JP4310397B2 - 信用リスク計量化モデルの寛厳性評価方法及びその実施プログラム - Google Patents

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Description

本発明は、信用リスク計量化モデルの寛厳性評価方法、その実施プログラム及び記録媒体に関する。特に、本発明は、金融機関、監査法人、信用格付機関若しくは金融監督当局等における信用審査信用評価、それらの監督部門における信用リスク等を算定するために作成されたモデルの寛厳性を評価する信用リスク計量化モデルの寛厳性評価方法、この方法をコンピュータに実施させるプログラム及びこのプログラムを記録する記録媒体に関する。
銀行、証券会社、信託会社、保険会社、信用金庫、農業協同組合等の金融機関においては、貸出金利や経営方針を作成するために、借り手企業の信用リスクを計量化する必要がある。例えば銀行は独自に信用リスクを計量化する統計モデル(以下、単に「信用リスクモデル」という。)を作成しており、この信用リスクモデルに企業の財務データや定性データを入力することにより、信用リスクが計量化されている。
信用リスクの計量化された代表的数値が「将来の一定期間(通常は1年)以内に企業がデフォルトする確率(法的倒産、債権放棄等が生じる確率)」であり、これは「デフォルト確率」と呼ばれている。BIS規約(国際決済銀行バーゼル委員会の国際規約)の「デフォルト」の定義において、利息支払いの延滞期間は3ヶ月である。
BIS基準の定義によって計算される信用リスクモデルの他に、BIS基準とは異なる定義によって計算される信用リスクモデルが存在している。また、例えば銀行によって独自に信用リスクモデルを作成する場合に限らず、格付機関等の外部機関よって作成された信用リスクモデルを銀行が購入する場合がある。銀行は、独自に作成した信用リスクモデル若しくは購入した信用リスクモデルに基づき、デフォルト確率を算出している。
信用リスクモデルの推計精度を知ることは、銀行にとって貸出金利を正確に導くことができるだけでなく、銀行自身の経営リスクを把握することができるので、重要である。また、金融監督当局にとっても、金融検査や行政指導の重要な指標となるので、BIS規準において作成された信用リスクモデルにおいても推計精度の検証は義務付けられている。
信用リスクモデルの精度の既存の評価方法には主に以下の2つの方法が使用されている。
(1)信用リスクモデルの構造式を調べ、この信用リスクモデルの仮定や論理が合理的であるかどうかを検討する第1の方法。
(2)信用リスクモデルから計算された推計値(例えばデフォルト確率)が実績データ(実際にデフォルトしたかどうか)を十分に説明しているかどうかを検討する第2の方法。
第2の方法は、実績データをモデル推計時に入手することができたかどうかによって、更に2つの方法に細分されている。
(2a)信用リスクモデルのパラメータ推計に使用した実績データに対する、推計デフォルト確率が正確であったかどうかの精度を検討する第3の方法(事前評価方法)。
(2b)信用リスクモデルの運用後、一定期間(例えば1年間)経過後の実績データに対して、推計デフォルト確率が正確であったかどうかの精度を検討する第4の方法(バックテスト方法)。
第3の方法は信用リスクモデルを作成した時点において精度の評価を行う方法であり、第4の方法は信用リスクモデルを作成した時点から一定期間経過後に精度の評価を行う方法である。
これらの信用リスクモデルの精度評価を行う場合、前述の第1の方法においては、信用リスクモデルの構造を詳細に把握する必要がある。また、第2の方法においては、デフォルト実績データが必要である。ところが、信用リスクモデルの構造や借り手企業のデフォルト実績データは信用リスクモデルの評価者にとって入手困難であることが一般的である。このため、迅速かつ正確な信用リスクモデルの評価を行うには、信用リスクモデルの構造に関する情報やデフォルト実績データを必要としない評価方法が望ましい。
信用リスクモデルの評価方法はBIS規約や金融庁ディスカッションペーパー等において提案されているが、評価方法を具体的に計算する方法は提案されていない。下記特許文献1には、信用リスクモデルの評価を実現可能な信用リスク評価モデルの精度評価システム及び精度評価方法が開示されている。
特開2004−355236号公報
しかしながら、前述の特許文献1に開示された信用リスク評価モデルの精度評価システム及び精度評価方法においては、信用リスクモデルを評価することは可能であるが、この評価結果を得るにはデフォルト実績データや企業の財務データが必要であり、結局、これらのデータを入手しなければ信用リスクモデルの評価を行うことができない。このため、この種の信用リスク評価モデルの精度評価システム及び精度評価方法は、モデル評価者にとって、実際には使い勝手が良いものではなかった。
更に、信用リスク評価モデルの精度評価システム及び精度評価方法において、評価指標はデータに対する適合度や予測の実績値を規準にしているので、他のモデルとの比較、社会コンセンサスとの比較等の信用リスクモデルの相対的な寛厳性を判断することができなかった。
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、本発明の目的は、デフォルト実績データや企業の財務データを必要とせずに、信用リスクモデルの性能の評価を一元的に行うことができ、複数種類の信用リスクモデルの全体において1つの信用リスクモデルの客観的な寛厳性を評価することができる信用リスク計量化モデルの寛厳性評価方法、その実施プログラム及び記録媒体を提供することにある。
更に、本発明の目的は、信用リスクモデルの評価者にとって使い勝手を向上することができる信用リスク計量化モデルの寛厳性評価方法、その実施プログラム及び記録媒体を提供することにある。
更に、本発明の目的は、複数種類の信用リスクモデルの全体において互いに異なる種類の信用リスクモデル間の比較、信用リスクモデルと社会コンセンサスとの間の比較等の信用リスクモデルの相対的な寛厳性を評価することができる信用リスク計量化モデルの寛厳性評価方法、その実施プログラム及び記録媒体を提供することにある。
上記課題を解決するため、本発明の実施の形態に係る第1の特徴は、入力部と、評価関数計算部と、寛厳性評価計算部と、記憶手段とを備えた寛厳性評価システムにより実行される信用リスク計量化モデルの寛厳性評価方法であって、入力部により、貸倒のリスクを計量化した複数の信用リスクモデルにおける各々のモデル構造の情報、金融機関jによる借り手企業iのデフォルト実績データ及び金融機関jによる借り手企業iの推計デフォルト確率データのうち、推計デフォルト確率データを記憶手段に書き込むステップと評価関数計算部により、信用リスクモデルのモデル構造の情報及びデフォルト実績データを用いないで、記憶手段から読み出された推計デフォルト確率データをP ij とし、借り手企業iの信用力を表す未知のコンセンサスデフォルト確率をQ 、評価関数パラメータをθとして金融機関jの信用リスクモデルの未知の評価関数をf 及び金融機関j借り手企業iに対する未知の誤差をε ij とする疑似評価モデル式
ij =f (Q |θ )+ε ij
を用い、疑似評価モデル式の最適化計算を誤差ε ij の自乗和を最小にする目的関数に応じて行い、コンセンサスデフォルト確率 、評価関数 評価関数パラメータθ 及び誤差ε ijのそれぞれの唯一の解である最適値を算出するステップと、寛厳性評価計算部により、疑似評価モデル式を用いて算出されたいずれか1つの最適値を基準として、信用リスクモデルの推計デフォルト確率データP ij 、最適化されたコンセンサスデフォルト確率 最適化された擬似評価関数パラメータθ 及び最適化された誤差ε ij のいずれか1つの大小を判断し、大きい場合には信用リスクモデルの計算結果が厳しいと、小さい場合には信用リスクモデルの計算結果が甘い寛厳性を評価するステップとを備える。
また、第1の特徴に係る信用リスク計量化モデルの寛厳性評価方法において、信用リスクモデルの寛厳性を評価するステップは、疑似評価モデル式の評価関数パラメータの最適値に基づいて複数の信用リスクモデルの全体において1つの信用リスクモデルの客観的な寛厳性を相対的に評価するステップであることが好ましい
た、第1の特徴に係る信用リスク計量化モデルの寛厳性評価方法において、疑似評価モデル式を用いて最適値を算出するステップは、線形又は非線形の疑似評価モデル式を用いて最適値を算出するステップであることが好ましい。
また、第1の特徴に係る信用リスク計量化モデルの寛厳性評価方法において、信用リスクモデルの寛厳性を評価するステップは、疑似評価モデル式最適化された誤差と前記最適化されたコンセンサスデフォルト確率との和を企業の業種分類に従って集計しその平均値を算出し、この平均値に対して、信用リスクモデルの特定業種の推計デフォルト確率データの平均値の大小を比較し、信用リスクモデルの計算結果が甘いか厳しいかの寛厳性を評価するステップであることが好ましい。
また、第1の特徴に係る信用リスク計量化モデルの寛厳性評価方法において、信用リスクモデルの寛厳性を評価するステップは、信用リスクモデルの推計デフォルト確率データと擬似評価モデル式を用いて算出されたコンセンサスデフォルト確率の最適値との差を算出し、この算出結果の値の負か正かにより特定企業の前記信用リスクモデルの計算結果が甘いか厳しいかの寛厳性を評価するステップであることが好ましい。
本発明の実施の形態に係る第2の特徴は、第1の特徴に係る信用リスク計量化モデルの寛厳性評価方法の各ステップを備えた信用リスク計量化モデルの寛厳性評価プログラムである。
本発明の実施の形態に係る第3の特徴は、第2の特徴に係る信用リスク計量化モデルの寛厳性評価プログラムを格納した記録媒体である。
本発明によれば、デフォルト実績データや企業の財務データを必要とせずに、信用リスクモデルの性能の評価を一元的に行うことができ、複数種類の信用リスクモデルの全体において1つの信用リスクモデルの客観的な寛厳性を評価することができる信用リスク計量化モデルの寛厳性評価方法、その実施プログラム及び記録媒体を提供することができる。
更に、本発明によれば、信用リスクモデルの評価者にとって使い勝手を向上することができる信用リスク計量化モデルの寛厳性評価方法、その実施プログラム及び記録媒体を提供することができる。
更に、本発明によれば、複数種類の信用リスクモデルの全体において互いに異なる種類の信用リスクモデル間の比較、信用リスクモデルと社会コンセンサスとの間の比較等の信用リスクモデルの相対的な寛厳性を評価することができる信用リスク計量化モデルの寛厳性評価方法、その実施プログラム及び記録媒体を提供することができる。
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しつつ詳細に説明する。
[信用リスク計量化モデルの寛厳性評価システムの構成]
図1に示すように、本発明の一実施の形態に係る信用リスク計量化モデルの寛厳性評価システム1は、信用リスクモデルの評価関数計算部12と、寛厳性評価計算部15と、評価出力部16とを備えている。
信用リスクモデル10は、金融機関、監査法人、信用格付機関若しくは金融監督当局等においてリスク管理の一助として構築された、貸倒のリスクを計量化した「信用リスクモデル」に関する情報である。この信用リスクモデル10は、貸出先の財務データや定性データを元にデフォルト確率等の信用リスク情報を算出することができる。本実施の形態において、信用リスク計量化モデルの寛厳性評価システム1は、信用リスクモデル10の出力データから主に「金融機関(例えば銀行)jによる企業iの推計デフォルト確率データ」101を使用する。信用リスク計量化モデルの寛厳性評価システム1においては、複数種類の信用リスクモデル10の主に推計デフォルト確率データ101が使用され、これらの推計デフォルト確率データ101が相互に比較される。金融機関、格付機関等はそれぞれ独自の信用リスクモデルを持っているので、この複数種類の信用リスクモデルのそれぞれにおいて算出されるデフォルト確率は同一企業であっても異なる。ここで、「金融機関」とは、銀行、証券会社、信託会社、保険会社、信用金庫、農業協同組合のいずれかが少なくとも含まれる意味において使用されている。
企業個別データ11は、本実施の形態に係る信用リスク計量化モデルの寛厳性評価システム1に付随的に備えられており、信用リスクモデルの精度を向上する場合又は信用リスクモデルの寛厳性の要因分解を行う場合において使用する業種データ及び財務データ111等の推計デフォルト確率データ101以外の他のデータである。本実施の形態において、企業個別データ11は信用リスクモデル10に対して別のデータとしているが、本発明においては、企業個別データ11は信用リスクモデル10の一部のデータであってもよい。また、本発明においては、信用リスク計量化モデルの寛厳性評価システム1は、企業個別データ11を特に備えずに、業種データ及び財務データ111のみ入力する構成にしてもよい。
信用リスクモデルの評価関数計算部12は、信用リスクモデル10の推計デフォルト確率データ101に基づき、金融機関等の信用リスクモデルの評価関数のパラメータ推計を計算する。評価関数のパラメータと企業毎の寛厳性データ13は、信用リスクモデルの評価関数計算部12において計算された評価関数のパラメータと企業毎の寛厳性変数を同時に計算することにより得られる。コンセンサスデフォルト確率データ14は、評価関数のパラメータ推計と同時に計算され出力される。
寛厳性評価計算部15は、信用リスクモデルの評価関数計算部12において計算された評価関数のパラメータと企業毎の寛厳性データ13の寛厳性変数に基づき、下記の金融機関等の信用リスクモデルの寛厳性の評価を行う。この寛厳性の評価は、信用リスク計量化モデルの寛厳性評価システム1の実効的な出力である。
(1) 信用リスクモデルの推定パラメータによる信用リスク計量化モデル全体の寛厳性の評価
(2) 信用リスクモデルの誤差項を業種毎に集計することによる信用リスク計量化モデルの業種間寛厳性の評価
(3) 信用リスクモデルの誤差項の大小を比較することによる個別企業に対する寛厳性の評価
また、寛厳性評価計算部15においては、企業個別データ11に業種データ及び財務データ111が存在していれば、この業種データ及び財務データ111を使用して、例えば「製造業に厳しい」や「売上高の大きい企業に対して甘い」等の財務データと寛厳性との間の要因分析を行うことができる。
信用リスクモデルの評価関数計算部12、寛厳性評価計算部15においてそれぞれ実行される計算方法は後述する。なお、本実施の形態において、信用リスクモデルの評価関数計算部12、寛厳性評価計算部15はいずれも別々のハードウェア構成(例えば回路)により構築されているが、本発明においては、1つのハードウェア構成として構築することができる。また、本発明において、信用リスクモデルの評価関数計算部12等の少なくとも1つの計算部が、既存の中央演算処理ユニット(CPU)とその実行プログラムとにより構築されてもよい。
評価出力部16は、寛厳性評価計算部15において計算された信用リスクモデルの寛厳性の評価、信用リスクモデルの評価関数計算部12において計算されたコンセンサスデフォルト確率を、電子データとして、画像として、若しくは印刷物として出力する。また、寛厳性評価計算部15において計算された信用リスクモデルの寛厳性の評価に関するデータは、フィードバック情報152として信用リスクモデル10(若しくは金融機関、格付け機関等)に送られる。この信用リスクモデルの寛厳性の評価に関するデータは、金融機関、格付け機関等において信用リスクモデル10の修正、改良等に有効な情報として、或いは監督当局において行政検査を行う有効な情報として利用することができる。
[信用リスク計量化モデルの寛厳性評価方法]
(1)信用リスク計量化モデルの寛厳性評価方法の概念
例えば、ある企業が複数の金融機関から貸出を受けている場合、金融機関が持っている信用リスクモデルの種類の違いにより、本来、同一であるデフォルト確率は違う値として示される。金融機関の信用リスク計量化モデルを評価するとき、この信用リスク計量化モデルに使用された計算ステップを全て把握し、評価することが望ましい。ところが、信用リスク計量化モデルに使用されているすべての数式が合理性を伴っているか否かをチェックするのは、信用リスク計量化モデル自体の構造が複雑であり、又その内容を解読することが難しいので、困難である。従って、信用リスク計量化モデルの出力結果のみを用いて、その出力結果の値を複数の信用リスク計量化モデル間において相互評価することによって、信用リスク計量化モデルの外観をチェックする方法が有効である。
例えば、信用リスクモデルにおいて、「信用力」には、財務データ、定性的データ若しくは業種等のマクロ要因が勘案される。推計デフォルト確率が「全体的に低い」、「特定の業種に甘い」等の評価を銀行が行う場合、デフォルト確率が低く推計された原因の解明が重要なのではなく、「どの程度低く推定されているか」といった寛厳性の程度を正確に把握することの方がより重要である。
本実施の形態に係る信用リスク計量化モデルの寛厳性評価方法は、企業の財務データ等のミクロなデータを使用することなく、推計デフォルト確率の妥当性を相互に比較する方法である。信用リスク計量化モデルの寛厳性評価方法において、個々の企業のデータとしては、唯一「企業信用力(真のデフォルト確率)」が使用される。但し、この変数は、財務データと違い、直接観測することができないので、信用リスク計量化モデルの寛厳性評価方法において同時に推計を行う。
(2)信用リスク計量化モデルの寛厳性評価方法の具体例(計算方法)
本実施の形態に係る信用リスク計量化モデルの寛厳性評価方法は図2に示す手順に従う。各々の金融機関等、例えば各々の銀行は信用リスクモデルを持っており(ステップS1)、この信用リスクモデルに従い、銀行jが借り手企業iに対する推計デフォルト確率を計算する(ステップS2)。信用リスクモデルは前述の図1に示す信用リスクモデル10であり、信用リスクモデル10から推計デフォルト確率データ101が信用リスクモデルの評価関数計算部12に読み込まれる。
推計デフォルト確率を計算するとき、信用リスクモデルの中には様々な構造式(関数)が仮定されている。この構造式は信用リスクモデルの精度の評価者にとって未知である。そこで、このような未知の構造式に代えてモデル関数を仮定し、このモデル関数を計算する(ステップS3)。このモデル関数の計算は信用リスクモデルの評価関数計算部12により実行される。
信用リスクモデルの評価関数計算部12においては、まず最初に下記(1)式に示すモデル関数が定義(仮定)される(ステップS31)。
Figure 0004310397
ここで、Pijは銀行jが借り手企業iに対して推計したデフォルト確率である。この推計デフォルト確率Pijは信用リスク計量化モデルの寛厳性評価方法において使用される入力変数であり、この入力変数の一例は図3に示す。図3において、横方向の項目は各々の銀行j(j=A、B、C、D)及び借り手企業iの業種であり、縦方向の項目は借り手企業i(i=1、2、…、10)である。例えば、銀行Aが借り手企業1に対して推計したデフォルト確率Pijは1.6%である。
(・│θ)は銀行jの信用リスクモデルの評価関数(非観測)であり、θは関数パラメータである。ここで用いた「・」は銀行が利用する信用リスクに関する情報集合のすべてを表している。本実施の形態においては、この情報集合のすべてを入手することが困難であることを考慮し、コンセンサスデフォルト確率Qのみを用いて評価関数が表現されている。信用リスクモデルの構造式は未知であるので、この構造式の代わりに簡単な関数が仮定される。最も単純な関数を仮定する場合には線形関数を使用することができる(後述する(3)式参照。)。関数fや関数パラメータθは、各々の銀行によって値が異なるので、銀行毎に添字として「j」を付けている。また、評価関数fや関数パラメータθの値は銀行によって差異を有するので、同じ企業であっても銀行によって推計デフォルト確率Pijが異なる。
は、借り手企業iのコンセンサスデフォルト確率(非観測)であり、借り手企業iの信用力を表す変数である。コンセンサスデフォルト確率Qは直接観測することができないので、ここでは未知のパラメータである。本実施の形態に係る信用リスク計量化モデルの寛厳性評価方法を使用した計算処理後の、コンセンサスデフォルト確率Qの値は、信用リスクモデルの評価関数計算部12の入力データである、各銀行の推計デフォルト確率の平均的な値として推計される。
εijは、銀行jの借り手企業iに対する推計誤差であり、平均「0」、標準偏差σの正規分布に従う。
上記(1)式によれば、銀行jが借り手企業iに対する推計デフォルト確率Pijは、デフォルト確率の全体のコンセンサスデフォルト確率Qのみによって算出され、信用リスクモデルの誤差との和において表現される。評価関数fには様々な種類があり、評価関数は抽象的に「f」と定義する。(1)式において、右辺はすべて未知である。
ここで、図3に示すように、複数の銀行jから推計デフォルト確率Pijが与えられた借り手企業iが多数存在するとき、下記(2)式に示すように、推計誤差εijの自乗和を最小とする目的関数を使用してコンセンサスデフォルト確率Q、評価関数パラメータθ及び推計誤差εijを同時に推計する(ステップS34〜S35)。
Figure 0004310397
Mは銀行の数、Nは借り手企業の総数である。
評価関数fが線形関数であると仮定した場合、(1)式は下記(3)式のように書き直すことができる。
Figure 0004310397
ここで、α、βはいずれも評価関数パラメータである。実際に寛厳性評価の計算を実行するときには、評価関数パラメータα、β、コンセンサスデフォルト確率Qには初期値が設定される(ステップS32)。
上記(3)式は下記(4)式に示すように推計誤差εijの式として書き直すことができる(ステップS33)。
Figure 0004310397
上記(2)式に上記(4)式を代入すると、下記(5)式に示すように、推計誤差εijの自乗和を最小とし、上記(2)式を最適化することができる(ステップS35)。
Figure 0004310397
この最適化はニュートン法、共役複素法等、一般的な制約無し非線形最適化のプログラムを実用的に使用することができる。但し、評価関数fの形状によっては凸性が部分的に保たれていない場合、収束速度が遅い場合が存在し、このような場合には内点法等の特殊なプログラムを使用することが効果的である。最適化計算の結果、評価関数パラメータα、βとコンセンサスデフォルト確率Qの最適値を求めることができる(ステップS36)。求められた最適値は以下のように表記する。
Figure 0004310397
なお、明細書文章中において、上付記号「^」は表記することができないので、後付記号として表記する。例えば、上記最適値は、便宜上、「α^j」、「β^j」及び「Q^」と表記する。
(3)信用リスク計量化モデルの寛厳性評価方法における解の一意性
本実施の形態に係る信用リスク計量化モデルの寛厳性評価方法において、評価関数fが線形関数や指数関数等の単調関数であれば解の一意性があり、最適化計算を実行することによって解を収束することができる。通常の統計モデルにおいては、左辺が入力データ(被説明変数)であり、右辺は未知パラメータ及び入力データ(説明変数)である。この統計モデルの未知パラメータの数が入力データに比較して多い場合、統計モデルは不定となり、最適化計算を実行しても解を収束することができない。
これに対して、本実施の形態に係る信用リスク計量化モデルの寛厳性評価方法においては、上記(3)式の右辺が未知の評価関数パラメータαj、βjと未知のコンセンサスデフォルト確率(パラメータ)Qとの積であり、一見するとパラメータが多く、解は収束しないように見える。信用リスク計量化モデルの寛厳性評価方法に使用する計算方法が通常の統計モデルに対して根本的に相違する点は、左辺の入力データが銀行jと借り手企業iとに関するマトリックス(表)になっていることである。従って、入力データ数は十分に存在するので、解は不定にはならない。
例えば、銀行jの数が「100」、借り手企業iの数が「100」の場合、左辺の入力データ数は「10000(=100×100)」である。これに対して、右辺のパラメータ数は、評価関数パラメータαが「100」、評価関数パラメータβが「100」、未知のコンセンサスデフォルト確率Qが「100」であり、合計「300」である。つまり、未知のパラメータの推定が十分に可能であり、最適化計算を実行することによって解を収束することができる。
(4)コンセンサスデフォルト確率Qiとその誤差
信用リスクモデル評価関数計算部12によって算出された(推計された)評価関数パラメータα、βは銀行jの信用リスクモデルの評価関数に対して比較することができる。また、推計された評価関数パラメータを使用して、下記(6)式に示すように、推計誤差εijを算出することができる。
Figure 0004310397
この推計誤差εijの計算結果から、特定の銀行jが特定の企業iに対して、「甘い格付」を与えているか、「辛い格付」を与えているかの評価を実施することができる。例えば、推計誤差εijが「マイナス」であれば、銀行jは企業iに対して「低いデフォルト確率」を設定していることになる。
(5)寛厳性の評価方法
(5−1)信用リスクモデルの全体的な寛容性の評価方法
信用リスクモデルの評価関数計算部12の計算結果、例えば評価関数パラメータαに着目してみると、この評価関数パラメータα^の値が「小さい」銀行j(それ以外の金融機関等も同様である)の推計デフォルト確率Pijは「全体的に甘い」と評価(判断)することができる。逆に、評価関数パラメータα^の値が「大きい」銀行jの推計デフォルト確率Pijは「全体的に厳しい」と評価(判断)することができる。この信用リスクモデルの全体的な寛容性の評価は、図1に示す信用リスクモデルの評価関数計算部12の計算結果に基づき、企業毎の寛厳性データ13を用いて、寛厳性評価計算部15において計算することができる(ステップS4及びステップS5)。
また、計算結果の評価関数パラメータβは推計デフォルト確率Pijの「感度」を表している。評価関数パラメータβ^が「大きい」銀行jは、信用力の高い企業iの推計デフォルト確率Pijと低い企業iの推計デフォルト確率Pijとの差が大きいという評価をすることができる。言い換えれば、「高い格付」の企業iの推計デフォルト確率Pijは「低め」に推計されており、「低い格付」の企業iの推計デフォルト確率Pijは「高め」に推計されている。
このような計算結果の評価関数パラメータに基づき、評価関数fをグラフ化すれば、寛厳性の評価を簡易に実施することができる。なお、信用リスクモデルの評価関数計算部12における具体的な計算例は後述するが、評価関数パラメータα^、β^の計算結果の一例は図4に示し、評価関数fのグラフ化した一例は図5に示す。
(5−2)信用リスクモデルの個別企業毎の寛容性の評価方法
銀行jが借り手企業iに対して与えた推計デフォルト確率Pijの寛厳性は、図1に示す企業毎の寛容性データ13を用いて、寛厳性評価計算部15において評価することができる(ステップS4及びステップS5)。この推計デフォルト確率Pijの寛厳性Sijは、下記(7)式に示すように、信用リスクモデルの評価関数計算部12の計算結果に基づくコンセンサスデフォルト確率Q^と推計デフォルト確率Pijとを比較することにより得ることができる。
Figure 0004310397
寛厳性Sijの値が大きい程、銀行jが借り手企業iに対して、大きな推計デフォルト確率Pijを与えていると評価することができる。つまり、銀行jは借り手企業iに対して厳しい評価をしていることになる。
(5−3)信用リスクモデルの業種間の寛容性の評価方法
信用リスクモデルの評価関数計算部12において、上記(2)式及び(5)式を使用した最適化計算よって求められた推計誤差εを借り手企業iの業種毎に集計し、その平均値を計算することによって銀行jの業種間の寛厳性を評価することができる。この計算には借り手企業iの業種に関する情報が必要である。後述する具体的な計算例は、複数の借り手企業iのそれぞれの業種が「建設業」か「製造業」かの情報を有する場合を想定している。
推計誤差εを集計することによって業種間の寛厳性を評価することができるが、同様に推計デフォルト確率Pijの寛厳性Sijを集計することによって業種間の寛厳性を評価することができる。後者の場合、銀行jの全体の寛厳性を加味した寛厳性の評価になる。
[非線形評価関数を用いた信用リスクモデルの寛厳性評価方法]
前述の信用リスクモデルの寛厳性評価方法は、評価関数fを線形関数とした評価方法である。つまり、信用リスクモデルの評価関数計算部12において最適化計算に基づき推計する評価関数パラメータはα、β(及びコンセンサスデフォルト確率Q)である。信用リスクモデルの寛厳性評価方法において、評価関数fが必ず線形関数である必要が無く、実務的要請に応じて非線形関数を使用することができる。
線形関数を使用した場合、銀行jの推計デフォルト確率Pijがマイナスになる可能性があり、又最適化計算によって推計される真のデフォルト確率がマイナスになる可能性がある。また、線形の評価関数を使用した弊害としては、推計デフォルト確率Pijが「1%」と「2%」との差異は、デフォルト確率Pijが「10%」と「11%」との差異と同等の誤差であると仮定していることにある。このような弊害は、信用リスクの実務から言えば受け入れがたい仮定であるので、より精緻な寛厳性の評価を実施する場合には評価関数fの形状は慎重に設定する必要がある。
非線形の評価関数を使用する場合、一般的には上記(1)式〜(2)式の形において表すことができ、最適化計算によって算出される評価関数パラメータはθとQとである。推計誤差εijは下記(8)式により算出することができる。
Figure 0004310397
例えば、上記(1)式の両辺に対数をとり、最適化計算を実施する場合には、(1)式は下記(9)式のように表すことができる。
Figure 0004310397
上記(9)式に評価関数fを非線形関数として与えると、(9)式は下記(10)式に書き換えることができる。
Figure 0004310397
上記(2)式に上記(10)式を代入すると、下記(11)式に示すように上記(2)式を最適化することができる。
Figure 0004310397
[財務データを用いた信用リスクモデルの寛厳性評価方法]
前述の信用リスクモデルの寛厳性評価方法においては借り手企業iの業種間の寛厳性を評価する例を説明したが、本実施の形態に係る信用リスクモデルの寛厳性評価方法は財務データを使用した寛厳性の評価も実施することができる。つまり、借り手企業iの財務データを使用した信用リスクモデルにおいても、信用リスクモデル相互の比較を実現することができる。
本実施の形態に係る信用リスクモデルの寛厳性評価方法には、まず企業iの財務データχを下記(12)式のように定義する。χは財務変数であり、例えば、χは企業の売上高、χは計時用利益、χは…である。
Figure 0004310397
上記(9)式に上記(12)式を代入すると、非線形関数を評価関数パラメータとして使用する推計デフォルト確率Pijは下記(13)式により表すことができる。
Figure 0004310397
ここで、ωは、財務データに付く銀行固有の財務変数パラメータである。各々の銀行がどの財務変数を重要視しているかのかが反映されている。例えば、ωが大きければ、上記定義に従い銀行は売上高を信用リスクの要因として重視していることが解る。最適化関数は、(2)式の形において表すと下記(14)式のようになる。
Figure 0004310397
上記(14)式を使用した最適化計算によれば、推計誤差εijの推計と同時に、財務変数パラメータωを推計することができる。
[信用リスクモデルの寛厳性評価方法による具体的な計算例]
次に、本実施の形態に係る信用リスクモデルの寛厳性評価方法の具体的な計算例を説明する。なお、この具体的な計算例においては、評価関数fは線形関数を使用した。
まず、図1に示す信用リスク計量化モデルの寛厳性評価システム1において、信用リスクモデルの評価関数計算部12への入力データは信用リスクモデル10から得る(ステップS1)。入力データは、図3に示すように、金融機関等としての銀行jつまりA行、B行、C行、D行の4行が独自に作成した信用リスクモデルを用いて1番から10番までの10社の借り手企業iのデフォルト確率を推計した推計デフォルト確率Pijである。図3に示す入力データにおいて、借り手企業iは必ずしもすべての銀行jから借り入れているわけでないので、借り入れがない箇所は空欄になる。最後の列は借り手企業iの業種間の寛厳性の計算に使用する業種データ111である。
図3に示す入力データすなわち推計デフォルト確率Pijデータ101に基づき(ステップS2)、信用リスクモデルの評価関数計算部12において各々の銀行jの評価関数fを推定する(ステップS3)。具体的な計算方法は、上記(5)式を使用し、上記(2)式において最適化計算を行い、推計誤差εijの自乗和を最小化とする、A行〜D行の評価関数パラメータα、β及び1社〜10社のコンセンサスデフォルト確率Qを算出する。図4は計算結果の評価関数パラメータα^、β^の数値を示す。
ここで、図4に示す評価関数パラメータα^、β^の数値だけでは、各々の銀行A行〜D行の信用リスクモデルの寛厳性を捉えて評価することが難しい。そこで、寛厳性を感覚的に評価するために、図5に示すようにグラフ化した。図5において、横軸はコンセンサスデフォルト確率Q^であり、縦軸は各々の銀行A行〜D行の評価関数を使用した場合の推計デフォルト確率Pijである。いずれも単位はパーセントである。評価関数パラメータα^は評価関数の切片、評価関数パラメータβ^は傾きに相当する。図5に示すグラフから信用リスクモデルの全体の寛厳性を感覚的に把握することができる。例えば、銀行A行〜D行のうち、B行は全体的に「低い」推計デフォルト確率Pijを推計しており、寛厳性の評価が「甘い」ことを理解することができる。また、C行は「やや高い」推計デフォルト確率Pijを与えている。D行は、健全な企業iには「低い」推計デフォルト確率Pijを与え、不健全な企業iには「高めの」推計デフォルト確率Pijを与えていることを理解することができる。A行は「平均的な」推計デフォルト確率Pijを与えていることを理解することができる。
次に、推計されたコンセンサスデフォルト確率Q^と推計誤差εijついての評価を実施する。図6に推計された一例のコンセンサスデフォルト確率Q^及び推計誤差εijの具体的な数値を示す。コンセンサスデフォルト確率Q^の評価はコンセンサスデフォルト確率データ14を用いて行われる(ステップS6)。図6に示すコンセンサスデフォルト確率Q^において、5番目の企業には0.31%の「非常に低い」推計デフォルト確率Q^が与えられ、逆に4番目の企業には3.33%の「倒産リスクの高い企業である」との推計デフォルト確率Q^が与えられ評価を受けている。図6に示す推計誤差εijの水準を見ると、概ね0.5%以内に収まっている。これは、本実施の形態に係る信用リスク計量化モデルの寛厳性評価方法の評価の信頼性が高いことを意味する。なお、評価関数fに上記(9)式に示す非線形関数を使用した場合、コンセンサスデフォルト確率Q^は、平均値に対して何倍の値になるかという評価になる。
次に、推計デフォルト確率Pijの寛厳性Sijの評価を実施する。寛厳性Sijの評価は、推計デフォルト確率Pijとコンセンサスデフォルト確率Q^との差であり、企業毎の寛厳性データ13を用いて寛厳性評価計算部15において実施される(ステップS4、ステップS5及びステップS7)。図7には各々の銀行A行〜D行が与えた一例の推計デフォルト確率Pijの寛厳性Sijの具体的な数値を示す。例えば、A行が1番目の企業に与えた推計デフォルト確率Pijは図3に示すように1.6%であったが、コンセンサスデフォルト確率Q^は図6及び図7に示すように1.89%であり、双方の差−0.29%が寛厳性Sijである。符号がマイナスになるので、A行の1番目の企業に対する評価は、推計デフォルト確率Pijを過小に見積り、「甘い」評価であったことを理解することができる。
図6に示す個々の推計誤差εijを比較すると、A行が8番目の企業に与えた推計デフォルト確率Pijは、−0.50%であり、過小評価(甘い評価)であったことを理解することができる。また、C行が1番目の企業に与えた推計デフォルト確率Pijも低かったことを確認することができる。逆に、D行が4番目の企業に与えた推計デフォルト確率Pijは、+1.67%であり、信用リスクの過大評価(厳しい評価)であったことを理解することができる。
更に、本実施の形態に係る信用リスク計量化モデルの寛厳性評価方法においては、企業iの業種間の寛厳性を評価することができる。図8には、図3に示す業種フラグに基づき、図6に示す推計誤差εijを業種別に平均を取ったデータを示す。図8に示すように、A行は、製造業の推計デフォルト確率Pijを0.14%の低めに推計し、逆に建設業の推計デフォルト確率Pijを高めに推計する傾向があると評価することができる。D行はその傾向が逆転する。B行及びC行に関しては業種別に偏った推計デフォルト確率Pijを与えていないと評価することができる。
なお、本発明は、上記一実施の形態に限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲において、種々変更することができる。例えば、上記本実施の形態は、信用リスク計量化モデルの寛厳性評価方法、コンセンサスデフォルト確率Qの推計方法、業種別の寛厳性評価の推計方法等を中心に説明したが、本発明は、更に業種別フラグ以外の他のフラグを使用することにより、他のカテゴリーの寛厳性を評価するようにしてもよい。
更に、上記本実施の形態は、信用リスク計量化モデルの寛厳性評価システム1をハードウェア構成とした例を説明したが、本発明は、この信用リスク計量化モデルの寛厳性評価システム1の動作手順と同等の機能を備えたプログラムを既存の中央演算処理ユニットに実行させるソフトウェア構成としてもよい。この場合、本発明の権利範囲には、このようなプログラムが格納された、磁気ディスク、光ディスク、不揮発性メモリ、揮発性メモリ等の記録媒体が当然に含まれる。
本発明の一実施の形態に係る信用リスク計量化モデルの寛厳性評価システムのシステム構成図である。 本実施の形態に係る信用リスク計量化モデルの寛厳性評価方法を説明するフローチャートである。 本実施の形態に係る信用リスクモデルの推計デフォルト確率データ(入力データ)を示す表である。 本実施の形態に係る評価関数パラメータの計算結果を示す表である。 本実施の形態に係る各銀行の信用ランクと推計デフォルト確率との関係を示すグラフである。 本実施の形態に係る推計誤差と各企業のコンセンサスデフォルト確率との関係を示す表である。 本実施の形態に係る個別企業の寛容性評価を内容を示す表である。 本実施の形態に係る業種別の寛厳性(業種別推計誤差の平均)を示す表である。
符号の説明
1 信用リスク計量化モデルの寛厳性評価システム
10 信用リスクモデル
11 企業個別データ
12 信用リスクモデルの評価関数計算部
13 企業毎の寛厳性データ
14 コンセンサスデフォルト確率データ
15 寛厳性評価の計算部
16 評価出力部
101 推計デフォルト確率データ
111 財務データ

Claims (6)

  1. 入力部と、評価関数計算部と、寛厳性評価計算部と、記憶手段とを備えた寛厳性評価システムにより実行される信用リスク計量化モデルの寛厳性評価方法であって、
    前記入力部により、貸倒のリスクを計量化した複数の信用リスクモデルにおける各々のモデル構造の情報、金融機関jによる借り手企業iのデフォルト実績データ及び前記金融機関jによる前記借り手企業iの推計デフォルト確率データのうち、前記推計デフォルト確率データを前記記憶手段に書き込むステップと
    前記評価関数計算部により、前記信用リスクモデルの前記モデル構造の情報及び前記デフォルト実績データを用いないで、前記記憶手段から読み出された前記推計デフォルト確率データをP ij とし、前記借り手企業iの信用力を表す未知のコンセンサスデフォルト確率をQ 、評価関数パラメータをθとして前記金融機関jの前記信用リスクモデルの未知の評価関数をf 及び前記金融機関j前記借り手企業iに対する未知の誤差をε ij とする疑似評価モデル式
    ij =f (Q |θ )+ε ij
    を用い、前記疑似評価モデル式の最適化計算を前記誤差ε ij の自乗和を最小にする目的関数に応じて行い、前記コンセンサスデフォルト確率 、前記評価関数 前記評価関数パラメータθ 及び前記誤差ε ij のそれぞれの唯一の解である最適値を算出するステップと、
    前記寛厳性評価計算部により、前記疑似評価モデル式を用いて算出されたいずれか1つの前記最適値を基準として、前記信用リスクモデルの前記推計デフォルト確率データP ij 、最適化されたコンセンサスデフォルト確率 最適化された擬似評価関数パラメータθ 及び最適化された誤差ε ij のいずれか1つの大小を判断し、大きい場合には前記信用リスクモデルの計算結果が厳しいと、小さい場合には前記信用リスクモデルの計算結果が甘い寛厳性を評価するステップと、
    を備えたことを特徴とする信用リスク計量化モデルの寛厳性評価方法。
  2. 前記信用リスクモデルの寛厳性を評価するステップは、前記疑似評価モデル式の前記評価関数パラメータの前記最適値に基づいて複数の前記信用リスクモデルの全体において1つの前記信用リスクモデルの客観的な寛厳性を相対的に評価するステップであることを特徴とする請求項1に記載の信用リスク計量化モデルの寛厳性評価方法。
  3. 前記疑似評価モデル式を用いて最適値を算出するステップは、線形又は非線形の前記疑似評価モデル式を用いて最適値を算出するステップであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の信用リスク計量化モデルの寛厳性評価方法。
  4. 前記信用リスクモデルの寛厳性を評価するステップは、前記疑似評価モデル式の前記最適化された誤差と前記最適化されたコンセンサスデフォルト確率との和を企業の業種分類に従って集計しその平均値を算出し、この平均値に対して、前記信用リスクモデルの特定業種の前記推計デフォルト確率データの平均値の大小を比較し、前記信用リスクモデルの計算結果が甘いか厳しいかの寛厳性を評価するステップであることを特徴とする請求項1又は請求項3に記載の信用リスク計量化モデルの寛厳性評価方法。
  5. 前記信用リスクモデルの寛厳性を評価するステップは、前記信用リスクモデルの前記推計デフォルト確率データと前記擬似評価モデル式を用いて算出された前記コンセンサスデフォルト確率の最適値との差を算出し、この算出結果の値の負か正かにより特定企業の前記信用リスクモデルの計算結果が甘いか厳しいかの寛厳性を評価するステップであることを特徴とする請求項1又は請求項3に記載の信用リスク計量化モデルの寛厳性評価方法。
  6. 入力部と、評価関数計算部と、寛厳性評価計算部と、記憶手段とを備えた寛厳性評価システムとして動作するコンピュータに実行させるための信用リスク計量化モデルの寛厳性評価プログラムであって、該プログラムは、前記コンピュータに、
    前記入力部が、貸倒のリスクを計量化した複数の信用リスクモデルにおける各々のモデル構造の情報、金融機関jによる借り手企業iのデフォルト実績データ及び前記金融機関jによる前記借り手企業iの推計デフォルト確率データのうち、前記推計デフォルト確率データを前記記憶手段に書き込むステップと
    前記評価関数計算部が、前記信用リスクモデルの前記モデル構造の情報及び前記デフォルト実績データを用いないで、前記記憶手段から読み出された前記推計デフォルト確率データをP ij とし、前記借り手企業iの信用力を表す未知のコンセンサスデフォルト確率をQ 、評価関数パラメータをθとして前記金融機関jの前記信用リスクモデルの未知の評価関数をf 及び前記金融機関j前記借り手企業iに対する未知の誤差をε ij とする疑似評価モデル式
    ij =f (Q |θ )+ε ij
    を用い、前記疑似評価モデル式の最適化計算を前記誤差ε ij の自乗和を最小にする目的関数に応じて行い、前記コンセンサスデフォルト確率 、前記評価関数 の前記評価関数パラメータθ 及び前記誤差ε ij のそれぞれの唯一の解である最適値を算出するステップと、
    前記寛厳性評価計算部が、前記疑似評価モデル式を用いて算出されたいずれか1つの前記最適値を基準として、前記信用リスクモデルの前記推計デフォルト確率データP ij 、最適化されたコンセンサスデフォルト確率 最適化された擬似評価関数パラメータθ 及び最適化された誤差ε ij のいずれか1つの大小を判断し、大きい場合には前記信用リスクモデルの計算結果が厳しいと、小さい場合には前記信用リスクモデルの計算結果が甘いとの寛厳性を評価するステップとを備える処理を実行させるためのものであることを特徴とする信用リスク計量化モデルの寛厳性評価プログラム。
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