JP6560283B2 - フラックス組成物及びソルダペースト - Google Patents
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Description
この印刷法においては一般的にメタルマスクが用いられ、スキージによりメタルマスク開口部にソルダペーストを充填して基板をメタルマスクから離すことにより基板側にソルダペーストが転写される仕組みである。この際、ソルダペーストがスキージやメタルマスクの開口部壁面に付着し、基板側に転写されるその体積や形状がメタルマスクの設計通りに行われなくなる現象が生じる。
これを防止するため、ソルダペーストにはメタルマスクの設計通りにこれを印刷し得る、所謂印刷性が求められる。特に近年の電子部品端子のファインピッチ化に伴いメタルマスクの開口部も更なる微細化が進んでいるため、このような微細な開口部を有するメタルマスクにも対応し得る印刷性の重要性は高まっている。
このように開口部は微細でメタルマスクが厚くなるとメタルマスクの開口部のアスペクト比が大きくなり、ソルダペーストがメタルマスク開口部壁面に付着し易くなる。例えば0.4mmピッチのQuad Flat Package(QFP)に対応するパターン且つ厚み150μmのメタルマスクでスクリーン印刷を行うと、ソルダペーストの転写形状の異常が起こり、転写率が安定せず、所謂つの立ちが発生し易い傾向にある。
しかし上記特許文献1から6には、このようにメタルマスクの開口部が高アスペクト比となるような場合における不具合等とそれを克服する印刷性については言及されていない。またこれらにおいては、粘弾性といったフラックス組成物における物性値と印刷性との関連性についての言及もなく、またそのような示唆もない。
(1)G2’/G1’=0.6以上0.95以下
(2)G3’/G2’=0.6以上0.95以下
(3)G4’/G3’=0.001以上0.2以下
(4)G2’/G1’=0.7以上0.9以下
(5)G3’/G2’=0.7以上0.95以下
(6)G4’/G3’=0.003以上0.1以下
本実施形態のフラックス組成物は、所定以上の応力(τ)を与えるまでの貯蔵弾性率(G’)を一定以上に保つことができる。即ち、本実施形態のフラックス組成物は所定以上の応力(τ)を与えるまでの損失係数(tanδ:損失弾性率(G’’)/貯蔵弾性率(G’))を1より小さくすることができる。
また本実施形態のフラックス組成物は、特に500Paから1,000Paの間における貯蔵弾性率(G’)について、応力(τ)が1Pa増加した場合の貯蔵弾性率(G’)の減少値の平均値(絶対値)を一定以上とすることができる。
そしてこのような本実施形態のフラックス組成物は、(A)ベース樹脂と、(B)溶剤と、(C)活性剤と、(D)チクソ剤とを含む。
前記ベース樹脂(A)としては、例えばロジン系樹脂、アクリル樹脂、スチレン−マレイン酸樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、フェノキシ樹脂、テルペン樹脂及びポリアルキレンカーボネート等が挙げられる。これらの中でも、特にロジン系樹脂及びアクリル樹脂が好ましく用いられる。
なおこれらは1種単独でまたは複数種を混合して用いてもよい。
なおこれらは1種単独でまたは複数種を混合して用いてもよい。
前記溶剤(B)としては、例えばイソプロピルアルコール、エタノール、アセトン、トルエン、キシレン、酢酸エチル、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、ヘキシルジグリコール、(2−エチルヘキシル)ジグリコール、フェニルグリコール、ブチルカルビトール、オクタンジオール、αテルピネオール、βテルピネオール、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、トリメリット酸トリス(2−エチルヘキシル)及びセバシン酸ビスイソプロピル等を使用することができる。
なおこれらは1種単独でまたは複数種を混合して用いてもよい。
フラックス組成物に用いられる溶剤としては、所謂グリコール系の溶剤が用いられるのが一般的である。しかし本実施形態のフラックス組成物は、前記溶剤(B)として末端にヒドロキシル基を有さないエステル系溶剤(B−1)を含むことにより、メタルマスクの開口部が高アスペクト比となるような場合においても安定した版離れ性及び印刷性(つの立ち抑制)を確保することができる。
これらの中でもエステル結合を2つ有するエステル系溶剤を用いると、フラックス組成物及びソルダペーストの印刷性をより向上することができる。
またこれらの中でも脂肪酸ジカルボン酸ジエステル及びその誘導体が好ましく、デカン二酸ジイソプロピルが特に好ましく用いられる。
なおこれらは1種単独でまたは複数種を混合して用いてもよい。
また前記エステル系溶剤(B−1)の配合量は、前記溶剤(B)全量に対して20質量%から100質量%であることが好ましい。
前記活性剤(C)としては、例えばカルボン酸類、ハロゲンを含む化合物等が挙げられる。これらは1種単独でまたは複数種を混合して用いてもよい。
前記モノカルボン酸としては、例えばプロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリン酸、ラウリル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、ツベルクロステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、グリコール酸等が挙げられる。
ジカルボン酸としては、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、フマル酸、マレイン酸、酒石酸、ジグリコール酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等が挙げられる。
また前記その他の有機酸としては、ダイマー酸、レブリン酸、乳酸、アクリル酸、安息香酸、サリチル酸、アニス酸、クエン酸、ピコリン酸、アントラニル酸等が挙げられる。
なおこれらは1種単独でまたは複数種を混合して用いてもよい。また前記活性剤(C)として好ましいカルボン酸類は、スベリン酸である。
前記非解離型活性剤としては、ハロゲン原子が共有結合により結合した非塩系の有機化合物が挙げられ、例えば塩素化物、臭素化物、ヨウ素化物、フッ化物のように塩素、臭素、ヨウ素、フッ素の各単独元素の共有結合による化合物でもよく、また2以上の異なるハロゲン原子を共有結合で結合する化合物でもよい。当該化合物は水性溶媒に対する溶解性を向上させるために、例えばハロゲン化アルコールのように水酸基等の極性基を有することが好ましい。当該ハロゲン化アルコールとしては、例えば2,3−ジブロモプロパノール、2,3−ジブロモブタンジオール、1,4−ジブロモ−2−ブタノール、トリブロモネオペンチルアルコール等の臭素化アルコール;2−ブロモヘキサン酸等の臭化有機酸;1,3−ジクロロ−2−プロパノール、1,4−ジクロロ−2−ブタノール等の塩素化アルコール;3−フルオロカテコール等のフッ素化アルコール;その他のこれらに類する化合物が挙げられる。これらは1種単独でまたは複数種を混合して用いてもよい。
なお前記活性剤(C)として好ましいハロゲンを含む化合物は、ジブロモブテンジオールである。
前記チクソ剤(D)としては、例えば水素添加ヒマシ油、飽和脂肪酸アミド、飽和脂肪酸ビスアミド類、オキシ脂肪酸類及びジベンジリデンソルビトール類等が挙げられる。
なおこれらは1種単独でまたは複数種を混合して用いてもよい。
なおこれらは1種単独でまたは複数種を混合して用いてもよい。
また前記チクソ剤(D−1)の配合量は、フラックス組成物全量に対して0.1質量%から3質量%が好ましい。更に好ましいその配合量は、フラックス組成物全量に対して0.5質量%から2質量%である。
本実施形態のフラックス組成物には、はんだ合金粉末の酸化を抑える目的で酸化防止剤を配合することができる。このような酸化防止剤としては、例えばヒンダードフェノール系酸化防止剤、フェノール系酸化防止剤、ビスフェノール系酸化防止剤、ポリマー型酸化防止剤等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらの中でも特にヒンダードフェノール系酸化防止剤が好ましく用いられる。このヒンダードフェノール系酸化防止剤としては、例えばイルガノックス245(BASFジャパン(株)製)等が挙げられる。
なおこれらは単独でまたは複数を組合せて使用することができる。
なおこれらは単独でまたは複数を組合せて使用することができる。
しかし本実施形態のフラックス組成物は、上述の通り所定以上の応力(τ)を与えることで、急激に損失係数(tanδ)が1を超えるため、これを用いたソルダペーストをメタルマスクにより印刷する際、印刷の版離れのような極短時間しか応力が加わらない場合であっても当該メタルマスクに接触した(応力の加わった)ソルダペースト部分のみ粘度が低くなり易いと推測される。従って、当該ソルダペーストはメタルマスクの開口部から離反し易くなり、またその転写形状を保ちつつ離反し得ると考えられる。そのため、メタルマスクの開口部が高アスペクト比となるような場合においても安定した印刷性(つの立ち抑制)及び転写率を確保することができる。
(1)G2’/G1’=0.6以上0.95以下
(2)G3’/G2’=0.6以上0.95以下
(3)G4’/G3’=0.001以上0.2以下
(4)G2’/G1’=0.7以上0.9以下
(5)G3’/G2’=0.7以上0.95以下
(6)G4’/G3’=0.003以上0.1以下
上述の通り、本実施形態のフラックス組成物は、所定以上の応力(τ)を与えた場合に急激に損失係数(tanδ)が1を超えるものであるため、応力の加わった部分のみ粘度が低くなり易い傾向にある。しかしフラックス組成物の損失係数(tanδ)が1を超える応力(τ)の数値が高すぎると、例えばこれを用いたソルダペーストをメタルマスクを用いて基板上に印刷する場合、ソルダペーストにかかる応力(τ)が、上記損失係数(tanδ)が1を超える応力(τ)よりも低くなる可能性が高く、そのためソルダペーストの粘度が低くならずメタルマスクから抜け難くなったり、印刷時にローリングし難くなる可能性がある。そのため、損失係数(tanδ)が1を超える応力(τ)は800Pa以上1,200Pa以下であることが好ましく、900Paから1,000Paであることが更に好ましい。
(1)’G2’’/G1’’=0.7以上1以下
(2)’G3’’/G2’’=0.8以上1以下
(3)’G4’’/G3’’=0.1以上0.3以下
本実施形態のソルダペーストは、上記フラックス組成物とはんだ合金粉末とを混合することにより得られる。
前記はんだ合金粉末としては、例えば錫及び鉛を含む合金、錫及び鉛並びに銀、ビスマス及びインジウムの少なくとも1種を含む合金、錫及び銀を含む合金、錫及び銅を含む合金、錫、銀及び銅を含む合金、錫及びビスマスを含む合金等を用いることができる。またこれら以外にも、例えば錫、鉛、銀、ビスマス、インジウム、銅、亜鉛、ガリウム、アンチモン、金、パラジウム、ゲルマニウム、ニッケル、クロム、アルミニウム、リン等を適宜組合せたはんだ合金粉末を使用することができる。なお、上記に挙げた元素以外であってもその組合せに使用することは可能である。
前記はんだ合金粉末の配合量が65質量%未満の場合には、得られるソルダペーストを用いた場合に充分なはんだ接合が形成されにくくなる傾向にある。他方はんだ合金粉末の含有量が95質量%を超える場合にはバインダとしてのフラックス組成物が足りないため、フラックス組成物とはんだ合金粉末とを混合しにくくなる傾向にある。
また上記各フラックス組成物10.5質量%と、Sn−3Ag−0.5Cuはんだ合金粉末(粒径20μmから38μm)89.5質量%とを混合し、実施例1及び2並びに比較例1から4に係る各ソルダペーストを作製した。
なお、特に記載のない限り、表1に記載の数値は質量%を意味するものとする。
また当該測定結果から実施例1及び2並びに比較例1から3に係るフラックス組成物の応力(τ)が100Paにおける貯蔵弾性率G1’と、応力(τ)が500Paにおける貯蔵弾性率G2’と、応力(τ)が750Paにおける貯蔵弾性率G3’と、応力(τ)が1,000Paにおける貯蔵弾性率G4’と、それぞれにおけるG2’/G1’、G3’/G2’及びG4’/G3’の値を算出した。その結果を表2に表す。
更に、上記測定結果から、実施例1及び2並びに比較例1から3にかかるフラックス組成物について、損失係数(tanδ)が1を超える応力(τ)を算出した。その結果を表2に表す。
粘弾性測定装置(製品名:HAAKE MARSIII、英弘精機(株)製)
粘弾性測定装置の測定部(測定対象物:フラックス組成物)の温度(温度):25℃
粘弾性測定装置のプレートの回転速度(周波数):1Hz
パレット:P25 CS L
Lower Plate:TMP25
ギャップ:0.5mm
試料体積:0.2ml(約0.8g)
応力(τ):1Paから1,000Pa
測定モード:応力掃引
上記条件にて測定した貯蔵弾性率(G’)について、500Paから1,000Paの応力(τ)において、応力(τ)が1Pa増加した場合のその減少値の平均値を測定した。その結果を表2に示す。
ガラスエポキシ基板と64ピン0.4mmピッチのQFP(パッケージサイズ:7mm×7mm×1.0mm)を用意した。前記ガラスエポキシ基板に前記QFPに対応するソルダレジストと電極(975μm×170μm)を設け、次いでこれと同じパターンを有する厚さ150μmのメタルマスクを用い、各ソルダペーストを、印刷機(製品名:SP60P−L、パナソニック(株)製)を用い、1種につき先ずは前記基板に捨て刷りとして2枚印刷した後、6枚の前記基板に連続で印刷し、各試験基板を作製した。なお、印刷時の条件はスキージ速度:30mm/秒、版離れ速度:1.0mm/秒とした。
各試験基板上の印刷パターンについて画像検査機(製品名:aspire2、(株)コーヨンテクノロジー製)を用いて384ピン中の差分高さ(印刷形状の頂点の高さから平均高さを減じた値。以下同じ。)が150μm以上のツノの発生個数を測定した。その結果を表2に表す。
以上の通り、実施例に係るソルダペーストは比較例のそれと比較して良好な印刷性(つの立ち抑制)効果を発現し、メタルマスクの開口部からの版離れ性を向上することができる。よって本発明に係るフラックス組成物を用いたソルダペーストは微細なパターンを有する例えば厚み150μmといったソルダマスクを使用した場合であっても非常に安定した版離れ性及び印刷性を確保し得る。
Claims (9)
- (A)ベース樹脂と、(B)溶剤と、(C)活性剤と、(D)チクソ剤とを含むフラックス組成物であって、
25℃で周波数1Hzの条件下において、応力(τ)が100Paにおける貯蔵弾性率G1’と、応力(τ)が500Paにおける貯蔵弾性率G2’と、応力(τ)が750Paにおける貯蔵弾性率G3’と、応力(τ)が1,000Paにおける貯蔵弾性率G4’とが下記式(1)から(3)の全てを満たすことを特徴とするフラックス組成物。
(1)G2’/G1’=0.6以上0.95以下
(2)G3’/G2’=0.6以上0.95以下
(3)G4’/G3’=0.001以上0.2以下 - 前記貯蔵弾性率G1’と、前記貯蔵弾性率G2’と、前記貯蔵弾性率G3’と、前記貯蔵弾性率G4’とが下記式(4)から(6)の全てを満たすことを特徴とする請求項1に記載のフラックス組成物
(4)G2’/G1’=0.7以上0.9以下
(5)G3’/G2’=0.7以上0.95以下
(6)G4’/G3’=0.003以上0.1以下 - 25℃で周波数1Hzの条件下において、かかる応力(τ)が500Paから1,000Paの間における貯蔵弾性率(G’)について、前記応力(τ)が1Pa増加した場合の前記貯蔵弾性率(G’)の減少値の平均値が絶対値で20Pa以上90Pa以下であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のフラックス組成物。
- 25℃で周波数1Hzの条件下において、応力(τ)が800Pa以上1,200Pa以下の間において損失係数(tanδ)が1を超えることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のフラックス組成物。
- 25℃で周波数1Hzの条件下において、前記貯蔵弾性率G1’と、前記貯蔵弾性率G2’と、前記貯蔵弾性率G3’と、前記貯蔵弾性率G4’とが下記式(7)から(9)の全てを満たし、
(7)G2’/G1’=0.81以上0.82以下
(8)G3’/G2’=0.85以上0.87以下
(9)G4’/G3’=0.004以上0.005以下
且つ応力(τ)が100Paにおける損失弾性率G1’’と、応力(τ)が500Paにおける損失弾性率G2’’と、応力(τ)が750Paにおける損失弾性率G3’’とが10,000以上15,000以下であり、応力(τ)が1,000Paにおける損失弾性率G4’’が5,000以下である、
若しくは25℃で周波数1Hzの条件下において、前記貯蔵弾性率G1’と、前記貯蔵弾性率G2’と、前記貯蔵弾性率G3’と、前記貯蔵弾性率G4’とが下記式(10)から(12)の全てを満たし、
(10)G2’/G1’=0.76以上0.77以下
(11)G3’/G2’=0.89以上0.90以下
(12)G4’/G3’=0.06以上0.07以下
且つ前記損失弾性率G1’’と、前記損失弾性率G2’’とが10,000以上15,000以下であり、前記損失弾性率G3’’と、前記損失弾性率G4’’とが10,000以下であることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のフラックス組成物。 - 前記溶剤(B)は、(B−1)末端にヒドロキシル基を有さないエステル系溶剤を含むことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項にフラックス組成物。
- 前記エステル系溶剤(B−1)は、エステル結合を2つ有することを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のフラックス組成物。
- 前記チクソ剤(D)は、(D−1)ポリエーテルリン酸エステルを含むことを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項に記載のフラックス組成物。
- 請求項1から請求項8のいずれか1項に記載のフラックス組成物と、はんだ合金粉末とを含むことを特徴とするソルダペースト。
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