム層に窒素ガスを吹き付けて乾固し、0.5N水酸化カリウム/メタノール溶液0.7mLを添加し、80℃で30分間恒温した。続いて1mLの14%三フッ化ホウ素溶液(SIGMA社製)を添加し、80℃にて10分間恒温した。その後、ヘキサン、飽和食塩水を各1mL添加し激しく撹拌し、室温にて30分間放置後、上層であるヘキサン層を回収して脂肪酸エステルを得た。
キャピラリーカラム:DB−1 MS 30m×200μm×0.25μm(J&W Scientific)、
移動相:高純度ヘリウム、
カラム内流量:1.0mL/分、
昇温プログラム:100℃(1分間)→10℃/分→300℃(5分間)、
平衡化時間:1分間、
注入口:スプリット注入(スプリット比:100:1),
圧力14.49psi,104mL/分,
注入量1μL、
洗浄バイアル:メタノール・クロロホルム、
検出器温度:300℃
ガスクロマトグラフィー解析により得られた波形データのピーク面積より、各脂肪酸のメチルエステル量を定量した。各ピーク面積を、内部標準である7−ペンタデカノンのピーク面積と比較することで試料間の補正を行い、培養液1リットルあたりの各脂肪酸量を算出した。さらに、各脂肪酸量の総和を総脂肪酸量とし、総脂肪酸量に占める各脂肪酸量の割合を算出した。
各脂肪酸の割合及び総脂肪酸量の測定結果を表2に示す。なお、以下の表中、脂肪酸組成においてCx:yとあるのは、炭素原子数xで二重結合数がyの脂肪酸を表す。
1.Nannochloropsis oculata由来アシル−ACPチオエステラーゼ(以下、「NoTE」ともいう)遺伝子の取得、及びNoTE遺伝子発現用プラスミドの構築
Nannochloropsis oculata NIES2145株の全RNAを抽出し、SuperScript(商標) III First-Strand Synthesis SuperMix for qRT-PCR(invitrogen社製)を用いて逆転写を行ってcDNAを得た。このcDNAを鋳型として、下記表3に示す配列番号18及び配列番号27のプライマー対を用いたPCR反応により、配列番号15に示す塩基配列からなる遺伝子断片を取得した。得られた遺伝子断片を、実施例1の2.と同様の方法でプラスミドベクターpBluescriptII SK(-)にクローニングし、NoTE遺伝子発現用プラスミドNoTE_1を構築した。なお、この発現プラスミドは、NoTE遺伝子がコードするアミノ酸配列(配列番号14)の1位のN末端側に、プラスミド由来のLacZタンパク質のN末端側1位〜29位のアミノ酸配列と融合させた形で構築した。
実施例1の3.と同様の方法でNoTE発現プラスミドを大腸菌へ導入し、実施例1の4.と同様の方法で脂質の解析を行った。
1.Nannochloropsis granulata由来アシル−ACPチオエステラーゼ(以下、「NgrTE」ともいう)遺伝子の取得、及びNgrTE遺伝子発現用プラスミドの構築
Nannochloropsis granulata NIES2588株の全RNAを抽出し、SuperScript(商標) III First-Strand Synthesis SuperMix for qRT-PCR(invitrogen社製)を用いて逆転写を行ってcDNAを得た。このcDNAを鋳型として、下記表5に示す配列番号28及び配列番号33のプライマー対を用いたPCR反応により、配列番号17に示す塩基配列からなる遺伝子断片を取得した。得られた遺伝子断片を、実施例1の2.と同様の方法でプラスミドベクターpBluescriptII SK(-)にクローニングし、NgrTE遺伝子発現用プラスミドNgrTE_1を構築した。なお、この発現プラスミドは、NgrTE遺伝子がコードするアミノ酸配列(配列番号16)の1位のN末端側に、プラスミド由来のLacZタンパク質のN末端側1位〜29位のアミノ酸配列と融合させた形で構築した。
実施例1の3.と同様の方法でNgrTE発現プラスミドを大腸菌へ導入し、実施例1の4.と同様の方法で脂質の解析を行った。
1.変異型NoTE遺伝子の取得、及び変異型NoTE遺伝子発現用プラスミドの構築
配列番号34に示す変異型NoTEをコードする遺伝子配列(配列番号35)を、人工遺伝子の受託合成サービスを利用して取得した。なお、配列番号34の128位〜287位までのアミノ酸配列は、配列番号1の115位〜274位のアミノ酸配列と約84%の同一性を示す。
この遺伝子断片を鋳型として、上記表3及び下記表7に示す配列番号22及び配列番号36のプライマー対を用いたPCR反応により、配列番号35に示す塩基配列からなる遺伝子断片を取得した。得られた遺伝子断片を、実施例1の2.と同様の方法でプラスミドベクターpBluescriptII SK(-)にクローニングし、変異型NoTE遺伝子発現用プラスミドNoTE_262-mutantを構築した。なお、これらの発現プラスミドは、変異型NoTE遺伝子がコードするアミノ酸配列(配列番号34)のN末端側1位〜87位までのアミノ酸配列をそれぞれ除去し、さらにプラスミド由来のLacZタンパク質のN末端側1位〜29位のアミノ酸配列と融合させた形で構築した。
実施例1の3.と同様の方法で変異型NoTE発現プラスミドを大腸菌へ導入し、実施例1の4.と同様の方法で脂質の解析を行った。
1.NoTE遺伝子のナンノクロロプシス発現用プラスミドの構築
Nannochloropsis oculata NIES2145株のcDNAを鋳型として、下記表9に示す配列番号37及び配列番号38のプライマーを用いたPCR反応を行い、配列番号15の292位〜864位までの塩基配列からなるNoTE遺伝子断片を取得した。
GenBankに登録されているナンノクロロプシス エスピー(Nannochloropsis sp.)W2J3B株のVCP1(ビオラキサンチン/クロロフィルa結合タンパク質)遺伝子のcomplete cds 配列(Accession number: JF957601.1)より、VCP1プロモーター配列(配列番号54)、VCP1葉緑体移行シグナル配列(配列番号55)、及びVCP1ターミネーター配列(配列番号56)を人工合成した。合成したDNA断片を鋳型として、下記表9に示す配列番号39及び配列番号40のプライマー対、配列番号41及び配列番号42のプライマー対、配列番号43及び配列番号44のプライマー対を用いてPCR反応を行い、VCP1プロモーター配列、VCP1葉緑体移行シグナル配列、VCP1ターミネーター配列をそれぞれ取得した。また、プラスミドベクターpUC19(タカラバイオ社製)を鋳型として、下記表9に示す配列番号45及び配列番号46のプライマー対を用いたPCR反応を行い、プラスミドベクターpUC19を増幅した。
上記により得られたNoTE遺伝子断片、VCP1プロモーター配列、VCP1葉緑体移行シグナル配列、及びVCP1ターミネーター配列を、実施例1の2.と同様の方法でプラスミドベクターpUC19に融合し、ナンノクロロプシス発現用プラスミドNoTE_292_Nannoを構築した。なお、本発現プラスミドは、VCP1プロモーター配列、VCP1葉緑体移行シグナル配列、NoTE遺伝子断片、及びVCP1ターミネーター配列の順に連結したインサート配列(配列番号57;以下、NoTE遺伝子発現用断片)と、pUC19ベクター配列からなる。
ゼオシン耐性遺伝子(配列番号58)、及び文献(Randor Radakovits, et al., Nature Communications, DOI:10.1038/ncomms1688, 2012)記載のナンノクロロプシス ガディタナ(Nannochloropsis gaditana)CCMP526株由来チューブリンプロモーター配列(配列番号59)を人工合成した。合成したDNA断片を鋳型として、配列番号47及び配列番号48のプライマー対、配列番号49及び配列番号50のプライマー対を用いてPCR反応を行い、ゼオシン耐性遺伝子及びチューブリンプロモーター配列をそれぞれ取得した。これらの増幅断片と、前記1.で取得したVCP1ターミネーター配列、及びプラスミドベクターpUC19の増幅断片を、実施例1の2.と同様の方法で融合し、ゼオシン耐性遺伝子発現プラスミドを構築した。なお、本発現プラスミドは、チューブリンプロモーター配列、ゼオシン耐性遺伝子、VCP1ターミネーター配列の順に連結したインサート配列(配列番号60;以下、ゼオシン耐性遺伝子発現用断片)と、pUC19ベクター配列からなる。
発現用プラスミドNoTE_292_Nannoを鋳型として、下記表9に示す配列番号51と配列番号52のプライマー対を用いてPCR反応を行い、当該プラスミド中のNoTE遺伝子発現用断片(配列番号57)を増幅した。また、ゼオシン耐性遺伝子発現用プラスミドを鋳型として、配列番号52と配列番号53のプライマー対を用いてPCR反応を行い、ゼオシン耐性遺伝子発現用断片(配列番号60)を増幅した。増幅した両断片を、High Pure PCR Product Purification Kit(Roche Applied Science社製)を用いて精製した。なお、精製の際の溶出には、キットに含まれる溶出バッファーではなく、滅菌水を用いた。
約109細胞のナンノクロロプシス オキュラータ(Nannochloropsis oculata)NIES2145株を、384mMのソルビトール溶液で洗浄して塩を完全に除去し、形質転換の宿主細胞として用いた。上記で増幅したNoTE遺伝子発現用断片(配列番号57)及びゼオシン耐性遺伝子発現用断片(配列番号60)を、約500ngずつ宿主細胞に混和し、50μF、500Ω、2,200v/2mmの条件でエレクトロポレーションを行った。f/2液体培地にて24時間回復培養を行った後に、2μg/mLのゼオシン含有f/2寒天培地に塗布し、25℃、0.3%CO2雰囲気下、12h/12h明暗条件にて2〜3週間培養した。得られたコロニーの中から、NoTE遺伝子発現用断片(配列番号57)を含むものをPCR法により選抜した。選抜した株を、f/2培地の窒素濃度を15倍、リン濃度を5倍に増強した培地(以下、N15P5培地)20mLに播種し、25℃、0.3%CO2雰囲気下、12h/12h明暗条件にて4週間振盪培養し、前培養液とした。前培養液2mLを、18mLのN15P5培地に植継ぎ、25℃、0.3%CO2雰囲気下、12h/12h明暗条件にて2週間振盪培養した。なお、陰性対照として、野生株であるNIES2145株についても同様に実験を行った。
培養後、得られたナンノクロロプシス培養液について、実施例1の4.と同様の方法で、脂質の抽出及び構成脂肪酸の分析を行った。結果を表10に示す。なお、表10において、「n」は、0〜5の整数を表し、例えば、C18:nと記載した場合には、組成がC18:0,C18:1,C18:2,C18:3,C18:4,及びC18:5の脂肪酸の総和を表す。
Claims (11)
- 下記(a)〜(c)のいずれかのタンパク質をコードする遺伝子、又は当該遺伝子を含有する組換えベクターを宿主に導入してなる形質転換体を培地で培養する工程、及び得られた培養物から脂質を採取する工程、を含む、炭素原子数12以上14以下の脂肪酸、及び/又はこれを構成成分として含む脂質の製造方法。
(a)配列番号1の115位〜274位までのアミノ酸配列からなるタンパク質
(b)(a)のタンパク質のアミノ酸配列と90%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、かつアシル−ACPチオエステラーゼ活性を有するタンパク質、若しくは配列番号34の128位〜287位までのアミノ酸配列からなるタンパク質
(c)(a)又は(b)のタンパク質のアミノ酸配列を有し、かつアシル−ACPチオエステラーゼ活性を有するタンパク質 - 宿主に下記(a)〜(c)のいずれかのタンパク質をコードする遺伝子、又は当該遺伝子を含有する組換えベクターを導入する工程を含む、脂質中の脂肪酸組成を改変する方法。
(a)配列番号1の115位〜274位までのアミノ酸配列からなるタンパク質
(b)(a)のタンパク質のアミノ酸配列と90%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、かつアシル−ACPチオエステラーゼ活性を有するタンパク質、若しくは配列番号34の128位〜287位までのアミノ酸配列からなるタンパク質
(c)(a)又は(b)のタンパク質のアミノ酸配列を有し、かつアシル−ACPチオエステラーゼ活性を有するタンパク質 - 宿主に下記(a)〜(c)のいずれかのタンパク質をコードする遺伝子、又は当該遺伝子を含有する組換えベクターを導入する工程を含む、脂質の生産性を向上させる方法。
(a)配列番号1の115位〜274位までのアミノ酸配列からなるタンパク質
(b)(a)のタンパク質のアミノ酸配列と90%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、かつアシル−ACPチオエステラーゼ活性を有するタンパク質、若しくは配列番号34の128位〜287位までのアミノ酸配列からなるタンパク質
(c)(a)又は(b)のタンパク質のアミノ酸配列を有し、かつアシル−ACPチオエステラーゼ活性を有するタンパク質 - 前記遺伝子が前記(c)のタンパク質をコードし、前記(c)のタンパク質が
配列番号1の36位〜274位までのアミノ酸配列からなるタンパク質、
配列番号1の45位〜274位までのアミノ酸配列からなるタンパク質、
配列番号1の55位〜274位までのアミノ酸配列からなるタンパク質、
配列番号1の65位〜274位までのアミノ酸配列からなるタンパク質、
配列番号1の75位〜274位までのアミノ酸配列からなるタンパク質、
配列番号1の85位〜274位までのアミノ酸配列からなるタンパク質、
配列番号1の95位〜274位までのアミノ酸配列からなるタンパク質、
配列番号1の105位〜274位までのアミノ酸配列からなるタンパク質、
配列番号14の1位〜287位までのアミノ酸配列からなるタンパク質、
配列番号14の49位〜287位までのアミノ酸配列からなるタンパク質、
配列番号14の58位〜287位までのアミノ酸配列からなるタンパク質、
配列番号14の78位〜287位までのアミノ酸配列からなるタンパク質、
配列番号14の88位〜287位までのアミノ酸配列からなるタンパク質、
配列番号14の98位〜287位までのアミノ酸配列からなるタンパク質、
配列番号14の108位〜287位までのアミノ酸配列からなるタンパク質、
配列番号14の118位〜287位までのアミノ酸配列からなるタンパク質、
配列番号16の1位〜285位までのアミノ酸配列からなるタンパク質、
配列番号16の35位〜285位までのアミノ酸配列からなるタンパク質、
配列番号16の55位〜285位までのアミノ酸配列からなるタンパク質、
配列番号16の85位〜285位までのアミノ酸配列からなるタンパク質、及び
これらの配列に1個以上12個以下のアミノ酸が欠失、置換、挿入若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつアシル−ACPチオエステラーゼ活性を有するタンパク質、
から選ばれるいずれかのタンパク質である、請求項1〜3のいずれか1項記載の方法。 - 下記(d)〜(f)のいずれかのDNAからなる遺伝子、又は当該遺伝子を含有する組換えベクターを宿主に導入してなる形質転換体を培地で培養する工程、及び得られた培養物から脂質を採取する工程、を含む、炭素原子数12以上14以下の脂肪酸、及び/又はこれを構成成分として含む脂質の製造方法。
(d)配列番号2の343位〜825位までの塩基配列からなるDNA
(e)(d)のDNAの塩基配列と70%以上の同一性を有する塩基配列からなり、かつ配列番号1のアミノ酸配列における115位〜274位までの領域に相当する領域を含み、アシル−ACPチオエステラーゼ活性を有するタンパク質をコードするDNA
(f)(d)又は(e)のDNAの塩基配列を有し、かつアシル−ACPチオエステラーゼ活性を有するタンパク質をコードするDNA - 宿主に下記(d)〜(f)のいずれかのDNAからなる遺伝子、又は当該遺伝子を含有する組換えベクターを導入する工程を含む、脂質中の脂肪酸組成を改変する方法。
(d)配列番号2の343位〜825位までの塩基配列からなるDNA
(e)(d)のDNAの塩基配列と70%以上の同一性を有する塩基配列からなり、かつ配列番号1のアミノ酸配列における115位〜274位までの領域に相当する領域を含み、アシル−ACPチオエステラーゼ活性を有するタンパク質をコードするDNA
(f)(d)又は(e)のDNAの塩基配列を有し、かつアシル−ACPチオエステラーゼ活性を有するタンパク質をコードするDNA - 宿主に下記(d)〜(f)のいずれかのDNAからなる遺伝子、又は当該遺伝子を含有する組換えベクターを導入する工程を含む、脂質の生産性を向上させる方法。
(d)配列番号2の343位〜825位までの塩基配列からなるDNA
(e)(d)のDNAの塩基配列と70%以上の同一性を有する塩基配列からなり、かつ配列番号1のアミノ酸配列における115位〜274位までの領域に相当する領域を含み、アシル−ACPチオエステラーゼ活性を有するタンパク質をコードするDNA
(f)(d)又は(e)のDNAの塩基配列を有し、かつアシル−ACPチオエステラーゼ活性を有するタンパク質をコードするDNA - 前記宿主が微生物である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
- 前記微生物が微細藻類である、請求項8に記載の方法。
- 前記微細藻類がナンノクロロプシス(Nannochloropsis)属に属する藻類である、請求項9に記載の方法。
- 前記微生物が大腸菌である、請求項10に記載の方法。
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