JP2002346707A - 鋼の連続鋳造方法 - Google Patents

鋼の連続鋳造方法

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JP2002346707A JP2001157572A JP2001157572A JP2002346707A JP 2002346707 A JP2002346707 A JP 2002346707A JP 2001157572 A JP2001157572 A JP 2001157572A JP 2001157572 A JP2001157572 A JP 2001157572A JP 2002346707 A JP2002346707 A JP 2002346707A
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Makoto Suzuki
真 鈴木
Atsushi Kubota
淳 久保田
Kenji Ishii
健司 石井
Ryoichi Yoshino
良一 吉野
Junichi Inoue
淳一 井上
Hiroshi Ogata
寛 尾方
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Shinagawa Refractories Co Ltd
JFE Engineering Corp
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Shinagawa Refractories Co Ltd
NKK Corp
Nippon Kokan Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 連続鋳造開始時に、タンディッシュの流出口
の自然開口率が高い鋼の連続鋳造方法を提供する。 【解決手段】 鋼の連続鋳造方法は、スライディングノ
ズル5を閉状態としたときに流出口3を塞ぐ部分を気孔率
が10〜30%かつ平均気孔径が5〜150μmの耐火性を有する
ポーラス煉瓦15で構成し、スライディングノズル5を閉
じた状態で、前記ポーラス煉瓦15より下記式1を満足す
る流量Q(L/min)で不活性ガスを吹き込みつつ、タンディ
ッシュ1内に所定量の溶鋼を注ぎ上げ、前記スライディ
ングノズル5を開き、鋳造を開始する。 2×10−3×π(d/2)≦Q≦4.3×V ……
… 式1 ただし、d:タンディッシュ上ノズル4下端部の内径(m
m)、V:タンディッシュ1内注ぎ上げ保持時の溶鋼容量(to
n)である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、鋼の連続鋳造方法
に関する。
【0002】
【従来の技術】鋼等の連続鋳造において、鋳造の最初の
部分では、タンディッシュへの注湯開始時の酸化等の影
響で、非金属介在物の量が多くなりやすい。このための
対策としては、予めタンディッシュ内に溶鋼を注入し、
ある程度の時間をとって、溶鋼中の介在物を浮上分離さ
せてから鋳造を開始する方法が考えられる。
【0003】しかし、タンディッシュのスライディング
ノズルを閉じた状態として、溶鋼を注入し、その状態で
保持すると、タンディッシュ耐火物から外壁への抜熱等
により、溶鋼の温度が低下し耐火物と接する部分に凝固
膜が形成されやすい。特に、スライディングノズルと接
する部分は、タンディッシュの底部に相当しており、注
ぎ上げ保持中の溶鋼の対流によって、温度の低い溶鋼が
集まりやすく、凝固膜が形成されやすい。このため、溶
鋼の保持を終えて、鋳造を開始するためにスライディン
グノズルを開いても、流出口近傍に形成された凝固膜の
ために流出口が自然開口せず、溶鋼を鋳型へ流出させる
ことができない場合が生じる。このような場合には、例
えば酸素バーナー等で強制的に流出口を開口させること
になるが、そのような方法では酸化によって溶鋼を汚染
させることになり、溶鋼を注入保持した効果が失われて
しまう。また、そのような操作によっても開口できない
場合には、鋳造が不可能となる。
【0004】このような問題を解決するため、スライデ
ィングノズルを閉じるプレートの閉栓に相当する部分
に、複数の貫通孔が穿孔された耐火物煉瓦を配し、この
貫通孔からタンディッシュ内の溶鋼中に不活性ガスを吹
き込む方法が採られることが多い。このように貫通孔を
設けてガスを吹き込むのは、貫通孔を介することで溶鋼
中に吹き込まれるガスの流速を大きくすることができ、
これにより上ノズル部分の溶鋼の攪拌効果を高くして、
溶鋼の低温部と高温部との混合を活発にすることができ
ると考えられているためである。
【0005】しかし、このようにスライディングノズル
のスライディングプレートに設けた貫通孔から溶鋼中に
不活性ガスを噴出させる方法では、溶鋼を攪拌する効果
によって、低温溶鋼がタンディッシュ底部に集積するこ
とを抑制することにより自然開口率をある程度向上する
効果が認められるが、一般的に吹き込まれる不活性ガス
の温度は溶鋼の温度よりも低いため不活性ガスの吹き込
みにより溶鋼が温度低下して、かえって凝固膜の生成を
促してしまう可能性もあり、その効果は十分ではない。
このため、不活性ガスの吹き込みと、流出口近傍におけ
る溶鋼の温度低下を防止する他の技術とを組み合わせて
タンディッシュの流出口を自然開口させる種々の方法が
提案されている。
【0006】例えば、特開平5−111742号公報で
は、スライディングノズルをあらかじめ予熱し、さら
に、スライディングノズルのスライディングプレートか
ら不活性ガスを噴出させて溶鋼を攪拌することによっ
て、タンディッシュ底部の温度低下を防止する方法が示
されている。
【0007】また、特開平8−257708号公報で
は、熱間再使用タンディッシュにおいて、タンディッシ
ュ待機中に、タンディッシュ敷面に設けた溶鋼注入口
(上ノズル)を加熱し、また、スライディングノズルの
ガス吹き込み口から不活性ガスを吹き込むことによっ
て、スライディングノズルを開口させる方法が示されて
いる。
【0008】しかし、特開平5−111742号公報に
開示された技術のようにスライディングノズル等を予め
950℃以上の高温に予熱する方法では、予熱作業の終
了から溶鋼を注入するまでの間にタンディッシュの温度
が降下するため効率が悪い。
【0009】また、これら公報等に示されている技術の
ように、スライディングプレートに設けた貫通孔からの
不活性ガスの吹き込みと、流出口近傍における溶鋼の温
度低下を防止する他の技術とを組み合わせてもタンディ
ッシュの流出口を自然開口する効果が十分でなく、連続
鋳造開始時に自然開口しないケースが少なくないため、
酸素バーナー等を用いた強制開口による鋳片品質の劣化
が問題となっている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、かかる事情
に鑑みなされたものであって、溶鋼をタンディッシュか
ら鋳型内に供給して連続鋳造を行うにあたり、連続鋳造
開始時におけるタンディッシュの自然開口率が高い鋼の
連続鋳造方法を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、本発明は、タンディッシュ内の溶鋼をその底部に設
けられた流出口から、上ノズル、前記流出口を開閉可能
なスライディングプレートを有するスライディングノズ
ル、および浸漬ノズルを介して鋳型内に供給して連続的
に鋳造を行う鋼の連続鋳造方法であって、前記スライデ
ィングプレート上側表面の少なくとも前記スライディン
グノズルを閉状態としたときに前記流出口を塞ぐ部分を
気孔率が10〜30%かつ平均気孔径が5〜150μm
の耐火性を有するポーラス煉瓦で構成し、前記スライデ
ィングノズルを閉じた状態で、前記ポーラス煉瓦の前記
流出口を塞ぐ部分より下記式1を満足する流量Q(L/
min)で不活性ガスを吹き込みつつ、前記タンディッ
シュ内に所定量の溶鋼を注ぎ上げ、前記スライディング
ノズルを開き、鋳造を開始することを特徴とする鋼の連
続鋳造方法を提供する。 2×10−3×π(d/2)≦Q≦4.3×V ……… 式1 ただし、d:タンディッシュ上ノズル下端部の内径(m
m)、V:タンディッシュ内注ぎ上げ保持時の溶鋼容量
(ton)である。このように、前記スライディングプ
レートを閉状態としたときに前記流出口を塞ぐ部分を前
記ポーラス煉瓦で構成し、かつ、前記ポーラス煉瓦から
の不活性ガスの吹き込み量を規定することにより、連続
鋳造開始時に高い自然開口率を得ることができる。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
を参照して説明する。図1は、本発明の実施形態に係る
連続鋳造方法が適用される連続鋳造設備を示す概略断面
図であり、スライディングノズルを開けて連続鋳造を行
っている状態を示している。タンディッシュ1は、その
上方に配置された取鍋11からロングノズル12を介し
て溶鋼2が流入される。タンディッシュ1の底部には2
箇所に流出口3が形成されており、それぞれに上ノズル
4が嵌め込まれている。この図では、一方の流出口3の
上ノズル4の下に3層式のスライディングノズル5が設
けられ、他方の流出口3の上ノズル4の下に2層式のス
ライディングノズル5′が設けられた状態を示してい
る。これらスライディングノズル5、5′はノズル孔を
開閉するとともに溶鋼の流量を調節するためのものであ
り、これらの下には浸漬ノズル6が設けられている。そ
して、いずれの場合においても、浸漬ノズル6からモー
ルド(鋳型)7へ連続的に溶鋼が供給され、溶鋼はモー
ルド7において半凝固状態の鋳片となり図示しないロー
ルにガイドされながら引き抜かれ完全に凝固した鋳片と
なる。なお、図1には便宜上2層式、3層式の両方を描
いているが、実際には2層式、3層式のいずれかのスラ
イディングノズルが使用される。
【0013】次に、図1に示したタンディッシュ1の流
出口3周辺の構造について詳細に説明する。図2は、図
1に示したタンディッシュ1の底部に設けられ、3層式
のスライディングノズル5を用いた流出口3の構造を示
す断面図であり、スライディングノズル5を閉じた状態
を示している。
【0014】スライディングノズル5は、固定プレート
16と、スライディングプレート13と、下プレート1
7とを有し、このスライディングプレート13を駆動用
油圧シリンダー(図示せず)により固定プレート16お
よび下プレート17と接した状態で摺動させることで、
流出口3を開いた開状態(図1参照)と、流出口3を閉
じた閉状態(図2参照)との間で切り替えることができ
る。なお、2層式のスライディングノズル5′を用いた
流出口3は、下プレート17がない他は、3層式のスラ
イディングノズル5とほぼ同様に構成されている。
【0015】スライディングプレート13上面の、スラ
イディングノズル5を閉状態としたときに流出口3を塞
ぐ部分には、ポーラス煉瓦15が設けられており、この
ポーラス煉瓦15にはガス流路14を介して図示しない
不活性ガス供給手段が接続されている。好ましくは、ス
ライディングプレート13上面の溶鋼と接触する部分の
全体をポーラス煉瓦15で構成する。このような構成に
より、スライディングノズル5を閉じた状態として、ポ
ーラス煉瓦15の気孔から溶鋼中に不活性ガスを吹き込
みながら溶鋼の注湯および保持を行うことができる。溶
鋼中に吹き込む不活性ガスとしては、溶鋼に影響を及ぼ
さないガスであれば、どのようなガスであっても適用可
能であるが、Ar等の希ガス、N等が好ましい。
【0016】多孔質でない耐火物煉瓦に貫通孔を設けて
ガスの吹き込みを行った場合には、貫通孔の部分からは
ガスが吹き込まれて溶鋼が攪拌されているが、貫通孔の
ない部分では溶鋼が滞留し、凝固しやすい状態となって
いる。これを防止するためには、貫通孔の数を多くして
溶鋼の滞留をなくす方法が考えられるが、耐火物煉瓦に
貫通孔を設ける加工には手間とコストがかかり、その数
を増やすことは、鋳片の製造コストを増大させることに
なり、好ましくない。
【0017】これに対して、本実施形態のようにポーラ
ス煉瓦15からガスの吹き込みを行った場合には、ポー
ラス煉瓦15の有する多数の気孔から溶鋼中に偏りなく
ガスを吹き込むことができるため、上記のような溶鋼の
局部的な滞留は起こらない。
【0018】また、耐火物煉瓦に設けられた貫通孔から
ガスの吹き込みを行った場合には、貫通孔を通過するガ
スの流速が大きく、低温のガスがそのまま溶鋼中に吹き
込まれるため溶鋼温度の低下をもたらすが、ポーラス煉
瓦15からガスの吹き込みを行った場合には、ポーラス
煉瓦15の気孔は通気抵抗が大きいためガスが減速さ
れ、溶鋼の熱等で高温になっているポーラス煉瓦15か
らの伝熱によって溶鋼中に吹き込まれる前にガス温度が
上昇するので、溶鋼温度への影響は小さい。
【0019】ポーラス煉瓦15としては、気孔率10〜
30%かつ平均気孔径5〜150μmで耐火性の高いも
のを用いることが好ましい。このような耐火性の高いポ
ーラス煉瓦としては、Al質、Al−Sp
inel質、MgO質、または、Spinel質が好適
である。
【0020】ポーラス煉瓦15から溶鋼中に吹き込む不
活性ガスの流量Q(L/min)は、下記式1の範囲に
規定する。 2×10−3×π(d/2)≦Q≦4.3×V…… 式1 ただし、d:タンディッシュ上ノズル下端部の内径(m
m)、V:タンディッシュ内注ぎ上げ保持時の溶鋼容量
(ton)である。
【0021】以下、不活性ガスの流量をこのように規定
した理由について説明する。ノズル孔を自然開口するた
めには、上ノズルでの溶鋼の凝固を抑える必要があり、
そのためには、上ノズル内部およびその上方に存在する
溶鋼の循環、入れ替わりを促進する必要がある。
【0022】本発明者らの水モデル実験等によれば、上
ノズル内部およびその上方に存在する溶鋼の容積のおよ
そ1/3に相当する不活性ガスを溶鋼中に吹き込むこと
により、上ノズル内部およびその上方から溶鋼が適切に
排除されて入れ替わり、溶鋼の循環が起こる。図3は、
この実験結果の一例を示すグラフであり、横軸は吹き込
んだガスの流量を示し、縦軸は、それぞれの流量でガス
を吹き込んだときに、水中に混ぜた電解質液を用いて水
の混合に要する時間を求めて指数化したもの(以下、攪
拌所要時間指数という)を示している。実験は上ノズル
4下端部の内径d=60,80,100のそれぞれの場
合について行い、攪拌所要時間指数が「1」以下であれ
ば、実際の溶鋼においても十分な混合、循環が起こると
考えられる。
【0023】ここで、上ノズル4内部およびその上方の
溶鋼の容積は、上ノズル4下端部の内径をd(mm)、
タンディッシュ溶鋼深さをh(m)とすると、π(d/
2) ×h×10−3Lで表される。ただし、不活性ガ
スの溶鋼中での浮上速度は、ガス気泡の大きさを1〜数
mmとすると、およそ毎秒0.1mと考えられる。した
がって、溶鋼深さがh(m)であれば、ガスの溶鋼中滞
留時間は10×h(sec)、すなわちh/6(mi
n)となる。以上のことから、不活性ガス流量の下限値
を、π(d/2)×h×10−3×(1/3)÷(h
/6)=2×10 −3×π(d/2)(L/min)
と規定した。
【0024】一方、ガスの吹き込み量が過剰であると、
タンディッシュ内全体の溶鋼運動量が上昇し、湯面が活
性化し、スラグ等の巻き込み等の悪影響が発生するた
め、ガス吹き込み量には上限を設ける必要がある。本発
明者らの知見によれば、このような悪影響はガスの占有
率が溶鋼全体の3%を超えると発生する。したがって、
ガスの占有率の上限は、V×10×(1/7)×0.
03=4.3×V(L/min)である。ただし、Vは
タンディッシュ内注ぎ上げ保持時の溶鋼容量(ton)
である。なお、ガス吹き込み量が過剰になると、気泡に
より溶鋼温度が低下し、凝固が発生する可能性もある
が、式1の範囲内であればその可能性も十分防止するこ
とができる。
【0025】以上のようなタンディッシュ1からモール
ド7に溶鋼を注入して連続鋳造を行う際には、スライデ
ィングノズル5を閉状態として、ガス供給源からの不活
性ガスをポーラス煉瓦15から上ノズル4内に上記の流
量で吹き込みつつ、取鍋11からタンディッシュ1内へ
溶鋼を注湯し、所定量の溶鋼を注ぎ上げた後に所定時間
保持し、溶鋼中の介在物を浮上分離する。この際、溶鋼
を保持している間もポーラス煉瓦15からのガス吹き込
みは継続して行う。その後、スライディングプレート1
3を摺動させてスライディングノズル5を開状態に切り
替えることにより、タンディッシュ1の流出口が自然開
口し、タンディッシュ1内の溶鋼が浸漬ノズル6を介し
てモールド7内に流入し、連続鋳造が行われる。
【0026】このように、溶鋼の注湯および保持を、ポ
ーラス煉瓦15から不活性ガスを吹き込みながら行うこ
とによって、上ノズル4内およびその上方の溶鋼を十分
に攪拌することができ、これによりこの部分における溶
鋼の凝固を防止することができる。したがって、この状
態でスライディングノズル5を開くことにより、タンデ
ィッシュ1の流出口3を高い自然開口率で開口し、連続
鋳造を開始することができる。このようにすることで、
酸素を使用した強制開口により鋳造初期の鋳片が汚染さ
れることを防止することができ、また、鋳造開始前に溶
鋼をタンディッシュ1内で所定時間保持した場合には、
それにより介在物を浮上分離する効果も十分に得られ、
鋳造初期の品質を定常部の鋳片並に改善することができ
る。
【0027】本発明の効果を確認するため、貫通孔の穿
孔された耐火物煉瓦を有するスライディングプレートN
o.1および2と、ポーラス煉瓦を有するスライディン
グプレートNo.3とを準備し、各スライディングプレ
ートを実験用タンディッシュに組み込んで、上ノズルお
よびスライディングノズル周辺における溶鋼の状態を調
査した。
【0028】すなわち、それぞれのスライディングプレ
ートの貫通孔またはポーラス煉瓦の気孔から不活性ガス
を吹き込みながら溶鋼を注湯し、所定時間経過後に、ガ
スの吹き込みを継続した状態で溶鋼中にFeSを投入
し、スライディングノズルを閉じた状態のままで溶鋼を
凝固させ、上ノズル内で凝固した鋼を採取し、その断面
のサルファプリントを得た。得られたサルファプリント
を図4に示す。
【0029】これにより、FeSを投入した時点での上
ノズルおよびスライディングノズル周辺における溶鋼の
凝固の状態を知ることができる。すなわち、その時点で
溶鋼が凝固している部分にはSが含まれず、凝固してい
ない部分にはSが含まれるので、サルファプリントには
FeS投入時に凝固していた部分が白くあらわれる。
【0030】図4より、スライディングプレートNo.
1および2を用い、耐火物煉瓦に穿孔した貫通孔からガ
スを吹き込んだ場合には、溶鋼保持中に上ノズル側壁面
で溶鋼が凝固しているが、スライディングプレートN
o.3を用い、ポーラス煉瓦からガスを吹き込んだ場合
には溶鋼保持中に溶鋼が凝固していないことが確認でき
る。
【0031】なお、本実施形態では、溶鋼の連続鋳造の
場合について示したが、他の溶融金属であっても適用可
能である。
【0032】
【実施例】以下、本発明の実施例について説明する。図
1および図2に示した構造のタンディッシュを用いた連
続鋳造機で、低炭アルミキルド鋼の鋳造を行った。タン
ディッシュの容量は70tonで、タンディッシュ上ノ
ズル下端部の内径dは80mmである。また、スライデ
ィングプレートの上側表面の、スライディングノズルを
閉状態としたときに流出孔を塞ぐ部分は、気孔率20
%、平均気孔径100μmのポーラス煉瓦で構成した。
【0033】以上のようなタンディッシュのポーラス煉
瓦からアルゴンガスを吹き込みつつ、タンディッシュ内
に溶鋼を注入した。このとき、アルゴンガスの流量は5
0L/minとした。その後、タンディッシュ内に溶鋼
を50tonまで注ぎ上げて保持してから、スライディ
ングノズルを開状態にしたところ、タンディッシュの流
出口が自然開口し、タンディッシュからモールドへの溶
鋼の出湯が確認され、強制開口することなく連続鋳造を
開始することができた。
【0034】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば連続鋳造
開始時におけるタンディッシュの自然開口率を向上する
ことができる。また、本発明によれば、タンディッシュ
内に溶鋼を注ぎ上げて保持することにより溶鋼中介在物
を浮上分離する効果を十分に発揮させることができるの
で、鋳造初期における鋳片品質を定常部における鋳片品
質並みに改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る連続鋳造方法が適用さ
れる連続鋳造設備を示す概略断面図。
【図2】図1に示したタンディッシュ1における3層式
スライディングノズル側の流出口の構造を示す断面図。
【図3】本発明者らの行った実験結果の一例を示すグラ
フ。
【図4】実験用タンディッシュを用いて溶鋼の状態を調
査した結果に係るサルファプリント。
【符号の説明】
1;タンディッシュ 2;溶鋼 3;溶鋼流出部 4;上ノズル 5;3層式スライディングノズル 5′;2層式スライディングノズル 6;浸漬ノズル 7;モールド 11;取鍋 12;ロングノズル 13;スライディングプレート 14;ガス流路 15;ポーラス煉瓦 16;固定プレート 17;下プレート
フロントページの続き (72)発明者 久保田 淳 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 石井 健司 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 吉野 良一 東京都千代田区九段北四丁目1番7号 品 川白煉瓦株式会社内 (72)発明者 井上 淳一 東京都千代田区九段北四丁目1番7号 品 川白煉瓦株式会社内 (72)発明者 尾方 寛 東京都千代田区九段北四丁目1番7号 品 川白煉瓦株式会社内 Fターム(参考) 4E014 MA05 MA11 MA20

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 タンディッシュ内の溶鋼をその底部に設
    けられた流出口から、上ノズル、前記流出口を開閉可能
    なスライディングプレートを有するスライディングノズ
    ル、および浸漬ノズルを介して鋳型内に供給して連続的
    に鋳造を行う鋼の連続鋳造方法であって、 前記スライディングプレート上側表面の少なくとも前記
    スライディングノズルを閉状態としたときに前記流出口
    を塞ぐ部分を気孔率が10〜30%かつ平均気孔径が5
    〜150μmの耐火性を有するポーラス煉瓦で構成し、
    前記スライディングノズルを閉じた状態で、前記ポーラ
    ス煉瓦の前記流出口を塞ぐ部分より下記式1を満足する
    流量Q(L/min)で不活性ガスを吹き込みつつ、前
    記タンディッシュ内に所定量の溶鋼を注ぎ上げ、前記ス
    ライディングノズルを開き、鋳造を開始することを特徴
    とする鋼の連続鋳造方法。 2×10−3×π(d/2)≦Q≦4.3×V ……… 式1 ただし、d:タンディッシュ上ノズル下端部の内径(m
    m)、V:タンディッシュ内注ぎ上げ保持時の溶鋼容量
    (ton)である。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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