JP6566929B2 - 透明スクリーン及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は透明スクリーン及びその製造方法に関し,とくに正面側から背面側を透視させつつプロジェクタから投影された映像を表示できる透明スクリーン及びその製造方法に関する。
図4(A)は,背面側のプロジェクタ2から投影された映像を,正面側から観察できるように表示する従来の背面投影式の透過型スクリーン1を示す。例えば道路に面した店舗の外壁面に背面投影式の透過型スクリーン1を設置することにより,店舗内側(背面側)から投影した商品広告等の映像を適宜切り替えながら道路側(正面側)の歩行者に表示することができ,従来の静的な広告板等にかわる動的で貼り替え不要な広告媒体として利用することができる。ただし,背面投影式の透過型スクリーン1は,光透過性はあるもののヘイズ値(=全光線透過率Ttに対する拡散透過率Tdの割合,曇値とも呼ばれる)が80%以上のものであり,正面側から背面側を透視することは難しい(特許文献1参照)。
それに対し図4(B)は,背面側のプロジェクタ2から投影された映像を正面側から観察できるように表示しつつ,その正面側から背面側を透視することができる従来の透視型スクリーン5(以下,透明スクリーン5ということがある)を示す。例えば道路に面した店舗のショーウィンドウのガラスに透明スクリーン5を設置することにより,店舗内側の展示物Gを観察しながら通行する道路側(正面側)の歩行者に様々な映像等を重ね合わせて表示することができ,ショーウィンドウのディスプレイ効果を高めることが期待できる(特許文献2及び3参照)。
また透明スクリーン5は,背面側から投影された映像を正面側から観察する場合だけでなく,図4(B)に一点鎖線で示すように,正面側のプロジェクタ2から投影された映像を同じ正面側から観察する場合にも使用することができる。例えば,自動車のフロントウィンドウガラスに透明スクリーン5を設置し,自動車の車内(正面側)からスピードメータ等の機器の映像を投影することにより,車内(正面側)から前方を観察しながら自動車を操作する運転者の視野内にスピードメータ等の機器の映像を重ね合わせて表示するヘッドアップディスプレイとすることができる。
更に透明スクリーン5は,図4(C)に示すように,プロジェクタ2aから投影された非透過型スクリーン3上の映像Iaと,プロジェクタ2bから投影された透明スクリーン5上の映像Ibとを重ね合わせた映像,例えばバーチャルリアリティ映像を提供する場合に使用することもできる。図示例において,観察者は透明スクリーン5を透過した非透過型スクリーン3上の映像Iaを観察するため,透明スクリーン5は映像Iaを認識できる程度に十分透過することが必要である。他方で,観察者は透明スクリーン5上で散乱反射した映像Ibを観察するため,透明スクリーン5は映像Ibを認識できる程度に十分散乱反射させることが必要である。このように透明スクリーン5には,光透過性と光散乱反射性という2つの相反する特性が求められる。
光透過性と光散乱反射性という2つの相反する特性を有する透明スクリーン5として,例えば図4(D)に示すように,光透過性支持体6の少なくとも一方の面に光拡散層7を積層し,その光拡散層7が樹脂バインダー(キセロゲル)7aと光拡散微粒子7bとを含有する透明スクリーン5aが提案されている(特許文献2参照)。また,例えば図4(E)に示すように,樹脂8a中に少なくとも一部が凝集状態となった無機粒子(金属系粒子)8bを含有させ,その無機粒子8bの一次粒子が0.1〜50nmのメジアン径を有し且つ10〜500nmの最大粒径を有し,無機粒子8bの含有量が樹脂8aに対して0.015〜1.2質量%である透明(透視型)スクリーン用フィルム8を用いた透明スクリーン5bが提案されている(特許文献3参照)。
特開2005−024942号公報 特開2013−182141号公報 特開2015−212800号公報
しかし,図4(D)の透明スクリーン5aは,樹脂バインダー(キセロゲル)7aの空隙率を50%以上とすることで光散乱反射性を高めることができるものの,ヘイズ値が50%程度あることから,必ずしも十分な光透過性が得られない。これに対し図4(E)の透明スクリーン5bは,ヘイズ値を40%程度以下に抑えることができるので,光散乱反射性と共に十分な光透過性を備えており,図4(C)のような2つの映像Ia,Ibを重ね合わせる場合に利用できる。ただし,図4(E)の透明スクリーン5bは,樹脂8a中に無機粒子(金属系粒子)8bを均一に分散するように混練し,融点以上の温度に加熱しながら100μm程度の厚さのフィルムに製膜し,そのフィルムを透明基材等に積層する複数の工程により作製する必要があり,透明スクリーンの作製・調製に手間がかかる問題点がある。
例えば図4(C)において,両映像Ia,Ibを透明スクリーン5上で違和感なく重ね合わせるために,映像Iaが相対的に明るいときは透明スクリーン5の光散乱反射性を高め,映像Iaが相対的に暗いときは透明スクリーン5の光透過性を高めるように,映像Ia,Ibの種類に応じて,透明スクリーン5の2つの特性のバランスを調整することが求められることがある。図4(E)のような透明スクリーン5bの作製方法は,光透過性及び光散乱反射性が一定の透明スクリーンを大量に作製する場合には適しているが,光透過性及び光散乱反射性のバランスを調整しながら透明スクリーンの作製を繰り返すには手間がかかり過ぎる。透明スクリーンの光透過性及び光散乱反射性のバランスを簡単に調整できる透明スクリーンの作製技術の開発が求められている。
また図4(E)の透明スクリーンは,樹脂8a中に分散させる無機粒子8bの含有量によって光透過性及び光散乱反射性の2つの特性を調整するが,無機粒子8bの含有量という1つのパラメタによって光透過性及び光散乱反射性という2つの特性のバランスを細かく調整することが難しい問題点もある。上述したように,2つの映像Ia,Ibを違和感なく重ね合わせることができる透明スクリーン5とするためには,映像Ia,Ibの種類に応じて,透明スクリーン5の光透過性及び光散乱反射性という2つの特性のバランスを細かく調整することが有効である。
そこで本発明の目的は,光透過性と光散乱反射性という2つの相反する特性のバランスを簡単に調整できる透明スクリーン及びその製造方法を提供することにある。
一態様において本発明は,図1(D)に示すように,所定の光透過性及び光散乱反射性を有する透視型スクリーン5,その透視型スクリーン5と対向させた板又はフィルム状の透明支持体12,透視型スクリーン5と透明支持体12の対向面間に塗布した光硬化性の透明接着剤16,及び透明接着剤16中に所要の光透過性及び光散乱反射性が付与される量で混入した光散乱微粒子17を備えてな透明スクリーンを提供する。光散乱微粒子17は,例えば粒径0.2〜0.25μmの酸化金属粒子とすることができる。
好ましくは,図2(D)に示すように,透明支持体12を対向面に凹凸又はエンボスが施された表面凹凸付き透明支持体14とし,透明接着剤16中の光散乱微粒子17の混入量と凹凸又はエンボスの形状とにより所要の光透過性及び光散乱反射性を付与する。
他の態様において本発明は,図1(D)に示すように,光硬化性の透明接着剤16に光散乱微粒子17を混入し,光散乱微粒子17の混入した透明接着剤16を所定の光透過性及び光散乱反射性を有する透視型スクリーン5と板又はフィルム状の透明支持体12の対向面間に塗布し且つ光照射により硬化させて透明スクリーン10とし,前記混入から硬化までのサイクルを1サイクル毎に光散乱微粒子17の混入量を変えながら繰り返すことにより所要の光透過性及び光散乱反射性が付与された透明スクリーンを製造する透明スクリーンの製造方法を提供する。光散乱微粒子17は,例えば粒径0.2〜0.25μmの酸化金属粒子とすることができる。
好ましくは,図2(D)に示すように,透明支持体12を対向面に凹凸又はエンボスが施された表面凹凸付き透明支持体14とし,前記混入から硬化までのサイクルを1サイクル毎に透明接着剤16中の光散乱微粒子17の混入量と前記凹凸又はエンボスの形状とを変えながら繰り返すことにより所要の光透過性及び光散乱反射性が付与された透明スクリーンを製造する。
本発明による透明スクリーン及びその製造方法は,所定の光透過性及び光散乱反射性を有する透視型スクリーン5と板又はフィルム状の透明支持体12の対向面,所要の光透過性及び光散乱反射性が付与される量で光散乱微粒子17が混入した光硬化性の透明接着剤16を塗布し且つ光照射により硬化させて透明スクリーン10とするので,次の有利な効果を奏する。
(イ)硬化前の光硬化性接着剤16に光散乱微粒子17を混入させ,その接着剤(16+17)を一対の透明支持体11,12の対向面間に塗布し硬化させて透明スクリーン10とするので,手間をかけずに透明スクリーン10を作製できる。
(ロ)光硬化性接着剤16中の光散乱微粒子17の混入量を変えながら透明スクリーン10の作製サイクルを繰り返すことにより,従来の透明スクリーンに比して,透明スクリーン10の光透過性及び光散乱反射性を容易に調整することができる。
(ハ)また,一対の透明支持体11,12を押圧しながら透明接着剤(16+17)を硬化させることにより,散乱反射させる映像がクリアなものとなるように光散乱微粒子17の混入した透明接着剤16の厚さを十分に薄くすることができる。
(ニ)透明支持体11,12の少なくとも一方の対向面を凹凸又はエンボス付きとすることにより,光散乱微粒子の混入量だけでなく凹凸又はエンボスの形状によって透明スクリーン10の光透過性及び光散乱反射性のバランスを細かく調整することができる。
(ホ)更に,透明支持体11,12の少なくとも一方を既存の透視型スクリーン5とすることにより,光散乱微粒子の混入量と凹凸又はエンボスの形状とによって既存の透視型スクリーン5の光透過性及び光散乱反射性のバランスを調整することも可能である。
(ヘ)2つの映像Ia,Ibを重ね合わせて表示する場合に,両映像Ia,Ibの種類に応じて光透過性及び光散乱反射性のバランスが調整された透明スクリーン10を提供することが可能となる。
以下,添付図面を参照して本発明を実施するための形態及び実施例を説明する。
本発明による透明スクリーン10の一実施例の説明図である。 本発明による透明スクリーン10の他の実施例の説明図である。 本発明による透明スクリーン10の映像輝度を判定する実験方法の説明図である。 従来の透過型スクリーン及び透視型スクリーンの説明図である。
図1(A)は,光硬化性の透明接着剤16を用いた本発明の透明スクリーン10の一実施例を示す。図示例の透明スクリーン10は,一対の透明支持体11,12と,その透明支持体11,12の対向面間に塗布して硬化させた光硬化性の透明接着剤16と,透明接着剤16中に混入させた光散乱微粒子17とにより構成されている。図1(C)に示すように,透明接着剤16中に混入させる光散乱微粒子17の配合量により,透明スクリーン10の光透過性及び光散乱反射性を調整することができる。
図示例の透明支持体11,12は,図1(B)に示すように光透過性(例えば全光線透過率Ttが90%以上)のものであればとくに限定されず,例えば板状のガラス又はプラスチックとすることができ,比較的薄いフィルム状のプラスチックとすることもできる。ガラスとしては,とくに限定されるものではないが,一般的なフロートガラス,或いは厚くても光透過率の高い高透明ガラス等を用いることができる。プラスチックとしては,とくに限定されるものではないが,アクリル樹脂,ポリメタクリル酸メチル樹脂(PMMA),ポリカーボネート樹脂(PC),ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)等を用いることができる。
一対の透明支持体11,12をガラス板とすることにより,透明スクリーン10に耐火性を付与することもできる。また,比較的薄いプラスチック製フィルムを透明支持体11,12とすることで,透明スクリーン10の軽量化が図れる。透明支持体11,12は,厚さが薄くなり過ぎると2枚を対向させて貼り合わせる取り扱いが難しくなるので,重ね合わせた2枚の厚みを0.5mm以上とすることが望ましく,好ましくは1mm以上とする。また,透明支持体11,12は同じ形状・材質製のものである必要はなく,例えば一方をガラス板又はプラスチック板とし,他方をプラスチック製フィルムとすることもできる。また,図1(D)に示すように,少なくとも一方を光透過性と光散乱反射性を備えたプラスチック板又はフィルムとしてもよく,例えば図4(E)に示すような既存の透視型スクリーン5としてもよい。
図示例の光硬化性接着剤16は,光透過性を有するものであればとくに限定されず,従来技術に属する様々な光硬化性(例えば紫外線硬化性)のプラスチック接着剤を用いることができる。また,透明接着剤16中に混入させる光散乱微粒子17の一例は,屈折率の相違により接着剤16中で光を乱反射させる酸化金属粒子等の無機微粒子であるが,接着剤16中で光を乱反射させる有機微粒子を用いることもできる。無機微粒子と有機微粒子とを混合して用いることも有効である。混入させる光散乱微粒子17の配合量は,透明スクリーン10に付与する光透過性及び光散乱反射性に応じて適宜調節することができる。
光散乱微粒子17の粒径は,粒径を大きくすることで光散乱反射性を高めることが期待できるが,粒径を小さくすることで光透過性を低下させずに光散乱反射性を高めることが期待でき,例えば1μm以下とすことが望ましく,好ましくは0.5μ以下,更に好ましくは0.2〜0.25μm程度とする。本発明者の実験によれば,粒径0.2〜0.25μm程度の小さい光散乱微粒子17を用い,その混入量を変えることにより,光透過性及び光散乱反射性のバランスを細かく調整することができる。
光硬化性接着剤16は,光(通常は紫外線)の照射によりポリマー間に新たな結合が生じて硬化するものであり,光を照射する前は低粘性である。従って,光照射前の光硬化性接着剤16に光散乱微粒子17を混入させることにより,比較的容易に接着剤16中の微粒子17を均一に分散させることができ,図4(E)に示す従来の透明スクリーン5bに比して光散乱微粒子の分散工程(混練工程)を簡単化できる。
また,光散乱微粒子17を混入させた光硬化性接着剤16は,一対の透明支持体11,12の対向面間に塗布し,透明支持体11,12を押圧しながら光(紫外線)を照射して透明接着剤(16+17)を硬化させることにより光の散乱反射に適した厚さとすることができ,従来の透明スクリーン5bに比して製膜工程も簡単化できる。従って,図1(A)の透明スクリーン10は比較的短時間で作製することが可能であり,光散乱微粒子17の混入量を変えながら作製サイクルを繰り返すことにより,光透過性及び光散乱反射性のバランスを容易に調整することができる。
好ましくは,透明接着剤(16+17)の硬化時の厚さを100μm以下とし,好ましくは30〜50μmとする。透明接着剤(16+17)の層が厚くなり過ぎると,例えば図4(C)のように投影された映像Ibを一定の面で散乱反射させることができず,厚さ方向(奥行き方向)の異なる面で散乱反射が生じてしまうので,映像Ibがぼやけてしまう原因となる。本発明は,透明接着剤(16+17)の硬化時の厚さを比較的薄い30〜50μmとすることも容易であり,散乱反射する映像Ibをくっきりした(クリアな)ものとすることができる。また,透明接着剤(16+17)の層の厚さを30〜50μmとすることにより,全光線透過率を低下させることなく映像Ibの輝度を高めることが期待できる。
更に好ましくは,図2(A)に示すように,透明支持体11,12の少なくとも一方を対向面に凹凸又はエンボスが施された表面凹凸付き透明支持体14とする。透明支持体14は,図2(B)に示すように表面の凹凸又はエンボスにより光が散乱反射するので,光透過性が低く,曇ったように見える。図2(C)に示すように,その透明支持体14の表面に光硬化性の透明接着剤16を塗布すると,透明支持体14と透明接着剤16との屈折率が比較的近いことから凹凸又はエンボスによる光の乱反射が緩和され,光透過性は凹凸又はエンボスのない場合と同程度まで向上・回復しうるが,凹凸又はエンボスの形状に応じて光散乱反射性が残る。この凹凸又はエンボスの形状に応じた光散乱反射性と,透明接着剤16中に混入させた光散乱微粒子17の光散乱反射性とを組み合わせることにより,透明スクリーン10の光透過性及び光散乱反射性のバランスを細かく調整することができる。
表面凹凸付き透明支持体14の対向面に施す凹凸又はエンボスの形状(大きさ,高さ,相互間隔等を含む)は,透明スクリーン10に付与する光透過性及び光散乱反射性に応じて適宜選択可能である。例えば,ドット状,ダイヤ状,絹目状,梨地状等の形状の凹凸又はエンボスが表面に加工された従来のプラスチック板又はフィルムを,表面凹凸付き透明支持体14として用いることができる。また,一方の透明支持体だけでなく,2枚の表面凹凸付き透明支持体14を凹凸又はエンボスが対向するように貼り合わせて透明スクリーンとすることも可能である。この場合は,対向させる2枚の透明支持体14の凹凸又はエンボスを異なる形状とすることも有効である。
[実験例1]
光散乱微粒子17を混入させた光硬化性の透明接着剤16を用いて透明スクリーン10の光透過性及び光散乱反射性が調整できることを確認するため,アクリル樹脂板(厚さ2mm)である透明支持体11,12と,粒径0.2〜0.25μmの酸化チタンである光散乱微粒子17とを用いて,図1(A)の透明スクリーン10を作製する実験を行った。光硬化性接着剤16としては,紫外線硬化性の透明接着剤(東洋インキ製造株式会社製の接着ワニスTRYZ−304)を用いた。実験で用いた接着剤16は硬化時に全光透光率が90%以上の透明となるものである。
先ず,光照射前の光硬化性接着剤16に対して7質量%の光散乱微粒子17を混入し,その透明接着剤16を透明支持体11,12の対向面間に塗布し,紫外線照射により硬化させて透明スクリーン10を作製した。そして,作製した透明スクリーン10の全光線透過率Tt(%)及びヘイズ値(%)をヘイズメータ(日本電色工業株式会社製のNDH−5000)によって測定した。また,図3に示すように,所定映像Iaが写された液晶ディスプレイ20の正面に150mm離して透明スクリーン10を設置し,透明スクリーン10の正面側のプロジェクタ2から所定映像Ibを投影して映像Iaと重ね合わせ,透明スクリーン10の正面側の650mm離れた位置から観察した映像Ibの輝度(明るさ)を目視で評価した。映像輝度の評価は,基準となる映像(後述する表2の2段目の映像)に対する明るさの相対値として評価した。
また,光照射前の光硬化性接着剤16に対して3.5質量%の光散乱微粒子17を混入し,その透明接着剤16を透明支持体11,12の対向面間に塗布し,紫外線照射により硬化させて透明スクリーン10を作製した。そして,作製した透明スクリーン10の全光線透過率Tt(%)及びヘイズ値(%)を測定すると共に,映像Iaと重ね合わせて表示した透明スクリーン10上の映像Ibの輝度(明るさ)を目視で評価した。測定結果及び評価結果を表1にまとめて示す。
表1の実験結果は,光散乱微粒子17を混入させた光硬化性の透明接着剤16を用いることにより,ヘイズ値を20%以下に抑えつつ,映像輝度を0.4とすることできることを示している。この実験結果から,光透過性と光散乱反射性とを共に備えた透明スクリーン10を作製できることが分かる。また,光散乱微粒子17の混入を7質量%から3.5質量%に代えることにより,全光線透過率が84%から87%に高まる一方,映像輝度が0.4から0.3に低下する(ヘイズ値が19%から12%に高まる)ことを示している。この実験結果から,透明接着剤16中の光散乱微粒子17の混入量により,透明スクリーン10の光透過性及び光散乱反射性のバランスを調整できることが確認できた。
[実験例2]
次いで,表面凹凸付き透明支持体14を用いて透明スクリーン10の光透過性及び光散乱反射性を調整できることを確認するため,実験例1で用いたアクリル樹脂板の透明支持体11と,ドット状の凹凸又はエンボスが表面に施された表面凹凸付き透明支持体14との対向面間に,実験例1で用いた光散乱微粒子17が混入された光硬化性接着剤16を塗布することにより,図2(A)の透明スクリーン10を作製する実験を行った。本実験では,凹凸又はエンボスの形状が大ドット状,小ドット状,中ドット状の3種類の表面凹凸付き透明支持体14を用いた。
先ず,光硬化性接着剤16に3.5質量%の光散乱微粒子17を混入し,その透明接着剤16を透明支持体11と大ドット状の表面凹凸付き透明支持体14との対向面間に塗布し,紫外線照射により硬化させて透明スクリーン10を作製した。そして,作製した透明スクリーン10の全光線透過率Tt(%)及びヘイズ値(%)を実験例1と同様に測定すると共に,映像Iaと重ね合わせて表示した透明スクリーン10上の映像Ibの輝度(明るさ)を目視で評価した。
また,大ドット状の表面凹凸付き透明支持体14に代えて,小ドット状の表面凹凸付き透明支持体14を用いて透明スクリーン10を作成し,その透明スクリーン10の全光線透過率Tt(%)及びヘイズ値(%)を実験例1と同様に測定すると共に,透明スクリーン10上の映像Ibの輝度(明るさ)を目視で評価した。更に,小ドット状の表面凹凸付き透明支持体14に代えて,中ドット状の表面凹凸付き透明支持体14を用いて透明スクリーン10を作成し,その透明スクリーン10の全光線透過率Tt(%)及びヘイズ値(%)を実験例1と同様に測定すると共に,透明スクリーン10上の映像Ibの輝度(明るさ)を目視で評価した。測定結果及び評価結果を表2にまとめて示す。
表2の実験結果(1段目)と表1の実験結果(2段目)との比較から分かるように,透明支持体11と表面凹凸付き透明支持体14との間に光散乱微粒子17を混入させた光硬化性接着剤16を挟み込むことにより,表面凹凸付き透明支持体14を用いない場合に比して,全光線透過率を変えることなく映像輝度を0.3から0.5に高め,光透過性及び光散乱反射性のバランスを変化させることができる。また,表2の実験結果は,光散乱微粒子17の混入量を一定としたまま,透明支持体14の凹凸又はエンボスの形状を切り替えることにより,全光線透過率を大きく変えることなく映像輝度を変化させ,反射スクリーンの光透過性及び光散乱反射性のバランスを変化させることができることを示している。表1及び表2の実験結果から,透明接着剤16中の光散乱微粒子17の混入量と透明支持体14の凹凸又はエンボスの形状とにより,透明スクリーン10の光透過性及び光散乱反射性のバランスを細かく調整できることが確認できた。
こうして本発明の目的である「光透過性と光散乱反射性という2つの相反する特性のバランスを簡単に調整できる透明スクリーン及びその製造方法」の提供が達成できる。
本発明は,光散乱微粒子17を混入させた光硬化性の透明接着剤16を用いることにより,新規の透明スクリーン10を作製する場合だけでなく,例えば図4(E)に示すような既存の透視型スクリーン5の光透過性及び光散乱反射性のバランスを調整する場合に利用することも可能である。図1(D)は,所定の光透過性及び光散乱反射性を有する既存の透視型スクリーン5と透明支持体12とを対向させ,その対向面間に光散乱微粒子17を混入させた光硬化性の透明接着剤16を塗布し,紫外線照射により硬化させて作製した透明スクリーン10の実施例を示す。例えば既存の透視型スクリーン5の光透過性及び光散乱反射性のバランスが,所望のバランスと異なる場合に,図1(D)のように光散乱微粒子17を混入させた光硬化性の透明接着剤16を組み合わせることにより,透明接着剤16中の光散乱微粒子17の混入量によって既存の透明スクリーン5の光透過性及び光散乱反射性のバランスを調整することができる。
また図2(D)は,所定の光透過性及び光散乱反射性を有する既存の透視型スクリーン5と表面凹凸付き透明支持体14とを対向させ,その対向面間に光散乱微粒子17を混入させた光硬化性の透明接着剤16を塗布し,紫外線照射により硬化させて作製した透明スクリーン10の実施例を示す。上述したように,表面凹凸付き透明支持体14と光硬化性接着剤16とを組み合わせることにより,全光線透過率を変えることなく映像輝度を変化させることができ,透明接着剤16中の光散乱微粒子17の混入量と透明支持体14の凹凸又はエンボスの形状とによって,既存の透明スクリーン5の光透過性及び光散乱反射性のバランスを細かく調整することができる。
[実験例3]
光散乱微粒子17を混入させた光硬化性の透明接着剤16を用いて既存の透視型スクリーン5の光透過性及び光散乱反射性が調整できることを確認するため,実験例1で用いたアクリル樹脂板の透明支持体12と酸化チタンである光散乱微粒子17が混入された光硬化性接着剤16とを用いて,市販の透視型スクリーン5であるスクリーン用透明フィルム(厚さ100μm程度,JXエネルギー株式会社製)の光透過性及び光散乱反射を調整する実験を行った。先ず,実験に用いた透視型スクリーン5の全光線透過率Tt(%)及びヘイズ値(%)を実験例1と同様に測定すると共に,透明スクリーン10上の映像Ibの輝度(明るさ)を目視で評価したところ,表3(1段目)に示すような結果が得られた。
次いで,透視型スクリーン5と透明支持体(アクリル樹脂板)12との対向面間に,3.5質量%の光散乱微粒子17が混入された光硬化性接着剤16を塗布し,紫外線照射により硬化させて図1(D)の透明スクリーン10を作製した。そして,作製した透明スクリーン10の全光線透過率Tt(%)及びヘイズ値(%)を実験例1と同様に測定すると共に,映像Iaと重ね合わせて表示した透明スクリーン10上の映像Ibの輝度(明るさ)を目視で評価した。更に,光散乱微粒子17の混入量を7.0質量%,14質量%に代えた光硬化性接着剤16を用いて透明スクリーン10を作成し,その全光線透過率Tt(%)及びヘイズ値(%)を測定すると共に映像Ibの輝度(明るさ)を目視で評価した。測定結果及び評価結果を表3にまとめて示す。
表3の実験結果は,光散乱微粒子17を混入させた光硬化性の透明接着剤16を用いることにより,市販の透視型スクリーン5の全光線透過率を大きく変えることなく,映像輝度を0.45から0.5〜0.7に高めことができることを示している。この実験結果から,光散乱微粒子17の混入量が適当に調整された透明接着剤16を用いることにより,既存の透視型スクリーン5の光透過性及び光散乱反射性のバランスを調整できることが確認できた。更に本発明者は,図2(D)のように市販の透明型スクリーン5と表面凹凸付き透明支持体14との対向面間に,光散乱微粒子17の混入量が適当に調整された透明接着剤16を塗布して透明スクリーン10を作製する実験を繰り返し,透明接着剤16中の光散乱微粒子17の混入量と透明支持体14の凹凸又はエンボスの形状とによって,既存の透明スクリーン5の光透過性及び光散乱反射性のバランスを調整できることを確認することができた。
1…背面投影式の透過型スクリーン 2,2a,2b…プロジェクター
3…非透過型スクリーン 5…透視型スクリーン
6…光透過性支持体
7,8…透視可能な透明型スクリーンフィルム
7a…樹脂バインダー 7b…光拡散微粒子
8a…樹脂層 8b…無機粒子
10…透明スクリーン 11,12…透明支持体
14…表面凹凸付き透明支持体
16…透明接着剤 17…光散乱粒子
20…液晶ディスプレイ
G…展示物 P…投影面

Claims (5)

  1. 所定の光透過性及び光散乱反射性を有する透視型スクリーン,前記透視型スクリーンと対向させた板又はフィルム状の透明支持体,前記透視型スクリーンと透明支持体の対向面間に塗布した光硬化性の透明接着剤,及び前記透明接着剤中に所要の光透過性及び光散乱反射性が付与される量で混入した光散乱微粒子を備えてな透明スクリーン。
  2. 請求項1の透明スクリーンにおいて,前記透明支持体を対向面に凹凸又はエンボスが施された表面凹凸付き透明支持体とし,前記透明接着剤中の光散乱微粒子の混入量と前記凹凸又はエンボスの形状とにより所要の光透過性及び光散乱反射性を付与してなる透明スクリーン。
  3. 請求項1又は2の透明スクリーンにおいて,前記光散乱微粒子を粒径0.2〜0.25μmの酸化金属粒子としてなる透明スクリーン。
  4. 光硬化性の透明接着剤に光散乱微粒子を混入し,前記光散乱微粒子の混入した透明接着剤を所定の光透過性及び光散乱反射性を有する透視型スクリーンと板又はフィルム状の透明支持体の対向面間に塗布し且つ光照射により硬化させて透明スクリーンとし,前記混入から硬化までのサイクルを1サイクル毎に前記光散乱微粒子の混入量を変えながら繰り返すことにより所要の光透過性及び光散乱反射性が付与された透明スクリーンを製造してなる透明スクリーンの製造方法。
  5. 請求項の製造方法において,前記透明支持体を対向面に凹凸又はエンボスが施された表面凹凸付き透明支持体とし,前記混入から硬化までのサイクルを1サイクル毎に前記透明接着剤中の光散乱微粒子の混入量と前記凹凸又はエンボスの形状とを変えながら繰り返すことにより所要の光透過性及び光散乱反射性が付与された透明スクリーンを製造してなる透明スクリーンの製造方法。
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