JPH1143732A - ガスタービン用高温部材 - Google Patents
ガスタービン用高温部材Info
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- JPH1143732A JPH1143732A JP19818397A JP19818397A JPH1143732A JP H1143732 A JPH1143732 A JP H1143732A JP 19818397 A JP19818397 A JP 19818397A JP 19818397 A JP19818397 A JP 19818397A JP H1143732 A JPH1143732 A JP H1143732A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】熱間加工性及び高温組織安定性を有し、高温ク
リープ特性及び耐熱疲労特性を向上させたNi基酸化物
分散強化合金を用いたガスタービン用高温部材を提供す
る。 【解決手段】チタン,ジルコニウム及びハフニウムの1
種以上を2%以下,クロム15〜30%,炭素0.01
〜0.4%,モリブデン2.0〜6.0%,タングステン
0.5〜10%及びイットリウムを含む酸化物0.1〜2.
0%を含むニッケル基合金からなり、ニッケル基合金の
母相中にイットリウムを含む酸化物を分散したNi基合
金によってシュラウド,燃焼器用ライナ及びトラジショ
ンピースを構成する。
リープ特性及び耐熱疲労特性を向上させたNi基酸化物
分散強化合金を用いたガスタービン用高温部材を提供す
る。 【解決手段】チタン,ジルコニウム及びハフニウムの1
種以上を2%以下,クロム15〜30%,炭素0.01
〜0.4%,モリブデン2.0〜6.0%,タングステン
0.5〜10%及びイットリウムを含む酸化物0.1〜2.
0%を含むニッケル基合金からなり、ニッケル基合金の
母相中にイットリウムを含む酸化物を分散したNi基合
金によってシュラウド,燃焼器用ライナ及びトラジショ
ンピースを構成する。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は新規な酸化物分散強
化合金を用いたガスタービン用燃焼器に関する。
化合金を用いたガスタービン用燃焼器に関する。
【0002】
【従来の技術】発電などの目的に用いられる産業用ガス
タービンは燃焼効率を向上させるため、燃焼ガス温度を
上昇させる気運にある。そのため燃焼器やタービン動
翼,静翼等の部位は従来よりも高い温度に曝されること
になる。一方、燃焼ガスが高温になるにつれて、燃焼時
に発生する窒素酸化物(以下NOxと略す)量も増大す
るため、排出NOx量を低減させる必要がある。この排
出NOx量を低減させるにはコンプレッサで圧縮された
空気の内、材料の冷却に使用されていた空気を燃焼器に
回し、燃焼前の圧縮空気と燃料との混合気の燃料濃度を
希薄化することが最も有効である。従って燃焼ガス温度
を高温化したガスタービンに使用される材料に関して
は、燃焼ガス自体の高温化と冷却空気の減少の2つの要
因から耐用温度の飛躍的な向上が要求されている。ガス
タービンの機器構成の中でも鋳造により製造される動
翼,静翼,シュラウドについては、Ni基合金を中心と
して合金組成の改良及び製造プロセスの向上により、高
温強度を高めた多くの合金が過去に開発,提案されてい
る。しかしながら、Ni基合金の強化相であるγ′相は
900℃以上の高温域で分解,消失するため、現用Ni基
合金以上の耐用温度の飛躍的な向上は困難と考えられ
る。また、燃焼器のライナ及びトランジションピースの
材料は高温強度以外の特性として、板にするための熱間
加工性が要求されるため、既存材料であるNi基合金の
ハステロイX,Co基合金のHA188などの鍛造合金
に比べて強度を飛躍的に高めた合金は実用化されていな
い。
タービンは燃焼効率を向上させるため、燃焼ガス温度を
上昇させる気運にある。そのため燃焼器やタービン動
翼,静翼等の部位は従来よりも高い温度に曝されること
になる。一方、燃焼ガスが高温になるにつれて、燃焼時
に発生する窒素酸化物(以下NOxと略す)量も増大す
るため、排出NOx量を低減させる必要がある。この排
出NOx量を低減させるにはコンプレッサで圧縮された
空気の内、材料の冷却に使用されていた空気を燃焼器に
回し、燃焼前の圧縮空気と燃料との混合気の燃料濃度を
希薄化することが最も有効である。従って燃焼ガス温度
を高温化したガスタービンに使用される材料に関して
は、燃焼ガス自体の高温化と冷却空気の減少の2つの要
因から耐用温度の飛躍的な向上が要求されている。ガス
タービンの機器構成の中でも鋳造により製造される動
翼,静翼,シュラウドについては、Ni基合金を中心と
して合金組成の改良及び製造プロセスの向上により、高
温強度を高めた多くの合金が過去に開発,提案されてい
る。しかしながら、Ni基合金の強化相であるγ′相は
900℃以上の高温域で分解,消失するため、現用Ni基
合金以上の耐用温度の飛躍的な向上は困難と考えられ
る。また、燃焼器のライナ及びトランジションピースの
材料は高温強度以外の特性として、板にするための熱間
加工性が要求されるため、既存材料であるNi基合金の
ハステロイX,Co基合金のHA188などの鍛造合金
に比べて強度を飛躍的に高めた合金は実用化されていな
い。
【0003】一方、従来の鍛造及び鋳造合金よりも耐用
温度の高い合金として、マトリクス中に酸化物粒子を機
械的合金化法により微細分散させた、酸化物分散強化型
合金が開発されている。これらの合金は合金の融点近傍
の高温域まで安定な酸化物粒子により、マトリクス中に
発生した転位の移動を阻止し、強化するという思想で開
発された。酸化物分散強化型合金の製造方法としては特
開昭47−42507 号公報等に示されており、原料である純
金属,合金粉末及びY2O3などの酸化物の微細な粉末を
高エネルギーボールミル中で機械的に混合した後に焼結
して固形化し、更に高温で加工及び熱処理を施し結晶粒
を粗大化させて使用される。
温度の高い合金として、マトリクス中に酸化物粒子を機
械的合金化法により微細分散させた、酸化物分散強化型
合金が開発されている。これらの合金は合金の融点近傍
の高温域まで安定な酸化物粒子により、マトリクス中に
発生した転位の移動を阻止し、強化するという思想で開
発された。酸化物分散強化型合金の製造方法としては特
開昭47−42507 号公報等に示されており、原料である純
金属,合金粉末及びY2O3などの酸化物の微細な粉末を
高エネルギーボールミル中で機械的に混合した後に焼結
して固形化し、更に高温で加工及び熱処理を施し結晶粒
を粗大化させて使用される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】この種の酸化物分散強
化型合金は、γ′相と酸化物の複合強化を図ったNi基
合金と、酸化物相単独で強化した合金とに大別される。
前者のγ′相と複合強化された合金は900℃以下の強
度が高いため、ガスタービンの動翼材としての使用が検
討されている。しかし、熱間での鍛造,圧延等の加工が
非常に困難なため、燃焼器ライナ等の熱間加工性が要求
される部位への適用は難しく、また、γ′相は900℃
以上の高温で分解してしまうため、第一段静翼等の使用
温度が900℃を越える場合が予想される部位への適用
も難しい。一方、酸化物そう単独で強化された後者の合
金は、熱間加工性及び900℃以上での高温組織安定性
に優れていることから、航空機用静翼材としてNi基の
MA754等の合金が、燃焼器材としてFe基のMA9
56と呼ばれる合金がそれぞれ米国Inco社から提案
されている。
化型合金は、γ′相と酸化物の複合強化を図ったNi基
合金と、酸化物相単独で強化した合金とに大別される。
前者のγ′相と複合強化された合金は900℃以下の強
度が高いため、ガスタービンの動翼材としての使用が検
討されている。しかし、熱間での鍛造,圧延等の加工が
非常に困難なため、燃焼器ライナ等の熱間加工性が要求
される部位への適用は難しく、また、γ′相は900℃
以上の高温で分解してしまうため、第一段静翼等の使用
温度が900℃を越える場合が予想される部位への適用
も難しい。一方、酸化物そう単独で強化された後者の合
金は、熱間加工性及び900℃以上での高温組織安定性
に優れていることから、航空機用静翼材としてNi基の
MA754等の合金が、燃焼器材としてFe基のMA9
56と呼ばれる合金がそれぞれ米国Inco社から提案
されている。
【0005】しかし将来の産業用ガスタービンの燃焼温
度の上昇とそれに伴う排出NOx量の増加を考慮する
と、第一段静翼及び燃焼器,シュラウドなどの高温機器
への冷却空気量を現状以下に減少させる必要性が予想さ
れる。特に、燃焼器ライナ及びトランジションピース
は、極端な場合は内壁側のフィルム冷却を行わず、外壁
側の対流冷却のみで使用されることも想定される。その
際の材料の使用温度は材料表面に熱遮蔽コーティングを
施したとしても900℃以上、場合によっては1000℃を
越える高温に達する可能性がある。このような高温化に
おいては既存のNi基の酸化物分散強化型合金は、構造
材料として必要なクリープ破断強度及び耐熱疲労特性が
充分ではない。これら既存Ni基酸化物分散強化型合金
は原料に微細な金属粉末を用いるため、鋳造合金などに
比べて過剰な酸素の混入が避けられない。従来の酸化物
分散強化型合金では、主にアルミニウムを添加しAl2
O3を形成することで酸素を吸着させていた。近年の研
究によると製造工程の段階でAl2O3と強化因子のY2
O3が反応しY−Al複合酸化物が生じていることが明
らかになった。このようなAl2O3とY2O3の複合化が
生じると、酸化物粒子を粗大化させることで転位の移動
に対する抵抗力を低下させ、ひいては合金の高温クリー
プ破断強度及び耐疲労特性を低下させる。Ni基酸化物
分散強化型合金中のアルミニウムはY2O3に対して非常
に活性であり、MA754相当のアルミニウム含有量が
僅か0.3%の合金でも、合金中に含まれる0.6%のY
2O3の殆どがアルミニウムと複合化する。
度の上昇とそれに伴う排出NOx量の増加を考慮する
と、第一段静翼及び燃焼器,シュラウドなどの高温機器
への冷却空気量を現状以下に減少させる必要性が予想さ
れる。特に、燃焼器ライナ及びトランジションピース
は、極端な場合は内壁側のフィルム冷却を行わず、外壁
側の対流冷却のみで使用されることも想定される。その
際の材料の使用温度は材料表面に熱遮蔽コーティングを
施したとしても900℃以上、場合によっては1000℃を
越える高温に達する可能性がある。このような高温化に
おいては既存のNi基の酸化物分散強化型合金は、構造
材料として必要なクリープ破断強度及び耐熱疲労特性が
充分ではない。これら既存Ni基酸化物分散強化型合金
は原料に微細な金属粉末を用いるため、鋳造合金などに
比べて過剰な酸素の混入が避けられない。従来の酸化物
分散強化型合金では、主にアルミニウムを添加しAl2
O3を形成することで酸素を吸着させていた。近年の研
究によると製造工程の段階でAl2O3と強化因子のY2
O3が反応しY−Al複合酸化物が生じていることが明
らかになった。このようなAl2O3とY2O3の複合化が
生じると、酸化物粒子を粗大化させることで転位の移動
に対する抵抗力を低下させ、ひいては合金の高温クリー
プ破断強度及び耐疲労特性を低下させる。Ni基酸化物
分散強化型合金中のアルミニウムはY2O3に対して非常
に活性であり、MA754相当のアルミニウム含有量が
僅か0.3%の合金でも、合金中に含まれる0.6%のY
2O3の殆どがアルミニウムと複合化する。
【0006】以上の課題を踏まえて本発明においては、
熱間加工性及び高温組織安定性を有したままで、高温ク
リープ特性及び耐熱疲労特性を向上させたNi基酸化物
分散強化型、及び該合金を構成部材とすることで、NO
x排出量を増加させることなくガスタービンの効率を向
上させることを可能にする、産業用ガスタービンシュラ
ウド,静翼,燃焼器等の高温機器を提供することを目的
とする。
熱間加工性及び高温組織安定性を有したままで、高温ク
リープ特性及び耐熱疲労特性を向上させたNi基酸化物
分散強化型、及び該合金を構成部材とすることで、NO
x排出量を増加させることなくガスタービンの効率を向
上させることを可能にする、産業用ガスタービンシュラ
ウド,静翼,燃焼器等の高温機器を提供することを目的
とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は従来のアルミニ
ウムを含むニッケル基酸化物分散強化型合金に於いて、
酸化物粒子を粗大化させ高温強度低下の要因となってい
たアルミニウムを合金組成から取り除き、チタンに置き
換え、イットリウムを含む酸化物粒子を微細に分散し、
強度を向上させると同時に、優れた熱間加工性及び高温
組織安定性を合わせ持たせた酸化物分散強化型合金をガ
スタービンの特定の部材に用いたことにある。
ウムを含むニッケル基酸化物分散強化型合金に於いて、
酸化物粒子を粗大化させ高温強度低下の要因となってい
たアルミニウムを合金組成から取り除き、チタンに置き
換え、イットリウムを含む酸化物粒子を微細に分散し、
強度を向上させると同時に、優れた熱間加工性及び高温
組織安定性を合わせ持たせた酸化物分散強化型合金をガ
スタービンの特定の部材に用いたことにある。
【0008】本発明に係るシュラウド,燃焼器用ライナ
及びトラジションピース材として用いられる酸化物分散
強化型合金は、重量でチタン,ジルコニウム及びハフニ
ウムの1種以上を2%以下,クロム15〜30%,炭素
0.01〜0.4%,モリブデン2.0〜6.0%,タング
ステン0.5 〜10%及びイットリウムを含む酸化物
0.1〜2.0%を含むニッケル基合金からなり、ニッケ
ル基合金の母相中にイットリウムを含む酸化物を粒子と
して分散させたものである。
及びトラジションピース材として用いられる酸化物分散
強化型合金は、重量でチタン,ジルコニウム及びハフニ
ウムの1種以上を2%以下,クロム15〜30%,炭素
0.01〜0.4%,モリブデン2.0〜6.0%,タング
ステン0.5 〜10%及びイットリウムを含む酸化物
0.1〜2.0%を含むニッケル基合金からなり、ニッケ
ル基合金の母相中にイットリウムを含む酸化物を粒子と
して分散させたものである。
【0009】また、本発明に係る酸化物分散強化型合金
は、重量でチタン,ジルコニウム及びハフニウムの1種
以上を2%以下,クロム15〜30%,炭素0.01〜
0.4%と、モリブデン2.0〜6.0%,タングステン
0.5 〜10%、及びレニウム0.5〜4.0%よりなる
群から選ばれた一種以上の元素、及びイットリウムを含
む酸化物0.1〜2.0%を含むニッケル基合金からな
り、ニッケル基合金の母相中にイットリウムを含む酸化
物を粒子として分散させたものである。
は、重量でチタン,ジルコニウム及びハフニウムの1種
以上を2%以下,クロム15〜30%,炭素0.01〜
0.4%と、モリブデン2.0〜6.0%,タングステン
0.5 〜10%、及びレニウム0.5〜4.0%よりなる
群から選ばれた一種以上の元素、及びイットリウムを含
む酸化物0.1〜2.0%を含むニッケル基合金からな
り、ニッケル基合金の母相中にイットリウムを含む酸化
物を粒子として分散させたものである。
【0010】本発明の酸化物分散強化型合金に含有され
る各元素の役割を次に示す。
る各元素の役割を次に示す。
【0011】クロムは耐高温腐食性の向上に有効であ
る。十分な耐高温腐食性を得るには少なくとも15%以
上が必要であるが、35%以上を超えて添加すると炭化
物の粗大化などが生じ脆化を引き起こす、20〜30%
の範囲がより好ましい。
る。十分な耐高温腐食性を得るには少なくとも15%以
上が必要であるが、35%以上を超えて添加すると炭化
物の粗大化などが生じ脆化を引き起こす、20〜30%
の範囲がより好ましい。
【0012】チタン,ジルコニウム,ハフニウムは合金
中に含まれる過剰な酸素を吸着する目的で添加される。
従来の酸化物分散強化型合金では、アルミニウムを添加
してAl2O3を形成することで酸素を吸着させていた。
しかしAl2O3は製造工程の途中で強化因子のY2O3を
吸収し、粗大なAl2O3とY2O3の複合酸化物を形成し
高温強度を低下させる。そこで本発明においては、アル
ミニウムの代わりにチタン,ジルコニウム,ハフニウム
を選び、TiO2,ZrO2,HfO2 の形で酸素を吸着
させることにする。合金中においてTiO2,ZrO2,
HfO2 はいずれもY2O3と複合酸化物を形成するがA
l2O3の場合のような複合酸化物の粗大化は起こらず、
高温強度は低下しない。チタン,ジルコニウム,ハフニ
ウムのうちの1種以上を合計2%を超えて添加すると、
η相等の有害相が析出し脆化が生じる可能性があるた
め、適正な添加量はチタンを選択した場合は2.0% 以
下、ジルコニウムの場合は1.0%以下、ハフニウムの
場合は1.5%以下とする。合計で0.5〜1.5%の範
囲内の添加がより好ましい。
中に含まれる過剰な酸素を吸着する目的で添加される。
従来の酸化物分散強化型合金では、アルミニウムを添加
してAl2O3を形成することで酸素を吸着させていた。
しかしAl2O3は製造工程の途中で強化因子のY2O3を
吸収し、粗大なAl2O3とY2O3の複合酸化物を形成し
高温強度を低下させる。そこで本発明においては、アル
ミニウムの代わりにチタン,ジルコニウム,ハフニウム
を選び、TiO2,ZrO2,HfO2 の形で酸素を吸着
させることにする。合金中においてTiO2,ZrO2,
HfO2 はいずれもY2O3と複合酸化物を形成するがA
l2O3の場合のような複合酸化物の粗大化は起こらず、
高温強度は低下しない。チタン,ジルコニウム,ハフニ
ウムのうちの1種以上を合計2%を超えて添加すると、
η相等の有害相が析出し脆化が生じる可能性があるた
め、適正な添加量はチタンを選択した場合は2.0% 以
下、ジルコニウムの場合は1.0%以下、ハフニウムの
場合は1.5%以下とする。合計で0.5〜1.5%の範
囲内の添加がより好ましい。
【0013】タングステンは母相中に固溶して母相を強
化する。特にクリープの長時間強度の改善に効果が大き
い。また、製造プロセス途中の熱処理で結晶粒を粗大化
させる効果がある。含有量が0.5% 未満では強度を向
上させる効果が十分ではない。一方、10%を超えて添
加するとσ相に代表される有害析出相を助長し、脆化を
招くため好ましくない。より適正な添加量としては1.
0〜7.0%が好ましい。
化する。特にクリープの長時間強度の改善に効果が大き
い。また、製造プロセス途中の熱処理で結晶粒を粗大化
させる効果がある。含有量が0.5% 未満では強度を向
上させる効果が十分ではない。一方、10%を超えて添
加するとσ相に代表される有害析出相を助長し、脆化を
招くため好ましくない。より適正な添加量としては1.
0〜7.0%が好ましい。
【0014】モリブテンはタングステン同様に母相中に
固溶して母相を強化する。特にクリープの長時間強度の
改善に効果が大きい。また、製造プロセス途中の熱処理
で結晶粒を粗大化させる効果も同様である。含有量が
2.0% を超えて添加すると強度を向上させる効果は十
分である。一方、6.0% を超えて添加すると、延性が
低下して製造プロセス途中で熱間加工性を悪化させ、割
れが生じやすくなるため好ましくない。
固溶して母相を強化する。特にクリープの長時間強度の
改善に効果が大きい。また、製造プロセス途中の熱処理
で結晶粒を粗大化させる効果も同様である。含有量が
2.0% を超えて添加すると強度を向上させる効果は十
分である。一方、6.0% を超えて添加すると、延性が
低下して製造プロセス途中で熱間加工性を悪化させ、割
れが生じやすくなるため好ましくない。
【0015】炭素は主に炭化物として析出し粒界を強化
する作用を有するため、少なくとも0.01%以上添加
するのがよい。一方、0.4%を超えて添加すると炭化
物の粗大化を助長して、高温長時間のクリープ破断強度
及び靭性の低下を引き起こすため好ましくない。
する作用を有するため、少なくとも0.01%以上添加
するのがよい。一方、0.4%を超えて添加すると炭化
物の粗大化を助長して、高温長時間のクリープ破断強度
及び靭性の低下を引き起こすため好ましくない。
【0016】イットリウムを含む酸化物Y2O3はTiO
2 との複合酸化物の形で母相に分散し高温強度を向上さ
せる。十分な強度を得るには0.1% 以上の添加が必要
であるが、2%を超える添加は延性を低下させ、熱間加
工性を悪化させる。適切な添加量としては0.3〜1.2
%の範囲がより好ましい。Y2O3は混合に際して、原料
紛よりさらに微細に粉砕することは困難であるので、Y
2O3原料自身でできるだけ微細なものを用いることが望
ましい。特に粒径として500nm以下とし、そして1
〜100nmの粒径がより好ましい。Y2O3の分散は微
細な粒子を用いることによって極く微量の含有量で十分
な強化が得られかつ延性を損なわないものとすることが
できる。従って前述の粒径のものを1重量%当り、1μ
m2 当り100個以上とし、特に500個以上分散させ
ることが好ましい。
2 との複合酸化物の形で母相に分散し高温強度を向上さ
せる。十分な強度を得るには0.1% 以上の添加が必要
であるが、2%を超える添加は延性を低下させ、熱間加
工性を悪化させる。適切な添加量としては0.3〜1.2
%の範囲がより好ましい。Y2O3は混合に際して、原料
紛よりさらに微細に粉砕することは困難であるので、Y
2O3原料自身でできるだけ微細なものを用いることが望
ましい。特に粒径として500nm以下とし、そして1
〜100nmの粒径がより好ましい。Y2O3の分散は微
細な粒子を用いることによって極く微量の含有量で十分
な強化が得られかつ延性を損なわないものとすることが
できる。従って前述の粒径のものを1重量%当り、1μ
m2 当り100個以上とし、特に500個以上分散させ
ることが好ましい。
【0017】レニウムは主に母相中に固溶して強化し、
更に高温耐酸化性を改善する効果も合わせて有する。そ
の含有量が0.5% 未満では上記効果が十分でなく、3
%を超えて添加すると製造コストが上昇し不利になる。
更に高温耐酸化性を改善する効果も合わせて有する。そ
の含有量が0.5% 未満では上記効果が十分でなく、3
%を超えて添加すると製造コストが上昇し不利になる。
【0018】次に合金の製造工程について説明する。
【0019】機械的合金化では、高エネルギーボールミ
ル内で運動する鋼球間あるいは鋼球と容器間の衝撃エネ
ルギー、すなわち機械的エネルギーが、圧縮粉砕,剪断
摩砕過程を通してそれらの間に存在する紛体中に蓄積す
ることにより可能となる。この場合、粉末同士の鍛接、
折畳みの繰り返しにより室温付近の低温でも拡散により
原子オーダーの合金化が起こる。好適な合金化のために
は高い衝撃エネルギーが必要であり、また合金化の効率
の向上を図る必要もあるが、そのために原料粉末と鋼球
との重量比はアトライターでは1/10から1/20、
遊星型ボールミルでは1/5から1/10で、アーム及
び回転円盤の回転数は150〜400rpm が望ましい。
合金化処理時間は20時間以上で粉末が扁平な層状組織
となるまで処理を行う。なおアトライターはボールミル
の1種で容器に入れた原料粉末と鋼球を回転する撹拌棒
でかき混ぜる装置であり、遊星型ボールミルは原料粉末
と鋼球を入れた容器を回転ステージに搭載して公転さ
せ、容器自身も自転して原料粉末と鋼球をかき混ぜる装
置である。
ル内で運動する鋼球間あるいは鋼球と容器間の衝撃エネ
ルギー、すなわち機械的エネルギーが、圧縮粉砕,剪断
摩砕過程を通してそれらの間に存在する紛体中に蓄積す
ることにより可能となる。この場合、粉末同士の鍛接、
折畳みの繰り返しにより室温付近の低温でも拡散により
原子オーダーの合金化が起こる。好適な合金化のために
は高い衝撃エネルギーが必要であり、また合金化の効率
の向上を図る必要もあるが、そのために原料粉末と鋼球
との重量比はアトライターでは1/10から1/20、
遊星型ボールミルでは1/5から1/10で、アーム及
び回転円盤の回転数は150〜400rpm が望ましい。
合金化処理時間は20時間以上で粉末が扁平な層状組織
となるまで処理を行う。なおアトライターはボールミル
の1種で容器に入れた原料粉末と鋼球を回転する撹拌棒
でかき混ぜる装置であり、遊星型ボールミルは原料粉末
と鋼球を入れた容器を回転ステージに搭載して公転さ
せ、容器自身も自転して原料粉末と鋼球をかき混ぜる装
置である。
【0020】上記混合粉末の固形化は、粉末冶金法に従
い軟綱あるいはステンレス容器に粉末を充填して熱間押
出しあるいはHIP法によって行われる。焼結温度は粉
末間の拡散融合,緻密化及び合金原子のより一層の固溶
化を考えて、950 〜1200℃の温度域が望ましい。
い軟綱あるいはステンレス容器に粉末を充填して熱間押
出しあるいはHIP法によって行われる。焼結温度は粉
末間の拡散融合,緻密化及び合金原子のより一層の固溶
化を考えて、950 〜1200℃の温度域が望ましい。
【0021】その後、酸化物分散による強化を十分に発
揮させるため、鍛造,熱間圧延などの熱間加工と熱処理
を実施して、二次再結晶による結晶粒の粗大化を行う。
熱間加工は固形化後の組織の均質化と、二次再結晶時の
結晶粒成長の駆動力となる歪みエネルギーを付与する目
的で行う。加工温度は900〜1200℃の範囲で実施
することが好ましい。結晶粒の成長は加工方向に添って
生じるため、熱間圧延の方向及び加工の回数は、製品の
寸法や形状と共に再結晶後の結晶粒の形状及び大きさを
考慮して決定する必要がある。熱処理は二次再結晶を効
率良く生じさせるため、可能な限り高温で行うことが望
ましく、その温度は熱間加工温度の50℃以上を下限と
し、合金の融点の50℃以下を上限とする範囲で行うこ
とが好ましい。熱処理後に熱間あるいは冷間で過度の加
工を行うと、二次再結晶で生じた粗大な結晶粒が破壊さ
れ強度の低下につながるため、熱処理後の加工は寸法を
整える程度の軽度の加工に留めるべきである。
揮させるため、鍛造,熱間圧延などの熱間加工と熱処理
を実施して、二次再結晶による結晶粒の粗大化を行う。
熱間加工は固形化後の組織の均質化と、二次再結晶時の
結晶粒成長の駆動力となる歪みエネルギーを付与する目
的で行う。加工温度は900〜1200℃の範囲で実施
することが好ましい。結晶粒の成長は加工方向に添って
生じるため、熱間圧延の方向及び加工の回数は、製品の
寸法や形状と共に再結晶後の結晶粒の形状及び大きさを
考慮して決定する必要がある。熱処理は二次再結晶を効
率良く生じさせるため、可能な限り高温で行うことが望
ましく、その温度は熱間加工温度の50℃以上を下限と
し、合金の融点の50℃以下を上限とする範囲で行うこ
とが好ましい。熱処理後に熱間あるいは冷間で過度の加
工を行うと、二次再結晶で生じた粗大な結晶粒が破壊さ
れ強度の低下につながるため、熱処理後の加工は寸法を
整える程度の軽度の加工に留めるべきである。
【0022】シュラウドを製造する場合は、最終熱処理
後のインゴットから機械加工により、翼,シュラウド形
状に成形することが好ましい。
後のインゴットから機械加工により、翼,シュラウド形
状に成形することが好ましい。
【0023】燃焼機ライナ及びトランジションピースを
製造する際には、熱間圧延を繰り返すことで薄板にした
後、熱間で円筒状に加工してから熱処理を行うのが好ま
しい。更に、板材を円筒に成形するために、一箇所以上
の部分で接合を行う必要がある。接合方法としては、溶
接,ろう付け,拡散接合,ねじ又はリベット止めの内1
種あるいは2種以上を組み合わせた物を用いることがで
きる。また接合部を有しない構造の円筒を用いても良
い。このような継ぎ目無しの円筒は、円柱状のインゴッ
トに加工した後に、円柱の中央部をくり抜くことで厚肉
の円筒とし、更に熱間でリング圧延を行うことで製造す
ることができる。
製造する際には、熱間圧延を繰り返すことで薄板にした
後、熱間で円筒状に加工してから熱処理を行うのが好ま
しい。更に、板材を円筒に成形するために、一箇所以上
の部分で接合を行う必要がある。接合方法としては、溶
接,ろう付け,拡散接合,ねじ又はリベット止めの内1
種あるいは2種以上を組み合わせた物を用いることがで
きる。また接合部を有しない構造の円筒を用いても良
い。このような継ぎ目無しの円筒は、円柱状のインゴッ
トに加工した後に、円柱の中央部をくり抜くことで厚肉
の円筒とし、更に熱間でリング圧延を行うことで製造す
ることができる。
【0024】
【発明の実施の形態】表1に示す各種成分を持つ酸化物
分散強化型合金を供試材として強度,成分分析等の各種
試験を行った。表1中合金No.1〜8は本発明材であ
り、合金No.9は比較材で既存合金中のMA754と同
じ組成とした。
分散強化型合金を供試材として強度,成分分析等の各種
試験を行った。表1中合金No.1〜8は本発明材であ
り、合金No.9は比較材で既存合金中のMA754と同
じ組成とした。
【0025】
【表1】
【0026】以下に各種試験の結果を示す。合金No.1
〜9それぞれの組成に応じて、平均結晶粒径が100μ
m以下の金属粉末及び炭素粉末と平均粒径20nmのY
2O3微粉末を調合し、遊星型ボールミル中に装填し、A
r雰囲気中で機械的合金化を行った。ボールミルの回転
数は165rpm 、ミリング時間は30時間であった。得
られた混合粉末を軟綱製のカプセルに装填し、10-2〜
10-4Torrで真空引きを行いながら、100℃,200
℃,400℃の各温度で30分ずつ加熱してカプセル内
壁及び粉末の脱気を済ませた後に真空封入を行った。粉
末の固形化にはHIP処理を使用し、1050℃,18
00kgf/cm2,保持時間2時間の条件で行った。更に、
950〜1050℃の温度で鍛造及び熱間圧延を行い、
板材に加工した後に、1300℃で1時間の熱処理を施
して供試材を作成した。
〜9それぞれの組成に応じて、平均結晶粒径が100μ
m以下の金属粉末及び炭素粉末と平均粒径20nmのY
2O3微粉末を調合し、遊星型ボールミル中に装填し、A
r雰囲気中で機械的合金化を行った。ボールミルの回転
数は165rpm 、ミリング時間は30時間であった。得
られた混合粉末を軟綱製のカプセルに装填し、10-2〜
10-4Torrで真空引きを行いながら、100℃,200
℃,400℃の各温度で30分ずつ加熱してカプセル内
壁及び粉末の脱気を済ませた後に真空封入を行った。粉
末の固形化にはHIP処理を使用し、1050℃,18
00kgf/cm2,保持時間2時間の条件で行った。更に、
950〜1050℃の温度で鍛造及び熱間圧延を行い、
板材に加工した後に、1300℃で1時間の熱処理を施
して供試材を作成した。
【0027】図1に本発明の合金No.1,3,5,8及
び比較材の合金No.9に対して900℃でクリープ破断試
験を行った結果を示す。いずれの合金もY2O3添加量を
0.6%、チタン量を0.5%とした。Y2O3含有量が等し
いにも拘わらず、0.3%アルミニウムを含む合金No.
9に比べて、合金No.1,3,5,8の方がクリープ破
断強度が高い。モリブテン,タングステン,レニウムの
添加が強化に有効であった。
び比較材の合金No.9に対して900℃でクリープ破断試
験を行った結果を示す。いずれの合金もY2O3添加量を
0.6%、チタン量を0.5%とした。Y2O3含有量が等し
いにも拘わらず、0.3%アルミニウムを含む合金No.
9に比べて、合金No.1,3,5,8の方がクリープ破
断強度が高い。モリブテン,タングステン,レニウムの
添加が強化に有効であった。
【0028】図2に合金No.2,4,6,7,8の90
0℃クリープ破断試験の結果を示す。モリブテン及びタ
ングステンの添加は強化に有効であり、特に複合添加が
有効である。
0℃クリープ破断試験の結果を示す。モリブテン及びタ
ングステンの添加は強化に有効であり、特に複合添加が
有効である。
【0029】比較材No.9の透過型電子顕微鏡(TE
M)による金属組織及び本発明材のNo.2についても同
様に観察した。試験片は直径3mm、厚さ0.2mm のディ
スクを切り出し、電解研磨により薄膜化したものを用い
た。両合金共にY2O3を含む酸化物と推定される、直径
100nm以下の微細な粒子の分散が観察された。この
組織から分散粒子の平均粒径を調べた結果、本発明材N
o.2の平均粒径は16nm、比較材No.9は25nmと
本発明材No.2の方が、粒径が微細であることを確認し
た。また、平均粒子間距離の比を調べた結果、比較材N
o.9の平均粒子間距離は本発明材No.2の1.4 倍であ
った。一般に酸化物分散強化型合金が微細粒子の分散に
より強化されている場合、その強度は分散粒子の平均粒
子間距離に比例し、粒子間距離が狭まるほど強度は高く
なる。本発明材のNo.1〜8は製造工程の段階で酸化物
粒子がより微細に分散され、粒子間隔が狭まったために
比較材No.9に比べてクリープ強度が向上したと考えら
れる。本発明材No.2は1μm2 当りに約660個の酸
化物が確認された。
M)による金属組織及び本発明材のNo.2についても同
様に観察した。試験片は直径3mm、厚さ0.2mm のディ
スクを切り出し、電解研磨により薄膜化したものを用い
た。両合金共にY2O3を含む酸化物と推定される、直径
100nm以下の微細な粒子の分散が観察された。この
組織から分散粒子の平均粒径を調べた結果、本発明材N
o.2の平均粒径は16nm、比較材No.9は25nmと
本発明材No.2の方が、粒径が微細であることを確認し
た。また、平均粒子間距離の比を調べた結果、比較材N
o.9の平均粒子間距離は本発明材No.2の1.4 倍であ
った。一般に酸化物分散強化型合金が微細粒子の分散に
より強化されている場合、その強度は分散粒子の平均粒
子間距離に比例し、粒子間距離が狭まるほど強度は高く
なる。本発明材のNo.1〜8は製造工程の段階で酸化物
粒子がより微細に分散され、粒子間隔が狭まったために
比較材No.9に比べてクリープ強度が向上したと考えら
れる。本発明材No.2は1μm2 当りに約660個の酸
化物が確認された。
【0030】次に上記薄膜試験片において、エネルギー
分散型X線(以下EDXと略す)分析により分散粒子の
組成分析を行った。電子ビームのプローブ径は20nm
とした。図3に比較材No.9の分散粒子のEDXスペク
トルを、図4に比較材No.9の母相のEDXスペクトル
をそれぞれ示す。分散粒子のスペクトルからは、イット
リウムとアルミニウムの高いピーク及びチタンの僅かな
ピークが現れているが、母相のスペクトルからはニッケ
ル,クロム以外の明瞭なピークは見られない。図5には
本発明材のNo.2における分散粒子のEDXスペクトル
を示す。本発明材No.2の母相のスペクトルは比較材N
o.9にモリブテンのピークが加えられたものであった。
その一方で、分散粒子のスペクトルには、アルミニウム
のピークが存在せず、チタンの非常に高いピークが観察
される。本発明材No.1,3,4の分散粒子のEDX分
析からもほぼ同じスペクトルが得られた。以上の分析結
果から、添加したY2O3は比較材No.9においてはアル
ミニウムを、本発明材においてはチタンをそれぞれ吸収
して、組成の異なる複合酸化物を形成していることが推
測された。抽出レプリカ法により合金の酸化物相を採取
し、電子線回折により組成の同定を行った結果、比較材
No.9の酸化物相は2Y2O3・Al2O3であること、本
発明材の酸化物相はY2O3・2TiO2 であることを確
認した。本発明材においてY2O3はTiO2 と複合化す
ることで酸化物粒径が微細化したと考えられる。また、
0.3% のアルミニウムを含む比較材No.9の場合はY
2O3がAl2O3と優先的に反応し、結果としてTiO2
との複合化が妨げられたため複合酸化物が粗大化したと
考えられる。
分散型X線(以下EDXと略す)分析により分散粒子の
組成分析を行った。電子ビームのプローブ径は20nm
とした。図3に比較材No.9の分散粒子のEDXスペク
トルを、図4に比較材No.9の母相のEDXスペクトル
をそれぞれ示す。分散粒子のスペクトルからは、イット
リウムとアルミニウムの高いピーク及びチタンの僅かな
ピークが現れているが、母相のスペクトルからはニッケ
ル,クロム以外の明瞭なピークは見られない。図5には
本発明材のNo.2における分散粒子のEDXスペクトル
を示す。本発明材No.2の母相のスペクトルは比較材N
o.9にモリブテンのピークが加えられたものであった。
その一方で、分散粒子のスペクトルには、アルミニウム
のピークが存在せず、チタンの非常に高いピークが観察
される。本発明材No.1,3,4の分散粒子のEDX分
析からもほぼ同じスペクトルが得られた。以上の分析結
果から、添加したY2O3は比較材No.9においてはアル
ミニウムを、本発明材においてはチタンをそれぞれ吸収
して、組成の異なる複合酸化物を形成していることが推
測された。抽出レプリカ法により合金の酸化物相を採取
し、電子線回折により組成の同定を行った結果、比較材
No.9の酸化物相は2Y2O3・Al2O3であること、本
発明材の酸化物相はY2O3・2TiO2 であることを確
認した。本発明材においてY2O3はTiO2 と複合化す
ることで酸化物粒径が微細化したと考えられる。また、
0.3% のアルミニウムを含む比較材No.9の場合はY
2O3がAl2O3と優先的に反応し、結果としてTiO2
との複合化が妨げられたため複合酸化物が粗大化したと
考えられる。
【0031】図6に本発明に係るガスタービンの実施例
を示す。燃焼器のライナ1,トランジションピース2,
第一段動翼4,ディスク5及びシュラウド6が本発明の
Ni基の分散強化合金で構成されている。これらの部材
は十分な高温強度が得られた。
を示す。燃焼器のライナ1,トランジションピース2,
第一段動翼4,ディスク5及びシュラウド6が本発明の
Ni基の分散強化合金で構成されている。これらの部材
は十分な高温強度が得られた。
【0032】
【発明の効果】本発明によれば、長時間優れた高温強度
並びに良好な熱間加工性,高温組織安定性を有するNi
基の酸化物分散強化合金が得られることから、産業用ガ
スタービンの高温機器、特に静翼及び燃焼器などの構造
部材の長寿命化、更には耐用温度を向上させることで、
ガスタービン運転の際に排出されるNox量の低減が達
成できる。
並びに良好な熱間加工性,高温組織安定性を有するNi
基の酸化物分散強化合金が得られることから、産業用ガ
スタービンの高温機器、特に静翼及び燃焼器などの構造
部材の長寿命化、更には耐用温度を向上させることで、
ガスタービン運転の際に排出されるNox量の低減が達
成できる。
【図1】本発明材No.1,3,5,8及び比較材No.9
の900℃におけるクリープ破断特性を示す図である。
の900℃におけるクリープ破断特性を示す図である。
【図2】本発明材No.2,4,6,7,8の900℃に
おけるクリープ破断強度特性を示す図である。
おけるクリープ破断強度特性を示す図である。
【図3】比較材No.9の分散粒子のEDX分析結果を示
す図である。
す図である。
【図4】比較材No.9の母相のEDX分析結果を示す図
である。
である。
【図5】本発明材No.2の分散粒子のEDX分析結果を
示す図である。
示す図である。
【図6】本発明に係るガスタービンの断面図である。
1…燃焼器ライナ、2…燃焼器トランジションピース、
3…第一段静翼、4…第一段動翼、5…ディスク、6…
シュラウド。
3…第一段静翼、4…第一段動翼、5…ディスク、6…
シュラウド。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI F23R 3/42 F23R 3/42 A
Claims (12)
- 【請求項1】重量でチタン,ジルコニウム及びハフニウ
ムの1種以上を2%以下,クロム15〜30%,炭素
0.01〜0.4%及びイットリウムを含む酸化物0.1〜
2.0%を含むニッケル基合金からなることを特徴とする
ガスタービン用シュラウド。 - 【請求項2】重量でチタン,ジルコニウム及びハフニウ
ムの1種以上を2%以下,クロム15〜30%,炭素
0.01〜0.4%,モリブデン2.0〜6.0%,タング
ステン0.5 〜10%及びイットリウムを含む酸化物
0.1〜2.0%を含むニッケル基合金からなり、ニッケ
ル基合金の母相中にイットリウムを含む酸化物を粒子と
して分散させた酸化物分散強化型合金からなることを特
徴とするガスタービン用シュラウド。 - 【請求項3】重量でチタン,ジルコニウム及びハフニウ
ムの1種以上を2%以下,クロム15〜30%,炭素
0.01〜0.4%と、モリブデン2.0〜6.0%,タン
グステン0.5 〜10%、及びレニウム0.5〜4.0%
よりなる群から選ばれた一種以上の元素、及びイットリ
ウムを含む酸化物0.1〜2.0%を含むニッケル基合金
からなり、ニッケル基合金の母相中にイットリウムを含
む酸化物を粒子として分散させた酸化物分散強化型合金
からなることを特徴とするガスタービン用シュラウド。 - 【請求項4】重量でチタン,ジルコニウム及びハフニウ
ムの1種以上を2%以下,クロム15〜30%,炭素
0.01〜0.4%及びイットリウムを含む酸化物0.1〜
2.0%を含むニッケル基合金からなることを特徴とする
ガスタービン燃焼器用トラジションピース。 - 【請求項5】重量でチタン,ジルコニウム及びハフニウ
ムの1種以上を2%以下,クロム15〜30%,炭素
0.01〜0.4%,モリブデン2.0〜6.0%,タング
ステン0.5 〜10%及びイットリウムを含む酸化物
0.1〜2.0%を含むニッケル基合金からなり、ニッケ
ル基合金の母相中にイットリウムを含む酸化物を粒子と
して分散させた酸化物分散強化型合金からなることを特
徴とするガスタービン燃焼器用トラジションピース。 - 【請求項6】重量でチタン,ジルコニウム及びハフニウ
ムの1種以上を2%以下,クロム15〜30%,炭素
0.01〜0.4%と、モリブデン2.0〜6.0%,タン
グステン0.5 〜10%、及びレニウム0.5〜4.0%
よりなる群から選ばれた一種以上の元素、及びイットリ
ウムを含む酸化物0.1〜2.0%を含むニッケル基合金
からなり、ニッケル基合金の母相中にイットリウムを含
む酸化物を粒子として分散させた酸化物分散強化型合金
からなることを特徴とするガスタービン燃焼器用トラジ
ションピース。 - 【請求項7】重量でチタン,ジルコニウム及びハフニウ
ムの1種以上を2%以下,クロム15〜30%,炭素
0.01〜0.4%及びイットリウムを含む酸化物0.1〜
2.0%を含むニッケル基合金からなることを特徴とする
ガスタービン燃焼器用ライナ。 - 【請求項8】重量でチタン,ジルコニウム及びハフニウ
ムの1種以上を2%以下,クロム15〜30%,炭素
0.01〜0.4%,モリブデン2.0〜6.0%,タング
ステン0.5 〜10%及びイットリウムを含む酸化物
0.1〜2.0%を含むニッケル基合金からなり、ニッケ
ル基合金の母相中にイットリウムを含む酸化物を粒子と
して分散させた酸化物分散強化型合金からなることを特
徴とするガスタービン燃焼器用ライナ。 - 【請求項9】重量でチタン,ジルコニウム及びハフニウ
ムの1種以上を2%以下,クロム15〜30%,炭素
0.01〜0.4%と、モリブデン2.0〜6.0%,タン
グステン0.5 〜10%、及びレニウム0.5〜4.0%
よりなる群から選ばれた一種以上の元素、及びイットリ
ウムを含む酸化物0.1〜2.0%を含むニッケル基合金
からなり、ニッケル基合金の母相中にイットリウムを含
む酸化物を粒子として分散させた酸化物分散強化型合金
からなることを特徴とするガスタービン燃焼器用ライ
ナ。 - 【請求項10】噴射された燃料を燃焼させ、その燃焼ガ
スをタービン静翼に案内する筒状のガスタービン燃焼器
用ライナを請求項7ないし9いずれかによって構成した
ことを特徴とする発電用ガスタービンプラント。 - 【請求項11】噴射された燃料を燃焼させ、その燃焼ガ
スをタービン静翼に案内するガスタービン燃焼器用トラ
ンジションピースを請求項4ないし6いずれかによって
構成したことを特徴とする発電用ガスタービンプラン
ト。 - 【請求項12】噴射された燃料を燃焼させ、圧力の大き
い燃焼ガスを発生させ、該燃焼ガスを機械的エネルギー
に変え、発電するガスタービンにおいて、タービンディ
スクに固定されたタービンブレードの外周方向に沿って
設けられたシュラウドを請求項1ないし3のいずれかに
よって構成したことを特徴とする発電用ガスタービンプ
ラント。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP19818397A JPH1143732A (ja) | 1997-07-24 | 1997-07-24 | ガスタービン用高温部材 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP19818397A JPH1143732A (ja) | 1997-07-24 | 1997-07-24 | ガスタービン用高温部材 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH1143732A true JPH1143732A (ja) | 1999-02-16 |
Family
ID=16386868
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP19818397A Pending JPH1143732A (ja) | 1997-07-24 | 1997-07-24 | ガスタービン用高温部材 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH1143732A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR101189440B1 (ko) | 2010-10-20 | 2012-10-12 | 한국기계연구원 | 보수용접이 간편한 가스터빈 연소기 및 그 제조방법 |
EP2327807A4 (en) * | 2008-08-20 | 2016-07-27 | Univ Hokkaido Nat Univ Corp | OXIDDISPERSION REINFORCED ALLOY |
-
1997
- 1997-07-24 JP JP19818397A patent/JPH1143732A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP2327807A4 (en) * | 2008-08-20 | 2016-07-27 | Univ Hokkaido Nat Univ Corp | OXIDDISPERSION REINFORCED ALLOY |
KR101189440B1 (ko) | 2010-10-20 | 2012-10-12 | 한국기계연구원 | 보수용접이 간편한 가스터빈 연소기 및 그 제조방법 |
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