まず、図1を用いて本発明の実施の形態に係る断続装置が搭載された動力伝達装置が適用される車両の動力系の一例について説明する。
図1に示すように、車両の動力系は、エンジンや電動モータなどの駆動源201と、変速機構としてのトランスミッション203と、前輪側の左右輪の差動を許容するフロントデフ205と、前車軸207,209と、前輪211,213と、前輪側と後輪側との間の動力伝達を断続する断続装置1を有する動力伝達装置101と、プロペラシャフト215と、後輪側に伝達される駆動力を断続するカップリング217と、後輪側の左右輪の差動を許容するリヤデフ219と、後車軸223に伝達される駆動力を断続するアクスルディスコネクト221と、後車軸223,225と、後輪227,229などから構成されている。
このように構成された車両の動力系では、駆動源201の駆動力がトランスミッション203を介してフロントデフ205に伝達される。このフロントデフ205に伝達された駆動力は、一対のサイドギヤ231,233から前車軸207,209を介して前輪211,213に配分されると共に、フロントデフ205のデフケース235に連結された入力部材105を介して動力伝達装置101に伝達される。
この動力伝達装置101に伝達された駆動力は、断続装置1が接続状態であると、入力部材105と方向変換ギヤ組109との間の動力伝達が可能となり、方向変換ギヤ組109で方向変換されてプロペラシャフト215を介してカップリング217に伝達される。
このとき、カップリング217とアクスルディスコネクト221とは、動力伝達装置101に搭載された断続装置1が接続された後に、同期して作動されて接続状態となる。このカップリング217に伝達された駆動力は、リヤデフ219に伝達される。
このリヤデフ219に伝達された駆動力は、サイドギヤ237,239から後車軸223,225を介して後輪227,229に配分され、車両は前後輪駆動の四輪駆動状態になる。なお、カップリング217とアクスルディスコネクト221とは、断続装置1より先に接続することもできる。
一方、車両が前輪駆動の二輪駆動状態になる場合には、動力伝達装置101の断続装置1が接続解除状態となり、入力部材105と方向変換ギヤ組109との間の動力伝達が遮断され、駆動源201の駆動力がプロペラシャフト215側に伝達されず、後輪側への駆動力の伝達が遮断される。
このとき、カップリング217とアクスルディスコネクト221とは、動力伝達装置101の断続装置1が接続解除された後に、同期して作動されて接続解除状態となる。この状態では、車両の走行による後輪227の回転がアクスルディスコネクト221で遮断され、リヤデフ219のデフケース241に入力されることがない。
一方、車両の走行による後輪229の回転は、リヤデフ219のサイドギヤ239に入力されてピニオン243を回転させ、サイドギヤ237を回転させるが、デフケース241を回転させることがなく、プロペラシャフト215側に後輪229の回転が伝達されることがない。
なお、デフケース241が回転したとしても、カップリング217は接続解除されているので、プロペラシャフト215側を回転させることがない。加えて、カップリング217とアクスルディスコネクト221とは、断続装置1より先に接続解除させてもよく、この場合には、断続装置1の解除動作をスムーズに行うことができる。
このように車両の二輪駆動状態では、動力伝達装置101の断続装置1の接続解除に合わせて、カップリング217とアクスルディスコネクト221とを接続解除することにより、方向変換ギヤ組109やプロペラシャフト215などの回転を防止し、無駄な回転系の連れ回りを防止して燃費向上を図ることができる。
なお、断続装置1、カップリング217及びアクスルディスコネクト221の接続又は解除のタイミングは、いずれか一方の接続が他方の接続に先行して行われ、いずれか一方の解除が他方の解除に先行して行われること、或いは両方の接続又は両方の解除が同時期に行われることなど、それらの接続と解除のタイミングは各構造の機能の特徴や車両の走行状態によって適宜決定されるものである。
次に、図2を用いて本発明の実施の形態に係る断続装置が適用される動力伝達装置の一例について説明する。
図2に示すように、動力伝達装置101は、ケーシング103と、入力部材105と、出力部材107と、方向変換ギヤ組109と、軸部材111と、断続装置1などから構成されている。
ケーシング103は、内部に各種部材の収容空間が広く形成されたケーシング本体113と、主に出力部材107の支持部を有しケーシング本体113を閉塞する中間ケーシング115と、主に断続装置1を収容し中間ケーシング115を閉塞するカバー117と、主に軸部材111の支持部を有しケーシング本体113を閉塞するベアリングキャップ119とからなり、各部材が固定手段としての複数のボルトによって固定されている。
このケーシング103は、トランスミッション203(図1参照)を収容する静止系部材としてのトランスミッションケースに固定される。このようなケーシング103内には、入力部材105と、出力部材107と、方向変換ギヤ組109と、軸部材111と、断続装置1などが収容されている。
入力部材105は、中空状に形成され、軸方向一端側の外周がニードルベアリング121を介して出力部材107に相対回転可能に支持され、軸方向他端側の外周がベアリング123を介してケーシング103に回転可能に支持されている。
この入力部材105の軸方向両側外周とケーシング103との径方向間には、ケーシング103の内部と外部とを区画するシール部材125,127がそれぞれ配置されている。また、入力部材105の内周側には、フロントデフ205のサイドギヤ233(図1参照)と前車軸209(図1参照)とに連結されたシャフトが入力部材105と相対回転可能に挿通されている。
このような入力部材105の軸方向一端側の外周には、フロントデフ205のデフケース235(図1参照)に一体回転可能に連結されるスプライン形状の連結部129が形成され、入力部材105に駆動力が入力される。この入力部材105に入力された駆動力は、出力部材107に出力される。
出力部材107は、中空状に形成され、軸心が入力部材105の軸心と同心となるように入力部材105が内部に相対回転可能に挿通され、軸方向両側の外周がベアリング131,133を介してケーシング103に回転可能に支持されている。
この出力部材107の外周には、フランジ部135が設けられ、入力部材105から伝達された駆動力を出力する方向変換ギヤ組109を構成するリングギヤ137が固定手段としての圧入や溶接などによって出力部材107と一体回転可能に固定されている。
方向変換ギヤ組109は、大径のリングギヤ137と、小径のピニオン139とからなるベベルギヤ組で変速駆動されるように構成され、出力部材107に伝達された駆動力を方向変換する。
この方向変換ギヤ組109を構成するピニオン139は、軸部材111の軸方向一端側に軸部材111と連続する一部材で形成され、出力部材107から出力された駆動力を方向変換して軸部材111に伝達する。
軸部材111は、軸心が入力部材105及び出力部材107の軸心と直交する方向に配置され、軸方向に配置された2つのベアリング141,143を介してケーシング103に回転可能に支持されている。
この軸部材111の軸方向他端側には、軸部材111とプロペラシャフト215(図1参照)とに連結された連結部材が固定され、軸部材111に伝達された駆動力がプロペラシャフト215を介してカップリング217(図1参照)側に伝達される。
このような動力伝達装置101における入力部材105と出力部材107との間の動力伝達は、断続装置1において、入力部材105と一体回転可能に設けられた一方の回転部材としての結合部材3と、出力部材107と一体回転可能に設けられた他方の回転部材としての断続部材5との間に設けられた断続部7によって断続される。
以下、図1〜図10を用いて本発明の実施の形態に係る断続装置について説明する。
本実施の形態に係る断続装置1は、相対回転可能に配置された一対の回転部材としての結合部材3と断続部材5と、この結合部材3と断続部材5との間に設けられ結合部材3と断続部材5との間の動力伝達を断続する断続部7と、この断続部7の位置を検出するセンサ9とを備えている。
そして、結合部材3と断続部材5とのうちいずれかには、センサ9に対向可能な第1検出部11と第2検出部13とが設けられ、センサ9は、断続部7の第1状態で第1検出部11と対向すると共に、断続部7の第2状態で第2検出部13と対向可能に配置される。
また、センサ9は、パルスセンサであり、第1検出部11と第2検出部13とに非接触に対向して配置され、断続装置1は、センサ9で検出されるパルスが入力されて、結合部材3と断続部材5との少なくとも一方の回転数と断続部7の断続状態とを測定するECU15を備えている。
さらに、センサ9は、第1状態において、ECU15が結合部材3の回転数を測定可能に第1検出部11に対向して配置され、第2状態において、ECU15が断続部材5の回転数を測定可能に第2検出部13に対向して配置されている。
また、第1検出部11は、結合部材3に設けられ、第2検出部13は、断続部材5に設けられている。
さらに、センサ9は、第1検出部11と第2検出部13とに対して径方向に対向して配置されている。
また、断続部7の外周側には、断続部7を操作する環状のアクチュエータ17が配置され、センサ9は、アクチュエータ17に対して軸方向に隣接して配置されている。
さらに、第1検出部11と第2検出部13とは、断続部7の外径側に配置されている。
図1〜図8に示すように、結合部材3は、入力部材105の外周に設けられたスプライン形状の連結部19に軸方向位置が固定され、入力部材105と一体回転可能に連結されている。この結合部材3には、相対回転可能に断続部材5が軸方向に対向配置されている。
断続部材5は、環状に形成され、軸方向一側の端面と出力部材107の軸方向の端面とに形成された連結部21を介して軸方向移動可能で出力部材107と一体回転可能に連結されている。
この連結部21は、出力部材107の軸方向の断続部材5と対向する端面に周方向に複数形成された凹凸部の凸部145と、断続部材5の軸方向の出力部材107と対向する端面に周方向に複数形成された凹凸部の凸部23との回転方向の対向面を互いに係合して構成されている。
このような連結部21における凸部145と凸部23との回転方向の係合面には、同一傾斜のカム面が形成され、断続部材5の軸方向他側の端面に設けられた断続部7の接続方向に断続部材5を移動させ、断続部7の接続を強化している。この断続部材5と結合部材3との軸方向間には、断続部7が設けられている。
断続部7は、結合部材3と断続部材5との軸方向に対向する対向面の周方向にそれぞれ設けられた複数の対向歯25,27の噛み合いとなっている。この断続部7は、対向歯25,27が噛み合うと、結合部材3と断続部材5とが一体回転可能に連結され、結合部材3と断続部材5との間の動力伝達が可能となる。
この結合部材3と断続部材5との連結により、動力伝達装置101では、入力部材105と出力部材107との間の動力伝達が可能となり、フロントデフ205から入力部材105に入力された駆動力が出力部材107を介して方向変換ギヤ組109に伝達され、プロペラシャフト215を介してリヤデフ219側に出力される。
このような断続部7の接続は、断続部材5の断続部7の接続方向側への軸方向移動によって行われ、この断続部材5はアクチュエータ17によって軸方向移動操作される。
アクチュエータ17は、電磁石29と、可動部材31とを備えている。電磁石29は、静止系部材としてのケーシング103に対して回転不能に固定され、電磁コイル33と、コア35とを備えている。
電磁コイル33は、環状に所定巻き数巻回されて樹脂でモールド成形されている。また、電磁コイル33には、外部に引き出されるリード線(不図示)が接続され、このリード線を介して通電を制御するコントローラとしてのECU15に接続されている。この電磁コイル33の周囲には、コア35が配置されている。
コア35は、電磁コイル33への通電により磁界が形成されるように磁性材料から形成され、所定の磁路断面積を有している。また、コア35は、電磁コイル33の周囲を覆っている。このような電磁石29の内径側には、可動部材31が配置されている。
可動部材31は、電磁石29の内径側でコア35と一体に設けられた非磁性材料からなる環状の配置部材37の外周に軸方向移動可能に配置され、環状のプランジャ39と、リング部材41とを備えている。
プランジャ39は、磁性材料から形成され、磁束が透過可能に設定された微小隙間であるエアギャップをもって電磁石29の内径側に配置されている。このプランジャ39の内周には、リング部材41が一体に固定されている。
リング部材41は、非磁性材料から形成され、プランジャ39の内周側から断続部材5側へ磁束が漏れることを防止している。また、リング部材41は、配置部材37の外周に軸方向移動可能に配置され、配置部材37の径方向に向けて折り曲げられた部分によって軸方向一側への移動規制がなされている。このリング部材41には、断続部材5との軸方向の対向面に互いに当接する押圧部43が設けられている。
この可動部材31は、電磁石29の励磁によりコア35とプランジャ39とを透過する磁束で形成される自己完結型の磁束ループによって、プランジャ39が断続部材5側に移動操作され、リング部材41が押圧部43を介して断続部材5を軸方向の断続部7の接続方向に押圧操作する。この可動部材31による断続部材5の押圧操作により、断続部材5が断続部7の接続方向に移動され、対向歯25,27が噛み合い、断続部7が接続される。
この断続部7の接続により、動力伝達装置101では、入力部材105と出力部材107との間の動力伝達が可能となり、フロントデフ205から入力部材105に入力された駆動力が出力部材107を介してリヤデフ219側に出力される。
一方、断続部7において、結合部材3と断続部材5との軸方向間には、断続部材5を断続部7の接続解除方向に付勢する付勢部材45が配置されている。この付勢部材45は、電磁石29への通電を停止することにより、断続部材5を断続部7の接続解除方向に移動させ、対向歯25,27の噛み合いを解除し、断続部7の接続を解除させる。
この断続部7の接続解除により、動力伝達装置101では、入力部材105と出力部材107との間の動力伝達が遮断され、フロントデフ205から入力部材105に入力された駆動力が出力部材107に伝達されず、リヤデフ219側に駆動力が伝達されることがない。
このような断続装置1では、断続部7の位置、すなわち断続部7の第1状態である接続解除状態と、断続部7の第2状態である接続状態とを検出するセンサ9が設けられている。
センサ9は、パルスセンサであり、ケーシング103内に検出部47が位置するようにケーシング103に固定されている。また、センサ9は、断続部7の外径側に位置すると共に、アクチュエータ17に対して軸方向に隣接して配置されている。
このセンサ9には、外部に引き出されるリード線が接続され、このリード線を介してセンサ9がECU15に接続されている。
ECU15は、センサ9の検出部47で検出されるパルスが入力され、断続部7の接続解除状態(第1状態)における結合部材3(動力伝達装置101における入力部材105)の回転数と、断続部7の接続状態(第2状態)における断続部材5(動力伝達装置101における出力部材107)の回転数とを測定し、断続部7がどのような状態、すなわち接続解除状態であるか、接続状態であるかを測定する。
なお、ECU15は、センサ9の他にアクチュエータ17とも接続されているが、この他にも、リヤデフ219側のカップリング217の状況を検出するセンサ、アクスルディスコネクト221を操作するアクチュエータ、前後左右車輪の回転を検知する車輪回転センサ、加減速フィールセンサ、車速センサ、操舵角センサ、車両の傾斜状況を検知するグラビティセンサ、ブレーキセンサ、スロットル開度センサ、左右輪差回転センサ、前後輪差回転センサ、ヨーモーメントセンサ、油温センサ、外気温センサなどの各種センサの情報が受信可能となっており、車両に搭載された各機能に制御情報を出力して各機構の作動を制御する。
このようなECU15にパルスを入力するセンサ9の検出部47は、断続部7の接続解除状態(第1状態)において、結合部材3と一体回転可能に設けられた第1検出部11と対向して配置され、断続部7の接続状態(第2状態)において、断続部材5と一体回転可能に設けられた第2検出部13と対向して配置される。
第1検出部11は、環状に形成され、結合部材3の外周に形成されたスプライン状の連結部49を介して軸方向移動可能で結合部材3と一体回転可能に連結され、断続部7の外径側に配置されている。
また、第1検出部11は、軸方向一側(断続部材5に向けた方向)への移動が規制されると共に、連結部49の軸方向端部に固定された固定部材との軸方向間に付勢部材51が配置され軸方向一側に向けて付勢されている。
この第1検出部11の外周には、周方向等間隔に複数の第1凹凸部53が形成されている。この第1凹凸部53は、断続部7の第1状態、すなわち断続部7の接続が解除された状態で、センサ9の検出部47に対して、径方向に微少隙間をもって非接触に対向して配置される。
このようにセンサ9に対して第1検出部11を対向して配置させることにより、センサ9によって第1検出部11、すなわち結合部材3の回転を検出してパルスをECU15に入力し、動力伝達装置101における入力部材105の回転数を測定することができる。
このとき、ECU15には、センサ9で検出された第1検出部11のパルスが入力されているので、断続部7が第1状態、すなわち断続部7の接続が解除された状態であるということをECU15によって測定することができる。
第2検出部13は、環状に形成され、断続部材5の外周に圧入や溶接などの固定手段を介して軸方向移動不能で断続部材5と一体回転可能に固定され、断続部7の外径側に配置されている。
この第2検出部13の外周には、周方向等間隔に複数の第1凹凸部53と異なる間隔(ここでは、第1凹凸部53より周方向に広い間隔)で複数の第2凹凸部55が形成されている。この第2凹凸部55は、断続部7の第2状態、すなわち断続部7が接続された状態で、センサ9の検出部47に対して、径方向に微少隙間をもって非接触に対向して配置される。
このようにセンサ9に対して第2検出部13を対向して配置させることにより、センサ9によって第2検出部13、すなわち断続部材5の回転を検出してパルスをECU15に入力し、動力伝達装置101における出力部材107の回転数を測定することができる。
このとき、ECU15には、センサ9で検出された第1検出部11と異なる第2検出部13のパルスが入力されているので、断続部7が第2状態、すなわち断続部7が接続された状態であるということをECU15によって測定することができる。
ここで、第1検出部11と第2検出部13としては、図9に示すように、環状に形成された検出部材57の外周の軸方向両側に対して第1検出部11と第2検出部13とを設けてもよい。
この検出部材57は、結合部材3の外周に形成されたスプライン状の連結部59を介して軸方向移動可能で結合部材3と一体回転可能に連結されている。また、検出部材57は、軸方向一側(断続部材5に向けた方向)への移動が規制されると共に、連結部59の軸方向端部に固定された固定部材との軸方向間に付勢部材61が配置され軸方向一側に向けて付勢されている。
このような検出部材57は、断続部7が接続解除状態(第1状態)であるとき、第1検出部11がセンサ9の検出部47に対して対向して配置され、結合部材3の回転を検出してパルスをECU15に入力し、動力伝達装置101における入力部材105の回転数を測定する。
このとき、ECU15には、センサ9で検出された第1検出部11のパルスが入力されているので、断続部7の接続が解除された状態(断続部7が第1状態)であるということをECU15によって測定することができる。
一方、検出部材57は、断続部7が接続状態(第2状態)であるとき、第2検出部13がセンサ9の検出部47に対して対向して配置され、結合部材3の回転を検出してパルスをECU15に入力し、動力伝達装置101における入力部材105の回転数を測定する。
ここで、断続部7が接続状態であるときには、結合部材3と断続部材5とが一体回転し、回転数が等しくなるので、ECU15によって断続部材5の回転数を測定でき、動力伝達装置101における出力部材107の回転数を測定することができる。
このとき、ECU15には、センサ9で検出された第1検出部11と異なる第2検出部13のパルスが入力されているので、断続部7が接続された状態(断続部7が第2状態)であるということをECU15によって測定することができる。
これに対して、図10に示すように、検出部材63を断続部材5側に設けてもよい。この検出部材63は、断続部材5の外周に圧入や溶接などの固定手段を介して軸方向移動不能で断続部材5と一体回転可能に固定されている。
このような検出部材63は、断続部7が接続解除状態(第1状態)であるとき、第1検出部11がセンサ9の検出部47に対して対向して配置される。
このとき、断続部材5は、回転しておらず、センサ9が断続部材5の回転を検出してパルスをECU15に入力することがないが、ECU15にパルスの入力がないので、断続部7の接続が解除された状態(断続部7が第1状態)であるということをECU15によって測定することができる。
なお、車両の走行中などに断続部7が接続するときには、動力伝達装置101において、カップリング217やアクスルディスコネクト221を接続させて出力部材107を回転させ、出力部材107の回転を入力部材105の回転に同期させることにより、断続部7の接続をスムーズに行わせることがある。
このような場合には、断続部7の接続解除状態(第1状態)において、センサ9に対して第1検出部11が対向して配置することにより、断続部材5の回転を検出してパルスをECU15に入力して断続部材5の回転数を測定し、ECU15が動力伝達装置101における各機構を制御して、出力部材107と入力部材105との回転を安定して同期させることができる。
このような場合であっても、ECU15には、センサ9で検出された第1検出部11のパルスが入力されているので、断続部7の接続が解除された状態(断続部7が第1状態)であるということをECU15によって測定することができる。
一方、検出部材63は、断続部7が接続状態(第2状態)であるとき、第2検出部13がセンサ9の検出部47に対して対向して配置され、断続部材5の回転を検出してパルスをECU15に入力し、動力伝達装置101における出力部材107の回転数を測定する。
このとき、ECU15には、センサ9で検出されたパルスが入力される、或いはセンサ9で検出された第1検出部11と異なる第2検出部13のパルスが入力されているので、断続部7が接続された状態(断続部7が第2状態)であるということをECU15によって測定することができる。
このように断続部7の第1状態と第2状態とにおいて、センサ9を第1検出部11と第2検出部13とに対向して配置させることにより、センサ9によって断続部7の状態を検出することができる。
加えて、センサ9は、第1検出部11と第2検出部13とに非接触に対向して配置されるパルスセンサであるので、第1検出部11や第2検出部13に接触して切り換えられるポジションスイッチなどと異なり、第1検出部11と第2検出部13との回転を検出することができる。
このセンサ9で検出されたパルスは、ECU15に入力されるので、結合部材3と断続部材5との少なくとも一方の回転数と、断続部7の断続状態とをECU15によって測定することができる。
また、第1検出部11と第2検出部13とは、少なくとも結合部材3と断続部材5とのうちいずれか一方に設けられているので、動力伝達装置101における入力部材105と出力部材107との一方の回転を、断続部7の位置を検出するセンサ9によって検出することができ、入力部材105或いは出力部材107の回転を検出するための他のセンサを設ける必要がない。
加えて、第1検出部11と第2検出部13とを結合部材3と断続部材5とにそれぞれ設けた場合には、動力伝達装置101における入力部材105と出力部材107とのそれぞれの回転を、断続部7の位置を検出するセンサ9によって検出することができ、さらに他のセンサを削減することができる。
さらに、センサ9は、第1検出部11と第2検出部13とに径方向に対向して配置されているので、センサ9を設けるための配置スペースが軸方向に長大化することがなく、断続装置1の軸方向サイズをコンパクト化することができる。
加えて、センサ9は、アクチュエータ17に対して軸方向に隣接して配置されているので、センサ9とアクチュエータ17との径方向への張り出しが軸方向に長大化することがなく、断続装置1の軸方向における径方向への張り出しを抑制することができる。
さらには、第1検出部11と第2検出部13とは、断続部7の外径側に配置されているので、第1検出部11及び第2検出部13と断続部7とが軸方向に並列に配置されることがなく、断続装置1の軸方向サイズをさらにコンパクト化することができる。
このような断続装置1では、結合部材3と断続部材5とのうちいずれかに、センサ9に対向可能な第1検出部11と第2検出部13とが設けられているので、センサ9によって結合部材3及び断続部材5の状態を検出することができる。
また、センサ9は、断続部7の第1状態で第1検出部11と対向すると共に、断続部7の第2状態で第2検出部13と対向可能に配置されるので、センサ9が第1検出部11と第2検出部13とのいずれかに対向配置されることにより、断続部7の位置を検出することができる。
従って、このような断続装置1では、1つのセンサ9によって、断続部7の位置と、断続部7の断続状態における結合部材3及び断続部材5の状態とを検出することができ、複数のセンサの配置スペースを設ける必要がなく、大型化を抑制することができる。
なお、本発明の実施の形態に係る断続装置では、入力部材と出力部材との間の動力伝達を断続する断続部を有する動力伝達装置に適用されているが、例えば、相対回転可能なインナケースとアウタケースとを有するフリーラングデフのようなデファレンシャル装置に適用するなど、相対回転可能な一対の回転部材を有する装置であれば、どのような形態の装置にも適用することができる。
また、断続部は、第1状態が接続解除状態、第2状態が接続状態とされているが、これに限らず、第1状態を接続状態、第2状態を接続解除状態としてもよい。
さらに、断続部は、軸方向に対向する対向歯の噛み合いクラッチとなっているが、これに限らず、噛み合いスリーブを介して断続される噛み合いクラッチなどであってもよい。
加えて、断続部は、噛み合いクラッチとなっているので、第1状態と第2状態との2種類の状態を有するように設定されているが、例えば、断続部が多板クラッチのような摩擦クラッチでは、少なくとも接続解除状態(第1状態)、中間制御状態(第2状態)、接続状態(第3状態)との3種類の状態を有する。
このため、断続部が多板クラッチなどで構成されている場合には、センサに対向して配置される検出部を、例えば、多板クラッチを押圧操作する断続部材の外周に第1検出部と、第2検出部と、第3検出部とを設け、センサが対向される検出部によって断続部がどのような状態であるかを検出すればよい。
また、アクチュエータは、電磁式アクチュエータとなっているが、これに限らず、モータ・ギヤ・カム機構、油圧シリンダ・ピストン機構、モータ・シフトロッド機構、エアダイアフラムなど、種々のアクチュエータを利用可能である。