JP2008179845A - ナノ構造化超合金構造部材及び製造方法 - Google Patents

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ルアナ・エミリアーナ・イオリオ
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ディーパ・スリニヴァサン
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Abstract

【課題】ナノ構造化超合金構造材及びその製造方法を提供する。
【解決手段】超合金含有構造部材は、超合金マトリックスと超合金マトリックス内の粒界に分散した複数の硬質相ナノ粒子とを含んでなり、粒界に分散した複数の硬質相ナノ粒子は構造部材の約1〜約30体積%を占め、超合金マトリックス及び基礎超合金マトリックス内の粒界に分散した複数の硬質相ナノ粒子に熱機械加工を施すことで構造部材が形成されている。構造部材の製造方法は、複数の超合金粒子中に新しい粒界を形成するのに有効な転位を超合金粒子マトリックス中に導入する段階と、粒界をピン止めするのに有効な硬質相分散質ナノ粒子を超合金粒子の複数の粒界に導入する段階と、超合金粒子及び硬質相分散質ナノ粒子を熱機械加工して超合金含有構造部材を形成する段階とを含んでなる。
【選択図】図3

Description

本発明は超合金に関し、さらに具体的には、ナノ構造化超合金を含む構造部材に関する。
超合金は、往々にして絶対融解温度の0.7を超える高温で使用できる合金である。航空機エンジン又は発電装置に使用されているような多くの構造部材は、Fe基、Co基又はNi基超合金から形成される。航空機エンジン又は発電装置の強度又は寿命を高めるため、これらの疲労制限構造部材の高温特性を向上させようとする動因が常に存在する。
ナノ構造化材料は、多くの場合、規模の大きいものに比べて優れた機械的性質(例えば、強度、硬さ、延性など)を示す。さらに、転位の活動が多数の結晶粒に広がるので、ナノ構造化材料の疲労開始寿命は大粒度材料の場合よりも格段に長い。残念ながら、ナノ構造化合金も、規模の大きいものと同じく、加熱されると回復、再結晶及び/又は結晶粒成長の過程を受ける。実際、その非平衡的性質のため、ナノスケール結晶粒はマイクロメートルスケール結晶粒よりもこれらの過程を受けやすい。その結果、ナノ構造化合金を熱機械加工して賦形品にする場合、ナノ組織、ひいては優れた性質が失われることが多い。さらに、ナノ構造化合金を含む構造部材の供用時に、作動温度が上昇すると回復、再結晶及び/又は結晶粒成長をもたらす新たな機会が生じる。
回復、再結晶及び/又は結晶粒成長を抑制する方法(したがって合金を強化する方法)は、微細な分布状態の硬質相粒子を合金組成物マトリックス中に導入するOrowan強化である。かかる硬質相粒子強化合金の強度は分散質粒子同士の間隔に逆比例するが、これは分散質粒子の粒度を調節することによって制御できる。したがって、分散質としてナノ粒子を使用すると、合金強度の実質的向上の可能性がある。
合金の加工時に硬質相分散質ナノ粒子を導入することは、大きな技術的課題である。粒子を分散させるための現行法は、マイクロメートルスケール粒子の機械的合金化のような粉末冶金方法と、熱間静水圧プレス及び/又は熱間鍛造又は押出による熱機械加工を始めとする二次的方法との組合せを含んでいる。機械的合金化法では、ナノ粒子はミリング中にマイクロメートルスケール分散質粒子の反復破砕によって生み出される。残念ながら、これらの方法は、特に大形部材の場合、合金マトリックス中に均一な分布のナノ粒子を生じることができない。加えて、合金複合材中での硬質相分散質粒子の添加量はしばしば2体積%未満に制限される。このように、現行の方法は、合金又はそれから作製される物品に増大した強度を付与するのに十分な高い添加量のナノ粒子分散質を有するナノ構造化合金を製造することができない。
米国特許第5551999号明細書 米国特許第5891272号明細書 米国特許第6468368号明細書 米国特許第4816084号明細書 米国特許第4820353号明細書 米国特許出願公開第2004/0177723号明細書 米国特許出願公開第2005/0133121号明細書 米国特許出願公開第2005/0135959号明細書 R.Rodriguez et al.;"TENSIL AND CREEP BEHAVIOR OF CRYOMILLED INCO625";Acta Materialia 51(2003)911−929
そこで、当技術分野では、熱に暴露された場合に安定な結晶粒構造を有するナノ構造化合金の改良製造法に対するニーズが今なお存在している。かかる方法でナノ構造化超合金を製造できれば特に有利であろう。これらのナノ構造化超合金が疲労制限構造部材で使用でき、これらの構造部材を使用する装置の寿命及び/又は効率の増加が得られれば、さらに有利であろう。
超合金含有構造部材は、超合金マトリックスと超合金マトリックス内の粒界に分散した複数の硬質相ナノ粒子とを含んでなり、粒界に分散した複数の硬質相ナノ粒子は構造部材の約1〜約30体積%を占め、超合金マトリックス及び複数の硬質相ナノ粒子に熱機械加工を施すことで構造部材が形成されている。
別の態様では、超合金含有構造部材は、超合金マトリックスと、ナノ構造化超合金マトリックスの約10〜約60重量%を占めるγ′相と、超合金マトリックス内の粒界に分散した複数の硬質相ナノ粒子とを含んでなり、粒界に分散した複数の硬質相ナノ粒子は構造部材の約1〜約30体積%を占め、超合金マトリックス、γ′相、及び超合金マトリックス内の粒界に分散した複数の硬質相ナノ粒子に熱機械加工を施すことで構造部材が形成されている。
ナノ構造化超合金含有構造部材の製造方法は、一般的には、複数の超合金粒子中に新しい粒界を形成するのに有効な転位を、結晶粒がナノ構造化された超合金粒子マトリックス中に導入する段階と、粒界をピン止めするのに有効な硬質相分散質ナノ粒子を超合金粒子の複数の粒界に導入する段階と、超合金粒子マトリックス及び硬質相分散質ナノ粒子を熱機械加工してナノ構造化超合金含有構造部材を形成する段階とを含んでなる。
上記その他の特徴は、添付の図面及び以下の詳しい説明によって例示される。例示的な実施形態を示す図面中では、類似の構成要素は同じ番号で示されている。
本明細書中には、ナノ構造化超合金含有構造部材及びその製造方法が記載される。従来技術とは対照的に、本明細書中に開示される方法及び構造要素は、そのナノスケール結晶粒構造のため、熱に暴露された場合の超合金の安定性の増加を可能にする。その結果、強度の増大した疲労制限構造部材を製造することができ、これらの構造部材を使用する装置の寿命及び/又は効率の増加をもたらす。本明細書中で使用する「ナノ構造化」という用語は、約1〜約500ナノメートル(nm)の平均最大寸法をもった結晶粒を有する物質をいう。
また、本明細書中で使用する「第一」、「第二」などの用語は、いかなる順序又は重要度も表すわけではなく、むしろある構成要素を別の構成要素から区別するために使用される。単数形で記載したものは、数量の制限を意味するわけではなく、むしろ記載されたものの1以上が存在することを意味する。数量に関して使用される「約」という修飾語は、記載された値を含むと共に、(例えば、特定の数量の測定に関連する誤差の程度を含め)前後関係から指示される意味を有する。さらに、本明細書中に開示されるすべての範囲は、両端を含むと共に独立して結合可能である。
超合金含有構造部材は、一般に、超合金マトリックスと超合金マトリックス内の粒界に分散した複数の硬質相ナノ粒子とを含んでなる。
かかる構造部材を形成するためには、任意のFe基、Co基又はNi基超合金組成物が使用できる。Fe基、Co基又はNi基超合金中で最も普通の溶質は、アルミニウム及び/又はチタンである。一般に、アルミニウム及び/又はチタン濃度は低い(例えば、それぞれ約15重量%(wt%)以下である)。Fe基、Co基又はNi基超合金中の他の任意成分には、クロム、モリブデン、コバルト(Fe基又はNi基超合金中)、タングステン、ニッケル(Fe基又はCo基超合金中)、レニウム、鉄(Co基又はNi基超合金中)、タンタル、バナジウム、ハフニウム、ニオブ、ルテニウム、ジルコニウム、ホウ素及び炭素があり、これらの各々は独立に約15wt%以下の量で存在し得る。
硬質相ナノ粒子分散質組成物を含まない例示的なNi基超合金組成物は、約12〜約20wt%のCr、約22wt%以下のCo、約20wt%以下のFe、約2〜約5wt%のMo、約0.5〜約5wt%のTi、約0.5〜約4wt%のAl、約5wt%以下のW、約3wt%以下のTa、約3wt%以下のRe、約6wt%以下のNb、約3wt%以下のV、約2wt%以下のHf、約0.02〜約0.2wt%のC、約0.03wt%以下のB、及び約0.1wt%以下のZrを含み、残部は実質的にNiである。「実質的にNi」とは、組成物が偶発又は痕跡レベルの不純物を含み得ることを意味する。
一実施形態では、超合金マトリックス自体がナノ構造化されている。一実施形態では、超合金マトリックス中の結晶粒は約10〜約500nmの平均最大寸法を有する。別の実施形態では、超合金マトリックス中の結晶粒は約10〜約30nmの平均最大寸法を有する。
複数の硬質相ナノ粒子は、無機酸化物、無機炭化物、無機窒化物、無機炭窒化物、無機ホウ化物、無機オキシ炭化物、無機オキシ窒化物、無機ケイ化物、無機アルミニウム化物、無機硫化物、無機オキシ硫化物又はこれらの1種以上を含む組合せからなり得る。例示的な無機酸化物には、イットリア、アルミナ、ジルコニア又はハフニアがある。例示的な無機炭化物には、ハフニウム、タンタル、モリブデン、ジルコニウム、ニオブ、クロム、チタン又はタングステンの炭化物がある。例示的な無機硫化物及びオキシ硫化物には、それぞれ硫化セリウム及びオキシ硫化セリウムがある。
従来技術とは対照的に、本明細書中に開示されるナノ構造化超合金含有構造部材は、既存の硬質相分散質強化合金又は超合金で見られる添加量及び分散上の制約を解消する。一実施形態では、超合金含有構造部材は約1〜約30体積%(vol%)の硬質相分散質ナノ粒子を含む。別の実施形態では、超合金含有構造部材は約10〜約30vol%の硬質相分散質ナノ粒子を含む。このような硬質相分散質ナノ粒子の添加量の増加は、一層大きい粒界ピンニング効果をもたらし、したがって構造部材において一層高い強度をもたらす。
複数の硬質相分散質ナノ粒子は、球状、立方体状、棒状、針状、楕円体状又は類似の形状を有し得る。複数の硬質相分散質ナノ粒子の各々が同一の形状を有する必要はない。一実施形態では、複数の硬質相分散質ナノ粒子は約10〜約500nmの平均最大寸法を有する。別の実施形態では、複数の硬質相分散質ナノ粒子の各々は約10〜約30nmの平均最大寸法を有する。
構造部材はさらにいわゆる「γ′相」を含み得るが、これは一般に式Ni(Al/Ti)に基づく金属間化合物であり、追加の強化機構として役立つ。γ′相は、特に、温度上昇によって引き起こされ、回復したがって強度低下をもたらすことがある熱活性化に対して抵抗性を有している。その結果、ナノ構造化結晶粒を有する合金、硬質相分散質ナノ粒子及びγ′相を含む構造部材は、疲労寿命の実質的な増加を示すことができる。構造部材が暴露される特定の条件に応じ、γ′相はナノ構造化超合金マトリックスの約10〜約60wt%を占め得る。
構造部材はさらにいわゆる「γ″相」を含み得るが、これも一般に式NiNbに基づく金属間化合物であり、やはりγ′相と同じく追加の強化相として役立つ。γ″相は、γ′相と同じく、約1200℃までの温度で強度を増加させる。
ナノ構造化超合金含有構造部材の製造方法は、一般に、複数の超合金粒子中に新しい粒界を形成するのに有効な転位を、結晶粒がナノ構造化された超合金粉末粒子マトリックス中に導入する段階と、粒界をピン止めするのに有効な硬質相分散質ナノ粒子を粒界に導入する段階と、超合金粉末粒子マトリックス及び硬質相分散質ナノ粒子を熱機械加工してナノ構造化超合金含有構造部材を形成する段階とを含んでなる。
超合金粉末粒子マトリックス中に転位を導入する段階は、凍結粉砕、高圧捩り(HPT、high pressure torsion)、等断面せん断プレス(ECAP、equal channel angular pressing)、環状溝ダイ圧縮(CCDC、cyclic channel die compression)、繰返し重ね接合圧延(ARB、accumulative roll bonding)、繰返し波形・整直圧延(repetitive corrugation and straightening)、捩り押出(twist extrusion)その他の重度塑性変形技術、或いは上述の技術の1以上を含む組合せで達成できる。
硬質相分散質ナノ粒子を粒界に導入する段階は、エクスサイチュ(ex−situ)及び/又はインサイチュ(in−situ)で実施できる。硬質相分散質ナノ粒子のエクスサイチュ導入とは、転位形成中及び/又は転位形成後に硬質相分散質ナノ粒子を超合金粉末粒子マトリックスに意図的に物理的に添加することを意味する。硬質相分散質ナノ粒子のインサイチュ導入とは、例えば、反応性雰囲気中で(例えば、液体窒素、液状炭化水素、酸素などの存在下で)凍結粉砕を施す際に、硬質相分散質ナノ粒子を超合金粉末粒子マトリックス中に生成(例えば、析出)させることを意味する。
超合金粉末粒子を熱機械加工してナノ構造化超合金含有構造部材を形成する段階は、鍛造、熱間押出、熱間圧延及び/又は類似の技術で達成できる。
任意には、熱機械加工に先立ち、超合金粉末粒子マトリックス及び硬質相分散質ナノ粒子を圧密化して成形体にすることができる。成形体への圧密化は、常温圧縮成形、熱間圧縮成形、熱間静水圧プレス、鍛造、押出及び/又は類似の圧密化技術で実施できる。
一実施形態では、超合金の粉末粒子マトリックスに対し、粉末粒子マトリックスの粒度を所望粒度に低下させるのに有効な時間にわたって液体窒素中での凍結粉砕が施される。凍結粉砕中には、例えば、超合金組成物の反応性金属成分の酸化(酸素が存在する場合)又は窒化により、分散質ナノ粒子がインサイチュで生成(例えば、析出)する。さらに、凍結粉砕前及び/又は凍結粉砕中に分散質ナノ粒子を外部から添加すれば、それは粉末粒子マトリックスと緊密に混合される結果、やはりピンニング剤として役立つ。ある時点後には追加の冷間加工(凍結粉砕)は粉末粒子マトリックスの粒度を減少させなくなるが、代わりに分散質ナノ粒子のインサイチュ生成の機会を増加させるために役立つことを理解すべきである。これは、最終構造部材で目標にされる特定の性質によっては望ましい場合がある。例えば、アルミニウムを含む超合金では、高い窒素含有量に伴う脆性の増加を回避するため、約1.0wt%以下の窒素含有量を有することが望ましい場合がある。所望の粒度低下及びナノ粒子分散質添加が達成された後には、試料(即ち、ナノ構造化粉末粒子マトリックス及び硬質相分散質ナノ粒子)を熱間静水圧プレスで圧密化し、次いで鍛造することで所望の形状が形成される。
本明細書中に開示されるナノ構造化超合金含有構造部材は、高温ガス流路アセンブリ(例えば、蒸気タービン、ガスタービン、航空機エンジンなど)の少なくとも一部で使用するのに適している。これの高温ガス流路アセンブリは、構造部材が暴露される温度として、約800℃、具体的には約1000℃、さらに具体的には約1200℃の温度を有し得る。例示的な構造部材には、回転部材(例えば、翼、ディスク、車輪など)、静止部材(例えば、ダクト、フレーム、ケーシング、バケット、ベーンなど)、燃焼器などがある。
有利なことには、本明細書中に記載されるナノ構造化超合金含有構造部材及びその製造方法は、熱暴露時における基礎超合金の安定性の増加をもたらす。その結果、強度の増大した疲労制限構造部材を製造することができ、これらの構造部材を使用する装置の寿命及び/又は効率の増加をもたらす。例えば、微細な結晶粒及び分散質は、引張強さ及び耐クリープ性の2倍以上の増加を可能にすることがある。粒界の合金化は、環境暴露に原因する耐疲労性の低下を抑制又は排除できる。
本発明は以下の非限定的実施例で例示される。
実施例1
ニッケル及び約20wt%のCr(Ni−20Cr)からなる合金を溶融及び鍛造によって製造した。この従来技術材料の熱処理後の平均粒径は約64マイクロメートル(μm)である。同じ基礎合金組成物を粉末として製造し、液体窒素中で凍結粉砕を施し、圧密化し、熱処理した。この新規材料の熱処理後の粒径は約64nmであった。両方の材料について室温引張試験を行った。図1は、2種の材料に関する引張曲線を示している。従来技術のマイクロメートルスケール材料の極限引張強さは約87キロポンド/平方インチ(ksi)又は600メガパスル(MPa)であったのに対し、ナノ構造化合金の極限引張強さは約162ksi(1117MPa)であった。これは、本明細書中に開示された方法で製造した合金は86%高い引張強さを有することを表している。
実施例2
さらに、凍結粉砕に先立って複数のAl分散質ナノ粒子を導入した点を除き、実施例1に記載したようにしてナノ構造化Ni−20Cr試料を製造した。図3は、この超合金組成物の代表的な走査電子顕微鏡写真像を示している。
1)分散質ナノ粒子がエクスサイチュ及びインサイチュの両方で粒界に導入された、このナノ構造化Ni−20Cr超合金(「ナノ構造化Ni−20Cr w/Al」という)、2)分散質ナノ粒子がインサイチュのみで粒界に導入された、実施例1に従って製造したナノ構造化Ni−20Cr超合金(「ナノ構造化Ni−20Cr」という)、並びに3)Special Metals CorporationからINCONEL MA754の商品名で入手した公知のNi−20Cr超合金(「MA754」という)を調べた。図2は、これら3種の試料の高サイクル疲労特性に関する結果を示している。ナノ構造化Ni−20Cr w/Al超合金の5つの試料、ナノ構造化Ni−20Cr超合金の5つの試料、及びMA754超合金の2つの試料に関するデータが示されている。図2で証明されるように、本発明の両ナノ構造化超合金の各試料はMA754超合金より顕著に高い応力に耐えることができた。さらに、本発明のナノ構造化超合金は疲労によって破壊するまでの寿命の増加を示すこともできた。
実施例3
Rene′104合金は、0.05重量%の炭素、3.4重量%のアルミニウム、0.05重量%のジルコニウム、3.7重量%のチタン、0.025重量%のホウ素、2.4重量%のタンタル、3.8重量%のモリブデン、0.9重量%のニオブ、2.4重量%のタンタル、13重量%のクロム及び20.6重量%のコバルトを含むと共に残部が実質的にニッケルである公称組成を有するニッケル基超合金である。この合金を、噴霧粉末の圧密化、鍛造及び熱処理で製造した。かかる粉末の一試料を熱間静水圧プレスで圧密化し、押し出し、熱処理することでマイクロメートルスケール製品を得た。かかる粉末の別の試料に液体窒素中で凍結粉砕を施し、次いで従来技術のマイクロメートルスケール製品の場合と同様にして熱間静水圧プレスによる熱機械加工、押出及び熱処理を施した。
2つの試料を電子顕微鏡で検査すると共に、引張試験を行った。本発明のナノ構造化Rene′104合金では、ジルコニウム及びアルミニウムに富む酸化物の小粒子の分布が見られるが、これらは従来技術の粉末粒子表面上にも存在していた。さらに、Taに富む炭化物及びγ′層も存在していた。ナノ構造化Rene′104合金の結晶粒は、従来技術のマイクロメートルスケール製品に関して観察されたものよりずっと微細である。加えて、本発明のナノ構造化Rene′104合金では、従来技術のマイクロメートルスケール製品中に存在しないチタンに富む粒子の顕著な分布が見られる。これらのチタンに富む粒子は、ミリング流体(即ち、液体窒素)と合金からのチタンとの反応で生じるように思われる。チタン粒子は、ずっと微細な粒度の領域に付随している。
図4は、2つの試料に関する室温引張曲線を示している。ナノ構造化Rene′104合金は、高い引張降伏強さ(176ksi対198ksi)及び極限引張強さ(248ksi対262ksi)を有している。
以上、例示的な実施形態に関して本発明を説明してきたが、当業者であれば、本発明の技術的範囲から逸脱せずに様々な変更及び同等物による構成要素の置換を行い得ることが理解されよう。加えて、特定の状況又は材料を本発明の教示に適合させるため、本発明の本質的な範囲から逸脱せずに多くの修正を施すことができる。したがって、本発明はこの発明を実施するために想定される最良の形態として開示された特定の実施形態に限定されず、特許請求の範囲に含まれるすべての実施形態を包含するものである。
従来技術の合金の引張強さを本発明の一実施形態に従って製造した合金の引張強さと比較して示すグラフである。 3種のNi−20Cr合金の高サイクル疲労特性を示すグラフである。 本発明の一実施形態に従って分散質ナノ粒子をエクスサイチュ及びインサイチュの両方で粒界に導入したナノ構造化Ni−20Cr合金の走査電子顕微鏡写真像を示す。 従来技術の合金の引張強さを本発明の別の実施形態に従って製造した合金の引張強さと比較して示すグラフである。

Claims (10)

  1. 超合金から形成された構造部材であって、当該構造部材が、
    超合金マトリックスと、
    超合金マトリックス内の粒界に分散した複数の硬質相ナノ粒子と
    を含んでなり、粒界に分散した複数の硬質相ナノ粒子が構造部材の約1〜約30体積%をなし、超合金マトリックス及び基礎超合金マトリックス内の粒界に分散した複数の硬質相ナノ粒子を熱機械加工して形成した構造部材。
  2. さらにγ′相、γ″相又はその両方を含む、請求項1記載の構造部材。
  3. 当該構造部材が高温ガス流路アセンブリの少なくとも一部をなす、請求項1又は請求項2記載の構造部材。
  4. 超合金マトリックスが、Ni基超合金、Fe基超合金、Co基超合金又はこれらの超合金の1種以上を含む組合せからなる、請求項1乃至請求項3のいずれか1項記載の構造部材。
  5. 超合金を含む構造部材の製造方法であって、
    複数の超合金粒子中に新しい粒界を形成するのに有効な転位を超合金粒子マトリックス中に導入する段階と、
    粒界をピン止めするのに有効な硬質相分散質ナノ粒子を超合金粒子の複数の粒界に導入する段階と、
    超合金粒子及び硬質相分散質ナノ粒子を熱機械加工して超合金含有構造部材を形成する段階と
    を含んでなる方法。
  6. 転位を導入する段階が、凍結粉砕、高圧捩り、等断面せん断プレス、環状溝ダイ圧縮、繰返し重ね接合圧延、繰返し波形・整直圧延、捩り押出又はこれらの1以上を含む組合せからなる、請求項5記載の方法。
  7. 硬質相分散質ナノ粒子を導入する段階が、超合金粒子マトリックス中への転位の導入時及び/又は後に硬質相分散質ナノ粒子を超合金粒子マトリックスに外部から合体させること、超合金粒子マトリックス中に転位を導入しながら硬質相分散質ナノ粒子を生成させること、或いはその両方からなる、請求項5又は請求項6記載の方法。
  8. Ni超合金粒子及び硬質相分散質ナノ粒子を熱機械加工してナノ構造化Ni超合金含有構造部材を形成する段階が、鍛造、熱間押出、熱間圧延又はこれらの1以上を含む組合せからなる、請求項5乃至請求項7のいずれか1項記載の方法。
  9. さらに、熱機械加工に先立って超合金粒子マトリックス及び硬質相分散質ナノ粒子を圧密化して成形体にする段階を含む、請求項5乃至請求項8のいずれか1項記載の方法。
  10. さらに、γ′相及び″相の1種以上を超合金粒子マトリックス中に導入する段階を含む、請求項5乃至請求項9のいずれか1項記載の方法。
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