JP6560248B2 - ヒドロホルミル化プロセス - Google Patents

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Description

本発明は、ヒドロホルミル化プロセスに関する。
アルデヒドが、オレフィン性不飽和化合物をロジウム−オルガノホスファイト配位子錯体触媒の存在下で一酸化炭素及び水素と反応させることによって生成され得ること、ならびに好ましいプロセスが、例えば米国特許第4,148,830号、同第4,717,775号、及び同第4,769,498号に開示されるような連続したヒドロホルミル化及び触媒溶液の再循環を伴うことが、知られている。そのようなアルデヒドは、多様な既知の有用性があり、例えば、水素化により脂肪族アルコールを得るため、アルドール縮合により可塑剤を生成するため、及び酸化により脂肪酸を生成するための中間体として有用である。
そのようなロジウム−有機リン配位子錯体により触媒される液体再循環ヒドロホルミル化プロセスの有用性にもかかわらず、触媒及び有機リン配位子の安定化は、大きな懸念である。非常に高価なロジウム触媒の望ましくない反応に起因する触媒または触媒活性の消失は、所望のアルデヒドの生成には不利益である。ヒドロホルミル化プロセス中に用いられる有機リン配位子の分解は、ロジウム触媒の触媒活性を低下させ得る有毒な有機リン化合物、阻害物質、または酸性副生成物といった有害な種の形成に繋がる可能性がある。触媒の生産性が低下すると、アルデヒド生成物の生成費用が増加する。
加水分解性オルガノホスファイト配位子の加水分解不安定性が、ロジウム−有機リン配位子錯体に触媒されるヒドロホルミル化プロセスの配位子分解及び触媒失活の主な原因である。全てのオルガノホスファイトは、ある程度加水分解を受けやすく、加水分解の速度は、通常、オルガノホスファイトの立体化学的性質に依存する。典型的には、リン原子の周りの立体環境が嵩高いほど、加水分解速度は遅い。例えば、トリフェニルホスファイト等の第三級トリオルガノホスファイトは、米国特許第4,737,588号に開示されるもの等のジオルガノホスファイトならびに米国特許第4,748,261号及び同第4,769,498号に開示されるもの等のオルガノポリホスファイトよりも加水分解を受けやすい。全てのそのような加水分解反応は、いかなる場合も、加水分解反応を触媒するリン酸化合物をもたらす。例えば、第三級オルガノホスファイトの加水分解により、ホスホン酸ジエステルが得られ、これは、加水分解してホスホン酸モノエステルとなり、これが、加水分解してHPO(亜リン酸)となる。さらに、ホスホン酸ジエステルとアルデヒドとの間、またはある特定のオルガノホスファイト配位子とアルデヒドとの間等の副反応に付随する生成物の加水分解は、望ましくない強いアルデヒド酸、例えば、n−CCH(OH)P(O)(OH)の生成に繋がり得る。
加水分解性が低い非常に望ましい立体障害を有するオルガノホスファイトですら、アルデヒド生成物と反応して、有毒なオルガノホスファイト、例えば、オルガノモノホスファイトを形成し得るが、これは、触媒阻害物質であり、米国特許第5,288,918号及び米国特許第5,364,950号に示されるように、加水分解を受けやすく、そのようなアルデヒド酸副生成物、例えば、ヒドロキシアルキルホスホン酸等の形成をもたらしやすい。さらに、オルガノホスファイト配位子の加水分解は、そのようなリン酸化合物、例えば、HPO、アルデヒド酸、例えば、ヒドロキシアルキルホスホン酸、HPO等の生成の点から見て、自己触媒的であると見なすことができ、これは、抑制しないまま放置されると、連続的な液体再循環ヒドロホルミル化プロセスの触媒系は、時間と共にますます酸性になるであろう。最終的には許容できない量のリン酸材料が蓄積されることにより、存在するオルガノホスファイトの完全な破壊が引き起こされ、それによって、ヒドロホルミル化触媒が完全に効力を失い(失活し)、高価なロジウム金属が、例えば、反応器の壁部に沈殿及び/または析出することにより消失しやすくなる。例えば、米国特許第5,741,944号では、緩衝化された抽出器を用いて、酸性種が形成されたときにそれを除去してもよいが、この抽出は、反応器システムの外で行われ、一部の場合には激しすぎる場合がある。酸の軽減は、高温及び反応器の数時間の滞留時間下では生じないため、一部の分解は、酸の中和が発生し得る前に生じ得る。また、ナトリウム系オキシ酸緩衝液は、工場の閉鎖を含む重大な操作上の問題を引き起こす可能性のあるNa系固体(主に中和した酸性種)を析出させる傾向が示されている。
触媒及び/またはオルガノホスファイト配位子の安定性を維持するために、多数の方法が提案されてきた。例えば、米国特許第5,288,918号は、反応域に触媒活性を強化させる添加剤、例えば、水及び/または弱酸性化合物を添加することを提案しており、米国特許第5,364,950号は、反応域にエポキシドを添加してオルガノホスファイト配位子を安定化させることを提案しており、米国特許第5,741,944号は、オキソ酸塩の緩衝液を場合によってはアミン添加剤と共に抽出器に添加して、触媒溶液から酸性種を除去することを教示している。緩衝化させた抽出器のさらなる強化は、国際公開第2012/064586号に教示されており、触媒溶液を反応域に再循環させる前に、オキソ酸塩緩衝液に由来する金属塩を除去するために水での洗浄ステップが追加されている。
米国特許第5,744,649号は、緩衝化されていない水、すなわち、「水のみの抽出器」を用いて酸性種を抽出及び除去することを教示している。しかしながら、触媒溶液の所望される有効なpHを維持するには、非常に大きな脱イオン水流が必要であり、これは、結果として、水相中への同伴または溶解に起因して生成物、配位子、及び触媒の消失が増加させる。失活した触媒を再活性させるため、または酸性不純物が活性触媒と錯体を形成することを防止する目的で、場合によっては、アミン添加剤を使用してもよい。アミンはまた、中和された酸を水のみの抽出器に「送達する」ように作用し得る。アミンは有機相に選択的に分配されるはずであり、したがって、実質的に水相には入らないことが教示されている。‘649は、「酸性材料は、本明細書に開示されるように、単に排出及び/または中和されるのではなく水中に抽出され、反応媒体中に残ることができる」ことを具体的に教示している。上述の役割において有効となるためには、比較的高レベル(10重量%程度の高さ)のアミン添加剤が必要である。しかしながら、そのような高いレベルのアミンは、エマルジョンの生成及び触媒金属消失の増加といった抽出器の相の分離に関する問題を引き起こす。
米国特許第4,567,306号は、触媒活性を維持するために、アミンを使用して酸性種を中和することを教示している。これは、これらのアミンに何が起こるか(生成物から揮発すること以外に)を教示しているものではなく、それによって形成される塩を除去する方法を教示するものではない。最終的には、塩は、増加して沈殿することになる。
米国特許第8,110,709号は、アミンを使用して酸性不純物を捉え、次いで、イオン交換カラムを使用して、結果として生じるアミン塩を除去することについて主張している。同様に、米国特許第7,495,134号は、第二級アミン添加剤を添加し、これを濾過によって除去することについて教示している。
望ましくないリン種の加水分解は、いくらかは許容される。米国特許第5,288,918号は、触媒毒または阻害物質として作用する、一部の配位子分解生成物を加水分解することが重要であることを教示している。これは、その系の有効なpHを注意深く制御することにより、望ましい加水分解性配位子を大幅に加水分解させることなく行うことができるが、これは、これらの配位子分解種が、特定のpH範囲では望ましい配位子よりも速く変質するためである。米国特許第5,741,944号は、酸除去域の好ましいpH範囲が4.5〜7.5であり、最も好ましくは5.6〜7.0であることを教示している。有効なpHがそれよりも低ければ、全ての亜リン酸エステルの加水分解が起こるが、それよりも高ければ、触媒毒の加水分解速度が遅すぎ、触媒が失活する。
先行技術の緩衝化された抽出器は、NaPO4等のオキソ酸の金属塩に基づいている。緩衝液は、典型的に、>0.1mmol/L濃度で作用し、向流抽出装置に供給され、そこで、注意深く制御されたpH条件のもと、酸が中和され、除去される。先行技術では、緩衝水溶液相中のpHの制御が、反応域における酸性度の制御に対応すると推定されていた。残念なことに、国際公開第2012/064586号における教示にもかかわらず、ナトリウム塩に基づくファウリング材料が徐々に蓄積されることが観察された。オキソ酸塩緩衝液が存在しない状態でこれらの濃度でアミンを添加すると、許容できないほどに高いpH値及び反応流体中での重質物の形成が生じる。十分な緩衝能力を得るための、高レベルのアミン、例えば、ピリジン、トリアルキルアミン等、許容できないほどに高い水溶液のpH値(>9)がもたらされた。
先行技術の教示の有用性にもかかわらず、用いられるロジウム触媒及びオルガノホスファイト配位子を安定化させる代替的な方法ならびにより良好かつより効果的な手段の探求は現在も続く活動である。金属塩緩衝液に有害物質が観測されることなく、配位子の分解を最小限に抑え、同時に有毒なホスファイトレベルを低減させるためには、ヒドロホルミル化反応域中の強酸性種を低減または排除するためのプロセスを有することが望ましいであろう。
本発明は、(1)(a)リン酸化合物と、(b)有機リン配位子と錯化した第8、9、または10族の金属を含む、金属−有機リン配位子錯体触媒と、場合によっては(c)遊離有機リン配位子と、を含む反応流体を用いて、ヒドロホルミル化反応を反応域で行うことと、(2)反応流体の少なくとも一部分を、水溶性アミンと接触させて、リン酸化合物の少なくともいくらかの量を中和させ、中和されたリン酸化合物を形成することと、(3)抽出域において、反応流体から少なくとも1つの中和されたリン酸化合物を少なくとも部分的に分離することと、(4)抽出域の流出水溶液流を介して中和されたリン酸化合物を抽出域から除去することと、を含み、ただし、アミンの量が、反応域中のアミンの濃度がヒドロホルミル化反応流体1リットル当たり0.075ミリモルを超えないようなものであることを条件とするような、プロセスである。
驚くべきことに、本発明のプロセスは、金属塩緩衝液を用いるプロセスと比較して重質物の形成が増加せず、かつファウリングの低減される、配位子分解を制御するための手段を提供する。
開示されるプロセスは、水溶性アミンをヒドロホルミル化反応流体と接触させることを含む。反応流体は、(1)リン酸化合物と、(2)有機リン配位子と錯化した金属を含む、金属−有機リン配位子錯体触媒と、場合によっては(3)遊離有機リン配位子と、を含む。反応流体は、ヒドロホルミル化反応域で生成され得る。抽出域は、有利なことに、生成物回収系の一部として、反応域と併用される。アミンを使用することにより、許容されるpH範囲を有する抽出域の流出水溶液流を生成することができ、抽出域に許容される緩衝能力が提供される。抽出域流出水溶液流のpHは、抽出域の有機相からアミン及び中和されたリン酸化合物を抽出し、緩衝化された水溶液をインサイチュで形成することによって、制御される。
元素周期表及びその中の種々の族への全ての言及は、CRC Handbook of Chemistry and Physics,72nd Ed.(1991−1992)CRC Press,at page I−10に所載の版に対するものである。
反対の記述、または文脈からの暗示がない限り、全ての部及び百分率は重量基準であり、全ての試験方法は、本願の出願日時点で最新のものである。米国特許実務のために、参照されるあらゆる特許、特許出願、または公開の内容は、その全体が参照により組み込まれ(または、その相当する米国版が、同じように参照により組み込まれ)、特に、定義の開示(本開示において具体的に示されるいかなる定義とも矛盾しない程度に)、及び当技術分野における一般知識に関して、参照により組み込まれる。
本明細書に使用されるとき、「1つ(a)」、「1つ(an)」、「その(the)」、「少なくとも1つ」、及び「1つ以上」は、同義に使用される。用語「含む(comprise)」、「含む(include)」、及びこれらの変化形は、これらの用語が本明細書及び特許請求の範囲内に現れる場合、限定的な意味を持たない。したがって、例えば、「1つの(a)」疎水性ポリマーの粒子を含む水性組成物は、この組成物が、「1つ以上の」疎水性ポリマーの粒子を含むことを意味すると解釈することができる。
また本明細書において、端点による数値範囲の列挙は、その範囲内に包含される全ての数(例えば1〜5は、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4、5等を含む)を含む。本発明の目的で、当業者の理解と同様に、数値範囲は、その範囲内に含まれる全ての可能な部分範囲を含み、それを補助することを意図していることが理解されよう。例えば、1〜100の範囲は、1.01〜100、1〜99.99、1.01〜99.99、40〜60、1〜55等を示唆することを意図している。また本明細書において、数値範囲及び/または数値の列挙は、特許請求の範囲におけるこのような列挙を含めて、用語「約(about)」を含むように読み取ることができる。このような場合には、用語「約」は、本明細書で記述されたものと実質的に同じ数値範囲及び/または数値を意味する。
本明細書で使用する用語「ppmw」は、重量比で100万分の1部を意味する。
本発明の目的で、「炭化水素」という用語は、少なくとも1つの水素原子及び少なくとも1つの炭素原子を有する全ての許容可能な化合物を含むことが意図されている。また、このような許容可能な化合物は、1つ以上のヘテロ原子を有してもよい。広範な態様において、許容可能な炭化水素としては、非環式(ヘテロ原子を有するまたは有さない)及び環式、分岐状及び非分岐状、炭素環式及び複素環式、芳香族ならびに非芳香族の有機化合物が挙げられ、これらは、置換されていても、非置換であってもよい。
本明細書に使用されるとき、「置換」という用語は、別途示されない限り、有機化合物の全ての許容可能な置換基を含むことが企図される。広範な態様において、許容可能な置換基としては、有機化合物の非環式及び環式、分岐状及び非分岐状、炭素環式及び複素環式、芳香族、ならびに非芳香族の置換基が挙げられる。例示的な置換基としては、例えば、炭素数が1〜20個またはそれ以上、好ましくは1〜12の範囲であり得る、アルキル、アルキルオキシ、アリール、アリールオキシ、ヒドロキシアルキル、アミノアルキル、ならびにヒドロキシ、ハロ、及びアミノが挙げられる。許容可能な置換基は、1つ以上であってもよく、同じかまたは適切な有機化合物の場合には異なっていてもよい。本発明は、決して、有機化合物の許容可能な置換基により限定されることを意図するものではない。
本明細書に使用されるとき、「ヒドロホルミル化」という用語は、1つ以上の置換もしくは非置換オレフィン化合物、または1つ以上の置換もしくは非置換オレフィン化合物を含む反応混合物を、1つ以上の置換もしくは非置換アルデヒド、または1つ以上の置換もしくは非置換アルデヒドを含む反応混合物に転化することを伴う全てのヒドロホルミル化プロセスを含むことを意図しているが、これらに限定されない。アルデヒドは、不斉または非不斉であってもよい。
「反応流体」、「反応媒体」、及び「触媒溶液」という用語は、本明細書において同義に使用され、(a)金属−有機リン配位子錯体触媒と、(b)遊離有機リン配位子と、(c)反応中に形成されたアルデヒド生成物と、(d)未反応反応物と、(e)該金属−有機リン配位子錯体触媒及び該遊離有機リン配位子の溶媒と、場合によっては(f)反応で形成された1種または複数種のリン酸化合物(均質もしくは不均質でもよく、プロセス設備表面に付着したものを含む)とを含む混合物が含まれ得るが、これに限定されない。反応流体は、(a)反応域中の流体、(b)分離域への途中の流体流、(c)分離域中の流体、(d)再循環流、(e)反応域または分離域から回収された流体、(f)水性緩衝液で処理中の回収された流体、(g)反応域または分離域に戻された処理済流体、(h)外部冷却器中の流体、ならびに(i)配位子変質生成物及びそれらの塩を包含し得るが、これらに限定されない。
本発明の目的で、「重質物」という用語は、所望されるアルデヒド生成物(複数可)のものよりも高い沸点を有する化合物を意味する。
本明細書に使用されるとき、「抽出器」という用語は、反応流体と水溶液とを十分に接触させるための好適な手段を提供する、任意の好適な容器または格納容器、例えば、液体/液体抽出器として使用するのに好適な任意の容器を意味する。
本発明の目的で、「抽出域」という用語は、少なくとも1つの抽出器を備える装置系を意味する。抽出域は、並列、直列、またはその両方で配置される複数の抽出器を有し得る。
「抽出域の流出水溶液流」という用語は、抽出域での触媒溶液と水溶液との後続接触をもたらす水相をその供給源として有する、抽出域からの流出流を指す。
本発明の目的で、「反応域」という用語は、少なくとも1つの反応器を備え、液体流出物の少なくとも一部分を生成物−触媒分離域に供給する、装置系を意味し、これは、抽出域を含んでもよい。「第1の反応器」という用語は、反応域内の第1の反応器を指す。
「加水分解性リン配位子」は、少なくとも1つのP−Z結合を含有する三価のリン配位子であり、Zは酸素、窒素、塩素、フッ素、または臭素である。例としては、ホスファイト、ホスフィノ−ホスファイト、ビスホスファイト、ホスホナイト、ビスホスホナイト、ホスフィナイト、ホスホロアミダイト、ホスフィノ−ホスホロアミダイト、ビスホスホロアミダイト、フルオロホスファイト等が挙げられるが、これらに限定されない。配位子はキレート構造を含んでもよく、かつ/またはポリホスファイト、ポリホスホロアミダイト等のように複数のP−Z部分、及びホスファイト−ホスホロアミダイト、フルオロホスファイト−ホスファイト等のように混合P−Z部分を含有してもよい。
本明細書に使用される「錯体」という用語は、1つ以上の独立して存在可能な電子に富む分子または原子と、同様に独立して存在可能な1つ以上の電子不足の分子または原子との結合により形成される配位化合物を意味する。例えば、本明細書に利用可能な有機リン配位子は、1つまたは複数のリンドナー原子を持つことができ、それぞれが独立にまたは可能な場合は金属と共同して(例えば、キレート化により)それぞれが配位結合を形成できる1つの利用可能な、または非共有の電子対を有する。一酸化炭素(同様に、配位子として適切に分類される)も存在し、金属に配位することができる。錯体触媒の最終的組成物はまた、金属の配位部位または核電荷を満たす追加の配位子、例えば、水素またはアニオンを含有してもよい。例示的な追加の配位子としては、例えば、ハロゲン(Cl、Br、I)、アルキル、アリール、置換アリール、アシル、CF、C、CN、(R)PO、及びRP(O)(OH)O(式中、各Rは、同じかまたは異なり、置換もしくは非置換炭化水素ラジカル、例えば、アルキルまたはアリールである)、アセテート、アチルアセトネート、SO、PF、PF、NO、NO、CH、CH=CHCH、CHCH=CHCH、CCN、CHCN、NH、ピリジン、(CN、モノオレフィン、ジオレフィン、及びトリオレフィン、テトラヒドロフラン等が挙げられる。錯体種は、触媒を失活させるかまたは触媒性能に過度の悪影響を及ぼすおそれがある、いずれの追加の有機配位子またはアニオンも含まないことが好ましい。金属−オルガノホスファイト配位子錯体触媒のヒドロホルミル化反応においては、活性触媒が金属に直接結合したハロゲン及び硫黄を含まないこと好ましいが、こうしたことを絶対に必要としなくてもよい。
遷移金属における利用可能な配位部位の数は、当該技術分野で周知であり、選択される具体的な遷移金属に依存する。触媒種は、単量体、二量体、または高核性の形態の錯体触媒混合物を含んでもよく、これらの形態は、好ましくは、金属、例えばロジウム1分子当たり少なくとも1つの有機リン含有分子により特徴づけられる。例えば、ヒドロホルミル化反応に用いられる好ましい触媒の触媒種は、1つ以上の有機リン配位子(複数可)に加えて、一酸化炭素及び水素と錯化し得ると考えられる。
「pH」という用語は、水溶液系に関してのみ適切に定義されることが理解される。「有効なpH」という用語が本開示において使用されるとき、これは、有機相中に存在する酸性度/アルカリ度の量を表すためのその有機相の抽出水溶液のpHを指す。
緩衝液は、酸と塩基の混合物である。本発明の目的で、緩衝液は、弱酸とその共役塩基との混合物または弱塩基とその共役酸との混合物からなる水溶液である。
水溶性アミンは、抽出域の流出水溶液流のpHを所望の値に維持するのに十分な量で用いられる。有利なことに、アミンは、反応域中の反応流体で測定した場合に、反応流体1リットル当たり0.075ミリモルを超えない、好ましくは1リットル当たり0.05ミリモルを超えない、さらにより好ましくは1リットル当たり0.030ミリモルを超えない明確な量で用いられる。有利なことに、用いられるアミンの量は、反応流体1リットル当たり少なくとも0.005ミリモル、好ましくは1リットル当たり少なくとも0.015ミリモル、さらにより好ましくは1リットル当たり少なくとも0.025ミリモルの量である。有利なことに、アミンは、反応流体1リットル当たり0.005〜0.075ミリモル、好ましくは1リットル当たり0.015〜0.05ミリモル、さらにより好ましくは1リットル当たり0.025〜0.030ミリモルの量で用いられる。アミンの混合物を用いてもよい。反応域における反応流体中のアミンの濃度は、例えば、ガスクロマトグラフィー及び液体クロマトグラフィーを含む、当業者に周知の従来的な技法によって測定することができる。
有利なことに、水溶性アミンは、以下の2つの特性を有する:1)反応域での重質物の形成を回避するために、弱塩基性であり、2)反応流体中での蓄積を回避するために、水溶性である。水溶性アミンのアルカリ度または塩基度は、通常、共役酸のpKaとして報告され、これは、有利なことに、抽出域の温度において5〜11である。pKaは、好ましくは6.0〜9.5であり、最も好ましくは6.5〜9.0である。アミンの候補は、昇温で生成物のアルデヒドをアミンと共に加熱することによって、重質物の形成に関して試験され得る。許容されるアミンは、ヒドロホルミル化温度において1日当たり試験化合物1リットル当たりで1グラム未満の重質物の形成を示す。重質物形成量は、当業者には既知のように、ガスまたは液体クロマトグラフィーによって容易に判定することができる。アミンは、有利なことに、以下のクラスのうちの1つ以上から選択される。
1つのクラスのアミンは、構造
Figure 0006560248
を有し、式中、R32、R33、及びR34は、それぞれ独立して、Hまたはアルキルもしくはアリール置換基を表し(R32、R33、及びR34のうちの1つ以外は水素でなく、好ましくは、全てが水素ではないように)、少なくとも1つが、電子求引性置換基であり、このましくは、少なくとも2つが電子求引性置換基である。電子求引性アルキルまたはアリール置換基には、アルキル置換もしくは非置換アリール、ハロゲン化、アルコキシル化、アルキルアルコキシル化、もしくはカルボキシル化アリール基、β−アルコキシもしくはβ−アルコキシアルキル(β−ヒドロキシエチル、β−ヒドロキシ−α−メチルエチル、β−ヒドロキシ−β−メチルエチル、ならびにそれらのエトキシル化及び/もしくはプロポキシル化付加物)が挙げられる。このクラスの好ましいアミンの例としては、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、エチルジエタノールアミン、ジメチルエタノールアミン、及びトリ(2−ヒドロキシプロピル)アミン、及びそれらのエトキシレートが挙げられる。
別のクラスのアミンは、式(X)で示される構造を有し、
Figure 0006560248
式中、各R36は、独立して、C−Cアルキル、ヒドロキシル(及びそのエトキシル化及び/もしくはプロポキシル化付加物)、アルキルアルコキシ、またはハロゲンを表し、xは、1〜3であり、zは、0〜6である。好ましくは、複数のR36部分が存在し、これらは、異なってもよく、最も好ましくは、幾つかが窒素部分の各側鎖に位置している。好ましい例は、4−ヒドロキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン及びその誘導体である。
別のクラスの好適なアミンは、ピリジン及び式(XI)で示される関連環状構造であり、式中、R36は上記に定義される通りであり、qは、0〜5である。
Figure 0006560248
好ましくは、少なくとも1つのR36がHではなく、より好ましくは、Hでない置換基がオルト位にある。さらにより好ましくは、Hでない置換基が、両方のオルト位にある。
別のクラスの好適な弱塩基性アミンには、本明細書で以下に記載される水−触媒溶液の分配要件を満たすように水への溶解度を増加させる、R32に関して記載されたような置換基を有する、イミダゾール、ピラゾール、インダゾール、1,2,3−トリアゾール、1,2,4−トリアゾール、2,1,3−トリアゾール、4,1,2−トリアゾール、1,2−ジアジン、1,3−ジアジン、1,4−ジアジン、1,3,5−トリアジン、及びベンズイミダゾールが挙げられる。これらのアミンの例は、米国特許第7,351,339号及び2013年3月15日に出願された同時係属中の米国仮特許出願第61/790642号に記載されている。
本発明の目的で、アミンの「水への溶解度」は、抽出域中の水相と、抽出域中の有機触媒溶液との間の溶解度の比として決定され、これは、2:1であることが有利であり、少なくとも100:1であることが好ましく、少なくとも200:1であることが最も好ましい。これは、水と触媒溶液との1:1混合液にアミンを添加し、2つの相を分離させた後、当業者には既知のように、ガスクロマトグラフィー等の従来的な手段により2つの層を分析して2つの相における濃度を判定することによって、決定することができる。これらのアミンは、極性アミンであり、極性部分(通常は電子求引性部分)が水への溶解度を強化し、アミン官能基の塩基度を低減させる。
ヒドロホルミル化プロセス及びその操作のための条件は、周知である。ヒドロホルミル化反応を行うには、反応域中において、少なくとも1つのアルデヒド生成物を形成するのに十分なヒドロホルミル化条件下においてヒドロホルミル化触媒の存在下で、CO、H、及び少なくとも1つのオレフィンを接触させることを伴う。触媒は、遷移金属及び加水分解性有機リン配位子を構成成分として含む。反応域に添加するための任意選択的な構成成分としては、エポキシド及び/または水が挙げられる。
水素及び一酸化炭素は、石油分解法及び精製操作を含む、任意の好適な供給源から得ることができる。シンガス混合物が、水素及びCOの好ましい供給源である。
(合成ガスに由来する)シンガスとは様々な量のCO及びHを含有するガス混合物に付与される名称である。生成方法は周知である。典型的には、水素及びCOがシンガスの主成分であるが、シンガスは、CO及びN、CH、及びArといった不活性ガスを含有してもよい。HとCOとの比は大きく変動するが、通常は、1:100〜100:1、好ましくは1:10〜10:1の範囲である。シンガスは市販されており、燃料源として、または他の化学物質を生成するための中間体として多用される。化学的生成に最も好ましいH:COの比は、3:1〜1:3であり、通常、ほとんどのヒドロホルミル化用途では約1:2〜2:1にすることが目標とされる。
ヒドロホルミル化プロセスで用いることができる置換または非置換オレフィン不飽和反応物質としては、2〜40個、好ましくは3〜20個の炭素原子を含有する、光学活性(プロキラル及びキラル)ならびに非光学活性(アキラル)オレフィン不飽和化合物の両方が挙げられる。これらの化合物は、米国特許公開第2010/006980号に詳述されている。このようなオレフィン不飽和化合物は、末端または内部で不飽和であってもよく、直鎖、分岐鎖、または環状構造のものであってもよく、ならびにオレフィン混合物、例えば、プロペン、ブテン、イソブテン等のオリゴマー化から得られるもの(例えば、米国特許第4,518,809号及び同第4,528,403号に開示される、いわゆる二量体、三量体、または四量体プロピレン等)であってもよい。
有利なことに、ヒドロホルミル化プロセスでは溶媒が用いられる。過度にヒドロホルミル化プロセスに干渉しない任意の好適な溶媒を使用することができる。実例として、ロジウム触媒ヒドロホルミル化プロセスに好適な溶媒としては、例えば、米国特許第3,527,809号、同第4,148,830号、同第5,312,996号、及び同第5,929,289号に開示されるものが挙げられる。好適な溶媒の非限定的な例としては、飽和炭化水素(アルカン)、芳香族炭化水素、水、エーテル、ポリエーテル、アルデヒド、ケトン、ニトリル、アルコール、エステル、及びアルデヒド縮合生成物が挙げられる。溶媒の具体的な例としては、テトラグリム、ペンタン、シクロヘキサン、ヘプタン、ベンゼン、キシレン、トルエン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ブチルアルデヒド、及びベンゾニトリルが挙げられる。また、有機溶媒は、飽和限界まで溶存水を含有することができる。例示的な好ましい溶媒としては、ケトン(例えば、アセトン及びメチルエチルケトン)、エステル(例えば、酢酸エチル、ジ−2−エチルヘキシルフタレート、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレート)、炭化水素(例えば、トルエン)、ニトロ炭化水素(例えば、ニトロベンゼン)、エーテル(例えば、テトラヒドロフラン(THF))、ならびにスルホランが挙げられる。ロジウム触媒ヒドロホルミル化プロセスでは、一次溶媒として、生成しようとする所望のアルデヒド生成物に対応するアルデヒド化合物、及び/またはより高沸点のアルデヒド液体縮合副生成物、例えば、米国特許第4,148,380号及び同第4,247,486号に記載のように、ヒドロホルミル化プロセス中にインサイチュで生成され得るようなものを用いるのが好ましい場合がある。一次溶媒は、通常、最終的には、連続プロセスという性質のため、アルデヒド生成物及び重質物の両方をさらに含むことになる。溶媒の量は、特に重要ではなく、反応媒体に所望な程度の遷移金属濃度を付与するのに十分であればよい。典型的には、溶媒の量は、反応流体の総重量に基づいて、約5重量パーセント〜約95重量パーセントの範囲である。溶媒の混合物を用いてもよい。
このようなヒドロホルミル化反応に利用可能な例示的な金属−有機リン配位子錯体の例としては、金属−有機リン配位子錯体触媒が挙げられる。これらの触媒ならびにそれらの調製方法は、当該技術分野において周知であり、本明細書に記載される特許に開示されているものが含まれる。一般に、このような触媒は、予備形成またはインサイチュで形成でき、有機リン配位子、一酸化炭素、及び場合によっては水素と錯体結合している金属が含まれる。配位子錯体種は、単核性、二核性、及び/または多核性の形態で存在してもよい。しかしながら、触媒の正確な構造はわかっていない。
金属−有機リン配位子錯体触媒は、光学活性または非光学活性であり得る。金属としては、ロジウム(Rh)、コバルト(Co)、イリジウム(Ir)、ルテニウム(Ru)、鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、パラジウム(Pd)、白金(Pt)、オスミウム(Os)から選択される、第8、第9、及び第10族金属、ならびにこれらの混合物を挙げることができ、好ましい金属は、ロジウム、コバルト、イリジウム、及びルテニウムであり、より好ましくはロジウム、コバルト、及びルテニウムであり、とりわけロジウムである。これらの金属の混合物を用いてもよい。金属−有機リン配位子錯体及び遊離有機リン配位子を構成する許容される有機リン配位子としては、モノ、ジ、トリ、及び高級ポリ有機リン配位子が挙げられる。配位子の混合物を、金属−有機リン配位子錯体触媒及び/または遊離配位子において用いてもよく、そのような混合物は、同じかまたは異なってもよい。
金属−有機リン配位子錯体触媒の配位子及び/または遊離配位子として機能し得る有機リン化合物は、アキラル(光学不活性)またはキラル(光学活性)タイプであってもよく、当技術分野において周知である。アキラル有機リン配位子が好ましい。
金属−有機リン配位子錯体触媒の配位子として機能し得る有機リン配位子は、モノオルガノホスファイト、ジオルガノホスファイト、トリオルガノホスファイト、及びオルガノポリホスファイト化合物である。このような有機リン配位子及び/またはそれらの調製方法は、当技術分野において周知である。
代表的なモノオルガノホスファイトとしては、式:
Figure 0006560248
を有するものを挙げることができ、式中、R10は、4〜40個またはそれ以上の炭素原子を含有する置換または非置換の三価炭化水素ラジカル、例えば、三価非環式及び三価環式ラジカル、例えば、三価アルキレンラジカル、例えば、1,2,2−トリメチロールプロパン等に由来するもの、または三価シクロアルキレンラジカル、例えば、1,3,5−トリヒドロキシシクロヘキサン等に由来するものを表す。このようなモノオルガノホスファイトは、例えば、米国特許第4,567,306号においてさらに詳細な記載を見つけることができる。
代表的なジオルガノホスファイトとしては、式:
Figure 0006560248
を有するものを挙げることができ、式中、R20は、4〜40個またはそれ以上の炭素原子を含有する置換または非置換の二価炭化水素ラジカルを表し、Wは、1〜18個またはそれ以上の炭素原子を含有する置換または非置換の一価炭化水素ラジカルを表す。
上記式(II)においてWで表される代表的な置換及び非置換の一価炭化水素ラジカルとしては、アルキル及びアリールラジカルが挙げられ、一方で、R20によって表される代表的な置換及び非置換の二価炭化水素ラジカルとしては、二価非環式ラジカル及び二価芳香族ラジカルが挙げられる。例示的な二価非環式ラジカルには、例えば、アルキレン、アルキレン−オキシ−アルキレン、アルキレン−S−アルキレン、シクロアルキレンラジカル、及びアルキレン−NR24−アルキレンが挙げられ、式中、R24は、水素または置換もしくは非置換の一価炭化水素ラジカル、例えば、1〜4個の炭素原子を有するアルキルラジカルである。より好ましい二価非環式ラジカルは、例えば、米国特許第3,415,906号及び同第4,567,302号等により詳細に開示されているような二価アルキレンラジカルである。例示的な二価芳香族ラジカルには、例えば、アリーレン、ビスアリーレン、アリーレン−アルキレン、アリーレン−アルキレン−アリーレン、アリーレン−オキシ−アリーレン、アリーレン−NR24−アリーレン(式中、R24は、上記に定義したとおりである)、アリーレン−S−アリーレン、及びアリーレン−S−アルキレン等が挙げられる。より好ましくは、R20は、例えば米国特許第4,599,206号、同第4,717,775号、及び同第4,835,299号等により詳細に開示されているような二価芳香族ラジカルである。
代表的なより好ましいクラスのジオルガノホスファイトは、式:
Figure 0006560248
のものであり、式中、Wは、上記に定義した通りであり、各Arは、同じかまたは異なり、かつ置換または非置換アリールラジカルを表し、各yは、同じかまたは異なり、かつ0または1の値であり、Qは、−C(R33−、−O−、−S−、−NR24−、Si(R35、及び−CO−から選択される二価架橋基を表し、各R33は、同じかまたは異なり、かつ水素、1〜12個の炭素原子を有するアルキルラジカル、フェニル、トリル、及びアニシルを表し、R24は上記に定義される通りであり、各R35は、同じかまたは異なり、かつ水素またはメチルラジカルを表し、mは0または1の値を有する。このようなジオルガノホスファイトは、例えば、米国特許第4,599,206号、同第4,717,775号、及び同第4,835,299号により詳細に記載されている。
代表的なトリオルガノホスファイトとしては、式:
Figure 0006560248
を有するものを挙げることができ、式中、各R46は、同じかまたは異なり、かつ置換もしくは非置換の一価炭化水素ラジカル、例えば、1〜24個の炭素原子を含有し得る、アルキル、シクロアルキル、アリール、アルカリル、及びアラルキルラジカルである。例示的なトリオルガノホスファイトとしては、例えば、トリアルキルホスファイト、ジアルキルアリールホスファイト、アルキルジアリールホスファイト、トリアリールホスファイト等、例えば、トリメチルホスファイト、トリエチルホスファイト、ブチルジエチルホスファイト、ジメチルフェニルホスファイト、トリフェニルホスファイト、トリナフチルホスファイト、ビス(3,6,8−トリ−t−ブチル−2−ナフチル)メチルホスファイト、ビス(3,6,8−トリ−t−ブチル−2−ナフチル)シクロヘキシルホスファイト、トリス(3,6−ジ−t−ブチル−2−ナフチル)ホスファイト、ビス(3,6,8−トリ−t−ブチル−2−ナフチル)フェニルホスファイト、及びビス(3,6,8−トリ−t−ブチル−2−ナフチル)(4−スルホニルフェニル)ホスファイト等が挙げられる。最も好ましいトリオルガノホスファイトは、トリフェニルホスファイトである。このようなトリオルガノホスファイトは、例えば米国特許第3,527,809号及び同第5,277,532号においてより詳細に記載されている。
代表的なオルガノポリホスファイトは、2個以上の第三級(三価)リン原子を含有し、これには、式:
Figure 0006560248
を有するものを挙げることができ、式中、Xは、2〜40個の炭素原子を含有する置換または非置換のn価有機架橋ラジカルを表し、各R57は、同じかまたは異なり、かつ4〜40個の炭素原子を含有する二価有機ラジカルを表し、各R58は、同じかまたは異なり、かつ1〜24個の炭素原子を含有する置換または非置換一価炭化水素ラジカルを表し、a及びbは、同じかまたは異なってもよく、かつそれぞれが、0〜6の値を有するが、ただし、a+bの合計が、2〜6であり、nがa+bに等しいことを条件とする。aが2以上の値を有するとき、各R57ラジカルは、同じかまたは異なってもよいことを理解されたい。各R58ラジカルはまた、任意の所与の化合物において、同じかまたは異なってもよい。
上記でXによって表される代表的なn価(好ましくは、二価)有機架橋ラジカル、及びR57によって表される代表的な二価有機ラジカルとしては、非環式ラジカル及び芳香族ラジカルの両方、例えば、アルキレン−Q−アルキレン、シクロアルキレン、アリーレン、ビスアリーレン、アリーレン−アルキレン、及びアリーレン−(CH−Q−(CH−アリーレン等が挙げられ、式中、各Q、y、及びmは、上記の式(III)で定義される通りである。上記X及びR57で表されるより好ましい非環式ラジカルは、二価アルキレンラジカルであり、一方で上記X及びR57で表されるより好ましい芳香族ラジカルは、例えば、米国特許第4,769,498号、同第4,774,361号、同第4,885,401号、同第5,179,055号、同第5,113,022号、同第5,202,297号、同第5,235,113号、同第5,264,616号、同第5,364,950号、及び同第5,527,950号でより詳細に開示されているような、二価アリーレン及びビスアリーレンラジカルである。上記の各R58ラジカルで表される代表的な好ましい一価炭化水素ラジカルとしては、アルキル及び芳香族ラジカルが挙げられる。
例示的な好ましいオルガノポリホスファイトには、以下の式(VI)〜(VIII):
Figure 0006560248
のものといった、ビスホスファイトを挙げることができ、式中、式(VI)〜(VIII)の各R57、R58、及びXは、式(V)に関して上記で定義されたものと同じである。好ましくは、R57及びXはそれぞれ、アルキレン、アリーレン、アリーレン−アルキレン−アリーレン、及びビスアリーレンから選択される二価炭化水素ラジカルを表し、一方で各R58ラジカルは、アルキル及びアリールラジカルから選択される一価炭化水素ラジカルを表す。このような式(V)〜(VIII)のオルガノホスファイト配位子は、例えば、米国特許第4,668,651号、同第4,748,261号、同第4,769,498号、同第4,774,361号、同第4,885,401号、同第5,113,022号、同第5,179,055号、同第5,202,297号、同第5,235,113号、同第5,254,741号、同第5,264,616号、同第5,312,996号、同第5,364,950号、及び同第5,391,801号の開示に見ることができる。
このようなオルガノホスファイト配位子の特定の例示的な例としては、次の:2−t−ブチル−4−メトキシフェニル(3,3’−ジ−t−ブチル−5,5’−ジメトキシ−1,1’−ビフェニル−2,2’−ジイル)ホスファイト、メチル(3,3’−ジ−t−ブチル−5,5’−ジメトキシ−1,1’−ビフェニル−2,2’−ジイル)ホスファイト、6,6’−[[3,3’−ビス(1,1−ジメチルエチル)−5,5’−ジメトキシ−[1,1’−ビフェニル]−2,2’−ジイル]ビス(オキシ)]ビス−ジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピン、6,6’−[[3,3’,5,5’−テトラキス(1,1−ジメチルエチル)−[1,1’−ビフェニル]−2,2’−ジイル]ビス(オキシ)]ビス−ジベンゾ[d,f][1,3,2]−ジオキサホスフェピン、(2R,4R)−ジ[2,2’−(3,3’,5,5’−テトラキス−tert−ブチル−1,1−ビフェニル)]−2,4−ペンチルジホスファイト、(2R,4R)ジ[2,2’−(3,3’−ジ−tert−ブチル−5,5’−ジメトキシ−1,1’−ビフェニル)]−2,4−ペンチルジホスファイト、2−[[2−[[4,8,−ビス(1,1−ジメチルエチル),2,10−ジメトキシジベンゾ−[d,f][1,3,2]ジオキソホスフェピン(dioxophosphepin)−6−イル]オキシ]−3−(1,1−ジメチルエチル)−5−メトキシフェニル]メチル]−4−メトキシ、亜リン酸のメチレンジ−2,1−フェニレンテトラキス[2,4−ビス(1,1−ジメチルエチル)フェニル]エステル、及び亜リン酸の[1,1’−ビフェニル]−2,2’−ジイルテトラキス[2−(1,1−ジメチルエチル)−4−メトキシフェニル]エステルが挙げられる。
金属−有機リン配位子錯体触媒は、均質または不均質形態であってもよい。例えば、予備形成されたロジウムヒドリド−カルボニル−有機リン配位子触媒を調製し、ヒドロホルミル化反応混合物に導入してもよい。より好ましくは、ロジウム−有機リン配位子錯体触媒は、活性触媒をインサイチュで形成するために反応媒体に導入することができるロジウム触媒前駆体から誘導することができる。例えば、ロジウム触媒前駆体、例えばロジウムジカルボニルアセチルアセトネート、Rh、Rh(CO)12、Rh(CO)16、Rh(NO等は、活性触媒をインサイチュで形成するために、有機リン配位子と共に反応混合物に導入され得る。好ましい実施形態において、ロジウムジカルボニルアセチルアセトネートは、ロジウム前駆体として用いられ、有機リン配位子を含む溶媒の存在下で反応して、活性触媒をインサイチュ形成するために過剰量の(遊離)有機リン配位子と共に反応器に導入される触媒のロジウム−有機リン配位子錯体前駆体を形成する。いずれにしても、一酸化炭素、水素、及び有機リン配位子は、全て金属と錯化可能な配位子であり、ヒドロホルミル化反応で使われる条件下で反応混合物中に活性金属−有機リン配位子触媒が存在することは、十分である。カルボニル及び有機リン配位子は、ヒドロホルミル化プロセスの前またはヒドロホルミル化プロセス中にインサイチュでのいずれかにおいてロジウムと錯化することができる。
実例として、好ましい触媒前駆体組成物は、可溶性ロジウムカルボニルオルガノホスファイト配位子錯体前駆体、溶媒、及び任意選択的に、遊離オルガノホスファイト配位子から本質的になる。好ましい触媒前駆体組成物は、ロジウムジカルボニルアセチルアセトネート、有機溶媒、及びオルガノホスファイト配位子の溶液を形成することによって、調製することができる。有機リン配位子は、一酸化炭素ガスの発生により証明されるように、ロジウムアセチルアセトネート錯体前駆体のカルボニル配位子のうちの1つを容易に置き換える。
したがって、金属−有機リン配位子錯体触媒は、有利なことに、一酸化炭素及び有機リン配位子と錯化する金属を含み、該配位子は、キレート化及び/または非キレート化様式で金属に結合(錯化)する。
触媒の混合物を用いてもよい。反応流体中に存在する金属−有機リン配位子錯体触媒の量は、用いるのに所望される所与の金属濃度をもたらし、例えば上述の特許に開示されるもの等、少なくとも関与する特定のヒドロホルミル化プロセスを触媒するのに必要な金属触媒量を基準に供給するのに必要な最小限の量とするだけでよい。一般に、反応媒体中の遊離金属として計算して、10ppmw〜1000ppmwの範囲の触媒金属、例えばロジウムの濃度が、大抵のプロセスには十分なはずであるが、通常、好ましくは10〜500ppmwの金属、より好ましくは、25〜350ppmwの金属が用いられる。
金属−有機リン配位子錯体触媒に加えて、反応媒体中に遊離有機リン配位子(すなわち、金属と錯化していない配位子)が存在してもよい。遊離有機リン配位子は、本明細書で使用可能なものとして上記で考察し、上記で定義した任意の有機リン配位子に相当し得る。遊離有機リン配位子は、用いられる金属−有機リン配位子錯体触媒の有機リン配位子と同じであることが好ましい。しかしながら、このような配位子は、全ての所与のプロセスにおいて同じである必要はない。本発明のヒドロホルミル化プロセスには、反応媒体中の金属1モル当たり0.1モル以下〜100モル以上の遊離有機リン配位子が関与し得る。好ましくは、ヒドロホルミル化プロセスは、反応媒体中に存在する金属1モル当たり1〜50モルの有機リン配位子の存在下で実行される。より好ましくは、オルガノポリホスファイトについて、金属1モル当たり1.1〜4モルのオルガノポリホスファイト配位子が用いられる。該有機リン配位子の量は、存在する金属に結合(錯化)する有機リン配位子の量と、存在する遊離(非錯化)有機リン配位子の量との合計である。所望される場合、例えば、反応媒体中の所定濃度の遊離配位子を維持するために、ヒドロホルミル化プロセスの反応媒体に、随時、任意の好適な方法で追加の有機リン配位子を供給してもよい。
一実施形態において、ロジウム触媒は、(ゼオライト、ガラス、もしくは粘土に支持されるかもしくはその中に挿入された)無機オキシド(すなわち、アルミナ、シリカ、チタニア、もしくはジルコニア)、炭素、膜、薄膜、またはイオン交換樹脂といった任意の固体支持体、または不溶性ポリマー支持体に含浸させてもよく、あるいは、該ゼオライトまたはガラスの細孔をコーティングする液膜中に溶解させてもよい。
加水分解による分解を受ける可能性がある例示的な金属−有機リン配位子錯体触媒ヒドロホルミル化プロセスとしては、例えば、米国特許第4,148,830号、同第4,593,127号、同第4,769,498号、同第4,717,775号、同第4,774,361号、同第4,885,401号、同第5,264,616号、同第5,288,918号、同第5,360,938号、同第5,364,950号、同第5,491,266、及び同第7,196,230号に記載のプロセスが挙げられる。加水分解による分解を受けると思われるP−Z部分を含有する化学種としては、例えば、国際公開特許第2008/071508号、同第2005/042458号、及び米国特許第5,710,344号、同第6,265,620号、同第6,440,891号、同第7,009,068号、同第7,145,042号、同第7,586,010号、同第7,674,937号、及び同第7,872,156号に記載のオルガノホスホナイト、ホスホロアミダイト、及びフルオロホスホナイトが挙げられる。したがって、有利に用いられるヒドロホルミル化処理技法は、例えば、ガス再循環、液体再循環、及びそれらの組み合わせといった、任意の既知の処理技法に対応することができる。好ましいヒドロホルミル化プロセスは、触媒液の再循環を伴うものである。
本発明の一実施形態において、金属塩緩衝液が実質的に全くプロセスに添加されない。本発明の一実施形態において、ナトリウム系オキシ酸緩衝液が実質的に全くプロセスに添加されない。
本発明のプロセスは、水溶性であるが比較的弱塩基性のアミンを低レベルで添加するのと一緒に、水性抽出ステップを用いる。アミンの1つの機能は、酸性不純物を中和することである。中和された酸は、塩、例えば、アンモニウム塩となる。これらの塩の蓄積を防ぐようにそれらを除去することが望ましく、蓄積は、ファウリング及び塩の副反応につながり得る。過剰なアミン添加物及び中和した酸性種を除去するための好ましい経路は、反応流体及び水相が1か所に集まる抽出器を介したものである。本発明の一実施形態において、米国特許第7,495,134号、同第6,153,800号、及び同第8,110,709号に教示されるような濾過及びイオン交換樹脂もまた、塩の少なくとも一部分を除去するために使用することができる。
アミンは、有利なことに、以下の2つの機能のうちの少なくとも1つの果たすことができる:1)例えば反応域において酸を中和して、配位子及び触媒の分解を軽減することができる、ならびに2)抽出ステップにおいてpHを制御することができる。抽出ステップは、有利なことに、以下の3つの機能のうちの少なくとも1つを果たすことができる:1)中和した酸性種(塩または酸のいずれかとして)を系から除去する、2)有毒なホスファイトを分解させるための水を提供する、及び3)過剰な重質物の形成を回避するために、過剰なアミンを除去してアミンの増加を防ぐ。これらの3つの特徴を組み合わせることにより、有効なpHの極端化及び重質物の形成が回避される自己平衡系を提供し、一方でさらに有毒なホスファイトの加水分解が制御できるようになる。
アミンは、所望されるアミン濃度が達成される限り、本質的にプロセスのいずれの時点で添加してもよい。例えば、アミンは、有利なことに、反応域及び/または抽出域のうちの少なくとも1つにおいてプロセスに添加される。一実施形態において、水溶性アミンは、1つを上回る位置で添加される。本発明の一実施形態において、アミンは、抽出域への水供給源に添加される。本発明の一実施形態において、アミンは、第1の反応器に添加される。水溶性アミンは、2つの添加点において、同じかまたは異なってもよい。
本発明の一実施形態において、アミンは、主としてまたは全体として、反応域に添加され、反応域において水溶性アミンを反応流体に添加する速度は、反応域の酸性度を制御するために、抽出域の流出水溶液流のpHを制御するように多様である。本発明の別の実施形態において、アミンは、主として抽出域に添加され、抽出域への水溶性アミンの添加速度は、抽出域の流出水溶液流のpHを制御するように多様である。本発明の一実施形態において、アミンは、水溶液供給流の一部として、抽出域に導入される。酸が有機相、例えば、反応域からの反応流体を介して抽出域に送達されると、アミン/アンモニウム緩衝液がインサイチュで形成される。

アミンは、有利なことに、抽出域を退出する水相と共にプロセスから除去される。したがって、所望されるアミン濃度を維持するためには、追加のアミンをプロセスに添加しなければならない。添加するアミンの量は、抽出域を出る水溶液流、例えば、抽出器に続く流れのpHを測定すること等によって、水溶液抽出域のpHを観測することにより決定することができる、有利なことに、添加されるアミンの量は、この抽出域の流出水溶液流のpHを、4.5〜9.0、好ましくは5.6〜8.0、より好ましくは6.0〜7.5、最も好ましくは6.3〜7.2に維持するのに十分である。ときには、7.0〜9.0の比較的高いpH値を、短期間の間、例えば、高い配位子加水分解が観測されるプロセス中に用いて、配位子高変質期間を軽減することができるが、これは、長期間継続すると有毒なホスファイトが徐々に増加するこことになる。あるいは、反応性及びオレフィン転化を最大化させるために(有毒なホスファイト濃度が最小となることに起因して)、配位子の使用量が高いという犠牲を払って、比較的低いpH値(4.5〜6.0)を短時間の間用いてもよい。この状況は、生成速度を維持するためにより反応性の高い触媒を必要とする、高レベルの第二級または内部オレフィンを含有する低質な供給材料(複数可)で存在し得る。この状況は、配位子分解費用に起因して長期間では経済的でない可能性が高いが、単純にアミンの添加を増加させることによって好ましいpH範囲に急速に戻すことができる能力は、本発明の柔軟性を示している。アミンは抽出器によって除去されるため、抽出器のpHの昇降は、ヒドロホルミル化生成を妨げることなく、この軽減手順を実行するようにプロセスへのアミン添加の速度を変更することによって容易に制御される。9を上回るpH値は、触媒活性の低さ(有毒なホスファイトのレベルが高いことによる)及び過剰な重質物の形成のため、回避しなければならない。
pHの測定は、例えば、従来的な滴定または市販入手可能なpH計を適切な較正と共に用いることを含む、当業者に既知の任意の手段を用いて行うことができる。本発明の目的で、有機相の酸性度または有機相の「有効なpH」は、抽出器に後で観測されるpHと相関する。
本発明のプロセスにおいて、水溶性アミンの少なくとも一部分は、抽出域の水性層または相と共に除去され、そのため、アミンは、有機相中には蓄積されない。水溶性アミンは、水相中を好むため、継続的に除去され、有機層または相中には蓄積されない。本発明の1つのステップは、抽出域において、反応流体から少なくとも1つの中和されたリン酸化合物を分離して、抽出域の流出水溶液流及び処理されたヒドロホルミル化反応流体を形成することを伴う。分離は、抽出が起こる抽出域において反応流体と水溶液とを接触させることを伴う。抽出域での接触は、金属−有機リン配位子錯体触媒含有反応流体から遊離リン酸化合物を除去するだけでなく、中和されたリン酸化合物も除去する。処理された反応流体を、反応域へと戻してもよい。極性アミン添加物の大半は、遊離アミンまたは溶液中のアンモニウム塩として、水相中に除去される。
抽出域に供給される水溶液は、有利なことに、大半が水、好ましくは、脱イオン水または蒸留水で構成されている。水供給源は、ヒドロホルミル化触媒を妨害しない微量の不純物、添加物、または保存剤、例えば、耐食添加剤を含有してもよい。これらの添加剤のうちの一部は、本質的な緩衝作用を有し得るが、本発明の一実施形態において、それらが抽出器で行われる全ての酸の中和のうちで寄与するのは10%にも満たないであろう。本明細書に上述したように、本発明の一実施形態において、アミンの全てまたは一部は、抽出域への水溶液供給源に添加され得る。
反応域からのアミン含有反応流体と水供給源とが抽出域において接触する手法、同様に、水溶液の量、温度、圧力、及び接触時間は、厳格に言って重要ではなく、所望される結果を得るのに十分なものであればよい。このような条件のうちの1つの低下を他の条件の1つ以上を増加することによって補うことができ、その逆の場合も同様である。一般に、10℃〜120℃、好ましくは20℃〜80℃、より好ましくは25℃〜60℃の範囲の液体温度が、大抵の場合において好適なはずであるが、所望される場合、より低いかまたはより高い温度を用いてもよい。有利なことに、抽出域での接触は、周囲圧力から実質的に反応器の圧力よりも高い圧力で実行することができ、接触時間は、ほんの数秒または数分から数時間以上まで変動してもよい。一般に、反応流体を、向流様式で抽出器カラム内の水溶液に通すことが好ましい。カラムには、篩トレイ、往復プレート、構造的もしくは非構造的パッキング等が用いられてもよい。
抽出域の流出水溶液流は、有利なことに、プロセスから除去され、廃棄され得るか、または当業者に既知の方法により使用することができる。
反応流体からのリン酸化合物の除去が成功したことは、ヒドロホルミル化反応媒体中に存在する有機リン配位子の分解(消費)速度を測定することにより判定することができる。消費速度は、広範囲にわたって、例えば、1日につき1リットル当たり0.06未満〜5グラムで変動してもよく、自己触媒レベル未満の加水分解を保持するために、配位子の費用と処理頻度との所望される妥協点により決定される。好ましくは、水溶液抽出は、ヒドロホルミル化反応媒体中に存在する所望の有機リン配位子の消費が、許容可能な速度、例えば、1日につき1リットル当たり0.5グラム未満の配位子、より好ましくは1日につき1リットル当たり0.1グラム未満の配位子、及び最も好ましくは1日につき1リットル当たり0.06グラム未満の配位子に維持されるような方式で行われる。抽出域の水溶液中へのリン酸化合物の中和及び抽出が進行するにつれて、抽出域を退出する水相のpHは、ゆっくりと低下し、反応域への水溶性アミンの供給速度は、それを補うために増加し得る。
少なくともある量のリン酸化合物、例えば、HPO、HPO、アルデヒド酸、例えばヒドロキシアルキルホスホン酸、例えばヒドロキシルブチルホスホン酸及びヒドロキシルペンチルホスホン酸等をヒドロホルミル化系から除去することにより、ヒドロホルミル化反応媒体の酸性度の制御が可能となり、これにより、その加水分解変質を防止または低減することにより、有用な有機リン配位子が安定化される。理論に束縛されるものではないが、プロセスに水溶性アミンを添加し、それがプロセス全体に流れるようにすることにより、酸が形成されたときにそれを中和することが可能となる。水溶性アミンは、プロセスの初期で利用可能であるため、先行技術と比較して必要とされるアミンのレベルがより低いが、驚くべきことに非常に有効なpH制御、ひいては活性及び配位子変質の性能が、重質物の形成が検出可能なほどに増加することなく観測されている。アミンを抽出域に添加する場合、酸の中和は、アミンの一部が有機相に移動すること及び/またはアルカリ水相への酸の移動により依然として発生し、全体的な区別としては、酸性種を水相中に除去すること(遊離酸または中和塩としてのいずれかで)が著しく好まれる。
本発明の一実施形態において、2013年9月9日に出願された国際特許出願第PCT/US13/058714号に教示されるように、強酸性の不純物を軽減するために、エポキシド添加剤を用いてもよい。エポキシド添加剤は、「必要に応じて」継続的に添加され得る。結果として得られるエポキシド付加物はまは、緩衝化されていない抽出器によって除去することができ、この除去は、本発明の水溶性アミンが少量存在することにより強化される。好ましいエポキシドは、付加物が、例えば、抽出域の流出水溶液流により効率的に系から除去されるように、水溶性またはわずかに水溶性である(溶解度は、酸性種と反応すると増加する)。
ヒドロホルミル化プロセスは、任意のバッチ、連続、または半連続様式で行うことができ、任意の所望の触媒液体及び/またはガス循環操作を伴い得る。オレフィン不飽和化合物からアルデヒドを生成するための具体的なヒドロホルミル化プロセス、ならびにヒドロホルミル化プロセスの反応条件及び成分は、本発明の重要な特徴ではない。
好ましい実施形態において、ヒドロホルミル化反応流体には、少なくともいくらかの量の4種の異なる主要な成分または構成成分、すなわち、アルデヒド生成物、金属−有機リン配位子錯体触媒、遊離有機リン配位子、及び該触媒及び該遊離配位子の溶媒を含む、任意の対応するヒドロホルミル化プロセスから得られた任意の流体が含まれる。ヒドロホルミル化反応混合物組成物は、ヒドロホルミル化プロセスに故意に用いられるか、該プロセス中にインサイチュで形成されるかのいずれかである、追加の成分を含み得るか、または通常含むことになる。そのような追加の成分の例としては、未反応オレフィン出発物質、一酸化炭素及び水素ガス、供給材料と共に系に流入する不活性不純物、例えば、メタン、二酸化炭素等、ならびにインサイチュで形成される副生成物、例えば、飽和炭化水素及び/またはオレフィン出発物質に対応する未反応異性体化オレフィン、配位子分解化合物、ならびに高沸点液体アルデヒド縮合副生成物、ならびに他の不活性共溶媒型物質または炭化水素添加剤(用いられる場合)が挙げられる。
ヒドロホルミル化プロセスの反応条件には、光学活性及び/または非光学活性アルデヒドを生成するのにこれまで用いられたあらゆる好適なヒドロホルミル化条件が含まれ得る。用いられるヒドロホルミル化反応条件は、所望されるアルデヒド生成物の種類により決定されるであろう。例えば、ヒドロホルミル化プロセスの水素、一酸化炭素、及びオレフィン出発化合物の全ガス圧は、1〜69,000kPaの範囲であってもよい。しかしながら、一般には、プロセスは、14,000kPa未満、より好ましくは3,400kPa未満の水素、一酸化炭素、及びオレフィン出発化合物の全ガス圧で操作されるのが好ましい。最小全圧は、主に、所望の反応速度を得るのに必要な反応物質の量により限定される。より具体的には、ヒドロホルミル化プロセスにおける一酸化炭素の分圧は、好ましくは1〜6,900kPa、より好ましくは21〜5,500kPaであり、一方で水素の分圧は、好ましくは34〜3,400kPa、より好ましくは69〜2,100kPaである。一般に、Hガス:COガスのモル比は、1:10〜100:1以上であり得、より好ましいモル比は1:10〜10:1である。一般に、ヒドロホルミル化プロセスは、任意の操作可能な反応温度で行うことができる。有利なことに、ヒドロホルミル化プロセスは、−25℃〜200℃、好ましくは50℃〜120℃の反応温度で行われる。
ヒドロホルミル化プロセスは、1つ以上の好適な反応器、例えば、固定床反応器、流動床反応器、プラグ流反応器、連続撹拌槽反応器(CSTR)、またはスラリー反応器といったものを用いて行うことができる。反応器の最適な細部及び形状は、使用される反応器の種類に依存するであろう。用いられる反応域は、単一容器であってもよく、または直列または並列の2つ以上の異なる容器を含んでもよい。反応ステップは、出発物質のうちの一方を他方に漸増的に添加することにより実行され得る。さらに、反応ステップは、出発物質の共同添加と組み合わせてもよい。完全な転化が所望されないか、または得られない場合、出発物質は、例えば蒸留によって生成物から分離され、次いで、出発物質は反応域に再循環し戻され得る。
本発明に用いられる抽出域は、単一容器であってもよく、または2つ以上の慎重な容器を含んでもよい。本発明の一実施形態において、反応容器は、例えば、プロセスがバッチ様式で行われる場合、抽出器として用いられてもよい。
再循環手順は、一般に、ヒドロホルミル化反応器、すなわち反応域から触媒及びアルデヒド生成物を含有する液体反応媒体の一部分を連続的または断続的のいずれかで取り出し、米国特許第5,430,194号及び同第5,681,473号に開示されるような複合膜を使用して、またはより従来的かつ好ましい蒸留方法、すなわち、別個の蒸留域において、適宜、常圧、減圧、または高圧下における1つ以上の段階での蒸留分離(例えば、米国特許第5,288,918号に開示されるように、不揮発性金属触媒含有残留物は反応域に再循環される)により、アルデヒド生成物をそこから回収することを伴う。揮発性材料の縮合、ならびにそれらの分離及び例えば蒸留によるそれらのさらなる回収は、任意の従来的な方法により行うことができ、粗アルデヒド生成物は、所望される場合、さらなる生成及び異性体の分離、水素化、酸化、及び/または縮合へと進められてもよく、任意の回収された反応物質、例えば、オレフィン出発物質及びシンガスは、任意の所望される方法でヒドロホルミル化反応域(反応器)へと再循環され得る。そのような膜分離の回収された金属触媒含有ラフィネート、またはそのような気化分離の不揮発性金属触媒含有残留物は、所望される任意の従来的な方法でヒドロホルミル化域(反応器)へと再循環され得る。
構成材料は、本発明にとって特に重要ではなく、当業者によって容易に選択することができる。ヒドロホルミル化プロセスは、例えば、ガラスライニング、ステンレス鋼、または類似のタイプの反応装置において行うことができる。反応域は、不適切な温度変化を制御するか、または起こり得るあらゆる「制御不能の」反応温度を防ぐために、1つ以上の内部及び/または外部熱交換器を備えていてもよい。
一般に、連続的にヒドロホルミル化プロセスを実施することが好ましい。連続的なヒドロホルミル化プロセスは、オレフィン及び/または触媒の再循環の有無にかかわらず、当技術分野において周知である。
用いられる分離域は、単一容器であってもよく、または2つ以上の別個の容器を含んでもよい。一実施形態において、アルデヒド生成物混合物は、アルデヒド混合物が任意の好適な方法、例えば、溶媒抽出、結晶化、蒸留、気化、ワイパー膜式蒸発(wiped film evaporation)、流下膜式蒸発、相分離、濾過等、またはこれらの任意の組み合わせにより生成される、粗反応混合物の他の構成成分から分離することができる。アルデヒド生成物は、国際公開第88/08835号に記載されるように捕獲剤の使用により形成されるため、粗反応混合物から除去することが望ましい場合がある、本明細書に用いられる反応域(複数可)及び分離域(複数可)は、同じ容器または異なる容器中存在し得る。例えば、反応蒸留、反応膜分離等といった反応分離技法は、反応域(複数可)で行われ得る。アルデヒド混合物を、粗反応混合物中の他の構成成分から分離するための1つの方法は、例えば、米国特許第5,430,194号及び同第5,681,473号に記載される、膜分離によるものである。
より具体的には、金属−有機リン錯体触媒含有反応流体からの所望のアルデヒド生成物の蒸留及び分離は、所望される任意の好適な温度で行うことができる。一般に、このような蒸留は、比較的低温、例えば、150℃未満、より好ましくは50℃〜140℃の範囲の温度で行われるのが好ましい。また、通常は、そのようなアルデヒド蒸留が、低沸点アルデヒド(例えば、C〜C)が含まれる場合は減圧下、例えば、ヒドロホルミル化中に用いられる全ガス圧よりも実質的に低い全ガス圧下で、または高沸点アルデヒド(例えば、C以上)が含まれる場合は真空下で行われることが好ましい。例えば、ヒドロホルミル化反応器から取り出した液体反応生成物媒体を減圧させて、この時点では反応域、例えば、気化器/分離器の反応媒体中に存在するより低い合成ガス濃度を有する、液体媒体中に溶解した未反応ガスの実質的な部分を揮発させ、所望されるアルデヒド生成物を蒸留することが、慣習となっている。一般に、真空から最大で340kPaの全ガス圧までの範囲の蒸留圧が、ほとんどの目的に対して十分なはずである。
例示的な非光学活性アルデヒド生成物としては、例えば、プロピオンアルデヒド、n−ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、n−バレルアルデヒド、2−メチル1−ブチルアルデヒド、ヘキサナール、ヒドロキシヘキサナール、2−メチル1−ヘプタナール、ノナナール、2−メチル−1−オクタナール、デカナール、アジプアルデヒド、2−メチルグルタルアルデヒド、2−メチルアジプアルデヒド、3−ヒドロキシプロピオンアルデヒド、6−ヒドロキシヘキサナール、アルケナール、例えば、2−、3−、及び4−ペンテナール、アルキル5−ホルミルバレラート、2−メチル−1−ノナナール、2−メチル1−デカナール、3−プロピル−1−ウンデカナール、ペンタデカナール、3−プロピル−1−ヘキサデカナール、エイコサナール、2−メチル−1−トリコサナール、ペンタコサナール、2−メチル−1−テトラコサナール、ノナコサナール、2−メチル−1−オクタコサナール、ヘントリアコンタナール、2−メチル−1−トリアコンタナール等が挙げられる。
例示的な光学活性アルデヒド生成物としては、本発明の不斉ヒドロホルミル化プロセスにより調製された(エナンチオマー)アルデヒド化合物、例えば、S−2−(p−イソブチルフェニル)−プロピオンアルデヒド、S−2−(6−メトキシ−2−ナフチル)プロピオンアルデヒド、S−2−(3−ベンゾイルフェニル)−プロピオンアルデヒド、S−2−(3−フルオロ−4−フェニル)フェニルプロピオンアルデヒド、及びS−2−(2−メチルアセトアルデヒド)−5−ベンゾイルチオフェン等が挙げられる。
本発明の特定の実施形態
以下の実施例における全ての部及び割合は、別途示されない限り、重量基準である。圧力は、別途示されない限り、絶対圧力として提供される。
一般手順
直列に繋がれた2つの1リットルステンレス鋼製撹拌槽反応器からなる液体再循環反応器システムを用いる。各反応器は、垂直方向に載置された撹拌機と、反応器の底部付近に配置された円管形スパージャ(circular tubular sparger)とを備える。各スパージャは、所望されるガス流を反応器内の液体に提供するのに十分なサイズの複数の孔を有する。スパージャは、オレフィン及び/またはシンガスを反応器に供給するために使用され、また、未反応ガスを各反応器に再循環させるためにも使用することができる。各反応器は、反応器の温度を制御する手段として、シリコーンオイルシェルを有する。反応器1と2はさらに、未反応ガスを輸送するためのラインならびにアルデヒド生成物及び触媒を含有する一部分の溶液を反応器1から反応器2へと排出させるためのラインを介して接続されている。したがって、反応器1の未反応オレフィンは、さらに、反応器2でヒドロホルミル化される。各反応器は、所望される液体レベルを維持するために、空気圧式の液体レベル制御器を有する。反応器2は、未反応ガスの除去のための吹き出し口を有する。
反応溶液の一部分は、反応器2から、常圧で加熱容器を有する気化器へと継続的に排出される。気化器からの流出流は、気化器の底部に位置するガス−液体分離器へと送られ、ここで、気化したアルデヒドが、反応溶液中の不揮発性の成分から分離される。気化したアルデヒド生成物を凝縮させ、生成物受容器に収集する。空気圧式液体レベル制御器により、再循環させる触媒溶液を含む、不揮発性成分の分離器におけるレベルを制御する。分離器の流出液は、抽出器へと送られ、ここで、酸性種を除去するために、水供給流を分離器の流出液と接触させる。抽出器は、充填カラム接触領域及び相分離域、すなわち、デカンタを有する。デカンタに、水層と、別個の有機層とが形成される。再循環される触媒を含有する有機層は、デカンタから再循環ラインへと排出され、反応器1へと戻る。
Figure 0006560248
比較実験A(本発明の実施形態ではない)
ヒドロホルミル化反応を、上述の一般手順を使用して60日間行うが、水供給流を、pH6.8の0.04Mのリン酸ナトリウム緩衝溶液と置き換えることを除く。反応器システムに、(a)ロジウムジカルボニルアセチルアセトネート(280ppmロジウム)、(b)配位子A(0.68重量%、ロジウム1モル当たり3モル当量)、ならびに(c)The Dow Chemical Companyから入手可能な15重量%のUCAR FILMER IBT(2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレート)及び85重量%の混合Cアルデヒド(重量比30:1のn−バレルアルデヒド及び2−メチルブチルアルデヒド)を含む溶媒混合物を含む、2リットルの触媒溶液を充填する。次いで、一酸化炭素及び水素を流しながら、反応器を75℃に加熱する。反応器1及び2の圧力は、それぞれ、160及び110psigに維持する。混合ブテンオレフィン流(およそ18%の1−ブテン、37%のトランス−2−ブテン、30%のシス−2−ブテン、5%のイソブテン、及び10%のn−ブテンからなる)を、1時間当たり反応器の体積1リットル当たり1.74グラムモルの速度で、反応器1に供給する。気化器システムは、11psiaかつ102〜104℃で操作する。
20日以内に、デカンタの有機層に著しいレベルのナトリウムが蓄積される(最大測定値20ppm)。ライン詰まりが生じることもある。
実施例1
比較実験Aの手順を42日間行うが、リン酸ナトリウム緩衝溶液を用いず、トリエタノールアミン(TEA)(12重量%の水溶液として)をシリンジポンプを用いて反応器1に直接供給することによって抽出器に続く水溶液流のpHを平均6.0の値に制御することを除く。TEAを、まずは触媒溶液1リットル当たり0.002ミリモルの速度で反応器1に添加し、この速度は、配位子変質による酸生成の推定モル速度に相当する。配位子変質による実際の酸生成を、イオンクロマトグラフィー及び高圧液体クロマトグラフィーによって周期的に測定し、TEA添加速度を適宜調節する。
42日間の期間にわたって、反応器1に供給された累積合計TEAは、触媒溶液1リットル当たり20ミリモルのTEAであり、これは、モル基準で、配位子変質による酸生成の測定された合計と同等である。
水溶液デカンタ流出液の観測に基づいて、TEAに関して優れた物質収支が観察される。全42日間にわたり、測定された配位子の消費は、従来的なリン酸ナトリウム緩衝水溶液抽出器を用いて同じ条件下で行った対照系のものに匹敵する。
42日間の間、拡張的な分析サンプリング及びプロセス測定を行い、比較実験Aのプロセスとの比較を行う。
比較実験Aと比較して、ヒドロホルミル化速度、ノルマル及びイソバレルアルデヒドの選択性、または配位子分解生成物の形成速度には、有害な作用は検出されていない。さらに、比較実験Aと比較して、ヒドロホルミル化過程にわたり、31P核磁気共鳴(NMR)を使用して、新たなリン酸系化学中間体は検出されておらず、また驚くべきことに、ファウリングも観測されていない(ライン詰まりがないことにより明らかである)。ヒドロホルミル化過程にわたり、上述の条件で供給されたTEAは、遊離TEAまたはTEA塩として完全に抽出器の流出液へと通過し、それによって、配位子分解により形成される酸化合物が除去される。加えて、デカンタの有機層中にナトリウムレベルの増加はない。
実施例2
60日間の比較実験Aの終了時に、リン酸ナトリウム緩衝溶液流を水のみの供給流に置き換え、実施例1で使用したTEA添加スキームを開始する。有機相中のナトリウムレベルは、固体塩が溶解するにつれて、周期的なスパイクを伴って時間と共に低下する。40日間の操作の後、この系は、実質的にナトリウムを含んでいない。これは、水のみの抽出器及びTEAの使用は比較系により堆積した塩を除去させ、一方でさらに、洗浄のためにプロセスを停止する必要なしに良好な触媒の動作が維持されることを示す。
比較実験B(本発明の実施形態ではない)
実施例1の手順に従うが、TEAを反応器1に供給せず、抽出器を用いないことを除く。190日後に、4,000ppmを上回るヒドロキシブチルホスホン酸(HBPA、イオンクロマトグラフィーによって容易に測定できる酸性配位子の分解生成物)を含有する触媒溶液を、水を2回充填することにより抽出し、有機相中のHBPAの量を1,000ppmまで低減させる。抽出は、供給を停止した後に反応器において行い、室温に冷却する。水抽出相にエマルジョンまたはロジウム消失は検出されていない。しかしながら、この残留HBPA量は、許容できないほどに高い。
比較実験C(本発明の実施形態ではない)
比較実験Bから得られた有機相を1%のトリエタノールアミン(TEA)水溶液(0.2重量%の触媒溶液、0.12mmol/L、pH>9.5)で処理した後、水での洗浄を最後に行うことで、有機相からHBPAが完全に除去される。しかしながら、相当なエマルジョンの形成が観察され、水での洗浄により1.5ppmのロジウム消失が観察されている。
比較実験D(本発明の実施形態ではない)
比較実験Cから得られたTEA洗浄済み触媒含有有機相を反応性に関して試験し、TEA洗浄水溶液の非常に高いpH(>9.5)に起因して、結果として得られる触媒溶液には、有害なホスファイトが急速に蓄積され、結果として得られる活性は、新しい触媒と比較してたった25%となる。洗浄した触媒溶液の有効なpHは、有毒なホスファイトを加水分解させるには高すぎる。
比較実験B〜Dにより、先行技術の適用が不十分な結果をもたらすことが示されている。比較実験Bは、単純な水抽出では、酸を許容されるレベルまで除去するには有効でないことを示している。比較実験Cは、過剰なアミンを添加することが酸の除去には有効であるが、ロジウムの消失及びエマルジョンの形成といった、商業的操作において耐容できない他の望ましくない結果が観察されていることを示している。加えて、比較実験Dは、比較実験Cの処理材料が、不適切に低いヒドロホルミル化活性を呈することを示している。
実施例3
実施例1のプロセスを繰り返したが、異なる平均pH値(抽出器の流出液において測定)での30日間の一連の実施を行い、触媒活性(同じ条件下で新しい触媒に対して生成される配位子動態モデルの値に基づく)及び配位子の使用率を得ることを除く。平均pH値は、反応器1へのTEAの供給速度を変化させることにより制御する。相対配位子使用率は、中点(pH6.8)に1という値を与え、それに対して増減させた。触媒活性と配位子使用率との間の関係性を表1に示す。活性及び使用率は、アルデヒド生成費用に直接影響を及ぼし、平均抽出器pHと関連するため、所与のプロセスに所望される反応速度及び配位子使用率を判定することができ、次いで、所望の結果を達成するように平均pHを選択することができる。
Figure 0006560248
実施例4
比較実験Aの手順に従うが、リン酸ナトリウム緩衝溶液を用いず、TEA(700ppmwの水溶液として、pH9.3)を、1時間当たり12.6gの溶液という一定速度で抽出器に供給することを除く。46日間の期間にわたり、配位子変質によりもたらされる酸を、イオンクロマトグラフィーによって周期的に測定し、配位子使用量を高圧液体クロマトグラフィー分析に基づいて計算する。配位子分解の速度は変動し、したがって、酸の濃度が変化し、1.7:1〜2.8:1というTEA対酸のモル比、及び6.4〜7.2という抽出器の流出液のpHをもたらす。累積合計66モルのTEAが抽出器に供給され、これは、モル基準で、配位子変質により生成される酸の測定された合計と同等である。
比較例Aのプロセスと比べて、配位子使用率、ヒドロホルミル化速度、重質物形成、または生成物の選択制に対する有害な作用は観測されていない。重要なことに、デカンタの有機層に、ファウリングまたはライン/フィルタの詰まりといった不溶性材料の痕跡は観測されていない。

Claims (10)

  1. (1)(a)リン酸化合物と、(b)有機リン配位子と錯化した第8、9、または10族の金属を含む、金属−有機リン配位子錯体触媒と、場合によっては(c)遊離有機リン配位子とを含む反応流体を用いてヒドロホルミル化反応を反応域で行うステップと、
    (2)前記反応流体の少なくとも一部分を水溶性アミンと接触させて、前記リン酸化合物の少なくともいくらかの量を中和させ、中和されたリン酸化合物を形成するステップと、
    (3)抽出域において、前記反応流体から少なくとも1つの中和されたリン酸化合物を少なくとも部分的に分離するステップと、
    (4)抽出域の流出水溶液流を介して前記中和されたリン酸化合物を前記抽出域から除去するステップ
    を含むプロセスであって、アミンの量は、前記反応域中の前記アミンの濃度がヒドロホルミル化反応流体1リットル当たり0.075ミリモルを超えない、前記プロセス。
  2. 前記反応域における前記アミンの濃度が、ヒドロホルミル化反応流体1リットル当たり0.05ミリモルを超えない、好ましくは1リットル当たり0.030ミリモルを超えない明確な量である、請求項1に記載のプロセス。
  3. 前記アミンの水への溶解度が、少なくとも2:1であり、共役酸のpKaとして決定される前記アミンの塩基度が、前記抽出の温度において5〜11である、請求項1〜2のいずれかに記載のプロセス。
  4. 前記アミンの水への溶解度が、少なくとも100:1であり、共役酸のpKaとして決定される前記アミンの塩基度が、前記抽出の温度において6.0〜9.5である、請求項1〜3のいずれかに記載のプロセス。
  5. 前記アミンの水への溶解度が、少なくとも200:1であり、共役酸のpKaとして決定される前記アミンの塩基度が、前記抽出の温度において6.5〜9.0である、請求項1〜4のいずれかに記載のプロセス。
  6. 前記アミンが、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、エチルジエタノールアミン、トリ(2−ヒドロキシプロピル)アミン、及びこれらのエトキシレートの少なくとも1つを含む、請求項1〜5のいずれかに記載のプロセス。
  7. 前記アミンが、トリエタノールアミンである、請求項1〜6のいずれかに記載のプロセス。
  8. 前記抽出域の流出水溶液流が、4.5〜9のpHを有する、請求項1〜7のいずれかに記載のプロセス。
  9. 前記水溶性アミンの少なくとも一部分が、前記反応域に添加され、前記抽出域の流出水溶液流のpHが、前記反応域への前記水溶性アミンの添加速度によって制御される、請求項1〜8のいずれかに記載のプロセス。
  10. 前記水溶性アミンの少なくとも一部分が、前記抽出域に添加され、前記抽出域の流出水溶液流のpHが、前記抽出域への前記水溶性アミンの添加速度によって制御される、請求項8に記載のプロセス。
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