JP6562011B2 - 燃料噴射制御装置 - Google Patents

燃料噴射制御装置 Download PDF

Info

Publication number
JP6562011B2
JP6562011B2 JP2017025465A JP2017025465A JP6562011B2 JP 6562011 B2 JP6562011 B2 JP 6562011B2 JP 2017025465 A JP2017025465 A JP 2017025465A JP 2017025465 A JP2017025465 A JP 2017025465A JP 6562011 B2 JP6562011 B2 JP 6562011B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
injection
port
warm
fuel
internal combustion
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2017025465A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2018131958A (ja
Inventor
昭誉 北爪
昭誉 北爪
井戸側 正直
正直 井戸側
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyota Motor Corp
Original Assignee
Toyota Motor Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toyota Motor Corp filed Critical Toyota Motor Corp
Priority to JP2017025465A priority Critical patent/JP6562011B2/ja
Priority to US15/884,689 priority patent/US10450993B2/en
Priority to CN201810128738.4A priority patent/CN108533412B/zh
Priority to EP18156110.1A priority patent/EP3361078B1/en
Publication of JP2018131958A publication Critical patent/JP2018131958A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6562011B2 publication Critical patent/JP6562011B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Classifications

    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F02COMBUSTION ENGINES; HOT-GAS OR COMBUSTION-PRODUCT ENGINE PLANTS
    • F02DCONTROLLING COMBUSTION ENGINES
    • F02D41/00Electrical control of supply of combustible mixture or its constituents
    • F02D41/02Circuit arrangements for generating control signals
    • F02D41/04Introducing corrections for particular operating conditions
    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F02COMBUSTION ENGINES; HOT-GAS OR COMBUSTION-PRODUCT ENGINE PLANTS
    • F02DCONTROLLING COMBUSTION ENGINES
    • F02D41/00Electrical control of supply of combustible mixture or its constituents
    • F02D41/30Controlling fuel injection
    • F02D41/3094Controlling fuel injection the fuel injection being effected by at least two different injectors, e.g. one in the intake manifold and one in the cylinder
    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F02COMBUSTION ENGINES; HOT-GAS OR COMBUSTION-PRODUCT ENGINE PLANTS
    • F02DCONTROLLING COMBUSTION ENGINES
    • F02D41/00Electrical control of supply of combustible mixture or its constituents
    • F02D41/02Circuit arrangements for generating control signals
    • F02D41/04Introducing corrections for particular operating conditions
    • F02D41/047Taking into account fuel evaporation or wall wetting
    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F02COMBUSTION ENGINES; HOT-GAS OR COMBUSTION-PRODUCT ENGINE PLANTS
    • F02DCONTROLLING COMBUSTION ENGINES
    • F02D41/00Electrical control of supply of combustible mixture or its constituents
    • F02D41/02Circuit arrangements for generating control signals
    • F02D41/04Introducing corrections for particular operating conditions
    • F02D41/06Introducing corrections for particular operating conditions for engine starting or warming up
    • F02D41/068Introducing corrections for particular operating conditions for engine starting or warming up for warming-up
    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F02COMBUSTION ENGINES; HOT-GAS OR COMBUSTION-PRODUCT ENGINE PLANTS
    • F02DCONTROLLING COMBUSTION ENGINES
    • F02D41/00Electrical control of supply of combustible mixture or its constituents
    • F02D41/30Controlling fuel injection
    • F02D41/32Controlling fuel injection of the low pressure type
    • F02D41/34Controlling fuel injection of the low pressure type with means for controlling injection timing or duration
    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F02COMBUSTION ENGINES; HOT-GAS OR COMBUSTION-PRODUCT ENGINE PLANTS
    • F02DCONTROLLING COMBUSTION ENGINES
    • F02D2200/00Input parameters for engine control
    • F02D2200/02Input parameters for engine control the parameters being related to the engine
    • F02D2200/021Engine temperature
    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F02COMBUSTION ENGINES; HOT-GAS OR COMBUSTION-PRODUCT ENGINE PLANTS
    • F02DCONTROLLING COMBUSTION ENGINES
    • F02D2200/00Input parameters for engine control
    • F02D2200/02Input parameters for engine control the parameters being related to the engine
    • F02D2200/04Engine intake system parameters
    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F02COMBUSTION ENGINES; HOT-GAS OR COMBUSTION-PRODUCT ENGINE PLANTS
    • F02DCONTROLLING COMBUSTION ENGINES
    • F02D2200/00Input parameters for engine control
    • F02D2200/02Input parameters for engine control the parameters being related to the engine
    • F02D2200/10Parameters related to the engine output, e.g. engine torque or engine speed
    • F02D2200/101Engine speed

Description

本発明は、気筒内に燃料を噴射する筒内噴射弁と吸気ポート内に燃料を噴射するポート噴射弁との2種の燃料噴射弁を備える内燃機関に適用される燃料噴射制御装置に関する。
上記2種の燃料噴射弁を備える内燃機関では、ポート噴射弁のみが燃料噴射を行う全ポート噴射と、筒内噴射弁のみが燃料噴射を行う全筒内噴射と、双方の燃料噴射弁が燃料噴射を行う噴き分け噴射と、に噴射方式を切り替えることができる。特許文献1に記載の燃料噴射制御装置では、そうした噴射方式の切り替えを、冷却水温に基づき行っている。具体的には、冷却水温が冷間温度以下のときには噴射方式を全ポート噴射とし、冷却水温が冷間温度から暖機完了温度までの範囲のときには噴射方式を全筒内噴射とし、冷却水温が暖機完了温度以上のときには噴射方式を噴き分け噴射としている。
なお、上記冷間温度は、筒内噴射弁から燃料を噴射した場合のピストンやシリンダの壁面への燃料付着による燃料の気化不良を許容範囲内に抑えることが可能な冷却水温の下限値として設定されている。すなわち、上記従来の燃料噴射制御装置では、冷却水温から把握されるピストンやシリンダの壁温が、燃料付着による気化不良が許容範囲に留まるまで十分に上昇したときに、全ポート噴射から全筒内噴射へと噴射方式を切り替えるようにしている。
特開2013−209935号公報
ところで、外気が極低温のときには、吸気ポートを流れる吸気の温度も低くなり、その吸気により吸気ポートの壁面が冷却されるため、冷却水温が上昇しても、吸気ポートの壁温は低いままとなることがある。こうした場合に、ポート噴射弁の燃料噴射(ポート噴射)を行えば、吸気ポートの壁面への燃料付着が多くなり、その分、燃焼室で燃焼する燃料の量が少なくなって、燃焼が悪化する虞がある。
本発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、その解決しようとする課題は、内燃機関の冷間運転時における燃焼の悪化を抑制する燃料噴射制御装置を提供することにある。
上記課題を解決する燃料噴射制御装置は、吸気ポート内に燃料を噴射するポート噴射弁と気筒内に燃料を噴射する筒内噴射弁との2種の噴射弁を備える内燃機関に適用される。そして、同燃料噴射制御装置は、2種の噴射弁のうちのポート噴射弁のみが燃料噴射を行う全ポート噴射と、2種の噴射弁のうちの筒内噴射弁のみが燃料噴射を行う全筒内噴射と、の噴射方式の切り替えを行う。
ここで、吸気ポートの壁温が既定の壁温以上となったときをポート暖機の完了時とする。上記燃料噴射制御装置は、ポート暖機が完了しているか否かの判定を行うポート暖機判定部と、内燃機関で実施する噴射方式を機関回転数及び機関負荷に基づき決定する噴射方式決定部と、を備えている。そして、上記燃料噴射制御装置において噴射方式決定部は、内燃機関の冷却水温が既定の水温以下の冷間運転時における噴射方式の決定に際して、ポート暖機判定部が、ポート暖機が完了していないと判定しているときには、同ポート暖機が完了していると判定しているときよりも、機関回転数及び機関負荷により規定される内燃機関の運転領域において、噴射方式として全筒内噴射を選択する運転領域の範囲を広くするようにしている。
上記のように構成された燃料噴射制御装置では、内燃機関の冷間運転時において、ポート暖機判定部が、ポート暖機が完了していない(ポート未暖機)と判定しているときには、同ポート暖機が完了している(ポート暖機完了)と判定しているときよりも、噴射方式として全筒内噴射が選択される運転領域の範囲が広くなる。内燃機関の冷間運転時には、筒内噴射を行う場合に燃料の気化不良が生じ易くなっている。こうした冷間運転時には、ポート暖機が完了していれば、筒内噴射を行うよりも、ポート噴射を行った方が、燃焼が改善することが多い。一方、冷間運転時に、ポート暖機が完了していない場合には、ポート噴射を行うよりも筒内噴射を行った方が、燃焼が改善することが多くなる。その点、上記燃料噴射制御装置では、冷間運転時において、ポート暖機が完了している場合には、ポート噴射を行う運転領域として広い領域が確保され、ポート暖機が完了していない場合には、ポート噴射が行われる運転領域が限定されるようになる。そのため、内燃機関の冷間運転時における燃焼の悪化を抑制することができる。
なお、上記燃料噴射制御装置におけるポート暖機判定部は、内燃機関の始動開始時における冷却水温が低いときほど大きくなる値としてポート暖機判定値を設定するとともに、内燃機関の始動開始後の吸入空気量又は燃料噴射量の積算値がポート暖機判定値以上となっていることを条件に吸気ポートの暖機が完了していると判定するものとして構成することができる。内燃機関の始動開始後の吸入空気量や燃料噴射量の積算値は、始動開始後に内燃機関が燃焼により発生した熱の総量に、そして熱伝達を通じて吸気ポートが受けた燃焼熱の総量に相関した値となる。一方、内燃機関の始動開始時の吸気ポートの壁温は、同始動開始時の冷却水温(始動時水温)と同じ温度であると推定できるため、ポート暖機の完了とする上記既定の壁温まで吸気ポートの壁温を高めるために必要な熱量は、始動時水温が低いほど多くなる。そのため、始動時水温が低いときほど大きくなる値として設定されたポート暖機判定値は、ポート暖機の完了に必要な燃焼熱の量に相関する値となる。したがって、上記を条件とすることで、ポート暖機が完了しているか否かを判定することが可能となる。
なお、冷却水温及び吸気ポート壁温の連動した上昇を前提とした吸気ポート壁温の推定結果に基づきポート暖機の完了判定を行う場合には、自ずと、吸気ポートの暖機状況に応じた燃料噴射制御が、冷却水温に基づくシリンダの暖機状況に応じた燃料噴射制御と連動してしまう。これに対して、上記のような内燃機関の始動開始後の吸入空気量や燃料噴射量の積算値を用いた判定では、内燃機関の始動開始時の冷却水温を同始動開始時の吸気ポートの壁温の把握に用いているだけで、その後の冷却水温変化は判定結果に影響しない。そのため、冷却水温に基づくシリンダの壁温に応じた燃料噴射制御から独立したかたちで吸気ポートの暖機状況に応じた燃料噴射制御を行うことが可能となる。
なお、機関回転数が低いときほど、吸気ポートの圧力が高くなり、ポート噴射を行った場合に燃料の気化不良が生じ易くなる。そのため、機関回転数が低いときにポート暖機が完了したと判定されて、それまでポート噴射を行っていなかった運転領域でポート噴射が開始されると、燃料の気化不良が生じて燃料が悪化する可能性が高くなる。これに対しては、上記燃料噴射制御装置におけるポート暖機判定部が、機関回転数が既定値以上であることを条件に、吸気ポートの暖機が完了していると判定するようにするとよい。こうした場合、ポート噴射での燃料の気化不良が生じ易い状態から脱するまで、ポート暖機完了の判定が保留されるため、上記のような判定直後の燃焼悪化を抑制することができる。
燃料噴射制御装置の一実施形態が適用される内燃機関の構成を模式的に示す図。 同燃料噴射制御装置の制御構造を模式的に示すブロック図。 同燃料噴射制御装置のポート暖機判定部が実行するポート暖機判定ルーチンのフローチャート。 同燃料噴射制御装置のポート暖機判定部がポート暖機完了判定に用いるポート暖機判定値と機関始動時の冷却水温との関係を示すグラフ。 同燃料噴射制御装置に設けられた第1噴射方式決定部の内部の制御構造を示すブロック図。 同燃料噴射制御装置に設けられた第2噴射方式決定部の内部の制御構造を示すブロック図。 同燃料噴射制御装置に設けられた基本噴射開始時期決定部の内部の制御構造を示すブロック図。
以下、燃料噴射制御装置の一実施形態を、図1〜図7を参照して詳細に説明する。
まず、図1を参照して、本実施形態の燃料噴射制御装置30が適用される内燃機関10の構成を説明する。
内燃機関10は、往復動可能にピストン11が収容されたシリンダ12を備えている。ピストン11は、コネクティングロッド13を介してクランクシャフト14に連結されており、それらの連結構造は、ピストン11の往復運動をクランクシャフト14の回転運動に変換するクランク機構として機能する。また、内燃機関10におけるクランクシャフト14の近傍の部分には、同クランクシャフト14の回転に応じてパルス状の信号(クランク角信号CR)を出力するクランク角センサ15が設置されている。
シリンダ12の内部には、ピストン11により、燃焼室16が区画形成されている。燃焼室16には、吸気ポート17を介して吸気管18が接続されている。また、燃焼室16には、排気ポート19を介して排気管20が接続されている。吸気ポート17における燃焼室16との接続部分には、クランクシャフト14の回転に連動して開閉する吸気バルブ21が設置されている。また、排気ポート19における燃焼室16との接続部分には、クランクシャフト14の回転に連動して開閉する排気バルブ22が設置されている。
吸気管18には、同吸気管18を通って燃焼室16に送られる吸気の流量(吸入空気量GA)を検出するエアフローメータ23と、吸入空気量の調整弁であるスロットルバルブ24とが設けられている。また、吸気ポート17には、同吸気ポート17を通過する吸気中への燃料噴射(ポート噴射)を行うポート噴射弁25が設置されている。さらに、燃焼室16には、同燃焼室16の内部への燃料噴射(筒内噴射)を行う筒内噴射弁26と、火花放電により燃料を点火する点火プラグ27とが設置されている。
本実施形態の燃料噴射制御装置30は、こうした内燃機関10の燃料噴射制御を行う電子制御ユニットとして構成されている。燃料噴射制御装置30には、上記クランク角信号CR、及びエアフローメータ23の吸入空気量GAの検出信号が入力されている。また、燃料噴射制御装置30には、内燃機関10の冷却水の温度(冷却水温THW)を検出する水温センサ29の検出信号も入力されている。
また、燃料噴射制御装置30は、クランク角信号CRから内燃機関10の回転数(機関回転数NE)を計算している。さらに、燃料噴射制御装置30は、吸入空気量GAや機関回転数NEなどから予測負荷率KLFWDを計算している。予測負荷率KLFWDは、吸気行程に燃焼室16に流入する吸気の量(シリンダ流入空気量)の予測値の、内燃機関10の全負荷時における同吸気の量に対する比率を表している。この燃料噴射制御装置30では、こうした予測負荷率KLFWDを機関負荷の指標値として用いている。
図2に、燃料噴射制御装置30の制御構造を示す。同図に示すように、燃料噴射制御装置30は、ポート暖機判定部31、噴射方式決定部32、基本噴射開始時期決定部33、及び噴射制御部34を備えている。
ポート暖機判定部31は、吸気ポート17の暖機が完了しているか否かの判定を行う。この判定の結果は、噴射方式決定部32及び基本噴射開始時期決定部33に使用されるものとなっている。なお、同判定の詳細については後述する。
噴射方式決定部32は、内燃機関10の運転状況(機関回転数NE、予測負荷率KLFWDなど)に基づき、同内燃機関10で実施する噴射方式を決定する。なお、燃料噴射制御装置30では、噴射方式の種別を5桁の数字で表している。そして、その数字の内容は、上位桁から順に、ポート噴射の回数、吸気行程前半の筒内噴射の回数、吸気行程後半の筒内噴射の回数、圧縮行程前半の筒内噴射の回数、圧縮行程後半の筒内噴射の回数、を表すものとなっている。例えば、「11000」の場合には、ポート噴射を1回と吸気行程前半の筒内噴射を1回とを行うことを表し、「02001」の場合には、吸気行程前半の筒内噴射を2回と圧縮行程後半の筒内噴射を1回とを行うことを表している。以下の説明では、この噴射方式の種別を表す数字を、噴射方式MODEと記載する。
噴射方式決定部32は、こうした噴射方式MODEの値を、内燃機関10の運転状況に応じて算出することで噴射方式の決定を行っている。すなわち、噴射方式決定部32が決定する噴射方式とは、ポート噴射の回数と、吸気行程前半、吸気行程後半、圧縮行程前半、及び圧縮行程後半の4つの時期のそれぞれにおける筒内噴射の回数とを定めるものとなっている。
なお、以下の説明では、上記2種の噴射弁のうちのポート噴射弁25のみが燃料噴射を行う噴射方式、すなわちポート噴射の回数が1回以上であり、且つ上記4つの時期の筒内噴射の回数がいずれも0回である噴射方式を全ポート噴射という。また、上記2種の噴射弁のうちの筒内噴射弁26のみが燃料噴射を行う噴射方式、すなわちポート噴射の回数が0回であり、且つ上記4つの時期の少なくとも一つの筒内噴射の回数が1回以上である噴射方式を全筒内噴射という。さらに、2種の噴射弁の双方が燃料噴射を行う噴射方式、すなわちポート噴射の回数が1回以上であり、且つ上記4つの時期の少なくとも一つの筒内噴射の回数が1回以上である噴射方式を噴き分け噴射という。
基本噴射開始時期決定部33は、内燃機関10の運転状況(機関回転数NE、予測負荷率KLFWDなど)に基づき、噴射開始時期の算出時に、基準とする時期として用いられる基本噴射開始時期INJTを決定する。なお、基本噴射開始時期決定部33の詳細は、後述する。
噴射制御部34は、噴射方式決定部32が決定した噴射方式MODE、及び基本噴射開始時期決定部33が決定した基本噴射開始時期INJTに従って、ポート噴射弁25及び筒内噴射弁26の燃料噴射の制御を行う。具体的には、噴射制御部34はまず、燃料噴射の総量である要求噴射量を求め、噴射方式MODEの値が示す各噴射の噴射量を、それらの合計が要求噴射量と等しい値となるように、それぞれ算出する。続いて、噴射制御部34は、各噴射のそれぞれについて、噴射を開始する噴射開始時期と、算出した噴射量分の燃料噴射に必要な噴射時間とを算出する。そして、噴射制御部34は、実施する噴射のそれぞれについて、算出した噴射開始時期から燃料噴射を開始し、算出した噴射時間がその開始から経過したときに燃料噴射を停止するように、ポート噴射弁25又は筒内噴射弁26に燃料噴射を行わせる。
なお、筒内噴射の噴射開始時期は次のように算出されている。まず、最終的に演算する噴射開始時期と基本噴射開始時期INJTとの差に相当する値を計算する。そして、その計算した値を基本噴射開始時期INJTに加算した和を求め、その和に種々の調整を行った値を、噴射開始時期の値として算出する。そのため、筒内噴射として行われる各噴射の噴射開始時期は原則として、基本噴射開始時期INJTとして早い時期が設定されれば、全体的に早くなり、遅い時期が設定されれば、全体的に遅くなる。
(ポート暖機判定)
続いて、ポート暖機判定部31が行うポート暖機判定の詳細を説明する。
吸気ポート17の壁温(以下、ポート壁温と記載する)が極低温であるときに、ポート噴射を行うと、吸気ポート17や吸気バルブ21の壁面に多量の燃料が付着する。しかも、このときには、壁面に付着した燃料が殆ど揮発しないため、噴射した燃料の少なからぬ部分が燃焼に寄与しなくなる。これに対して、ポート暖機判定部31は、ポート噴射を行った場合に、ポート壁温が、壁面付着による燃料の気化不良による燃焼の悪化を許容範囲内に抑えられる同壁温の下限値以上となったときをポート暖機の完了時とし、そうしたポート暖機が完了しているか否かの判定を行っている。
図3に、ポート暖機判定部31が行うポート暖機判定ルーチンのフローチャートを示す。ポート暖機判定部31は、内燃機関10の始動開始後、本ルーチンにおいてポート暖機が完了していると判定されるまでの期間、既定の制御周期毎に、本ルーチンの処理を繰り返し実行する。
さて、本ルーチンの処理が開始されると、まずステップS100において、内燃機関10の始動開始時であるか否かが判定される。始動開始時であれば(YES)、ステップS110の処理を経てステップS120に処理が進められ、始動開始時でなければ(NO)、そのまま直接、ステップS120に処理が進められる。
ステップS110に処理が進められると、そのステップS110において、そのときの冷却水温THWに基づいて、ポート暖機判定値DPWの値が算出される。なお、上記のようにステップS110の処理は、内燃機関10の始動開始時に1回限りで実行される処理となっている。よって、ポート暖機判定値DPWの値は、内燃機関10の始動開始時における冷却水温THW(以下、始動時水温と記載する)に応じて設定される値となっている。
一方、ステップS120に処理が進められると、そのステップS120において、内燃機関10の始動開始後の吸入空気量GAの積算値である積算空気量ΣQがポート暖機判定値DPW以上であるか否かが判定される。ここで、積算空気量ΣQがポート暖機判定値DPW以上であれば、ステップS130に処理が進められ、ポート暖機判定値DPW未満であれば(NO)、そのまま今回の本ルーチンの処理が終了される。
ステップS130に処理が進められると、そのステップS130において、機関回転数NEが既定値α以上であるか否かが判定される。ここで、機関回転数NEが既定値α以上であれば(YES)、ステップS140に処理が進められ、既定値α未満であれば(NO)、そのまま今回の本ルーチンの処理が終了される。
ステップS140に処理が進められると、そのステップS140において、ポート暖機完了フラグPWUがオン(ON)とされた後、本ルーチンの処理が終了される。なお、ポート暖機完了フラグPWUは、内燃機関10の始動開始時にはオフ(OFF)とされており、一旦、オン(ON)とされると、内燃機関10の運転終了までオンのまま保持される。ちなみに、ポート暖機判定部31は、このポート暖機完了フラグPWUがオフであることを条件に本ルーチンを実行している。
以上の本ルーチンによれば、内燃機関10の始動開始後、積算空気量ΣQが、始動時水温に応じて設定されたポート暖機完了判定値DPW以上となり(S130:YES)、且つ機関回転数NEが既定値α以上となっているときに、ポート暖機が完了したと判定されるようになる。
図4に、上記ステップS110において設定されるポート暖機判定値DPWの値と、その設定時の冷却水温THW、すなわち始動時水温との関係を示す。同図に示すように、ポート暖機判定値DPWは、始動時水温が低いときほど大きくなる値として設定されている。
なお、同図のグラフの横軸における温度TH4は、壁面付着による燃料の気化不良による燃焼の悪化を許容範囲内に抑えられるポート壁温の下限値となる温度を示している。すなわち、ポート壁温が温度TH4以上の状態が、ポート暖機が完了した状態となっている。内燃機関10の始動開始時のポート壁温は、始動時水温とほぼ同じ温度と考えられる。よって、始動時水温が上記温度TH4以上であれば、ポート暖機は既に完了していることになる。そのため、始動時水温が温度TH4以上の場合、ポート暖機判定値DPWは0に設定されている。
ここで、ポート暖機判定値DPW、及び同ポート暖機判定値DPWを用いた上記ステップS120での判定の意味について説明する。内燃機関10の前回の運転終了から今回の始動開始までに十分な時間が経過していれば、冷却水温THWは外気と同じ温度まで低下する。また、同様にポート壁温も外気と同じ温度まで低下する。そこで、ここでは、始動時水温を、内燃機関10の始動開始時におけるポート壁温と推定している。
一方、内燃機関10の始動開始後、吸気ポート17の壁面には、燃焼室16での燃焼により発生した熱が伝達されるが、燃焼により発生する熱量は、燃焼室16で燃焼された混合気の空気量に相関する。よって、内燃機関10の始動開始後における、燃焼熱の伝達による吸気ポート17の受熱量の総量は、積算空気量ΣQに相関する。また、内燃機関10の始動開始時におけるポート壁温を始動時水温とすれば、ポート暖機が完了した状態となるポート壁温(温度TH4)と始動時水温との差が大きいほど、すなわち始動時水温が低いほど、ポート壁温が温度TH4となるまでに必要な積算空気量ΣQも大きくなる。したがって、始動時水温が低いときには、同始動時水温が高いときよりも大きくなる値としてポート暖機判定値DPWの値を設定し、積算空気量ΣQがそのポート暖機判定値DPW以上であるか否かを判定することで、ポート暖機が完了しているか否かの判定を行うことができる。
一方、ステップS130における機関回転数NEによる判定は、次の理由により行われている。ポート噴射弁25から噴射した燃料は、吸気ポート17内の圧力が高いほど、気化し難くなる。一方、吸気ポート17内の圧力は、吸入空気量GAが同じでも、機関回転数NEが低いほど高くなる。そのため、直ちにポート噴射を開始しても、噴射燃料が気化し易い環境にあるときに限定して、ポート暖機が完了したとの判定がなされるように、機関回転数NEが既定値α以上であることを、同判定の条件としている。
(噴射方式の決定)
続いて、噴射方式決定部32による噴射方式MODEの決定の詳細を説明する。
図2に示すように、噴射方式決定部32の内部には、下位の制御構造として第1噴射方式決定部35と第2噴射方式決定部36とが設けられている。そして、噴射方式決定部32は、ポート暖機判定部31によってポート暖機が完了していると判定されているか否かにより、噴射方式MODEの決定に、第1噴射方式決定部35及び第2噴射方式決定部36のいずれを用いるかを切り替えるようにしている。具体的には、噴射方式決定部32では、ポート暖機完了フラグPWUがオフであり、ポート暖機が完了していない(ポート未暖機)とポート暖機判定部31が判定しているときには、第1噴射方式決定部35により噴射方式MODEの決定が行われる。また、噴射方式決定部32では、ポート暖機完了フラグPWUがオンであり、ポート暖機が完了しているとポート暖機判定部31が判定しているときには、第2噴射方式決定部36により噴射方式MODEの決定が行われる。
図5に、第1噴射方式決定部35の内部の制御構造を示す。同図に示すように、第1噴射方式決定部35は、第1領域判定部37と第1噴射方式算出部38とを備えている。
第1領域判定部37は、冷却水温THWにより区分けされた3つの水温領域、すなわちOリング保護領域、通常領域、及びエミッション領域のうち、現在の冷却水温THWがいずれの領域にあるかを判定する。これら3つの水温領域はそれぞれ、次のような領域となっている。
内燃機関10では、運転状況に応じて、筒内噴射弁26に供給する燃料の圧力(燃圧)を調整する燃圧可変制御が行われている。一方、筒内噴射弁26には、シール材としてOリングが使用されているが、低温時には、このOリングが硬化して、燃料の漏出を防止可能な燃圧の上限値が、燃圧可変制御における燃圧の調整範囲の最大値よりも低くなることがある。そのため、内燃機関10では、冷却水温THWが既定の温度TH1未満となっている場合、低温硬化したOリングでも燃料の漏出を防止可能な値まで、燃圧可変制御での燃圧の調整範囲の最大値を低下させるOリング保護制御を行っている。Oリング保護領域は、こうしたOリング保護制御が実行される水温領域、すなわち冷却水温THWが上記温度TH1未満の水温領域となっている。
一方、冷却水温THWが一定の温度よりも低い状態で全筒内噴射を行う場合、シリンダ12やピストン11の壁面への燃料付着による気化不良による燃焼の悪化が著しくなるため、エミッションをある程度犠牲にしても、燃焼性を確保しなければならなくなる。ここでは、燃焼性の確保を優先した噴射方式の決定を行う水温領域を通常領域、エミッションの向上を優先した噴射方式の決定を行う水温領域をエミッション領域としている。具体的には、通常領域は冷却水温THWが上記温度TH1以上、且つ既定の温度TH2未満の領域、エミッション領域は冷却水温THWが温度TH2以上の領域となっている(以上、図4参照)。
これに対して第1噴射方式算出部38は、第1領域判定部37の水温領域の判定結果に応じて、噴射方式MODEの算出に用いるテーブルを切り替えながら、噴射方式MODEの算出を行っている。噴射方式MODEの算出用のテーブルは、機関回転数NE及び予測負荷率KLFWDにより規定される内燃機関10の動作点毎に、その動作点で実施する噴射方式MODEの値が格納されたものとなっている。第1噴射方式算出部38には、こうした噴射方式MODEの算出用のテーブルとして、エミッション領域用、通常領域用、Oリング保護領域用の3つのテーブルT1〜T3が設けられている。そして、第1噴射方式算出部38は、第1領域判定部37が判定した水温領域用のテーブルを選択するとともに、その選択したテーブルにおける現在の機関回転数NE及び予測負荷率KLFWDに対応した噴射方式MODEの値を取得することで、同噴射方式MODEの算出を行っている。
なお、上記3つのテーブルT1〜T3はそれぞれ、次の特徴を有している。
エミッション領域用、通常領域用のテーブルT1、T2は、内燃機関10の運転域全体で全筒内噴射を行うように設定されている。ただし、通常領域用のテーブルT2では、吸気行程前半に筒内噴射を行う噴射方式MODEが値として設定された内燃機関10の運転領域の範囲が、エミッション領域用のテーブルT1よりも広くなっている。これは、次の理由による。燃料が気化し難い低水温時には、噴射した燃料が気化する時間を確保するため、筒内噴射を早い時期に行うことが望ましい。ただし、吸気行程前半に筒内噴射を行うと、噴射した燃料の一部がピストン11の頂面に付着して、そうした燃料が不完全燃焼となってHCの発生量が増える。そこで、エミッション領域では、吸気行程前半の筒内噴射を避けてHCの発生を抑えるようにしている。これに対して、通常領域では、HCの発生をある程度許容してでも、燃料の気化時間を確保するため、吸気行程前半の筒内噴射を行うようにしている。
また、内燃機関10の高負荷高回転運転領域では、要求噴射量が多くなるのに対して、噴射を行える時間は短くなる。そのため、高負荷高回転運転領域では通常は、短時間で多量の筒内噴射が可能なように、燃圧可変制御により燃圧を高くしている。これに対して、Oリング保護制御が行われると、全筒内噴射だけでは要求噴射量分の燃料を噴射し切れない運転領域ができてしまう。そのため、Oリング保護領域用のテーブルT3は、高負荷高回転の運転領域では噴き分け噴射を行い、それ以外の運転領域では全筒内噴射を行うように設定されている。
図6に、第2噴射方式決定部36内の制御構造を示す。同図に示すように、第2噴射方式決定部36は、回転低下判定部39、第2領域判定部40、及び第2噴射方式算出部41を備えている。
回転低下判定部39は、内燃機関10の回転低下の有無を判定する。この判定では、機関回転数NEが、アイドル回転数から既定の低下判定値を引いた差未満である場合を回転低下有りとし、それ以外を回転低下無しとしている。なお、こうした回転低下は主に、内燃機関10の燃料として気化性の低い重質燃料が使用されている場合に生じるものとなっている。
これに対して第2領域判定部40は、回転低下判定部39が回転低下無しと判定している場合に限って、水温領域の判定を行う。第2領域判定部40は、このとき、冷却水温THWにより区分けされた3つの水温領域のうち、現在の冷却水温THWがいずれの領域にあるかを判定する。なお、第2領域判定部40が判定する水温領域は、上述のOリング保護領域、通常領域、及びエミッション領域とは別の基準で設定された、下記の暖機完了領域、暖機過程領域、及び冷間運転領域となっている。
暖機完了領域は、内燃機関10の暖機が完了したと判定する冷却水温THWである暖機完了水温TH5以上の水温領域となっている。また、冷間運転領域は、内燃機関10が冷間運転の状態であると判定する冷却水温THWである暖機開始水温TH3未満の水温領域となっている。そして、暖機過程領域は、冷却水温THWが暖機開始水温TH3以上、且つ暖機完了水温TH5未満の水温領域となっている。ちなみに、暖機開始水温TH3は、上述の通常領域とエミッション領域とを区分けする冷却水温THWである温度TH2よりも高い温度となっている(以上、図4参照)。
これに対して、第2噴射方式算出部41は、回転低下判定部39及び第2領域判定部40の判定結果に応じて、噴射方式MODEの算出に用いるテーブルを切り替えながら、噴射方式MODEの算出を行っている。第2噴射方式算出部41には、噴射方式MODEの算出用のテーブルとして、回転低下判定部39が回転低下有りと判定しているときに使用される回転低下時用のテーブルT4と、第2領域判定部40が判定する3つの水温領域にそれぞれ対応する、暖機完了領域用、暖機過程領域用、冷間運転領域用の3つのテーブルT5〜T7とが設けられている。そして、第2噴射方式算出部41は、回転低下判定部39及び第2領域判定部40の判定結果に応じたテーブルを選択するとともに、その選択したテーブルにおける現在の機関回転数NE及び予測負荷率KLFWDに対応した噴射方式MODEの値を取得することで、同噴射方式MODEの算出を行っている。
なお、上記4つのテーブルT4〜T7はそれぞれ、次の特徴を有している。
上述のように内燃機関10の回転低下は、重質燃料の使用時に発生することが多い。これに対して、ポート噴射弁25では燃料の噴射圧が筒内噴射弁26よりも低く、噴射した燃料の噴霧の粒径が大きいため、重質燃料が使用されている場合にポート噴射を行うと、気化不良が発生し易くなる。そのため、回転低下時用のテーブルT4は、内燃機関10の運転領域の大半で、重質燃料の使用時でも燃料が気化し易い全筒内噴射、且つその中でも燃料の気化時間をより長く確保できる吸気行程前半の筒内噴射を行う噴射方式MODEとなるように設定されている。
暖機完了領域用のテーブルT5は、燃費を優先した噴射方式MODEが実施されるように設定されている。このテーブルT5では、全ポート噴射や噴き分け噴射を広い運転領域で行うように設定されている。そのため、同テーブルT5において全筒内噴射が噴射方式として選択される運転領域は、ポート未暖機時に使用される上記テーブルT1〜T3よりも狭くなっている。なお、同テーブルT5は、高負荷運転領域では、圧縮行程後半の筒内噴射を行うように設定されている。これは、噴射した燃料の気化熱で点火時の燃焼室16内の温度を下げることで、ノッキングの発生を抑えるためである。また、同テーブルT5は、低負荷運転領域では、ポート噴射、又は吸気行程前半の筒内噴射と合わせて吸気行程後半の筒内噴射を行うように設定されている。これは、吸気行程後半の筒内噴射の噴流により、先に噴射した燃料の吸気との混合を促進して、混合気の均質化を図るためである。
これに対して、暖機過程領域では、シリンダ12の壁温が十分に高まっておらず、筒内噴射ではシリンダ12の壁面への燃料付着が多くなり、その付着した燃料が同シリンダ12の下方に設けられたオイルパンに滴り落ちて、エンジンオイルの燃料希釈が進行してしまう。特に、吸気行程後半には、ピストン11が下がって燃焼室16に曝されるシリンダ12の壁面の面積が大きくなっており、この時期に筒内噴射を行うと、上記燃料希釈の進行はより顕著となる。そのため、暖機過程領域用のテーブルT6は、暖機完了領域用のテーブルT5よりも広い運転領域で全ポート噴射を行うように設定されている。なお、同テーブルT6においても、高負荷運転領域には全筒内噴射が設定されているが、その場合にも噴射方式MODEの値は、吸気行程後半以外の時期に筒内噴射を行う値となっている。
さらに、冷間運転領域では、ピストン11やシリンダ12の壁温が低く、筒内噴射を行うと、それらの壁面への燃料付着による気化不良が発生し易くなる。そのため、冷間運転領域用のテーブルT7は、暖機完了領域用のテーブルT5よりも全ポート噴射を行う運転領域が広くなるように設定されている。この点では、同テーブルT7も、上記暖機過程領域用のテーブルT6と同様であるが、次の点での相違がある。すなわち、同テーブルT7での全筒内噴射は、燃料希釈の抑制よりも燃料の気化を優先して、吸気行程後半の筒内噴射を含む、複数回の筒内噴射により行うように設定されている。
ちなみに、回転低下無しの場合に第2噴射方式算出部41が使用する3つのテーブルT5〜T7はいずれも、第1噴射方式算出部38が噴射方式MODEの算出に用いる3つのテーブルT1〜T3のいずれと比較しても、噴射方式MODEとして全筒内噴射が選択される運転領域の範囲は狭くなっている。一方、噴射方式決定部32では、ポート未暖機時には第1噴射方式算出部38が、ポート暖機完了時には第2噴射方式算出部41が、噴射方式MODEの算出を行っている。ここで、回転低下時用のテーブルT4は常用するものでないため、これを除外すると、噴射方式決定部32は、ポート未暖機時には、ポート暖機完了時よりも、噴射方式MODEとして全筒内噴射を選択する運転領域の範囲を広くするように噴射方式MODEを決定していることになる。
(基本噴射開始時間の決定)
続いて、基本噴射開始時期決定部33による基本噴射開始時期INJTの決定の詳細を説明する。
図7に、基本噴射開始時期決定部33の内部の制御構造を示す。同図に示すように、基本噴射開始時期決定部33は、第3領域判定部42と基本噴射開始時期算出部43とを備えている。
第3領域判定部42は、ポート暖機完了フラグPWUと、冷却水温THWとに基づき、下記6つの領域のいずれに該当するかを判定する。すなわち、暖機完了領域A、暖機完了領域B、暖機過程領域A、暖機過程領域B、冷間運転領域A、及び冷間運転領域Bである。なお、Aは該当水温領域にあってポート暖機が完了していることを、Bは該当水温領域にあってポート暖機が完了していないことを、それぞれ表している。
これに対して、基本噴射開始時期算出部43は、基本噴射開始時期INJTの算出に使用するテーブルとして、上記6つの領域にそれぞれ対応する6つのテーブルT8〜T13を備えている。そして、基本噴射開始時期算出部43は、第3領域判定部42の判定結果に応じて、使用するテーブルを切り替えながら基本噴射開始時期INJTの算出を行っている。なお、基本噴射開始時期INJTの算出用のテーブルは、機関回転数NE及び予測負荷率KLFWDにより規定される内燃機関10の動作点毎に、その動作点での基本噴射開始時期INJTの値が格納されたものとなっている。
なお、こうした基本噴射開始時期INJTの算出用のテーブルT8〜T13の切り替えは、上述したポート未暖機時、ポート暖機完了時の各水温領域における噴射方式MODEの設定と合わせて、それぞれの水温領域における課題への対応を図るために行われている。例えば、ポート暖機完了時における冷間運転領域では、燃料の気化不良を抑えるため、全筒内噴射を行う場合に複数回の筒内噴射に分けて燃料を噴射するようにしているが、噴射毎のインターバルの分、要求噴射量分の燃料噴射に要する時間が長くなってしまう。そのため、冷間運転領域A用のテーブルT12は、より早い時期から噴射を開始して最終的な噴射の終了時期の遅れを抑えるため、暖機完了領域A用のテーブルT8と比較して基本噴射開始時期INJTが早い時期となるように設定されている。また、ポート暖機未完了時における上記エミッション領域は、暖機完了時の暖機完了領域、暖機過程領域、冷間運転領域のすべてに跨っており、エミッション領域内にあっても内燃機関10の運転状況は大きく変化する。そこで、同じ噴射方式MODEでも基本噴射開始時期INJTを変化させることで、そうした運転状況の変化に対応できるようにしている。
以上説明した本実施形態の燃料噴射制御装置30によれば、以下の効果を奏することができる。
(1)本実施形態では、内燃機関10の冷間運転時において、ポート暖機判定部31が、ポート未暖機と判定しているときには、ポート暖機完了と判定しているときよりも、噴射方式MODEとして全筒内噴射が選択される運転領域の範囲を広くしている。そのため、冷間運転時においてポート暖機が完了している場合には、全ポート噴射や噴き分け噴射を行う運転領域を広くして、冷間運転時に筒内噴射を行う場合の気化不良の回避を図りつつも、吸気ポート17の壁面が冷えていて、ポート噴射を行うと却って気化不良が問題となる場合には、ポート噴射の実施を控えることが可能となる。したがって、本実施形態によれば、内燃機関10の冷間運転時における燃焼の悪化を抑制することができる。
(2)本実施形態においてポート暖機判定部31は、内燃機関10始動開始後の積算空気量ΣQが、始動時水温が低いときほど大きくなる値として設定したポート暖機判定値DPW以上となることを条件にポート暖機完了の判定を行うようにしている。こうした判定は、内燃機関10の始動開始後の冷却水温THWの変化とは関わりなく行われる。そのため、冷却水温THWに基づくシリンダ12の壁温に応じた燃料噴射制御から独立したかたちで吸気ポート17の暖機状況に応じた燃料噴射制御を行うことが可能となる。
(3)機関回転数NEが低いときには、吸気ポート17の圧力が高くなり、ポート噴射を行った場合に燃料の気化不良が生じ易くなる。そのため、機関回転数NEが低いときにポート暖機が完了したと判定されて、それまでポート噴射を行っていなかった運転領域でポート噴射が開始されると、燃料の気化不良が生じて燃料が悪化する可能性が高くなる。その点、本実施形態においてポート暖機判定部31は、機関回転数NEが既定値α以上であることを条件に、ポート暖機の完了を判定しているため、上記態様での燃焼の悪化を抑えることができる。
(4)噴射方式MODEの算出に用いるテーブルの切り替えを行う水温領域を、ポート暖機完了時とポート未暖機時とで別途に設定している。そのため、ポート暖機完了時、ポート未暖機時のそれぞれの状況に適したかたちで噴射方式の切り替えを行うことができる。
なお、上記実施形態は、以下のように変更して実施することもできる。
・気化不良が発生する条件は、内燃機関の機種により異なるため、各テーブルでの噴射方式MODEの設定も機種により異なったものとなる。また、ポート暖機完了時、ポート未暖機時のそれぞれにおける水温領域の数や各領域の冷却水温THWの範囲も、機種により適した値は異なったものとなる。よって、それらは、適用する内燃機関の機種に応じて適宜に変更するとよい。
・上記実施形態では、ポート暖機の完了の判定に、内燃機関10の始動開始後の吸入空気量GAの積算値(積算空気量ΣQ)を用いていたが、始動開始後の燃料噴射量の積算値も同様に、内燃機関10が始動開始後に燃焼により発生した熱の総量に相関した値となる。そのため、内燃機関10の始動開始後の燃料噴射量の積算値を、積算空気量ΣQの代わりに用いることも可能である。
・上記実施形態では、機関回転数NEが既定値α以上であることをポート暖機完了の判定の条件としていた。なお、上記のようにこの条件は、吸気ポート17の圧力が低い状態にあることを意味するものであり、吸気圧の検出値や推定値をもって代用が可能である。すなわち、図3のポート暖機判定ルーチンにおけるステップS130の判定を、吸気圧が既定値以下であるか否かを判定するものに置き換えるようにしてもよい。
・図3のポート暖機判定ルーチンにおけるステップS130の判定は、ポート噴射の噴射燃料の気化性が確保される状態となるまで、ポート暖機完了の判定を保留するためのものであって、実質的なポート暖機完了の判定は、ステップS120で行われている。よって、単にポート暖機の完了を判定するだけでよいのであれば、ステップS130の判定は割愛してもよい。
・上記実施形態では、全ポート噴射、全筒内噴射、噴き分け噴射とで噴射方式の切り替えを行っていたが、噴き分け噴射を行わず、全ポート噴射と全筒内噴射とで噴射方式の切り替えを行うようにしてもよい。
10…内燃機関、11…ピストン、12…シリンダ、13…コネクティングロッド、14…クランクシャフト、15…クランク角センサ、16…燃焼室、17…吸気ポート、18…吸気管、19…排気ポート、20…排気管、21…吸気バルブ、22…排気バルブ、23…エアフローメータ、24…スロットルバルブ、25…ポート噴射弁、26…筒内噴射弁、27…点火プラグ、29…水温センサ、30…燃料噴射制御装置、31…ポート暖機判定部、32…噴射方式決定部、33…基本噴射開始時期演算部、34…噴射制御部、35…第1噴射方式決定部、36…第2噴射方式決定部、37…第1領域判定部、38…第1噴射方式算出部、39…回転低下判定部、40…第2領域判定部、41…第2噴射方式算出部、42…第3領域判定部、43…基本噴射開始時期算出部。

Claims (2)

  1. 吸気ポート内に燃料を噴射するポート噴射弁と気筒内に燃料を噴射する筒内噴射弁との2種の噴射弁を備える内燃機関に適用されて、前記2種の噴射弁のうちの前記ポート噴射弁のみが燃料噴射を行う全ポート噴射と、前記2種の噴射弁のうちの前記筒内噴射弁のみが燃料噴射を行う全筒内噴射と、の噴射方式の切り替えを行う燃料噴射制御装置において、
    前記吸気ポートの壁温が既定の壁温以上となったときをポート暖機が完了時としたとき、
    前記ポート暖機が完了しているか否かの判定を行うポート暖機判定部と、
    前記内燃機関で実施する噴射方式を機関回転数及び機関負荷に基づき決定する噴射方式決定部と、
    を備え、
    前記ポート暖機判定部は、前記内燃機関の始動開始時における冷却水温が低いときほど大きくなる値としてポート暖機判定値を設定するとともに、前記内燃機関の始動開始後の吸入空気量又は燃料噴射量の積算値が前記ポート暖機判定値以上となっていることを条件に前記吸気ポートの暖機が完了していると判定し、
    前記噴射方式決定部は、前記内燃機関の冷却水温が既定の水温以下の冷間運転時における前記噴射方式の決定に際して、前記ポート暖機判定部が、前記ポート暖機が完了していないと判定しているときには、同ポート暖機が完了していると判定しているときよりも、前記機関回転数及び前記機関負荷により規定される前記内燃機関の運転領域において、噴射方式として前記全筒内噴射を選択する運転領域の範囲を広くする
    燃料噴射制御装置。
  2. 前記ポート暖機判定部は、機関回転数が既定値以上であることを条件に、前記吸気ポートの暖機が完了していると判定する
    請求項1に記載の燃料噴射制御装置。
JP2017025465A 2017-02-14 2017-02-14 燃料噴射制御装置 Active JP6562011B2 (ja)

Priority Applications (4)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017025465A JP6562011B2 (ja) 2017-02-14 2017-02-14 燃料噴射制御装置
US15/884,689 US10450993B2 (en) 2017-02-14 2018-01-31 Fuel injection control device and method for internal combustion engine
CN201810128738.4A CN108533412B (zh) 2017-02-14 2018-02-08 燃料喷射控制装置及燃料喷射控制方法
EP18156110.1A EP3361078B1 (en) 2017-02-14 2018-02-09 Fuel injection control device and method for internal combustion engine

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017025465A JP6562011B2 (ja) 2017-02-14 2017-02-14 燃料噴射制御装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2018131958A JP2018131958A (ja) 2018-08-23
JP6562011B2 true JP6562011B2 (ja) 2019-08-21

Family

ID=61189360

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2017025465A Active JP6562011B2 (ja) 2017-02-14 2017-02-14 燃料噴射制御装置

Country Status (4)

Country Link
US (1) US10450993B2 (ja)
EP (1) EP3361078B1 (ja)
JP (1) JP6562011B2 (ja)
CN (1) CN108533412B (ja)

Families Citing this family (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
DE102016203433B4 (de) * 2016-03-02 2017-12-07 Continental Automotive Gmbh Verfahren und Vorrichtung zum Ermitteln eines Einspritzmodus zum Einspritzen eines Kraftstoffs in einen Brennraum eines Zylinders einer Brennkraftmaschine
CN110566358B (zh) * 2019-09-30 2022-03-01 潍柴动力股份有限公司 发动机起动控制方法、装置、设备及存储介质
JP7116756B2 (ja) * 2020-03-31 2022-08-10 本田技研工業株式会社 内燃機関の制御装置
EA202092385A1 (ru) * 2020-07-24 2022-01-31 Пауэрхаус Энджин Солюшнз Свитселанд АйПи Холдинг ГмбХ Система двигателя внутреннего сгорания
JP7428151B2 (ja) 2021-01-28 2024-02-06 トヨタ自動車株式会社 内燃機関の制御装置

Family Cites Families (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4135642B2 (ja) * 2004-01-13 2008-08-20 トヨタ自動車株式会社 内燃機関の噴射制御装置
JP2005330833A (ja) 2004-05-18 2005-12-02 Toyota Motor Corp 内燃機関の燃料噴射制御装置
JP4148233B2 (ja) 2005-03-29 2008-09-10 トヨタ自動車株式会社 エンジンの燃料噴射制御装置
JP4238890B2 (ja) 2006-07-24 2009-03-18 トヨタ自動車株式会社 内燃機関の燃料噴射制御装置
JP2013209935A (ja) 2012-03-30 2013-10-10 Toyota Motor Corp 内燃機関の燃料噴射制御装置
JP2014159772A (ja) * 2013-02-20 2014-09-04 Hitachi Automotive Systems Ltd 内燃機関の制御装置
DE102013210604A1 (de) * 2013-06-07 2014-12-11 Robert Bosch Gmbh Verfahren zum Betreiben einer direkteinspritzenden Verbrennungskraftmaschine
WO2016075784A1 (ja) 2014-11-13 2016-05-19 日産自動車株式会社 内燃機関の燃料噴射制御装置および燃料噴射制御方法
JP2016102471A (ja) * 2014-11-28 2016-06-02 トヨタ自動車株式会社 内燃機関の制御装置

Also Published As

Publication number Publication date
US10450993B2 (en) 2019-10-22
EP3361078A1 (en) 2018-08-15
EP3361078B1 (en) 2020-07-15
CN108533412A (zh) 2018-09-14
JP2018131958A (ja) 2018-08-23
US20180230929A1 (en) 2018-08-16
CN108533412B (zh) 2021-11-09

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6562011B2 (ja) 燃料噴射制御装置
US8078387B2 (en) Control apparatus for spark-ignition engine
EP3361074B1 (en) Fuel injection control device
JP4356595B2 (ja) 内燃機関の制御装置
JP2006194098A (ja) 内燃機関の燃料噴射制御装置
JP2005307916A (ja) 内燃機関の燃料噴射制御装置
JP2006291877A (ja) 内燃機関の制御装置
JP4449706B2 (ja) 内燃機関の制御装置
JP2006258028A (ja) 内燃機関の制御装置
JPH05231221A (ja) 燃料噴射式内燃機関
US9920705B2 (en) Fuel injection system and method
JP2014234730A (ja) 燃料噴射装置
JP2006183539A (ja) 筒内噴射式内燃機関の燃料噴射制御装置
JP2007032326A (ja) 内燃機関の制御装置
JP2006258023A (ja) 内燃機関の制御装置
JP2009197705A (ja) 燃料噴射制御装置
JP2010014010A (ja) 内燃機関の制御装置
JP2009257100A (ja) 内燃機関の噴射制御装置
JP4742633B2 (ja) 内燃機関の制御装置
JP2015117661A (ja) エンジンの燃料噴射制御装置
JP2010248948A (ja) 内燃機関の制御装置
JP5664483B2 (ja) 内燃機関の燃料噴射制御装置
JP2010180715A (ja) 内燃機関の制御装置
JP2009030515A (ja) 火花点火式内燃機関の燃料噴射システム
JP2006118482A (ja) 内燃機関の制御装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20180810

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20190416

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20190417

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20190612

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20190625

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20190708

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 6562011

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151