JP3941845B2 - 産業用ガスタービン - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、新規な高温部材及びそれを用いた産業用ガスタービンプラントに係り、特に、酸化物分散強化合金からなるガスタービン用静翼、該ガスタービン静翼から構成された産業用ガスタービンプラントに関する。
【0002】
【従来の技術】
発電などの目的に用いられる産業用ガスタービンは、燃焼効率を向上させるため、燃焼ガス温度を上昇させる気運にある。そのため、ガスタービン構成部材は、従来よりも高い温度に曝されることになる。一方、燃焼ガスが高温になるにつれて、燃焼時に発生する窒素酸化物(以下NOxと略す)量も増大するため、排出NOx量を低減させる必要がある。この排出NOx量を低減させるには、コンプレッサで圧縮された空気の内、材料の冷却に使用されていた空気を燃焼器に回し、燃焼前の圧縮空気と燃料との混合気の燃料濃度を希薄化することが最も有効である。従って、燃焼ガス温度を高温化したガスタービンに使用される材料に関しては、燃焼ガス自体の高温化と冷却空気の減少の2つの要因から耐用温度の飛躍的な向上が要求されている。
【0003】
ガスタービンの機器構成の中でも鋳造により製造される動翼、静翼、シュラウドについては、Ni基合金を中心として合金組成の改良及び製造プロセスの向上により、高温強度を高めた多くの合金が過去に開発、提案されている。しかしながら、Ni基合金の強化相であるγ’相は、900℃以上の高温域で分解、消失するため、現用Ni基合金以上の耐用温度の飛躍的な向上は困難と考えられる。また、燃焼器のライナ及びトランジションピースの材料は、高温強度以外の特性として、板にするための熱間加工性が要求されるため、既存材料であるNi基合金のハステロイX、Co基合金のHA188などの鍛造合金に比べて強度を飛躍的に高めた合金は実用化されていない。
【0004】
一方、従来の鍛造及び鋳造合金よりも耐用温度の高い合金として、マトリクス中に酸化物粒子を機械的合金化法により微細分散させた、酸化物分散強化型合金が開発されている。これらの合金は、合金の融点近傍の高温域まで安定な酸化物粒子により、マトリクス中に発生した転位の移動を阻止し、強化するという思想で開発された。酸化物分散強化型合金の製造方法としては、特開昭47-42507号公報等に示されており、原料である純金属、合金粉末及びY23などの酸化物の微細な粉末を高エネルギーボールミル中で機械的に混合した後に焼結して固形化し、更に高温で加工及び熱処理を施し結晶粒を粗大化させて使用される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
この種の酸化物分散強化型合金は、γ’相と酸化物の複合強化を図ったNi基合金と、酸化物相単独で強化した合金とに大別される。前者のγ’相と複合強化された合金は900℃以下の強度が高いため、ガスタービンの動翼材としての使用が検討されている。しかし、熱間での鍛造、圧延等の加工が非常に困難であり、また、γ’相は900℃以上の高温で分解してしまうため、第一段静翼等の使用温度が900℃を越える場合が予想される部位への適用も難しい。一方、酸化物相単独で強化された後者の合金は、熱間加工性及び900℃以上での高温組織安定性に優れていることから、航空機用静翼材としてNi基のMA754等の合金が、燃焼器材としてFe基のMA956と呼ばれる合金が、それぞれ米国Inco社から提案されている。
【0006】
しかし、将来の産業用ガスタービンの燃焼温度の上昇とそれに伴う排出NOx量の増加を考慮すると、高温機器への冷却空気量を現状以下に減少させる必要性が予想される。その際の材料の使用温度は、材料表面に熱遮蔽コーティングを施したとしても900℃以上、場合によっては1000℃を越える高温に達する可能性がある。このような高温化においては、既存のNi基の酸化物分散強化型合金は、構造材料として必要なクリープ破断強度及び耐熱疲労特性が充分ではない。これら既存Ni基酸化物分散強化型合金は原料に微細な金属粉末を用いるため、鋳造合金などに比べて過剰な酸素の混入が避けられない。従来の酸化物分散強化型合金では、主にアルミニウムを添加しAl23を形成することで酸素を吸着させていた。近年の研究によると、製造工程の段階でAl23と強化因子のY23が反応し、Y−Al複合酸化物が生じていることが明らかになった。このようなAl23とY23の複合化が生じると、酸化物粒子を粗大化させることで転位の移動に対する抵抗力を低下させ、ひいては合金の高温クリープ破断強度及び耐疲労特性を低下させる。Ni基酸化物分散強化型合金中のアルミニウムはY23に対して非常に活性であり、MA754相当のアルミニウム含有量が僅か0.3%の合金でも、合金中に含まれる0.6%のY23の殆どがアルミニウムと複合化する。
【0007】
本発明の目的は、熱間加工性及び高温組織安定性を有し、高い高温クリープ特性及び耐熱疲労特性を有するNi基酸化物分散強化型合金からなるガスタービン用静翼、及び、NOx排出量を増加させることなく高効率で稼動し得る産業用ガスタービンプラントを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、従来のアルミニウムを含むニッケル基酸化物分散強化型合金において、酸化物粒子を粗大化させ高温強度低下の要因となっていたアルミニウムを合金組成から取り除き、チタンに置き換え、イットリウムを含む酸化物粒子を微細に分散し、強度を向上させると同時に、優れた熱間加工性及び高温組織安定性を合わせ持たせた酸化物分散強化型合金からなるガスタービン用静翼である。
【0009】
本発明のガスタービン用静翼は、重量で、チタン、ジルコニウム及びハフニウムの1種以上を2%以下、クロム15〜30% 、炭素0.01〜0.4%、モリブデン2.0〜6.0%(ただし、2.0%は除く)、タングステン0.5〜10%及びイットリウムを含む酸化物0.1〜2.0%を含むニッケル基合金からなり、ニッケル基合金の母相中にイットリウムを含む酸化物を粒子として分散させた酸化物分散強化型合金からなるものである。
【0011】
そして産業用ガスタービンプラントは上記各発明のガスタービン用静翼を用いることが好ましい。
【0012】
本発明の酸化物分散強化型合金に含有される各元素の役割を次に示す。
【0013】
クロムは、耐高温腐食性の向上に有効である。十分な耐高温腐食性を得るには少なくとも15%以上が必要であるが、35%以上を超えて添加すると、炭化物の粗大化などが生じ脆化を引き起こす。20〜30%の範囲がより好ましい。
【0014】
チタン、ジルコニウム、ハフニウムは合金中に含まれる過剰な酸素を吸着する目的で添加される。従来の酸化物分散強化型合金では、アルミニウムを添加してAl23を形成することで酸素を吸着させていた。しかし、Al23は、製造工程の途中で強化因子のY23を吸収し、粗大なAl23とY23の複合酸化物を形成し高温強度を低下させる、そこで、本発明においては、アルミニウムの代わりにチタン、ジルコニウム、ハフニウムを選び、TiO2、ZrO2、HfO2の形で酸素を吸着させることにする。合金中において、TiO2、ZrO2、HfO2は、いずれもY23と複合酸化物を形成するが、Al23の場合のような複合酸化物の粗大化は起こらず、高温強度は低下しない。チタン、ジルコニウム、ハフニウムのうちの1種以上を合計2%を超えて添加すると、η相等の有害相が析出し脆化が生じる可能性があるため、適正な添加量はチタンを選択した場合は2.0%以下、ジルコニウムの場合は1.0%以下、ハフニウムの場合は1.5%以下が好ましい。特に、合計で0.5〜1.5%の範囲内の添加がより好ましい。
【0015】
タングステンは、母相中に固溶して母相を強化する。特に、クリープの長時間強度の改善に効果が大きい。また、製造プロセス途中の熱処理で結晶粒を粗大化させる効果がある。含有量が0.5%未満では、強度を向上させる効果が十分ではない。一方、10%を超えて添加すると、σ相に代表される有害析出相を助長し、脆化を招くため好ましくない。より適正な添加量としては1.0〜7.0%が好ましい。
【0016】
モリブデンは、タングステン同様に母相中に固溶して母相を強化する。特に、クリープの長時間強度の改善に効果が大きい。また、製造プロセス途中の熱処理で結晶粒を粗大化させる効果も同様である。含有量が2.0%を超えて添加すると、強度を向上させる効果は十分である。一方、6.0%を超えて添加すると、延性が低下して製造プロセス途中で熱間加工性を悪化させ、割れが生じやすくなるため好ましくない。
【0017】
炭素は、主に炭化物として析出し粒界を強化する作用を有するため、少なくとも0.01%以上添加するのがよい。一方、0.4%を超えて添加すると、炭化物の粗大化を助長して、高温長時間のクリープ破断強度及び靭性の低下を引き起こすため好ましくない。
【0018】
イットリウムを含む酸化物Y23は、TiO2との複合酸化物の形で母相に分散し高温強度を向上させる。十分な強度を得るには0.1%以上の添加が必要であるが、2%を超える添加は延性を低下させ、熱間加工性を悪化させる。適切な添加量としては0.3〜1.2%の範囲がより好ましい。Y23は、混合に際して、原料紛よりさらに微細に粉砕することは困難であるので、Y23原料自身でできるだけ微細なものを用いることが望ましい。特に粒径として500nm以下とし、そして1〜100nmの粒径がより好ましい。Y23の分散は微細な粒子を用いることによって極く微量の含有量で十分な強化が得られ、かつ、延性を損なわないものとすることができる。従って、前述の粒径のものを1重量%当り、1μm2当り100個以上とし、特に、500個以上分散させることが好ましい。
【0019】
レニウムは、主に母相中に固溶して強化し、更に高温耐酸化性を改善する効果も合わせて有する。その含有量が0.5%未満では上記効果が十分でなく、3%を超えて添加すると製造コストが上昇し不利になる。
【0020】
次に、合金の製造工程について説明する。
【0021】
機械的合金化では、高エネルギーボールミル内で運動する鋼球間あるいは鋼球と容器間の衝撃エネルギー、すなわち機械的エネルギーが、圧縮粉砕、剪断摩砕過程を通してそれらの間に存在する紛体中に蓄積することにより可能となる。この場合、粉末同士の鍛接、折畳みの繰り返しにより室温付近の低温でも拡散により原子オーダーの合金化が起こる。好適な合金化のためには高い衝撃エネルギーが必要であり、また合金化の効率の向上を図る必要もある。そのために、原料粉末と鋼球との重量比は、アトライターでは1/10から1/20、遊星型ボールミルでは1/5から1/10で、アーム及び回転円盤の回転数は150〜400rpmが望ましい。合金化処理時間は20時間以上で、粉末が扁平な層状組織となるまで処理を行う。なお、アトライターは、ボールミルの一種で、容器に入れた原料粉末と鋼球を回転する撹拌棒でかき混ぜる装置である。遊星型ボールミルは、原料粉末と鋼球を入れた容器を回転ステージに搭載して公転させ、容器自身も自転して原料粉末と鋼球をかき混ぜる装置である。
【0022】
上記混合粉末の固形化は、粉末冶金法に従い軟綱あるいはステンレス容器に粉末を充填して熱間押出しあるいはHIP法によって行われる。焼結温度は粉末間の拡散融合、緻密化及び合金原子のより一層の固溶化を考えて、950〜1200℃の温度域が望ましい。
【0023】
その後、酸化物分散による強化を十分に発揮させるため、鍛造、熱間圧延などの熱間加工と熱処理を実施して、二次再結晶による結晶粒の粗大化を行う。熱間加工は、固形化後の組織の均質化と、二次再結晶時の結晶粒成長の駆動力となる歪みエネルギーを付与する目的で行う。加工温度は、900〜1200℃の範囲で実施することが好ましい。結晶粒の成長は、加工方向に添って生じるため、熱間圧延の方向及び加工の回数は、製品の寸法や形状と共に再結晶後の結晶粒の形状及び大きさを考慮して決定する必要がある。熱処理は、二次再結晶を効率良く生じさせるため、可能な限り高温で行うことが望ましく、その温度は、熱間加工温度の50℃以上を下限とし、合金の融点の50℃以下を上限とする範囲で行うことが好ましい。熱処理後に熱間あるいは冷間で過度の加工を行うと、二次再結晶で生じた粗大な結晶粒が破壊され強度の低下につながるため、熱処理後の加工は、寸法を整える程度の軽度の加工に留めるべきである。
【0024】
静翼を製造する場合は、最終熱処理後のインゴットから機械加工により、翼形状に成形することが好ましい。
【0025】
接合方法としては、溶接、ろう付け、拡散接合、ねじ又はリベット止めの内1種あるいは2種以上を組み合わせた物を用いることができる。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例を説明する。
【0027】
本発明の効果を具体的に確認するため、表1に示す各種成分を持つ酸化物分散強化型合金を供試材として強度、成分分析等の各種試験を行った。表1中合金No.1〜8は本発明材であり、合金No.9は比較材で既存合金中のMA754と同じ組成とした。
【0028】
【表1】
Figure 0003941845
以下に、各種試験の結果を示す。合金No.1〜9それぞれの組成に応じて、平均結晶粒径が100μm以下の金属粉末及び炭素粉末と平均粒径20nmのY23微粉末を調合し、遊星型ボールミル中に装填し、Ar雰囲気中で機械的合金化を行った。ボールミルの回転数は165rpm、ミリング時間は30時間であった。得られた混合粉末を軟綱製のカプセルに装填し、10-2〜10-4Torrで真空引きを行いながら、100℃、200℃、400℃の各温度で30分ずつ加熱して、カプセル内壁及び粉末の脱気を済ませた後に、真空封入を行った。粉末の固形化にはHIP処理を使用し、1,050℃、1,800kgf/cm2、保持時間2時間の条件で行った。更に、950〜1,050℃の温度で鍛造及び熱間圧延を行い、板材に加工した後に、1,300℃で1時間の熱処理を施して供試材を作成した。
【0029】
図1に、本発明の合金No.1、3、5、8及び比較材の合金No.9に対して900℃でクリープ破断試験を行った結果を示す。いずれの合金もY23添加量を0.6%、チタン量を0.5%とした。Y23含有量が等しいにも拘わらず、0.3%アルミニウムを含む合金No.9に比べて、合金No.1、3、5、8の方がクリープ破断強度が高い。モリブデン、タングステン、レニウムの添加が強化に有効であった。
【0030】
図2に、合金No.2、4、6、7、8の900℃クリープ破断試験の結果を示す。モリブデン及びタングステンの添加は強化に有効であり、特に、複合添加が有効である。
【0031】
図3に、比較材No.9の透過型電子顕微鏡(TEM)による金属組織の写真を、図4に、本発明材No.2のそれを示す。試験片は、直径3mm、厚さ0.2mmのディスクを切り出し、電解研磨により薄膜化したものを用いた。両合金共にY23を含む酸化物と推定される、直径100nm以下の微細な粒子の分散が観察された。この写真から分散粒子の平均粒径を調べた結果、本発明材No.2の平均粒径は16nm、比較材No.9は25nmと、本発明材No.2の方が、粒径が微細であることを確認した。また、平均粒子間距離の比を調べた結果、比較材No.9の平均粒子間距離は、本発明材No.2の1.4倍であった。
【0032】
一般に、酸化物分散強化型合金が微細粒子の分散により強化されている場合、その強度は分散粒子の平均粒子間距離に比例し、粒子間距離が狭まるほど強度は高くなる。本発明材のNo.1〜8は、製造工程の段階で酸化物粒子がより微細に分散され、粒子間隔が狭まったために、比較材No.9に比べてクリープ強度が向上したと考えられる。本発明材No.2は1μm2当りに約660個の酸化物が確認された。
【0033】
次に、上記薄膜試験片において、エネルギー分散型X線(以下EDXと略す)分析により分散粒子の組成分析を行った。電子ビームのプローブ径は20nmとした。図5に、比較材No.9の分散粒子のEDXスペクトルを、図6に、比較材No.9の母相のEDXスペクトルをそれぞれ示す。分散粒子のスペクトルからは、イットリウムとアルミニウムの高いピーク及びチタンの僅かなピークが現れているが、母相のスペクトルからは、ニッケル、クロム以外の明瞭なピークは見られない。図7には、本発明材のNo.2における分散粒子のEDXスペクトルを示す。本発明材No.2の母相のスペクトルは比較材No.9にモリブデンのピークが加えられたものであった。その一方で、分散粒子のスペクトルには、アルミニウムのピークが存在せず、チタンの非常に高いピークが観察される。本発明材No.1、3、4の分散粒子のEDX分析からもほぼ同じスペクトルが得られた。
【0034】
以上の分析結果から、添加したY23は比較材No.9においてはアルミニウムを、本発明材においてはチタンをそれぞれ吸収して、組成の異なる複合酸化物を形成していることが推測された。抽出レプリカ法により合金の酸化物相を採取し、電子線回折により組成の同定を行った結果、比較材No.9の酸化物相は2Y23・Al23であること、本発明材の酸化物相はY23・2TiO2であることを確認した。本発明材において、Y23はTiO2と複合化することで酸化物粒径が微細化したと考えられる。また、0.3%のアルミニウムを含む比較材No.9の場合はY23がAl23と優先的に反応し、結果としてTiO2との複合化が妨げられたため複合酸化物が粗大化したと考えられる。
【0035】
図8に、本発明に係る産業用ガスタービンプラントで用いられるガスタービンの実施例を示す。図8に示すガスタービンは、3段の静翼1a、1bおよび1cと、3段の動翼3a、3bおよび3cと、タービンディスク3と、タービンスペーサ4と、燃焼器5とを有する。図8に示す例では、第一段静翼1aが、本発明のNi基の分散強化合金からなるガスタービン用静翼として構成される。第一段静翼に、上述した本発明のNi基の分散強化合金を用いることで、この部材は十分な高温強度が得られた。
【0036】
【発明の効果】
本発明によれば、長時間優れた高温強度並びに良好な熱間加工性、高温組織安定性を有するNi基の酸化物分散強化合金からなるガスタービン用静翼が得られることから、産業用ガスタービンプラントの長寿命化、更には耐用温度を向上させることで、ガスタービン運転の際に排出されるNOx量の低減が達成できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明材No 1、3、5、8及び比較材No.9の900℃におけるクリープ破断特性を示すグラフである。
【図2】 本発明材No.2、4、6、7、8の900℃におけるクリープ破断強度特性を示すグラフである。
【図3】 比較材No.9の断面の金属組織を示すTEM写真である。
【図4】 本発明材No.2の端面の金属組織を示すTEM写真である。
【図5】 比較材No.9の分散粒子のEDX分析結果を示す線図である。
【図6】 比較材No.9の母相のEDX分析結果を示す線図である。
【図7】 本発明材No.2の分散粒子のEDX分析結果を示す線図である。
【図8】 本発明に係るガスタービンの断面図である。
【符号の説明】
1a…第一段静翼

Claims (1)

  1. 3段の静翼と、3段の動翼と、燃焼器とを有する産業用ガスタービンにおいて
    前記3段の静翼のうち前記燃焼器に近い位置に配置される第1段静翼に、重量比で、チタン、ジルコニウム及びハフニウムの1種以上を合計で2%以下、クロム15〜30%、炭素0.01〜0.4%、モリブデン2.0〜6.0%(ただし、2.0%は除く)、タングステン0.5〜10%及びイットリウムを含む酸化物0.1〜2.0%を含み、残部がニッケルであるニッケル基合金であって前記ニッケル基合金の母相中に前記イットリウムを含む酸化物を粒子として分散させた酸化物分散強化型合金を用いたことを特徴とする産業用ガスタービン。
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