JP6557052B2 - 光コネクタフェルール - Google Patents

Description

本発明は、光ファイバ芯線及び光ファイバテープ芯線の接続に用いる例えばＭｅｃｈａｎｉｃａｌｌｙ−Ｔｒａｎｓｆｅｒａｂｌｅ−Ｓｐｌｉｃｉｎｇ−Ｃｏｎｎｅｃｔｏｒ（以下、ＭＴコネクタと称す）、Ｍｕｌｔｉｆｉｂｅｒ−Ｐｕｓｈ−Ｏｎ（以下、ＭＰＯコネクタと称す）等の多芯一括コネクタ成形用の光コネクタフェルールに関する。

従来、ＳＭ型光ファイバ単芯線およびテープ芯線を一括低損失接続するためのコネクタとして、例えば４芯、８芯、１２芯等のシングルモード型光ファイバテープを収納した高密度多芯ケーブルの開発に伴い、高密度で能率良く光ファイバを接続できる多芯一括コネクタが使用されている。この接続方式は多芯の光ファイバを位置決め固定したフェルール同士を２本のガイドピンで位置合わせして嵌合する方式で、このコネクタは光ファイバテープの一括接続に加え、機械的な高速切替にも適用できることからＭＴコネクタと呼ばれ、近年、アクセス系多芯ケーブルの４芯、８芯、１２芯光ファイバテープ接続用コネクタとして実用化されている。

また、近年においては、超多芯ケーブルの接続用にさらに多芯の２４芯、７２芯一括コネクタとしてプッシュプル操作で容易に着脱できるようにしたＭＰＯコネクタも実用化されている。

具体的には特許文献１に開示されているように、多芯コネクタの一つにＭＴコネクタや、接続面を斜め研磨し且つ光ファイバを多少突出させたいわゆるＭＰＯコネクタが使用され、フェルール本体の長手方向に補強部材を埋め込み、この補強部材により当該フェルール本体の長手方向の反りを防止する構成とされているものが公知である。

また、特許文献２に開示されているように、前端部にファイバ穴があり、ガイドピン穴に挿入される嵌合ピンにより相手側フェルールと位置決めされる方式の光コネクタのフェルールが、前記ファイバ穴とガイドピン穴を含む部品であるところの接続端部と、当該接続端部以外の部品であるところの本体後部とを組み合わせてなるものが公知である。

上記した特許文献１および特許文献２の両コネクタは、図６（ａ）及び図６（ｂ）に示すように、フェルール本体１００の上面に接着剤充填用の窓部１０１を備えると共に、フェルール本体１００の前端面から後端面にかけて貫設した左右一対の位置決め用のガイドピン挿入孔１０２を備え、前端面における両ガイドピン挿入孔１０２の間に複数の光ファイバ芯線挿通孔１０３が並設されている。さらに、フェルール本体１００の後端面にブーツ（図示せず）を挿入支持する挿入開口部１０４を備え、またフェルール本体１００の後端側には当該フェルール本体１００の外周面より外方へ突出した鍔部１０５を備えた構造である。

特開平９−５４２２４号公報 特開２００１−８３３６７号公報

ところで、上記した特許文献１及び特許文献２の場合においては、組立時に例えばエポキシ樹脂系等の強力な接着剤を接着剤充填用の窓部１０１からフェルール本体１００内に注入して窓部１０１自体を閉塞硬化させる構造となっていることで共通している。ただ、この場合においては、フェルール本体１００の後端面の挿入開口部１０４と、当該挿入開口部１０４に挿入されたブーツ外壁との間の隙間から前記接着剤が漏れ出る虞がある。

このような接着剤漏れによって懸念される影響としては、例えば、接着剤が漏れて硬化した部分に不図示の別部品が取り付けられた際に、この接着剤のはみ出た厚み分の隙間がフェルール本体１００と別部品との間に生じてしまう虞がある。また、前記漏れ出した接着剤が左右一対のガイドピン挿入孔１０２にも侵入し硬化することで、ガイドピン挿入孔１０２自体が閉塞してしまう虞もある。

そこで、本発明は、叙上のような従来存した諸事情に鑑み案出されたもので、フェルール本体内部に充填した接着剤が、挿入開口部に挿入されているブーツと当該挿入開口部との間の隙間から漏れ出てしまうのを未然に防ぐことができる構成とした光コネクタフェルールを提供することを目的とする。

上述した課題を解決するために、本発明にあっては、
光ファイバ芯線を先端に有する略角筒状のブーツを挿入支持するべく後端側に備えた四角開口状の挿入開口部と、
該挿入開口部の内奥部に前記光ファイバ芯線の先端部側を挿入して当該先端部を外方に露出させるべく前端側に備えた光ファイバ芯線挿通孔と、
を連設してなるフェルール本体の前記挿入開口部の開口外縁部における隅角部に、
段溝状の接着剤溜部を設け、
前記フェルール本体の上面には、前記光ファイバ芯線を前記挿入開口部の内奥部側から光ファイバ芯線挿通孔の後端開口部側にかけて接着剤を充填し固着させるべく開穿された接着剤充填用窓部を有し、
前記接着剤溜部は、接着剤充填用窓部から注入して前記ブーツと当該挿入開口部との隙間から漏れ出した接着剤を溜めるよう形成し、
前記フェルール本体は、その前面から後面にかけて貫設した左右一対の位置決め用のガイドピン挿入孔を備え、
前面における両ガイドピン挿入孔の間に複数の前記光ファイバ芯線挿通孔が並設されて成る光コネクタフェルールであって、
後面における前記接着剤溜部は、前記フェルール本体の後端面側に形成されている左右一対の位置決め用のガイドピン挿入孔を避けるようにして前記挿入開口部の開口外縁部における隅角部にあって、その上縁側左右対称位置及び下縁側左右対称位置の計４箇所で横向きの段溝状となって形成することにより、前記ブーツと当該挿入開口部との隙間から漏れ出した接着剤を開口外縁部の四隅に停留させておくことで前記左右一対のガイドピン挿入孔内部への接着剤の侵入が食い止められるようにしたことを特徴とする。

本発明によれば、フェルール本体内部に充填した接着剤が、挿入開口部に挿入されているブーツと当該挿入開口部との間の隙間から漏れ出てしまうのを未然に防ぐことができる。

すなわち、光ファイバ芯線を先端に有する略角筒状のブーツを挿入支持するべく後端側に備えた四角開口状の挿入開口部と、該挿入開口部の内奥部に前記光ファイバ芯線の先端部側を挿入して当該先端部を外方に露出させるべく前端側に備えた光ファイバ芯線挿通孔と、を連設してなるフェルール本体の前記挿入開口部の開口外縁部における隅角部に、段溝状の接着剤溜部を設けてあるため、フェルール本体内部に充填した接着剤がブーツと挿入開口部との隙間から漏れ出しても当該接着剤を隅角部の接着剤溜部で未然に溜めておくことができる。

これによって、例えば、ブーツと挿入開口部との隙間から接着剤が漏れても当該接着剤は隅角部の接着剤溜部に収まることで、従来のように、フェルール本体の前記挿入開口部側に別部品が取り付けられた際において、接着剤のはみ出た厚み分の隙間がフェルール本体と別部品との間に生じてしまうのを防止することができる。しかも、この接着剤溜部の存在によって、漏れ出した接着剤の左右一対のガイドピン挿入孔内部への侵入も未然に防止することができる。

また、前記フェルール本体の上面には、前記光ファイバ芯線を前記挿入開口部の内奥部側から光ファイバ芯線挿通孔の後端開口部側にかけて接着剤を充填し固着させるよう開穿された接着剤充填用窓部を有し、前記接着剤溜部は、接着剤充填用窓部から注入して前記ブーツと当該挿入開口部との隙間から漏れ出した接着剤を溜めるよう形成して成るので、前記接着剤充填用窓部から注入した接着剤がブーツと挿入開口部との隙間から漏れ出しても当該接着剤を接着剤溜部で未然に溜めておくことができる。

さらに、前記フェルール本体は、その前面から後面にかけて貫設した左右一対の位置決め用のガイドピン挿入孔を備え、前面における両ガイドピン挿入孔の間に複数の前記光ファイバ芯線挿通孔が並設されてなり、後面における前記接着剤溜部は、左右一対の位置決め用のガイドピン挿入孔を避けるように前記挿入開口部の開口外縁部における隅角部に段溝状に形成して成るので、漏れ出した接着剤の左右一対のガイドピン挿入孔内部への侵入を、前記接着剤溜部の存在によって未然に食い止めることができる。

本発明を実施するための一形態における光コネクタフェルールを示すもので、（ａ）は斜め前方側から見た斜視図、（ｂ）は斜め後方側から見た斜視図である。 同じく光コネクタフェルールを示すもので、（ａ）は正面図、（ｂ）は平面図、（ｃ）は背面図である。 同じく光コネクタフェルールを示すもので、（ａ）は図２（ｃ）のＡ−Ａ断面図、（ｂ）は図２（ｂ）のＢ−Ｂ断面図、（ｃ）は図２（ｂ）のＣ−Ｃ断面図である。 光コネクタフェルールの組立使用状態を示すもので、（ａ）は斜め後方側から見た斜視図、（ｂ）はブーツを挿入した挿入開口部の要部を示す拡大斜視図である。 同上（ａ）の中央縦側断面図である。 従来例における光コネクタフェルールを示すもので、（ａ）は斜め前方側から見た斜視図、（ｂ）は斜め後方側から見た斜視図である。

以下、図面を参照して本発明の実施の一形態を詳細に説明する。
本実施形態において、本発明に係る多芯一括コネクタ成形用の光コネクタフェルールは、１２芯のシングルモード型光ファイバテープＴを収納した高密度多芯ケーブルを接続できる多芯一括ＭＴコネクタとして使用される略長方形筐体状に樹脂成型されたフェルール本体１０によって構成されており、この接続方式は多芯の光ファイバを位置決め固定したフェルール本体１０同士を２本のガイドピンで位置合わせして嵌合する方式としている。

なお、以下の説明においては、上記構成によるＭＴコネクタに関してのものであるが、これに限らず、例えば４芯、８芯等のシングルモード型光ファイバテープＴを収納した高密度多芯ケーブル接続用のＭＴコネクタ、さらには超多芯ケーブルの接続用に多芯の１６芯、８０芯等の一括コネクタとしてプッシュプル操作で容易に着脱できるようにした例えばＭＰＯコネクタ等の多芯一括コネクタにも応用可能である。

前記フェルール本体１０の具体的な構成について説明すると、図１（ａ）、図１（ｂ）、及び図２と図３に示すように、フェルール本体１０の後端面側には、１２芯の光ファイバ芯線Ｆをテープ状に束ねてなるシングルモード型光ファイバテープＴが挿入固定された略角筒状のブーツＢ（図４及び図５参照）を装着するための矩形開口状の挿入開口部１４が形成されている。この挿入開口部１４を通して前記ブーツＢの前端側一部（約半分）が収容されるようフェルール本体１０の内部がブーツＢの収納空間部Ｓとなっている。

また、図１（ａ）及び図２（ａ）に示すように、フェルール本体１０の前端面側には、１２個の小孔状となった光ファイバ芯線挿通孔１３が前記挿入開口部１４の内奥部（ブーツＢの収納空間部Ｓの前方端内壁）位置まで穿設され、これにより各光ファイバ芯線挿通孔１３は前記ブーツＢの収納空間部Ｓに連通した状態となっている。

図示（図１（ａ）、図２（ｃ）、図３（ａ）、図３（ｂ）、図５等参照）による例では、後述する接着剤充填用窓部１１の後側縁部位置に対向するよう収納空間部Ｓの内奥部手前位置に段差部１７を設けており、この段差部１７によって、挿入されたブーツＢの先端面下部側が接着剤充填用窓部１１手前で係止されるものとなっている。このとき、前記シングルモード型光ファイバテープＴの先端側から突出した１２芯の光ファイバ芯線Ｆの各先端部側は、これら１２個の光ファイバ芯線挿通孔１３に、ブーツＢの収納空間部Ｓ内側から各挿入され、当該先端部の端面をフェルール本体１０の前面側に露呈させるものとしてある。

すなわち、前記フェルール本体１０の上面略中央には、略矩形開口状の接着剤充填用窓部１１が開穿され、前記挿入開口部１４の内奥部側（ブーツＢの収納空間部Ｓの前方端内壁）から１２個の光ファイバ芯線挿通孔１３の各後端開口部側にかけてのフェルール本体１０上側半分が抉られた状態となっており、光ファイバ芯線挿通孔１３の各後端開口部から接着剤充填用窓部１１の略中間に対向する位置にかけて合計１２個のＵ型のガイド溝１８が形成されている（図１（ｂ）、図２（ｂ）、図２（ｃ）、図３（ａ）乃至図３（ｃ）、図５等参照）。

図１（ｂ）では光ファイバ芯線挿通孔１３の後端開口部側とＵ型のガイド溝１８が接着剤充填用窓部１１を通して見えている。この挿入開口部１４にブーツＢが装着され且つ各光ファイバ芯線挿通孔１３に光ファイバ芯線Ｆの各先端部側が挿入されている状態において、この接着剤充填用窓部１３から例えばエポキシ樹脂系の接着剤Ｖ等を注入することにより、前記各光ファイバ芯線Ｆ、例えば前記シングルモード型光ファイバテープＴの先端側から突出した１２芯の光ファイバ芯線Ｆの各根元部分がフェルール本体１０に固着されるものとしている。

また、図１（ａ）、図１（ｂ）、図２（ａ）、図２（ｃ）、図３（ａ）、図３（ｃ）等に示すように、前記フェルール本体１０の前端面から後端面にかけて、左右一対の位置決め用のガイドピン挿入孔１２が貫設されており、フェルール本体１０の前端面における前記１２個の光ファイバ芯線挿通孔１３が両ガイドピン挿入孔１２の間に横一列となって並置された状態となっている。

なお、図１（ａ）、図１（ｂ）、図２（ｂ）、図３（ａ）、図４（ａ）等に示すように、フェルール本体１０の後端側には当該フェルール本体１０の外周面より外方へ突出した鍔部１５を備えている。

而して、本発明の主要部について説明すると、前記挿入開口部１４の開口外縁部における隅角部（後述する四角開口外縁部の４つの角部）には、前記接着剤充填用窓部１１から接着剤Ｖが注入された際に、前記ブーツＢと当該挿入開口部１４との隙間から漏れ出した接着剤Ｖを停留させておくための段溝状の接着剤溜部１６を設けている。因みに、前記挿入開口部１４の開口外縁部における隅角部には、この接着剤溜部１６の形成を容易にする有効面積を保有しているため、挿入開口部１４の開口外縁部に沿って側溝状に接着剤溜部１６を形成する場合よりも加工が容易である。

すなわち、図１（ｂ）、図２（ｃ）、図３（ｂ）、図４（ａ）、図４（ｂ）、図５等に示すように、接着剤溜部１６は、フェルール本体１０の後端面側に形成されている左右一対の位置決め用のガイドピン挿入孔１２を避けるようにして前記挿入開口部１４の矩形状の開口外縁部の隅角部であって、その上縁側左右対称位置及び下縁側左右対称位置の計４箇所で横向きの段溝状となって形成してある。これにより、前記ブーツＢと当該挿入開口部１４との隙間から漏れ出した接着剤Ｖを開口外縁部の四隅に停留させておくと同時に、漏れ出した接着剤Ｖの左右一対のガイドピン挿入孔１２内部への侵入が未然に食い止められるようになっている。

次に、以上のように構成された形態についての組立使用の一例について説明する。図４（ａ）、図４（ｂ）、図５に示すように、１２芯の光ファイバ芯線Ｆをテープ状に束ねてなるシングルモード型光ファイバテープＴが装着されているブーツＢを、フェルール本体１０の挿入開口部１４に挿入する。このとき、収納空間部Ｓ内の段差部１７によって、挿入されたブーツＢの先端面下部側が接着剤充填用窓部１１手前で係止されると同時に、シングルモード型光ファイバテープＴの先端側の１２芯の光ファイバ芯線Ｆの各先端部側がＵ型のガイド溝１８に沿って１２個の光ファイバ芯線挿通孔１３に各挿入され、当該先端部の端面がフェルール本体１０の前面側に露呈する。

次いで、接着剤充填用窓部１１から接着剤Ｖを注入することにより、前記シングルモード型光ファイバテープＴの先端側から突出した１２芯の光ファイバ芯線Ｆの各根元部分がフェルール本体１０に接着一体化される。こうして、シングルモード型光ファイバテープＴの先端部分と、当該先端部分から突出している光ファイバ芯線Ｆの根元部分とがともに接着剤Ｖによって固着される。

而して、前記接着剤充填用窓部１１から接着剤Ｖが注入された際に、ブーツＢと挿入開口部１４との隙間から接着剤Ｖが漏れ出したとしても、前記挿入開口部１４の隅角部にある接着剤溜部１６の位置で接着剤Ｖが停留させられる。これにより、漏れ出した接着剤Ｖの左右一対のガイドピン挿入孔１２内部への侵入が未然に食い止められる。
因みに、以上は全てＭＴコネクタのみについて説明してきたが、本発明は、他形式の多芯光コネクタにも、適用可能である。

Ｂ ブーツ
Ｖ 接着剤
Ｔ シングルモード型光ファイバテープ
Ｆ 光ファイバ芯線
Ｓ 収納空間部
１０ フェルール本体
１１ 接着剤充填用窓部
１２ ガイドピン挿入孔
１３ 光ファイバ芯線挿通孔
１４ 挿入開口部
１５ 鍔部
１６ 接着剤溜部
１７ 段差部
１８ ガイド溝

Claims (1)

1. 光ファイバ芯線を先端に有する略角筒状のブーツを挿入支持するべく後端側に備えた四角開口状の挿入開口部と、
   該挿入開口部の内奥部に前記光ファイバ芯線の先端部側を挿入して当該先端部を外方に露出させるべく前端側に備えた光ファイバ芯線挿通孔と、
   を連設してなるフェルール本体の前記挿入開口部の開口外縁部における隅角部に、
   段溝状の接着剤溜部を設け、
   前記フェルール本体の上面には、前記光ファイバ芯線を前記挿入開口部の内奥部側から光ファイバ芯線挿通孔の後端開口部側にかけて接着剤を充填し固着させるべく開穿された接着剤充填用窓部を有し、
   前記接着剤溜部は、接着剤充填用窓部から注入して前記ブーツと当該挿入開口部との隙間から漏れ出した接着剤を溜めるよう形成し、
   前記フェルール本体は、その前面から後面にかけて貫設した左右一対の位置決め用のガイドピン挿入孔を備え、
   前面における両ガイドピン挿入孔の間に複数の前記光ファイバ芯線挿通孔が並設されて成る光コネクタフェルールであって、
   後面における前記接着剤溜部は、前記フェルール本体の後端面側に形成されている左右一対の位置決め用のガイドピン挿入孔を避けるようにして前記挿入開口部の開口外縁部における隅角部にあって、その上縁側左右対称位置及び下縁側左右対称位置の計４箇所で横向きの段溝状となって形成することにより、前記ブーツと当該挿入開口部との隙間から漏れ出した接着剤を開口外縁部の四隅に停留させておくことで前記左右一対のガイドピン挿入孔内部への接着剤の侵入が食い止められるようにしたことを特徴とする光コネクタフェルール。

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