JP3875772B2 - ジアルデヒドの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はオレフィン系不飽和化合物のヒドロホルミル化反応により得られたジアルデヒドを蒸留精製する方法に関する。該ジアルデヒドより誘導されるジオール、ジアミンは種々の高分子化合物の原料として有用である。
【0002】
【従来の技術】
オレフィン系不飽和化合物を、一酸化炭素と水素と金属錯体触媒の存在下にヒドロホルミル化反応させることによりジアルデヒドを合成する方法は既に公知である。例えば特開昭58−118535号公報には7−オクテン−1−アールをロジウム錯体触媒の存在下にヒドロホルミル化し、生成する1,9−ノナンジアールを粗反応液から蒸留分離することにより触媒含有蒸留残渣を分離し目的とするジアルデヒドを取得する方法が記載されている。また、特開昭62−30734号公報にはα,ω−ジオレフィンまたはα,ω−アルケナールを原料として、ロジウム錯体触媒の存在下にヒドロホルミル化反応を実施し得られた粗反応液を特定の抽剤を用いて抽出操作した後、目的とするジアルデヒドを含む層と触媒成分を含む層に分離し、触媒含有層をヒドロホルミル化工程に循環再使用する方法が開示されている。この特許公報には、得られたジアルデヒドを含む抽出層を抽剤留去工程に供し得られた残渣を減圧蒸留することによって高純度ジアルデヒドを容易に分離取得することができると記載されている。また、特開昭58−201743号公報、特開昭58−216138号公報および特開昭61−238751号公報にも抽出操作を用いた処理法により、目的ジアルデヒドを分離精製する方法が記載されている。特開昭58−201741号公報には、α,ω−アルカンジアールの精製方法として、直鎖状飽和脂肪族第一級アルコールを添加することによりジアルデヒドをジヘミアセタールの結晶の形で析出分離させる方法が開示されている。
【0003】
また、オレフィン系不飽和化合物を、一酸化炭素と水素と金属錯体触媒の存在下にヒドロホルミル化反応させることにより得られたアルデヒドを含む粗反応液からアルデヒドを蒸留精製する方法として、例えば特開平8−165266号公報には、オクテンをロジウム金属−ホスファイト配位子触媒を用いてヒドロホルミル化し、得られた粗反応液を温度、滞留時間および水蒸気分率を制御して水蒸気蒸留処理することにより、ホスファイト配位子の分解とそれに伴う酸性成分の増大、高沸点化合物成分の生成を抑制し目的とするアルデヒドを取得する方法が記載されている。また、特開平8−268947号公報には、ヒドロホルミル化粗反応液にアミン類を添加して水蒸気蒸留することにより高沸点化合物の生成を抑制し目的とするアルデヒドを得る方法が記載されている。しかし、これらの特許公報の実施例はいずれもモノアルデヒドについてのもののみであり、ジアルデヒド粗反応液に適用した場合については具体的な記載がない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従来技術によるヒドロホルミル化反応液からジアルデヒドを精製する方法には以下のような問題点がある。即ち、特開昭58−118535号公報に記載されているヒドロホルミル化粗反応液を直接蒸留する方法では、ジアルデヒドが高沸点を有するため粗反応液を高い温度で処理する必要があり、このため総じて熱的および化学的に不安定なジアルデヒドが高沸点化合物に変化しジアルデヒドの蒸留回収率が低下するとともに、蒸留塔底中に粘性の高い高沸点化合物や固形物が蓄積し蒸留継続が困難となり、また高価な金属触媒が熱劣化し再使用が不可能となってしまうといった問題点があった。また、特開昭62−30734号公報および特開昭58−201743号公報、特開昭58−216138号公報、特開昭61−238751号公報に記載されている溶剤抽出を用いる方法では、触媒を抽出分離することにより触媒の熱劣化は避けられるものの、目的とするジアルデヒドを含む抽出層を蒸留精製する際にやはり高温での処理が必要であり、ジアルデヒドの高沸点化合物化による蒸留回収率の低下と粘性の高い高沸点化合物や固形物の蓄積といった問題点は未解決のままである。特開昭58−201741号公報にはジアルデヒドを直鎖状飽和脂肪族第1級アルコールのジヘミアセタールの結晶の形で析出分離した後、蒸留により高純度のジアルデヒドを回収する方法が記載されているが、やはり上記の蒸留時の問題点は未解決のままである。
【0005】
また、本発明者らは特開平8−165266号公報に従って、蒸留時に塔底温度を比較的低く設定することができる水蒸気蒸留法を用いて蒸留塔底温度と滞留時間と水蒸気分率を制御した方法によりジアルデヒドの精製を試みたが、回収率低下と高沸点化合物の蓄積は避けられなかった。さらに特開平8−268947号公報に従い、アミン類としてトリオクチルアミンをヒドロホルミル化粗反応液中に存在するロジウム金属の20から100モル倍量添加し、蒸留塔底温度と滞留時間と水蒸気分率を制御した水蒸気蒸留法を用いてジアルデヒドの精製を試みたが、回収率低下および高沸点化合物の蓄積という問題点は克服できなかった。
【0006】
したがって、本発明の目的は、オレフィン系不飽和化合物を原料としたヒドロホルミル化反応により得られたジアルデヒドを含む粗反応液を蒸留精製する際に、蒸留塔底中でのジアルデヒドの高沸点化合物の生成を抑制し、ジアルデヒド回収率の低下、高沸点化合物の蓄積により蒸留継続が困難となるといった問題点を回避することのできる、工業的に有利なジアルデヒドの製造方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
前記のように、従来技術である蒸留塔底温度と滞留時間と水蒸気分率を制御した水蒸気蒸留法、およびアミンを添加した水蒸気蒸留法ではジアルデヒドの蒸留精製は困難であったことから、使用するアミンの種類および量、添加物の種類および量等について鋭意検討を行った結果、本発明を見いだし上記の課題を達成することができた。
【0008】
本発明は、オレフィン系不飽和化合物を一酸化炭素と水素と金属錯体触媒の存在下にヒドロホルミル化反応させることにより得られたジアルデヒドを含む粗反応液に、該粗反応液の酸の総量の0.01〜1倍モル量の第三級アミン類および、該粗反応液中のジアルデヒドの総量に対して100〜5000ppmとなる量の、フェノール類およびスルフィド類から選ばれる少なくとも一つ以上の化合物を添加して水蒸気蒸留することによりジアルデヒドを蒸留分離することを特徴とするジアルデヒドの製造方法を提供するものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明においてジアルデヒド合成の出発原料となるオレフィン系不飽和化合物としては、炭素数4〜20、好ましくは炭素数6〜12の脂肪族、脂環式もしくは芳香族骨格を有するジオレフィン、または炭素数4〜20、好ましくは炭素数6〜12の脂肪族、脂環式もしくは芳香族骨格を有するアルケナールが挙げられる。具体的には、1,3−ブタジエン、1,5−ヘキサジエン、1,7−オクタジエン、1,9−デカジエン、1,11−ドデカジエンなどの脂肪族ジオレフィン;1,3−ジビニルシクロヘキサン、1,4−ジビニルシクロヘキサン、ジシクロペンタジエンなどの脂環式ジオレフィン;1,3−ジビニルベンゼン、1,4−ジビニルベンゼンなどの芳香族骨格を有するジオレフィン;3−ブテン−1−アール、5−ヘキセン−1−アール、7−オクテン−1−アール、9−デケン−1−アール、11−ドデケン−1−アールなどの脂肪族アルケナール;3−(3−ビニルシクロヘキシル)プロピオンアルデヒド、3−(4−ビニルシクロヘキシル)プロピオンアルデヒド、トリシクロデセンアルデヒドなどの脂環式アルケナール;(3−ビニルフェニル)アセトアルデヒド、(4−ビニルフェニル)アセトアルデヒド、3−ビニルベンズアルデヒド、4−ビニルベンズアルデヒドなどの芳香族骨格を有するアルケナールが例示される。
【0010】
上記のオレフィン系不飽和化合物を原料にそれぞれ対応する脂肪族、脂環式または芳香族骨格を有するジアルデヒド、具体的には、1,6−ヘキサンジアール、2−メチル−1,5−ペンタンジアール、1,8−オクタンジアール、2−メチル−1,7−ヘプタンジアール、1,10−デカンジアール、2−メチル−1,9−ノナンジアール、1,12−ドデカンジアール、2−メチル−1,11−ウンデカンジアール、1,14−テトラデカンジアール、2−メチル−1,13−トリデカンジアール、1,5−ペンタンジアール、2−メチル−1,4−ブタンジアール、1,7−ヘプタンジアール、2−メチル−1,6−ヘキサンジアール、1,9−ノナンジアール、2−メチル−1,8−オクタンジアール、1,11−ウンデカンジアール、2−メチル−1,10−デカンジアール、1,13−トリデカンジアール、2−メチル−1,12−ドデカンジアールなどの脂肪族ジアルデヒド;1,3−シクロヘキサンジプロピオンアルデヒド、1,4−シクロヘキサンジプロピオンアルデヒド、トリシクロデカンジカルバルデヒドなどの脂環式ジアルデヒド;1,3−ベンゼンジプロピオンアルデヒド、1,4−ベンゼンジプロピオンアルデヒド、(3−エタナールフェニル)プロパナール、(4−エタナールフェニル)プロパナール、3−(プロパナール)ベンズアルデヒド、4−(プロパナール)ベンズアルデヒドなどの芳香族骨格を有するジアルデヒドが製造される。
【0011】
本発明におけるジアルデヒド合成の金属錯体触媒としては、反応条件下においてヒドロホルミル化触媒能を有する任意のコバルト化合物、またはロジウム化合物を用いることができる。具体的には、一般式
【0012】
【化1】
【0013】
(式中、Mはコバルトまたはロジウムを表し、L1、L2、L3はそれぞれCO、ホスフィン、ホスファイトなどの配位子を表す。)
で表される金属錯体化合物、コバルトまたはロジウムのクラスター化合物などを挙げることができる。また、コバルトまたはロジウムのアセチルアセトナート、塩化物、酸化物などの化合物を通常の方法により活性化した後用いることもできる。また、触媒の量はヒドロホルミル化反応混合液1リットルあたり金属原子換算で0.01〜10mg原子の濃度範囲である。
【0014】
ジアルデヒドを合成するヒドロホルミル化反応における、温度、一酸化炭素/水素混合ガス圧力、一酸化炭素/水素モル比、溶媒、反応方式、反応装置などの条件については特に制限はなく、通常のヒドロホルミル化反応に用いられる条件が採用される。
【0015】
本発明では、ヒドロホルミル化反応により得られたジアルデヒドを含む粗反応液から、必要に応じて触媒成分を抽出などの方法により分離し、この粗反応液に後述の第三級アミン類および第三級アミン類以外の化合物を後述の添加量および添加時期にて添加し、溶媒分離回収蒸留、原料等の低沸点留分回収蒸留の後、得られた粗ジアルデヒドを水蒸気蒸留することにより目的とする高純度のジアルデヒドを取得することができる。また、溶媒分離回収、原料等の低沸点留分回収を水蒸気蒸留で実施しても何ら差し支えはない。また、触媒成分の分離、溶媒回収蒸留、原料等の低沸点留分回収蒸留、ジアルデヒドの水蒸気蒸留といった操作は、ジアルデヒドの酸素による酸化を防ぐため、窒素、アルゴンなどの不活性気体の雰囲気下で行うことが好ましい。
【0016】
上記の蒸留精製工程において、ジアルデヒドは熱的に不安定であることから蒸留時の温度を低く、滞留時間を短く設定することが好ましい。溶媒分離回収蒸留および原料等の低沸点留分回収蒸留を水蒸気蒸留で実施しない場合は、特開平8−165266号公報の請求項1に記載された方法に従って、分離操作における温度と滞留時間とを下記式(1)で算出されるP値が1以下となるように設定する事が好ましい。
【0017】
【化2】
【0018】
(式中、T1は該分離操作における最高の蒸留塔底温度(℃)であり、θ1は該分離操作の蒸留塔底における液の滞留時間(分)を示す。)
【0019】
また、粗ジアルデヒドの水蒸気蒸留精製工程においては特開平8−268947号公報の請求項9に記載された方法に従って、温度と滞留時間と水蒸気分率とを下記式(2)で算出されるP値が1以下となるように設定する事が好ましい。
【0020】
【化3】
【0021】
(式中、T2は水蒸気蒸留塔の塔底温度(℃)、θ2は蒸留塔底における液の滞留時間(分)、Xは水蒸気量/(フィード量+水蒸気量)で定義される水蒸気分率を示す。)
【0022】
本発明において使用する第三級アミン類の例としては、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルアミン、トリ−n−オクチルアミン、トリエタノールアミンなどの脂肪族第三級アミン;N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジエチルアニリン、トリフェニルアミンなどの芳香族第三級アミンあるいはピリジン、キノリンなどのヘテロ環式第三級アミン化合物などが挙げられるが、好ましくは炭素数3〜24の脂肪族第三級アミンである。また、これらの第三級アミンのうち目的のジアルデヒドと蒸留時に高沸点側に分離可能なものを選んで使用することが好ましい。例えば、目的物ジアルデヒドが1,9−ノナンジアールまたは2−メチル−1,8−オクタンジアールの時は、トリオクチルアミン、トリエタノールアミンなどを用いることが好ましい。
【0023】
第三級アミン類の使用量は添加する粗反応液中の酸の総量を定量分析し、その分析値に応じて決めることができる。好ましくは、酸の総量のモル数に対して0.01〜1倍モル量が適当である。0.01倍モル量より少ない使用量では水蒸気蒸留工程におけるジアルデヒドの高沸点化合物化を抑制する効果が十分ではなく、また1倍モル量より多い使用量ではこれらの化合物のコスト面から不利となり、さらにアミンの塩基性効果によりジアルデヒドがアルドール縮合を起こし高沸点化合物化してしまう。
【0024】
第三級アミン類を添加する時期としては、蒸留精製工程において実質的にジアルデヒドが高沸点化合物化を起こす温度以上に粗反応液が加熱される前の段階であれば、溶媒回収蒸留の前でも、あるいは脱溶媒後の粗反応液から原料等の低沸点留分を回収する前でも、粗ジアルデヒド含有液を水蒸気蒸留する前でも良い。また、第三級アミン類を添加した粗反応液を実質的にジアルデヒドが高沸点化合物化を起こす温度以上に加熱する前に、それより低い温度で数分〜数時間程度混合撹拌することによりジアルデヒドの高沸点化合物化をより効果的に抑制することができる。
【0025】
本発明に用いられるフェノール類、スルフィド類の具体的例としてはフェノール、カテコール、ピロガロール、フロログルシノール、1,2,4−ベンゼントリオールなどのフェノール類;ジ−n−ブチルスルフィド、ジ−n−オクチルスルフィド、ジフェニルスルフィド、チオジプロピオン酸、チオジプロピオン酸ドデシルなどのスルフィド類を挙げることができる。これらのうちフェノール類が好ましく、芳香族環に結合した少なくとも2個以上の水酸基を有するフェノール類がより好ましい。また、これらの化合物のうち目的のジアルデヒドより高沸点側に蒸留分離可能なものを選んで使用することが好ましい。例えば、目的物ジアルデヒドが1,9−ノナンジアールまたは2−メチル−1,8−オクタンジアールの時は、ピロガロール、フロログルシノール、チオジプロピオン酸ドデシルなどを用いることが好ましい。
【0026】
上記のフェノールなどの第三級アミン類以外の化合物の使用量は対象粗反応液中に存在するジアルデヒドの重量に対して、各々の化合物の添加量の合計が100〜5000ppmの範囲が好ましい。100ppmより少ない使用量では水蒸気蒸留工程におけるジアルデヒドの高沸点化合物化を抑制する効果が十分ではなく、また5000ppmより多い使用量ではこれらの化合物のコスト面から不利となり工業的方法として実現するのは困難である。
【0027】
上記のフェノールなどの第三級アミン類以外の化合物を添加する時期としては、蒸留精製工程において実質的にジアミンが高沸点化合物化を起こす温度以上に粗反応液が加熱される前の段階であれば、第三級アミン類と同時に添加しても異なる時期に添加しても良く、溶媒回収蒸留の前でも、あるいは脱溶媒後の粗反応液から原料等の低沸点留分を回収する前でも、粗ジアルデヒド含有液を水蒸気蒸留する前でも良い。また、第三級アミン類以外の化合物を添加した粗反応液を実質的にジアルデヒドが高沸点化合物化を起こす温度以上に加熱する前に、それより低い温度で数分〜数時間程度混合撹拌することによりジアルデヒドの高沸点化合物化をより効果的に抑制することができる。
【0028】
【実施例】
以下実施例により本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
【0029】
実施例1
先ず、特開昭58−118535号公報に記載された方法に従って、7−オクテン−1−アール130gを原料に用いて、ヒドロホルミル化触媒としてロジウム−ジフェニルホスフィノベンゼンスルホン酸ナトリウム配位子錯体、ポリグライム溶媒、一酸化炭素/水素混合ガスの存在下にヒドロホルミル化反応を実施し、1,9−ノナンジア−ルおよび2−メチル−1,8−オクタンジアールを含む粗反応液154gを得、この粗反応液から水抽出によってロジウム−ジフェニルホスフィノベンゼンスルホン酸ナトリウム配位子錯体触媒を抽出分離した後、粗反応液を窒素雰囲気下で保管した。なお、以下の蒸留工程の操作はすべて窒素雰囲気下で実施した。この時粗反応液中の1,9−ノナンジア−ルおよび2−メチル−1,8−オクタンジアール濃度は75wt%であり、その他の成分として水3wt%、原料および目的ジアルデヒドより低沸点の副生物12wt%、目的ジアールより高沸点の副生物と残存ポリグライム溶媒は10wt%であった。
次に、この粗反応液を蒸留装置に仕込み、蒸留塔底の最高温度80℃、圧力20torr、滞留時間3時間で水および目的ジアルデヒドよりも低沸点の副生物を蒸留分離した。この時前述の式(1)で算出されるP値は0.6であり、蒸留前後での1,9−ノナンジア−ルおよび2−メチル−1,8−オクタンジアールの減少および高沸点化合物の増加は見られなかった。
次に、この低沸点留分を除去した粗ジアルデヒド含有液の酸の総量を測定したところ0.94ミリモルであった。この粗ジアルデヒド含有液にトリエタノールアミンを0.013ミリモル添加し、さらにジアルデヒド量に対してピロガロール500ppmを添加して水蒸気蒸留装置に仕込み室温で約30分撹拌した。その後、水蒸気蒸留塔の塔底温度135℃、70〜50torr、水蒸気分率0.5、滞留時間1時間で水蒸気蒸留を実施しジアルデヒド留分を取得した。この時ジアルデヒドの蒸留回収率は94%であり、回収分と蒸留塔底に残存したジアルデヒドを合わせたジアルデヒドの残存率は99%であった。なお、このときの水蒸気蒸留における前述の式(2)のP値は0.8であった。
【0030】
実施例2および3
実施例1で用いた1,9−ノナンジアールおよび2−メチル−1,8−オクタンジアールを含む低沸点留分を除去した粗ジアルデヒド含有液に、表1に示す第三級アミンおよびその他の添加物を表1に示す量添加した以外は、実施例1と同様の操作で水蒸気蒸留を実施した。この時のジアルデヒド残存率を表1に示す。なお、いずれの実施例でも前述の式(2)のP値は1以下であった。
【0031】
実施例4
実施例1で用いた1,9−ノナンジアールおよび2−メチル−1,8−オクタンジアールを含む低沸点留分を除去した粗ジアルデヒド含有液に、第三級アミンとしてトリエタノールアミンの代わりにトリオクチルアミンを0.013ミリモル添加した以外は、実施例1と同様の操作で水蒸気蒸留を実施した。この時ジアルデヒドの蒸留回収率は94%であり、回収分と蒸留塔底に残存したジアルデヒドを合わせたジアルデヒドの残存率は99%であった。なお、このときの水蒸気蒸留における前述の式(2)のP値は0.8であった。
【0032】
比較例1
実施例1で用いた1,9−ノナンジアールおよび2−メチル−1,8−オクタンジアールを含む低沸点留分を除去した粗ジアルデヒド含有液に、添加物を何も加えないこと以外は、実施例1と同様の操作で水蒸気蒸留を実施した。この時のジアルデヒド残存率を表1に示す。なお、前述の式(2)のP値は1以下であった。
【0033】
比較例2〜5
実施例1で用いた1,9−ノナンジアールおよび2−メチル−1,8−オクタンジアールを含む低沸点留分を除去した粗ジアルデヒド含有液に、表1に示す第三級アミンおよび/またはその他の添加物を表1に示す量添加した以外は、実施例1と同様の操作で水蒸気蒸留を実施した。この時のジアルデヒド残存率を表1に示す。なお、いずれの比較例でも前述の式(2)のP値は1以下であった。
【0034】
比較例6
実施例1で用いた1,9−ノナンジアールおよび2−メチル−1,8−オクタンジアールを含む低沸点留分を除去した粗ジアルデヒド含有液に、トリエタノールアミン0.013ミリモルとジアルデヒドの総量に対してピロガロール500ppmを添加したが、水蒸気蒸留ではなく通常の蒸留精製を実施した。このとき蒸留塔底温度180℃、圧力10torr、滞留時間は3時間で、前述の式(1)のP値は14であった。この時のジアルデヒドの蒸留回収率は65%であり、回収分と蒸留塔底に残存したジアルデヒドを合わせたジアルデヒドの残存率は70%であった。また、蒸留塔底には高沸物が蓄積しさらなる蒸留の継続は不能であった。
【0035】
【表1】
【0036】
【発明の効果】
本発明によれば、オレフィン系不飽和化合物を原料としたヒドロホルミル化反応により得られたジアルデヒドを含む粗反応液を蒸留精製する際に、蒸留塔底中でのジアルデヒドの高沸点化合物化を抑制し、ジアルデヒド回収率の低下、高沸点化合物の蓄積により蒸留継続が困難となるといった問題点を回避することができる、工業的に有利なジアルデヒドの製造方法が提供される。
Claims (4)
- オレフィン系不飽和化合物を一酸化炭素と水素と金属錯体触媒の存在下にヒドロホルミル化反応させることにより得られたジアルデヒドを含む粗反応液に、該粗反応液の酸の総量の0.01〜1倍モル量の第三級アミン類および、該粗反応液中のジアルデヒドの総量に対して100〜5000ppmとなる量の、フェノール類およびスルフィド類から選ばれる少なくとも一つ以上の化合物を添加して水蒸気蒸留することによりジアルデヒドを蒸留分離することを特徴とするジアルデヒドの製造方法。
- ジアルデヒドが、1,9−ノナンジアール、2−メチル−1,8−オクタンジアールまたはこれらの混合物である請求項1記載のジアルデヒドの製造方法。
- 第三級アミン類が炭素数3〜24の脂肪族第三級アミンである請求項1または2記載のジアルデヒドの製造方法。
- 芳香族環に結合した少なくとも2個以上の水酸基を有するフェノール類を用いる請求項1〜3のいずれか一つに記載のジアルデヒドの製造方法。
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