JP6555080B2 - 双ドラム式連続鋳造装置用浸漬ノズル、双ドラム式連続鋳造装置及び薄肉鋳片の製造方法 - Google Patents
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このため、例えば特許文献1に示すように、内ノズルと、底面に多孔質耐火物フィルターが配設された外ノズルと、を有し、内ノズルから外ノズル内に溶融金属を注入し、外ノズル内に溶融金属を一旦貯留し、溶融金属溜まり部に溶融金属を供給する構造とされた浸漬ノズルが提案されている。
そこで、鋳造スタート時において、溶融金属溜まり部全体に溶融金属を均等に且つ一斉に供給するために、例えば特許文献2−4に示す浸漬ノズルが提案されている。
特許文献3においては、内ノズルと、底面に多孔質耐火物フィルターが配設された外ノズルと、を有し、外ノズル内部を減圧し、外ノズル内部に溶融金属を充満させた後、溶融金属溜まり部に溶融金属を供給する構造とされている。
特許文献4においては、ノズル吐出口に溶融性スタート板を設置するとともに、ノズル内部を減圧することにより、ノズル内部に溶融金属を充満させた後、溶融金属溜まり部に溶融金属を供給する構造とされている。
また、特許文献3に記載された浸漬ノズルにおいては、ノズル内部を減圧する必要があるため、構造が複雑となるおそれがあった。
さらに、特許文献4に記載された浸漬ノズルにおいては、ノズル吐出口に溶融性スタート板を設置しているが、この溶融性スタート板が不均等に溶融した場合には、溶融金属に偏流が生じ、溶融金属を均一に供給することができなくなるおそれがあった。また、ノズル内部を減圧する必要があるため、構造が複雑となるおそれがあった。
この場合、前記フロート体が上方に移動して前記ゲート部から前記プラグ部が外れた後は、フロート体の上下動がストッパー機構によって防止されることになり、フロート体によって溶融金属の流れが阻害されることがなく、溶融金属の供給を安定して行うことができる。
この場合、内ノズルを備え、前記フロート体が上昇して前記プラグ部が前記ゲート部から外れた際に、前記内ノズルの吐出口が前記溶鋼金属中に浸漬される構成とされているので、溶融金属を注入する際に湯面が大きく暴れることがなく、ノズル本体内に溶融金属を安定して注入することができる。また、鋳造スタート後において、ノズル本体の長手方向において均等に溶融金属を注入することが可能となる。
この場合、鋳造スタート後においても、多孔質耐火物フィルターによって、溶融金属がノズル本体の内部に貯留されることになり、前記冷却ドラムの長手方向で均一に溶融金属を吐出することができる。
本実施形態では、溶融金属として溶鋼を用いており、鋼材からなる薄肉鋳片1を製造するものとされている。なお、鋼種としては、例えば、0.001〜0.01%C極低炭鋼、0.02〜0.05%低炭鋼、0.06〜0.4%中炭鋼、0.5〜1.2%高炭鋼、SUS304鋼に代表されるオーステナイト系ステンレス鋼、SUS430鋼に代表されるフェライト系ステンレス鋼、3.0〜3.5%Si方向性電磁鋼、0.1〜6.5%Si無方向性電磁鋼等(なお、%は、質量%)が挙げられる。
また、本実施形態では、製造される薄肉鋳片1の幅が500mm以上2000mmの範囲内、厚さが1mm以上5mm以下の範囲内とされている。
この浸漬ノズル20においては、図2に示すように、ノズル本体21と、ノズル本体21の内部に上下動可能に配設されたフロート体31と、ノズル本体21の内部に挿入される内ノズル41と、を備えている。
下部領域21aは、下方に向かうに従って幅狭となるテーパー形状をなしており、この下部領域21aの長手方向側面に、溶鋼3の吐出孔22が複数設けられている。また、この下部領域21aの内部には、溶鋼3を吐出孔22へと流通させるゲート部23が設けられている。本実施形態では、このゲート部23は、下部領域21aの長手方向(冷却ドラム11の長手方向)に沿って延在するスリットとされている。また、このゲート部23の下方部分には、圧損構造体として多孔質耐火物フィルター29が配設されている。ここで、ノズル本体21の下部領域21aの長手方向長さ(冷却ドラム11の長手方向に沿った方向の長さ)は、鋳造する薄肉鋳片1の幅の40〜80%の範囲内に設定されている。
さらに、上部連結部21cには、内ノズル41が挿入される挿通孔26が設けられている。
フロート部32は、ノズル本体21内に貯留された溶鋼3によって浮上する構成とされており、密度が低い材料で構成されている。材質としては、例えばアルミナ、マグネシア、スピネル、ジルコニア、カルシア、シリカ、黒鉛等のいずれか1種以上を含むものとしてもよい。また、スポンジ構造ないし中空構造などとして密度をさらに低くすることも浮力を確保する上で効果的である。
プラグ部33は、前述のゲート部23に挿入可能な形状とされており、本実施形態では、ノズル本体21の下部領域21aの長手方向(冷却ドラム11の長手方向)に延在する形状とされている。また、本実施形態では、下方に向かうにしたがい幅狭となるテーパー形状をなしている。なお、このプラグ部33とフロート部32との間には、溶鋼3が流通可能な連通空間が画成されている。
以上のことから、本実施形態においては、フロート部32とノズル本体21との間のクリアランスは、0.1mm以上5mm以下の範囲内とすることが好ましい。
この内ノズル41の外径は、ノズル本体21の挿通孔26の内径、及び、フロート体31の貫通孔36の内径よりも、一段小径とされている。
本実施形態の浸漬ノズル20においては、鋳造スタート時には、図6及び図7に示すように、ノズル本体21のゲート部23にフロート体31のプラグ部33を挿入しておく。そして、タンディッシュ18から内ノズル41を介してノズル本体21内に溶鋼3を注入する。すると、ノズル本体21の内部に溶鋼3が貯留されることになる。なお、ノズル本体21に溶鋼3が注入されると、プラグ部33の上に貯留される溶鋼3によってプラグ部33がゲート部23側へと押圧されることになる。
このとき、内ノズル41の吐出口42は、ノズル本体21内に貯留された溶鋼3に浸漬されている。
例えば、本実施形態では、鋼の薄肉鋳片を製造するものとして説明したが、これに限定されることはなく、アルミニウムや他の金属の薄肉鋳片を対象としてもよい。
また、本実施形態では、ベンダーロール及びピンチロールを配設したもので説明したが、これらのロール等の配置に限定はなく、適宜設計変更してもよい。
図1に示す双ドラム式連続鋳造装置において、冷却ドラム径1200mm、ドラム幅800mm、鋳造弧角50°とし、幅800mm、厚さ3mmのSUS304からなる薄肉鋳片の鋳造を実施した。
フロート体は、アルミナグラファイトで構成したフロート部を有するものとした。
そして、本発明例及び比較例において、100回の鋳造を実施し、鋳造開始時の板厚不良、鋳片の破断の有無について評価した。
これに対して、フロート体を有する浸漬ノズルを使用した本発明例においては、板厚不良及び鋳片の破断は発生せず、鋳造を安定して開始することができた。
21 ノズル本体
22 吐出孔
23 ゲート部
29 多孔質耐火物フィルター
31 フロート体
33 プラグ部
41 内ノズル
Claims (6)
- 回転する一対の冷却ドラムと一対のサイド堰によって形成された溶融金属溜まり部に溶融金属を供給し、前記冷却ドラムの周面に凝固シェルを形成・成長させて薄肉鋳片を製造する双ドラム式連続鋳造装置に用いられる双ドラム式連続鋳造装置用浸漬ノズルであって、
下方に向かうに従って幅狭となるテーパー形状をなしている下部領域と、前記下部領域の下端部に前記冷却ドラムの長手方向に沿った方向に延在する底面を有しており、この底面近傍に吐出孔が形成されたノズル本体と、このノズル本体の内部に上下動可能に配設されたフロート体と、を備え、
前記ノズル本体の内部には、溶融金属を前記吐出孔へと流通させるゲート部が設けられ、前記フロート体の下部には、前記ゲート部を封止するプラグ部が設けられており、
前記プラグ部により前記ゲート部を封止した状態で前記ノズル本体の内部に溶融金属を貯留することにより、前記フロート体が上方に移動して前記ゲート部から前記プラグ部が外れ、前記ノズル本体の内部に貯留された前記溶融金属が、前記ゲート部から前記吐出孔へと供給されることを特徴とする双ドラム式連続鋳造装置用浸漬ノズル。 - 前記ノズル本体の上部領域の壁面にガイド溝が形成され、前記フロート体の側壁には、前記ガイド溝に挿入されるガイド凸部が設けられており、前記フロート体が上方に移動する際に、前記ガイド凸部が前記ガイド溝内を上方に移動し、前記ガイド溝の下側の空間に溶鋼が差し込み、この溶鋼が凝固して形成された凝固片により、前記ゲート部から前記プラグ部が外れた位置で、前記フロート体が下方に移動することを防止するストッパー機構が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の双ドラム式連続鋳造装置用浸漬ノズル。
- 前記ノズル本体の内部に前記溶融金属を注入する内ノズルを備えており、前記フロート体が上昇して前記プラグ部が前記ゲート部から外れた際に、前記内ノズルの吐出口が前記溶鋼金属中に浸漬されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の双ドラム式連続鋳造装置用浸漬ノズル。
- 前記ゲート部に、多孔質耐火物フィルターが配設されていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の双ドラム式連続鋳造装置用浸漬ノズル。
- 回転する一対の冷却ドラムと一対のサイド堰によって形成された溶融金属溜まり部に溶融金属を供給し、前記冷却ドラムの周面に凝固シェルを形成・成長させて薄肉鋳片を製造する双ドラム式連続鋳造装置であって、
前記溶融金属溜まり部に前記溶融金属を供給する浸漬ノズルとして、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の双ドラム式連続鋳造装置用浸漬ノズルを備えることを特徴とする双ドラム式連続鋳造装置。 - 回転する一対の冷却ドラムと一対のサイド堰によって形成された溶融金属溜まり部に溶融金属を供給し、前記冷却ドラムの周面に凝固シェルを形成・成長させて薄肉鋳片を製造する薄肉鋳片の製造方法であって、
前記溶融金属溜まり部に前記溶融金属を供給する浸漬ノズルとして、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の双ドラム式連続鋳造装置用浸漬ノズルを用いることを特徴とする薄肉鋳片の製造方法。
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JP2015213787A JP6555080B2 (ja) | 2015-10-30 | 2015-10-30 | 双ドラム式連続鋳造装置用浸漬ノズル、双ドラム式連続鋳造装置及び薄肉鋳片の製造方法 |
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