JP6146242B2 - パワーモジュール用基板の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、セラミックス基板の一方の面に回路層が形成されたパワーモジュール用基板の製造方法に関する。
各種の半導体素子のうちでも、電気自動車や電気車両などを制御するために用いられる大電力制御用のパワー素子においては、発熱量が大きく、例えばAlN(窒化アルミニウム)などからなるセラミックス基板等の絶縁層上に回路層として導電性の優れた金属板を接合したパワーモジュール用基板に搭載される。
このようなパワーモジュール用基板は、回路層上に半導体素子(パワー素子)がはんだ材を介して搭載されることによりパワーモジュールとされる。この種のパワーモジュール用基板として、セラミックス基板の下面に接合された熱伝導性に優れるヒートシンクによって放熱する構造が知られている。回路層を構成する金属としては、Al(アルミニウム)やCu(銅)等が用いられている。そして、回路層にレジストを印刷して所定の形状にエッチングすることにより、回路パターンを形成することができる。
パワーモジュールにおいては、比較的変形抵抗の小さなアルミニウム板で回路層が構成されることにより、周辺環境の温度変化によるヒートサイクルの負荷に対して、セラミックス基板とアルミニウム回路層との間に生じる熱応力を回路層が吸収できる。しかしながら、アルミニウム回路層に接合された半導体素子の発熱によるパワーサイクルの負荷によって、半導体素子とアルミニウム回路層とを接合するはんだにクラックが生じ、パワーモジュールの信頼性が低下する場合がある。
また、アルミニウムは銅と比較して熱伝導性が低いので、アルミニウム板で構成された回路層は銅で構成された回路層と比較して放熱性が劣る。さらに、アルミニウムは表面に酸化皮膜が形成されるため、そのままでは、アルミニウム回路層と半導体素子とをはんだで良好に接合することは困難である。
一方、回路層が銅板で構成されている場合には、銅は変形抵抗が比較的高いため、半導体素子の発熱によるパワーサイクルの負荷によってセラミックス基板と銅回路層との間に熱応力が生じ、セラミックス基板に割れが発生する場合がある。
特に、近年のパワーモジュールは、小型化・薄肉化が進められるとともに、半導体素子の発熱量が増大し、ヒートサイクルおよびパワーサイクルの条件が厳しくなるなど、その使用環境も厳しくなってきている。このため、アルミニウムで回路層を構成した場合は、放熱性が不足して、パワーサイクルの負荷による信頼性の低下が問題となる。一方、銅で回路層を構成した場合は、熱応力の吸収が不足して、ヒートサイクルの負荷による信頼性の低下が問題となる。
このように、銅で構成された回路層は、パワーサイクルに対する信頼性は高いものの、ヒートサイクルに対する信頼性が低く、アルミニウムで構成された回路層は、ヒートサイクルに対する信頼性は高いものの、パワーサイクルに対する信頼性が低い。
これに対し、例えば特許文献1では、セラミックス基板にアルミニウム層またはアルミニウム合金層と銅層または銅合金層とを順に積層形成することにより、層間整合性を高め、接合を強化した積層構造を提案している。
特開2003−78086号公報
セラミックス基板に接合した金属板に対してウェットエッチングにより回路パターンを形成する場合、エッチングによる金属の溶解は、回路層の表面側からセラミックス基板に向けて厚さ方向に進行するとともに、レジストマスクの下部で面方向にも少なからず進行する。厚さ方向のエッチングに時間がかかると面方向にも溶解が広がるため、金属板の板厚が大きいほど回路パターン間の最低距離が大きくなり、エッチングにより微細な回路パターンを形成することは難しくなる。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、絶縁層上に複数の金属層が積層されるパワーモジュール用基板において、所望の微細な回路パターンを確実に形成することを目的とする。
本発明は、絶縁層とこの絶縁層の表面に形成された回路層とを有するパワーモジュール用基板の製造方法であって、絶縁層を形成するセラミックス基板の表面上に、回路層を形成する所定の大きさのアルミニウム板を積層載置して接合するアルミニウム板接合工程と、前記セラミックス基板に接合された前記アルミニウム板上に第1レジスト層を形成する第1レジスト形成工程と、前記第1レジスト層が形成された前記アルミニウム板をエッチングしてアルミニウム回路層を形成するアルミニウム層エッチング工程と、前記第1レジスト層を除去した後、少なくとも前記アルミニウム回路層の上面全面を覆うように銅板を積層載置し、銅とアルミニウムの共晶温度未満で加熱し前記アルミニウム回路層と前記銅板とを固相拡散接合する銅板接合工程と、前記アルミニウム回路層に接合された前記銅板上に第2レジスト層を形成する第2レジスト形成工程と、前記第2レジスト層が形成された前記銅板をエッチングして銅回路層を形成する銅層エッチング工程と、を有する。
この製造方法によれば、アルミニウム板と銅板とが固相拡散によって強固に接合されるので、熱応力による剥離が抑制され、ヒートサイクルおよびパワーサイクルによる負荷に対する信頼性の高いパワーモジュール用基板を実現できる。また、セラミックス基板にアルミニウム板を接合してエッチングした後に、銅板を接合してエッチングするので、1度のエッチングにより深いエッチング溝を形成する必要がなく、厚さ方向に対するエッチング溝幅の差を小さく抑えることができる。
そして、このように製造されたパワーモジュール用基板は、熱伝導率の高い銅板上に半導体素子が搭載されることにより、半導体素子から発生する熱を銅板で面方向に広げて放散させ、パワーモジュール用基板に対するパワーサイクルによる負荷を緩和させることができるとともに、セラミックス基板と銅板との間に変形抵抗の小さいアルミニウム回路層が備えられることにより、セラミックス基板と銅板との熱膨張係数の差に起因する熱応力をアルミニウム回路層で吸収させ、パワーモジュール用基板に対するヒートサイクルによる負荷を緩和させることができる。
この製造方法の前記アルミニウム板接合工程において、前記セラミックス基板の裏面上に、放熱層を形成する所定の大きさの放熱用アルミニウム板を積層載置し、この放熱用アルミニウム板を前記アルミニウム板とともに前記セラミックス基板に接合し、前記銅板接合工程において、前記セラミックス基板の裏面上に接合された前記放熱用アルミニウム板上の所定位置に、放熱用銅板を位置決めして積層載置し、前記放熱用アルミニウム板と前記放熱用銅板とを固相拡散接合することにより、前記絶縁層の裏面に、前記放熱用アルミニウム板および前記放熱用銅板が積層されてなる放熱層を形成してもよい。
この場合、放熱層の表面が銅であり、アルミニウム製のヒートシンクを比較的低温のはんだ付けにより接合できるので、各層間の接合強度を低下させるおそれがない。また、銅板接合工程において、放熱用銅板上にさらにアルミニウム製のヒートシンクを積層して加熱処理することにより、放熱用アルミニウム板と放熱用銅板とを固相拡散接合するとともに、放熱用銅板とヒートシンクとを固相拡散接合することも可能である。
本発明のパワーモジュール用基板の製造方法によれば、セラミックス基板上にアルミニウム層と銅層とが積層されるパワーモジュール用基板において、各層間を確実に接合し、所望の微細な回路パターンを形成することができる。これにより、パワーサイクルおよびヒートサイクルによる負荷に対する信頼性の高いパワーモジュール用基板の小型化が実現できる。
本発明に係るパワーモジュール用基板の製造方法により製造されたパワーモジュール用基板にヒートシンクおよび半導体素子が接合されてなるパワーモジュールを示す側面図である。 本発明に係るパワーモジュール用基板の製造方法の一実施形態におけるアルミニウム板接合工程を示す平面図(a)および側面図(b)である。 本発明に係るパワーモジュール用基板の製造方法の一実施形態における第1レジスト形成工程を示す平面図(a)およびIII−III線に沿う部分断面図(b)である。 本発明に係るパワーモジュール用基板の製造方法の一実施形態におけるアルミニウム層エッチング工程を示す平面図(a)およびIV−IV線に沿う部分断面図(b)である。 本発明に係るパワーモジュール用基板の製造方法の一実施形態における銅板接合工程を示す平面図(a)およびV−V線に沿う部分断面図(b)である。 本発明に係るパワーモジュール用基板の製造における銅とアルミニウムとの固相拡散接合状態を示す断面図である。 本発明に係るパワーモジュール用基板の製造方法の一実施形態における第2レジスト形成工程を示す平面図(a)およびVII−VII線に沿う部分断面図(b)である。 本発明に係るパワーモジュール用基板の製造方法の一実施形態における銅層エッチング工程を示す平面図(a)およびVIII−VIII線に沿う部分断面図(b)である。
以下、本発明に係るパワーモジュール用基板の製造方法の実施形態について説明する。図1に、本発明に係る製造方法により製造されたパワーモジュール用基板10に半導体素子12およびヒートシンク14が接合されてなるヒートシンク付パワーモジュール16を示す。
パワーモジュール用基板10は、セラミックス基板20と、セラミックス基板20の一方の面(表面)20aに接合されたアルミニウム回路層23と、このアルミニウム回路層23に接合された銅回路層25と、セラミック基板20の他方の面(裏面)20bに接合されたアルミニウム放熱層27と、このアルミニウム放熱層27に接合された銅放熱層29とを有する。
パワーモジュール用基板10は、セラミックス基板20上にアルミニウム板22および放熱用アルミニウム板26を接合するアルミニウム板接合工程(図2)と、アルミニウム板22および放熱用アルミニウム板26上に所望形状の第1レジスト層30,31を形成する第1レジスト形成工程(図3)と、第1レジスト層30の形状に応じてアルミニウム板22をエッチングして所望形状のアルミニウム回路層23を形成するとともに、第1レジスト層31の形状に応じて放熱用アルミニウム板26をエッチングしてアルミニウム放熱層27を形成するアルミニウム層エッチング工程(図4)と、アルミニウム回路層23の上面全面を覆うように回路用銅板24を積層載置するとともに、アルミニウム放熱層27の上面全面を覆うように放熱用銅板28を積層載置し、アルミニウム回路層23と回路用銅板24、およびアルミニウム放熱層27と放熱用銅板28とを固相拡散接合する銅板接合工程(図5)と、回路用銅板24上に所望形状の第2レジスト層32を形成するとともに、放熱用銅板28上に所望形状の第2レジスト層33を形成する第2レジスト形成工程(図7)と、第2レジスト層32の形状に応じて回路用銅板24をエッチングして所望形状の銅回路層25を形成するとともに、第2レジスト層33の形状に応じて放熱用銅板28をエッチングして所望形状の銅放熱層29を形成する銅層エッチング工程(図8)とを行うことにより製造される。
より具体的には、まず図2に示すように、アルミニウム板接合工程において、絶縁層を形成するセラミックス基板20の表面20a上の所定位置に、半導体素子12が接合される回路層を形成する所定の大きさのアルミニウム板22を積層載置し、アルミニウム板22の下面全面をセラミックス基板20の表面20aに接合するとともに、セラミックス基板20の裏面20b上の所定位置に、ヒートシンク14が接合される放熱層を形成する放熱用アルミニウム板26を積層載置し、放熱用アルミニウム板26の下面全面をセラミックス基板20の裏面20bに接合する。
セラミックス基板20は、回路層を形成するアルミニウム板22と放熱層を形成する放熱用アルミニウム板26との間の電気的接続を防止する絶縁材であって、例えばAlN(窒化アルミ),AlO,Si等で形成され、その板厚は0.2mm〜1.5mmである。アルミニウム板22,放熱用アルミニウム板26は例えば純度99.99%以上、板厚0.1mm〜1.0mmのアルミニウム圧延板である。これらのアルミニウム板22,放熱用アルミニウム板26とセラミックス基板20とを、例えばAl−Si系のろう材を用いて640℃〜650℃でろう付する。アルミニウム板22,放熱用アルミニウム板26の板厚を0.1mm以上とすることにより、応力緩衝効果を確保することができる。
次に、図3に示すように、第1レジスト形成工程において、セラミックス基板20の表面20a上に接合されたアルミニウム板上に、所望形状の第1レジスト層30を形成するとともに、セラミックス基板20の裏面20b上に接合された放熱用アルミニウム板26上に、所望形状の第1レジスト層31を形成する。第1レジスト層30,31は、例えばレジストインキをアルミニウム板22,放熱用アルミニウム板26の各表面にスクリーン印刷することにより形成される。第1レジスト層30,31には、エッチング液をアルミニウム板22および放熱用アルミニウム板26に接触させるための溝30a,31aが設けられている。
次に、図4に示すように、アルミニウム層エッチング工程において、第1レジスト層30が形成されたアルミニウム板22をエッチングして、第1レジスト層30に形成された溝30aに沿ってアルミニウムを除去し、所望形状のエッチング溝23aを有するアルミニウム回路層23を形成するとともに、第1レジスト層31が形成された放熱用アルミニウム板26をエッチングして、第1レジスト層31に形成された溝31aに沿ってアルミニウムを除去し、所望形状のエッチング溝27aを有するアルミニウム放熱層27を形成する。エッチング液としては、例えばアルミニウムに対して十分なエッチング性を有するFeCl溶液を用いることができる。この工程において、アルミニウム板22および放熱用アルミニウム板26の板厚が比較的小さいので、エッチング時間が短くてすみ、板厚方向に対するエッチング溝23a,27aの溝幅の差が小さく抑えられる。
次に、図5に示すように、銅板接合工程において、第1レジスト層30,31を除去した後、アルミニウム回路層23の上面全面を覆うように回路用銅板24を積層載置するとともに、アルミニウム放熱層27の上面全面を覆うように放熱用銅板28を積層載置し、銅とアルミニウムの共晶温度未満で加熱しアルミニウム回路層23と回路用銅板24およびアルミニウム放熱層27と放熱用銅板28とを固相拡散接合する。
回路用銅板24,放熱用銅板28は、0.05mm以上6.0mm以下の厚さを有する無酸素銅の圧延板であり、例えば各面に対して3kgf/cm以上35kgf/cm以下で加圧保持され、400℃以上548℃未満の加熱温度を5分以上240分以下保持する真空加熱により、それぞれアルミニウム回路層23,アルミニウム放熱層27に固相拡散接合される。
これら回路用銅板24,放熱用銅板28の板厚を0.05mm以上とすることにより、半導体素子12からの熱を回路用銅板24および放熱用銅板28で拡げて熱をより効率的に伝達し、パワーサイクル負荷時の初期の熱抵抗を低減することができるので、パワーサイクルに対する信頼性をより高くすることができる。また、回路用銅板24,放熱用銅板28の板厚を6.0mm以下とすることにより、回路層および放熱層の剛性を低減させ、ヒートサイクル負荷時においてセラミックス基板20に割れが生じることを抑制できる。
固相拡散のための真空加熱における加熱温度は、アルミニウム板22(アルミニウム回路層23)を構成する金属(Al)と回路用銅板24を構成する金属(Cu)の共晶温度、放熱用アルミニウム板26(アルミニウム放熱層27)を構成する金属(Al)と放熱用銅板28を構成する金属(Cu)の共晶温度のうち、最も低い共晶温度(共晶温度含まず)から共晶温度−5℃の範囲が好ましい。
ここで、銅板接合工程におけるアルミニウム(アルミニウム板22、放熱用アルミニウム板26)と銅(回路用銅板24、放熱用銅板28)との間における固相拡散接合について、アルミニウム板22と回路用銅板24との接合を例として図6を参照して説明する。アルミニウム板22と回路用銅板24とは、アルミニウム板22のアルミニウム原子と回路用銅板24の銅原子とが相互拡散することによって、拡散層40を形成して接合される。この拡散層40においては、アルミニウム板22から回路用銅板24に向かうにしたがい、漸次アルミニウム原子の濃度が低くなり、かつ銅原子の濃度が高くなる濃度勾配を有する。
拡散層40は、CuとAlとからなる金属間化合物で構成されており、本実施形態では図6に示すように、複数の金属間化合物が界面に沿って積層された構成となっている。拡散層40は、厚さtの平均が1μm以上80μm以下の範囲内、好ましくは、5μm以上80μm以下の範囲内に設定され、アルミニウム板22側から回路用銅板24側に向けて順にθ相41、η2相42、ζ2相43の3種の金属間化合物が積層されている。なお、この拡散層は、アルミニウム板22側から回路用銅板24側に向けて順に、接合界面に沿って、θ相、η2相が積層し、さらにζ2相、δ相、及びγ2相のうち少なくとも一つの相が積層した構造であってもよい。
さらに、回路用銅板24と固相拡散接合により形成された拡散層40との界面に沿って、酸化物44が層状に分散している。本実施形態においては、この酸化物44はアルミナ(Al)等のアルミニウム酸化物である。酸化物44は、拡散層40と回路用銅板24との界面に分断された状態で分散しており、拡散層40と回路用銅板24とが直接接触している領域も存在する。この酸化物44は、回路用銅板24と拡散層40との界面に沿って拡散層40の内部に層状に分散していてもよい。なお、本実施形態では、回路用銅板24の平均結晶粒径は50μm以上200μm以下の範囲内、アルミニウム板22の平均結晶粒径は500μm以上である。
次に、図7に示すように、第2レジスト形成工程において、アルミニウム回路層23に接合された回路用銅板24上に第2レジスト層32を形成するとともに、放熱用銅板28上に第2レジスト層33を形成する。第2レジスト層32,33は、第1レジスト30,31と同様に、例えばレジストインキを回路用銅板24および放熱用銅板28の各表面にスクリーン印刷することにより形成される。第2レジスト層32,33には、第1レジスト30,31の溝30a,31aと同様の形状で、すなわちアルミニウム層エッチング工程においてアルミニウム回路層23および回路用銅板24に形成された各エッチング溝23a,27aと同様の形状で、エッチング液を回路用銅板24および放熱用銅板28に接触させるための溝32a,33aが設けられる。
そして、図8に示すように、銅層エッチング工程において、第2レジスト層32が形成された回路用銅板24をエッチングして、アルミニウム回路層23のエッチング溝23aに接続するようにエッチング溝25aを形成し、所望形状の銅回路層25を形成するとともに、第2レジスト層33が形成された放熱用銅板28をエッチングして、アルミニウム放熱層27のエッチング溝27aに接続するようにエッチング溝29aを形成し、所望形状の銅放熱層29を形成する。エッチング液としては、銅に対して十分なエッチング性を有する例えば硝酸溶液を用いることができる。この工程においても、回路用銅板24および放熱用銅板28の板厚が比較的小さいので、エッチング時間が短くてすみ、板厚方向に対するエッチング溝25a,29aの溝幅の差が小さく抑えられる。
以上説明したように、この製造方法によれば、アルミニウム板と銅板とが固相拡散によって強固に接合されるので、熱応力による剥離が抑制され、ヒートサイクルおよびパワーサイクルによる負荷に対する信頼性の高いパワーモジュール用基板を実現できる。また、セラミックス基板にアルミニウム板を接合してエッチングした後に、銅板を接合してエッチングするので、1度のエッチングにより深いエッチング溝を形成する必要がなく、厚さ方向に対するエッチング溝幅の差を小さく抑えることができる。
また、このように製造されたパワーモジュール用基板10においては、アルミニウム板と銅板とを積層してなる回路層において、アルミニウム回路層23中のAlが回路用銅板24側へ、回路用銅板24中のCuがアルミニウム回路層23側へと十分に相互拡散し、アルミニウム回路層23と回路用銅板24との間に、CuとAlの拡散層40が形成されている。したがって、アルミニウム回路層23と銅回路層25とが確実に固相拡散接合され、接合強度を確保することができる。
また、銅回路層25と拡散層40との界面および銅放熱層25と拡散層40との界面に沿って酸化物44が層状に分散しているので、アルミニウム回路層23およびアルミニウム放熱層27に形成された酸化膜が確実に破壊され、CuとAlの相互拡散が十分に進行していることになり、銅回路層25および放熱用銅板28と各拡散層40とが確実に接合されている。
さらに、各拡散層40において、複数の金属間化合物が接合界面に沿って積層されるので、脆い金属間化合物が大きく成長してしまうことが抑制されている。また、銅回路層25中のCuとアルミニウム回路層23中のAlとが相互拡散することにより銅回路層25側からアルミニウム回路層23側に向けて、また銅放熱層29中のCuとアルミニウム放熱層27中のAlとが相互拡散することにより銅放熱層29側からアルミニウム放熱層27側に向けて、それぞれの組成に適した金属間化合物が層状に形成されるので、接合界面の特性を安定させることができる。
具体的には、拡散層40は、アルミニウム回路層23側から銅回路層25側に向けて順に、またアルミニウム放熱層27側から銅方根雨層29側に向けて順に、θ相41、η2相42、ζ2相43の3種の金属間化合物が積層またはθ相、η2相が積層し、さらにζ2相、δ相、及びγ2相のうち少なくとも一つの相が積層しているので、拡散層40内部における体積変動が小さく、内部歪みが抑えられる。
また、アルミニウム回路層23,アルミニウム放熱層27および銅回路層25,銅放熱層29の平均結晶粒径が比較的大きく、アルミニウム回路層23およびアルミニウム放熱層27の平均結晶粒径が500μm以上、銅回路層25および銅放熱層29の平均結晶粒径が50μm以上200μm以下の範囲内に設定されている。これにより、アルミニウム回路層23と銅回路層25、あるいはアルミニウム放熱層27と銅放熱層29との間に過剰な歪み等が蓄積されず、疲労特性が向上する。したがって、ヒートサイクル負荷において、パワーモジュール用基板10とヒートシンク14との間に生じる熱応力に対する接合信頼性が向上する。
さらに、拡散層40の平均厚さtが1μm以上80μm以下、好ましくは5μm以上80μm以下の範囲内であることにより、CuとAlとの相互拡散が十分に進行しており、アルミニウム回路層23と銅回路層25およびアルミニウム放熱層27と銅放熱層29を強固に接合できるとともに、アルミニウム回路層23,アルミニウム放熱層27および銅回路層25,銅放熱層29に比べて脆い金属間化合物が必要以上に成長することが抑えられ、接合界面の特性が安定する。
以上説明したように、本発明のパワーモジュール用基板の製造方法によれば、セラミックス基板上に複数の金属層が積層されるパワーモジュール用基板において、各層間を確実に接合できるとともに、エッチングによる溝形状の崩れが小さく、所望の回路パターンを高い寸法精度で確実に形成できるので、搭載された半導体素子からの放熱性を向上させ、パワーモジュール用基板の小型が実現できる。
なお、本発明は前記実施形態の構成のものに限定されるものではなく、細部構成においては、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、銅板接合工程において、放熱用銅板に対してさらにアルミニウム製またはアルミニウム合金製のヒートシンクも同時に固相拡散接合してもよい。この場合、銅放熱層と同様の形状を有する放熱用銅板を接合し、この放熱用銅板に対する第2レジスト層形成工程および銅エッチング工程は行わない。
また、放熱層は、前記実施形態のように銅板を含む構成と、銅板を含まずアルミニウム板のみで形成する構成と、いずれの形態であってもよい。
なお、上記実施形態では純度99.99%のアルミニウム板を用いたが、これに限らず、純度99%又は純度99.9%のアルミニウム板やアルミニウム合金からなる板を用いることもできる。また、無酸素銅からなる銅板を用いたが、これに限らず、他の純銅からなる銅板又は銅合金からなる銅板を用いることもできる。
10 パワーモジュール用基板
12 半導体素子
14 ヒートシンク
16 ヒートシンク付パワーモジュール
20 セラミックス基板(絶縁層)
20a 表面
20b 裏面
22 アルミニウム板
23 アルミニウム回路層
23a エッチング溝
24 回路用銅板(回路層)
25 銅回路層
26 放熱用アルミニウム板
27 アルミニウム放熱層
27a エッチング溝
28 放熱用銅板(放熱層)
29 銅放熱層
29a 溝
30,31 第1レジスト層
32,33 第2レジスト層
32a,33a 溝
40 拡散層
41 θ相
42 η2相
43 ζ2相
44 酸化物

Claims (2)

  1. 絶縁層とこの絶縁層の表面に形成された回路層とを有するパワーモジュール用基板の製造方法であって、
    絶縁層を形成するセラミックス基板の表面上に、回路層を形成する所定の大きさのアルミニウム板を積層載置して接合するアルミニウム板接合工程と、
    前記セラミックス基板に接合された前記アルミニウム板上に第1レジスト層を形成する第1レジスト形成工程と、
    前記第1レジスト層が形成された前記アルミニウム板をエッチングしてアルミニウム回路層を形成するアルミニウム層エッチング工程と、
    前記第1レジスト層を除去した後、少なくとも前記アルミニウム回路層の上面全面を覆うように銅板を積層載置し、銅とアルミニウムの共晶温度未満で加熱し前記アルミニウム回路層と前記銅板とを固相拡散接合する銅板接合工程と、
    前記アルミニウム回路層に接合された前記銅板上に第2レジスト層を形成する第2レジスト形成工程と、
    前記第2レジスト層が形成された前記銅板をエッチングして銅回路層を形成する銅層エッチング工程と、
    を有することを特徴とするパワーモジュール用基板の製造方法。
  2. 前記アルミニウム板接合工程において、前記セラミックス基板の裏面上に、放熱層を形成する所定の大きさの放熱用アルミニウム板を積層載置し、この放熱用アルミニウム板を前記アルミニウム板とともに前記セラミックス基板に接合し、
    前記銅板接合工程において、前記セラミックス基板の裏面上に接合された前記放熱用アルミニウム板上の所定位置に、放熱用銅板を位置決めして積層載置し、前記放熱用アルミニウム板と前記放熱用銅板とを固相拡散接合することにより、
    前記絶縁層の裏面に、前記放熱用アルミニウム板および前記放熱用銅板が積層されてなる放熱層を形成することを特徴とする請求項1に記載のパワーモジュール用基板の製造方法。
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