JP6552368B2 - 光電変換素子及び光電変換素子の製造方法 - Google Patents

光電変換素子及び光電変換素子の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は光電変換素子及び光電変換素子の製造方法に関する。
近年、光吸収や光電変換に有機系材料を用いた有機系太陽電池が注目されている。代表的な有機系太陽電池としては、色素増感太陽電池、及び有機薄膜太陽電池が挙げられ、これらについて光エネルギー変換効率の向上や耐久性に関して様々な研究がなされている。
近年、無機系材料と有機系材料との複合材料であるペロブスカイト結晶を用いたペロブスカイト型太陽電池が急速に注目を集めている。ペロブスカイト型太陽電池は、光エネルギー変換効率に優れ、且つ有機系太陽電池と同様に溶液の塗布及び乾燥によって簡便に薄膜の製造が可能であることが知られている。
例えば特許文献1には、CHNH(式中、Mは2価の金属イオンであり、XはF、Cl、Br、Iからなる群から選ばれる1種以上である。)で表されるペロブスカイト型結晶構造を持つ感光性材料を用いた光電変換素子が開示されている。
特開2014−72327号公報
しかしながら、上記特許文献1に記載のようなペロブスカイト型太陽電池を産業応用するにあたり、良好な光電変換効率のみならず、光等に対する耐久性の向上が求められている。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、良好な光電変換効率及び耐久性達成可能な光電変換素子、及び当該光電変換素子の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、式「ABX」(式中、Aはアルキルアンモニウムカチオンであり、BはPb及びSnから選ばれる1種以上であり、XはF、Cl、Br及びIからなる群から選択される1種以上である。)で通常表されるペロブスカイト化合物において、Aのアルキルアンモニウムカチオンとして、特定の構造を有する2種のアルキルアンモニウムカチオンを組み合わせて用いることにより、光電変換効率が向上することを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の光電変換素子及び光電変換素子の製造方法は、下記[1]〜[5]の特徴を有するものである。
[1]一対の電極と、前記一対の電極間に配置された光電変換層とを有する光電変換素子であって、前記光電変換層は、ABX(式中、Aは、メチルアンモニウムカチオンAと、アンモニウムカチオンAとを有するアンモニウムカチオンである。Bは、Pb及びSnからなる群より選ばれる1種以上である。XはF、Cl、Br及びIからなる群から選択される1種以上である。アンモニウムカチオンAは、Rで表されるアンモニウムカチオンである。R〜Rはそれぞれ独立に水素原子、又は炭素数1〜7の炭化水素基、若しくは当該炭化水素基を構成する1以上の−CH−が、−O−、−NH−又は−S−で置換された基である。当該基を構成するR〜Rの炭素数の合計は3以上である。当該基において、Nに結合する鎖中の、最長の直鎖を構成するC、O、N及びSの原子数は3以下である。)で表されるペロブスカイト化合物を含むことを特徴とする、光電変換素子。
[2]前記アンモニウムカチオンAが、第2〜4級アンモニウムカチオンである、前記[1]の光電変換素子。
[3]前記R〜Rが、それぞれ独立にn−プロピル基又は水素原子である前記[1]の光電変換素子。
[4]前記光電変換層が、前記一方の電極の、他方の電極と対向する面の側にBXを含む溶液を塗布する工程と、前記工程により得られた塗布膜上に、A1X及びAXを含み、モル比AX/A1Xが15/100以下である溶液を塗布する工程と、によって形成された層である、前記[1]〜[3]のいずれかの光電変換素子。
[5]前記[1]〜[3]のいずれかの光電変換素子の製造方法であって、一方の電極の、他方の電極と対向する面の側に、BXを含む溶液を塗布する工程と、前記工程により得られた塗布膜上にA1X及びAXを含み、モル比AX/A1Xが15/100以下である溶液を塗布する工程と、を有することを特徴とする光電変換素子の製造方法。
本発明によれば、良好な光電変換効率を有し、且つ、耐久性に優れた光電変換素子が得られる。
本発明の光電変換素子の一例を示す概略模式図である。
図1は、本発明の光電変換素子の一実施形態を示す概略模式図である。
本実施形態の光電変換素子10は、一対の基板である第1の基板11及び第2の基板12と、一対の基板11、12間に配置された一対の電極である第1電極13及び第2電極14と、第1電極13と第2電極14との間に配置されたホール輸送層15、光電変換層16及び電子輸送層17と、封止部18と、から概略構成されている。封止部18は、第1の基板11と第2の基板12との間にあって、第1電極13、第2電極14、ホール輸送層15、光電変換層16及び電子輸送層17を囲むように第1の基板11と第2の基板12の周縁部に沿って配置され、第1の基板11と第2の基板12とを貼り合せるものである。
すなわち、光電変換素子10は、第1の基板11と第2の基板12とが、その厚み方向において、封止部18を介して積層され、第1の基板11と第2の基板12と封止部18とによって形成される空間の内部に、一対の電極である第1電極13、第2電極14、及び、ホール輸送層15、光電変換層16及び電子輸送層17からなる積層体が格納された構造をなしている。
(基板)
本実施形態において、第1の基板11、第2の基板12としては、無色透明なガラス板や樹脂を主たる構成成分とするフィルム又はシートを用いることができる。
このような基板に用いる樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル系樹脂;ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、環状ポリオレフィン等のポリオレフィン系樹脂;ポリアミド系樹脂;ポリカーボネート系樹脂;ポリスチレン系樹脂;ポリビニルアルコール系樹脂;エチレン−酢酸ビニル共重合体のケン化物;ポリアクリロニトリル系樹脂;アセタール系樹脂;ポリイミド系樹脂が挙げられる。これらの樹脂の中でも、耐熱性及び線膨張率が高く、製造コストが低いという観点から、ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂が好ましく、PET、PENが特に好ましい。また、これらの樹脂は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
第1の基板11、第2の基板12の厚みは、本発明の光電変換素子を製造する際の安定性を考慮して適宜に設定することができる。前記基板の厚みとしては、真空中においても基板の搬送が可能であるという観点から、5〜500μmの範囲であることが好ましい。さらに、プラズマCVD法により本発明にかかる薄膜層を形成する場合には、前記基板を通して放電しつつ本発明にかかる薄膜層を形成することから、前記基板の厚みが50〜200μmの範囲であることがより好ましく、50〜150μmの範囲であることが特に好ましい。
また、基板11、12には、積層する他の層との密着性の観点から、基板の表面を清浄するための表面活性処理を施すことが好ましい。このような表面活性処理としては、例えば、コロナ処理、プラズマ処理、フレーム処理が挙げられる。
また、第1の基板11、第2の基板12が樹脂フィルム又は樹脂シートである場合、ガスバリア性の向上のためにその表面に1層以上の薄膜層を有するものも好ましい。薄膜層を備えた樹脂フィルムとしては、例えば特開2011−73430に記載のガスバリア性積層フィルムが挙げられ、ヘキサメチルジシロキサン等を成膜ガスとしてプラズマCVD法により薄膜層を形成したフィルムが好ましい。
なお、第1の基板11、第2の基板12は、薄膜層をその両面に有していてもよく、片面のみに有していてもよいが、基板11、12の両面に薄膜層を有することが好ましい。また、基板11、12かがその片面のみに薄膜層を有する場合、形成された薄膜層は、第1の基板11と第2の基板12と封止部18とによって形成される空間に面するように配されることが好ましい。このような構成とすることにより、得られる光電変換素子のガスバリア性を向上させることができる。
(第1電極)
本実施形態において第1電極13は、後述するホール輸送層15と電気的に接続されている。第1電極13は、光を取り込むと共に、第2電極14と対になって光電変換層16で生成された電荷が流れる電極として機能する。第1電極13は、可視光及び可視光付近の赤外光及び紫外光を透過可能であることが好ましい。
第1電極13の材料としては特に限定されるものではないが、ITO(インジウム錫酸化物)、ZnO(酸化亜鉛)、FTO(フッ素添加酸化錫)、SnO(酸化スズ)、IZO(インジウム亜鉛酸化物)、ZnO(酸化亜鉛)等の導電性の金属酸化物、又はこれら導電性の金属酸化物にAl、B、Ga、In等がドープされた金属酸化物が好ましい。また、導電性高分子材料を材料として用いることもできる。高分子材料としては例えば、ポリチオフェン系、ポリピロール系、ポリフェニレンビニレン系、ポリアセチレン系高分子等が挙げられる。
第1電極13は、上記金属酸化物や高分子材料を用いて形成された薄膜であることが好ましい。第1電極13は単層構造であってもよく、2層構造等の積層構造であってもよい。
第1電極13の膜厚は、特に制限されないが、0.1〜1μmが好ましい。
また、第1電極13には、他の層との密着性の観点から、オゾンUV処理等の表面処理を施しておいてもよい。
(第2電極)
第2電極14の材料としては特に限定されるものではないが、金、銀、白金、アルミニウム、カルシウム等の金属;ITO、FTO、SnO、IZO等の導電性の金属酸化物;導電性の高分子材料等を用いることができ、これらの材料を用いて形成された薄膜を対向電極14とすることが好ましい。薄膜の形成方法は特に限定されるものではなく、蒸着、スパッタリング等の常法により形成することができる。
なかでも第2電極14としては、金属電極又は金属酸化物電極が好ましい。
(電子輸送層)
電子輸送層17は、第2電極14に接して形成され、第2電極14と電気的につながっているn型半導体層である。
電子輸送層17の材料としては特に限定されるものではないが、チタン、スズ、亜鉛、鉄、タングステン、ジルコニウム、ストロンチウム、インジウム、セリウム、イットリウム、ランタン、バナジウム、ニオブ、タンタル等の金属酸化物を用いることができる。これらのなかでも、酸化チタン(TiO)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化スズ(SnO)、酸化タングステン(WO)、又は酸化ニオブ(Nb)が好ましく、酸化チタン、チタン酸ストロンチウム又は酸化亜鉛がより好ましく、酸化チタンが特に好ましい。
また、フェニルC61酪酸メチルエステル(PCBM)等の有機半導体化合物を用いることも好ましい。有機半導体化合物を用いることにより、電子輸送層をロールツーロール等の簡便な方法で製造することが可能となる。
電子輸送層17は、半透明とするため、多孔質であることが好ましい。上記のような金属酸化物の粒子を溶媒に分散したコロイド、ゾル又はペーストとし、後述する光電変換層16上に、又は第2電極14上に塗布又は印刷して加熱又は焼成することにより、電子輸送層17として好適な金属酸化物多孔層を得ることができる。
なかでも、電子輸送層17は、比表面積が120〜140m/g、平均粒子径が8〜12nmのアナターゼ型酸化チタン微粒子を分散させたコロイド状のスラリーを塗布して形成されることが好ましい。
(ホール輸送層)
ホール輸送層15は、第1電極13と電気的につながっているp型半導体層である。
ホール輸送層15の材料としては特に限定されるものではなく、公知の有機半導体化合物を用いることができる。有機半導体化合物としては、トリフェニルアミン骨格を有する高分子化合物等が挙げられる。ホール輸送層15は、有機溶剤に溶解した後、第1電極13上に、又は後述する光電変換層16上に塗布又は印刷し、加熱又は焼成することにより製造することができる。
(光電変換層)
光電変換層16は、ホール輸送層15及び電子輸送層17と電気的に接続された層であって、「ABX・・・(1)」(以下、式(1)ということがある。)で表されるペロブスカイト化合物を含む。
本明細書において、「ペロブスカイト化合物」とは、鉱石である「ペロブスカイト」と同じ結晶構造(以下、「ペロブスカイト構造」という。)を有する化合物、又は、類似したペロブスカイト構造をとる化合物をいう。
式(1)中、Bは、Pb及びSnからなる群より選ばれる1種以上である。
式(1)中、XはF、Cl、Br及びIからなる群から選択される1種以上であって、Br又はIが好ましい。
式(1)中、Aは、メチルアンモニウムカチオンAと、アンモニウムカチオンAとを有するアンモニウムカチオンである。
アンモニウムカチオンAは、メチルアンモニウムカチオン(CHNH )である。
アンモニウムカチオンAは、「R ・・・(2)」(以下、式(2)ということがある。)で表されるアンモニウムカチオンである。
式(2)中、R〜Rはそれぞれ独立に水素原子、又は炭素数1〜7の炭化水素基、若しくは当該炭化水素基を構成する1以上の−CH−が、−O−、−NH−又は−S−で置換された基である。−NH−における水素原子は置換されていてもよい。
また、R〜Rの炭素数1〜7の炭化水素基、及び、当該炭化水素基が置換された基は、sp混成軌道で結合された原子のみが連続してNに繋がった炭化水素基であることが好ましい。すなわち、R〜Rは、不飽和結合を含まないことが好ましい。
〜Rの炭素数1〜7の炭化水素基としては、鎖状であってもよく、環状であってもよい。
鎖状の炭化水素基としては、直鎖状の炭化水素基であっても、分岐状の炭化水素基であってもよいが、直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基が好ましいものとして挙げられる。
環状の炭化水素基は、芳香族炭化水素基であってもよく、非芳香族(脂肪族)炭化水素基であってもよいが、芳香族炭化水素基であることが好ましい。
〜Rの炭素数1〜7の炭化水素基は、1以上の−CH−が、−O−、−NH−又は−S−で置換されていてもよい。すなわち、R〜Rは、炭素数1〜7の炭化水素基における1以上のメチレン基が−O−、−NH−又は−S−で置換された基であってもよい。構造中の複数のメチレン基が置換されるとき、複数の置換基は全て同じであってもよく、異なっていてもよい。
また、R〜Rの炭素数の合計は3以上であって、3〜9が好ましい。
〜Rにおいて、Nに結合する鎖中の、最長の直鎖を構成するC、O、N及びSの原子数は3以下である。
「Nに結合する鎖中の、最長の直鎖を構成するC、O、N及びSの原子数」(以下、「直鎖原子数」ということがある。)とは、当該「Nに結合する鎖」(以下、「N結合鎖」という。)中の最長の直鎖構造を抜き出し、該直鎖構造中のC、O、N及びSの原子数を数えた数をいう。例えばRがn−プロピル基の場合、該「直鎖原子数」は3である。また、Rがイソブチル基の場合には、イソブチル基全体が当該「N結合鎖」となるが、このとき、「−CH−CH−CH」構造がイソブチル基中の最長の直鎖構造となるため、当該直鎖構造中のC、O、N及びSを数えた「直鎖原子数」は3である。
また、R〜R中の炭化水素基が−O−、−NH−又は−S−で置換されている場合であっても、これらO、N、S原子も原子数としてカウントする。そのため、例えば、Rがメトキシメチル基(−CH−O−CH)の場合、前記「直鎖原子数」は3となる。
一方、R〜Rは「直鎖原子数」が4以上となる基とはなり得ない。そのため、R〜Rは、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基となり得るが、n−ブチル基とはなり得ない。
〜Rが取り得る基としては、水素原子;メチル基、エチル基、プロピル基(n−プロピル基)、イソプロピル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、tert−ペンチル基、ネオペンチル基等のアルキル基;メトキシメチル基、メチルアミノメチル基、ジメチルアミノメチル基、メチルチオメチル基等の置換基を有する炭化水素基;フェニル基等の芳香族炭化水素基が挙げられる。R〜Rは全て同じであってもよく、R〜Rの一部が同じであってもよく、それぞれ異なっていてもよい。
また、上述のようにR〜Rの炭素数の合計は3以上である。よって、Rがメチル基の場合、R〜Rのいずれか1つ以上が炭素数2以上の基となるか、或いは、R〜Rのいずれか2つ又は全てが炭素数1の基となる。また、Rがエチル基の場合、R〜Rのいずれか1つ以上が炭素数1以上の基となる。
アンモニウムカチオンAとしては例えば、トリメチルアンモニウム、テトラメチルアンモニウム、ジエチルアンモニウム、トリエチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、プロピルアンモニウム、ジプロピルアンモニウム、トリプロピルアンモニウム、テトラプロピルアンモニウム、イソプロピルアンモニウム、ジイソプロピルアンモニウム、トリイソプロピルアンモニウム、テトライソプロピルアンモニウム、イソブチルアンモニウム、ジイソブチルアンモニウム、トリイソブチルアンモニウム、テトライソブチルアンモニウム、sec−ブチルアンモニウム、ジ−sec−ブチルアンモニウム、トリ−sec−ブチルアンモニウム、テトラ−sec−ブチルアンモニウム、tert−ブチルアンモニウム、ジ−tert−ブチルアンモニウム、トリ−tert−ブチルアンモニウム、テトラ−tert−ブチルアンモニウム、tert−ペンチルアンモニウム、ジ−tert−ペンチルアンモニウム、トリ−tert−ペンチルアンモニウム、テトラ−tert−ペンチルアンモニウム、ネオペンチルアンモニウム、ジネオペンチルアンモニウム、トリネオペンチルアンモニウム、テトラネオペンチルアンモニウム等のアルキルアンモニウム;
メトキシメチルアンモニウム、ジメトキシメチルアンモニウム、トリメトキシメチルアンモニウム、テトラメトキシメチルアンモニウム等のアルコキシアルキルアンモニウム;
メチルアミノメチルアンモニウム、ジ(メチルアミノメチル)アンモニウム、トリ(メチルアミノメチル)アンモニウム、テトラ(メチルアミノメチル)アンモニウム、ジメチルアミノメチルアンモニウム、ジ(ジメチルアミノメチル)アンモニウム、トリ(ジメチルアミノメチル)アンモニウム、テトラ(ジメチルアミノメチル)アンモニウム等のアルキルアミノアルキルアンモニウム;
メチルチオメチルアンモニウム、ジメチルチオメチルアンモニウム、トリメチルチオメチルアンモニウム、テトラメチルチオメチルアンモニウム等のアルキルチオアルキルアンモニウム;
フェニルアンモニウム、メチルフェニルアンモニウム、ジメチルフェニルアンモニウム、トリメチルフェニルアンモニウム等のフェニルアンモニウム又はアルキルフェニルアンモニウム等が挙げられる。
なかでも、アンモニウムカチオンAは、第2〜4級アンモニウムカチオンであることが好ましく、第3〜4級アンモニウムカチオンであることがより好ましい。
また、アンモニウムカチオンAにおいて、R〜Rが、それぞれ独立にn−プロピル基又は水素原子であることも好ましい。具体的には、n−プロピルアンモニウム、ジn−プロピルアンモニウム、トリn−プロピルアンモニウム、テトラn−プロピルアンモニウムが好ましい。
本発明で用いられるペロブスカイト化合物において、アンモニウムカチオンAとAとの含有比率A/A1は、モル比において15/100以下であることが好ましく、2/100〜15/100であることがより好ましく、3/100〜10/100がさらに好ましく、3/100〜7/100が特に好ましく、4/100〜6/100が最も好ましい。
本発明の光電変換素子は、光電変換層16が、アンモニウムカチオンAとAとを有するペロブスカイト化合物を含む。アンモニウムカチオンAは、従来ペロブスカイト化合物中のAサイトの化合物として知られているメチルアンモニウムカチオンである。本発明ではメチルアンモニウムカチオンAに加えて、Aよりも大きな基を有するアンモニウムカチオンAを併用することにより、良好な光電変換効率を維持しつつ、メチルアンモニウムカチオンのみを用いた場合と比してさらなる耐久性を達成している。
上記のような効果が得られる理由は明らかではないが、以下のような理由が考えられる。メチルアンモニウムカチオンAは、アンモニウムカチオン(N)に結合した基がメチル基1つと水素原子3つのみであるため、その構造は比較的嵩高くない。そのため、このようなメチルアンモニウムカチオンAを用いることにより、ペロブスカイト化合物が三次元のペロブスカイト結晶構造を良好に採り得ると従来考えられてきた。しかしながら、ペロブスカイト化合物は中心原子となるBサイトの原子として、PbやSn等の非常に大きな原子を有する。そのため、一般的にペロブスカイト化合物は、トレランスファクター(許容係数)が0.75程度の非常に不安定な化合物となる。なお、トレランスファクターは計算により求めることができる安定性の指標であって、理想値は1とされる。このように不安定性を有するペロブスカイト化合物を用いて、三次元構造の膜を作製した場合、ペロブスカイト結晶構造の不安定性に起因して、膜が積層するにつれて徐々に歪みが蓄積することが予想される。
本発明者らは今回、この歪みが耐久性等の各種特性を悪化させている可能性に考え到った。そして、光電変換層のペロブスカイト結晶構造中に僅かな歪みを積極的に取り入れることによって、三次元ペロブスカイト構造本来の不安定性に起因する歪みの蓄積を解消できることを見出した。具体的には、三次元ペロブスカイト結晶構造を得るために必要なメチルアンモニウムカチオンAと、単体では三次元ペロブスカイト結晶構造を形成し難いアンモニウムカチオンAとを併用することにより、Aの積層によって大きくなる結晶構造の歪みをAの存在によりリセットし、全体として良好な三次元ペロブスカイト化合物が得られることを見出した。本発明の光電変換素子では、上記のような構成によって光電変換層16が良好な三次元ペロブスカイト結晶構造を有するものとなり、その結果として良好な光電変換効率と、優れた耐久性とを両立できると考えられる。
光電変換層16は、上述したペロブスカイト化合物以外の成分を有していてもよい。例えば、若干の不純物や、ペロブスカイト構造でない化合物であって、上述したペロブスカイト化合物と同様又は類似した組成を有する化合物をさらに含んでいてもよい。
光電変換層16の膜厚は特に限定されるものではないが、50〜1000nmが好ましく、100〜500nmがより好ましい。
光電変換層16は、ペロブスカイト化合物の原料溶液を用いることにより、自己組織化反応によって簡便に製造することができる。例えば、以下のような工程によって光電変換層16を形成することができる。
〔光電変換層16の製造方法〕
まず、BXを含む溶液を塗布する。
具体的には、少なくとも、BX及び有機溶剤を含む溶液を、一方の電極の、他方の電極と対向する面の側に塗布する。本態様では、「一方の電極の、他方の電極と対向する面の側」とは、第2の電極14の、第1の電極13と対向する面の側であって、具体的には、第2の電極14の導電材料を含む層17が形成された面である。
B、Xは上記同様であって、いずれも1種のみが含有されていてもよく、2種以上が含有されていてもよい。
本工程における溶液は、上述したB、X及び後述する有機溶剤以外の成分を含有していてもよい。その他の成分としては、周期表の第1族、第2族、第3族、第11族、第12族及び第13族からなる群より選ばれる1種以上の元素等が挙げられる。なかでも、該成分としては、Li、Na、Cu、Ag、Au、Mg、Ca、Sr、Ba、Sc、Y、La、Zn、B、Al、Ga、Inが好ましい。
有機溶剤は、BX及びその他の成分を溶解し得るものであれば特に限定されるものではなく、例えば、メチルホルメート、エチルホルメート、プロピルホルメート、ペンチルホルメート、メチルアセテート、エチルアセテート、ペンチルアセテート等のエステル類;γ−ブチロラクトン、N‐メチル−2−ピロリドン、アセトン、ジメチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン等のケトン類;ジエチルエーテル、メチル−tert−ブチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジメトキシメタン、ジメトキシエタン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、4−メチルジオキソラン、テトラヒドロフラン、メチルテトラヒドロフラン、アニソール、フェネトール等のエーテル類;メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、tert−ブタノール、1−ペンタノール、2−メチル−2−ブタノール、メトキシプロパノール、ジアセトンアルコール、シクロヘキサノール、2−フルオロエタノール、2,2,2−トリフルオロエタノール、2,2,3,3−テトラフルオロ−1−プロパノール等のアルコール類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールジメチルエーテル等のグリコールエーテル類;N,N−ジメチルホルムアミド、アセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド系有機溶剤;アセトニトリル、イソブチロニトリル、プロピオニトリル、メトキシアセトニトリル等のニトリル系有機溶剤;エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等のカーボート系有機溶剤;塩化メチレン、ジクロロメタン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素系有機溶剤;n−ペンタン、シクロヘキサン、n−ヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン等の炭化水素系有機溶剤;ジメチルスルホキシド等が挙げられる。
上記有機溶剤は、分岐構造若しくは環状構造を有していてもよく、−O−、−CO−、−COO−、−OH等の官能基を複数有していてもよく、水素原子がフッ素等のハロゲン原子で置換されていてもよい。
溶液の塗布方法は特に限定されるものではなく、スピンコート法、ディップ法、ダイコート法、グラビア塗布法、バー塗布法、スプレー法等の公知の塗布方法で行うことができ、或いは、公知の印刷法によって行ってもよい。
また、溶液を塗布した後、必要に応じて減圧、乾燥及び送風のいずれか1以上を行い、有機溶剤を揮発させることが好ましい。乾燥は常温下で行ってもよく、加熱して行ってもよい。加熱する場合の温度は、乾燥にかかる時間と基板の耐熱性とを考慮して適宜決定することができるが、50〜200℃が好ましく、50〜100℃がより好ましい。
次いで、上記工程により得られた塗布膜上に、A1X及びAXを含み、AX/A1Xがモル比において15/100以下である溶液を塗布する。
具体的には、少なくとも、A1X、AX及び有機溶剤を含む溶液を、上記工程で得られた塗布膜上に塗布する。
1、A、Xは上記同様である。BXを塗布する工程におけるXと、本工程におけるXとは、同じであっても異なっていてもよい。
溶液中のAXとA1Xとは、AX/A1Xがモル比において15/100以下であることが好ましく、2/100〜15/100であることがより好ましく、3/100〜10/100がさらに好ましく、3/100〜7/100が特に好ましく、4/100〜6/100が最も好ましい。
有機溶剤としては、上記工程で挙げたものと同様の溶剤を用いることができる。BXを塗布する工程における有機溶剤と、本工程における有機溶剤とは、同じであっても異なっていてもよい。
溶液の塗布は、BXを塗布する工程と同様に行うことができる。
また、溶液を塗布した後、必要に応じて乾燥を行い、有機溶剤を揮発させることが好ましい。乾燥は常温下で行ってもよく、加熱して行ってもよい。本工程においてはペロブスカイト結晶構造の形成を促進するため、加熱を行うことが好ましく、50〜200で加熱を行うことがより好ましく、100〜200℃がさらに好ましい。
本発明で用いる光電変換層16は、ペロブスカイト化合物を用いることにより、溶液の塗布及び乾燥によって、比較的低温且つ常圧下で簡便に製造することができる。
本発明の光電変換層16は、上述のように、B及びXを含む溶液を塗布する工程と、A、A及びXを含む溶液を塗布する工程とに分けて形成された層であることが好ましい。このように形成された層であることにより、B、A、A及びXの全てを含む溶液を用いて一工程で形成された層と比べた場合に、構造の違いは明らかではないが、良好な光電変換効率及び優れた耐光性を達成することが可能となる。
(封止部)
封止部18は、第1の基板11と第2の基板12とを貼り合せるものである。
封止部18は、反応性官能基を有する有機材料からなるものが好ましい。具体的には、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシランなどのビニル基を反応性官能基として有するもの;2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシランなどのエポキシ基を反応性官能基として有するもの;p−スチリルトリメトキシシランなどのスチリル基を反応性官能基として有するもの;3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシランなどのメタクリル基を反応性官能基として有するもの;3−アクリロキシプロピルトリメトキシシランなどのアクリル基を反応性官能基として有するもの;N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−トリエトキシシリル-N−(1,3−ジメチル-ブチリデン)プロピルアミン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(ビニルベンジル)−2−アミノエチル−3−アミノプロピルトリメトキシシランなどのアミノ基を反応性官能基として有するもの;3−ウレイドプロピルトリエトキシシランなどのウレイド基を反応性官能基として有するもの;3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシランなどのメルカプト基を反応性官能基として有するもの;ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィドなどのスルフィド基を反応性官能基として有するもの;3−イソシアネートプロピルトリエトキシシランなどのイソシアネート基を反応性官能基として有するもの;カルボキシ基を反応性官能基として有するもの、アルデヒド基を反応性官能基として有するものが挙げられる。
本実施形態の光電変換素子としては、第1の基板11及び第の基板12として、ガラス基板を用い;第1電極13としてITO電極を用い;第2電極14としてカルシウム電極及び銀電極を用い;ホール輸送層15として[ポリ[ビス(4−フェニル)(2,4,6−トリフェニルメチル)アミン]]を用い;光電変換層16として上述のようなペロブスカイト化合物を用い;電子輸送層17としてフェニルC61酪酸メチルエステルを用い;封止部18としてエポキシ系化合物を用いることが好ましい。
なお、本発明の技術範囲は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、ホール輸送層15と電子輸送層17とを個別に設けず、PCBM等の輸送層一層で代用してもよい。
また、第1の基板11、第2の基板12、封止材18も必要に応じて省略することができる。
さらに、第1電極13とホール輸送層15との間にバッファー層を設けてもよい。バッファー層を設けることにより、透明電極13とホール輸送層15とを隔離し、電気的な接触を低減又は抑制することができる。バッファー層の材料としては、導電材料が好ましく、上述した金属酸化物がより好ましい。
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
<耐光性試験>
耐光性試験は以下のようにして行った。
キセノンウェザーメーター((株)東洋精機製作所の「アトラスCi4000」)を用いて、擬似太陽光であるキセノンランプの光を、放射照度100mW/cm、温度65℃、相対湿度50%の条件で、各例で得られた有機無機複合型太陽電池素子に1週間照射し、その後に評価を行った。各例において、作製時の光電変換効率に対する、1週間照射後の光電変換効率の割合を「耐久性」として表1中に示す。
[実施例1](nプロピルアミンドープ)
ガラス基板に、スパッタ法により150nmの厚みでITO膜を設けた後、オゾンUVを用いて表面処理を行った。
次に、[ポリ[ビス(4−フェニル)(2,4,6−トリフェニルメチル)アミン]](PTAA)の濃度が0.5重量%となるよう、クロロベンゼンに溶解させた。得られた溶液を、孔径0.5μmのテフロン(登録商標)フィルターで濾過して塗布溶液を調製し、スピンコートによりITO膜上に塗布し、大気中120℃で10分間加熱することにより、ホール輸送層を形成した。
次に、0.8Mの溶液となるようにヨウ化鉛(PbI)を秤量し、DMF(N,N−ジメチルホルムアミド)溶媒に70℃で溶解して溶液を作製した。上記で得られたホール輸送層上に、2000rpmの回転数で70℃の該溶液をスピンコートにより塗布し、大気中70℃で10分間乾燥させることで、ヨウ化鉛の塗布膜を得た。
次いで、脱水IPA(2−プロパノール)の溶媒に溶解して作製した45mg/mlの濃度のヨウ化メチルアンモニウム溶液に、ヨウ化n−プロピルアンモニウム(CH(CHNHI)を溶解させた。このとき、ヨウ化n−プロピルアンモニウム(CH(CHNHI)と、ヨウ化メチルアンモニウム(CHNHI)とのモル比が、CH(CHNHI/CHNHI=5/100となるように秤量し、ヨウ化メチルアンモニウム溶液に加えて溶解させた。
上記で得られたヨウ化鉛の塗布膜上に、6000rpmの回転数で該溶液をスピンコートし反応させ、大気中100℃で10分間乾燥させることで、有機無機複合型太陽電池の光電変換層を形成させた。
次に、0.5μmのフィルターで濾過した2質量%のPCBMのクロロベンゼン溶液を、上記光電変換層上にスピンコートにより6000rpmで塗布し、大気中室温で無加熱乾燥することにより電子輸送層を形成した。
その後、電子輸送層上に真空蒸着機によりカルシウムを膜厚4nmで蒸着し、さらに、銀を膜厚450nmで蒸着することにより、有機無機複合型太陽電池を作製した。蒸着の際の真空度は、すべて1〜9×10−5Paであった。
こうして得られた有機無機複合型太陽電池の形状は、2mm×2mmの正方形であった。得られた有機無機複合型太陽電池にソーラシミュレーター(分光計器製、商品名OTENTO−SUNII:AM1.5Gフィルター、放射照度100mW/cm)を用いて一定の光を照射し、発生する電流と電圧を測定した。また、太陽電池のエネルギー変換効率の指標であるFF(フィルファクター)を、Isc(短絡電流)、Voc(開放端電圧)、Pmax(最大出力:Imax(最大電流)×Vmax(最大電流))から算出した。具体的には、「FF=Pmax/(Isc×Voc)」である。このFFの値が1に近いほど、エネルギー変換効率が高い。
作製直後の光電変換効率は11.1%であり、Jsc(短絡電流密度)は17.4mA/cmであり、Voc(開放端電圧)は1.08Vであり、FF(フィルファクター)は0.59であった。
また、作製から1週間後の光電変換効率は5.88%であり、Jscは9.44mA/cmであり、Vocは1.02Vであり、FFは0.61であった。
[実施例2](iプロピルアミンドープ)
ヨウ化n−プロピルアンモニウムの代わりにヨウ化i−プロピルアンモニウムを用いた以外は、実施例1と同様にして、有機無機複合型太陽電池を作製し、性能を測定した。光電変換効率は10.9%であり、Jscは17.0mA/cmであり、Vocは1.07Vであり、FFは0.60であった。
また1週間の耐光試験後の光電変換効率は4.78%であり、Jscは10.6mA/cmであり、Vocは0.99Vであり、FFは0.46であった。
[実施例3](t−ブチルアミンドープ)
ヨウ化n−プロピルアンモニウムの代わりにヨウ化t−ブチルアンモニウムを用いた以外は、実施例1と同様にして、有機無機複合型太陽電池を作製し、性能を測定した。光電変換効率は10.7%であり、Jscは18.1mA/cmであり、Vocは1.11Vであり、FFは0.53であった。
また1週間の耐光試験後の光電変換効率は4.56%であり、Jscは8.49mA/cmであり、Vocは0.99Vであり、FFは0.54であった。
[実施例4](ジメチルアミンドープ)
ヨウ化n−プロピルアンモニウムの代わりにヨウ化ジメチルアンモニウムを用いた以外は、実施例1と同様にして、有機無機複合型太陽電池を作製し、性能を測定した。光電変換効率は10.9%であり、Jscは17.2mA/cmであり、Vocは1.04Vであり、FFは0.61であった。
また1週間の耐光試験後、光電変換効率は3.84%であり、Jscは8.71mA/cmであり、Vocは0.95Vであり、FFは0.46であった。
[実施例5](テトラメチルアミンドープ)
ヨウ化n−プロピルアンモニウムの代わりにヨウ化テトラメチルアンモニウムを用いた以外は、実施例1と同様にして、有機無機複合型太陽電池を作製し、性能を測定した。光電変換効率は10.3%であり、Jscは13.4mA/cmであり、Vocは1.05Vであり、FFは0.73であった。
また1週間の耐光試験後、光電変換効率は5.65%であり、Jscは13.3mA/cmであり、Vocは1.03Vであり、FFは0.41であった。
[実施例6](テトラエチルアミンドープ)
ヨウ化n−プロピルアンモニウムの代わりにヨウ化テトラエチルアンモニウムを用いた以外は、実施例1と同様にして、有機無機複合型太陽電池を作製し、性能を測定した。光電変換効率は8.68%であり、Jscは16.5mA/cmであり、Vocは1.06Vであり、FFは0.50であった。
また1週間の耐光試験後、光電変換効率は5.74%であり、Jscは11.2mA/cmであり、Vocは1.05Vであり、FFは0.48であった。
[実施例7](テトラn−プロピルアミンドープ)
ヨウ化n−プロピルアンモニウムの代わりにヨウ化テトラn−プロピルアンモニウムを用いた以外は、実施例1と同様にして、有機無機複合型太陽電池を作製し、性能を測定した。光電変換効率は8.85%であり、Jscは13.7mA/cmであり、Vocは1.05Vであり、FFは0.62であった。
また1週間の耐光試験後、光電変換効率は5.66%であり、Jscは9.43mA/cmであり、Vocは1.11Vであり、FFは0.54であった。
[実施例8](トリメチルフェニルアミンドープ)
ヨウ化n−プロピルアンモニウムの代わりにヨウ化トリメチルフェニルアンモニウムを用いた以外は、実施例1と同様にして、有機無機複合型太陽電池を作製し、性能を測定した。光電変換効率は11.6%であり、Jscは14.7mA/cmであり、Vocは1.17Vであり、FFは0.67であった。
また1週間の耐光試験後の光電変換効率は6.42%であり、Jscは7.87mA/cmであり、Vocは1.13Vであり、FFは0.72であった。
[実施例9](n−プロピルアミン10%ドープ)
ヨウ化n−プロピルアンモニウム/ヨウ化メチルアンモニウムとのモル比を、10/100とした以外は、実施例1と同様にして、有機無機複合型太陽電池を作製し、性能を測定した。光電変換効率は7.94%であり、Jscは10.0mA/cmであり、Vocは1.09Vであり、FFは0.72であった。
また1週間の耐光試験後の光電変換効率は3.90%であり、Jscは6.12mA/cmであり、Vocは1.15Vであり、FFは0.13であった。
[比較例1](ノンドープ)
ヨウ化n−プロピルアンモニウムを用いなかった以外は、実施例1と同様にして、有機無機複合型太陽電池を作製し、性能を測定した。作製直後の光電変換効率は10.5%であり、Jscは17.6mA/cmであり、Vocは1.02Vであり、FFは0.59であった。
また、1週間の耐光試験後、光電変換効率は3.23%であり、Jscは8.38mA/cmであり、Vocは0.94Vであり、FFは0.41であった。
[比較例2](エチルアミンドープ)
ヨウ化n−プロピルアンモニウムの代わりにヨウ化エチルアンモニウムを用いた以外は、実施例1と同様にして、有機無機複合型太陽電池を作製し、性能を測定した。光電変換効率は12.3%であり、Jscは18.5mA/cmであり、Vocは1.05Vであり、FFは0.63であった。
また1週間の耐光試験後、光電変換効率は3.53%であり、Jscは10.6mA/cmであり、Vocは0.94Vであり、FFは0.35であった。
[比較例3](n−ブチルアミンドープ)
ヨウ化n−プロピルアンモニウムの代わりにヨウ化n−ブチルアンモニウムを用いた以外は、実施例1と同様にして、有機無機複合型太陽電池を作製し、性能を測定した。光電変換効率は10.1%であり、Jscは16.0mA/cmであり、Vocは1.12Vであり、FFは0.57であった。
また1週間の耐光試験後、光電変換効率は2.68%であり、Jscは6.24mA/cmであり、Vocは1.00Vであり、FFは0.43であった。
[比較例4](テトラn−ブチルアミンドープ)
ヨウ化n−プロピルアンモニウムの代わりにヨウ化テトラn−ブチルアンモニウムを用いた以外は、実施例1と同様にして、有機無機複合型太陽電池を作製し、性能を測定した。光電変換効率は6.76%であり、Jscは11.0mA/cmであり、Vocは1.00Vであり、FFは0.61であった。
また1週間の耐光試験後、光電変換効率は0.63%であり、Jscは1.97mA/cmであり、Vocは1.09Vであり、FFは0.29であった。
[比較例5](テトラn−ペンチルアミンドープ)
ヨウ化n−プロピルアンモニウムの代わりにヨウ化テトラn−ペンチルアンモニウムを用いた以外は、実施例1と同様にして、有機無機複合型太陽電池を作製し、性能を測定した。光電変換効率は9.50%であり、Jscは13.4mA/cmであり、Vocは1.05Vであり、FFは0.68であった。
また1週間の耐光試験後、光電変換効率は0.28%であり、Jscは3.43mA/cmであり、Vocは0.99Vであり、FFは0.08であった。
[比較例6](n−プロピルアミン20%ドープ)
ヨウ化n−プロピルアンモニウム/ヨウ化メチルアンモニウムとのモル比を、20/100とした以外は、実施例1と同様にして、有機無機複合型太陽電池を作製し、性能を測定した。光電変換効率は7.11%であり、Jscは8.93mA/cmであり、Vocは1.15Vであり、FFは0.69であった。
また1週間の耐光試験後、光電変換効率は0.41%であり、Jscは2.78mA/cmであり、Vocは1.15Vであり、FFは0.13であった。
Figure 0006552368
上記の結果から、本発明に係る光電変換素子を用いた実施例1〜9の有機無機複合型太陽電池は、比較例1〜6の有機無機複合型太陽電池と同等の光電変換効率を有し、且つ、比較例1〜6の有機無機複合型太陽電池に比して、優れた耐久性を有していることが確認できた。
本発明によれば、良好な光電変換効率を有し、且つ、優れた耐久性を有する光電変換素子を得ることができる。したがって、本発明の光電変換素子は、太陽電池製造分野において好適に使用することができる。
10…光電変換素子、11…第1の基板、12…第2の基板、13…第1電極(ITO)、14…第2電極(Ca、Ag)、15…ホール輸送層(PTAA)、16…光電変換層、17…電子輸送層(PCBM)、18…封止部

Claims (5)

  1. 一対の電極と、前記一対の電極間に配置された光電変換層とを有する光電変換素子であって、
    前記光電変換層は、ABX(式中、Aは、メチルアンモニウムカチオンAと、アンモニウムカチオンAとを有するアンモニウムカチオンである。Bは、Pb及びSnからなる群より選ばれる1種以上である。XはF、Cl、Br及びIからなる群から選択される1種以上である。アンモニウムカチオンAは、Rで表されるアンモニウムカチオンである。R〜Rはそれぞれ独立に水素原子、又は炭素数1〜7の炭化水素基、若しくは当該炭化水素基を構成する1以上の−CH−が、−O−、−NH−又は−S−で置換された基である。当該基を構成するR〜Rの炭素数の合計は3以上である。当該基において、Nに結合する鎖中の、最長の直鎖を構成するC、O、N及びSの原子数は3以下である。)で表されるペロブスカイト化合物を含むことを特徴とする、光電変換素子。
  2. 前記アンモニウムカチオンAが、第2〜4級アンモニウムカチオンである、請求項1に記載の光電変換素子。
  3. 前記R〜Rが、それぞれ独立にn−プロピル基又は水素原子である請求項1に記載の光電変換素子。
  4. 前記光電変換層が、前記一方の電極の、他方の電極と対向する面の側にBXを含む溶液を塗布する工程と、
    前記工程により得られた塗布膜上に、A1X及びAXを含み、モル比AX/A1Xが15/100以下である溶液を塗布する工程と、によって形成された層である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の光電変換素子。
  5. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の光電変換素子の製造方法であって、
    一方の電極の、他方の電極と対向する面の側に、BXを含む溶液を塗布する工程と、
    前記工程により得られた塗布膜上にA1X及びAXを含み、モル比AX/A1Xが15/100以下である溶液を塗布する工程と、を有することを特徴とする光電変換素子の製造方法。
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