JP6561883B2 - 回路基板の製造方法 - Google Patents
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さらに、本発明の製造方法により製造された回路基板は、回路層の厚さが0.1mm以下の薄肉に設けられているので、回路基板の使用環境においても、回路層とセラミックス基板との間の熱伸縮差による反りが生じ難い。したがって、回路基板と、その回路基板の回路層とは反対側に配設される放熱板や冷却器等との密着性を向上でき、放熱性能を良好に維持できる。
また、平均Si濃度a2が0.1%未満の場合は、加熱時に生成する液相の量が低下するため、冷熱サイクル後の接合性が低下する。さらに、平均Si濃度a2が3.0%を超えると、液相の量が増加するため、酸化膜の厚さが2nm未満の場合と同様に、回路層表面を観察するとセラミックス基板が透けて観察されるようになる。
図1は、本発明に係る実施形態の回路基板の製造方法により製造される回路基板10を示している。この図1に示す回路基板10は、絶縁基板であるセラミックス基板11と、このセラミックス基板11の一方の面(図1において上面)に接合された回路層12と、セラミックス基板11の他方の面(図1において下面)に接合された金属層13とを備えている。
また、金属層13は、必ずしも限定されるものではないが、アルミニウム又はアルミニウム合金からなるアルミニウム材をセラミックス基板11の他方の面にろう材を用いて接合することにより形成され、厚さが0.005mm以上5mm以下に設けられる。
また、回路基板10と放熱板40とは、回路基板10の金属層13と放熱板40との間に、例えばグリースを介在させ、回路基板10と放熱板40とをバネ等により押し付けて固定したり、回路基板10を放熱板40にはんだ付けしたり、ろう付けして固定することも可能である。
回路層用アルミニウム材21としては、厚さが0.005mm以上0.1mm以下の純度96質量%以上で、かつSi濃度が0.6質量%以下のアルミニウムの表面に、熱処理により厚さが3nm以上11nm以下の酸化膜が形成されたものを用い、例えばJIS規格では純度99.99質量%以上の純アルミニウム板(いわゆる4Nアルミニウム)の圧延板を好適に用いることができる。熱処理は、大気中で250℃〜400℃の範囲内で、10分〜480分の条件で行うことができる。
そして、回路層用アルミニウム材21とセラミックス基板11との間に介在されるろう材41は、ろう材41の含有Si濃度をa1(%)、ろう材41の厚さをt1(μm)、回路層用アルミニウム材21の厚さをt2(μm)、回路層用アルミニウム材21とろう材41の平均Si濃度をa2(%)とした場合に、a2=(a1×t1)/(t2+t1)より算出される平均Si濃度a2が0.1%以上3.0%以下となるようろう材41にSiを含有させたAl‐Si系合金ろう材を好適に用いることができる。好ましくは平均Si濃度a2を0.2%以上1.3%以下とするとよい。
なお、この場合の加圧力としては例えば0.2〜0.4MPa、加熱温度としては例えば600〜640℃とされる。
したがって、回路基板10の生産性を低下させることなく、薄肉の回路層12を有する回路基板10を製造できる。また、このように製造された回路基板10にエッチング処理を施すことにより、回路層12に微細な回路パターンを形成できる。
なお、金属層13とセラミックス基板11とのろう接合においても、回路層12と同様に、金属層用アルミニウム材31のセラミックス基板11との接合面に、ろう材42と同成分のろう材層42aが積層されたクラッド材32を用いることができる。
そして、得られた各回路基板に対し、冷熱サイクル後の接合率及び回路層の表面観察を行った。なお、酸化膜の厚さは、熱処理後のアルミニウム材に対し、表面からオージェ分析によりスパッタ厚さ方向に行い、アルミナ(Al2O3)を比較サンプルとして測定した。
冷熱サイクル後の接合率は、冷熱衝撃試験機エスペック社製TSB−51を使用し、ヒートシンク付パワーモジュール用基板に対して、液相(フロリナート)で、−40℃×10分←→150℃×10分の3000サイクルを実施し、回路層とセラミックス基板との接合率を評価した。具体的には、回路基板において、回路層とセラミックス基板との界面の接合率について超音波探傷装置(株式会社日立パワーソリューションズ製FineSAT200)を用いて評価し、以下の式から算出した。ここで、初期接合面積とは、接合前における接合すべき面積、すなわち回路層の面積とした。超音波探傷像を二値化処理した画像において剥離は接合部内の白色部で示されることから、この白色部の面積を剥離面積とした。
(接合率)={(初期接合面積)−(非接合部面積)}/(初期接合面積)×100
接合率が90%以上の場合を「○」、90%未満の場合を「×」と評価した。
回路基板の表面を目視にて観察し、回路層表面からセラミックス基板が透けて観察された場合を「×」、透けて観察されなかった場合を「○」と評価した。
評価結果を表1に示す。
11 セラミックス基板
12 回路層
13 金属層
21 回路層用アルミニウム材
22,32 クラッド材
31 金属層用アルミニウム材
41,42 ろう材
41a,42a ろう材層
50 半導体素子
61 加圧板
100 パワーモジュール
Claims (1)
- セラミックス基板の一方の面に、ろう材を介して回路層となるアルミニウム材を積層して、その積層方向に加圧した状態で加熱することにより、前記セラミックス基板に前記回路層が接合された回路基板を製造する方法であって、
前記アルミニウム材には、厚さ0.005mm以上0.1mm以下の純度96質量%以上で、かつSi濃度が0.6質量%以下のアルミニウムの表面に、厚さ2nm以上11nm以下の酸化膜が形成されているものを用い、
前記ろう材はAl‐Si系合金とされ、
前記ろう材の含有Si濃度をa1(%)、前記ろう材の厚さをt1(μm)、前記アルミニウム材の厚さをt2(μm)、前記アルミニウム材と前記ろう材の平均Si濃度をa2(%)とした場合に、a2=(a1×t1)/(t2+t1)より算出される前記平均Si濃度a2が0.1%以上3.0%以下となるよう前記ろう材にSiを含有させることを特徴とする回路基板の製造方法。
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