以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、本実施形態では、車両に搭載される走行制御装置を例示して説明する。
≪第1実施形態≫
図1は、本実施形態に係る走行制御装置100の構成を示す図である。図1に示すように、本実施形態に係る走行制御装置100は、センサ110と、自車位置検出装置120と、地図データベース130と、車載機器140と、報知装置150と、入力装置160と、通信装置170と、駆動制御装置180と、制御装置190とを有している。これら装置は、相互に情報の授受を行うためにCAN(Controller Area Network)その他の車載LANによって接続されている。
センサ110は、自車両の走行状態を検出する。たとえば、センサ110として、自車両の前方を撮像する前方カメラ、自車両の後方を撮像する後方カメラ、自車両の前方の障害物を検出する前方レーダー、自車両の後方の障害物を検出する後方レーダー、自車両の側方に存在する障害物を検出する側方レーダー、自車両の車速を検出する車速センサ、およびドライバーを撮像する車内カメラなどが挙げられる。なお、センサ110として、上述した複数のセンサのうち1つを用いる構成としてもよいし、2種類以上のセンサを組み合わせて用いる構成としてもよい。センサ110の検出結果は、制御装置190に出力される。
自車位置検出装置120は、GPSユニット、ジャイロセンサ、および車速センサなどから構成されており、GPSユニットにより複数の衛星通信から送信される電波を検出し、対象車両(自車両)の位置情報を周期的に取得するとともに、取得した対象車両の位置情報と、ジャイロセンサから取得した角度変化情報と、車速センサから取得した車速とに基づいて、対象車両の現在位置を検出する。自車位置検出装置120により検出された対象車両の位置情報は、制御装置190に出力される。
地図データベース130は、各種施設や特定の地点の位置情報を含む地図情報を記憶している。具体的には、合流地点、分岐地点、料金所、車線数の減少位置、サービスエリア(SA)/パーキングエリア(PA)などの位置情報が、地図情報とともに記憶されている。地図データベースに格納された地図情報は、制御装置190により参照可能となっている。
車載機器140は、車両に搭載された各種機器であり、ドライバーにより操作されることで動作する。このような車載機器としては、ステアリング、アクセルペダル、ブレーキペダル、ナビゲーション装置、オーディオ装置、エアーコンディショナー、ハンズフリースイッチ、パワーウィンドウ、ワイパー、ライト、方向指示器、クラクションなどが挙げられる。車載機器140がドライバーにより操作された場合に、その情報が制御装置190に出力される。
報知装置150は、たとえば、ナビゲーション装置が備えるディスプレイ、ルームミラーに組み込まれたディスプレイ、メーター部に組み込まれたディスプレイ、フロントガラスに映し出されるヘッドアップディスプレイ、あるいは、オーディオ装置が備えるスピーカーなどの装置である。報知装置150は、制御装置190の制御に従って、後述する報知情報をドライバーに報知する。
入力装置160は、たとえば、ドライバーの手操作による入力が可能なダイヤルスイッチ、ディスプレイ画面上に配置されたタッチパネル、あるいは、ドライバーの音声による入力が可能なマイクなどの装置である。本実施形態では、ドライバーが入力装置160を操作することで、報知装置150により報知された報知情報に対する応答情報を入力することができる。たとえば、本実施形態では、方向指示器やその他の車載装置のスイッチを入力装置160として用いることもでき、制御装置190が自動で車線変更を行うか否かの問い合わせに対して、ドライバーが方向指示器のスイッチをオンにすることで、車線変更の許可を入力する構成とすることもできる。なお、入力装置160により入力された応答情報は、制御装置190に出力される。
通信装置170は、車両外部の通信機器と通信を行う。たとえば、通信装置170は、他車両との間で車々間通信を行い、路肩に設置された機器との間で路車間通信を行い、あるいは、車両外部に設置された情報サーバとの間で無線通信を行うことで、各種情報を外部機器から取得することができる。なお、通信装置により取得された情報は、制御装置190に出力される。
駆動制御装置180は、自車両の走行を制御する。たとえば、駆動制御装置180は自車両が先行車両に追従する場合には(以下、追従走行制御ともいう)、自車両と先行車両との車間距離が一定距離となるように、加減速度および車速を実現するための駆動機構の動作(エンジン自動車にあっては内燃機関の動作、電気自動車系にあっては電動モータ動作を含み、ハイブリッド自動車にあっては内燃機関と電動モータとのトルク配分も含む)およびブレーキ動作を制御する。また、自車両が先行車両の追い越しなどの車線変更を行う場合には(以下、車線変更制御ともいう。)、ステアリングアクチュエータの動作を制御して、車輪の動作を制御することで、自車両の転回制御を実行する。なお、駆動制御装置180は、後述する制御装置190の指示により自車両の走行を制御する。また、駆動制御装置180による走行制御方法として、その他の周知の方法を用いることもできる。
制御装置190は、自車両の走行を制御するためのプログラムを格納したROM(Read Only Memory)と、このROMに格納されたプログラムを実行するCPU(Central Processing Unit)と、アクセス可能な記憶装置として機能するRAM(Random Access Memory)とから構成される。なお、動作回路としては、CPU(Central Processing Unit)に代えて又はこれとともに、MPU(Micro Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)などを用いることができる。
制御装置190は、ROMに格納されたプログラムをCPUにより実行することにより、自車両の走行状態に関する情報を取得する走行情報取得機能と、自車両の走行シーンを判定する走行シーン判定機能と、自車両の走行を制御する走行制御機能と、車線変更の可否を判断し、車線変更を制御する車線変更制御機能と、を実現する。以下において、制御装置190が備える各機能について説明する。
制御装置190の走行情報取得機能は、自車両の走行状態に関する走行情報を取得する。たとえば、走行情報取得機能は、前方カメラおよび後方カメラにより撮像された車両外部の画像情報や、前方レーダー、後方レーダー、および側方レーダーによる検出結果を、走行情報として取得することができる。また、走行情報取得機能は、車速センサにより検出された自車両の車速情報や、車内カメラにより撮像されたドライバーの顔の画像情報も走行情報として取得することができる。
さらに、走行情報取得機能は、自車両の現在位置の情報を走行情報として自車位置検出装置120から取得することができ、また、合流地点、分岐地点、料金所、車線数の減少位置、サービスエリア(SA)/パーキングエリア(PA)などの位置情報を走行情報として地図データベース130から取得することができる。加えて、走行情報取得機能は、ドライバーによる車載機器140の操作情報を走行情報として車載機器140から取得することもできる。
制御装置190の走行シーン判定機能は、制御装置190のROMに記憶されたテーブルを参照して、自車両が走行している走行シーンを判定する。図2は、走行シーンの判定に用いられるテーブルの一例を示す図である。図2に示すように、テーブルには、車線変更に適した走行シーンとその判定条件が、走行シーンごとに記憶されている。走行シーン判定機能は、図2に示すテーブルを参照して、自車両の走行シーンが、車線変更に適した走行シーンであるか否かを判定する。
たとえば、図2に示す例では、「先行車両への追いつきシーン」の判定条件として、「前方に先行車両を検知」、「先行車両の車速<自車両の車速」、「先行車両への到達が所定時間以内」、かつ「車線変更の方向が車線変更禁止条件になっていない」の4つの条件が設定されている。また、走行シーン判定機能は、たとえば、前方カメラや前方レーダーによる検出結果、車速センサにより検出された自車両の車速、および自車両の位置情報などに基づいて、自車両が上記条件を満たすか否かを判断し、上記条件を満たす場合に、自車両が「先行車両への追いつきシーン」であると判定する。同様に、走行シーン判定機能は、シーン判定テーブルに登録された全ての走行シーンについて判定条件を満たすか否かを判定する。
なお、車線変更禁止条件としては、たとえば、「車線変更禁止区域を走行している」、「車線変更方向に障害物が存在する」、「センターライン(道路中央線)を跨ぐごととなる」、および「路肩に入る、または、道路端を跨ぐこととなる」などを挙げられることができる。また、「緊急退避シーン」において路肩などでの緊急停車を認めている道路では、「緊急退避シーン」において、「路肩に入る、または、道路端を跨ぐこととなる」との条件を許容する構成とすることもできる。なお、図2に示すテーブルのうち、車線変更の必要度、制限時間、および車線変更の方向については後述する。
また、走行シーン判定機能は、自車両の走行シーンが複数の走行シーンに該当する場合には、車線変更の必要度が高い方の走行シーンを、自車両の走行シーンとして判定することができる。たとえば、図2に示す例において、自車両の走行シーンが、「先行車両の追いつきシーン」および「目的地への車線乗換シーン」に該当するものとする。また、この場合において、「先行車両の追いつきシーン」における車線変更の必要度X1が、「目的地への車線乗換シーン」における車線変更の必要度X8よりも低いものとする(X1<X8)。この場合、走行シーン判定機能は、車線変更の必要度がより高い「目的地への車線乗換シーン」を、自車両の走行シーンとして判定することができる。
制御装置190の走行制御機能は、自車両の走行を制御する。たとえば、走行制御機能は、センサ110の検出結果に基づいて、自車両が走行する車線(以下、自車線ともいう。)のレーンマークを検出し、自車両が自車線内に走行するように、自車両の幅員方向における走行位置を制御するレーンキープ制御を行う。この場合、走行制御機能は、自車両が適切な走行位置を走行するように、駆動制御装置180にステアリングアクチュエータなどの動作を制御させることができる。また、走行制御機能は、先行車両と一定の車間距離を空けて、先行車両に自動で追従する追従走行制御を行うこともできる。この場合、走行制御機能は、自車両と先行車両とが一定の車間距離で走行するように、駆動制御装置180に、エンジンやブレーキなどの駆動機構の動作を制御させることができる。なお、以下においては、レーンキープ制御および追従走行制御を含めて、自動走行制御として説明する。
制御装置190の車線変更制御機能は、自車両の走行シーンや、自車両の周辺に存在する障害物の情報に基づいて、車線変更を行うか否かを判断する。また、車線変更制御機能は、車線変更を行うと判断した場合には、駆動制御装置180に、ステアリングアクチュエータの動作を制御させることができる。なお、車線変更制御機能による車線変更の制御方法の詳細については後述する。
続いて、図3〜図5を参照して、第1実施形態に係る車線変更制御処理について説明する。図3〜図5は、第1実施形態に係る車線変更制御処理を示すフローチャートである。なお、以下に説明する車線変更制御処理は、制御装置190により実行される。また、以下においては、制御装置190の走行制御機能により、自車両が先行車両に追従する追従走行制御が行われているものとして説明する。
まず、ステップS101では、走行情報取得機能により、自車両の走行状態に関する走行情報の取得が行われる。また、ステップS102では、走行シーン判定機能により、ステップS101で取得された走行情報に基づいて、自車両の走行シーンの判定が行われる。
ステップS103では、走行シーン判定機能により、ステップS102で判定された自車両の走行シーンが、車線変更に適した走行シーンであるか否かの判断が行われる。具体的には、走行シーン判定機能は、自車両の走行シーンが、図2に示すいずれかの走行シーンである場合に、自車両の走行シーンが、車線変更に適した走行シーンであると判定する。自車両の走行シーンが車線変更に適した走行シーンではない場合には、ステップS101に戻り、走行シーンの判定が繰り返される。一方、自車両の走行シーンが車線変更に適した走行シーンである場合には、ステップS104に進む。
ステップS104では、車線変更制御機能により、対象範囲の検出が行われる。本実施形態において、車線変更制御機能は、前方カメラおよび後方カメラにより撮像された車両外部の画像情報や、前方レーダー、後方レーダー、および側方レーダーによる検出結果を含む走行情報に基づいて、自車両の周辺に存在する障害物を検出する。そして、車線変更制御機能は、自車両の側方に位置し、かつ、障害物が存在しない範囲を、対象範囲として検出する。なお、対象範囲とは、自車両が現在の速度で走行した場合の走行位置を基準とする相対的な範囲であり、自車両の周囲に存在する他車両が自車両と同じ速度で直進する場合には、対象範囲は変化しないこととなる。また、「自車両の側方」とは、自車両が車線変更する場合に、車線変更の目標位置(なお、この目標位置も自車両が現在の速度で走行した場合の走行位置を基準した相対位置となる。)としてとり得る範囲であり、その範囲(方向、広さ、角度など)は適宜設定することができる。以下に、図6A〜図6Cを参照して、対象範囲の検出方法について説明する。なお、図6A〜図6Cは、対象範囲を説明するための図である。
図6A(A)に示す場面例では、自車線に隣接する隣接車線に障害物である他車両が存在していない。そのため、車線変更制御機能は、この隣接車線を対象範囲として検出することができる。なお、路肩は、原則、車線変更を行うことができない範囲であるため、対象範囲からは除かれる。ただし、自車両の走行シーンが「緊急退避シーン」であり、緊急時に路肩への停車などが許容されている道路においては、路肩を対象範囲に含めることができる(以下、同様。)。
また、図6A(B)に示す場面例では、隣接車線に障害物である他車両が存在している。ただし、自車両よりも前方の他車両と後方の他車両との間に、他車両が存在しない範囲があり、車線変更制御機能は、この範囲を対象範囲として検出することができる。さらに、図6A(C)に示す場面例では、図6A(B)に示す場面と同様に隣接車線に他車両が存在しない範囲があるとともに、隣接車線のさらに向こう隣の車線(以下、隣隣接車線ともいう。)においても、前方および後方の他車両の間に他車両が存在しない範囲がある。この場合、車線変更制御機能は、隣接車線において他車両が存在しない範囲と、隣隣接車線において他車両が存在しない範囲とを、対象範囲として検出することができる。
さらに、車線変更制御機能は、図6B(D)に示すように、工事区間など、自車両が走行できない範囲を、対象範囲から除いて、対象範囲を検出する。自車両が走行できない範囲としては、工事区間の他に、他車両が駐車または停車している範囲や、交通規制などにより車両の走行が禁止されている範囲などがある。なお、図6B(D)に示すように、工事区間などにより自車両が走行できない範囲が、たとえば隣接車線の半分以上(幅員方向において半分以上)である場合には、残りの半分未満の範囲を対象範囲として検出しない構成とすることもできる。
また、図6B(E)に示すように、隣接車線において他車両が連続しており、隣接車線に車線変更可能なスペースがない場合には、車線変更制御機能は、対象範囲を検出できないと判断することができる。
さらに、図6C(F)に示す場面例では、隣接車線から隣隣接車線への車線変更が禁止されている道路を、自車両が走行している場面を例示している。このような道路において、車線変更制御機能は、車線変更が可能な隣接車線において、障害物が存在しない範囲を、対象範囲として検出する。すなわち、この場合、車線変更を行うことができない隣隣接車線は、対象範囲として検出されないこととなる。また、図6C(G)に示す場面例では、自車両が、対向車線を有する道路を走行している場面を例示している。このような道路において、車線変更制御機能は、自車両が走行可能な、自車両の進行側の車線のみにおいて、対象範囲を検出する。すなわち、この場合、対向車線においては、対象範囲は検出されないこととなる。
なお、本実施形態において、車線変更制御機能は、左右方向のうち、自車両の走行シーンにおいて車線変更に適した方向で対象範囲を検出する。本実施形態では、各走行シーンにおいて車線変更に適した方向が、図2に示すテーブルに予め記憶されている。車線変更制御機能は、図2に示すテーブルを参照して、自車両の走行シーンにおける「車線変更の方向」の情報を取得する。たとえば、自車両の走行シーンが「先行車両への追いつきシーン」である場合、車線変更制御機能は、図2を参照して、「車線変更の方向」として「追い越し車線側」を取得する。そして、車線変更制御機能は、取得した「車線変更の方向」において対象範囲を検出する。たとえば、自車両の走行シーンが「先行車両への追いつきシーン」である場合、車線変更制御機能は、「追い越し車線側」、すなわち、追い越し車両の走行が推奨される車線側(たとえば図6A〜図6Dに示す例では右側)において、対象範囲を検出する。これにより、車線変更制御機能は、自車両の走行シーンにおいて適した車線変更の方向において対象範囲を検出することができる。
また、車線変更制御機能は、自車両の側方において、対象範囲を検出する。たとえば、隣接車線に障害物が存在しない範囲が検出される場合でも、当該範囲が自車両の現在位置から所定距離以上離れており、自車両の後方側または前方側に位置する場合には、このような範囲に車線変更を行うことは困難であるため、対象範囲としては検出されない。
ステップS105では、車線変更制御機能により、車線変更の目標位置の設定が行われる。たとえば、車線変更制御機能は、図7に示すように、ステップS104で検出した隣接車線の対象範囲内の位置であり、自車両の位置よりも少し後方にずれた位置を、車線変更の目標位置として設定することができる(たとえば、図7において、破線で示す車両の位置)。車線変更の目標位置は、自車両が走行する位置に対する相対位置である。すなわち、自車両が現在の速度のまま走行した場合の位置を基準位置とした場合に、基準位置よりも少し後側方となる位置を、車線変更の目標位置として設定することができる。これにより、自車両を車線変更の目標位置に移動させる際に、自車両を加速させることなく、自車両を隣接車線に車線変更させることができる。なお、図7は、車線変更の目標位置の設定方法を説明するための図である。
また、車線変更制御機能は、隣接車線の対象範囲内に自車両が移動可能な範囲があることや、自車両の周囲に対象範囲に進入する可能性のある他車両が存在しないことなど、車線変更のしやすさを加味して、車線変更の目標位置を設定することができる。たとえば、車線変更制御機能は、対象範囲の周囲に存在する他車両が対象範囲の方向にウィンカーを出している場合や、対象範囲側に寄って走行している場合には、他車両が対象範囲に進入する可能性があると判断し、他車両が進入する可能性がより少ない対象範囲内の別の位置を、目標位置として設定することができる。なお、車線変更の目標位置を隣接車線の対象範囲のうち自車両よりも後方の位置に設定する構成を例示したが、車線変更の目標位置を隣接車線の対象範囲のうち自車両よりも前方の位置に設定する構成としてもよい。また、ステップS105においては、車線変更の目標位置に代えて、車線変更を行うための目標経路を設定する構成としてもよい。
ステップS106では、車線変更制御機能により、車線変更の所要時間T1の予測が行われる。たとえば、車線変更制御機能は、自車両の車速や加速度に基づいて、自車両の現在位置から車線変更の目標位置までの移動に要する時間を所要時間T1として予測することができる。
ステップS107では、車線変更制御機能により、ステップS106で予測した所定時間T1後における対象範囲が予測される。具体的には、車線変更制御機能は、自車両の周辺に存在する他車両の速度および加速度に基づいて、所定時間T1後の他車両の走行位置を予測する。たとえば、車線変更制御機能は、他車両の位置情報を繰り返し検出することで、図8(A)に示すように、他車両の速度ベクトルv0、加速度ベクトルa0、および位置ベクトルp0を計測する。
ここで、図8(A)に示すように、自車両の進行方向をX軸、幅員方向をY軸とした場合、他車両の速度ベクトルv0は、下記式(1)で表される。
v0=vx0i+vy0j ・・・(1)
なお、上記式(1)において、vx0は他車両の速度ベクトルのうちX軸方向の速度成分であり、vy0は他車両の速度ベクトルのうちY軸方向の速度成分である。また、iはX軸方向の単位ベクトルであり、jはY軸方向の単位ベクトルである(下記式(2),(3),(6)においても同様。)。
また、他車両の加速度ベクトルa0は、下記式(2)に示すように求めることができ、他車両の位置ベクトルp0は、下記式(3)に示すように求めることができる。
a0=ax0i+ay0j ・・・(2)
p0=px0i+py0j ・・・(3)
なお、上記式(2)において、ax0は他車両の加速度ベクトルのうちX軸方向の加速度成分であり、ay0は他車両の加速度ベクトルのうちY軸方向の加速度成分である。また、上記式(3)において、px0は他車両の位置ベクトルのうちX軸方向の位置成分であり、py0は他車両の位置ベクトルのうちY軸方向の位置成分である。
そして、車線変更制御機能は、図8(B)に示すように、所定時間T1後における他車両の位置ベクトルpT1を算出する。具体的には、車線変更制御機能は、下記式(4)〜(6)に基づいて、所定時間T1後における他車両の位置ベクトルpT1を算出する。
pxT1=px0+vx0T1+1/2(ax0T1)2 ・・・(4)
pyT1=py0+vy0T1+1/2(ay0T1)2 ・・・(5)
pT1=pxT1i+pyT1j ・・・(6)
なお、上記式(4),(5)において、pxT1は、所定時間T1後の他車両の位置ベクトルpT1のうちX軸方向の位置成分であり、pyT1は、所定時間T1後の他車両の位置ベクトルpT1のうちY軸方向の位置成分である。また、vx0T1は所定時間T1後における他車両のX軸方向の移動速度であり、vy0T1は所定時間T1後における他車両のY軸方向の移動速度である。さらに、ax0T1は所定時間T1後における他車両のX軸方向における加速度であり、ay0T1は所定時間T1後における他車両のY軸方向における加速度である。
そして、車線変更制御機能は、自車両の周囲に存在する全ての他車両について、所定時間T1後における位置を予測する。そして、車線変更制御機能は、所定時間T1後の他車両の位置に基づいて、所定時間T1後の対象範囲を予測する。また、車線変更制御機能は、所定時間T1後の車線規制状況、路上障害物の存在、隣接車線の閉塞の有無、および工事区間など自車両が移動できない区間の存在などをさらに加味して、所定時間T1後の対象範囲を予測することができる。なお、車線変更制御機能は、ステップS104と同様に、所定時間T1後の対象範囲を予測することができる。
ステップS108では、車線変更制御機能により、ステップS104で検出された現在の対象範囲と、ステップS107で予測された所定時間T1後の対象範囲とに基づいて、所定時間T1後に、隣接車線において対象範囲が小さくなるか否かの予測が行われる。ここで、図9は、対象範囲が小さくなるか否かの予測方法を説明するための図である。
たとえば、図9に示す例において、現在の対象範囲が(A)に示す対象範囲であり、所定時間T1後の対象範囲が(B)に示す対象範囲であるとする。この場合、車線変更制御機能は、現在の対象範囲(A)と、所定時間T1後の対象範囲(B)とを比較し、所定時間T1後に、隣接車線における対象範囲が小さくなるか否かを判断する。具体的には、車線変更制御機能は、現在の対象範囲(A)と、所定時間T1後の対象範囲(B)とを重ね合わせ、現在の隣接車線の対象範囲の大きさが、所定時間T1後の隣接車線の対象範囲の大きさよりも大きい場合に、所定時間T1後に、隣接車線において対象範囲が小さくなると予測する。そして、隣接車線における対象範囲が所定時間T1後に小さくなると予測された場合には、ステップS109に進み、所定時間T1後に対象範囲が小さくなる旨の報知情報が報知される。たとえば、車線変更制御機能は、報知装置150が有するディスプレイやスピーカーを用いて、所定時間T1後に対象範囲が小さくなる旨の警報を報知することができる。
また、ステップS108において、車線変更制御機能は、現在の対象範囲(A)と所定時間T1後の対象範囲(B)とを比較し、図9(C)に示すように、所定時間T1後に対象範囲から消失する範囲、すなわち、現在の対象範囲(A)に含まれるが、所定時間T1後の対象範囲(B)に含まれない範囲を、消失範囲として特定する。また、車線変更制御機能は、現在の対象範囲(A)と所定時間T1後の対象範囲(B)とを比較し、図9(C)に示すように、所定時間T1後に対象範囲に追加される範囲、すなわち、現在の対象範囲(A)に含まれないが、所定時間T1後の対象範囲(B)に含まれる範囲を、追加範囲として特定する。
そして、車線変更制御機能は、消失範囲または追加範囲が特定された場合には、ステップS109において、消失範囲または追加範囲の情報を含む報知情報を、ドライバーに報知する構成とすることができる。たとえば図9(C)に示す場面において、車線変更制御機能は、図10に示すように、報知装置150のディスプレイに、消失範囲と追加範囲とを異なる表示態様で表示することができる。これにより、消失範囲と追加範囲とをドライバーに適切に把握させることができる。なお、図10は、報知装置150のディスプレイに表示される報知情報の一例を示す図である。
なお、車線変更制御機能は、所定時間T1後に対象範囲の大きさが所定の範囲以上小さくなった場合のみに、対象範囲が小さくなる旨の報知情報を報知する構成とすることができる。また、車線変更制御機能は、消失範囲や追加範囲の大きさが所定の大きさ以上である場合に、消失範囲や追加範囲を報知する構成とすることができる。また、車線変更制御機能は、消失範囲の大きさに応じて、消失範囲または所定時間T1後の対象範囲の表示態様を変更することもできる。たとえば、車線変更制御機能は、消失範囲の大きさが所定の範囲以上である場合と、消失範囲の大きさが所定の範囲未満である場合とで、消失範囲または所定時間T1後の対象範囲の表示態様を変更することができる。たとえば、車線変更制御機能は、消失範囲の大きさが所定の範囲未満である場合には、消失範囲または所定時間T1後の対象範囲を緑色などで表示し、消失範囲の大きさが所定の範囲以上である場合には、消失範囲または所定時間T1後の対象範囲を赤色などで強調して表示する構成とすることができる。また、車線変更制御機能は、消失範囲の大きさが所定の範囲以上である場合には、消失範囲または所定時間T1後の対象範囲を点滅表示する構成とすることができる。加えて、消失範囲の大きさが所定の範囲以上である場合には、インジケータに設けられた所定の警告ランプを点灯させる構成としてもよい。さらに、報知装置150がスピーカーである場合には、消失範囲の大きさが所定の範囲以上である場合に、消失範囲の大きさが所定の範囲未満である場合と比べて、ドライバーの注意を引く音色や音量の音を出力する構成としてもよい。また、車線変更制御機能は、対象範囲が小さくなる速度に応じて、消失範囲の表示態様を変更することもできる。たとえば、車線変更制御機能は、対象範囲が小さくなる速度が所定速度以上である場合には、消失範囲または所定時間T1後の対象範囲を赤色や点滅表示などで強調表示する構成とすることができる。
ステップS110では、車線変更制御機能により、要求範囲の情報の取得が行われる。要求範囲とは、自車両が車線変更を行う際に必要な大きさの範囲であり、少なくとも自車両が路面に占める大きさ以上の大きさを有する範囲である。詳細は後述するが、本実施形態では、車線変更の目標位置に要求範囲を設定した場合に、隣接車線の対象範囲が要求範囲を含む場合に、隣接車線の対象範囲に要求範囲に相当するスペースが存在すると判断し、車線変更が許可される。本実施形態では、制御装置190のメモリに要求範囲の形状、大きさを含む情報が記憶されており、車線変更制御機能は、制御装置190のメモリから要求範囲の情報を取得することができる。
ステップS111では、車線変更制御機能により、ステップS110で取得された要求範囲の補正が行われる。車線変更制御機能は、以下に説明する条件のうち、いずれか1つ、または、2以上の条件を組み合わせて、要求範囲を補正することができる。
第1に、車線変更制御機能は、自車両の走行シーンにおける車線変更の必要度に応じて、要求範囲を補正することができる。本実施形態では、各走行シーンにおける車線変更の必要度が、図2に示すテーブルに予め記憶されている。車線変更制御機能は、図2に示すテーブルを参照して、自車両の走行シーンにおける車線変更の必要度を取得する。たとえば、「先行車両への追いつきシーン」において、車線変更制御機能は、図2に示すテーブルを参照して、車線変更の必要度として“X1”を取得することができる。そして、車線変更制御機能は、車線変更の必要度X1が高い場合(車線変更の必要度が所定値以上である場合)には、車線変更の必要度が低い場合(車線変更の必要度が所定値未満である場合)と比べて、要求範囲の長さを自車両の進行方向に短くすることで、要求範囲を自車両の進行方向に小さくすることができる。たとえば、車線変更制御機能は、図11に示す例において、(A)が補正前の要求範囲である場合に、車線変更の必要度X1が高い場合(車線変更の必要度が所定値st1以上である場合)には、(B)に示すように、要求範囲を自車両の進行方向に小さくすることができる。なお、車線変更制御機能は、要求範囲が、自車両が路面を占める範囲よりも小さくならない範囲で、要求範囲を補正する。また、車線変更制御機能は、自車両の走行シーンにおける車線変更の必要度が大きいほど、要求範囲を小さくする構成とすることもできる。さらに、図示していないが、車線変更制御機能は、車線変更の必要度X1が低い場合(車線変更の必要度が所定値st2(st1>st2)未満である場合)に、補正前の要求範囲と比べて、要求範囲を自車両の進行方向に大きくする構成とすることもできる。
第2に、車線変更制御機能は、隣接車線のさらに隣の車線(隣隣接車線)において他車両が存在しない対象範囲を検出し、検出した隣隣接車線の対象範囲に基づいて、要求範囲を補正することができる。たとえば、車線変更制御機能は、隣隣接車線の対象範囲内において、隣接車線を走行する他車両(以下、隣接車両ともいう)が車線変更可能なスペース(たとえば、要求範囲に相当するスペース)を検出し、隣隣接車線において隣接車両が車線変更可能なスペースを検出できた場合に、要求範囲を小さくすることができる。具体的には、車線変更制御機能は、隣隣接車線において隣接車両が車線変更可能なスペースを検出できた場合に、要求範囲の長さを自車両の進行方向に短くすることで、要求範囲を自車両の進行方向に小さくする。たとえば、図12に示す例において、(A)が補正前の要求範囲である場合、車線変更制御機能は、(B)に示すように、隣隣接車線内に隣接車両が車線変更可能なスペースを検出できた場合には、要求範囲の長さを自車両の進行方向に短くすることで、要求範囲を自車両の進行方向に小さくすることができる。また、車線変更制御機能は、隣隣接車線において隣接車両が車線変更可能なスペースが大きいほど、要求範囲を自車両の進行方向に小さくする構成とすることができる。
第3に、車線変更制御機能は、隣接車線を走行する他車両(隣接車両)の幅員方向における走行位置に基づいて、要求範囲を補正することができる。具体的には、車線変更制御機能は、隣接車両の幅員方向における走行位置を検出し、隣接車両の幅員方向における走行位置が隣接車線の中央よりも自車線側に寄っている場合には、要求範囲を自車両の進行方向に長くすることで、要求範囲を大きくする。より具体的には、車線変更制御機能は、隣接車両が自車両よりも前方を走行する場合には、要求範囲の長さを自車両の前方方向に長くし、隣接車両が自車両よりも後方を走行する場合には、要求範囲の長さを自車両の後方方向に長くする。たとえば、図13Aに示す例において、(A)が補正前の要求範囲である場合、車線変更制御機能は、(B)に示すように、隣接車両が自車両よりも前方を隣接車線の中央よりも自車線側に寄って走行する場合には、要求範囲を前方に大きくし、(C)に示すように、隣接車両が自車両よりも後方を隣接車線の中央よりも自車線側に寄って走行する場合には、要求範囲を後方に大きくすることができる。また、車線変更制御機能は、隣接車両が自車線側に寄っているほど(隣接車線の自車両側のレーンマークから隣接車両までの幅員方向における距離が短いほど)、要求範囲を自車両の進行方向に大きくする構成とすることもできる。
また、車線変更制御機能は、隣接車両の幅員方向における走行位置が隣接車線の中央よりも自車線の反対側に寄っている場合には、要求範囲を自車両の進行方向に短くすることで、要求範囲を小さくする。より具体的には、車線変更制御機能は、隣接車両が自車両よりも前方を走行する場合には、要求範囲を前方から小さくし、隣接車両が自車両よりも後方を走行する場合には、要求範囲を後方から小さくする。たとえば、図13Bに示す例において、(A)が補正前の要求範囲である場合、車線変更制御機能は、(B)に示すように、隣接車両が、自車両よりも前方を、隣接車線の中央よりも自車線の反対側に寄って走行する場合には、要求範囲を前方から小さくし、(C)に示すように、隣接車両が、自車両よりも後方を、隣接車線の中央よりも自車線の反対側に寄って走行する場合には、要求範囲を後方から小さくすることができる。また、車線変更制御機能は、隣接車両が自車線の反対側に寄っているほど(隣接車線の自車両側のレーンマークから隣接車両までの幅員方向における距離が長いほど)、要求範囲を自車両の進行方向に小さくする構成とすることもできる。
第4に、車線変更制御機能は、隣接車線を走行する他車両(隣接車両)のウィンカーの点灯状態に基づいて、要求範囲を補正することができる。具体的には、車線変更制御機能は、隣接車両のウィンカーの点灯状態を検出し、自車線側のウィンカーが点灯している場合には、要求範囲を自車両の進行方向に長くすることで、要求範囲を大きくする。より具体的には、車線変更制御機能は、自車両よりも前方を走行する隣接車両が自車線側のウィンカーを点灯している場合には、要求範囲の長さを自車両の前方方向に長くし、自車両よりも後方を走行する隣接車両が自車線側のウィンカーが点灯している場合には、要求範囲の長さを自車両の後方方向に長くする。たとえば、図14Aに示す例において、(A)が補正前の要求範囲である場合、車線変更制御機能は、(B)に示すように、隣接車両が自車両よりも前方を自車線側のウィンカーを点灯しながら走行する場合には、要求範囲を前方に大きくすることができる。また、車線変更制御機能は、(C)に示すように、隣接車両が自車両よりも後方を自車線側のウィンカーを点灯しながら走行する場合には、要求範囲を後方に大きくすることができる。
また、車線変更制御機能は、隣接車両が自車線と反対側のウィンカーを点灯している場合には、要求範囲を自車両の進行方向に短くすることで、要求範囲を小さくする。より具体的には、車線変更制御機能は、自車両よりも前方を走行する隣接車両が自車線と反対側のウィンカーを点灯している場合には、要求範囲を前方から小さくし、自車両よりも後方を走行する隣接車両が自車線と反対側のウィンカーを点灯している場合には、要求範囲を後方から小さくする。たとえば、図14Bに示す例において、(A)が補正前の要求範囲である場合、車線変更制御機能は、(B)に示すように、隣接車両が自車両よりも前方を自車線と反対側のウィンカーを点灯しながら走行する場合には、要求範囲を前方から小さくすることができる。また、車線変更制御機能は、(C)に示すように、隣接車両が自車両よりも後方を自車線と反対側のウィンカーを点灯しながら走行する場合には、要求範囲を後方から小さくすることができる。
第5に、車線変更制御機能は、隣接車線を走行する他車両(隣接車両)の速度、加速度に基づいて、要求範囲を補正することができる。具体的には、車線変更制御機能は、隣接車両の速度および加速度を検出し、たとえば図8に示すように、隣接車両の速度および加速度から、隣接車両が自車両から遠ざかるか否かを予測する。そして、車線変更制御機能は、隣接車両が自車両から遠ざかると予測された場合には、要求範囲を自車両の進行方向に短くすることで、要求範囲を自車両の進行方向に小さくする。より具体的には、車線変更制御機能は、自車両よりも前方を走行する隣接車両が自車両から遠ざかる場合には、要求範囲を前方から小さくし、自車両よりも後方を走行する隣接車両が自車両から遠ざかる場合には、要求範囲を後方から小さくする。
また、車線変更制御機能は、隣接車両が自車両に近づくと予測された場合には、要求範囲を自車両の進行方向に長くすることで、要求範囲を自車両の進行方向に大きくする。より具体的には、車線変更制御機能は、自車両よりも前方を走行する隣接車両が自車両に近づく場合には、要求範囲を前方に大きくし、自車両よりも後方を走行する隣接車両が自車両に近づく場合には、要求範囲を後方に大きくすることができる。
なお、ステップS111において、車線変更制御機能は、要求範囲を補正する構成に代えて、隣接車線の対象範囲を補正する構成とすることもできる。
たとえば、車線変更制御機能は、図11に示すように、自車両の走行シーンにおける車線変更の必要度に応じて要求範囲を補正する構成に代えて、図15に示すように、自車両の走行シーンにおける車線変更の必要度に応じて隣接車線の対象範囲を補正する構成とすることができる。具体的には、車線変更制御機能は、車線変更の必要度が高い場合(車線変更の必要度が所定値以上である場合)には、車線変更の必要度が低い場合(車線変更の必要度が所定値未満である場合)と比べて、隣接車線における対象範囲を自車両の進行方向に長くすることで、隣接車線における対象範囲を自車両の進行方向に大きくすることができる。たとえば、車線変更制御機能は、図15に示す例において、(A)が補正前の隣接車線の対象範囲である場合において、車線変更の必要度が高い場合(車線変更の必要度が所定値以上である場合)には、(B)に示すように、隣接車線の対象範囲を自車両の進行方向に大きくすることができる。また、車線変更制御機能は、自車両の走行シーンにおける車線変更の必要度が高いほど、隣接車線の対象範囲を自車両の進行方向に大きくする構成とすることもできる。
また、車線変更制御機能は、図12に示すように、隣隣接車線における対象範囲に基づいて要求範囲を補正する構成に代えて、図16に示すように、隣隣接車線における対象範囲に基づいて隣接車線の対象範囲を補正する構成とすることができる。たとえば、図16に示す例において、(A)が補正前の隣接車線の対象範囲である場合、車線変更制御機能は、(B)に示すように、隣隣接車線の対象範囲内に隣接車両が車線変更可能なスペース(たとえば、要求範囲に相当するスペース)を検出できた場合には、隣接車線の対象範囲を自車両の進行方向に長くすることで、隣接車線における対象範囲を自車両の進行方向に大きくすることができる。また、車線変更制御機能は、隣隣接車線における対象範囲が大きいほど、隣接車線の対象範囲を自車両の進行方向に大きくする構成とすることもできる。
さらに、車線変更制御機能は、図13A、図13Bに示すように、隣接車線を走行する他車両(隣接車両)の幅員方向における走行位置に基づいて要求範囲を補正する構成に代えて、図17A、図17Bに示すように、隣接車両の幅員方向における走行位置に基づいて対象範囲を補正する構成とすることができる。具体的には、車線変更制御機能は、隣接車両の幅員方向における走行位置を検出し、隣接車両の幅員方向における走行位置が隣接車線の中央よりも自車線側に寄っている場合には、隣接車線の対象範囲を自車両の進行方向に小さくする。より具体的には、車線変更制御機能は、隣接車両が自車両よりも前方を走行する場合には、隣接車線の対象範囲を自車両の前方方向から小さくし、隣接車両が自車両よりも後方を走行する場合には、隣接車線の対象範囲を自車両の後方方向から小さくする。たとえば、図17Aに示す例において、(A)が補正前の隣接車線の対象範囲である場合、車線変更制御機能は、(B)に示すように、隣接車両が自車両よりも前方を自車線側に寄って走行する場合には、隣接車線の対象範囲を前方から小さくすることができる。また、車線変更制御機能は、(C)に示すように、隣接車両が自車両よりも後方を自車線側に寄って走行する場合には、隣接車線の対象範囲を後方から小さくすることができる。また、車線変更制御機能は、隣接車両が自車線側に寄っているほど(隣接車線の自車両側のレーンマークから隣接車両までの幅員方向における距離が短いほど)、隣接車線の対象範囲を自車両の進行方向に小さくする構成とすることもできる。
また、車線変更制御機能は、隣接車両の幅員方向における走行位置が隣接車線の中央よりも自車線の反対側に寄っている場合には、対象範囲を自車両の進行方向に大きくする構成とすることができる。より具体的には、車線変更制御機能は、隣接車両が自車両よりも前方を走行する場合には、対象範囲を自車両の前方方向に大きくし、隣接車両が自車両よりも後方を走行する場合には、対象範囲を自車両の後方方向に大きくする。たとえば、図17Bに示す例において、(A)が補正前の隣接車線の対象範囲である場合、車線変更制御機能は、(B)に示すように、隣接車両が自車両よりも前方を自車線の反対側に寄って走行する場合には、隣接車線の対象範囲を前方に大きくし、(C)に示すように、隣接車両が自車両よりも後方を自車線の反対側に寄って走行する場合には、隣接車線の対象範囲を後方に大きくすることができる。また、車線変更制御機能は、隣接車両が自車線の反対側に寄っているほど(隣接車線の自車両側のレーンマークから隣接車両までの幅員方向における距離が長いほど)、隣接車線の対象範囲を自車両の進行方向に大きくする構成とすることもできる。
加えて、車線変更制御機能は、図14A、図14Bに示すように、隣接車両のウィンカーの点灯状態に基づいて要求範囲を補正する構成に代えて、図18A、図18Bに示すように、隣接車両のウィンカーの点灯状態に基づいて隣接車線における対象範囲を補正する構成とすることができる。具体的には、車線変更制御機能は、隣接車両が自車線側のウィンカーを点灯している場合には、隣接車線の対象範囲を自車両の進行方向に短くすることで、隣接車線の対象範囲を自車両の進行方向に小さくする。より具体的には、車線変更制御機能は、自車両よりも前方を走行する隣接車両が自車線側のウィンカーを点灯している場合には、隣接車線の対象範囲を前方から小さくし、自車両よりも後方を走行する隣接車両が自車線側のウィンカーを点灯している場合には、隣接車線の対象範囲を後方から小さくする。たとえば、図18Aに示す例において、(A)が補正前の隣接車線の対象範囲である場合、車線変更制御機能は、(B)に示すように、隣接車両が自車両よりも前方を自車線側のウィンカーを点灯しながら走行する場合には、隣接車線の対象範囲を前方から小さくすることができる。また、車線変更制御機能は、(C)に示すように、隣接車両が自車両よりも後方を自車線側のウィンカーを点灯しながら走行する場合には、隣接車線の対象範囲を後方から小さくすることができる。
また、車線変更制御機能は、隣接車両が自車線と反対側のウィンカーを点灯している場合には、隣接車線の対象範囲を自車両の進行方向に大きくすることができる。より具体的には、車線変更制御機能は、自車両よりも前方を走行する隣接車両が自車線と反対側のウィンカーを点灯している場合には、隣接車線の対象範囲を前方に大きくし、自車両よりも後方を走行する隣接車両が自車線と反対側のウィンカーを点灯している場合には、対象範囲を後方に大きくする。たとえば、図18Bに示す例において、(A)が補正前の隣接車線の対象範囲である場合、車線変更制御機能は、(B)に示すように、隣接車両が自車両よりも前方を自車線と反対側のウィンカーを点灯しながら走行する場合には、隣接車線の対象範囲を前方に大きくすることができる。また、車線変更制御機能は、(C)に示すように、隣接車両が自車両よりも後方を自車線と反対側のウィンカーを点灯しながら走行する場合には、隣接車線の対象範囲を後方に大きくすることができる。
さらに、車線変更制御機能は、隣接車両の速度、加速度に基づいて要求範囲を補正する構成に代えて、隣接車両の速度、加速度に基づいて隣接車線の対象範囲を補正する構成とすることもできる。具体的には、車線変更制御機能は、隣接車両の速度および加速度から、隣接車両が自車両から遠ざかるか否かを予測し、隣接車両が自車両から遠ざかると予測された場合には、隣接車線の対象範囲を自車両の進行方向に長くすることで、隣接車線の対象範囲を大きくする。より具体的には、車線変更制御機能は、自車両よりも前方を走行する隣接車両が自車両から遠ざかる場合には、隣接車線の対象範囲を前方に大きくし、自車両よりも後方を走行する隣接車両が自車両から遠ざかる場合には、隣接車線の対象範囲を後方に大きくする。
また、車線変更制御機能は、隣接車両が自車線に近づく場合には、隣接車線の対象範囲を自車両の進行方向に短くすることで、隣接車線の対象範囲を自車両の進行方向に小さくすることができる。より具体的には、車線変更制御機能は、自車両よりも前方を走行する隣接車両が自車両に近づく場合には、隣接車線の対象範囲を前方から小さくし、自車両よりも後方を走行する隣接車両が自車両に近づく場合には、隣接車線の対象範囲を後方から小さくすることができる。
なお、以下の処理においては、ステップS111において、要求範囲を補正したものとして説明する。
ステップS112では、車線変更制御機能により、ステップS107で予測した所定時間T1後の隣接車線の対象範囲内に、ステップS111で補正した要求範囲に相当するスペースがあるか否かの判断が行われる。具体的には、車線変更制御機能は、図19(A)に示すように、ステップS105で設定した車線変更の目標位置に、補正した要求範囲を設定する。そして、車線変更制御機能は、所定時間T1後の隣接車線の対象範囲に、補正した要求範囲が含まれるか否かを判断する。たとえば、図19(A)に示す例では、所定時間T1後の隣接車線の対象範囲に補正した要求範囲が含まれていないため、車線変更制御機能は、所定時間T1後の隣接車線の対象範囲内に補正した要求範囲に相当するスペースがないと判断する。一方、車線変更制御機能は、所定時間T1後の隣接車線の対象範囲に補正した要求範囲が含まれる場合には、所定時間T1後の隣接車線の対象範囲内に補正した要求範囲に相当するスペースがあると判断する。所定時間T1後の隣接車線の対象範囲内に補正した要求範囲に相当するスペースがある場合には、図4に示すステップS114に進み、スペースがない場合には、ステップS113に進む。
なお、ステップS113では、所定時間T1後の隣接車線の対象範囲内に補正した要求範囲が含まれず、所定時間T1後の隣接車線の対象範囲内に要求範囲に相当するスペースが検出できないと判断されている。そのため、ステップS113では、車線変更制御機能により、車線変更の目標位置の変更が行われる。具体的には、車線変更制御機能は、所定時間T1後の隣接車線の対象範囲内が、補正された要求範囲を含むように、車線変更の目標位置を再設定する。たとえば、図19(A)に示すように、要求範囲の前方部分が所定時間T1後の隣接車線の対象範囲内に含まれない場合には、車線変更の目標位置を後方に変更する。これにより、図19(B)に示すように、所定時間T1後の隣接車線の対象範囲内に補正された要求範囲が含まれ、所定時間T1後の隣接車線の対象範囲内に要求範囲に相当するスペースが検出できると判断されることとなる。なお、ステップS113の後は、ステップS106に戻り、再度、対象範囲の検出などが行われる。
一方、ステップS112において、所定時間T1後の隣接車線の対象範囲が要求範囲を含むと判断された場合には、図4に示すステップS114に進む。ステップS114では、車線変更制御機能により、車線変更制御の問い合わせ処理が行われる。車線変更制御とは、車線変更を実行するための制御であり、このステップS114では、車線変更を実際に実行する前に、ドライバーに対して、車線変更制御の実行の可否の問い合わせが行われる。そして、ステップS115では、ステップS114の問い合わせに対して、ドライバーが車線変更を許可したか否かの判断が行われる。ドライバーが車線変更を許可した場合には、ステップS116に進み、一方、ドライバーが車線変更を許可しない場合には、ステップS101に戻る。
たとえば、ステップS104において、車線変更制御機能は、「先行車両がいますがどうしますか?」とのメッセージとともに、「追従する」、「車線変更して追い越す」との選択肢を含む問い合わせ情報を、報知装置150が有するディスプレイに表示することができる。これに対して、ドライバーは、入力装置160を介して、いずれかの選択肢を選択することができる。たとえば、ドライバーが「車線変更して追い越す」を選択した場合には、車線変更制御機能は、ステップS115においてドライバーが車線変更を許可したと判断し、ステップS116に進む。一方、ドライバーが「追従する」を選択した場合には、車線変更制御機能は、ステップS115においてドライバーが車線変更を許可していないと判断し、ステップS101に戻る。
また、車線変更制御機能は、「先行車両がいますがどうしますか?」とのメッセージとともに、「追従する」、「車線変更して追い越す」との選択肢を問い合わせ情報として提示するとともに、さらに、「○秒以内に選択ボタンが押されない場合には自動で選択されます」とのメッセージを問い合わせ情報に含めてドライバーに報知することができる。この場合、ドライバーが一定期間内にいずれかの選択肢を選択しない場合には、車線変更制御機能は、「追従する」および「車線変更して追い越す」のうち、予め定めたデフォルト選択肢を自動で選択することができる。デフォルト選択肢は、固有の選択肢であってもよいし、可変に設定できる選択肢であってもよい。たとえば、車線変更制御機能は、デフォルト選択肢が選択されるまでの一定期間において対象範囲が小さくなっている場合には、「追従する」をデフォルト選択肢として設定し、反対に、対象範囲が大きくなっている場合には、「車線変更して追い越す」をデフォルト選択肢として設定する構成とすることができる。また、車線変更制御機能は、ドライバーが選択肢を選択した過去の履歴に基づいて、ドライバーが選択した回数の多い選択肢を、デフォルト選択肢として設定する構成とすることもできる。なお、この場合も、ドライバーが「車線変更して追い越す」を一定時間内に選択した場合には、ステップS116に進み、「追従する」を一定時間内に選択した場合には、ステップS101に戻る。
さらに、車線変更制御機能は、「先行車両を車線変更して追い越し中です。」、「車線変更を中止したい場合は、以下のキャンセルボタンを押してください。」などのメッセージとともに、車線変更を解除するための「キャンセル」ボタンを含む問い合わせ情報を、報知装置150を介してドライバーに報知することができる。この場合、ステップS114で問い合わせ情報が報知された後に、ステップS115ではドライバーが車線変更を許可したものとして扱われ、ステップS117まで進む。そして、ステップS117において、車線変更制御が開始される。なお、ドライバーが「キャンセル」ボタンを押下した場合には、車線変更制御が解除され、ステップS101に戻る。
ステップS116では、車線変更制御機能により、車線変更の制限時間の取得が行われる。本実施形態では、図2に示すように、自車両が各走行シーンにおいて車線変更が困難となる地点に接近するまでの時間が、制限時間としてテーブルに記憶されている。車線変更制御機能は、図2に示すテーブルを参照し、自車両の走行シーンにおける制限時間(Z)を取得する。たとえば、図2に示す例のうち、「先行車両への追いつきシーン」においては、制限時間が、先行車両までの到達時間−α秒として記憶されている。この場合、走行制御機能は、図2に示すテーブルを参照して、先行車両までの到達時間(TTC)を算出し、算出した先行車両までの到達時間(TTC)−α秒を制限時間として取得する。なお、αは所定の秒数(たとえば5秒など)であり、走行シーンごとに適宜設定することもできる。たとえば、先行車両までの到達時間(TTC)が30秒であり、αが5秒である場合には、車線変更の制限時間は25秒となる。
ステップS117では、車線変更制御機能により、車線変更制御が開始される。具体的には、車線変更制御機能は、自車両が、ステップS105またはステップS113で設定した車線変更の目標位置まで移動するように、駆動制御装置180にステアリングアクチュエータの動作の制御を開始させる。
ステップS118〜S122では、ステップS104,S106〜S109と同様に、現在の対象範囲と自車両が目標位置に移動する所要時間T2後の対象範囲の検出が行われ(ステップS118〜S120)、所定時間T2後に対象範囲が小さくなるかの予測が行われる(ステップS121)。所定時間T2後に対象範囲が小さくなると予測された場合には(ステップS121=Yes)、対象範囲が小さくなる旨の報知情報がドライバーに報知される(ステップS122)。
そして、ステップS123では、車線変更制御機能により、ステップS120で予測した所定時間T2後の隣接車線の対象範囲内に、ステップS111で補正した要求範囲に相当するスペースがあるか否かの判断が行われる。車線変更制御機能は、車線変更の目標位置に補正後の要求範囲を設定し、所定時間T2後の隣接車線の対象範囲が、補正された要求範囲を含む場合に、所定時間T2後の隣接車線の対象範囲に要求範囲に相当するスペースがあると判断し、ステップS124に進む。一方、所定時間T2後の隣接車線の対象範囲に要求範囲に相当するスペースがないと判断した場合には、ステップS128に進む。
ステップS124では、車線変更制御機能により、ステップS116で車線変更制御を開始してから、ステップS117で取得した制限時間Zを経過したか否かの判断が行われる。車線変更制御を開始してからの経過時間S1が制限時間Zを超えた場合には、ステップS127に進み、一方、車線変更制御を開始してからの経過時間S1が制限時間Zを超えていない場合には、ステップS125に進む。
ステップS125では、車線変更制御機能により、自車両が車線変更の目標位置に到達したか否かの判断が行われる。自車両が車線変更の目標位置に到達した場合には、ステップS126で車線変更制御を終了し、この車線変更制御処理を終了する。これにより、自車両の車線変更が完了される。一方、自車両が車線変更の目標位置に到達していない場合には、ステップS118に戻り、車線変更制御が継続される。
また、ステップS124において、車線変更制御を開始してからの経過時間S1が制限時間Zを超えた場合、すなわち、車線変更制御を開始してから制限時間Zが経過しても車線変更の目標位置に到達できない場合には、ステップS127に進む。ステップS127では、車線変更制御機能により、車線変更制御の中止処理が行われる。具体的には、車線変更制御機能は、車線変更制御を中止する旨の情報を、ドライバーに報知する。たとえば、車線変更制御機能は、報知装置150を介して、「タイムアウトのため車線変更を中断します」とのメッセージをドライバーに報知することができる。その後、ステップS126で車線変更制御を終了し、ステップS101に戻る。また、車線変更制御の中止処理において、車線変更制御機能は、自車両の幅員方向における走行位置を、車線変更制御の終了時の位置のままとしてもよいし、車線変更制御開始時の位置まで戻す構成としてもよい。車線変更制御開始時の位置まで戻す場合には、たとえば、「タイムアウトのため元の位置に戻ります」などのメッセージをドライバーに報知する構成としてもよい。
また、車線変更制御の中止処理において、車線変更制御機能は、現在の走行状態を維持したまま、ドライバーに車線変更を継続するかどうかを確認し、ドライバーが車線変更の継続を所望した場合には、制限時間Zを延長する構成とすることができる。たとえば、車線変更制御機能は、「タイムアウトしましたが、車線変更を継続しますか」とのメッセージと、「継続しない」および「継続する」との選択肢とを含む報知情報をドライバーに提示することができる。この場合、車線変更制御機能は、ドライバーが「継続する」の選択肢を選択した場合に、制限時間Zを延長した後、ステップS118に戻り、一方、ドライバーが「継続しない」の選択肢を選択した場合には、ステップS126で車線変更制御が終了される。
さらに、車線変更制御機能は、ドライバーに車線変更を継続するかどうかを確認する際に、回答時間を設けて、回答時間内にドライバーからの応答がない場合に、デフォルト選択肢を自動で実行する構成としてもよい。たとえば、「タイムアウトしましたが、車線変更を継続しますか」とのメッセージ、「継続しない」および「継続する」との選択肢に加えて、「○○秒以内に選択ボタンが押されない場合には自動で選択されます」とのメッセージを、問い合わせ情報に含めてドライバーに報知することができる。回答時間およびデフォルト選択肢は、固有の時間または選択肢としてもよいし、可変に設定される構成としてもよい。たとえば、回答時間およびデフォルト選択肢を可変に設定する例としては、対象範囲が小さくなっている場合には、回答時間を短くし、あるいは、「継続しない」をデフォルト選択肢に設定する構成とすることができる。また、ドライバーの過去の履歴から、ドライバーが過去に選択肢を選択した回数が少ない場合には回答時間を短くし、また、ドライバーが選択した回数の多い選択肢をデフォルト選択肢とすることができる。なお、「継続する」の選択肢が選択された場合には、制限時間Zを延長した後、ステップS118に戻り、「継続しない」の選択肢が選択された場合には、ステップS126で車線変更制御が終了される。
また、車線変更制御の中止処理において、車線変更制御機能は、車線変更を自動で継続するとともに、ドライバーには車線変更を中止する方法を報知する構成とすることもできる。たとえば、車線変更制御機能は、「タイムアウトしましたが、車線変更を継続します。」、「車線変更を中止したい場合は、以下のキャンセルボタンを押して下さい。」などのメッセージともに、車線変更を解除するための「キャンセル」ボタンを含む報知情報を、報知装置150を介してドライバーに報知することができる。この場合、「キャンセル」ボタンが押されない場合には、制限時間Zが延長された後、ステップS118に戻る。一方、「キャンセル」ボタンが押された場合には、ステップS126で車線変更制御が終了される。
なお、車線変更制御の中止処理において、制限時間Zを延長して、車線変更を継続する場合には、車線変更を継続可能な時間内において制限時間Zが延長される。たとえば、自車両の走行シーンが「合流地点に近くづくシーン」であり、合流地点まで10秒であり、制限時間Zが7秒である場合に、車線変更制御機能は、制限時間Zである7秒を超える場合に、たとえば9秒まで制限時間Zを延長し、車線変更を継続することができる。また、この場合において、延長後の制限時間Z(9秒)を超える場合に、車線変更制御は終了される。
このように、車線変更制御を開始してからの経過時間S1が制限時間Zを超える場合に車線変更制御の中止処理を行うことで、車線変更制御を開始してから制限時間Zが経過しても車線変更が行われないために、ドライバーの車線変更の意思が変化し、ドライバーが車線変更を望まなくなった後に車線変更が行われることや、ドライバーが忘れた頃に車線変更が行われることで、ドライバーに違和感を与えてしまうことを有効に防止することができる。
また、ステップS123において、所定時間T2後の隣接車線の対象範囲に要求範囲に相当するスペースがないと判断された場合には、ステップS128に進む。すなわち、車線変更制御を開始するステップS112の時点においては隣接車線の対象範囲に要求範囲に相当するスペースがあったが、車線変更制御の開始後に、隣接車線の対象範囲内に要求範囲に相当するスペースがなくなった場合には、ステップS128に進む。なお、ステップS123においては、車線変更制御を開始するステップS112の時点における隣接車線の対象範囲が、ステップS123の時点において小さくなった場合に、ステップS128に進む構成とすることもできる。ステップS128では、車線変更において自車両が跨ぐレーンマーク(以下、対象レーンマークともいう。)と、自車両との幅員方向における位置関係の検出が行われる。
たとえば、図20は、自車両が、図において矢印で示す方向に(図中、左側の車線から右側の車線へと)車線変更を行う場面を例示している。この場合、車線変更制御機能は、図20(A)に示すように、自車両の一部も対象レーンマークを跨いでいない状態、図20(B)に示すように、自車両の一部が対象レーンマークを跨いでいるが自車両の中心線はレーンマークを跨いでいない状態、図20(C)に示すように、自車両の全体がレーンマークを跨いでいないが自車両の中心線はレーンマークを跨いでいる状態、図20(D)に示すように、自車両の全体がレーンマークを跨いでいる状態のいずれの状態であるかを判断する。
ステップS129では、車線変更制御機能により、ステップS128で判定した対象レーンマークと自車両との幅員方向における位置関係に基づいて、車線変更を中止または継続するための制御処理が行われる。具体的には、車線変更制御機能は、対象レーンマークと自車両との幅員方向における位置関係に基づいて、(a)車線変更を中止または継続する際のドライバーへの情報の提示方法、(c)車線変更を中止または継続した後の制御、(d)車線変更を中止または継続した場合の自車両の走行位置を決定する。
たとえば、車線変更制御機能は、(a)車線変更を中止または継続する際のドライバーへの情報の提示方法として、(a1)時間制限なしでドライバーに車線変更の中止または継続の選択肢を選択させるための情報を提示し、ドライバーがいずれかの選択肢を選択した場合に、ドライバーが選択した選択肢の制御(車線変更の中止または継続)を実行する、(a2)時間制限つきでドライバーに車線変更の中止または継続の選択肢を選択させるための情報を提示し、制限時間内にドライバーがいずれかの選択肢を選択した場合には、ドライバーが選択した選択肢の制御(車線変更の中止または継続)を実行し、制限時間内にドライバーがいずれの選択肢も選択しない場合には、車線変更制御の中止および継続のうち予め定められた選択肢の方の制御(デフォルト制御)を実行する、(a3)自動で車線変更の中止または継続を実行し、ドライバーには自動で実行した車線変更の中止または継続をキャンセルする方法を明示する、および、(a4)自動で車線変更の中止または継続を実行し、ドライバーには自動で実行した車線変更の中止または継続をキャンセルする方法を明示しない、の4つの方法を行うことができる。
また、車線変更制御機能は、(b)車線変更の中止または継続後の制御内容として、(b1)車線変更を中止するとともに自動走行制御も中止する、(b2)車線変更制御のみを解除し自動走行制御は継続する、(b3)隣接車線の対象範囲に要求範囲に相当するスペースが再度検出されるまで、車線変更制御を中断して待機状態とし、隣接車線の対象範囲に要求範囲に相当するスペースが再度検出された場合に、車線変更制御を再開する、の3つの制御を実行することができる。
さらに、車線変更制御機能は、(c)車線変更制御を中止または継続した場合の自車両の走行位置として、(c1)車線変更開始前の位置まで自車両を戻す、(c2)車線変更開始前に自車両が走行していた車線のうち対象レーンマーク近傍の位置まで自車両を移動させる、(c3)現在位置を維持する、の3つの位置調整を実行することができる。
そして、車線変更制御機能は、対象レーンマークと自車両との幅員方向における位置関係に基づいて、(a)車線変更を中止または継続する際のドライバーへの情報の提示方法、(b)車線変更の中止または継続後の制御内容、(c)車線変更を中止または継続した場合の自車両の走行位置を、適宜組み合わせて、車線変更の中止または継続のための制御処理を行うことができる。
たとえば、車線変更制御機能は、図20(A)に示すように、自車両の一部も対象レーンマークを跨いでいない場合には、(a4)車線変更の中止を自動で実行し、ドライバーには車線変更の中止をキャンセルする方法を明示しない構成とすることができる。またこの場合、車線変更制御機能は、(b1)車線変更の中止とともに自動走行制御も中止し、(c1)車線変更開始前の位置まで自車両を戻す構成とすることができる。また、このような場合において、車線変更制御機能は、「車線変更スペースがなくなりそうなため、もとの位置に戻ります。」、「もとの位置に戻ったら自動走行制御をキャンセルします。」のように、これから行う車線変更中止の制御内容をドライバーに報知することができる。この場合、処理はステップS126に進み、車線変更制御が終了される。
また、車線変更制御機能は、図20(B)に示すように、自車両の一部が対象レーンマークを跨いでいるが、自車両の中心線は対象レーンマークを跨いでいない場合には、(a3)車線変更の中止を自動で実行し、ドライバーには車線変更の中止をキャンセルする方法を明示する構成とすることができる。またこの場合、車線変更制御機能は、(c2)車線変更開始前に自車両が走行していた車線のうち対象レーンマーク近傍の位置に自車両を移動させた後、(b2)車線変更制御のみを中止し、自動走行制御を継続する構成とすることができる。また、このような場合において、車線変更制御機能は、「車線変更スペースがなくなりそうなため、もとの車線内に戻ります。」、「もとの位置に戻ったら以前の自動走行制御を継続します。」のように、これから行う車線変更中止の制御内容をドライバーに報知することができる。また、車線変更制御機能は、「車線変更を継続したい場合は以下のボタンを押してください。」とのメッセージとともに、車線変更を継続するためのボタンをディスプレイに表示することもできる。ドライバーが車線変更を継続するためのボタンを押下した場合には、処理はステップS130に進み、一方、ドライバーが車線変更を継続するためのボタンを押下しない場合には、処理はステップS126に進む。
さらに、車線変更制御機能は、たとえば図20(C)に示すように、自車両の全体が対象レーンマークを跨いでいないが自車両の中心線は対象レーンマークを跨いでいる場合には、(a4)車線変更の継続を自動で実行し、ドライバーには車線変更の継続をキャンセルする方法を明示しない構成とすることができる。またこの場合、車線変更制御機能は、(c3)自車両の走行位置を現在位置のまま維持して待機し、(b3)隣接車線の対象範囲に要求範囲に相当するスペースを再度検出するまで車線変更を中断し、隣接車線の対象範囲に要求範囲に相当するスペースが再度検出された場合に、車線変更制御を再開する構成とすることができる。たとえば、この場合、車線変更制御機能は、「車線変更スペースがなくなりそうなため、現在の場所で待機します。」、「車線変更スペースが空きそうな場合は車線変更制御を再開します。」のように、これから行う車線変更継続の制御内容をドライバーに報知することができる。この場合、処理はステップS130に進む。
加えて、車線変更制御機能は、たとえば図20(D)に示すように、自車両の全体がレーンマークを跨いでいる場合には、(a4)車線変更の中止を自動で実行し、ドライバーには車線変更制御の中止をキャンセルする方法を明示しない構成とすることができる。またこの場合、車線変更制御機能は、(c3)自車両の走行位置を現在位置のまま維持し、(b2)車線変更制御のみを中止して、自動走行制御を継続する構成とすることができる。たとえば、この場合、車線変更制御機能は、「車線変更スペースがなくなりそうなため、現在の場所で待機します。」、「以前の自動走行制御を継続します。」のように、これから行う車線変更中止の制御内容をドライバーに報知することができる。この場合、処理はステップS126に進み、走行制御処理が終了される。
なお、対象レーンマークと自車両との幅員方向における位置関係は、図20(A)〜(D)に示す4つに限定されず、5以上としてもよいし、3以下としてもよい。また、それぞれの位置関係に対する制御の組み合わせは、上述した組み合わせに限定されず、(a)車線変更制御を中止または継続する際のドライバーへの情報の提示方法、(b)車線変更制御の中止または継続後の制御内容、(c)車線変更を中止または継続した場合の自車両の走行位置をそれぞれ適宜組み合わせることができる。
次に、ステップS129において、車線変更の継続が実行された場合について説明する。ステップS129において車線変更の継続が開始されると、ステップS130に進む。ステップS130では、車線変更制御機能により、ステップS129で車線変更制御が待機状態となってからの経過時間S2の測定が行われる。すなわち、本実施形態では、ステップS129で車線変更が継続されると、隣接車線の対象範囲に要求範囲に相当するスペースが再度検出されるまで、車線変更は中断され、車線変更制御は待機状態となる。ステップS130では、このように車線変更制御の待機が開始されてからの経過時間S2が測定される。
ステップS131では、車線変更制御機能により、自車両が現在位置から車線変更の目標位置に移動するまでの所要時間T3の予測が行われる。なお、所要時間T3は、ステップS106と同様に予測することができる。
ステップS132では、車線変更制御機能により、ステップS130で測定された経過時間S2と、ステップS131で予測された所要時間T3との合計時間(S2+T3)が、ステップS118で取得した制限時間Zを超えるか否かの判断が行われる。合計時間(S2+T3)が制限時間Zを超える場合には、ステップS133に進み、車線変更制御機能により、車線変更制御の待機状態が解除され、車線変更開始前の自車両の走行位置まで自車両が移動される。その後、ステップS126に進み、車線変更制御が終了される。一方、合計時間(S+T3)が制限時間Zを超えない場合には、ステップS134に進む。
ステップS134では、車線変更制御機能により、車線変更制御の待機状態が継続され、続くステップS135〜S138では、ステップS104,S106〜S109と同様に、現在の対象範囲および所要時間T3後の対象範囲の検出が行われ(ステップS135,S136)、所定時間T3後に対象範囲が小さくなるか否かの予測が行われる(ステップS137)。所定時間T3後に対象範囲が小さくなると予測された場合には(ステップS137=Yes)、対象範囲が小さくなる旨の報知情報がドライバーに報知される(ステップS138)。
そして、ステップS139では、ステップS123と同様に、ステップS136で予測した所定時間T3後の隣接車線の対象範囲内に、ステップS111で補正した要求範囲に相当するスペースがあるか否かの判断が行われる。車線変更制御機能は、車線変更の目標位置に補正された要求範囲を設定し、所定時間T3後の隣接車線の対象範囲が補正後の要求範囲を含む場合に、所定時間T3後の隣接車線の対象範囲内に要求範囲に相当するスペースがあると判断し、ステップS140に進む。ステップS140では、隣接車線の対象範囲に要求範囲に相当するスペースが検出されているため、車線変更制御機能により、車線変更制御の待機状態が解除され、車線変更制御が再開される。そして、処理は、ステップS118に戻る。一方、所定時間T3後の隣接車線の対象範囲に要求範囲に相当するスペースがないと判断された場合には、ステップS141に進み、車線変更制御の待機状態が継続され、その後、ステップS130に戻る。
以上のように、本実施形態に係る走行制御装置100は、車線変更を許可するか否かを判断する際に、車線変更の目標位置に、自車両が路面に占める範囲の大きさ以上の範囲を要求範囲として設定する。また、自車両が車線変更を完了するタイミングにおいて障害物が存在しない範囲を対象範囲として検出する。そして、隣接車線の対象範囲が要求範囲を含む場合に、隣接車線に自車両が車線変更可能なスペースがあると判断し、車線変更を許可する。このように、本実施形態では、自車両が車線変更を完了するタイミングにおいて隣接車線に障害物が存在しない対象範囲と、自車両が車線変更に必要とする要求範囲とを比較することで、自車両の車線変更の可否を適切に判断することができる。
また、上述した実施形態では、隣接車両の幅員方向における位置に基づいて、要求範囲または対象範囲を補正する。具体的には、図13A,図13B,図17A,図17Bに示すように、隣接車線のうち自車線側の対象レーンマークから隣接車両までの幅員方向における距離が所定距離未満である場合には、当該距離が所定距離以上である場合と比べて、要求範囲を大きくし、または、隣接車線の対象範囲を小さくする補正を行う。これにより、隣接車両が自車線に寄って走行しており、自車両が車線変更を行う際に自車両と他車両とが接近する(自車両と他車両との直線距離が短くなる)場面においては、車線変更の許可が抑制されるため、自車両の車線変更の可否をより適切に判断することができる。また、自車両が車線変更を行う際に自車両と他車両とが接近する(自車両と他車両との直線距離が短くなる)場面においては、車線変更の許可が抑制されるため、車線変更時に自車両と他車両とが接近することにより、ドライバーに与える不安感を軽減することができる。
さらに、隣接車両の幅員方向における位置に基づいて要求範囲を補正する際に、自車線に寄って走行する他車両が自車両の前方に存在する場合には、図13A(B)に示すように、要求範囲を前方に大きくし、自車線に寄って走行する隣接車両が自車両の後方に存在する場合には、図13A(C)に示すように、要求範囲を後方に大きくする。また同様に、隣接車両の幅員方向における位置に基づいて隣接車両の対象範囲を補正する際に、自車線に寄って走行する隣接車両が自車両の前方に存在する場合には、図17A(B)に示すように、対象範囲を前方から小さくし、自車線に寄って走行する隣接車両が自車両の後方に存在する場合には、図17A(C)に示すように、対象範囲を後方から小さくする。これにより、自車両と他車両との位置関係に応じて、車線変更の許可の判断をより適切に判断することができる。
≪第2実施形態≫
続いて、第2実施形態に係る走行制御装置について説明する。第2実施形態に係る走行制御装置100は、第1実施形態の走行制御装置100と同様の構成を有し、以下に説明するように動作すること以外は、第1実施形態と同様である。具体的には、第2実施形態において、走行制御装置100は、図5に示す車線変更制御処理に代えて、図21に示す車線変更制御処理を行う。
すなわち、図4に示すステップS123において、所定時間T2後の隣接車線の対象範囲に要求範囲に相当するスペースを検出することができないと判断された場合には、図21に示すステップS201に進む。ステップS201では、車線変更制御機能により、自車両を車線変更の目標位置にゆっくりと近づける車線変更要求制御が開始される。この車線変更要求制御では、自車両を車線変更の目標位置にゆっくりと近づけることで、隣接車線の対象範囲に進入する他車両のドライバーに、自車両が車線変更を行うことを把握させて、車線変更の目標位置を含む車線変更スペースを空けてもらうことで、自車両の車線変更を行う制御である。車線変更要求制御において、車線変更制御機能は、通常の車線変更を行う場合と比べて、自車両を幅員方向に遅い速度で移動させる。たとえば、車線変更制御機能は、車線変更を行う場合と比べて、半分の速度で自車両を幅員方向に移動させることで、自車両を車線変更の目標位置にゆっくりと近づけることができる。
また、ステップS201において、車線変更制御機能は、補正後の要求範囲が所定時間T2後の対象範囲から外れる度合を加味して、幅員方向における自車両の移動速度を変更することができる。たとえば、車線変更制御機能は、補正後の要求範囲が所定時間T2後の対象範囲から外れる度合が所定値以上である場合には、当該度合が所定値未満である場合と比べて、幅員方向における自車両の移動速度をより遅い速度に変更することができる。補正後の要求範囲が所定時間T2後の対象範囲から外れる度合が大きい場合には、その分、他車両が自車両の車線変更の目標位置に進入する可能性が高い。このような場合に、自車両を車線変更の目標位置に近づけた場合に、ドライバーが不安を感じる傾向にある。そのため、幅員方向における自車両の移動速度を遅くすることで(車線変更の目標位置に自車両をよりゆっくりと近づけることで)、他車両に対するドライバーの不安感を軽減することができる。
さらに、ステップS201において、車線変更制御機能は、ステップS128で検出した対象レーンマークと自車両との位置関係に応じて、幅員方向における自車両の移動速度を変更することもできる。たとえば、車線変更制御機能は、図20(C)に示すように、自車両の中心線がレーンマークを跨いだ状態であれば、幅員方向における自車両の移動速度をより遅くすることができる。これにより、自車両と他車両とが近づいている状態で自車両を車線変更の目標位置に移動させることにより、自車両と他車両とが接近してしまう場合でも、ドライバーの不安を軽減することができる。また、車線変更制御機能は、自車両の中心線が対象レーンマークを跨いだ状態であれば、移動速度を“0”にする、すなわち自車両の幅員方向における位置を変更せずに維持(待機)することもできる。この場合、自車両が他車両に接近しなくなるので、ドライバーの不安感を軽減することができる。
さらに、ステップS201において、車線変更制御機能は、ステップS128で検出した対象レーンマークと自車両との位置関係に応じて、幅員方向における自車両の移動速度を変更することもできる。たとえば、車線変更制御機能は、図20(C)に示すように、自車両の中心線がレーンマークを跨いだ状態であれば、幅員方向における自車両の移動速度をより遅くすることができる。これにより、自車両と他車両とが近づいている状態で、自車両を車線変更の目標位置に移動させることにより、さらに自車両と他車両が近づいてしまう場合でも、ドライバーの不安感を軽減することができる。また、車線変更制御機能は、自車両の中心線が対象レーンマークを跨いだ状態であれば、移動速度を“0”にする、すなわち自車両の幅員方向における位置を変更せずに維持(待機)することもできる。この場合、他車両に接近しなくなるので、ドライバーの不安感を軽減することができる。
ステップS202〜S205では、第1実施形態のステップS135〜S138と同様の処理であるため、説明は省略する。そして、ステップS206では、車線変更制御機能により、ステップS201で自車両を隣接車線にゆっくりと近づける車線変更要求制御を行った結果、自車両と他車両との距離が所定距離以下となったか否かの判断が行われる。なお、この場合、自車両と他車両との距離は直線距離であってもよいし、幅員方向における距離であってもよい。自車両と他車両との距離が所定距離よりも大きい場合には、ステップS207に進み、車線変更制御機能により、自車両が車線変更の目標位置に到達したか否かの判断が行われる。車線変更の目標位置に到達していない場合には、ステップS202に戻り、車線変更要求制御が継続される。また、自車両が車線変更の目標位置に到達した場合には、ステップS126に進み、車線変更制御が終了される。
一方、ステップS206において、自車両と他車両との距離が所定距離以下となった場合には、ステップS208に進む。ステップS208では、車線変更制御機能により、ステップS201で開始した車線変更要求制御が解除され、その後、ステップS126に進み、車線変更制御が解除される。自車両を車線変更の目標位置に近づけた場合でも、他車両のドライバーによっては、車線変更に必要なスペースを空けてくれるとは限らず、自車両と他車両がある程度近づいた場合には、車線変更要求制御を解除することで、自車両を安全に走行させることができる。
なお、ステップS206において、車線変更制御機能は、自車両が走行するシーンにおける「車線変更の必要度」に応じて、上記所定距離を可変に設定することができる。たとえば、車線変更制御機能は、自車両の走行シーンの「車線変更の必要度」が高い場合(必要度が所定値以上である場合)には、自車両の走行シーンの「車線変更の必要度」が低い場合(必要度が所定値未満である場合)と比べて、上記所定距離を短くすることができる。これにより、「車線変更の必要度」が高い走行シーンにおいては、車線変更の目標位置まで自車両をより近づけることができるため、その分、隣接車両に自車両が車線変更を行う意思を伝えることができ、隣接車線への車線変更を行ない易くすることができる。
以上のように、第2実施形態では、車線変更開始後に、隣接車線の対象範囲で要求範囲に相当するスペースを検出できない場合に、自車両を車線変更の目標位置にゆっくりと近づける車線変更要求制御が行われる。これにより、隣接車線で車線変更可能なスペースを検出できない場合でも、隣接車両のドライバーに自車両の車線変更の意図を伝えることができ、その結果、隣接車両のドライバーが自車両の車線変更に必要なスペースを空けてくれる場合があり、車線変更を適切に行うことができる場合がある。
なお、以上に説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記の実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
たとえば、上述した実施形態では、自車両が車線変更を完了するタイミングにおける隣接車線の対象範囲と、要求範囲とを比較する構成を例示したが、この構成に限定されず、たとえば、現時点における隣接車線の対象範囲と、要求範囲とを比較する構成とすることもできる。
また、上述した実施形態では、自車両の走行シーンが、図2に示す複数の走行シーンに該当する場合には、車線変更の必要度が最も高い走行シーンを、自車両の走行シーンとして判定し、当該走行シーンにおける「車線変更の方向」に車線変更を行う構成を例示したが、この構成に限定されず、たとえば、自車両の走行シーンが、図2に示す複数の走行シーンに該当する場合に、各走行シーンにおける「車線変更の方向」を右方向、左方向として特定し、「車線変更の方向」が右方向である走行シーンの方が多い場合には右方向に車線変更を行い、「車線変更の方向」が左方向である走行シーンの方が多い場合には左方向に車線変更を行う構成とすることができる。
さらに、上述した実施形態では、図2に示すように、制限時間Zが走行シーンごとにテーブルに予め記憶されている構成を例示したが、この構成に限定されず、たとえば、図2に示すテーブルに記憶されている車線変更の必要度に基づいて、制限時間Zを算出する構成とすることができる。この場合、車線変更の必要度が高いほど、制限時間Zを長くする構成とすることができる。また、走行シーンごとに固有の時間を制限時間Zとしてテーブルに記憶する構成としてもよい。
加えて、上述した実施形態では、図6A(C)に示すように、障害物が存在しない隣接車線内の範囲を対象範囲として検出するとともに、障害物が存在しない隣隣接車線内の範囲も対象範囲として検出する構成を例示したが、この構成に限定されず、たとえば、障害物が存在しない隣接車線内の範囲を第1対象範囲として検出し、障害物が存在しない隣隣接車線内の範囲を第2対象範囲として検出することで、隣接車線内の対象範囲と隣隣接車線内の対象範囲とを別々に検出する構成としてもよい。
また、上述した実施形態では、図13A,図13B,図17A,図17Bに示すように、隣接車線における対象レーンマークから隣接車両までの幅員方向における距離が所定距離未満である場合には、当該距離が所定距離以上である場合と比べて、要求範囲を大きくし、または、隣接車線の対象範囲を小さくする構成を例示したが、この構成に限定されず、以下のように構成することができる。
たとえば、隣接車両が隣接車線の中央位置よりも自車線側の位置を走行している場合には、要求範囲を大きくし、または、隣接車線の対象範囲を小さくする構成とすることができる。また、隣接車線を走行する他車両が隣接車線の中央位置よりも自車線と反対側の位置を走行している場合には、要求範囲を小さくし、または、隣接車線の対象範囲を大きくする構成とすることができる。なお、この場合、隣接車両の走行位置が隣接車線の中央位置よりも自車線側となるほど、要求範囲を大きくし、または、隣接車線の対象範囲を小さくする構成とすることもできる。同様に、隣接車両の走行位置が隣接車線の中央位置よりも自車線と反対側となるほど、要求範囲を小さく、または、隣接車線の対象範囲を大きくする構成とすることができる。
さらに、上述した実施形態では、対象レーンマークから隣接車両までの幅員方向における距離が所定距離未満である場合には、要求範囲を大きくし、または、隣接車線の対象範囲を小さくする構成を例示したが、この構成に代えて、対象レーンマークから隣接車両までの幅員方向における距離が所定距離未満である場合には、所定距離以上である場合と比べて、要求範囲を小さくし、または、隣接車線の対象範囲を大きくする構成とすることもできる。隣接車線における対象レーンマークから隣接車両までの幅員方向における距離が所定距離未満である場合には、隣接車両が自車線に車線変更する可能性があり、隣接車線が自車線に車線変更した場合に、隣接車線の対象範囲は広くなる。そこで、対象レーンマークから隣接車両までの幅員方向における距離が所定距離未満である場合には、要求範囲を小さくし、または、隣接車線の対象範囲を大きくすることで、隣接車両が自車両に車線変更を行う場合に、隣接車両が実際に自車線に車線変更する前から、自車両の車線変更を開始することができ、これにより、車線変更をスムーズに行うことができる。
また、上述した実施形態では、隣接車両が自車両と反対側の車線に寄って走行している場合には、要求範囲を小さくし、または、隣接車線の対象範囲を大きくする構成を例示したが、たとえば、隣接車線が前方で閉塞する場合、緊急車両が接近している場合、隣接車線の前方に駐車車両が存在する場合、隣接車線の前方を走行する隣接車両の車速が自車両の車速よりも遅い場合、および、隣接車線の後方を走行する隣接車両の車速が自車両の車速よりも速い場合のうち少なくとも1つの場合には、隣接車両が自車両と反対側の車線に寄って走行している場合でも、要求範囲を大きくし、または、隣接車線の対象範囲を小さくする構成とすることができる。このように車線変更が適さない走行シーンにおいては、要求範囲を大きくし、または、隣接車線の対象範囲を小さくすることで、車線変更の可否を走行シーンに応じてより適切に判断することができる。
さらに、上述した第2実施形態では、車線変更要求制御として、自車両を車線変更の目標位置にゆっくりと近づける構成を例示したが、この構成に限定されず、たとえば、車線変更要求制御として、自車両を隣接車線にゆっくりと近づける構成としてもよい。この場合も、隣接車両のドライバーに自車両の車線変更の意思を伝えることができるため、車線変更に必要なスペースを確保できる場合がある。
なお、上述した実施形態に係るセンサ110は本発明の第1検出器及び第2検出器に、制御装置190は本発明の走行制御装置に、それぞれ相当する。