JP6561410B2 - 熱伝導性組成物および熱伝導性部材 - Google Patents

熱伝導性組成物および熱伝導性部材 Download PDF

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Description

本発明は、発熱体と放熱体の間に介在し、発熱体が発する熱を放熱体に伝える熱伝導性組成物に関する。より詳しくは、発熱体と放熱体の間に適用した後に熱硬化可能な熱伝導性組成物、およびその硬化物である熱伝導性部材に関する。
発熱体と放熱体の間に介在し、発熱体が発する熱を放熱体に伝える熱伝導性組成物としては、流動性のある熱伝導性グリスや、予めシート状に成形された放熱シートが知られている。
熱伝導性グリスは流動性があるため、発熱体に熱伝導性グリスの適量を塗布した後、放熱体を配置することで任意の隙間を埋めることができる。そのため、発熱体と放熱体の隙間が一定でなくても確実にその隙間を埋めることができる。また、圧縮状態の応力がほとんどかからないという利点がある。しかし、長期の使用や加熱と冷却の繰り返しで発熱体と放熱体の隙間から流れ出てしまうポンプアウトという現象が問題となることがある。また、熱伝導性シートは取り扱いが容易で、ポンプアウトの問題もないが、発熱体と放熱体の隙間が広かったり狭かったりする場合には、部分的に圧縮応力が高くなり基板が歪んでしまうことがある。
上述のポンプアウトや圧縮応力の問題を解決するアプローチとして、発熱体にグリス状の熱伝導性組成物を塗布した後、放熱体を配置し、そして熱伝導性組成物を硬化して利用する、いわゆる硬化型熱伝導性グリスがある。この方法であれば、放熱体を配置した後に熱伝導性グリスを硬化させるため、圧縮応力がほとんどかからず、またポンプアウトも抑制できる。こうした硬化型の熱伝導性グリスは、例えば特開2013−227374号公報(特許文献1)に記載がある。
特開2013−227374号公報
硬化型熱伝導性グリスには、樹脂成分として柔軟で耐熱性に優れたシリコーンゴム(シリコーンゲル)が好適に用いられている。このシリコーンゴムを硬化させる際の硬化反応としては、(1)アルケニル基含有オルガノポリシロキサンとハイドロジェンオルガノポリシロキサン、白金触媒による付加反応型の硬化反応や、(2)水を触媒として硬化する湿気硬化型の反応がよく用いられている。また、(3)ラジカル重合による硬化反応も提案されている。
上記(1)の付加反応型の硬化では、さらに(a)1液型と(b)2液型がある。これらのうち(a)1液型の硬化型グリスは、保存安定性と速硬化性を両立できないという課題があった。具体的には、保存安定性が十分なほど硬化速度が遅い硬化剤/触媒を選択すると、一般的な硬化条件である150℃(好ましくは120℃)では短時間で硬化しない一方で、150℃で数分〜数十分で硬化する硬化速度が速い硬化剤/触媒を選択すると、保存安定性が悪く数週間で増粘してしまう。また、(b)2液型の硬化型グリスでは、こうした問題はないものの、2液を塗布直前に混合しなくてはならないため、特殊な塗布装置が必要とされてしまう。
上記(2)湿気硬化型グリスでは、水分を触媒とするためグリス表面からの水分の浸入によって硬化が進む。しかし、水分の浸入には所定の時間がかかるため、塗布厚が厚くなると内部が硬化するまでに時間がかかるという特徴がある。そのため、特に発熱体と放熱体で挟む用途で用いると、側面しか露出しないため、内部まで硬化するのに相当の時間を要するという問題がある。
これらの硬化系に対して、上記(3)ラジカル重合による硬化反応は、保存安定性と硬化性(硬化する性能)の良さを両立できるという利点がある。ところが、柔軟な硬化物を得るためにはオルガノポリシロキサン中のラジカル反応性基の数を少なくする必要があるが、ラジカル重合は酸素による硬化阻害を受けやすく、ラジカル反応性基の数が少ないと表面まで十分に硬化させることが難しい。反対に、確実に硬化させるためにラジカル反応性基の量を増やすと、結果的に硬化物が硬くなり、放熱材料として利用することが難しい。
以上のような従来技術を背景になされたのが本発明である。即ち本発明は、保存安定性が良く、加熱すれば速やかに硬化可能であり、柔軟で、表面硬化性のよい熱伝導性組成物の提供を目的とする。
本発明は、上記目的を達成するために以下の熱伝導性組成物及び熱伝導性部材を提供する。
本発明は、液状高分子と、有機過酸化物と、熱伝導性充填材とを含む熱伝導性組成物であって、前記液状高分子が、多官能(メタ)アクリロイル変性シリコーン10〜25質量%と、アミノ変性シリコーン10〜90質量%とを含み、有機過酸化物はその1時間半減期温度が100℃以上である熱伝導性組成物である。
本発明は、多官能(メタ)アクリロイル変性シリコーンにアミノ変性シリコーンを混合したため、酸素阻害の影響を抑制して硬化性を高めることができる。即ち、硬化性を高めるためには、アミノ基の存在が重要であるが、シリコーン以外の高分子にアミノ基を付加したものでは、(メタ)アクリロイル変性シリコーンと均一に混合することが難しいのに対し、アミノ基がシリコーンに付加されたものとしたため、硬化性を十分に高めることができる。
そして本発明では、その多官能(メタ)アクリロイル変性シリコーンの量を液状高分子中で10〜25質量%の範囲とする。このため、熱伝導性組成物の硬化後の熱伝導性部材の硬さをE硬度で表示できる範囲の柔軟な熱伝導性組成物とすることができる。また、アミノ変性シリコーンの量を液状高分子中で10〜90質量%の範囲としたため、熱伝導性組成物の表面の硬化性を高めることができる。
さらに、本発明では、1時間半減期温度が100℃以上ある有機過酸化物を含むため、ラジカル反応を利用した硬化系とすることができ、所定の温度において速やかに硬化可能である一方で、常温での反応を遅くすることができ、少なくとも1カ月以上にわたって保存することができるという保存安定性の良い熱伝導性組成物を実現することができる。
そしてまた、多官能(メタ)アクリロイル変性シリコーンと、アミノ変性シリコーンと、1時間半減期温度が100℃以上である有機過酸化物とを加熱硬化させた熱伝導性部材は、発熱体や放熱体と接触してもそれらの表面の部材を汚染することなく、また、ポンプアウトの問題が生じない。
熱伝導性組成物には、液状高分子中にシリコーンオイルを30〜80質量%含むものとすることができる。液状高分子が全量100質量%の中に30〜80質量%のシリコーンオイルを含むことで、硬化後の熱伝導性部材の柔軟性を高めることができる。また、シリコーンオイルを含むため、多官能(メタ)アクリロイル変性シリコーンやアミノ変性シリコーンと相溶しやすく均一な熱伝導性組成物を得ることができ、またその粘度の調整を容易に行うことができる。
熱伝導性組成物は、含有する有機過酸化物の1時間半減期温度を100℃〜150℃とすることができる。有機過酸化物の1時間半減期温度を100℃〜150℃としたため、150℃以下の温度でも速やかに硬化させることができ、耐熱性が高くない基板等にも利用することができる。また、熱伝導性組成物の十分な保存安定性を備えることができる。
多官能(メタ)アクリロイル変性シリコーンには、官能基当量が1500〜100000g/molであって両末端に(メタ)アクリロイル基を有するジメチルポリシロキサンを用いることができる。このようなジメチルポリシロキサンを用いれば、熱伝導性充填材を高充填することができ、加えてシリコーンオイルなどの他の成分との相溶性が良好で、粘度の調整や、他の成分の添加による種々の性質の調整を行い易くすることができる。
そして本発明は、以上の何れかの本発明による上記熱伝導性組成物を硬化してなる熱伝導性部材を提供する。上記熱伝導性組成物を硬化してなる熱伝導性部材は、未硬化の表面が他の部材を汚染することがなく、ポンプアウトの問題も生じない。
本発明によれば、保存安定性が良いにも関わらず、加熱により速やかに硬化可能であるとともに、柔軟で、表面硬化性に優れた熱伝導性組成物を実現することができる。また、本発明によれば、未硬化の表面が他の部材を汚染することがなく、ポンプアウトが生じることのない熱伝導性部材を得ることができる。
以下、本発明の実施形態を説明する。本実施形態で説明する熱伝導性組成物は、液状高分子と、有機過酸化物と、熱伝導性充填材とを必須成分とする。そして、液状高分子は、多官能(メタ)アクリロイル変性シリコーンと、アミノ変性シリコーンとを含んでいる。さらに他の液状成分を含んでいても良い。
また、熱伝導性組成物には、液状高分子や有機過酸化物、熱伝導性充填材の他にも、生産性、耐候性、耐熱性など種々の性質を高める目的で種々の添加材を含むことができる。例えば、補強材、着色剤、耐熱向上剤、界面活性剤、分散剤、カップリング剤、難燃剤、触媒、硬化遅延剤、劣化防止剤など、種々の機能性向上剤が挙げられる。
<多官能(メタ)アクリロイル変性シリコーン>
液状高分子に含まれる多官能(メタ)アクリロイル変性シリコーンは、ラジカル反応によって硬化する成分である。その配合量は、液状高分子の全量100質量%の中に、10〜25質量%を占めるものである。この配合量が10質量%未満では、反応成分が少なくなり、熱伝導性組成物が硬化しないおそれがある。一方、25質量%を超える場合には、硬化物が硬くなりすぎる。
(メタ)アクリロイル変性シリコーンは、オルガノポリシロキサンの一部に(メタ)アクリロイル基を導入したシリコーンである。(メタ)アクリロイル基は、アクリロイル基またはメタクリロイル基を示す。この(メタ)アクリロイル変成シリコーンのうち本発明では(メタ)アクリロイル基を同一分子中に複数備える(以下、多官能という)(メタ)アクリロイル変成シリコーンを用いており、2官能(メタ)アクリロイル変成シリコーンを用いることが好ましい。1つの場合(以下、1官能または単官能という)には、重合で分子量を大きくする働きはあるものの、停止反応とのバランスで分子量が大きくなり難く、また、架橋密度を高める効果がないため、含有量を増やしても硬化物の硬さがあまり変わらない。一方、3つ以上の場合(以下、3官能以上という)には、こうした欠点がなく本発明で用いることができるが、硬化物が硬くなりすぎるおそれがある。これらに対し、2官能(メタ)アクリロイル変性シリコーンは、その含有量によって硬化物の架橋密度が変化し、硬化物の硬さを大きく変えることができる。
2官能(メタ)アクリロイル変性シリコーンを用いることが好ましいが、これに加えて1官能のものや3官能以上のものも硬さを調整する目的で混合することができる。なお、2官能以上の(メタ)アクリロイル変性シリコーンの場合は、同一分子にアクリロイル基とメタクリロイル基を有するものであってもよい。
(メタ)アクリロイル基が結合するオルガノポリシロキンとしては、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサン、メチル基やフェニル基以外の側鎖を備えたオルガノポリシロキサンの他に、ポリシロキサン骨格を主体として、アミド骨格、エステル骨格、ウレタン骨格、ウレア構造、エポキシ骨格を備えたものであってもよい。この中でもポリシロキサン骨格のみからなるオルガノポリシロキサンが好ましい。シロキサン骨格は耐熱性が良いため、他の骨格を含まない硬化物の方が耐熱性を高めやすいためである。また、ポリシロキサン骨格以外の構造を含む場合には、窒素原子を備えたアミド骨格、ウレア骨格が好ましい。窒素原子が存在すると、ラジカル反応を促進する効果が見込まれるためである。
多官能(メタ)アクリロイル変性シリコーンの具体例としては、両末端に(メタ)アクリロイル基を有するジメチルポリシロキサンを挙げることができる。両末端に(メタ)アクリロイル基を有するジメチルポリシロキサンを用いれば、架橋密度や硬度の調整が容易なためである。
多官能(メタ)アクリロイル変性シリコーンの粘度は、常温で50〜5000mPa・sであることが好ましい。粘度が50mPa・s未満の場合には、分子量が小さいため、シリコーンオイルとの相溶性が悪いおそれがある。一方、5000mPa・sを超える場合は、熱伝導性充填材の充填量を多くすることができず、熱伝導性を高くすることが難しくなる。
また、多官能(メタ)アクリロイル変性シリコーンの官能基当量は、1500〜100000g/molであることが好ましい。官能基当量が100000g/molを超える場合には、相対的に分子量が大きく高粘度となる傾向があるため、熱伝導性充填材を高充填し難くなる。一方、官能基当量が1500g/mol未満の場合には、相対的に分子量が小さくなるため、極性基である(メタ)アクリロイル基が1分子に占める割合が大きくなり、多官能アクリロイル変性シリコーンとシリコーンオイルなどの他の成分が相溶し難くなるおそれがある。相溶しない場合には、保存中にシリコーンオイルが分離したり、硬化後にシリコーンオイルがブリードアウトしたりすることが懸念される。ここで、(メタ)アクリロイル変性シリコーンの官能基当量とは、(メタ)アクリロイル基1molを含む(メタ)アクリロイル変性シリコーンの質量である。
<アミノ変性シリコーン>
液状高分子に含まれるアミノ変性シリコーンは、アミノ基が導入されたオルガノポリシロキサンである。アミノ変性シリコーンは、(メタ)アクリロイル変性シリコーンと混合したときに、ラジカル反応における酸素阻害を抑制し、熱伝導性組成物表面の硬化性を高める効果がある。こうした効果を得るためには、液状高分子の中で10質量%以上を占めるように添加すると良い。10質量%未満では、十分に硬化性を高めることができないからである。アミノ変性シリコーンの添加量の上限は、(メタ)アクリロイル変性シリコーンを10質量%以上含むことから最大でも90質量%となる。したがって、アミノ変性シリコーンの含有量は10〜90質量%となるが、10〜20質量%であることがより好ましい。含有量が20質量%以下でも表面硬化性を高める効果が得られるとともに、過度に硬化反応を促進すると保存安定性が悪くなるおそれがあるためである。
このようなアミノ変性シリコーンとしては、末端や側鎖にアミノ基を有するジメチルポリシロキサンや、末端や側鎖にアミノ基を有するメチルフェニルポリシロキサンを例示することができる。
アミノ変性シリコーンの粘度は、常温で10〜5000mPa・sであることが好ましい。10mPa・s未満の場合には、分子量が小さいため、シリコーンオイルや(メタ)アクリロイル変性シリコーンとの相溶性が悪いおそれがある。5000mPa・sを超える場合は、熱伝導性充填材の充填量を多くすることができず、熱伝導性を高くすることが難しい。
また、アミノ変性シリコーンの官能基当量は、500〜20000g/molであることが好ましい。この官能基当量が20000g/molを超える場合には、相対的に分子量が大きく高粘度となる傾向があるため、熱伝導性充填材を高充填し難くなる。官能基当量が500g/mol未満の場合には、相対的に分子量が小さくなるため、極性基であるアミノ基が1分子に占める割合が大きくなることから、アミノ変性シリコーンとシリコーンオイルなどの他の成分が相溶し難くなるおそれがある。相溶しない場合には、保存中にアミノ変性シリコーンまたはシリコーンオイルが分離したり、硬化後にアミノ変性シリコーンまたはシリコーンオイルがブリードアウトしたりすることが懸念される。ここで、アミノ変性シリコーンの官能基当量とは、アミノ基1molを含むアミノ変性シリコーンの質量である。
なお、多官能(メタ)アクリロイル基を有するシリコーンとアミノ基を有するシリコーンは別の分子として記載したが、同じ分子中にアクリロイル基とアミノ基とを有するシリコーンであってもよい。そうした(メタ)アクリロイル・アミノ変性シリコーンを用いる場合には、その配合量は多官能(メタ)アクリロイル変性シリコーンの配合量に従えば良い。したがって、液状高分子に占める多官能(メタ)アクリロイル・アミノ変性シリコーンの割合は10〜25質量%である。この場合には、液状高分子の残部には75〜90質量%のアミノ変性シリコーンや以下に説明するシリコーンオイル等の液状成分を含むことができる。
なお、ラジカル重合可能な官能基としてアルケニル基を用いた従来技術が知られているが、アルケニル基含有シリコーンの場合にはアミノ変性シリコーンと組合せても硬化性を改善することができない。
<シリコーンオイル>
液状高分子には、多官能(メタ)アクリロイル変性シリコーンと、アミノ変性シリコーンの他にも、有機高分子からなる液状成分を含んでもよい。液状成分を含むことで、熱伝導性組成物の粘度を下げることができる。換言すれば、ある粘度の熱伝導性組成物を得ようとしたときには熱伝導性充填材の充填量を増やすことができるということである。また、硬化物の中では可塑剤として作用して柔軟性を高めることができる。
このような液状成分としては、シリコーンオイルや前記(メタ)アクリロイル変性シリコーンおよびアミノ変性シリコーン以外の変性シリコーンなどが挙げられる。
液状成分としては、これらの中でも特にシリコーンオイルが好ましい。シリコーンオイルは、耐熱性や耐候性の観点で安定性が高いからである。
前記液状成分の充填量は、液状高分子の全量100質量%の中で30〜80質量%とすることが好ましい。30質量%未満では、硬化物の柔軟性はほとんど変わらず、80質量%を超える場合には、アクリロイル変性シリコーンまたはアミノ変性シリコーンの含有量が不足するおそれがあるため、その不足に起因する不具合が生じるおそれがあるからである。
シリコーンオイルの粘度は、常温で50〜5000mPa・sであることが好ましい。50mPa・s未満の場合には、分子量が小さいため、やや揮発しやすく長期の使用で熱伝導性部材の性質が変化したり、揮発した成分が電子機器へ悪影響を与えたりする可能性がある。一方、5000mPa・sを超える場合は、熱伝導性組成物の粘度を下げる効果が小さく、熱伝導性充填材を高充填できず熱伝導性を高め難い。
<有機過酸化物>
有機過酸化物は、ラジカル重合開始剤であって、加熱により酸素−酸素結合が開裂して、ラジカルを生成する物質である。加熱によるラジカル生成の速度は、半減期で示されることが多いが、ここでは以下に示す「1時間半減期温度」をその指標とする。1時間半減期温度とは次のようにして求めた温度である。即ち、有機過酸化物をベンゼン等の不活性な溶媒に0.1mol/Lの濃度となるように溶解し、窒素置換したガラス管中に密封して、所定の温度で放置したときの、有機過酸化物の濃度変化から、初期濃度の半分の濃度になる時間を計る。この半減期を複数の温度について求めることで、温度と半減期の関係をプロットし、その半減期がちょうど1時間となる温度が1時間半減期温度である。
この1時間半減期温度が100℃以上の有機過酸化物を用いると、常温での反応を遅くすることができ、少なくとも1カ月以上にわたって保存することができる。1時間半減期温度が100℃以上の有機過酸化物としては、1,1−ビス(3,3−ジメチルブチルペルオキシ)シクロヘキサン(1時間半減期温度=107.3℃)、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン(1時間半減期温度=121.7℃)等のパーオキシケタール、1,1,3,3−テトラメチルブチルヒドロパーオキサイド(1時間半減期温度=182.4℃)等のハイドロパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド(1時間半減期温度=135.7℃)や2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン(1時間半減期温度=138.1℃)等のジアルキルパーオキサイド、t−ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート(1時間半減期温度=114.6℃)、t−ブチルパーオキシベンゾエート(1時間半減期温度=124.7℃)等のパーオキシエステル等を例示することができる。
本発明の熱伝導性組成物は発熱体に放熱体を配置した後に加熱硬化するという用途に好適であるが、発熱体は主としてICやトランジスタなどの基板に設けられた素子である。こうした素子は一般にリフロー工程で一括して配置されるため、熱伝導性組成物を塗布する対象は、電子部品が実装された基板全体となる。そして、基板全体を加熱する場合には、種々の電気素子への影響を考慮すると、高温状態にすることは好ましくない。こうした用途での加熱温度の上限は多くの場合に150℃である。したがって、150℃以下で十分に硬化可能な有機過酸化物を用いることが好ましい。よって、1時間半減期温度の上限は150℃以下であることが好ましい。
なお、同じラジカル反応系でも光硬化反応系であれば、熱による影響はさらに少なくすることができる。しかし、熱伝導性組成物には不透明な熱伝導性充填材が高い濃度で充填されているため、極めて薄膜に塗工しない限り光を照射して硬化させることが難しい。また、発熱体と放熱体との間に熱伝導性組成物を塗布した後、硬化させる工程を考えると、発熱体や放熱体が不透明なことから、その間に介在させる熱伝導性組成物に十分な光を照射することは困難である。こうした観点からも光硬化反応系を利用するよりも熱硬化反応系を利用する方が好ましい。
1時間半減期温度が150℃以下であれば、150℃以下の温度でも比較的短時間に硬化可能であり、こうした有機過酸化物としては、パーオキシケタール、ジアルキルパーオキサイド、パーオキシエステルを挙げることができる。また、1時間半減期温度の上限は120℃以下であることがより好ましい。1時間半減期温度の上限が120℃以下であれば、熱に弱い基板や、加熱による基板の反り等が問題となるような用途で好適に用いることができる。1時間半減期温度が120℃以下の有機過酸化物としては、パーオキシケタールやパーオキシエステルを例示できる。
有機過酸化物は、アクリロイル変性シリコーン100質量部に対して、0.2〜10質量部の範囲で添加することが好ましい。また、より好ましくは2〜10質量部であり、こうした添加量は、一般的な添加量に対してやや多めである。その理由は、アクリロイル変性シリコーンの添加量が、液状高分子全体の中で25質量%以下と低いためである。アクリロイル基の濃度が低いことから、ラジカル反応の連鎖がやや起こり難いため、有機過酸化物の量をやや多めに設定することで、確実に硬化するように調整している。なお、上記有機過酸化物は、単独で、あるいは複数のものを併用して用いることができる。また、有機過酸化物は、液状のものを用いることが好ましい。シリコーンオイルと混合したときに分散が容易であり、均質な硬化物を得やすいためである。
<熱伝導性充填材>
熱伝導性充填材は、熱伝導性を付与するために添加される。この熱伝導性充填材には、例えば、金属や炭素、金属酸化物、金属窒化物、金属炭化物、金属水酸化物、炭素繊維などからなる微細粉が挙げられる。金属としては、銅、アルミニウムなどが挙げられ、炭素としてはピッチ系炭素繊維、PAN系炭素繊維、樹脂繊維を炭化処理した繊維、樹脂繊維を黒鉛化処理した繊維や、グラファイト粉末などが挙げられる。熱伝導性部材に耐電圧性が求められる場合には、金属や炭素以外の熱伝導性充填材を用いることが好ましい。
金属酸化物としては、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化鉄、石英などが挙げられ、金属窒化物としては、窒化ホウ素、及び窒化アルミニウムなどが挙げられる。また、金属炭化物としては、炭化ケイ素などが挙げられ、金属水酸化物としては、水酸化アルミニウムなどが挙げられる。こうした熱伝導性充填材は、液状高分子中で一定方向に配向させることもでき、配向させた方向に熱伝導性が高まる点で好ましい。
熱伝導性充填材の形状としては、球状であっても球状以外の形状であっても良いが、不定形の粒子が含まれることが好ましい。不定形粒子が球状粒子に組合わされることで凝集力が高まり剥がれやすい熱伝導性組成物となり、リワーク性が良くなると考えられるからである。
<熱伝導性組成物>
液状高分子、有機過酸化物、熱伝導性充填材を混合してなる熱伝導性組成物は、見た目には、高粘度のペースト状の性状であり、撹拌や塗布は容易だが、自重ではほとんど流動しない程度の粘度を有することが好ましい。具体的には、常温で10Pa・s〜1000Pa・sとすることが好ましい。この粘度には、液状高分子を構成する各成分の粘度や相溶性、有機過酸化物の粘度や相溶性、熱伝導性充填材の種類および添加量等が影響する。前記粘度が10Pa・s未満では、相対的に熱伝導性充填材の添加量が少ないおそれがあり、熱伝導性組成物の熱伝導率が十分でないおそれがある。一方、1000Pa・sを超えると被着体への塗布の作業が困難になるおそれがある。
また、上記熱伝導性組成物は、酸素阻害の影響を低減しているため、表面も良好に硬化させることができる。即ち、酸素阻害がある場合には、熱伝導性組成物の露出する表面が未硬化のままとなるが、酸素阻害の影響を低減しているため、熱伝導性組成物が硬化した内部と同様に表面も硬化した熱伝導性部材を得ることができる。硬化した表面は、粘着性がある場合もあるが、表面を触っても熱伝導性組成物が手に付着しにくい程度には硬化する。
したがって、上記熱伝導性組成物は、保存安定性が良いにも関わらず、加熱で速やかに硬化可能であるとともに、柔軟で、表面硬化性に優れている。
<熱伝導性部材>
この熱伝導性組成物は、所定の温度で加熱硬化すると、硬化物である熱伝導性部材となる。熱伝導性部材の硬度は、日本工業規格であるJIS K 6253のタイプEの硬度計によって測定される値(以下「E硬度」という)で0〜90であり、より好ましくは0〜50である。E硬度が90を超える場合、発熱体や放熱体の形状への追従性が十分に得られず、発熱体や放熱体と熱伝導性部材との密着性が低下してその熱伝導性も低下するおそれがある。E硬度が90以下の場合には、発熱体や放熱体の形状に沿って良好に追従する柔軟性と、発熱体や放熱体との密着性とを十分に確保することができる。また、E硬度が50以下であれば、例えば放熱体への衝撃や振動があっても熱伝導性部材が緩衝して基板への影響を低減することにより、これらの被着体を好適に保護することができる。
E硬度が0または0に近い場合に別の指標を用いて表すと、JIS K 2220に従って1/4円錐を用いて測定される不混和ちょう度(単に「ちょう度」ともいう)で100以下とすることができ、90以下であることが好ましい。ちょう度が100を超えると、硬化性が不十分なことに起因して、長期間の使用でポンプアウトが起こる可能性がある。
次に、実験例に基づいてさらに詳しく説明する。各実験例では、液状高分子や有機過酸化物の種類や配合を変更した以下に説明する試料1〜試料12の熱伝導性組成物を作製した。
<熱伝導性組成物の作製>
(試料1): 多官能メタクリロイル変性シリコーンとして両末端にメタクリロイル基を有するジメチルポリシロキサン(官能基当量3900g/mol)25質量部と、アミノ変性シリコーンとして側鎖にアミノ基を有するジメチルポリシロキサン(官能基当量2800g/mol)75質量部と、を混合して得た液状高分子100質量部と、有機過酸化物1として、1,1−ビス(3,3−ジメチルブチルペルオキシ)シクロヘキサン(日油株式会社製「パーヘキサHC」(商品名)1時間半減期温度=107.3℃)0.75質量部と、酸化アルミニウム(球状、平均粒径3μm)400質量部と、酸化アルミニウム(球状、平均粒径40μm)600質量部と、からなる熱伝導性充填材1000質量部と、を混合して、試料1の熱伝導性組成物を得た。その配合を表1にも示す。
Figure 0006561410
(試料2〜試料4): 試料1の有機過酸化物1を、有機過酸化物2(t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(日油株式会社製「パーキュアO」(商品名)、1時間半減期温度=92.1℃))、有機過酸化物3(ジアシルパーオキサイド(日油株式会社製「ナイパーBW」(商品名)、1時間半減期温度=92.0℃))、有機過酸化物4(ジクミルパーオキサイド(日油株式会社製「パークミルD」(商品名)、1時間半減期温度=135.7℃))にそれぞれ変更した以外は、試料1と同様にして熱伝導性組成物を作製した。その配合を表1にも示す。
(試料5,試料6): 試料5および試料6が試料1と異なるのは、第1に液状高分子の組成を、試料1と同じ多官能メタクリロイル変性シリコーン10質量部と、試料1と同じアミノ変性シリコーン10質量部と、液状成分としてのジメチルポリシロキサン(シリコーンオイル)(粘度100mPa・s)80質量部と、に変更したところである。第2に試料5では有機過酸化物の配合量を0.3質量部に変更し、試料6では0.5質量部に変更したところである。その他は試料1と同様にして熱伝導性組成物を作製した。その配合を表1にも示す。
(試料7): 試料7が試料1と異なるのは、液状高分子の組成を、試料1と同じ多官能メタクリロイル変性シリコーン25質量部と、液状成分として試料5と同じジメチルポリシロキサン(シリコーンオイル)(粘度100mPa・s)75質量部と、に変更したところである。その他は試料1と同様にして熱伝導性組成物を作製した。その配合を表2にも示す。
Figure 0006561410
(試料8): 試料8が試料1と異なるのは、液状高分子の組成を、アルケニル基含有シリコーン(両末端にビニル基を有するジメチルポリシロキサン(300mPa・s)25質量部と、液状成分として試料5と同じジメチルポリシロキサン(シリコーンオイル)(粘度100mPa・s)75質量部と、に変更したところである。その他は、試料1と同様にして熱伝導性組成物を作製した。その配合を表2にも示す。
(試料9): 試料9では多官能メタクリロイル変性シリコーンをエポキシ変性シリコーンに変えた。試料9の組成は、エポキシ変性シリコーン(官能基当量5000g/mol)25質量部と、試料5と同じシリコーンオイル75質量部、有機過酸化物1の変わりに硬化剤1(エポキシ硬化剤であるトリエチルテトラミン)10質量部と、試料1と同じ熱伝導性充填材1000質量部とを混合して熱伝導性組成物を作製した。その配合を表2にも示す。
(試料10): 試料10が試料1と異なるのは、液状高分子の組成を、試料1と同じ多官能メタクリロイル変性シリコーン50質量部と、試料1と同じアミノ変性シリコーン50質量部と、に変更したところである。その他は試料1と同様にして熱伝導性組成物を得た。その配合を表2にも示す。
(試料11): 試料11が試料1と異なるのは、液状高分子の組成を、試料1と同じ多官能メタクリロイル変性シリコーン5質量部と、試料1と同じアミノ変性シリコーン10質量部と、試料5と同じシリコーンオイル85質量部と、に変更したところである。その他は試料1と同様にして熱伝導性組成物を得た。その配合を表2にも示す。
(試料12): 試料12が試料1と異なるのは、液状高分子の組成を、試料1と同じ多官能メタクリロイル変性シリコーン10質量部と、試料1と同じアミノ変性シリコーン5質量部と、試料5と同じシリコーンオイル85質量部と、に変更したところである。その他は試料1と同様にして熱伝導性組成物を得た。その配合を表2にも示す。
<評価方法>
(粘度): 粘度は、各試料の熱伝導性組成物を作製直後および40℃で4週間放置した後に、粘度計(BROOK FIELD製回転粘度計DV−E)で、スピンドルNo.14の回転子を用い、回転速度5rpm、測定温度23℃で測定した値である。40℃4週間後に粘度を測定した理由は、室温での保管を考えると40℃を超えることはほとんど無いと思われることから、温度を40℃とし、また輸送や在庫管理の観点から製造して使用されるまで4週間程度の期間があることが好ましいため、4週間放置する条件とした。また、粘度変化として作製直後の粘度を基準にした4週間放置後の粘度を%で示した。これらの結果を表1および表2に示す。
(硬さ): 各試料をステンレス板に挟み120℃で1時間加熱して、厚みが10mmのシート状の試験片を作製した。また、120℃で硬化しなかった試料4、試料5については、150℃で1時間加熱して同様の試験片を作製した。(表中の※)そして、その試験片についてJIS K6253に従ってE硬度を測定した。また、150℃に加熱しても硬化しなかった試料については「未硬化」とした。これらの結果を表1および表2に示す。
粘度変化については、ディスペンサー等の機器を利用して塗布する場合に、塗布装置の設定を変更することで塗布可能という理由で300%以下であることが好ましく、塗布装置の設定の変更が、特に微調整で済み、容易であるという理由で150%以下であることがより好ましい。
(酸素阻害の有無): 各試料の熱伝導性組成物を、一対のステンレス板に挟み、硬さを測定した際の試験片作製と同じ条件で加熱した後に、ステンレス板と接していない側面の状態を観察した。この側面が硬化せず流動性のある状態であったものを酸素阻害有りとして「有」、側面が硬化していたものを酸素阻害無しとして「無」とした。さらに、試料全体が硬化していなかったものについては「−」とした。これらの結果を表1および表2に示す。
<評価結果>
(粘度): 試料1〜試料4は、有機過酸化物のみを変更した試料である、試料3の有機過酸化物は粉末のジアシルパーオキサイドであり、液状高分子に溶解せず粘度が高かった。一方、試料1,2,4の有機過酸化物は液状であり試料2で4週間後に硬化した以外は粘度も好適であった。試料5,6は、シリコーンオイルを含んでおり、粘度は好適であった。また、試料7〜試料12の中では、試料9は均質な熱伝導性組成物が得られず初期粘度は測定値なしとした。均質な組成物が得られなかった理由は、エポキシ硬化剤がシリコーンオイルと混ざらなかったためである。また、試料10〜12の粘度は好適であった。
次に粘度変化についてみると、試料1の4週間放置後の粘度は初期の183%となり、粘度がやや上昇していた。試料2は40℃4週間後には硬化しており粘度は測定できなかった。一方、試料3では粉末の有機過酸化物が液状高分子に溶解しなかったため、有機過酸化物の周囲の硬化した部分と、硬化していない部分とがまばらにある状態であり、粘度を測定できなかった。なお、全体的には硬化した部分が島、未硬化の部分が海の海島構造になっていると思われたため、評価結果は未硬化とした。試料4の4週間放置後の粘度は167%であった。
試料1、試料2、試料4を比較すると、それぞれ有機過酸化物1の1時間半減期温度は107.3℃、有機過酸化物2の1時間半減期温度は92.1℃、有機過酸化物1の1時間半減期温度は135.7℃である。試料2は硬化してしまったものの、試料1は粘度上昇が所定の範囲であったことから、有機過酸化物の1時間半減期温度は、概ね100℃以上が好ましいと考えられる。
次に、試料5、試料6について、試料5の4週間放置後の粘度は初期の117%、試料6の4週間放置後の粘度は初期の133%であり、試料1と比較すると粘度変化がきわめて少ない結果であった。試料5および試料6はアミノ変性シリコーンの添加量を10質量%に減少させ、残部をシリコーンオイルとした試料である。詳細は後述するが、試料5、試料6でともに表面硬化性は改善されていることから、アミノ変性シリコーンの添加量は10質量%で効果があることがわかる。そして、試料5や試料6の方が試料1よりも粘度変化が小さいことから、アミノ変性シリコーンの配合量は75質量%よりも10質量%の試料の方が好ましいことがわかる。
試料7〜試料12について、試料7は粘度変化が170%であった。試料7はアミノ変性シリコーンを含まないが、アミノ変性シリコーンを含む試料1と同程度の粘度変化であり、メタクリロイル変性シリコーンの配合量も粘度変化へ影響することがわかった。また、メタクリロイル変性シリコーンの代わりに、アルケニル基含有シリコーンを用いた試料8は、粘度変化が101%だった。メタクリロイル変性シリコーンの代わりに、エポキシ変性シリコーンを用いた試料9は、均質な熱伝導性組成物が得られなかったため、測定値なしとした。メタクリロイル変性シリコーンを50質量%、アミノ変性シリコーンを50質量%とした試料10は、粘度変化が213%だった。また、試料6に対してメタクリロイル変性シリコーンの配合量を5質量%に変更した試料11は、粘度変化が101%、試料6に対してアミノ変性シリコーンの配合量を5質量%に変更した試料12は、粘度変化が102%だった。
(硬さ): 多官能メタクリロイル変性シリコーンの濃度を変えた試料1、試料6、試料10、試料11について硬化物の硬さを比較すると、多官能メタクリロイル変性シリコーンを5質量%含む試料11は未硬化、多官能メタクリロイル変性シリコーンを10質量%含む試料6はE41、多官能メタクリロイル変性シリコーンを25質量%含む試料1はE84、多官能メタクリロイル変性シリコーンを50質量含む試料10はE92であった。このことから、多官能メタクリロイル変性シリコーンの配合量が多くなると硬化物が硬くなることがわかり、硬化物の硬さをE90以下にするためには、多官能メタクリロイル変性シリコーンの配合量を25質量%以下にすることが好ましく、また、硬化させるためには10質量%以上にすることが好ましいことがわかる。
(熱伝導性組成物表面の硬化性): 試料5と試料6とを比較すると、同じ有機過酸化物であっても試料6は120℃1時間で硬化するが、試料5は硬化しなかった。また、試料1と試料5を比較すると、多官能メタクリロイル変性シリコーン100質量部に対してともに同じ有機過酸化物を3質量部配合したものであっても、試料1は120℃1時間で硬化するものの試料5は硬化しなかった。したがって、多官能メタクリロイル変性シリコーンの配合量が少ない場合には、相対的に有機過酸化物の配合量を多くすることで、硬化性を調整できる。また、多官能メタクリロイル変性シリコーンを10質量%含む液状高分子を用いる場合には、多官能メタクリロイル変性シリコーン100質量部に対して有機過酸化物を5質量部以上添加することが好ましいことがわかる。
試料3および試料8は150℃1時間加熱しても硬化しなかった。その中で、試料3については、前述のように有機過酸化物の周囲の硬化した部分と、硬化していない部分とがまばらにある状態であり、有機過酸化物が均一に分散していないことが原因であると考えられる。一方、多官能メタクリロイル変性シリコーンをアルケニル基含有シリコーンに変更した試料8も同様に硬化しなかったが、分散性に問題があるわけでもなく、アルケニル基含有シリコーンの使用はできないことがわかる。
(酸素阻害の有無): 硬化した試料の中で、液状高分子にアミノ変性シリコーンを10質量%以上含む試料1,2,4〜6は、酸素阻害が見られず、表面も内部と同様に硬化していた。アミノ変性シリコーンが0質量%の試料7、5質量%の試料12は、内部は硬化しているものの表面は未硬化で、べとつきのある状態だった。このことから、アミノ変性シリコーンの配合量は10質量%以上であることが好ましいものと考えられる。

Claims (4)

  1. 液状高分子と、有機過酸化物と、熱伝導性充填材とを含む熱伝導性組成物であって、
    前記液状高分子は、多官能(メタ)アクリロイル変性シリコーン10〜25質量%と、アミノ変性シリコーン10〜90質量%とを含み、
    前記有機過酸化物は、1時間半減期温度が100℃以上であり、
    前記多官能(メタ)アクリロイル変性シリコーンが、両末端に(メタ)アクリロイル基を有し、官能基当量が1500〜100000g/molであるジメチルポリシロキサンである熱伝導性組成物。
  2. 前記液状高分子は、シリコーンオイル30〜80質量%を含む請求項1記載の熱伝導性組成物。
  3. 前記有機過酸化物の1時間半減期温度が100℃〜150℃である請求項1または請求項2記載の熱伝導性組成物。
  4. 請求項1〜請求項何れか1項記載の熱伝導性組成物を硬化してなる熱伝導性部材。
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