図7(A)及び図7(B)に示すロケットストーブ100は、屋内設置型ストーブであり、一度、屋内に設置した後は、ロケットストーブ100全体として移動させなければならず、例えば、キャンプやバーベキュー等の屋外にて使用する際に、容易に持ち運び出来ないという問題がある。
仕切板105の底面105Aには、複数の一次燃焼用空気流入穴107が設けられ、矢印108にて示すように、一次燃焼室102内へと外部の空気を流入させることで、薪の燃焼を促進させている。しかしながら、薪は、一次燃焼室102内の仕切板105の底面105A上面に載置される構造のため、薪や薪が燃焼した灰等により一次燃焼用空気流入穴107を塞ぎ、外部の空気が一次燃焼室102内へ流入することを阻害し、一次燃焼室102内の燃焼効率が悪化するという問題がある。
更には、矢印109にて示すように、仕切板105の二次燃焼用空気誘導板105Bの奥側を負圧とし、外部から流入した空気を二次燃焼室103内へと引き込み、可燃ガスを完全燃焼させている。しかしながら、薪が、仕切板105の底面105Aの上面にて繰り返し燃焼することで、底面105Aが下方へと歪み、その状態にて薪を載置すると外部の空気通路を塞ぎ、外部の空気が一次燃焼室102や二次燃焼室103内へ流入することを阻害し、二次燃焼室103では、可燃ガスが完全燃焼出来ず、煙が発生してしまうという問題がある。
また、図8(A)及び図8(B)に示す組み立て式薪ストーブ120は、主に、前部部品121、後部部品122、天板部品123及び煙突部品124の4つの部品121〜124から構成され、ばらした状態にて移動させ、新たな設置場所にて組み立てることができる。しかしながら、それぞれの部品121〜124は、ビス留め形式のため、ビスの取付け作業や取外し作業が手間であるという問題がある。
後部部品122では、その中に略L字形状の導炎体125が配設され、特に、導炎体125の縦燃焼室125Bの長さにより燃焼効率が変化するストーブの特性もあり、後部部品122を小型化し難く、組み立て式ではあるが、持ち運び性に優れていないという問題がある。上述したように、組み立て式薪ストーブ120の4つの部品121〜124は、収納時にばらばらの状態に分解された後、コンパクトな一体型として組み立てられる構造を有してなく、車のトランクに収納し、搬送する際にも、大きな収納スペースが必要となる。
天板部品123では、その煮炊き用円形穴123Aを塞ぐ煮炊き用天板蓋123Bを外し、煮炊き用円形穴123Aを塞ぐように鍋を載置することで、鍋料理をすることができる。そのため、組み立て式薪ストーブ120では、排煙用の煙突部品124が必須構造であり、組み立て式薪ストーブ120の小型化を実現し難いという問題がある。また、調理道具は、別途用意する必要があり、組み立て式薪ストーブ120と共にコンパクトに収納し難いという問題がある。
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、ストーブの各部材を組み立て式とする共に、コンパクトな一体型の収納を可能とすることで、燃焼効率を高めながら、携帯性に優れた組み立て式ストーブを提供することにある。
本発明の組み立て式ストーブでは、その一端側に燃焼物が投入される投入開口部を有すると共に、その他端側に連結開口部を有する第1の燃焼室と、前記第1の燃焼室を設置面から浮いた状態にて支持する架台と、前記第1の燃焼室の前記連結開口部に対して着脱自在に配設されると共に、前記第1の燃焼室と連通し、前記第1の燃焼室の長手方向に対して垂直方向に配設される第2の燃焼室と、を備え、前記第1の燃焼室の内側には、長手方向に沿って延在し、複数の空気孔が設けられると共に、前記投入開口部側が開口した第1の開口端部と、前記連結開口部側が閉口した第1の閉口端部と、を有する第1の空気供給管路が配設され、前記第1の燃焼室及び前記第2の燃焼室の内側には、前記第1の燃焼室から前記第2の燃焼室の長手方向に沿って延在し、複数の空気孔が設けられると共に、その下端側が前記第1の燃焼室の底面を介して開口した第2の開口端部と、その上端側が閉口した第2の閉口端部と、を有する第2の空気供給管路が配設されていることを特徴とする。
また、本発明の組み立て式ストーブでは、前記投入開口部は、前記第1の燃焼室の前記一端側の長手方向の側面に設けられた第1の開口部と、前記第1の燃焼室の前記一端側の上面に設けられた第2の開口部と、を有し、前記第2の燃焼室は、前記連結開口部に配設される第1の空洞部材と、収納時には前記第2の開口部に配設されると共に、使用時には前記第1の空洞部材の上方に配設される第2の空洞部材と、を有することを特徴とする。
また、本発明の組み立て式ストーブでは、前記第1の空気供給管路は、前記第1の燃焼室の上端部の横幅方向の両側に一対配設されると共に、前記第1の空気供給管路の前記第1の開口端部は、前記第2の開口部に導出することなくその近傍に配設され、前記第2の空気供給管路は、前記第1の燃焼室の前記連結開口部の横幅方向の両端側に一対配設されると共に、前記連結開口部から上方へと導出し、前記第1の空気供給管路の前記第1の閉口端部が、前記第2の空気供給管路の近傍に位置するように、前記第1の空気供給管路は、前記連結開口部に導出していることを特徴とする。
また、本発明の組み立て式ストーブでは、前記第2の空洞部材の長手方向の一端側には、前記第1の空洞部材に組み付けるための複数の連結突起部が設けられ、前記第2の空洞部材の長手方向の他端側には、複数の切欠き部が設けられていることを特徴とする。
また、本発明の組み立て式ストーブでは、前記架台は、前記設置面上に配設される一対の台座と、前記台座に対して着脱自在に取付けられると共に、前記一対の台座を連結する一対の第1の連結プレート及び一対の第2の連結プレートと、を有し、前記一対の第1の連結プレートは、前記一対の台座の上端側であると共に、前記台座の横幅方向の両端近傍に配設され、前記一対の第2の連結プレートは、前記一対の台座の下端側であると共に、前記一対の第1の連結プレートよりも内側に配設されることを特徴とする。
また、本発明の組み立て式ストーブでは、前記第1の空洞部材及び前記第2の空洞部材の外周面には、それぞれ収納時に前記架台の前記台座及び調理用の鉄板を狭持する収納レールが設けられ、前記収納時には、前記第1の空洞部材は、前記第1の燃焼室の前記連結開口部に組み付けられ、前記第2の空洞部材は、前記第1の燃焼室の前記第2の開口部に組み付けられ、前記第1の空洞部材及び前記第2の空洞部材の前記収納レールは対向して配設されていることを特徴とする。
本発明の組み立て式ストーブでは、薪等の燃焼物を投入し、燃焼させる一次燃焼室と、一次燃焼室と連通して組み付けられ、一次燃焼室にて発生した可燃性ガスを完全燃焼させる二次燃焼室とを有している。そして、一次燃焼室には、一次燃焼室に外部の空気を供給する第1の空気供給管路と、一次燃焼室及び二次燃焼室に外部の空気を供給する第1の空気供給管路と、を有している。この構造により、組み立て式ストーブは、コンパクトな構造であるが、燃焼効率が高められた構造を実現することができる。
また、本発明の組み立て式ストーブでは、ストーブとして使用時には、二次燃焼室は、第1の空洞部材と第2の空洞部材とを連通して組み付けることで形成される。一方、収納時には、第1の空洞部材と第2の空洞部材とは、ばらした状態にて用いられる。この構造により、収納時には、コンパクトな一体型として持ち運ぶことが出来ると共に、使用時には、二次燃焼室の燃焼効率を高め、可燃性ガスを完全燃焼させることができる。
また、本発明の組み立て式ストーブでは、一対の第1の空気供給管路は、一次燃焼室の長手方向に沿って配設され、第1の空気供給管路には、複数の空気孔が形成されると共に、一次燃焼室の投入開口部の近傍に開口端部が配設されている。この構造により、二次燃焼室にて発生する負圧を利用して、一次燃焼室内に出来る限り均一に外部の空気を吸引することができる。
また、本発明の組み立て式ストーブでは、二次燃焼室を構成する第2の空洞部材の上端開口部には、複数の切欠き部が設けられている。この構造により、第2の空洞部材の上端開口部が、鍋等により塞がれた場合でも、切欠き部を介して二次燃焼室内の高温な空気等を外部へ排出することができる。
また、本発明の組み立て式ストーブでは、一次燃焼室を支持する架台も組み立て式であり、一対の台座を2組の連結プレートにて架橋し、安定状態に直立させることができる。この構造により、一次燃焼室を安定して支持すると共に、一次燃焼室の下方に鉄板を安定して配置することができる。
また、本発明の組み立て式ストーブでは、二次燃焼室の第1及び第2の空洞部材の側面には、それぞれ収納レールが配設されている。この構造により、収納時には、第1の空洞部材と第2の空洞部材との間に鉄板と台座とを収納することができ、コンパクトな一体型として持ち運ぶことが出来る。
以下、本発明の一実施形態に係る組み立て式ストーブを図面に基づき詳細に説明する。尚、本実施形態の説明の際には、同一の部材には原則として同一の符番を用い、繰り返しの説明は省略する。
図1は、本実施形態の組み立て式ストーブ10の全体構成を説明する斜視図である。図2(A)は、本実施形態の組み立て式ストーブ10の一次燃焼室11を説明する斜視図である。図2(B)は、本実施形態の組み立て式ストーブ10の一次燃焼室11を説明する断面図である。図3は、本実施形態の組み立て式ストーブ10の架台13を説明する斜視図である。図4(A)は、本実施形態の組み立て式ストーブ10の二次燃焼室12の第1の空洞部材12Aを説明する斜視図である。図4(B)は、本実施形態の組み立て式ストーブ10の二次燃焼室12の第2の空洞部材12Bを説明する斜視図である。
図1に示す如く、組み立て式ストーブ10は、主に、一次燃焼室11と、一次燃焼室11と連通して組み付けられる二次燃焼室12と、一次燃焼室11を設置面から浮いた状態にて支持する架台13と、二次燃焼室12の上端部に配設される五徳14と、調理するための鉄板15と、を有している。以下の説明では、紙面上下方向は組み立て式ストーブ10の高さ方向を示し、紙面左右方向は組み立て式ストーブ10の横幅方向を示し、紙面前後方向は組み立て式ストーブ10の奥行方向を示している。尚、一次燃焼室11は、特許請求の範囲に記載の第1の燃焼室に対応し、二次燃焼室12は、特許請求の範囲に記載の第2の燃焼室に対応している。
組み立て式ストーブ10は、通称、ロケットストーブと呼ばれるストーブの燃焼方式を用い、一次燃焼室11にて薪等の木材燃焼物を燃焼させ、二次燃焼室12にて一次燃焼室11にて発生した可燃性ガスを外部の空気と混合させ完全燃焼させる。一方、組み立て式ストーブ10では、二次燃焼室12は、その周囲を断熱材にて囲まない構造とし、キャンプ場等の屋外での使用時には、二次燃焼室12も暖をとる部材として用いることができる。
一次燃焼室11は、例えば、横幅方向の断面が、縦幅150mm、横幅100mmの長方形形状であると共に、中空構造である角状の空洞部材として形成され、奥行幅400mmと、奥行方向に延在して形成されている。一次燃焼室11内では、例えば、薪等の燃焼物が投入され、燃焼するが、一次燃焼室11は、鉄等の鋼材を加工して形成されることで、燃焼時の高温状態にも耐え得ることができる。
図示したように、一次燃焼室11の前方端部側の側面及び上面には、第1の投入開口部11A及び第2の投入開口部11B(図2(A)参照)が形成され、第1及び第2の投入開口部11A、11Bは、それぞれ薪等の燃焼物を投入するための投入口として用いられる。
第1の投入開口部11Aは、高さ方向に長辺を有する長方形形状であり、2枚の蓋11C、11Dによりその開口面積が調整される。第1の投入開口部11Aは、例えば、燃焼開始直後等、一次燃焼室11へ大量の空気を取り込みたい場合に用いられ、2枚の蓋11C、11Dを介して、一次燃焼室11内に取り込まれる空気量が調整される。図示したように、蓋11Cは、正方形形状の板状体であり、第1の投入開口部11Aの上方側に、例えば、ピン連結機構により着脱自在に配設され、蓋11Dは、長方形形状の板状体であり、第1の投入開口部11Aの下方側に、例えば、ピン連結機構により脱着自在に配設される。
第2の投入開口部11Bは、例えば、一次燃焼室11の燃焼状況が安定している時に薪を追加投入する時等に用いられ、第1の投入開口部11Aよりも一次燃焼室11へ取り込まれる空気量が少なくなる。尚、図示したように、第2の投入開口部11Bは、通常、第1の投入開口部11Aを使用時には、蓋11Cにより塞がれている。蓋11Cは、例えば、ピン連結機構により着脱自在に配設される。
二次燃焼室12は、例えば、横幅方向の断面が、横幅100mm、奥行幅100mmの正方形形状であると共に、中空構造である角状の空洞部材として形成され、縦幅500mmと、高さ方向に延在して形成されている。そして、二次燃焼室12は、概ね、同一形状から成る第1の空洞部材12Aと、第2の空洞部材12Bとを有している。図示したように、ストーブとして使用する際には、第2の空洞部材12Bは、第1の空洞部材12Aの上に組み付けられることで、二次燃焼室12の長さを長く設定し、燃焼効率を高めることができる。尚、二次燃焼室12は、一次燃焼室11と同様に、鉄等の鋼材を加工して形成されることで、燃焼時の高温状態にも耐え得ることができる。
詳細は後述するが、収納時には、第2の空洞部材12Bが、一次燃焼室11の第2の投入開口部11B(図2(A)参照)へ組み付けられることで、組み立て式ストーブ10全体をコンパクトな一体型とすることで、持ち運び性を向上させることができる。
架台13は、一対の台座13A、13Bと、その一対の台座13A、13Bを安定した状態にて直立させる一対の第1の連結プレート13C、13D(図3参照)と、鉄板15を安定した状態にて支持する一対の第2の連結プレート13E、13F(図3参照)と、を有している。そして、架台13は、その上面に安定した状態にて一次燃焼室11を支持することで、一次燃焼室11は、芝生等の設置面から浮いた状態にて配設され、燃焼時の熱により、芝生等が焼けることが防止される。尚、架台13は、一次燃焼室11と同様に、鉄等の鋼材を加工して形成されることで、燃焼時の高温状態にも耐え得ることができる。
五徳14は、2枚のプレート14A、14Bから構成され、二次燃焼室12の第2の空洞部材12Bの上端開口部12Cに配設される。具体的には、プレート14A、14Bは、それぞれ第2の空洞部材12Bに嵌め込まれるための嵌め込み溝(図示せず)が設けられ、例えば、鍋料理をする際には、上端開口部12Cの対角線上に取付けられる。尚、五徳14は、一次燃焼室11と同様に、鉄等の鋼材を加工して形成されることで、燃焼時の高温状態にも耐え得ることができる。
プレート14A、14Bは、それぞれ上端開口部12Cの外側まで延在する長さを有することで、上端開口部12Cの開口面積よりも大きい鍋を用いることができる。図示したように、第2の空洞部材12Bの上端開口部12Cには、4つの側面にそれぞれ切欠き部12D、12E、12F、12Gが設けられている。
この構造により、第2の空洞部材12Bの上端開口部12Cが、五徳14を介して鍋にて覆われた場合でも、二次燃焼室12にて発生した熱風は、鍋を加熱すると共に、4つの切欠き部12D〜12Gから外部へと放出される。その結果、組み立て式ストーブ10では、二次燃焼室12が、排熱用の煙突としての役割も担い、別途、煙突を設ける必要がなく、組み立て式ストーブ10の小型化が実現される。
鉄板15は、一次燃焼室11と同様に、鉄等の鋼材を加工して形成され、例えば、奥行幅245mm、横幅200mmの長方形形状であると共に、その周囲には、縦幅20mm低い壁部15Aが形成されている。図示したように、鉄板15は、一次燃焼室11の下方であり、架台13の第2の連結プレート13E、13F(図3参照)上面に配置されることで、ピザ等を調理することができる。また、鉄板15は、一次燃焼室11の上面に直接載置され、一次燃焼室11にて発生した熱を利用して目玉焼き等を調理することもできる。
詳細は後述するが、収納時には、架台13の2つの台座13A、13Bが、鉄板15の壁部15A内に並列して収納され、組み立て式ストーブ10全体をコンパクトに収納することができる。
図2(A)に示す如く、一次燃焼室11の上面には、その前方側に第2の投入開口部11Bが設けられ、その後方側に連結開口部11Eが設けられている。ストーブとして使用する際には、二次燃焼室12の第1の空洞部材12A(図1参照)が、連結開口部11Eに組み付けられる。一方、収納時には、二次燃焼室12の第2の空洞部材12B(図1参照)が、第2の投入開口部11Bに組み付けられる。
上述したように、第1の空洞部材12Aと第2の空洞部材12Bとは、概ね、同一形状となることで、第2の投入開口部11Bと連結開口部11Eとは、実質、同一形状の開口形状、例えば、正方形形状となる。そして、一次燃焼室11の奥行方向(長手方向)の両端側には、第2の投入開口部11Bと連結開口部11Eが設けられることで、両側から一次燃焼室11内を掃除することができ、薪等の灰や燃え残りも容易に除去することができる。
一次燃焼室11内には、その前後方向(長手方向)に沿って一対の空気供給管路21、22が配設され、空気供給管路21、22には、それぞれ先端開口部21A、22Aから後端閉口部21B、22Bに向けて複数の空気孔21C、22Cが設けられている。そして、空気供給管路21、22の先端開口部21A、22Aは、第2の投入開口部11Bには導出しないが、第2の投入開口部11B近傍に配設されている。一方、空気供給管路21、22の後端閉口部21B、22Bは、連結開口部11Eに導出し、連結開口部11Eの中央領域まで配設されている。尚、空気供給管路21、22は、一次燃焼室11と同様に、鉄等の鋼材を加工して形成されることで、燃焼時の高温状態にも耐え得ることができる。
また、空気供給管路21、22では、その一端が先端開口部21A、22Aとなり、その他端が後端閉口部21B、22Bとなる。そして、二次燃焼室12にて、螺旋流を伴う強い上昇気流が発生することで、一次燃焼室11側が負圧となり、複数の空気孔21C、22Cから外部の空気を一次燃焼室11内へと吸引することができる。
この構造により、空気供給管路21、22を介して一次燃焼室11内の奥側まで出来る限り均一に燃焼用の空気を送り込むことができ、一次燃焼室11全体に渡り薪等の燃焼物の燃焼効率を高めている。図示したように、一次燃焼室11の燃焼状況が安定している場合には、第1の投入開口部11Aは、蓋11C(図1参照)、11Dにより塞ぎ、第2の投入開口部11Bから、適宜、薪を追加投入する。一次燃焼室11の上面のみが開口した場合においても、先端開口部21A、22Aが、第2の投入開口部11B近傍に配設されることで、上記負圧による吸引力を利用し、確実に外部の空気を一次燃焼室11内へ取り込むことができる。
図2(B)に示すように、空気供給管路21、22は、一次燃焼室11内の横幅方向の上端部に溶接等により固定されているが、複数の空気孔21C、22Cは、底面側に向けて開口している。矢印23にて示すように、上記負圧を介して空気供給管路21、22から送り出される空気は、勢いよく下方側へと流れた後、一次燃焼室11内の上昇気流により中央領域にて上昇する。その結果、空気供給管路21、22から送り出される空気は、一次燃焼室11内を効率良く循環し、一次燃焼室11全体に渡り薪等の燃焼物の燃焼効率を高めている。
更には、図2(A)に示すように、一次燃焼室11内には、その上下方向(高さ方向)に沿って一対の空気供給管路24、25が配設され、空気供給管路24、25には、それぞれ下端開口部24A、25Aから上端閉口部24B、25Bに向けて複数の空気孔24C、25C(図示せず)が設けられている。そして、空気供給管路24、25の下端開口部24A、25Aは、一次燃焼室11の底面を貫通し、一次燃焼室11の外部と連通している。一方、空気供給管路24、25は、連結開口部11Eから外部へと導出し、空気供給管路21、22の後端閉口部21B、22Bは、二次燃焼室12の第1の空洞部材12A内へと配設される。尚、空気供給管路24、25は、一次燃焼室11と同様に、鉄等の鋼材を加工して形成されることで、燃焼時の高温状態にも耐え得ることができる。
空気供給管路24、25は、連結開口部11Eの中央領域に配設され、一次燃焼室11内の横幅方向の両側面に溶接等により固定されている。空気供給管路24、25の空気孔24C、25Cは、一次燃焼室11及び二次燃焼室12の中心に向けて開口することで、外部の空気が、空気孔24C、25Cを介して一次燃焼室11及び二次燃焼室12内へと送り込まれる。
ここで、二次燃焼室12では、一次燃焼室11にて発生した可燃性ガスに外部の空気を混合し、二次燃焼させることで、可燃性ガスを完全燃焼させる。そして、二次燃焼室12内は高温状態となると共に、熱膨張することで、二次燃焼室12内に螺旋流を伴う強い上昇気流を発生させる。この上昇気流に伴い一次燃焼室11側が負圧となることで、空気孔21C、22C、24C、25C、第1の投入開口部11Aや第2の投入開口部11Bから外部の空気を吸気し、燃焼効率を向上させる。
そして、二次燃焼室12の長さを長くすることで、螺旋流を伴う強い上昇気流を発生させ易くなることが知られているが、本実施形態では、ストーブとして使用する際には、第2の空洞部材12Bは、第1の空洞部材12Aの上に組み付けられることで、二次燃焼室12の長さを長く設定することができる。その一方にて、収納時には、第2の空洞部材12Bが、一次燃焼室11の第2の投入開口部11Bへ組み付けられることで、組み立て式ストーブ10全体をコンパクトに収納することができる。つまり、組み立て式ストーブ10では、携帯性を高める観点から小型化されているが、燃焼効率の向上も考慮された構造となっている。
図3に示す如く、架台13自体も組み立て式の構造であり、ストーブとして使用する際には、台座13A、13Bに対して4枚の連結プレート13C〜13Fを組み付けることで、台座13A、13Bは、設置面上に直立した状態となる。そして、一次燃焼室11(図1参照)は、台座13A、13Bの凹部13I、13J内へと嵌め込まれることで、設置面から浮いた状態にて配設される。
図示したように、連結プレート13C、13Dは、台座13A、13Bの上端側であり、横幅方向の両端近傍の同じ高さ位置に取付けられ、連結プレート13E、13Fは、台座13A、13Bの下端側であり、連結プレート13C、13Dよりも内側の同じ高さ位置に取付けられる。4枚の連結プレート13C〜13Fが、台座13A、13Bを架橋することで、架台13の安定した設置状態が実現される。尚、台座13A、13Bの内側面には、組み付け用の連結孔13Gが設けられ、その連結孔13Gに対して連結プレート13C〜13Fが挿入される。そして、連結プレート13C〜13Hの嵌め込み溝13Hが、連結孔13Gを介して台座13A、13Bに嵌り込むことで、連結プレート13C〜13Fは、台座13A、13Bに対して簡易に組み付けられると共に、安定状態にて連結する。
連結プレート13E、13Fの離間幅W1は、連結プレート13C、13Dの離間幅W2よりも狭くなる。上述したように、収納時には、台座13A、13Bは、鉄板15の壁部15A(図1参照)内に収納される構造であり、台座13A、13Bの横幅は、鉄板15の横幅よりも若干狭いが、ほぼ同等の幅を有する構造である。そのため、鉄板15は、連結プレート13E、13F上面に載置される構造とすることで、鉄板15が、架台13から落ち難い構造が実現される。また、鉄板15を熱源である一次燃焼室11から少し離間させることで、ピザ等が焦げやすくなることを防止できる。
図4(A)に示す如く、二次燃焼室12の第1の空洞部材12Aでは、その前方側の側面に一対の収納レール31が溶接等により固定されている。詳細は後述するが、収納時には、収納レール31内には、鉄板15(図5(A)参照)及び台座13A、13B(図5(A)参照)の一端側が納められることで、鉄板15及び台座13A、13Bが、持ち運ぶ際に落ちない構造となっている。
また、第1の空洞部材12Aの下端側には、その後方側の両端部に連結突起部32、33が設けられている。第1の空洞部材12Aは、一次燃焼室11の連結開口部11E(図2(A)参照)に組み付けられるが、連結突起部32、33が、連結開口部11E内に挿入されることで、第1の空洞部材12Aは、一次燃焼室11に対して係止される。このとき、第1の空洞部材12Aの内側面は、空気供給管路24、25(図2(A)参照)に当接し、第1の空洞部材12Aは、一次燃焼室11に対して4点支持の状態にて係止されることで、安定した状態にて一次燃焼室11上面に配設される。
尚、上述したように、連結開口部11Eには、燃焼効率を向上させるため、空気供給管路21、22の一部が導出する構造のため、連結突起部32、33が、後方側に2つ設けられた構造となっている。
図4(B)に示す如く、二次燃焼室12の第2の空洞部材12Bでは、その前方側の側面に一対の収納レール34が溶接等により固定されている。上述した収納レール31と同様に、収納時には、収納レール34内には、鉄板15及び台座13A、13Bの他端側が納められることで、鉄板15及び台座13A、13Bが、持ち運ぶ際に落ちない構造となっている。
上述したように、第2の空洞部材12Bの上端側の上端開口部12Cには、4つの側面にそれぞれ切欠き部12D、12E、12F、12Gが設けられ、第2の空洞部材12Bの上端開口部12Cが、五徳14(図1参照)を介して鍋等により塞がれた場合でも、切欠き部12D〜12Gを介して二次燃焼室12からの排気を可能とし、継続的な燃焼状態が実現される。
また、第2の空洞部材12Bの下端側には、その4つの端部に連結突起部35、36、37、38が設けられている。第2の空洞部材12Bは、ストーブとして使用する際には、第1の空洞部材12Aの上端側に組み付けられるが、連結突起部35〜38が、第1の空洞部材12Aの上端側の開口部内に挿入されることで、第2の空洞部材12Bは、第1の空洞部材12Aに対して係止される。このとき、第2の空洞部材12Bは、第1の空洞部材12Aの4つの端部に対して4点支持の状態にて係止されることで、安定した状態にて第1の空洞部材12A上面に配設される。
尚、上述したように、第2の空洞部材12Bは、収納時には、一次燃焼室11の第2の投入開口部11Bに対して組み付けられるが、第2の空洞部材12Bは、薪等の燃焼物の投入量が優先される構造のため、空気供給管路21、22が導出しない構造となっている。
次に、図5及び図6を用いて、本実施形態の組み立て式ストーブ10の収納状態を説明する。図5(A)は、本実施形態の組み立て式ストーブ10の収納状態を説明する斜視図である。図5(B)は、本実施形態の組み立て式ストーブ10の収納状態を説明する正面図である。図5(C)は、本実施形態の組み立て式ストーブ10の収納状態を説明する背面図である。図6(A)は、本実施形態の組み立て式ストーブ10の収納状態を説明する平面図である。図6(B)は、本実施形態の組み立て式ストーブ10の収納状態を説明する底面図である。図6(C)は、本実施形態の組み立て式ストーブ10の収納状態を説明する左側面図である。図6(D)は、本実施形態の組み立て式ストーブ10の収納状態を説明する右側面図である。
図5(A)に示す如く、組み立て式ストーブ10は、収納時においても、一次燃焼室11及び二次燃焼室12を中心に組み付けられ、留め具41、42及び握手43を用いて容易に持ち運ぶことができる。尚、以下の説明では、適宜、図1〜図4及びその説明内容を参照するものとする。
収納時には、一次燃焼室11は、架台13(図1参照)から取り外され、一次燃焼室11がベース部材として用いられる。上述したように、一次燃焼室11の上面には、第2の投入開口部11B(図2(A)参照)及び連結開口部11E(図2(A)参照)が設けられ、第1の空洞部材12Aは、連結開口部11Eに対して組み付けられ、第2の空洞部材12Bは、第2の投入開口部11Bに対して組み付けられる。
図示したように、収納レール31、34が、一次燃焼室11の上方にて対向した状態となり、収納レール31、34の間には、鉄板15及び台座13A、13Bが挟み込まれた状態にて狭持される。台座13A、13Bは、鉄板15の壁部15Aを利用して鉄板15上面に並列して収納されている。
その他、組み立て式ストーブ10の構成部品である五徳14の2枚のプレート14A、14B(図1参照)及び架台13の4枚の連結プレート13C、13D、13E、13F(図3参照)は、収納時には、例えば、第1の空洞部材12A内に上端側の開口部から投入されている。この収納状態により、組み立て式ストーブ10は、一体型に組み立てられた状態にて持ち運ぶことが可能となる。
更には、組み立て式ストーブ10は、収納時に持ち運ぶための留め具41、42及び握手43を有している。留め具41、42は、例えば、鉄等の鋼材を加工して形成される板状体であり、その本体部41A、42Aが、それぞれ第1の空洞部材12A及び第2の空洞部材12B内に挿通され、その係止部41B、42Bが一次燃焼室11に係止される。そして、留め具41、42の上端側には、留め具41、42を連結する握手43が取付けられ、握手43は、一方向に回転させることで、留め具41、42を内側へと締め付けることができ、安定した状態にて組み立て式ストーブ10を持ち運ぶことができる。尚、握手43は、逆方向に回転させることで、留め具41、42が外側へと開き、一次燃焼室11との係止状態を解消することができる。
図5(B)〜図5(C)及び図6(A)〜図6(D)にて示すように、組み立て式ストーブ10では、収納時には、上下方向の縦幅は、400mm程度であり、前後方向の奥行幅は、100mm程度であり、左右方向の横幅400mm程度である。
上述したように、本実施形態の組み立て式ストーブ10は、組み立て式の構造とすることで、収納時にはコンパクトな一体型に組み立てられ、その携帯性が向上すると共に、ストーブとして使用する際にも、二次燃焼室12の長さを長く設定し、燃焼用空気の取り込み機構を有することで、燃焼効率を高めることができる。また、組み立て式ストーブ10では、ビス留め等を用いることなく、構成部品同士を挿入することで、安定した状態に組み付けることができるので、容易に使用状態に組み立て、あるいは、収納状態に組み立てることができる。
尚、本実施形態では、上述した説明に限定するものではない。その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲にて種々の変更が可能である。