(本発明の基礎となった知見)
本発明者らは、密閉型圧縮機における消音効果の向上について検討した。すなわち、密閉型圧縮機では、吸入弁の振動音および冷媒ガスの脈動音などの周波数の音波に加えて、吐出バルブの振動音およびピストンおよびシャフトの摺動音など、3000〜4000Hzの高い周波数の音波も発生している。この高い周波数の音波が密閉容器の固有周波数に一致すると、消音器が伝達部品となり、密閉容器の振動を励起してしまう。よって、容器内における空間共鳴音の騒音だけでなく、容器自体の振動による騒音も生じる。しかも、この3000〜4000Hzの容器の振動音は、一般的に、人間の聴覚の感度が良い音であり、騒音に対するこの寄与率は高い。このため、この高音の騒音を低減できないことは、消音機能としては不十分である。
しかしながら、特許文献1の消音器では、共鳴器の消音周波数を共鳴空間の特定周波数に合わせることにより、特定周波数の騒音を低減している。このため、密閉容器の振動による騒音は考慮されていない。しかも、特定周波数は400Hz、600Hzであるため、これより高い周波数の騒音を低減することはできない。また、この共鳴器の消音周波数域は狭いため、製造時のばらつきに起因する共鳴器の消音周波数域のばらつきによって、特定周波数の騒音でさえ十分に消音できないことがある。
さらに、消音器により減音される量および周波数は膨張空間の容積に依存する。特許文献1の消音器のように、特定周波数の騒音を低減する共鳴空間が消音器に設けられると、消音器の膨張空間の容積が削減される。よって、消音器は十分な消音効果を発揮できないおそれがある。
そこで、本発明者等は、消音空間を膨張空間および共鳴空間に兼用する部材を設けることにより低周波数および高周波数の音波に起因する騒音を低減することができることを見出した。本発明はこの知見に基づいてなされたものである。
本発明の第1態様に係る密閉型圧縮機は、電動要素と、前記電動要素によって駆動される圧縮要素と、前記電動要素および前記圧縮要素を収容する密閉容器と、を備え、前記圧縮要素は、その内部に圧縮空間が形成されたブロックと、前記電動要素により駆動されて前記圧縮空間で往復運動するピストンと、その内部に前記圧縮空間に連通する消音空間が形成された吸入マフラーとを備え、前記消音空間を、前記密閉容器の固有周波数と一致する共鳴周波数の音波を干渉により低減する共鳴空間と、その断面積を前記圧縮空間との連通口の面積より拡大させることにより前記共鳴周波数より低い周波数の音波を低減する膨張空間と、に兼用する部材をさらに備えている。
第2態様に係る密閉型圧縮機は、第1態様において、前記消音空間に板状部材が設けられ、前記板状部材は、前記消音空間を前記板状部材の一方の主面側の空間と他方の主面側の空間とに仕切ると共に、前記一方の主面側の空間と前記他方の主面側の空間とを部分的に連通させる開口部を有していてもよい。
第3態様に係る密閉型圧縮機は、電動要素と、前記電動要素によって駆動される圧縮要素と、前記電動要素および前記圧縮要素を収容する密閉容器と、を備え、前記圧縮要素は、その内部に圧縮空間が形成されたブロックと、前記電動要素により駆動されて前記圧縮空間で往復運動するピストンと、その内部に前記圧縮空間に連通する消音空間が形成された吸入マフラーとを備え、前記消音空間に板状部材が設けられ、前記板状部材は、前記消音空間を前記板状部材の一方の主面側の空間と他方の主面側の空間とに仕切ると共に、前記一方の主面側の空間と前記他方の主面側の空間とを部分的に連通させる開口部を有している。
第4態様に係る密閉型圧縮機は、第2または3の態様において、前記板状部材と前記開口部とを合わせた寸法に対して前記板状部材の寸法は、90%以下であってもよい。
第5態様に係る密閉型圧縮機は、第2〜4のいずれかの態様において、前記開口部の寸法は、前記板状部材の長手方向において変化してもよい。
第6態様に係る密閉型圧縮機は、第2〜5のいずれかの態様において、前記吸入マフラーは、前記消音空間と前記圧縮空間とを連通する連通管をさらに有し、前記板状部材は、第1板状部材を含み、前記第1板状部材と前記第1板状部材に対向する前記吸入マフラーの内面との間の中間またはその近傍に、前記連通管の吸入口が配置されていてもよい。
第7態様に係る密閉型圧縮機は、第2〜5のいずれかの態様において、前記吸入マフラーは、前記消音空間と前記密閉容器とを連通する尾管をさらに有し、前記板状部材は、第2板状部材を含み、前記第2板状部材と前記第2板状部材に対向する前記吸入マフラーの内面との間の中間またはその近傍に、前記尾管の吐出口が配置されていてもよい。
第8態様に係る密閉型圧縮機は、第2〜5のいずれかの態様において、前記吸入マフラーは、前記消音空間と前記圧縮空間とを連通する連通管、および、前記消音空間と前記密閉容器とを連通する尾管をさらに有し、前記板状部材は、第1板状部材および第2板状部材を含み、前記第1板状部材と前記第1板状部材に対向する前記吸入マフラーの内面との間の中間またはその近傍に、前記連通管の吸入口が配置され、前記第2板状部材と前記第2板状部材に対向する前記吸入マフラーの内面との間の中間またはその近傍に、前記尾管の吐出口が配置されていてもよい。
第9態様に係る密閉型圧縮機は、第8態様において、前記吸入マフラーは、前記密閉容器に対向する第1面部、および、前記第1面部に対向する第2面部を有し、前記第1板状部材および前記第2板状部材は、共に、前記第1面部または前記第2面部の内面から突出して設けられていてもよい。
第10態様に係る密閉型圧縮機は、第8態様において、前記吸入マフラーは、前記密閉容器に対向する第1面部、および、前記第1面部に対向する第2面部を有し、前記第1板状部材は前記第1面部および前記第2面部のいずれか一方の面部の内面から突出して設けられ、前記第2板状部材は他方の面部の内面から突出して設けられていてもよい。
第11態様に係る密閉型圧縮機は、第8態様において、前記吸入マフラーは、前記尾管が形成されている第3面部、および、前記第3面部に対向する第4面部を有し、前記第1板状部材および前記第2板状部材は、共に、前記第3面部または前記第4面部の内面から突出して設けられていてもよい。
第12態様に係る密閉型圧縮機は、第8態様において、前記吸入マフラーは、前記尾管が形成されている第3面部、および、前記第3面部に対向する第4面部を有し、前記第1板状部材は前記第3面部および前記第4面部のいずれか一方の面部の内面から突出して設けられ、前記第2板状部材は他方の面部の内面から突出して設けられていてもよい。
第13態様に係る密閉型圧縮機は、第8〜12のいずれかの態様において、前記第1板状部材および前記第2板状部材は、互いに直交する方向に設けられていてもよい。
第14態様に係る密閉型圧縮機は、第8〜12のいずれかの態様において、前記第1板状部材および前記第2板状部材は、互いに平行な方向に設けられていてもよい。
第15態様に係る密閉型圧縮機は、第2〜14のいずれかの態様において、前記圧縮要素は、前記消音空間と前記密閉容器とを連通する尾管をさらに有し、前記板状部材はその長手方向において前記尾管の吐出口から前記吐出口の前方に延びていてもよい。
第16態様に係る密閉型圧縮機は、第2〜15のいずれかの態様において、前記吸入マフラーは下面部を有し、上下方向に延びている前記板状部材の下端と前記下面部との間に間隙が設けられていてもよい。
第17態様に係る密閉型圧縮機は、第2〜16のいずれかの態様において、前記ピストンは、前記電動要素の上方に配置されていてもよい。
第18態様に係る密閉型圧縮機は、第2〜17のいずれかの態様において、前記電動要素は、インバータ駆動回路により複数の回転数で駆動されてもよい。
第19態様に係る冷凍装置は、第1〜18のいずれかに態様の密閉型圧縮機を備えている。
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しながら具体的に説明する。なお、以下では全ての図面を通じて同一または相当する要素には同一の参照符号を付して、その重複する説明を省略する。
(実施の形態1)
まず、実施の形態1に係る密閉型圧縮機10の構成について、図1を参照して説明する。図1は、密閉型圧縮機10を示す断面図である。密閉型圧縮機10において、クランクシャフトの主軸21a側を後側と称し、密閉容器11側を前側と称している。
密閉型圧縮機10は、密閉容器11と、密閉容器11に収容される圧縮要素20および電動要素30とを備える。圧縮要素20および電動要素30は、サスペンションスプリング12によって密閉容器11に弾性的に支持されている。なお、本実施の形態では、圧縮要素20のピストン23は、電動要素30の上方に配置されている。
密閉容器11は、上側容器11aおよび下側容器11bを備え、たとえば、鉄板の絞り成型によって形成される。上側容器11aは、略円筒形状の上側側面部分、および、略半球形状の上面部分を有している。この上面部分の曲率は上側側面部分より小さい。また、下側容器11bは、略円筒形状の下側側面部分、および、略半球形状の下面部分を有している。この下面部分の曲率は下側側面部分より小さい。上側容器11aと下側容器11bとが組み合わされて一体化し、密閉容器11に内部空間(容器空間)が設けられる。
密閉容器11には、オイルおよび冷媒ガスが封入されている。オイルは、密閉容器11の下側容器11bの底部に溜まっている。冷媒ガスには、たとえば、地球温暖化係数の低い炭化水素系のR600aなどが用いられる。また、密閉容器11には、冷媒ガスを吸引する吸入管13、および、冷媒ガスを吐出する吐出管14が接続されている。吸入管13は、密閉容器11と冷凍装置の低圧側配管(図示せず)とを接続する。吸入管13の一端部は、密閉容器11の壁を貫通し、密閉容器11の容器空間に配される。
電動要素30は、ステータ31と、ステータ31の軸心と同軸となるように配置されたロータ32とで構成されている。電動要素30は、そのインバータ駆動回路(図示しない)から電力を供給され、周知の如くインバータを用いて複数の運転周波数で駆動される。
圧縮要素20は、クランクシャフト21a、21b、ブロック22a、22b、ピストン23および連結部24などで構成されている。クランクシャフトは、主軸21a、および、主軸21aの上に設けられる偏心軸21bを備えている。主軸21aは、電動要素30のロータ32に固定されており、その下端がオイルに浸漬されている。
連結部24は、その一端が偏心軸21bに回転自在に取り付けられ、他端がピストン23に接続されている。連結部24は、偏心軸21bの回転運動をピストン23の往復運動に変換する。ピストン23は、シリンダ22aの内部空間(圧縮空間)に配置され、連結部24を介して偏心軸21bに接続されている。
ブロックには、シリンダ22aおよび軸受部22bが一体的に形成されている。軸受部22bは、主軸21aを回転自在に軸支し、電動要素30のステータ31が固定されている。シリンダ22aには内部空間(圧縮空間)が設けられている。シリンダ22aの端面に、バルブプレート25、吸入バルブ26およびシリンダヘッド27がヘッドボルト28により固定されている。このバルブプレート25には、吸入孔25aおよび吐出孔(図示せず)が設けられている。吐出孔は、吐出バルブ(図示せず)により開閉され、吐出管14に接続されている。吸入孔25aは、吸入バルブ26により開閉され、連通管43に接続されている。
吸入マフラー40は、シリンダ22aの端部に固定されており、たとえば、主にガラス繊維を添加したPBTなどの合成樹脂で成型されている。吸入マフラー40は後側部材41および前側部材42を備えている。後側部材41と前側部材42とが組み合わされて一体化されて、吸入マフラー40に内部空間(消音空間)が形成されている。前側部材42の前側主面部42a(第1面部)は密閉容器11に対向している。後側部材41の後側主面部41a(第2面部)は、その前側が消音空間を介して前側主面部42aに対向し、後側が電動要素30のステータ31に対向している。
また、吸入マフラー40には連通管43および尾管44が接続されている。連通管43は消音空間とシリンダ22aの圧縮空間とを連通し、尾管44は消音空間と密閉容器11の容器空間とを連通している。
次に、図2および図3を参照しながら、吸入マフラー40の構成について説明する。図2は、後側部材41を示す図である。図3は、図2のA―A線に沿って切断した吸入マフラー40を示す斜視図である。なお、吸入マフラー40の前側部材42側から後側部材41側を見て、左右方向を規定している。
後側部材41は、後側主面部41a、および、後側主面部41aから立ち上がる4つの後側側面部41b〜41eを有している。後側主面部41aは、平面視において略矩形状であって、円筒形状のステータ31(図1)の円周側面に沿って平面を屈曲した形状を有している。4つの後側主面部41aの前端には凸部41fがそれぞれ設けられており、凸部41fは後側主面部41aを取り囲む。下側の後側側面部41cは、上側の後側側面部41bに対向し、下側にV字状に屈曲している。この下側の後側側面部41cの屈曲位置の近傍に、吸入マフラー40に滞留したオイルを排出するための排出孔41gが設けられており、排出孔41gは後側主面部41aを貫通している。右側の後側側面部41dおよび左側の後側側面部41eは、互いに平行であって、上側の後側側面部41bに対して直交して設けられている。後側部材41には、連通管43の接続位置より上側の部分、尾管44、第1板状部材45、第2板状部材46および区画壁47が一体成型されている。
連通管43は、円筒形状であって、上側の後側側面部41bに接続されている。この接続位置は、左右方向において上側の後側側面部41bの中央またはその近傍に配され、前後方向において上側の後側側面部41bの前側に配されている。連通管43は、上側の後側側面部41bとの接続位置から上側に延び、その端に第1吐出口43aが設けられている。第1吐出口43aは、後側に開口し、吸入孔25a(図1)を介してシリンダ22aの圧縮空間(図1)に接続している。連通管43は、上側の後側側面部41bとの接続位置から左側下方に延び、さらに、平面を屈曲した形状の後側主面部41aに沿って接続位置から後側に延びている。連通管43の端に第1吸入口43bが設けられており、第1吸入口43bは、左側下方で後側(つまり、後側主面部41a)に向かって開口し、消音空間に設けられる。第1吸入口43bの面積は、左右方向と直交する方向に吸入マフラー40を切断した際の消音空間の面積(消音空間の断面積)より小さい。
尾管44は、断面が矩形の筒形状であって、右側の後側側面部41dに接続されている。この接続位置は、上下方向において右側の後側側面部41dの中央またはその近傍に配されている。尾管44はこの接続位置から左側へ水平方向に延びる。尾管44の第2吸入口44aは、右側の後側側面部41dに設けられ、密閉容器11の容器空間(図1)に開口している。尾管44の第2吐出口44bは、消音空間に設けられ、左側の後側側面部41eに対向する。第2吐出口44bは、上下方向において上側の後側側面部41bと下側の後側側面部41cとの中間またはその近傍に位置し、左右方向において連通管43の第1吸入口43bと第1吐出口43aとの中間またはその近傍に位置している。第1吐出口43aの面積は、左右方向と直交する方向に吸入マフラー40を切断した際の消音空間の面積(消音空間の断面積)より小さい。
第1板状部材45は、その上面(一方の主面)と下面(他方の主面)との間の寸法は一定で、左右方向に直線状に延びる平板である。第1板状部材45は、後側主面部41aの内面から突出して設けられ、上面側の消音空間(一方の主面側の空間)と下面側の消音空間(他方の主面側の空間)とを仕切っている。第1板状部材45は、消音空間において上側の後側側面部41bに対して平行に、下側の後側側面部41cに対してほぼ平行に設けられている。第1板状部材45は、上側の後側側面部41bとの間に連通管43の第1吸入口43bを挟むように配置されている。第1吸入口43bは、第1板状部材45と上側の後側側面部41bとの間の中間またはその近傍に位置している。第1板状部材45の左端は左側の後側側面部41eに接続し、右端は尾管44の第2吐出口44bの下方に位置している。よって、第1板状部材45はその長手方向において第2吐出口44bからこの第2吐出口44bの前方に延びている。
第1板状部材45の後端は、図3に示すように、後側主面部41aに固定されており、屈曲する後側主面部41aに沿って前後方向に屈曲している。第1板状部材45の後端と前端との間の寸法は左右方向に一定であり、前端と後端とは互いに平行に設けられている。第1板状部材45の前端は前側部材42と接続せず、前端と前側部材42との間に空隙(第1開口部)45aが設けられている。前端と前側部材42との間の寸法は左右方向に変化することにより、左右方向(第1板状部材45が延びる方向)において第1開口部45aの前後方向の寸法は変化して一定でない。この第1開口部45aを介して第1板状部材45と上側の後側側面部41bとの間の消音空間(一方の主面側の空間)と、第1板状部材45と下側の後側側面部41cとの間の消音空間(他方の主面側の空間)とは部分的に連通する。
第2板状部材46は、図2に示すように、その右面(一方の主面)と左面(他方の主面)との間の寸法は一定で、上下方向に直線状に延びる平板である。第2板状部材46は、消音空間において後側主面部41aの内面から突出して設けられ、右面側の消音空間(一方の主面側の空間)と左面側の消音空間(他方の主面側の空間)とを仕切っている。第2板状部材46は、右側の後側側面部41dおよび左側の後側側面部41eに対して平行に設けられている。第2板状部材46は、左側の後側側面部41eとの間に尾管44の第2吐出口44bを挟むように配置されている。第2吐出口44bは、第2板状部材46と左側の後側側面部41eとの間の中間またはその近傍に位置している。第2板状部材46の上端は尾管44に接続し、下端は下側の後側側面部41cの近傍に僅かな間隙を開けて位置している。この間隙は吸入マフラー40に滞留したオイルを排出するための排出路48として利用される。
第2板状部材46は、図3に示すように、その後端と前端との間の寸法は上下方向に一定であり、前端は後端に対して平行に設けられている。第2板状部材46の前端は前側部材42と接続せず、前端と前側部材42との間に空隙(第2開口部)46aが設けられている。前端と前側部材42との間の寸法は上下方向に一定であって、上下方向(第2板状部材46が延びる方向)において第2開口部46aの前後方向の寸法は変化せずに一定である。この第2開口部46aを介して第2板状部材46と右側の後側側面部41dとの間の消音空間(一方の主面側の空間)と、第2板状部材46と左側の後側側面部41eとの間の消音空間(他方の主面側の空間)とは部分的に連通する。
区画壁47は、図2に示すように、その右面と左面との間の寸法は一定で、上下方向に直線状に延びる平板である。区画壁47は、消音空間において後側主面部41aから前方向に立ち上がり、右側の後側側面部41dおよび左側の後側側面部41eに対して平行に設けられている。区画壁47の上端は上側の後側側面部41bに接続し、下端は尾管44に接続している。区画壁47は第2板状部材46の上方で、尾管44を間に挟んで第2板状部材46と直線状になるように配置されている。区画壁47の前端と後端との間の寸法は後側主面部41aから立ち上がる上側の後側側面部41bの高さにほぼ等しい。このため、後側部材41を前側部材42で覆った吸入マフラー40において、区画壁47の前端は前側主面部42aに達し、区画壁47は吸入マフラー40の消音空間を仕切る。
前側部材42は、前側主面部42a、および、前側主面部42aから立ち上がる4つの前側側面部42b〜42eを有している。前側主面部42aは、平面視において略矩形状であって、円筒形状の密閉容器11(図1)の円周側面に沿った形状を有している。この前側主面部42aの左右方向の中央は後側に窪み、この窪みから前側に突き出した右側領域および左側領域は左右方向において湾曲する曲面で形成されている。また、4つの前側側面部42b〜42eの後端には凹部42fがそれぞれ設けられており、凹部42fは前側主面部42aを取り囲む。
前側部材42の凹部42fに後側部材41の凸部41fが嵌められると、前側部材42は、後側部材41の4つの後側側面部41b〜41eで囲まれた開口を覆う。これにより、後側部材41と前側部材42とが一体的に組み合わされて吸入マフラー40が形成され、吸入マフラー40に消音空間が設けられる。この吸入マフラー40において、後側部材41の後側主面部41aは吸入マフラー40の後側主面部41aを形成し、前側部材42の前側主面部42aは吸入マフラー40の前側主面部42aを形成する。上側の後側側面部41bと上側の前側側面部42bとは、面一に接合し、吸入マフラー40の上側側面部41b、42bを形成する。下側の後側側面部41cと下側の前側側面部42cとは、面一に接合し、吸入マフラー40の下側側面部41c、42cを形成する。右側の後側側面部41dと右側の前側側面部42dとは、面一に接合し、吸入マフラー40の右側側面部41d、42dを形成する。左側の後側側面部41eと左側の前側側面部42eとは、面一に接合し、吸入マフラー40の左側側面部41e、42eを形成する。
この消音空間は、共鳴空間および膨張空間として兼用される。すなわち、消音空間に部材(第1板状部材45および第2板状部材46)が設けられていることにより、密閉容器11の固有周波数と一致する共鳴周波数の音波(高周波数の音波)を干渉により低減する共鳴空間として用いられる。また、消音空間の断面積は、第1吸入口43bの断面積より拡大しているため、消音空間は高周波数の音波より低い周波数の音波(低周波数の音波)を低減する膨張空間としても用いられる。ただし、膨張空間において、高周波数の音波が低減されてもよい。
なお、密閉容器11の固有周波数の測定方法については、特に限定されず、公知の方法を用いることができる。たとえば、力センサを備えたインパルスハンマによって密閉容器11を打撃する。この打撃の際に、インパルスハンマの力センサより密閉容器11に与えた打撃力を測定する。これと共に、打撃により生じた密閉容器11の応答振動を加速度センサで測定する。そして、打撃力とこの応答振動とに基づいて密閉容器11の固有周波数を算出する。
次に、以上のように構成された密閉型圧縮機10の動作を、図1および図2を参照して説明する。密閉型圧縮機10は、ステータ31に電流を流して磁界を発生させ、ロータ32を回転させる。ロータ32に固定された主軸21a、および、主軸21aに繋がる偏心軸21bが回転する。この回転運動が連結部24により直線運動に変換されて、ピストン23がシリンダ22aの圧縮空間で往復運動する。
この往復運動においてピストン23が上死点から圧縮空間の容積が増加する方向へ移動すると、圧縮空間の冷媒ガスは膨張する。この結果、圧縮空間の圧力は、密閉容器11の容器空間および吸入管13から吸入マフラー40の消音空間へ冷媒ガスを吸入する吸入圧力に比べて低くなる。この圧縮空間の圧力と吸入圧力との差により、吸入バルブ26が開き、吸入孔25aが開口する。これにより、吸入孔25aを介して消音空間および容器空間の冷媒ガスと吸入管13からの冷媒ガスが圧縮空間へ吸引される。
この吸引により冷媒ガスは、冷凍装置(図示せず)から戻って、吸入管13から容器空間に一旦開放される。この冷媒ガスの多くは、吸入管13の開口に対向する第2吸入口44aへ向かい、残りの冷媒ガスは密閉容器11の容器空間に拡散する。第2吸入口44aから吸入された冷媒ガスは、尾管44を通り、第2吐出口44bから消音空間に流入する。そして、冷媒ガスは、消音空間を流れ、第1吸入口43bから連通管43を通って、第1吐出口43aを介して、開いた吸入孔25aから圧縮空間に吸入される。
一方、往復運動においてピストン23が下死点から圧縮空間の容積が減少する方向へ移動すると、圧縮空間の冷媒ガスは圧縮される。その結果、圧縮空間の圧力は、上昇して、吸入マフラー40の消音空間の圧力に比べて高くなる。この結果、圧縮空間の圧力と消音空間の圧力との差によって、吸入バルブ26は閉じると共に、吐出バルブが開いて、吐出孔が開口する。圧縮空間の冷媒ガスは、吐出孔から吐出管14へ吐出される。
次に、吸入マフラー40の消音機能について、図1〜図3を参照して説明する。密閉型圧縮機10では吸入バルブ26が開閉することにより振動音が生じる。また、冷媒ガスが消音空間から圧縮空間に吸入される際に、吸入バルブ26の開閉に起因して脈動し脈動音を生じる。この吸入バルブ26の振動音および冷媒ガスの脈動音は、たとえば、400〜600Hzの低い周波数の音波である。このような低周波数の音波は連通管43を介して吸入マフラー40の消音空間に放射される。連通管43から消音空間に入る際に断面積が急拡大することにより、低周波数の音波の強さが減衰されて、この音波に起因する低周波数の騒音を小さくすることができる。
また、密閉型圧縮機10では吐出バルブも開閉することにより、この振動音が生じる。さらに、ピストン23がシリンダ22aの圧縮空間で往復運動し、主軸21aが軸受部22b内で回転運動しているため、ピストン23および主軸21aの摺動音も発生している。これらの吐出バルブの振動音およびピストン23および主軸21aの摺動音は、たとえば、3000〜4000Hzの高い周波数の音波である。この高周波数の音波も連通管43を介して吸入マフラー40の消音空間に放射される。
しかしながら、膨張空間としての消音空間において減衰される音波の周波数は、消音空間(膨張空間)の長さにより決まる。ここでは、低周波数の音波を減衰するように消音空間(膨張空間)の長さが設定されているため、高周波数の音波を消音空間(膨張空間)で十分に減衰させることはできない。
よって、残った高周波数の音波は、消音空間(膨張空間)から尾管44を通り密閉容器11の容器空間に放射されると、密閉容器11が固有振動を起こして、高周波数の騒音が発生する。
これに対して、吸入マフラー40には第1板状部材45および第2板状部材46が設けられていることにより、消音空間が高周波数の音波に対する共鳴空間としても利用されるため、高周波数の音波に起因する騒音を低減することができる。
具体的には、高周波数の音波は、左側下方に向かって開口する第1吸入口43bから共鳴空間としての消音空間に放射される。この高周波数の音波のうちの一部の音波、たとえば、比較的高い周波数の4000Hz程度の音波は、第1吸入口43bの下方に位置する第1板状部材45に向かって進む。この音波の一部は第1板状部材45に当たり、残りの音波は第1板状部材45の第1開口部45aを通過する。第1板状部材45に当った音波は、第1板状部材45で反射して上側側面部41b、42bに向かい、さらに、上側側面部41b、42bで反射して第1板状部材45に向かう。第1板状部材45の第1開口部45aを通過した音波は、下側側面部41c、42cで反射して第1板状部材45に向かい、この第1開口部45aを通過して、上側側面部41b、42bで反射して第1板状部材45に向かう。
このように、上側側面部41b、42bと下側側面部41c、42cとの間には、第1板状部材45で反射した音波と、第1板状部材45の第1開口部45aを通過して下側側面部41c、42cで反射した音波と、が存在する。これらの音波がその位相をずらして重なり合うと、音波は弱め合うように干渉する。第1吸入口43bが第1板状部材45と上側側面部41b、42bとの間の中間またはその近傍に位置するとき、これらの音波がその位相を大きくずらして弱め合うように重なり合い、高周波数の音波を減衰する。この4000Hz程度の音波は、たとえば、上側容器11aの上面部分の固有振動数に等しいため、この音波に起因する上側容器11aの上面部分における共鳴騒音を低減することができる。
また、第1吸入口43bから放射された高周波数の音波のうちの残りの音波、たとえば、比較的低い周波数の3000Hz程度の音波は、第1吸入口43bの左側に位置する左側側面部41e、42eに向かい反射する。反射した音波の一部は第2板状部材46に当たり、残りの音波は第2板状部材46の第2開口部46aを通過する。第2板状部材46に当った音波は、第2板状部材46で反射して左側側面部41e、42eに向かい、さらに、左側側面部41e、42eで反射して第2板状部材46に向かう。第2板状部材46の第2開口部46aを通過した音波は、右側側面部41d、42dで反射して第2板状部材46に向かい、この第2開口部46aを通過して、左側側面部41e、42eで反射して第2板状部材46に向かう。
このように、左側側面部41e、42eと右側側面部41d、42dとの間には、第2板状部材46で反射した音波と、第2板状部材46の第2開口部46aを通過して右側側面部41d、42dで反射した音波と、が存在する。これらの音波がその位相をずらして重なり合うと、音波は弱め合うように干渉する。第2吐出口44bが第2板状部材46と左側側面部41e、42eとの間の中間またはその近傍に位置するとき、これらの音波がその位相を大きくずらして弱め合うように重なり合い、高周波数の音波を減衰する。この3000Hz程度の音波は、たとえば、下側容器11bの下面部分の固有振動数に等しいため、この音波に起因する下側容器11bの下面部分における共鳴騒音を低減することができる。
この結果、高周波数の音波が消音空間(共鳴空間)から尾管44を通り密閉容器11の容器空間に放射されることを低減し、密閉容器11の固有振動による高周波数の騒音を防止することができる。これについて、図4および図5を参照して説明する。
図4は、吸入マフラー40単体の音波の減衰量を表したグラフである。図4の横軸は、第1吐出口43aから出したホワイトノイズ(音波)の周波数を示している。縦軸の減衰量(dB)は、吸入マフラーを設けているときの音波の強さから、吸入マフラーを設けていないときの音波の強さを差し引いたものである。音波の強さ(dB)は、連通管43の第1吐出口43aから出したホワイトノイズ(音波)を尾管44の第2吸入口44aで計測することにより得た。図4の縦軸において、0より上側が正の値を示し、0より下側が負の値を示している。このため、音波の減衰量が0より大きい正の値である場合には、吸入マフラーを設けていないときの音波の強さが、吸入マフラーを設けているときの音波の強さより大きい。よって、吸入マフラーを設けることにより、音波の強さが小さくなり、音響特性が良くなっていることを示している。
破線は、第1板状部材45および第2板状部材46を設けていない従来例の吸入マフラーによる音波の減衰量を示している。この破線で表すように、3000〜4000Hzの周波数における減衰量は0より大きい正の値を示しており、従来例の吸入マフラーを用いることにより音波が強くなっている。これにより、従来例の吸入マフラー40を設けたことにより、吸入マフラー40の音響特性が悪化したことを示している。
一方、実線は、第1板状部材45および第2板状部材46を設けた実施例の吸入マフラー40による音波の減衰量を示している。この実線で表すように、3000〜4000Hzの周波数における減衰量は0より小さい負の値を示しており、実施例の吸入マフラー40を用いることにより音波が減衰されている。これにより、実施例の吸入マフラー40を設けたことにより、吸入マフラー40の音響特性が良化したことを示している。
また、減衰機能を発揮する範囲は、3000〜4000Hzと広い周波数域に亘っている。このように、第1板状部材45および第2板状部材46を吸入マフラー40に設けることにより、3000〜4000Hzの周波数の音波が低減している。
さらに、このような音波の減衰量と音波の周波数との関係に基づいて、消音空間が共鳴空間および膨張空間として兼用されていることを調べることができる。
すなわち、開口部45a、46aを有する板状部材45、46を設けた実施例の吸入マフラー40、板状部材を設けていない従来例の吸入マフラー、および、開口部を有していない板状部材を設けた比較例の吸入マフラーについて、音波の減衰量を取得する。
そして、従来例の吸入マフラーの音波の減衰量が、実施例の吸入マフラー40より小さいことにより、実施例の吸入マフラー40の消音空間に板状部材45、46による共鳴空間が形成されていることがわかる。
また、比較例の吸入マフラーの音波の減衰量が、実施例の吸入マフラー40より小さいことにより、比較例の消音空間において、膨張空間の容積が、開口部を有していない板状部材により削減されていることがわかる。
このように、実施例の吸入マフラー40の減衰量が、従来例の吸入マフラーおよび比較例の吸入マフラーより大きいことにより、消音空間が共鳴空間および膨張空間に兼用されていることがわかる。
また、図5は、密閉型圧縮機10の音圧レベルと音波の周波数との関係を表したグラフである。図5に示す破線は、第1板状部材45および第2板状部材46を設けていない従来例の吸入マフラーを備えた密閉型圧縮機10における騒音の音圧レベルを示している。実線は、第1板状部材45および第2板状部材46を設けた実施例の吸入マフラー40を備えた密閉型圧縮機10における騒音の音圧レベルを示している。
3000Hz以上の音波の周波数において、実線の音圧レベルは破線の音圧レベルより小さかった。たとえば、3000Hzの周波数では実線の音圧レベルは破線の音圧レベルより約3.1dB小さかった。4000Hzの周波数では実線の音圧レベルは破線の音圧レベルより約8.2dB小さかった。6300Hzの周波数では実線の音圧レベルは破線の音圧レベルより約3.0dB小さかった。8000Hzの周波数では実線の音圧レベルは破線の音圧レベルより約3.5dB小さかった。
このように、密閉型圧縮機10においても、吸入マフラー40により3000〜4000Hzの密閉容器11の一次固有値の共振を抑えることができる。さらに、この一次固有値の共振を抑えることにより、6000〜8000Hzの二次および三次固有値の共振も抑えることができる。また、8000Hz以上の幅広い高周波数域の音圧レベルも低減することができる。
また、吸入マフラー40により音波の減衰機能は、第1板状部材45の第1開口部45aおよび第2板状部材46の第2開口部46aの寸法に依存する。これについて、図6を参照して説明する。
図6は、各板状部材45、46の寸法比率と音波の減衰量との関係を示すグラフである。縦軸は3000〜4000Hzの音波の減衰量(dB)を示し、横軸は各板状部材45、46の寸法比率を示す。この各板状部材45、46の寸法比率は、吸入マフラー40の消音空間(共鳴空間)の前後方向の寸法(各板状部材45、46と各開口部45a、46aとを合わせた寸法)に対する、各板状部材45、46の前後方向の寸法の割合である。消音空間(共鳴空間)の前後方向の寸法は、吸入マフラー40の前側主面部42aと後側主面部41aとの間の寸法であり、各板状部材45、46の前後方向の寸法は、各板状部材45、46の前端と後端との間の寸法である。なお、グラフにおいて、点は試験の測定値であり、線は測定値に基づいて引いた近似曲線である。
図6において、各板状部材45、46の寸法比率が0、つまり、各板状部材45、46がない状態では、減衰量はほぼゼロであり、各板状部材45、46の寸法比率が大きくなり、各板状部材45、46の前後方向の寸法が大きくなるに伴い、減衰量が増加する。各板状部材45、46の寸法比率が50%であり、各板状部材45、46の前後方向の寸法と各開口部45a、46aの前後方向の寸法とが等しいとき、減衰量は最も大きくなる。
さらに、各板状部材45、46の寸法比率が大きくなり、各板状部材45、46の前後方向の寸法が大きくなるに従って、減衰量が減少する。このように、各板状部材45、46の前後方向の寸法と各開口部45a、46aの前後方向の寸法との差が小さいほど、各板状部材45、46で反射した音波と各開口部45a、46aを通過した音波と打ち消し合う量が増え、高周波数の音波の減衰量が増加する。
たとえば、最も大きな音波の減衰量の割合を100%としたとき、各板状部材45、46の寸法比率が5%以上90%以下では、音波の減衰量の割合が約25%以上であるため、5%以上90%以下の寸法比率が好ましい。さらに、各板状部材45、46の寸法比率が10%以上85%以下では、音波の減衰量の割合が約50%以上であるため、10%以上85%以下の寸法比率がより好ましい。さらに、各板状部材45、46の寸法比率が20%以上75%以下では、音波の減衰量の割合が約75%以上であるため、20%以上75%以下の寸法比率がより一層好ましい。
このように、上記実施の形態によれば、密閉容器11の固有振動数と等しい周波数の音波を吸入マフラー40において低減している。このため、固有振動数と等しい周波数で吸入マフラー40が共鳴することにより吸入マフラー40が加振源となって、密閉容器11の振動を励起するという事態を防止することができる。
つまり、第1板状部材45および第2板状部材46が吸入マフラー40の消音空間に設けられている。これにより、消音空間は共鳴空間として機能する。この共鳴空間において各板状部材45、46で反射した音波と吸入マフラー40の各側面部で反射した音波とがその位相をずらして弱め合うように重なり合うため、高周波数の音波を減衰することができる。この結果、消音空間(共鳴空間)から密閉容器11の容器空間に放射される高周波数の音波を低減し、この音波に起因した密閉容器11の固有振動によって高周波数の騒音が発生することを防止することができる。
しかも、人間の聴覚にとって感度が良い3000〜4000Hzの音を低減することができるため、消音効果に優れる。また、各板状部材45、46を消音空間(共鳴空間)に設けるだけであるため、部品点数および作業工数が増えず、コストの増加を抑えられる。
さらに、製造時のばらつきによって各板状部材45、46の位置、または密閉容器11の形状がばらついて、各板状部材45、46による減衰周波数および密閉容器11の固有振動が一様でないことがある。このような場合であっても、各板状部材45、46による減衰機能は広い周波数域に亘っているため、高周波数の音波を減衰し、この音波に起因した密閉容器11の固有振動によって高周波数の騒音が発生することを防止することができる。
また、消音空間は、共鳴空間および膨張空間として兼用される。このため、密閉型圧縮機10のサイズを大きくすることなく、低周波数の音波および高周波数の音波を低減し、これらに伴う騒音を抑制することができる。
さらに、各板状部材45、46の寸法が、膨張空間としての消音空間に比べて非常に小さいため、各板状部材45、46により消音空間(膨張空間)の容積をほぼ削減されない。よって、吸入マフラー40の寸法を大きくすることなく、低周波数の音波に対する消音効果は十分に発揮される。
この第1板状部材45に第1開口部45aを設け、第2板状部材46に第2開口部46aを設けている。これにより、各板状部材45、46で反射した音波と各開口部45a、46aを通過した音波とがその位相をずらして弱め合うようにより効率的に重なり合い、高周波数の音波を減衰することができる。この結果、高周波数の騒音を低減する効果の向上がさらに図られる。
第1吸入口43bが第1板状部材45と上側の後側側面部41bとの間の中間またはその近傍に位置するように、第1板状部材45を配置している。第2吐出口44bが第2板状部材46と左側側面部41e、42eとの間の中間またはその近傍に位置する。これにより、各板状部材45、46で反射した音波と吸入マフラー40の各側面部で反射した音波とが弱め合うようにより効率的に重ね合わせることができ、高周波数の騒音を低減する効果の向上がさらに図られる。
第1板状部材45の前後方向の寸法は一定であるが、吸入マフラー40の後側主面部41aが屈曲することにより、第1板状部材45の前端の位置(高さ)が左右方向に変化し、第1開口部45aの前後方向の寸法は左右方向において一定でない。このため、前側部材42の第1板状部材45の前端に対向する領域(前側部材42の左側領域)を左右方向に湾曲する曲面で形成することができる。よって、この曲面の剛性は平面より高いことにより、前側部材42の振動を抑えることができ、吸入マフラー40の振動に起因する騒音を低減することができる。
吸入マフラー40において各板状部材45、46は、後側部材41に設けられており、連通管43の第1吸入口43bは後側主面部41aに向かって開口している。このため、第1吸入口43bから放射された高周波数の音波は、各板状部材45、46に効率良く当たり反射する。よって、吸入マフラー40により高周波数の音波に起因する騒音をより良く低減することができる。
さらに、各板状部材45、46および尾管44は、平面形状の後側主面部41aに設けられている。これにより、平面形状の剛性は曲面形状より低いが、各板状部材45、46および尾管44により、後側部材41の剛性が向上する。この結果、吸入マフラー40の振動を抑えられ、この振動に起因する騒音を抑制することができる。
また、第1板状部材45は左右方向に延び、第2板状部材46は上下方向に延びている。このように、各板状部材45、46が直交方向に延び、各板状部材45、46の延びる方向が異なることにより、幅広い周波数域の音波を低減することができる。
第1板状部材45および尾管44が、後側主面部41aに設けられている。これにより、第2吐出口44bから消音空間に流入した冷媒ガスを、第1板状部材45に沿ってスムーズに連通管43の第1吸入口43bへ導くことができる。よって、密閉型圧縮機10の冷媒ガスの体積効率が向上する。
また、第1板状部材45の右端は尾管44の第2吐出口44bの下方に位置する。これにより、第2吐出口44bから流入した冷媒ガスをより多く第1板状部材45に沿って第1吸入口43bへ導くことができる。このため、密閉型圧縮機10の冷媒ガスの体積効率がさらに向上する。
第2板状部材46の下端は下側の後側側面部41cとの間に間隙(排出路)48が設けられ、下側の後側側面部41cの屈曲位置の近傍に後側主面部41aを貫通する排出孔41gが設けられている。このため、吸入マフラー40に滞留したオイルは、下側の後側側面部41cを伝って排出路48を通り排出孔41gを介して排出される。よって、吸入マフラー40に滞留したオイルにより吸入マフラー40の消音機能が低減することを抑制することができる。
また、圧縮要素20のピストン23は、電動要素30の上方に配置されている。ピストン23の往復運動によって発生する振動は、バランスウエイト(図示せず)でかなり相殺されるが、一部の振動は残存する。こうして残存した振動はその反作用としてブロック22a、22bを振動させる。この振動の挙動は、ピストン23近傍の圧縮要素20の上部とサスペンションスプリング12近傍の圧縮要素20の下部とで全く異なる。すなわち、圧縮要素20の上部は、ピストン23の反作用を直接受け、大きく振動する。一方、圧縮要素20の下部は、電動要素30を介してサスペンションスプリング12により支えられるため、その振幅が小さくなる。この小さくなった振動はサスペンションスプリング12でさらに減衰されて密閉容器11に伝わるため、密閉容器11の振動を低減することができる。
なお、上記実施の形態では、圧縮要素20のピストン23が電動要素30の上方に配置されていたが、ピストン23が電動要素30の下方に配置されていてもよい。この場合、ピストン23の往復運動とサスペンションスプリング12が近接することで、ブロック22a、22bの振動が増加し、高周波数の騒音が発生する。これに対して、板状部材45、46を設けた吸入マフラー40により3000から4000Hzの音響特性が良化するので、これらの高周波数の音波に起因する騒音を低減することができる。
また、電動要素30の電源端子(図示せず)にインバータ駆動回路(図示せず)が設けられてもよい。この場合、インバータ駆動回路によって、電動要素30のロータ32はステータ31に対して複数の回転数で駆動される。
このインバータ駆動回路によりロータ32が商用電源の周波数を超える回転数で駆動されると、冷媒ガスの循環量が増加し、吸入バルブ26および吐出バルブの開度が大きくなる。また、ピストン23およびクランクシャフト21a、21bの単位時間当たりの摺動回数も増加し、高周波数の騒音が増える。これに対して、吸入マフラー40は3000Hzから4000Hzの音響特性を良化しているので、これらの高周波数の音波に起因する騒音をさらに低減することができる。
一方、インバータ駆動回路によりロータ32が商用電源の周波数以下の回転数で駆動される場合においても、吸入マフラー40は3000Hzから4000Hzの音響特性を良化している。よって、これらの高周波数の音波に起因する騒音をさらに低減することができる。
(実施の形態2)
上記実施の形態1に係る密閉型圧縮機10では、吸入マフラー40に第1板状部材45および第2板状部材46の両方が設けられていた。これに対して、実施の形態2に係る密閉型圧縮機10では、吸入マフラー40に第2板状部材46が設けられずに第1板状部材45のみが設けられていてもよく、また、吸入マフラー40に第1板状部材45が設けられずに第2板状部材46のみが設けられていてもよい。
いずれの場合であっても、両方の板状部材45、46が設けられている吸入マフラー40と比較して、吸入マフラー40により減衰される音波の周波数域は狭くなる。しかしながら、一方の板状部材45、46のみが設けられている吸入マフラー40によっても、減衰できる音波の周波数域が広いため、密閉型圧縮機10の騒音を十分に減衰することができる。
(実施の形態3)
上記実施の形態1に係る密閉型圧縮機10では、第1板状部材45および第2板状部材46が、後側主面部41a(第2面部)の内面から突出して設けられていた。これに対して、実施の形態3に係る密閉型圧縮機10では、第1板状部材45および第2板状部材46の少なくともいずれか一方が、前側主面部42a(第1面部)の内面から突出して設けられていてもよい。
つまり、第1板状部材45および第2板状部材46の両方が、前側主面部42aに設けられてもよい。また、第1板状部材45が後側主面部41aに設けられ、第2板状部材46が前側主面部42aに設けられてもよい。また、第1板状部材45が前側主面部42aに設けられ、第2板状部材46が後側主面部41aに設けられてもよい。
第1板状部材45および第2板状部材46の両方、またはいずれか一方を、前側主面部42aに設けると、曲面形状で形成された前側部材42の剛性が、各板状部材45、46により、さらに向上する。これにより、吸入マフラー40全体における剛性が高まるため、吸入マフラー40の面振動を抑制し、この振動による騒音を防止することができる。
なお、実施の形態3において、実施の形態2のように、第1板状部材45および第2板状部材46のいずれか一方のみが、吸入マフラー40に設けられていてもよい。
(実施の形態4)
上記実施の形態1に係る密閉型圧縮機10では、各板状部材45、46は、尾管44が形成されている後側主面部41a(第3面部)の内面から突出して設けられていた。つまり、各板状部材45、46と、尾管44とは、同一の主面部に形成されていた。これに対して、実施の形態4に係る密閉型圧縮機10では、各板状部材45、46を、尾管44が形成されている主面部(第3面部)に対向する主面部(第4面部)の内面から突出して設けてもよい。つまり、各板状部材45、46と、尾管44とは、異なる主面部に形成されてもよい。
すなわち、各板状部材45、46を後側主面部41aに設け、尾管44を前側主面部42aに設けてもよく、また、各板状部材45、46を前側主面部42aに設け、尾管44を後側主面部41aに設けてもよい。なお、実施の形態4において、実施の形態2のように、第1板状部材45および第2板状部材46のいずれか一方のみが、吸入マフラー40に設けられていてもよい。
(実施の形態5)
上記実施の形態1に係る密閉型圧縮機10では、第1板状部材45と第2板状部材46とが、互いに異なる直交する方向に設けられていた。これに対して、実施の形態5に係る密閉型圧縮機10では、第1板状部材45と第2板状部材46との方向は、これに限定されない。たとえば、第1板状部材45および第2板状部材46を、互いに平行で同じ方向に設けてもよい。
図7に示す例では、連通管43の第1吸入口43bと尾管44の第2吐出口44bとが、同じ方向に開口し、これらの左右方向における位置が一致する。この場合、第1吸入口43bとこれが対向する左側側面部41e、42eとの間の距離は、第2吐出口44bとこれが対向する左側側面部41e、42eとの間の距離と等しい。
これにより、連通管43の第1吸入口43bとこの第1吸入口43bに対向する左側側面部41eとの間に形成される定常波の波長と、尾管44の第2吐出口44bとこの第2吐出口44bに対向する左側側面部41eとの間に形成される定常波の波長とが、同じになる。このため、第1吸入口43bおよび第2吐出口44bが、1つの板状部材(共有板状部材)45、46と左側側面部41eとの間の中間またはその近傍に配置するように、共有板状部材45、46を設ける。よって、共有板状部材45、46で反射する音波と、左側側面部41e、42eおよび右側側面部41d、42dで反射する音波とが、弱め合うように重ね合う。このため、高周波数の音波を減衰し、これに起因する密閉容器11の騒音を低減することができる。
また、第1板状部材45および第2板状部材46を、1つの共有板状部材45、46で共有でき、部品点数を削減できる。
また、図8に示す例では、図7に示す例と同様に、連通管43の第1吸入口43bと尾管44の第2吐出口44bとが、同じ方向に開口するが、これらの左右方向における位置が異なる。この場合、第1吸入口43bが第2吐出口44bより左側に位置しているため、第1吸入口43bとこれが対向する左側側面部41e、42eとの間の距離は、第2吐出口44bとこれが対向する左側側面部41e、42eとの間の距離より短い。
これにより、連通管43の第1吸入口43bとこの第1吸入口43bに対向する左側側面部41eとの間に形成される定常波の波長と、尾管44の第2吐出口44bとこの第2吐出口44bに対向する左側側面部41eとの間に形成される定常波の波長とが、異なる。このため、第1吸入口43bが第1板状部材45と左側側面部41eとの間の中間またはその近傍になるように、第1板状部材45を配置する。また、第2吐出口44bが第2板状部材46と左側側面部41eとの間の中間またはその近傍になるように、第2板状部材46を配置する。よって、各板状部材45、46で反射する音波と、左側側面部41e、42eおよび右側側面部41d、42dで反射する音波とが、弱め合うように重ね合う。このため、高周波数の音波を減衰し、これに起因する密閉容器11の騒音を低減することができる。
なお、実施の形態5において、実施の形態2のように、第1板状部材45および第2板状部材46のいずれか一方のみが、吸入マフラー40に設けられていてもよい。また、実施の形態5において、実施の形態3のように、第1板状部材45および第2板状部材46のいずれか一方が、前側部材42に設けられていてもよい。さらに、実施の形態5において、実施の形態4のように、各板状部材45、46が、尾管44と異なる吸入マフラー40の側に設けられていてもよい。
(実施の形態6)
実施の形態6に係る冷蔵庫50は、上記実施の形態1〜5のいずれかの密閉型圧縮機10を備えた冷凍装置である。図9は、実施の形態6に係る冷蔵庫50を概略的に示す断面図である。図9に示すように、冷蔵庫50は断熱箱体51および扉52を備えている。なお、扉52が取り付けられた断熱箱体51の面を正面とし、その対向する面を背面と称する。
断熱箱体51は内部に断熱空間を有している。たとえば、断熱空間は、上側断熱空間(冷蔵室)および下側断熱空間(冷凍室)に仕切板53により区切られている。これらの断熱空間はダクト(図示せず)により互いに接続されており、ダクトによって各断熱空間の空気は互いに移動可能になっている。上側断熱空間および下側断熱空間の少なくともいずれか一方に温度センサ(図示せず)が設けられている。
断熱箱体51には、その背面と下面との角部に凹み部が設けられており、凹み部に密閉型圧縮機10が配置されている。また、断熱箱体51の側面などに、凝縮器(図示せず)が配置され、断熱箱体51の背面に、減圧器であるキャピラリ54が配置されている。下側断熱空間の背面に蒸発器55が配置されている。これらの密閉型圧縮機10、凝縮器、キャピラリ54および蒸発器55が配管57により環状に接続されて、冷凍サイクルが構成されている。
断熱箱体51には制御装置(図示せず)が設けられており、この制御装置に温度センサが接続されている。さらに、制御装置には、密閉型圧縮機10、凝縮器、キャピラリ54および蒸発器55が接続されており、制御装置は温度センサの検出値に基づいてこれらを制御する。
上側断熱空間および下側断熱空間のそれぞれには、その開口を開閉可能に扉52が取り付けられている。各扉52と断熱箱体51との間にはガスケットが配置され、これにより各断熱空間の気密性が保持されている。
次に、冷蔵庫50における冷凍サイクルの動作について説明する。制御装置は、温度センサからの検出信号に基づいて冷却運転を開始および停止する。冷却運転が開始されると、密閉型圧縮機10においてピストン23(図1)の往復運動により冷媒ガスは、圧縮されて高温高圧となり、吐出管14(図1)から冷凍サイクルへ配管57により送られる。この高温高圧の気体状の冷媒ガスは、凝縮器にて放熱すると凝縮し液化する。この液体状になった冷媒ガスは、キャピラリ54で減圧されて低温低圧となって、蒸発器55に至る。これにより、高温になった冷媒ガスは蒸発気化して、配管57を通り密閉型圧縮機10に戻る。一方、冷却された空気はダクトにより各断熱空間に分配され、各断熱空間は冷却される。
この冷蔵庫50の密閉型圧縮機10には、第1板状部材45および第2板状部材46が設けられている。このため、実施の形態1と同様の作用を示す。たとえば、高周波数の音波に起因する騒音を低減することができる。また、各板状部材45、46により膨張空間の容積をほぼ削減されないことにより、吸入マフラー40の寸法を大きくすることなく、低周波数の音波による騒音も十分に低減することができる。
なお、実施の形態6では冷蔵庫50の下部に密閉型圧縮機10が設けられていたが、図10に示すように密閉型圧縮機10を冷蔵庫50の背面上部に設けてもよい。図10に示すように、断熱箱体51には、その背面と上面との角部に凹み部が設けられており、凹み部に密閉型圧縮機10が弾性的に支持されている。この場合、冷蔵庫50の背面上部に設けられた密閉型圧縮機10は、人間が立ったときの耳に近い位置となる。このため、吸入マフラー40による騒音低減効果をより発揮できる。
また、実施の形態6の密閉型圧縮機10において、実施の形態2と同様に、第1板状部材45および第2板状部材46のいずれか一方のみが、吸入マフラー40に設けられていてもよい。また、実施の形態6の密閉型圧縮機10において、実施の形態3と同様に、第1板状部材45および第2板状部材46のいずれか一方が、前側部材42に設けられていてもよい。さらに、実施の形態6の密閉型圧縮機10において、実施の形態4と同様に、各板状部材45、46が、尾管44と異なる吸入マフラー40の側に設けられていてもよい。また、実施の形態6の密閉型圧縮機10において、実施の形態5と同様に、第1板状部材45と第2板状部材46とを、同じ方向に設けてもよい。
さらに、上記実施の形態6では、実施の形態1〜5のいずれかの密閉型圧縮機10を備えた冷凍装置として冷蔵庫50が用いられたが、これ以外の冷凍装置に、実施の形態1〜5のいずれかの密閉型圧縮機10を設けてもよい。たとえば、エアーコンディショナー、自動販売機、その他の冷凍装置、さらに空気用圧縮機等の工業用圧縮機等の冷凍サイクル(ヒートポンプサイクル)を用いた他の機器に、実施の形態1〜5のいずれかの密閉型圧縮機10が用いられてもよい。
(その他の実施の形態)
上記全ての実施の形態では、各板状部材45、46の前端と前側部材42との間、または、各板状部材45、46の後端と後側部材41との間の隙間が各開口部45a、46aとして設けられていた。これに対して、各板状部材45、46の前端が前側部材42に達している場合、または、各板状部材45、46の後端が後側部材41に達している場合、各板状部材45、46を貫通する孔が各開口部45a、46aとして設けられてもよい。
この場合も、各板状部材45、46で反射した音波と、各開口部45a、46aを通過した音波と、が弱め合うように重なり合うため、高周波数の音波に起因する騒音を低減することができる。
上記全ての実施の形態では、第1板状部材45および第2板状部材46が後側部材41または前側部材42と一体成型されていた。これに対して、第1板状部材45および第2板状部材46を、後側部材41および前側部材42と別で成型して、後側部材41または前側部材42に固定してもよい。これにより、第1板状部材45および第2板状部材46を後側部材41または前側部材42の所望の位置に固定することができる。たとえば、第1板状部材45を左側側面部41e、42eに固定したり、第2板状部材46を下側側面部41c、42cに固定したりしてもよい。このとき、板状部材45、46の後端を後側主面部41aから離し、板状部材45、46の前端を前側主面部42aから離す。これにより、開口部45a、46aが、板状部材45、46の後端と後側主面部41aとの間、および、板状部材45、46の前端と前側主面部42aとの間のいずれにも形成される。
上記全ての実施の形態では、吸入マフラー40は、前後方向に分割されており、後側部材41および前側部材42を一体化することにより形成されていた。ただし、吸入マフラー40は、上下方向に分割されて、上側部材および下側部材を一体化することにより形成されてもよい。この場合、第1板状部材45および第2板状部材46を下側部材と一体成型すると、板状部材45、46のいずれか一方が、尾管の開口端である第二吐出口44bに対向するように、上下方向に、下側部材の前側主面部または後側主面部に固定される。
上記全ての実施の形態において、膨張空間とは別途独立した共鳴室が設けられた吸入マフラーについても、この膨張空間に各板状部材45、46をさらに設けてもよい。この場合、吸入マフラーの消音空間は、互いに独立して設けられる膨張空間と共鳴室として用いられる。この膨張空間に対応する消音空間が共鳴空間としても兼用される。よって、共鳴室で狭い特定周波数の音波を消音すると共に、膨張空間で低周波数の音波を低減しながら、共鳴空間で広い範囲の高周波数の音波を低減することができる。
なお、上記全実施の形態は、互いに相手を排除しない限り、互いに組み合わせてもよい。上記説明から、当業者にとっては、本発明の多くの改良や他の実施の形態が明らかである。従って、上記説明は、例示としてのみ解釈されるべきであり、本発明を実行する最良の態様を当業者に教示する目的で提供されたものである。本発明の精神を逸脱することなく、その構造および/または機能の詳細を実質的に変更できる。