JP6552137B2 - 酸化物粒子分散強化型Ni基超合金 - Google Patents

酸化物粒子分散強化型Ni基超合金 Download PDF

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Description

本発明は、酸化物粒子分散強化型Ni基超合金に関するものである。
航空機エンジン、発電ガスタービンなどの高温環境に曝される部品には、室温から高温に至る広い温度範囲での機械的性質と耐酸化性に優れた材料が必要とされる。このような材料として、Ni基等の超合金が用いられている。ただ、現在でも、ガスタービン機器のさらなる熱効率向上が要求されているため、より耐用温度の高い材料の開発が求められている。
Ni基超合金は、一般に、固溶強化、及び、γ’相の析出強化の機構に基づいて、優れた特性を発揮する。既に、このような強化機構に基づく、多くの優れた単結晶型鋳造合金が開発されている。しかし、これらの強化機構による耐用温度の向上は、温度の上昇とともに次第に困難となる。一方、これらの強化機構に加えて、酸化物微粒子による分散強化機構に基づいて、耐用温度が向上できると考えられる酸化物粒子分散強化型Ni基超合金が期待されている。
酸化物粒子分散強化型のNi基超合金は、Niに他の元素が固溶した母相中に、一般には1μm以下の粒径の微細な酸化物粒子が多数分散しているという組織的特徴がある。酸化物粒子に加えて、合金組成によっては、γ’相などの析出物も分散した組織となっていることもある。
酸化物粒子分散強化型のNi基超合金としては、これまでにMA6000合金(特許文献1〜3、非特許文献1)やTMO−2合金等が開発されている(特許文献4〜5、非特許文献2)。これらの合金は、基本的には、メカニカルアロイング法で作製された合金粉末を熱間押出法等の方法で固化して作製される。TMO−2合金では、MA6000合金に対して、タングステン(W)やタンタル(Ta)の添加量を増加して、より優れた高温強度を実現している。また、他にも、酸化物分散強化型のNi基超合金が提案されている(特許文献6)。そして、イットリア粒子分散強化合金の高温腐食と高温酸化についても検討、報告されている(非特許文献3)。
米国特許第3926568号 特開昭49−74616号 米国特許第4386976号 特開昭62−99433号 米国特許第4717435号 特開昭63−53232号
G. A. J. Hack:酸化物分散強化型超合金、電気製鋼、57 (1986), 341 川崎要造、楠克之、中沢静夫、山崎道夫:TMO−2合金の開発、鉄と鋼、75 (1989), 529-536 冨塚 功、小泉 裕、中沢静夫、沼田英夫、大野勝美、宮崎昭光:イットリア粒子分散強化合金の高温腐食と高温酸化、材料と環境、42 (1993),514-520
上述したように、これまでにも多くの種類の酸化物粒子分散強化型のNi基超合金が開発されているが、エネルギー価格の高騰やエネルギー需要の増大に伴い、ガスタービン機器のさらなる熱効率向上が要求されている。現在、さらなる熱効率向上を実現するために、より耐用温度の高い材料の開発が求められている。
また、前記のTMO−2合金の場合には、高温強度に優れているものの、高温強度を高めるために、12質量%以上のWを含有している。このような多量のWの含有は、機械的性質の向上に有効である反面、高温耐食性を低下させる可能性がある。
そこで、本発明は、高温耐食性に優れるとともに、高温強度等の機械的性質の向上させることのできる新しい酸化物粒子分散強化型のNi基超合金を提供することを課題としている。
本発明者らは、上記の課題を解決するために、酸化物粒子分散強化型のNi基超合金の合金組成の検討を進め、ルテニウム(Ru)を0.1質量%以上14.0質量%以下の範囲で含有することにより、高温耐食性が良好で、しかも高温強度等の機械的性質を向上できることを見出した。本発明は、このような知見に基づいて完成されたものである。
すなわち、本発明の酸化物粒子分散強化型Ni基超合金は、その組成において、Niとともに0.1質量%以上14.0質量%以下のRu、0.1質量%以上14.0質量%以下のAl、不可避的不純物を含有し、結晶組織内に全体量の0.01質量%以上3.0質量%以下の酸化物粒子が分散されていることを特徴としている。
Ruを0.1質量%以上14.0質量%以下の範囲で含有する本発明の酸化物粒子分散強化型Ni基超合金によれば、高温耐食性を良好として、高温強度等の、例えば後述の実施例のように1260℃から1300℃の範囲での加熱後の機械的性質を顕著に向上することができる。
本発明の実施例である押出素材のX線回折の結果をメカニカルアロイング粉末の結果と比較した図である。 本発明の実施例である押出素材を透過電子顕微鏡で観察した組織写真である。 本発明の実施例1〜3と比較例における加熱処理後のマイクロビッカース硬さの比較を加熱処理温度で整理したグラフである。
本発明の酸化物粒子分散強化型のNi基超合金は、前記のとおり、その組成において、Niとともに0.1質量%以上14.0質量%以下のRu、0.1質量%以上14.0質量%以下のアルミニウム(Al)不可避的不純物を含有し、結晶組織内に全体量の0.01質量%以上3.0質量%以下の酸化物粒子が分散されていることを特徴としている。
このような本発明の酸化物粒子分散強化型Ni基超合金では、0.1質量%以上14.0質量%以下のRu、及び、0.1質量%以上14.0質量%以下のAlに加えて、0.1質量%以上14.0質量%以下のRe、0.1質量%以上20.0質量%以下のCo、0.1質量%以上20.0質量%以下のCr、0.1質量%以上15.0質量%以下のMo、0.1質量%以上20.0質量%以下のW、0.1質量%以上10.0質量%以下のTi、0.1質量%以上10.0質量%以下のNb、0.1質量%以上15.0質量%以下のTa、0.01質量%以上10.0質量%以下のHf、0.01質量%以上10.0質量%以下のZr、0.1質量%以上5.0質量%以下のV、0.1質量%以上10.0質量%以下のPt、0.1質量%以上10.0質量%以下のPd、0.1質量%以上10.0質量%以下のIr、0.001質量%以上1.0質量%以下のB、0.001質量%以上1.0質量%以下のCのうちの少なくとも一種が添加含有されていることも好ましく考慮される。
Ruは、この出願の発明を特徴づける元素の一つであって、母相であるγ相に固溶し、固溶強化により高温強度を向上させる。また、Re等の添加によって生成するTCP相の析出を抑え、これにより高温強度を向上させる。Ruの含有量は、0.1〜14.0質量%の範囲とすることが好ましく、さらには、1.0〜14.0質量%の範囲とすることがより好ましい。Ruの含有量が0.1質量%未満であると、高温時にTCP相が析出し、高い高温強度を確保できなくなるので好ましくない。一方、Ruの含有量が14質量%を越えると、ε相が析出して高温強度が低下するので好ましくない。また、RuはNi等と比較して、地金価格が200倍〜300倍程度と高額であるため、固溶強化により高温強度を向上させる範囲でできるだけ少量であることが好ましく、経済的には8.0質量%を上限とするのが好ましい。
Alの添加は、γ’相を析出させて、析出強化による強度の向上に寄与する。Alの含有量は、0.1〜14.0質量%の範囲とすることが好ましい。Alの含有量が0.1質量%未満であると、析出強化が不十分となって所望の高温強度が確保できなくなるので好ましくなく、14.0質量%を超えると、粗大なγ’相が多量に形成されて機械的性質を低下させるからである。
分散強化のために添加される酸化物粒子の添加量は、0.01質量%から3.0質量%が望ましい。酸化物粒子の種類は特に限定されるものではないが、高い温度においても化学的安定性の高い酸化イットリウムが特に好ましい。ただ、純度の高い酸化イットリウムを添加した場合、製造の際、又は、高温での使用の際に合金中の一部の元素が酸化イットリウムと反応して複合酸化物を形成することがあり得る。そこで、酸化イットリウムの代わりに、YAlなどの酸化イットリウムと酸化アルミニウムの複合酸化物も好ましい。
RuとAl以外のその他の元素の種類とそれらの含有量は特に限定されるものではないが、用途や必要とされる特性によって調整される。その他の合金添加元素としては、用途に応じて、0.1質量%以上14.0質量%以下のRe、0.1質量%以上20.0質量%以下のCo、0.1質量%以上20.0質量%以下のCr、0.1質量%以上15.0質量%以下のMo、0.1質量%以上20.0質量%以下のW、0.1質量%以上10.0質量%以下のTi、0.1質量%以上10.0質量%以下のNb、0.1質量%以上15.0質量%以下のTa、0.01質量%以上10.0質量%以下のHf、0.01質量%以上10.0質量%以下のZr、0.1質量%以上5.0質量%以下のV、0.1質量%以上10.0質量%以下のPt、0.1質量%以上10.0質量%以下のPd、又は、0.1質量%以上10.0質量%以下のIr、0.001質量%以上1.0質量%以下のB、0.001質量%以上1.0質量%以下のCが好ましく考慮される。
より好ましい組成(質量%)について例示すると以下のとおりである。
Ru:1.0〜8.0
Al:1.0〜10.0
Cr:1.0〜10.0
Co:1.0〜10.0
Mo:0.1〜4.0
W:1.0〜8.0
Ta:1.0〜10.0
Hf:0.05〜5.0
Zr:0.05〜5.0
Ti:0.1〜5.0
Nb:0.1〜5.0
Re:0.1〜8.0
V:0.1〜2.0
Pt:0.1〜6.0
Pd:0.1〜6.0
Ir:0.1〜6.0
B:0.005〜0.05
C:0.005〜0.05
酸化物粒子:0.1〜3.0
Reは母相であるγ相に固溶し、固溶強化により高温強度を向上させる。また、耐食性を向上させる効果もある。一方でReを多量に添加すると、高温時に有害相であるTCP相が析出し、高温強度が低下するおそれがある。このようなReの添加について、その含有量は、0.1〜14.0質量%の範囲とすることがより好ましい。
Reの含有量が0.1質量%未満であると、γ相の固溶強化が不十分となって所望の高温強度が確保できなくなるので好ましくなく、Reの含有量が14.0質量%を超えると、高温時にTCP相が析出し、高い高温強度を確保できなくなるので好ましくない。
Crは、耐酸化性に優れた元素であり、高温耐食性を向上させる。Crの含有量が0.1質量%未満では、高温耐食性の向上が得られない。Crの含有量が20.0質量%を超えるとγ’相の析出が抑制されるとともにσ相やμ相などの有害相が生成し、高温強度が低下するので好ましくない。
CoはAl、Taなどの母相に対する高温下での固溶限度を大きくし、γ’相を析出させ、高温強度を向上させる。Coの含有量が0.1質量%未満では、γ’相の析出が充分でなく、高温強度の向上が得られない。Coの含有量が20.0質量%を超えると、Al、Ta、Mo、W、Hf、Crなどの他の元素とのバランスが崩れ、有害相が析出して高温強度が低下するので好ましくない。
Moは、W及びTaとの共存下にて、母相であるγ相に固溶して高温強度を増加させるとともに析出硬化により高温強度に寄与する。Moの含有量が0.1質量%未満では、これらの効果が充分でなく、高温強度の向上が得られない。Moの含有量が15.0質量%を超えると、高温耐食性を低下させるので好ましくない。
Wは、Mo及びTaとの共存下にて固溶強化と析出硬化の作用により、高温強度を向上させる。Wの含有量が0.1質量%未満では、γ相とγ’相への固溶が充分でなく、高温強度の向上が得られない。Wの含有量は、20.0質量%以下が好ましい。Wの含有量が20.0質量%を超えると、高温耐食性を低下させる可能性があるからである。
Pt、Pd、Irも、母相であるγ相に固溶し、固溶強化により高温強度を向上させる。この効果を得るためには、それぞれの元素は0.1質量%の含有量を必要とする。しかし、これら元素は白金族に属しており、Niの500倍〜3000倍程度と高額であるため、含有量は、それぞれ10.0質量%以下が好ましく、特に好ましくは6.0質量%以下がよい。
Ta、Ti、Nbは、γ’相のAlサイトに置換して析出強化に寄与する。また、Mo及びWとの共存下にて固溶強化と析出強化の作用により高温強度を向上させる。Taの含有量が0.1質量%未満では、これらの効果が得られない。Taの含有量は、15.0質量%以下が好ましい。Taの含有量が15.0質量%を超えると、σ相やμ相を形成して高温強度が低下するからである。TiとNbの含有量は、それぞれ0.1質量%未満では、析出強化やMo及びWとの共存下での固溶強化が得られない。TiとNbの含有量は、それぞれ10.0質量%以下が好ましい。Ti又はNbの含有量が10.0質量%を超えると、有害相を形成して高温強度が低下するためである。
Vは、γ’相に固溶し、γ’相を強化する元素である。Vの含有量が0.1質量%未満では、これらの効果が得られない。Vの含有量は、5.0質量%以下が好ましい。Vの含有量が5.0質量%を超えると、クリープ強度を下げるからである。
Hfは粒界偏析元素であり、γ相とγ’相の粒界に偏析して粒界を強化し、これにより高温強度を向上させる。これら効果を得るためには、Hfは0.01質量%以上必要である。Hfの含有量が10.0質量%を超えると、局部溶融を引き起こして高温強度を低下させるおそれがあるので好ましくない。
また、HfとともにZrの添加についても同様に考慮することができる。
Bは粒界を強化する元素であり、これにより高温強度を向上させる。これら効果を得るためには、Bは0.001質量%以上必要である。Bの含有量が1.0質量%を超えると、有害な炭化物が粒界に析出するので好ましくない。
また、BとともにCの添加についても同様に考慮することができる。
より具体的な本発明の酸化物粒子分散強化型Ni基超合金の組成元素の構成としては、後述の実施例のものと含めて、例えば以下のものが例示される。
・Ni−Ru−Al−Re−Co−Cr−Mo−W−Ta−Hf−酸化物粒子
・Ni−Ru−Al−Re−Co−Cr−Mo−W−Ta−Hf−(B、C)−酸化物粒子
・Ni−Ru−Al−Re−Co−Cr−Mo−W−Ta−(Ti、Nb)−(Hf、Zr)−(B、C)−酸化物粒子
・Ni−Ru−Al−Re−Co−Cr−Mo−(W、V)−Ta−(Pt、Pd、Ir)−(B、C)−酸化物
・Ni−Ru−Al−Re−Cr−(Mo、W、Co、V)−(Ta、Ti)−(B、C)−酸化物粒子
・Ni−Ru−Al−Cr−(W、Co、V)−(Ta、Ti)−(B、C)−酸化物粒子
・Ni−Ru−Al−Cr−(Ta、Ti)−酸化物粒子
本発明酸化物粒子分散強化型Ni基超合金の製造方法については、その手法が特に限定されることはないが、酸化物粒子を均一に分散させるために、粉末冶金的手法を採用することが一般的に考慮される。例えば、メカニカルアロイング法で作製された合金粉末を缶に封入して熱間押出法等の方法で固化して作製することができる。また、熱間静水圧プレス(HIP)法やホットプレス法等の方法によっても合金粉末を固化することができる。あるいは、これらの方法で合金粉末を固化した後に熱間押出加工や熱間圧延加工を施して作製することができる。
耐熱性合金は、一般にその使用用途、経済性に応じて、構成元素である母材元素及び添加元素の組合せが決まる。例えばガスタービン用合金では、タービンディスクにおいては400から500℃の温度域での高温強度が要求され、また燃焼器、ノズル、タービン翼及びシュラウド等の部材では800〜1000℃前後の温度域での高強度と耐高温腐食性が要求される。
そして、分散粒子による強化、すなわち酸化物粒子により変形をもたらす転位運動の阻止効果は粒子がより微細で、粒子間隔が短い場合に増大する。しかし分散粒子を過剰に添加すると変形が困難となる。分散強化合金の加工性及び好適な靭性を得るためには、製造時の粒子凝集も考慮して、分散粒子径分布は0.001μm〜5μmが好ましく、従って、使用する酸化物粒子の一次粒子径分布は1μm以下が好ましい。酸化物粒子の量は、例えばガスタービン用Ni基合金においては、800℃以上の高温での強度を得るため全体量の0.5〜3.0%が特に好ましい。使用する合金、金属粉末の粒子径分布の上限は、例えば250μmとすると、機械的合金化及び固化のための焼結化の効率を向上できる。
機械的合金化は、高エネルギーボールミル内で、運動する鋼球のもつ鋼球間あるいは鋼球と容器間の衝撃エネルギーすなわち機械的エネルギーが、圧縮粉砕、剪断摩砕過程を通してそれらの間に存在する粉体中に蓄積することにより可能となる。この場合、混合粉末同志の鍛接、折たたみの繰返しにより室温付近の低温でも拡散により原子オーダーの合金化が起こる。好適な合金化のためには高い衝撃エネルギーが必要であり、また合金化能率の向上を図る必要もあるが、そのために混合粉末重量と鋼球重量との比はアトライターでは1/10から1/20、遊星型ボールミルでは1/5〜1/10で、ボールミルの回転数はボールミルの規模にも依るが、50から400rpmが好ましい。合金化処理時間は20時間以上行うのが望ましい。合金化前処理として、合金化時に酸素の混入を考慮して、ボールミル容器内をAr(アルゴン)などの不活性雰囲気に置換することが好ましい。
分散合金化粉末の焼結による固化は、粉末冶金法に従い軟鋼製容器に前記粉末を充填して熱間押出加工あるいはHIP法によって行われる。その焼結は、粉末間の拡散融合、緻密化及び合金原子のより一層の固溶化及び酸化物粒子の高温安定性の限界を考えて、Ni基合金においては1000から1300℃の温度域が好ましい。ここで前処理として行われる容器内の真空処理は、焼結時に酸素ができるだけ分散合金へ含有しないように、また、粉末表面に強固な酸化物を形成しないように、容器内空隙、容器内面及び粉末表面に存在あるいは吸着している水分、酸素及び他の汚染物の除去を目的として行われ、10−1から10−3torrの真空で100℃から600℃までの温度で、設備の規模にも依るが10分から10時間の加熱処理が好ましい。
[実施例1]
Ni-6.4Co-4.5Cr-1.1Mo-4.0W-5.8Al-7.5Ta-0.1Hf-6.3Re-4.9Ru-1.1Y2O3組成(各数値は質量%)の押出素材を以下のように作製した。全体でこの目標組成となるように原料粉末を配合し、アトライターを用いてメカニカルアロイング処理を行った。処理後の合金粉末を缶に入れ、真空処理をして封入し、熱間静水圧プレス(HIP)法により、加熱温度:1180℃、加圧力:118MPaで固化した。このHIP材に加熱温度:1200℃、押出比:5の条件で熱間押出加工を施して、丸棒押出素材とした。
図1は、この押出素材のX線回折の結果をメカニカルアロイング粉末の結果と比較した図である。メカニカルアロイング粉末のX線回折図形(図中A)は、主にNi固溶体の(111)と(200)回折ピークからなっていた。押出素材の場合(図中B)は、これらのNi固溶体の回折ピークに加え、γ’相の(110)回折ピークが認められた。すなわち、この押出素材は、主にNi固溶体(γ)相からなり、これにγ’相が析出していることがわかる。
図2は、透過電子顕微鏡で観察したこの押出素材の組織を示している。図中の矢印は酸化物粒子を示している。この組織は、数十nm程度の微細な酸化物粒子が多数、結晶粒内に分散したものであった。
この押出素材から小片を切り出し、1260℃〜1300℃の温度で各々1時間の等温加熱処理を施した。この加熱処理は、一般に、酸化物粒子分散強化型Ni基超合金は、熱間押出素材又は熱間圧延素材として製造され、さらに、所望の寸法形状の部材に加工するために、このような温度での熱間鍛造加工等が施されることがあることを考慮したものである。加熱処理後の各試料のマイクロビッカース硬さは、1260℃の場合で598、1290℃の場合で585であった。
この合金の高温耐食性を溶融塩腐食試験により評価した。上記押出素材から、軸方向を押出方向と一致するように、直径6mm、高さ4.5mmの円柱形状に切り出し、溶融塩に漬けて、温度800℃で4h加熱した。腐食媒体となる溶融塩は、硫酸ナトリウムと塩化ナトリウムの3:1混合塩を用いた。円柱形状試料が完全に浸る量の混合塩をるつぼに入れて、あらかじめ、加熱炉内で800℃に加熱し、十分に温度が安定してから、円柱形状試料を溶融塩中に浸した。試験前後の試料直径の減少率を算出した結果、0.17%であった。
[実施例2]
Ni-5.9Co-3.8Cr-0.9Mo-3.9W-6.1Al-8.6Ta-0.2Hf-5.3Re-4.6Ru-1.2Y4Al2O9組成(各数値は質量%)の押出素材を以下のように作製した。全体でこの目標組成となるように原料粉末を配合し、アトライターを用いてメカニカルアロイング処理を行った。処理後の合金粉末を缶に入れ、真空処理をして封入し、加熱温度:1050℃、押出比:15の条件で熱間押出加工を施して、丸棒押出素材とした。
この押出素材から小片を切り出し、1260℃〜1300℃の温度で各々1時間の等温加熱処理を施した。加熱処理後の各試料のマイクロビッカース硬さは、1260℃の場合で626、1290℃の場合で585であった。
この合金の高温耐食性を、実施例1と同じ条件で溶融塩腐食試験により評価した。溶融塩に漬けて、温度800℃で4h加熱し、試験前後の試料直径の減少率を算出した結果、0.17%であった。
[実施例3]
Ni-6.1Co-3.8Cr-0.9Mo-4.2W-6.3Al-9.2Ta-0.2Hf-5.0Re-4.7Ru-1.2Y4Al2O9組成(各数値は質量%)の押出素材を以下のように作製した。全体でこの目標組成となるように原料粉末を配合し、アトライターを用いてメカニカルアロイング処理を行った。処理後の合金粉末を缶に入れ、真空処理をして封入し、加熱温度:1050℃、押出比:15の条件で熱間押出加工を施して、丸棒押出素材とした。
この押出素材から小片を切り出し、1260℃〜1300℃の温度で各々1時間の等温加熱処理を施した。加熱処理後の各試料のマイクロビッカース硬さは、1260℃の場合で664、1290℃の場合で596であった。
この合金の高温耐食性を、実施例1〜2と同じ条件で溶融塩腐食試験により評価した。溶融塩に漬けて、温度800℃で4h加熱し、試験前後の試料直径の減少率を算出した結果、0.17%であった。
[比較例]
TMO−2合金の押出材の等温加熱処理後のマイクロビッカース硬さの試験結果が、非特許文献2によって発表されている。この試験における押出材の合金組成は、Ni-9.8Co-5.9Cr-2.0Mo-12.4W-4.2Al-4.7Ta-0.8Ti-0.05Zr-0.05C- 0.01B-1.1Y2O3(数値は質量%)である。なお、この合金は、実施例の合金組成と比較して、Wの含有量は約3倍である。
実施例1〜3と同じ条件における、この合金の溶融塩腐食試験の結果が、非特許文献3によって発表されている。この押出材の直径減少率は、29.0%であった。
図3は、上記の実施例1〜実施例3と比較例における等温加熱処理(1時間)後のマイクロビッカース硬さの比較を加熱処理温度で整理したグラフとして示したものである。白丸印は実施例1、三角印は実施例2、菱形印は実施例3、および、黒丸印は比較例の結果である。本発明の酸化物粒子分散強化型Ni基超合金は、Ruを含有することにより、Wの含有量を大幅に減らしても、1260℃から1300℃の範囲での加熱後の機械的性質が向上していることが示される。
また、溶融塩腐食試験の結果は、実施例1〜3では、直径減少率がいずれも0.17%であるのに対し、比較例の直径減少率は、29.0%であることから、高温耐食性が著しく向上していることが示される。これは、実施例1〜3の合金は、比較例の合金よりWの含有量を大幅に減らしているからと考えられる。

Claims (8)

  1. 組成において、0.1質量%以上14.0質量%以下のRu、0.1質量%以上14.0質量%以下のAl、0.1質量%以上14.0質量%以下のRe、0.1質量%以上20.0質量%以下のCo、0.1質量%以上20.0質量%以下のCr、0.1質量%以上15.0質量%以下のMo、0.1質量%以上20.0質量%以下のW、8.6質量%以上15.0質量%以下のTa、0.1質量%以上10.0質量%以下のHfを含有し、残部がNi及び不可避的不純物からなり、結晶組織内に全体量の0.01質量%以上3.0質量%以下の酸化物粒子が分散されていることを特徴とする酸化物粒子分散強化型Ni基超合金。
  2. さらに、0.1質量%以上10.0質量%以下のTi、0.1質量%以上10.0質量%以下のNb、0.01質量%以上10.0質量%以下のZr、0.1質量%以上5.0質量%以下のV、0.1質量%以上10.0質量%以下のPt、0.1質量%以上10.0質量%以下のPd、又は、0.1質量%以上10.0質量%以下のIr、0.001質量%以上1.0質量%以下のB、0.001質量%以上1.0質量%以下のCのうちの少なくとも一種を含有することを特徴とする請求項1に記載の酸化物粒子分散強化型Ni基超合金。
  3. Taの含有量が9.2質量%以上15.0質量%以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の酸化物粒子分散強化型Ni基超合金。
  4. Taの含有量が8.6質量%以上9.2質量%以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の酸化物粒子分散強化型Ni基超合金。
  5. 前記酸化物粒子が酸化イットリウムと酸化アルミニウムの複合酸化物であることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の酸化物粒子分散強化型Ni基超合金。
  6. 前記酸化イットリウムと酸化アルミニウムの複合酸化物が結晶組織内に全体量の0.01質量%以上1.2質量%以下分散されていることを特徴とする請求項5に記載の酸化物粒子分散強化型Ni基超合金。
  7. 前記酸化イットリウムと酸化アルミニウムの複合酸化物が結晶組織内に全体量の0.5質量%以上1.2質量%以下分散されていることを特徴とする請求項6に記載の酸化物粒子分散強化型Ni基超合金。
  8. 前記酸化イットリウムと酸化アルミニウムの複合酸化物がYAlであることを特徴とする請求項5から7のいずれか一項に記載の酸化物粒子分散強化型Ni基超合金。
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