JP3421758B2 - 酸化物分散強化型合金及び該合金から構成される高温機器 - Google Patents
酸化物分散強化型合金及び該合金から構成される高温機器Info
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Description
に係り、特にガスタービン用燃焼器、その他のガスター
ビン用高温機器用の材料として好適なニッケル基の酸化
物分散強化型合金に関する。
タービンは熱効率を向上させるため、燃焼ガス温度を上
昇させる気運にある。そのため燃焼器やタービン動翼、
静翼等の部位は従来よりもより高い温度にさらされるこ
とになる。一方、燃焼ガスが高温になるにつれて、燃焼
時に発生する窒素酸化物(以下NOxと略す)量も増大
するため、排出NOx量を低減させる必要がある。この
排出NOx量を低減するにはコンプレッサで圧縮された
空気の内、材料の冷却に使用されていた空気を燃焼用に
回し、燃焼前の圧縮空気と燃料との混合気の燃料濃度を
希薄化することが最も有効である。従って燃焼ガス温度
を高温化したガスタービンに使用される材料に関して
は、燃焼ガス自体の高温化と冷却空気の減少の2つの要
因から、耐用温度の飛躍的な向上が要求されている。ガ
スタービンの構成機器の中でも鋳造により製造される動
翼、静翼については、Ni基合金を中心として、合金組
成の改良及び製造プロセスの向上により、高温強度を高
めた多くの合金が過去に開発、提案されている。しかし
ながらNi基合金の強化相であるγ’相は、900℃以
上の高温域で分解、消失するため、現用Ni基合金以上
の耐用温度の飛躍的な向上は困難と考えられる。また、
燃焼器のライナ及びトランジションピースの材料は高温
強度以外の特性として、板にするための熱間加工性が要
求されるため、既存材料であるNi基合金のハステロイ
X、Co基合金のHA188などの鍛造合金に比べて強
度を飛躍的に高めた合金は実用化されていない。
温度の高い合金として、マトリクス中に酸化物粒子を機
械的合金化法により微細分散させた、酸化物分散強化型
合金が開発されている。これらの合金は合金の融点近傍
の高温域まで安定な酸化物粒子により、マトリクス中に
発生した転位の移動を阻止し、強化するという思想で開
発された。酸化物分散強化型合金の製造方法としては特
開昭47−42507号公報等に示されており、原料で
ある純金属、合金粉末及びY2O3などの酸化物の微細な
粉末を、高エネルギーボールミル中で機械的に混合した
後に焼結して固形化し、更に高温で加工及び熱処理を施
し結晶粒を粗大化させて使用される。
化型合金は、γ’相と酸化物の複合強化を図ったNi基
合金と、酸化物相単独で強化した合金とに大別される。
前者のγ’相と複合強化された合金は900℃以下の強
度が高いため、ガスタービンの動翼材としての使用が検
討されている。しかし、熱間での鍛造、圧延等の加工が
非常に困難なため、燃焼器ライナ等の熱間加工性が要求
される部位への適用は難しく、また、γ’相は900℃
以上の高温で分解してしまうため、第一段静翼等の使用
温度が900℃を越える場合が予想される部位への適用
も難しい。一方、酸化物相単独で強化された後者の合金
は、熱間加工性及び900℃以上での高温組織安定性に
優れていることから、航空機用静翼材としてNi基のM
A754等の合金が、燃焼器材としてFe基のMA95
6と呼ばれる合金がそれぞれ米国Inco社から提案さ
れている。
度の上昇とそれに伴う排出NOx量の増加を考慮する
と、第一段静翼及び燃焼器などの高温機器への冷却空気
量を現状以下に減少させる必要性が予想される。特に燃
焼器のライナ及びトランジションピースは、極端な場合
は内壁側のフィルム冷却を行なわず、外壁側の対流冷却
のみで使用することも想定される。その際の材料の使用
温度は材料表面に熱遮蔽コーティングを施したとしても
900度以上、場合によっては1000度を越える高温
に達する可能性がある。このような高温下に於いては、
既存のNi基の酸化物分散強化型合金は、構造材料とし
て必要なクリープ破断強度及び耐熱疲労特性が充分では
ない。これら既存Ni基酸化物分散強化型合金中には全
て、高温耐酸化性の向上あるいは原料粉末中に混入して
いる酸素を吸収する目的から、合金組成中にアルミニウ
ムが含まれている。酸化物分散強化型合金は原料に微細
な金属粉末を用いるため、鋳造合金などに比べて過剰な
酸素の混入が避けられない。従来の酸化物分散強化型合
金では、主にアルミニウムを添加しAl2O3を形成する
ことで酸素を吸着させていた。近年の研究によると製造
工程の段階でAl2O3と強化因子のY2O3が反応し、Y
−Al複合酸化物が生じていることが明かになった。こ
のようなAl2O3とY2O3の複合化が生じると、酸化物
粒子を粗大化させることで転位の移動に対する抵抗力を
低下させ、引いては合金の高温クリープ破断強度及び耐
疲労特性を低下させる。Ni基酸化物分散強化型合金中
のアルミニウムはY2O3に対して非常に活性であり、M
A754相当のアルミニウム含有量が僅か0.3%の合
金でも、合金中に含まれる0.6%のY2O3のほとんど
がアルミニウムと複合化する。
熱間加工性および高温組織安定性を有したままで、高温
クリープ特性及び耐熱疲労特性を向上させたNi基酸化
物分散強化型合金、及び該合金を構成部材とすること
で、NOx排出量を増加させること無くガスタービンの
効率を向上させることを可能にする、産業用ガスタービ
ン静翼、燃焼器等の高温機器を提供することを目的とす
る。
ウムを含むニッケル基酸化物分散強化型合金合金に於い
て、酸化物粒子を粗大化させ高温強度低下の要因となっ
ていたアルミニウムを合金組成から取り除きチタンに置
き換え、イットリウムを含む酸化物粒子を機械的合金化
法によって微細に粉砕し強度を向上させると同時に、優
れた熱間加工性及び高温組織安定性を合わせ持たせた酸
化物分散強化型合金である。
2%以下のチタン、ジルコニウムおよびハフニウムより
なる群から選ばれた1種以上の元素、15〜35%のク
ロム、0.01〜0.4%の炭素、0.1〜2.0%の
イットリウムを含む酸化物、残部が実質上ニッケルから
成り、これらチタン、ジルコニウムおよびハフニウムよ
りなる群から選ばれた1種以上の元素、クロムおよび炭
素を含有するニッケル基合金の母相中に、機械的合金化
法によって分散形成されたチタン、ジルコニウム、ハフ
ニウムからなる群から選ばれた1種以上の元素とイット
リウムの複合酸化物の粒子を有してなる高温クリープ特
性を向上させたものである。
は、重量で2%以下のチタン、ジルコニウムおよびハフ
ニウムよりなる群から選ばれた1種以上の元素、15〜
35%のクロム、0.01〜0.4%の炭素、0.3〜
2.0%のモリブデン、0.5〜10%のタングステ
ン、0.1〜2.0%のイットリウムを含む酸化物、残
部が実質上ニッケルから成り、これらチタン、ジルコニ
ウムおよびハフニウムよりなる群から選ばれた1種以上
の元素、クロム、炭素、モリブデン、タングステンを含
むニッケル基合金の母相中に、機械的合金化法によって
分散形成されたチタン、ジルコニウム、ハフニウムより
なる群から選ばれた1種以上の元素とイットリウムの複
合酸化物の粒子を有してなる高温クリープ特性を向上さ
せたものである。
型合金は、重量で2%以下のチタン、ジルコニウムおよ
びハフニウムよりなる群から選ばれた1種以上の元素
と、15〜35%のクロムと、0.01〜0.4%の炭
素と、0.5〜10%のタングステン、0.3〜2.0
%のモリブデンおよび0.5〜3%のレニウムよりなる
群から選ばれる1種以上の元素と、0.1〜2.0%の
イットリウムを含む酸化物と、残部が実質上ニッケルか
ら成り、これらチタン、ジルコニウムおよびハフニウム
よりなる群から選ばれた1種以上の元素と、クロムと、
炭素と、タングステン、モリブデンおよびレニウムより
なる群から選ばれる1種以上の元素とを含むニッケル基
合金の母相中に、機械的合金化法によって分散形成され
たチタン、ジルコニウム、ハフニウムよりなる群から選
ばれた1種以上の元素とイットリウムの複合酸化物の粒
子を有してなる高温クリープ特性を向上させたものであ
る。
るタービン静翼、燃焼器ライナ、トランジションピース
等の高温機器は上記各発明の酸化物分散強化型合金を用
いることが好ましい。
元素の役割を次に示す。クロムは耐高温腐食性の向上に
有効である。十分な耐高温腐食性を得るには、少なくと
も15%以上が必要であるが、35%を超えて添加する
と炭化物の粗大化などが生じ脆化を引き起こす。20〜
30%の範囲内の添加がより好ましい。
中に含まれる過剰な酸素を吸着する目的で添加される。
従来の酸化物分散強化型合金では、アルミニウムを添加
してAl2O3を形成することで酸素を吸着させていた。
しかしAl2O3は製造工程の途中で強化因子のY2O3を
吸収し、粗大なAl2O3とY2O3の複合酸化物を形成し
高温強度を低下させる。そこで本発明においては、アル
ミニウムの代わりにチタン、ジルコニウム、ハフニウム
を選び、TiO2、Zr2O、HfO2の形で酸素を吸着
させることにする。合金中においてTiO2、Zr2O、
HfO2はいずれもY2O3と複合酸化物を形成するが、
Al2O3の場合のような複合酸化物の粗大化は起こら
ず、高温強度は低下しない。チタン、ジルコニウム、ハ
フニウムのうちの1種以上を合計2%を超えて添加する
と、η相等の有害相が析出し脆化が生じる可能性がある
ため、適正な添加量は、チタンを選択した場合は2.0
%以下、ジルコニウムの場合は1.0%以下、ハフニウ
ムの場合は1.5%以下とする。合計で0.5%〜1.
5%の範囲内の添加がより好ましい。
化する。特にクリープの長時間強度の改善に効果が大き
い。含有量が0.5%未満では強度を向上させる効果が
十分でない。一方、10%を超えて添加すると、σ相に
代表される有害相析出を助長し、脆化を招くため好まし
くない。より適正な添加量としては、1.0%〜7.0
%が好ましい。
固溶して母相を強化する。特にクリープの長時間強度の
改善に効果が大きい。含有量が0.3%未満の場合強度
を向上させる効果が十分でない。一方、2.0%を超え
て添加すると、σ相に代表される有害相析出を助長し、
脆化を招くため好ましくない。
する作用を有するため、少なくとも0.01%以上添加
するのがよい。一方、0.4%を超えて添加すると炭化
物の粗大化を助長して、高温長時間のクリープ破断強度
及び靭性の低下を引き起こすため好ましくない。
O2との複合酸化物の形で母相に分散し高温強度を向上
させる。十分な強度を得るには0.1%以上の添加が必
要であるが、2%を超える添加は延性を低下させ、熱間
加工性を悪化させる。適切な添加量としては0.3〜
1.2%の範囲がより好ましい。Y 2O3原料粉はでき
るだけ微細なものを用いることが望ましい。特に粒径と
して0.5μm以下とし、そして0.001〜0.1μ
mの粒径がより好ましい。Y2O3の分散は、微細な粒
子を用いることによって極く微量の含有量で十分な強化
が得られかつ延性を損なわないものとすることができ
る。従って前述の粒径のものを1重量%当たり、1μm
2当たり100個以上とし、特に500個以上分散させ
ることが好ましい。
更に高温耐酸化性を改善する効果も合わせて有する。そ
の含有量が0.5%未満では上記効果が十分でなく、3
%を超えて添加すると製造コストが上昇し不利になる。
械的合金化は、高エネルギーボールミル内で運動する鋼
球間あるいは鋼球と容器間の衝撃エネルギー、すなわち
機械的エネルギーが、圧縮粉砕、剪断摩砕過程を通して
それらの間に存在する粉体中に蓄積することにより可能
となる。この場合、粉末同志の鍛接、折りたたみの繰返
しにより室温付近の低温でも拡散により原子オーダーの
合金化が起こる。好適な合金化のためには高い衝撃エネ
ルギーが必要であり、また合金化の効率の向上を図る必
要もあるが、そのために原料粉末と鋼球との重量比はア
トライターでは1/10から1/20、遊星型ボールミ
ルでは1/5から1/10で、ボールミルの回転数は1
50から400rpmが望ましい。合金化処理時間は2
0時間以上で粉末が扁平な層状組織となるまで処理を行
う。なお、アトライターはボールミルの1種で容器に入
れた原料粉末と鋼球を回転する撹拌棒でかき混ぜる装置
であり、遊星型ボールミルは原料粉末と鋼球を入れた容
器を回転ステージに搭載して公転させ、容器自身も自転
して原料粉末と鋼球をかき混ぜる装置である。
い軟鋼あるいはステンレス容器に粉末を充填して熱間押
出しあるいはHIP法によって行われる。焼結温度は粉
末間の拡散融合、緻密化及び合金原子のより一層の固溶
化を考えて、950℃から1200℃の温度域が望まし
い。
揮させるため、鍛造、熱間圧延などの熱間加工と熱処理
を実施して、二次再結晶による結晶粒の粗大化を行う。
熱間加工は固形化後の組織の均質化と、二次再結晶時の
結晶粒成長の駆動力となる歪エネルギーを付与する目的
で行う。加工温度は900℃〜1200℃の範囲で実施
することが好ましい。結晶粒の成長は加工方向に添って
生じるため、熱間圧延の方向及び加工の回数は、製品の
寸法や形状と共に、再結晶後の結晶粒の形状及び大きさ
を考慮して決定する必要がある。熱処理は二次再結晶を
効率良く生じさせるため、可能な限り高温で行うことが
望ましく、その温度は熱間加工温度の50℃以上を下限
とし、合金の融点の50℃以下を上限とする範囲で行う
ことが好ましい。熱処理後に熱間あるいは冷間で過度の
加工を行うと、二次再結晶で生じた粗大な結晶粒が破壊
され強度の低下につながるため、熱処理後の加工は寸法
を整える程度の軽度の加工に留めるべきである。
ンゴットから機械加工により翼形状に成型することが好
ましい。燃焼器ライナ及びトランジションピースを製造
する際には、熱間圧延を繰り返すことで薄板にした後、
熱間で円筒状に加工してから熱処理を行うのが好まし
い。更に板材を円筒に成型するために、1ヵ所以上の部
分で接合を行う必要がある。接合方法としては、溶接、
ろう付け、拡散接合、ねじ又はリベット止めの内1種あ
るいは2種以上を組み合わせた物を用いることが出来
る。また接合部を有しない構造の円筒を用いても良い。
このような継ぎ目無しの円筒は、円柱状のインゴットに
加工した後に、円柱の中央部をくり抜くことで厚肉の円
筒とし、更に熱間でリング圧延を行うことで製造するこ
とが出来る。
果を具体的に確認するため、表1に示す各種成分を持つ
酸化物分散強化型合金を供試材として強度、成分分析等
の各種試験を行った。表1中、合金No.1〜8は本発
明材であり、合金No.9は比較材で既存合金のMA7
54と同じ組成とした。
1〜9それぞれの組成に応じて、平均粉末粒径が100
μm以下の金属元素粉末および炭素粉末と平均粒径20
0ÅのY2O3微粉末を調合し、遊星型ボールミル中に装
填し、Ar雰囲気中で機械的合金化を行った。ボールミ
ルの回転数は165rpm、ミリング時間は30時間で
あった。得られた混合粉末を軟鋼製のカプセルに装填
し、10~2〜10~4Torrで真空引きを行いながら、1
00℃、200℃、400℃の各温度で30分ずつ加熱
して、カプセル内壁及び粉末の脱気を済ませた後に真空
封入を行った。粉末の固形化にはHIP処理を使用し1
050℃、2000kgf/cm2、保持時間1時間の
条件で行った。更に950〜1050℃の高温で鍛造及
び熱間圧延を行い、厚さ2mmの薄板材に加工した後
に、1300℃で1時間の真空熱処理を施して供試材を
作成した。
較材の合金No.9に対して900℃でクリープ破断試
験を行った結果を示す。合金No.1〜3においては、
Y2O3添加量をいずれも約0.6%とし、チタン量のみ
を変化させた。0.3%アルミニウムを含む合金No.
9に比べて合金No.1〜4の方が、Y2O3含有量が等
しいにも拘らずクリープ破断強度が高い。また合金N
o.1〜3においてはチタン添加量が増すにつれて、ク
リープ破断強度が増大する傾向がある。1%のチタン、
0.93%のY2O3を含む合金No.4の強度は合金N
o.3と同程度であるが、長時間側の強度の劣化が小さ
くなっている。
00℃クリープ破断試験の結果を示す。各合金のチタン
添加量は約0.5%、Y2O3添加量は約0.6%とほぼ
等しい。約0.5%のモリブデン及び2%のタングステ
ンを添加した合金No.5は、0.5%チタンのみを添
加した合金No.1よりも高いクリープ破断強度を示
す。モリブデンを1.22%、タングステンを4.53
%まで増やした合金No.6はさらに強度が向上する。
約1.5%のレニウムを添加した合金No.7も破断時
間が長い領域では、合金No.2よりもクリープ強度が
向上する。0.05%ジルコニウムと0.3%ハフニウ
ムを含む合金No.8は、破断時間の短時間側で若干合
金No.1よりも強度が低いものの、500時間以上で
は合金No.1と同等以上の強度を示すようになる。
(TEM)による金属組織の写真を、図4に本発明材N
o.2のそれを示す。試験片は直径3mm、厚さ0.2
mmのディスクを切り出し電解研摩により薄膜化した物
を用いた。両合金共にY2O3を含む酸化物と推定され
る、直径1000Å以下の微細な粒子の分散が観察され
た。この写真から分散粒子の平均粒径を調べた結果、本
発明材No.2の平均粒径は169Å、比較材No.9
は236Åと、本発明材No.2の方が粒径が微細であ
ることを確認した。また平均粒子間距離の比を調べた結
果、比較材No.9の平均粒子間距離は本発明材No.
2の約1.4倍であった。一般に酸化物分散強化型合金
が微細粒子の分散により強化されている場合、その強度
は分散粒子の平均粒子間距離に反比例し、粒子間距離が
狭まるほど強度は高くなる。本発明材のNo.1〜8
は、製造行程の段階で酸化物粒子がより微細に粉砕さ
れ、粒子間隔が狭まったために比較材No.9に較べて
クリープ破断強度が向上したと考えられる。本発明材N
o.2は1μm2当たり約660個の酸化物が確認され
た。この分散は1重量%当たり約1000個以上であ
る。
分散型X線(以下EDXと略す)分析により分散粒子の
組成分析を行った。電子ビームのプローブ径は200Å
とした。図5に比較材No.9の分散粒子のEDXスペ
クトルを、図6に比較材No.9の母相のEDXスペク
トルをそれぞれ示す。分散粒子のスペクトルからは、イ
ットリウム(Y)とアルムニウム(Al)の高いピーク
及びチタンの僅かなピークが表れているが、母相のスペ
クトルからはニッケル(Ni)、クロム(Cr)以外の
元素の明瞭なピークは見られない。図7には本発明材N
o.2における分散粒子のEDXスペクトル、図8には
母相のEDXスペクトルを示す。本発明材No.2の母
相のスペクトルは、比較材No.9の母相とほとんど同
じである。その一方で、分散粒子のスペクトルには、ア
ルミニウムのピークが存在せず、チタンの非常に高いピ
ークが観察される。本発明材No.1、3、4のEDX
分析からもほぼ同じスペクトルが得られた。以上の分析
結果から、添加したY2O3は比較材No.9においては
アルミニウムを、本発明材No.1〜4においてはチタ
ンをそれぞれ吸収して、組成の異なる複合酸化物を形成
していることが推測された。抽出レプリカ法により合金
の酸化物相を採取し、電子線回折により組成の同定を行
った結果、比較材No.9の酸化物相は2Y2O3・Al
2O3であること、本発明材No.1〜4の酸化物相はY
2O3・2TiO2であることを確認した。本発明材にお
いて、Y2O3はTiO2と複合化することで酸化物粒径
が微細化した考えられる。また、0.3%のアルミニウ
ムを含む比較材No.9の場合は、Y2O3がAl2O3と
優先的に反応し、結果としてTiO2との複合化が妨げ
られたため複合酸化物が粗大化したと考えられる。
を示す。燃焼器のライナ1、トランジションピース2及
び第一段静翼が、本発明のNi基の分散強化合金で構成
されている。これらの部材は十分な高温強度が得られ
た。
並びに良好な熱間加工性、高温組織安定性を有するNi
基の酸化物分散強化合金が得られることから、産業用ガ
スタービンの高温機器、特に静翼及び燃焼器などの構造
部材の長寿命化、更には耐用温度を向上させることで、
ガスタービン運転の際に排出されるNOx量の低減が達
成できる。
0℃におけるクリープ破断強度特性を示す図である。
おけるクリープ破断強度特性を示す図である。
る。
ある。
す図である。
である。
示す図である。
図である。
Claims (6)
- 【請求項1】 重量で2%以下のチタン、ジルコニウム
およびハフニウムよりなる群から選ばれた1種以上の元
素、15〜35%のクロム、0.01〜0.4%の炭
素、0.1〜2.0%のイットリウムを含む酸化物、残
部が実質上ニッケルから成り、チタン、ジルコニウムお
よびハフニウムよりなる群から選ばれた1種以上の元
素、クロムおよび炭素を含有するニッケル基合金の母相
中に、機械的合金化法によって分散形成された前記チタ
ン、ジルコニウム、ハフニウムよりなる群から選ばれた
1種以上の元素とイットリウムの複合酸化物の粒子を有
してなる高温クリープ特性を向上させた酸化物分散強化
型合金。 - 【請求項2】 重量で2%以下のチタン、ジルコニウム
およびハフニウムよりなる群から選ばれた1種以上の元
素、15〜35%のクロム、0.01〜0.4%の炭
素、0.3〜2.0%のモリブデン、0.5〜10%の
タングステン、0.1〜2.0%のイットリウムを含む
酸化物、残部が実質上ニッケルから成り、チタン、ジル
コニウムおよびハフニウムよりなる群から選ばれた1種
以上の元素、クロム、炭素、モリブデン、タングステン
を含むニッケル基合金の母相中に、機械的合金化法によ
って分散形成された前記チタン、ジルコニウム、ハフニ
ウムよりなる群から選ばれた1種以上の元素とイットリ
ウムの複合酸化物の粒子を有してなる高温クリープ特性
を向上させた酸化物分散強化型合金。 - 【請求項3】 重量で2%以下のチタン、ジルコニウム
およびハフニウムよりなる群から選ばれた1種以上の元
素と、15〜35%のクロムと、0.01〜0.4%の
炭素と、0.5〜10%のタングステン、0.3〜2.
0%のモリブデンおよび0.5〜3%のレニウムよりな
る群から選ばれた1種以上の元素と、0.1〜2.0%
のイットリウムを含む酸化物と、残部が実質上ニッケル
から成り、チタン、ジルコニウムおよびハフニウムより
なる群から選ばれた1種以上の元素と、クロムと、炭素
と、タングステン、モリブデンおよびレニウムよりなる
群から選ばれる1種以上の元素とを含むニッケル基合金
の母相中に、機械的合金化法によって分散形成された前
記チタン、ジルコニウム、ハフニウムよりなる群から選
ばれた1種以上の元素とイットリウムの複合酸化物の粒
子を有してなる高温クリープ特性を向上させた酸化物分
散強化型合金。 - 【請求項4】 請求項1ないし3いずれかに記載の酸化
物分散強化型合金から構成したことを特徴とする発電用
ガスタービン静翼。 - 【請求項5】 噴射された燃料を燃焼させ、該燃焼ガス
をタービン静翼に案内する筒状の燃焼器において、該燃
焼器の前記燃焼ガスにさらされるライナを、請求項1な
いし3いずれかに記載の酸化物分散強化型合金から構成
したことを特徴とする燃焼器。 - 【請求項6】 噴射された燃料を燃焼させ、該燃焼ガス
をタービンノズルに案内する発電用ガスタービン燃焼器
用トランジションピースにおいて、請求項1ないし3い
ずれかに記載の酸化物分散強化型合金から構成したこと
を特徴とする発電用ガスタービン燃焼器用トランジショ
ンピース。
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