JP6559744B2 - 情報処理装置、情報処理方法及びプログラム - Google Patents
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Description
[与信システムの全体構成]
まず、図1を参照して、与信システム1の全体構成について説明する。図1は、与信システム1の構成の一例を示す図である。与信システム1は、顧客からの入力データに基づいてローン等の与信判断を行うシステムであり、与信サーバ100と、顧客端末200と、個人信用情報サーバ300とを備える。
顧客端末200は、顧客がローン等を申し込むために使用する情報処理装置である。顧客端末200として、スマートフォンを含む携帯電話、タブレット端末、パーソナルコンピュータ等が使われるが、これらに限定されるものではない。
個人信用情報サーバ300は、個人信用情報を管理する情報処理装置であり、外部の情報処理装置からの要求に応じて、要求に対応する個人信用情報を外部の情報処理装置に送信する。
与信サーバ100と、顧客端末200と、個人信用情報サーバ300とは、ネットワーク10を介してデータ通信が可能である。ネットワーク10には、インターネット等が使われる。
次に、図1を参照して、与信システム1を構成する情報処理装置のハードウェア構成について説明する。
まず、与信サーバ100のハードウェア構成について説明する。与信サーバ100は、ハードウェアとして、CPU101と、記憶装置102と、通信インタフェース103と、これらを接続するバス104とを備える。
CPU101は、与信サーバ100の全体を制御する。CPU101が記憶装置102等に記憶されているプログラムに基づき処理を実行することによって与信サーバ100のソフトウェア構成及び後述の図4、図9に示す与信サーバ100の処理が実現される。
記憶装置102は、RAM、ROM、HDD等の記憶装置であって、プログラムを記憶したり、CPU101がプログラムに基づき処理を実行する際に利用するデータ等を記憶したりする。また、記憶装置102は、与信サーバ100が個人信用情報サーバ300から取得する個人信用情報を記憶する。
通信インタフェース103は、与信サーバ100と、顧客端末200及び個人信用情報サーバ300等の外部装置との通信の制御を司る。
CPU201は、顧客端末200の全体を制御する。CPU201が記憶装置202等に記憶されているプログラムに基づき処理を実行することによって後述の図4に示す顧客端末200の処理が実現される。
通信インタフェース203は、顧客端末200と、与信サーバ100等の外部装置との通信の制御を司る。
入力装置204は、タッチパネル、マウス、又は、キーボード等であり、ユーザの指示を受け付ける。
表示装置205は、液晶モニタ等であって画像を表示できる。
CPU301、記憶装置302、及び、通信インタフェース303は、与信サーバ100の同名称のものと同様であるため、説明を省略する。CPU301が記憶装置302等に記憶されているプログラムに基づき処理を実行することによって後述の図4に示す個人信用情報サーバ300の処理が実現される。
次に、図2を参照して、与信サーバ100の機能を実現するソフトウェア構成について説明する。図2は、与信サーバ100のソフトウェア構成の一例を示す図である。与信サーバ100は、受信部110と、取得部111と、入力データ決定部112と、デフォルト確率決定部113と、第1審査部114と、第2審査部115とを備える。
取得部111は、受信部110によって受信された特定情報に基づいて、個人信用情報サーバ300から個人信用情報を取得する。本実施形態の取得部111は、受信部110によって受信された氏名、生年月日、及び、電話番号を、個人信用情報を管理する個人信用情報サーバ300に送信し、個人信用情報サーバ300から個人信用情報を受信することで、個人信用情報を取得する。
入力データ決定部112は、取得部111によって取得された個人信用情報に基づいて、後述の個人信用情報明細モデルの入力データを決定する。
デフォルト確率決定部113は、入力データ決定部112によって決定された入力データ、及び、個人信用情報明細モデルに基づいて、デフォルト確率を決定する。
第1審査部114は、デフォルト確率決定部113によって決定されたデフォルト確率に基づいて、第1審査を行う。第1審査は、ローン等の諾否の仮審査である。
第2審査部115は、第1審査部114によって承諾されたとき、本人証明情報と、受信部110によって受信される本人確認情報とに基づいて、第2審査を行う。第2審査は、ローン等の諾否の本審査である。本実施形態の第2審査部115は、本人確認情報として住所を使う。
次に、図3を参照して申込画面400について説明する。図3は、申込画面400の一例を示す図である。申込画面400は、顧客端末200の表示装置205に表示される画面であり、顧客が与信システム1を使用してローン等の申し込みを行うために使われる。申込画面400での顧客の入力により、顧客端末200は、特定情報を受け付ける。
申込画面400は、カナ氏名を入力するためのカナ氏名入力部401と、生年月日を入力するための生年月日入力部402と、電話番号を入力するための電話番号入力部403と、住所を入力するための住所入力部404と、申し込みを実行するための申込ボタン405と、申し込みをキャンセルするためのキャンセルボタン406とを備える。
顧客端末200のCPU201は、記憶装置202に記憶されたアプリケーションを実行して申込画面400を表示してもよい。また、顧客端末200のCPU201は、WEBブラウザを実行し、与信サーバ100等から申込画面400のデータを取得して、WEBブラウザに申込画面400を表示してもよい。
次に、図4を参照して、与信システム1の処理シーケンスについて説明する。図4は、与信システム1の処理シーケンスの一例を示す図である。
顧客端末200は、予め図3の申込画面400を表示しているものとする。
SQ100において、顧客端末200は、申込画面400に入力された特定情報を受け付ける。より具体的には、顧客端末200は、カナ氏名、生年月日、電話番号、及び、住所を受け付ける。
SQ101において、顧客端末200は、申込画面400の申込ボタン405が押下されると、SQ100で受け付けた特定情報を与信サーバ100に送信する。与信サーバ100は、特定情報を受信する。
SQ102において、与信サーバ100は、カナ氏名、生年月日、及び、電話番号を個人信用情報サーバ300に送信する。与信サーバ100は、カナ氏名、生年月日、及び、電話番号を受信する。
SQ104において、与信サーバ100は、仮審査を行う。本シーケンスでは、与信サーバ100は、仮審査の結果が仮承諾であったものとする。
SQ105において、与信サーバ100は、仮審査の結果(仮承諾)を、顧客端末200に送信する。顧客端末200は、仮審査の結果を受信する。
SQ106において、顧客端末200は、仮審査の結果を表示する。また、顧客端末200は、本人証明情報を受け付ける。本人証明情報は、本人確認情報を証明できる情報であり、本人証明情報として、例えば、運転免許証の画像データやパスポートの画像データが使用できる。顧客端末200がカメラを備えるとき、顧客端末200は、顧客の操作によって顧客端末200のカメラで運転免許証等を撮影して、本人証明情報を取得することで、本人証明情報を受け付ける。顧客端末200は、他の装置から本人証明情報を受信する等、他の方法で本人証明情報を受け付けてもよい。
SQ108において、与信サーバ100は、本審査を行う。本シーケンスでは、与信サーバ100は、本審査の結果が本承諾であったものとする。
SQ109において、与信サーバ100は、本審査の結果(本承諾)を、顧客端末200に送信する。顧客端末200は、本審査の結果を受信して表示する。
次に、図5を参照して、個人信用情報サーバ300で管理される個人信用情報について説明する。図5は、個人信用情報の例を示す図である。個人信用情報は、ローン等の契約内容や支払い状況等を表す情報である。
個人信用情報には、本人情報500、借入情報510、クレジット情報520、照会履歴530、及び、借入残高履歴540が含まれる。
本人情報500は、本人に関する情報であり、氏名、生年月日、性別、住所、電話番号、及び、勤務先等の情報が含まれる。本人情報500の氏名には、カナで表されたカナ氏名が含まれる。
借入情報510の会社コードは、本人情報500で特定される個人の契約先の会社を識別できる記号である。会社コードの1文字目は会社の種別を表す。特に会社コードの1文字目が「S」のとき、この会社コードに対応する会社は貸金専業者であることを表す。
借入情報510の残高は、本人情報500で特定される個人が、借入情報510の会社コードで識別される会社から借入れしている金額の残高である。
借入情報510の入金状況は、過去の所定回の入金状況を表す。入金状況の数値は延滞日数である。例えば、「前回」が「0」のとき、前回の入金では延滞が発生していないことを表す。また、「3回前」が「10」のとき、3回前の入金で10日の延滞が発生したことを表す。
クレジット情報520の契約終了日は、返済が終わった完済日、又は、契約の解約日である。
クレジット情報520の契約額は、個別契約の場合は契約の金額であり、包括契約の場合は限度額である。限度額は、キャッシングとショッピングの合算額である。
クレジット情報520の保証額は、契約時の保証金額である。
クレジット情報520の残高は、割賦残高とキャッシング残高との合計である。クレジット情報520の残高は、割賦残高であってもよい。
クレジット情報520の照会日時は、個人信用情報へのアクセスが行われた日時である。
クレジット情報520の取引形態は、個人信用情報へのアクセスを行う会社と本人情報500で特定される個人との取引形態である。
通常履歴550は、直近月から直近月の10カ月前の月までの1カ月ごとの借入残高の履歴である。各月の履歴には、当該月の基準日における総量規制対象となる借入の件数及び借入残高と総量規制対象以外の借入の件数及び借入残高とが含まれる。借入の件数は、債権の件数を表す。基準日は、1日、又は、月の末日等である。直近月は、通常履歴550における最も新しい月である。
最大借入残高履歴560は、個人信用情報サーバ300が管理している範囲での借入残高が最大だった月の基準日における借入残高の履歴である。最大借入残高履歴560は、借入残高履歴540の各月のデータと同じ形式のデータであり、最大借入残高履歴560には借入残高が最大だった月が年月の形式で記録される。
次に、個人信用情報明細モデルについて説明する。個人信用情報明細モデルは、本発明の予め定められたモデルの一例であり、個人信用情報に含まれる情報に基づくデータを入力データとし、デフォルト確率を出力データとするモデルである。個人信用情報明細モデルは、予め蓄積された複数の個人信用情報に対して統計処理等を施すことで得ることができる。本実施形態の個人信用情報明細モデルは、ロジスティック回帰分析を用いて構築されたものであり、次の式1、及び、式2で表される。
Z=α+β1×x1+β2×x2+…+β17×x17 ・・・ (式1)
PD=1/(1+exp(−Z)) ・・・ (式2)
式1のZはZスコアであり、αは切片、x1からx17までは説明変数、β1からβ17まではロジスティック回帰分析によって予め決定されているパラメータである。式2のPDはデフォルト確率であり、expはe(自然対数の底)を底とする指数関数を表す。
説明変数x1からx17までが個人信用情報明細モデルの入力データであり、デフォルト確率PDが個人信用情報明細モデルの出力データである。デフォルト確率PDは、説明変数x1からx17の基となる個人信用情報が表す顧客のデフォルト確率である。デフォルト確率とは、貸し倒れや延滞、あるいは債務者区分変更や条件変更など、当初契約していた条件での貸出先からの返済が滞る確率、すなわち、貸出先が将来的に債務不履行の状態に陥る確率である。
基礎情報は、金融機関等で与信された個人の個人信用情報であってもよい。
また、基礎情報は、金融機関等で与信された個人の個人信用情報に、金融機関等で与信されなかった個人の個人信用情報を含めてもよい。この場合、金融機関等で与信されなかった個人は、デフォルトが発生したものとして扱う。
説明変数x1は、顧客の年齢である。入力データ決定部112は、図5の本人情報500に含まれる生年月日から年齢を算出することで、年齢を決定する。なお、顧客とは、個人信用情報が表す個人のことである。
説明変数x2は、照会関連変数である。照会関連変数は、顧客の個人信用情報に対する照会に関する変数である。照会関連変数には、顧客の個人信用情報に対する照会の件数に関するものや日数に関するものが含まれる。なお、照会の日数は、同一日に2以上の照会があった場合でも「1」とカウントする。
なお、照会関連変数としては、上述した例に限定されるものではなく、下表に示すような変数が想定される。また、件数や日数のカウントは過去の全ての履歴を対象としてもよいし、予め定められた特定の期間のみ(すなわち、所定の照会の件数や日数)を対象としてもよく、特に限定はされない。入力データ決定部112は、図5の照会履歴530に基づいて、照会関連変数を決定する。
(ショッピング枠消化率)=(クレジットカードのショッピング枠の使用済み残高の合計)/(クレジットカードのショッピング枠の合計) ・・・ (式3)
第1ステップにおいて、入力データ決定部112は、クレジット情報520が表すクレジットカードのうち、契約が終了していないクレジットカードを抽出する。契約が終了していないクレジットカードとは、契約終了日の記載がないクレジットカードである。
第2ステップにおいて、入力データ決定部112は、第1ステップで抽出されたクレジットカードのそれぞれについて、ショッピング枠を決定する。ショッピング枠は、クレジットカードのショッピングの限度額であり、契約額、及び、保証額のいずれか大きい方である。
第3ステップにおいて、入力データ決定部112は、第1ステップで抽出されたクレジットカードのショッピング枠の合計を算出して、式3の「クレジットカードのショッピング枠の合計」とする。
第4ステップにおいて、入力データ決定部112は、第1ステップ抽出されたクレジットカードの残高の合計を算出して、式3の「クレジットカードのショッピング枠の使用済み残高の合計」とする。ショッピング枠の使用済み残高は、クレジットカード利用によるショッピング支払債務の残高である。
第5ステップにおいて、入力データ決定部112は、第3、第4ステップで算出した「クレジットカードのショッピング枠の合計」及び「クレジットカードのショッピング枠の使用済み残高の合計」と式3とから、ショッピング枠消化率を算出することで、ショッピング枠消化率を決定する。
(借入残高変化情報)=((直近月の総量規制対象の借入残高)−(直近月の10カ月前の総量規制対象の借入残高))/10 ・・・ (式4)
直近月の総量規制対象の借入残高、及び、直近月の10カ月前の総量規制対象の借入残高は、通常履歴550に含まれる情報である。入力データ決定部112は、借入残高履歴540の通常履歴550、及び、式4に基づいて借入残高変化情報を算出することで、借入残高変化情報を決定する。なお、上記残高変化情報は一例であって、直近月の10ヶ月前の総量規制対象の借入残高を用いるものに限定されない。
ここで、図6を参照して、最大残高経過情報の決定に使われる変換テーブルについて説明する。図6は、変換テーブルの一例を示す図である。変換テーブルは、最大残高経過時間の範囲と、最大残高経過時間対数オッズとを対応付ける。変換テーブルは、与信サーバ100の記憶装置102に記憶される。最大残高経過時間は、図5の通常履歴550の直近月の1日から、最大借入残高履歴560に記録された月の1日までの日数であり、借入残高が最大のときからの経過時間を表す。最大残高経過時間対数オッズは、最大残高経過時間デフォルト確率の対数オッズである。最大残高経過時間デフォルト確率は、予め用意された複数の個人信用情報から決定される最大残高経過時間と、予め用意された複数の個人信用情報のそれぞれから判別できるデフォルト発生の有無とから、統計処理等によって決定されるデフォルト確率である。より具体的には、最大残高経過時間デフォルト確率は、予め用意された複数の個人信用情報のうち、予め用意された個人信用情報から決定される最大残高経過時間が最大残高経過時間の範囲に含まれる個人信用情報から、統計処理等によって決定されるデフォルト確率である。
このように、説明変数x5には、最大残高経過情報として最大残高経過時間対数オッズが使われる。
説明変数x7は、専業契約件数である。専業契約件数は、顧客が行っている借入の契約のうち、顧客が貸金専業者と行っている契約の件数であり、借入情報510から決定できる。入力データ決定部112は、借入情報510に含まれるレコードのうち、会社コードが貸金専業者のレコードの数を専業契約件数と決定する。上記の通り、会社コードの1文字目が「S」のとき、この会社コードに対応する会社は貸金専業者である。
標準化パラメータは、説明変数に対応する式1のパラメータを標準化した値であり、例えば標準偏回帰係数である。なお、説明変数xi(iは自然数)に対応するパラメータは、パラメータβiである。
説明変数xiの重要度は、次の式5で算出される値であり、大きいほど説明変数がデフォルト確率PDに寄与していることを表す。
(説明変数xiの重要度)=|パラメータβiを標準化した値|/(|パラメータβ1を標準化した値|+|パラメータβ2を標準化した値|+…+|パラメータβ17を標準化した値|) ・・・ (式5)
図7から分かるように説明変数x1からx7までが、重要度が5%以上の説明変数である。
次に、図8を参照して、個人信用情報明細モデルの精度と、その他のモデルの精度とを比較する。図8は、モデルごとのAR(accuracy ratio)の一例を示す図である。
ここで、図10、図11を参照してARについて説明する。図10はCAP曲線を示す図である。CAP曲線は次の手順で描かれる。
(1)対象データをPDの大きい順(リスクが高いと予測される順番)に並び替える。
(2)並び替えた先が正常先であるか、DF先(デフォルト先)であるかを順に判別していく。
(3)「判別した件数÷全件数」の全体累積構成比を横軸にとる。
このとき、「判別した不良件数÷全不良件数」を縦軸としてプロットした曲線が不良累積構成比曲線(CAP曲線)となる。また、「判別した正常件数÷全正常件数」を縦軸としてプロットした曲線が正常累積構成比曲線となる。
仮に完全な精度を持つパーフェクトモデルでCAP曲線をプロットした場合、CAP曲線は、図10の破線で示すように「全不良件数÷全件数」横軸点で縦軸100%まで直線が引かれ、その後は上底に沿って真っ直ぐ右に引かれる。逆に無判別モデルの場合、CAP曲線は図10のプロットなしの実線で示すように対角線となる。CAP曲線がパーフェクトモデルのラインに近づくほどモデルの判別力が高い。
このとき、A/A+Bとして定義される値がAR(accuracy ratio)である。モデルの精度が低ければCAP曲線は対角線に近づき、分子のAは0に近づく。逆に精度が高ければCAP曲線はパーフェクトモデルの物に近づき、分子のAと分母のA+Bが近づいていく。すなわち、ARの取り得る範囲は0≦AR≦1であり、1に近いほどモデルの精度は高いということになる。
属性モデルが個人信用情報明細モデルと異なるのは、説明変数として属性データのみが使われる点である。属性データは、顧客がローン等の契約の申込書に記入したデータである。属性モデルでは、属性データとして、職種、従業員数、勤続年数、業種、住居形態、勤務形態、未既婚、就職時年齢、子供人数、同居家族数、年齢、性別、業種と規模、家族状況、年収、及び、借入に関する情報が使われる。
属性個人信用情報明細モデルが個人信用情報明細モデルと異なるのは、説明変数として、個人信用情報明細モデルの説明変数に加えて、属性データが使われる点である。属性個人信用情報明細モデルでは、属性データとして、住居形態、勤続年数、及び、年収に関する情報が使われる。
図8から分かるように、個人信用情報明細モデルでは、構築のARと検証のARとは近似した値であるため、過学習は行われてない。また、個人信用情報明細モデルは、属性モデルと比べて精度が高い。また、個人信用情報明細モデルは、属性個人信用情報明細モデルと比べて実質的には同程度の精度を備えるといえる。すなわち、個人信用情報明細モデルによれば、様々な属性情報を用いなくとも、高精度な与信リスクの判断が可能となる。
次に、図9を参照して、与信処理について説明する。図9は、与信処理のフローチャートの一例を示す図である。与信処理は、図4に示す処理シーケンスにおいて、与信サーバ100が行う処理である。
S100において、受信部110は、顧客端末200から特定情報を受信する。受信部110は、特定情報として、カナ氏名、生年月日、電話番号、及び、住所を受信する。
S101において、取得部111は、S100で受信された特定情報を個人信用情報サーバ300に送信して、個人信用情報サーバ300に対して、S100で受信された特定情報に対応する個人信用情報を要求する。取得部111は、特定情報として、カナ氏名、生年月日、及び、電話番号を送信する。
S102において、取得部111は、個人信用情報サーバ300から個人信用情報を受信して、S100で受信された特定情報に対応する個人信用情報を取得する。
S104において、デフォルト確率決定部113は、S103で決定された説明変数x1からx17まで、及び、個人信用情報明細モデルに基づいて、デフォルト確率を決定する。より具体的には、デフォルト確率決定部113は、S103で決定された説明変数x1からx17までを式1に代入してZスコアを算出し、算出したZスコアを式2に代入してデフォルト確率PDを算出することで、デフォルト確率PDを決定する。
S106において、第1審査部114は、S105で仮承諾したか否かを判定する。第1審査部114は、S105で仮承諾したとき処理をS107に進め、仮承諾していないとき処理をS108に進める。
S108において、第1審査部114は、顧客端末200に、仮審査の結果として拒否である旨を送信する。
S109において、第2審査部115は、顧客端末200から、本人証明情報を受信する。
S111において、第2審査部115は、S110で本承諾したか否かを判定する。第2審査部115は、S110で本承諾したとき処理をS112に進め、本承諾していないとき処理をS113に進める。
S112において、第2審査部115は、顧客端末200に、本審査の結果として本承諾である旨を送信する。
S113において、第2審査部115は、顧客端末200に、本審査の結果として拒否である旨を送信する。
以上説明したように、与信サーバ100は、顧客端末200から特定情報を受信し、受信した特定情報に基づいて個人信用情報を取得し、取得した個人信用情報に基づいてデフォルト確率を決定する。よって、所定の精度でデフォルト確率を決定できる。また、特定情報からデフォルト確率を決定でき、契約の諾否等の判断が可能になる。したがって、顧客は、ローン申込書等のように様々な情報を記入する必要がなくなる。また、顧客は、年収等のように記入に心理的な負荷のある項目を入力する必要がない。このため、デフォルトの発生を抑制しつつ、離脱率を低減させることができる。
また、与信サーバ100は、顧客端末200から、特定情報として、氏名、生年月日、及び、電話番号を受信する。与信サーバ100は、氏名、生年月日、及び、電話番号を個人信用情報サーバに送信して、個人信用情報サーバから個人信用情報を受信して、デフォルト確率を決定する。したがって、顧客は、少ない情報の入力のみでローン等を申し込むことができるため、離脱率を低減させることができる。
特に、与信サーバ100は、個人信用情報に基づいて、個人信用情報明細モデルの入力データとして、特定照会件数、ショッピング枠消化率、借入残高変化情報、最大残高経過情報、総残高、及び、専業契約件数を決定する。これらは、図7に示すように重要度が高いデータであり、与信サーバ100が決定するデフォルト確率の精度を確保できる。
ショッピング枠消化率は、クレジットカードのショッピング枠の消化率であり、デフォルト確率との相関が強いと考えられる。したがって、ショッピング枠消化率は、デフォルト確率を高精度に決定することに寄与する。
借入残高変化情報は、所定時の借入残高と、所定時より前の借入残高との差に基づく情報であり、借入残高の変化の傾向を表す。このような借入残高は、デフォルト確率との相関が強いと考えられる。したがって、借入残高変化情報は、デフォルト確率を高精度に決定することに寄与する。
総残高は、借入の残高の合計であり、借入の残高が多いほどデフォルト確率が高いと考えられる。すなわち、総残高は、デフォルト確率との相関が強いと考えられる。したがって、総残高は、デフォルト確率を高精度に決定することに寄与する。
専業契約件数は、顧客が行っている借入の契約のうち、顧客が貸金専業者と行っている契約の件数である。専業契約件数が多いほどデフォルト確率が高いと考えられる。すなわち、専業契約件数は、デフォルト確率との相関が強いと考えられる。したがって、専業契約件数は、デフォルト確率を高精度に決定することに寄与する。
上記の実施形態の個人信用情報明細モデルは、入力データとなる説明変数はx1からx17までの17個ある。しかし、入力データは17個に限定されるものではない。例えば、入力データに、借入情報510から決定される借入総残高、及び、専業契約件数が含まれなくてもよい。この場合でも、離脱率を低減させることができ、与信サーバ100が決定するデフォルト確率の精度を確保できる。
なお、説明変数の組合せは任意であるが、上述した重要度の説明からもわかるとおり、照会関連変数を含めた場合、与信サーバ100が決定するデフォルトの予測精度が高くなる。また、照会関連変数に加え、ショッピング関連変数を含めた場合、与信サーバ100が決定するデフォルト確率の精度はさらに高くなる。
なお、さらに他の種類の説明変数を加えてもよく限定はされない。
第2クレジット情報520の契約日は、顧客がクレジットカードの契約をした日である。
第2クレジット情報520のキャッシング枠は、キャッシング利用可能金額である。
第2クレジット情報520のキャッシング枠の使用済み残高は、クレジットカード利用によるキャッシング支払債務の残高である。
第2クレジット情報520の残債額は、顧客がクレジット会社等に支払わなければならない総額である。
第2クレジット情報520の入金額は、顧客がクレジット会社等に入金した金額である。
図5の借入情報510では、過去6回の入金の範囲では、第1債権、及び、第3債権について、前回、2回前、及び、3回前に、3回連続して延滞が発生している。また、過去6回の入金の範囲では、4回前以前に延滞は発生していない。したがって、入力データ決定部112は、過去6回の入金の範囲では、連続延滞回数を3とする。
また、過去12回の入金の範囲では、さらに、第1債権、第2債権、及び、第3債権について、7回前から11回前まで5回連続して延滞が発生している。したがって、入力データ決定部112は、過去12回の入金の範囲では、連続延滞回数を5とする。
図5の借入情報510では、入金状況において、予め、債権別、かつ、回別に延滞日数が集計されている。図5の借入情報510では、過去6回の入金の範囲では、第3債権の前回の入金の延滞日数15が最大である。したがって、入力データ決定部112は、過去6回の入金の範囲では、回別最大延滞日数を15とする。
また、過去12回の入金の範囲では、第1債権の10回前の入金の延滞日数30が最大である。したがって、入力データ決定部112は、過去12回の入金の範囲では、回別最大延滞日数を30とする。
図5の借入情報510では、過去6回の入金の範囲では、第1債権、及び、第3債権で入金の延滞が発生している。したがって、入力データ決定部112は、過去6回の入金の範囲では、回別延滞債権件数を2とする。
図5の借入情報510では、過去12回の入金の範囲では、第1債権、第2債権、及び、第3債権で入金の延滞が発生している。したがって、入力データ決定部112は、過去12回の入金の範囲では、回別延滞債権件数を3とする。
図12は決定木により表現されるモデルのイメージを示す図である。図12に示すとおり、決定木は、各入力変数の値と入力変数間の関係に基づいてデフォルト確率PDを決定するものであり、全体として一つの数式により表わされるわけではない。すなわち、決定木によりデフォルト確率PDを決定する場合、変数ごとの分岐の条件や分岐の結果次に判断対象となる変数が予め定められており、このような条件分岐等の判断を行うためのプログラムやデータベース(あるいはデータファイル)などが用いられる。
また、上記の実施形態では、与信サーバ100は、図9のS110で、本人証明情報から住所を抽出する。しかし、与信システム1のオペレータが本人証明情報を参照して、本人証明情報に記載された住所を与信サーバ100に入力してもよい。このとき、与信サーバ100は、図9のS110で、オペレータにより入力された住所を使って本審査を行う。
また、与信サーバ100は、本審査は行わず、仮審査までの処理を行うようにしてもよい。このとき、図3の申込画面400には住所入力部404は無くてもよく、与信サーバ100は顧客端末200から住所を受信しなくてもよい。
100 与信サーバ
200 顧客端末
300 個人信用情報サーバ
Claims (8)
- 個人を特定できる情報である特定情報を受信する受信手段と、
外部装置からの要求に応じて前記要求に対応する個人信用情報を前記外部装置に送信する個人信用情報管理装置から受信した前記個人信用情報であって、前記受信手段によって受信された前記特定情報に対応する前記個人の前記個人信用情報を取得する取得手段と、
前記取得手段によって取得された前記個人信用情報に基づいて、予め定められたモデルの入力データを決定する入力データ決定手段と、
前記入力データ決定手段によって決定された前記入力データ、及び、前記モデルに基づいて、デフォルト確率を決定するデフォルト確率決定手段と、
を有し、
前記入力データ決定手段は、前記取得手段によって取得された前記個人信用情報に基づいて、前記モデルの前記入力データとして、前記個人の前記個人信用情報に対する照会に関する変数であって、取引の形態ごとの照会に関する情報に基づいて決定された変数である1又は2以上の照会関連変数の入力データを決定する情報処理装置。 - 前記入力データ決定手段は、少なくとも1つの前記照会関連変数の入力データとして、所定の期間における前記個人の前記個人信用情報に対する所定の照会の件数又は照会の日数の合計数を決定する請求項1記載の情報処理装置。
- 前記入力データ決定手段は、少なくとも1つの前記照会関連変数の入力データとして、所定の期間における前記個人の前記個人信用情報に対する照会の件数のうち、所定の照会の件数を除いた特定照会件数を決定する請求項1又は2記載の情報処理装置。
- 前記入力データ決定手段は、少なくとも1つの前記照会関連変数の入力データとして、所定の期間における前記個人の前記個人信用情報に対する照会の日数のうち、所定の日数を除いた特定照会日数を決定する請求項1乃至3何れか1項記載の情報処理装置。
- 前記受信手段は、特定情報として氏名、生年月日、及び、電話番号を受信し、
前記取得手段は、前記受信手段によって受信された氏名、生年月日、及び、電話番号を、前記個人信用情報を管理する前記個人信用情報管理装置に送信し、前記個人信用情報管理装置から前記個人信用情報を受信することで、前記個人信用情報を取得する請求項1乃至4何れか1項記載の情報処理装置。 - 情報処理装置が実行する情報処理方法であって、
個人を特定できる情報である特定情報を受信する受信ステップと、
外部装置からの要求に応じて前記要求に対応する個人信用情報を前記外部装置に送信する個人信用情報管理装置から受信した前記個人信用情報であって、前記受信ステップによって受信された前記特定情報に対応する前記個人の前記個人信用情報を取得する取得ステップと、
前記取得ステップによって取得された前記個人信用情報に基づいて、予め定められたモデルの入力データを決定する入力データ決定ステップと、
前記入力データ決定ステップによって決定された前記入力データ、及び、前記モデルに基づいて、デフォルト確率を決定するデフォルト確率決定ステップと、
を有し、
前記入力データ決定ステップでは、前記取得ステップによって取得された前記個人信用情報に基づいて、前記モデルの前記入力データとして、前記個人の前記個人信用情報に対する照会に関する変数であって、取引の形態ごとの照会に関する情報に基づいて決定された変数である1又は2以上の照会関連変数の入力データを決定する情報処理方法。 - コンピュータを、請求項1乃至5何れか1項記載の情報処理装置の各手段として機能させるためのプログラム。
- 氏名、生年月日、電話番号、及び、個人の所定の情報である本人確認情報を受信する受信手段と、
前記受信手段によって受信された氏名、生年月日、及び、電話番号を、個人信用情報を管理する個人信用情報管理装置に送信し、前記個人信用情報管理装置から前記個人信用情報を受信することで、前記個人の前記個人信用情報を取得する取得手段と、
前記取得手段によって取得された前記個人信用情報に基づいて、予め定められたモデルの入力データを決定する入力データ決定手段と、
前記入力データ決定手段によって決定された前記入力データ、及び、前記モデルに基づいて、デフォルト確率を決定するデフォルト確率決定手段と、
前記デフォルト確率決定手段によって決定されたデフォルト確率に基づいて、審査を行う第1審査手段と、
前記第1審査手段によって承諾されたとき、前記本人確認情報を証明可能な本人証明情報と、前記受信手段によって受信される前記本人確認情報とに基づいて、審査を行う第2審査手段と、
を有し、
前記入力データ決定手段は、前記取得手段によって取得された前記個人信用情報に基づいて、前記モデルの前記入力データとして、前記個人の前記個人信用情報に対する照会に関する変数であって、取引の形態ごとの照会に関する情報に基づいて決定された変数である1又は2以上の照会関連変数の入力データを決定する情報処理装置。
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