JP4035617B2 - イリジウム基合金とその製造方法 - Google Patents

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Description

この出願の発明は、タングステンと残部がイリジウムと不可避的不純物からなるイリジウム基合金とその製造方法に関するものであり、さらに詳しくは、ジェットエンジン、ロケットエンジン、発電用ガスタービン、タービンブレード、タービンベーン、宇宙往還機のエンジンなど、高温、高応力下で使用される高温機器の部材に有用な、高融点のイリジウム基合金とその製造方法に関するものである。
高温機器用部材として使用されている高融点超合金としては、これまでニッケルをベースとして、これにコバルト、クロム、モリブデン、タングステン、アルミニウム、チタン、タンタル、ニオブ、レニウム、ハフニウム等を添加したニッケル基合金が知られている。また、最近では、このニッケル基合金よりもさらに高い高融点特性を有するものとして、イリジウムをベースにして、これにバナジウム、チタン、ニオブ、タンタル、ハフニウム、ジルコニウム等を添加したイリジウム基合金も開発されている(特許文献1および2)。
特開平8− 311584号公報 特開2001−303152号公報
しかしながら、このような高融点超合金をジェットエンジン、タービンベーン、タービンブレード等に使用するためには、高い融点を有することと共に、室温延性、や加工性、そして高温強度特性が要求される。使用条件が厳しいとされる航空宇宙分野のスペースプレーンなどの部材に用いるためには、1500℃以上の温度域でも使用可能な高温耐性を有することが不可欠であるとされている。しかも、宇宙往還機のエンジン部材などの高温・高応力下で使用される材料として最も求められるのはクリープ特性であり、宇宙往還機などの分野では1500℃におけるクリープ寿命が重要とされている。しかしながら、現在では、1500℃で100MPaの応力下で100時間以上耐え得る材料は未だ開発されていない。当然ながらこのようなクリープ特性と共に室温延性をも兼ね備えた材料は未だ知られていない。
そこで、この出願の発明は1500℃以上においても優れたクリープ特性と充分な室温延性を有する高融点超合金を提供することを課題としている。
この出願の発明は上記の課題を解決するためのものとして、fcc構造を持つ母相中にhcp構造を持つ析出物が均一に析出し、タングステンが19〜22at%含有されていることを特徴とするイリジウム基合金を提供する。
には、イリジウムにタングステンを添加して溶製した後に1400〜2200℃の温度範囲で熱処理をする方法を提供する。
には、イリジウムにタングステンを添加して溶製した後に1400〜1800℃の温度範囲で熱処理をする方法を提供する。
上記第1のイリジウム基合金の発明によれば、1500℃以上の高温においても優れたクリープ特性と十分な室温延性を有する光勇店超合金を得ることができる。また、イリジウムに対するタングステンの組成範囲が特定することにより、さらに優れたクリープ特性と十分な室温延性を有する光勇店超合金を得ることができる。
上記第のイリジウム基合金の製造方法の発明によれば、熱処理の温度範囲を特定することにより1500℃以上の高温においても優れたクリープ特性と十分な室温延性を有する高融点超合金の製造方法を得ることができる。
上記第のイリジウム基合金の製造方法の発明によれば、上記第2と同様な効果が得られ、熱処理温度の範囲を限定することにより、1500℃以上の高温においてもさらに優れたクリープ特性と十分な室温延性を有する高融点超合金の製造方法を得ることができる。
この出願の発明者らはニッケル基合金よりもさらに高融点の新しい超合金として、イリジウム(Ir)をベースにバナジウム(V)、チタン(Ti)、ニオブ(Nb)、タンタル(Ta)、ハフニウム(Hf)の金属群から選択される1種以上の金属を2〜22at%
添加してfcc構造を持つ母相中にL12構造を持つ析出物が整合して析出した、いわゆるイリジウム基合金について検討してきた(特許文献2)。ところが、このfccとL12の二相整
合組織を持つイリジウム基合金はL12相を有しているために高融点で耐酸化性に優れて
いるという特性を有している反面、脆く加工が困難であるという欠点をも有している。そこで、この出願の発明はイリジウムにこのような貴金属を2〜22at%添加する従来の方法
に変えてイリジウムにタングステン(W)を添加したものを熱処理することによってイリ
ジウム基合金の高温強度特性を向上するものであるが、このイリジウムにタングステンを添加したIr−W超合金は、L12相の代わりにhcp相を析出させ、しかもfcc相中にhcp
相が均一に析出する。このようにfcc相中にhcp相が均一に析出したイリジウム基合金は融点が高いだけでなく、優れた高温クリープ強度と良好な室温延性を有することが見出された。この出願の発明は、このような従来の技術からは全く予期することのできない知見に基づいて完成されたものである。
この出願の発明は上記のとおりの特徴を持つものであるが、以下にその実施の形態について説明する。
なによりも重要なことは、この出願の発明のイリジウム基合金では、その組成においてイリジウム(Ir)にタングステン(W)が含有された二元系合金であることを基本とし、fcc構造を持つ母相中にhcp構造を持つ析出物が均一に析出している組成を有していることである。
上記組成については、原料や製造工程からの不可避的不純物の混入が許容されていることは言うまでもない。また、第3、第4等の他機能実現のための元素成分が添加される場合であっても、上記の組織の特徴と、高温クリープ特性並びに室温延性が阻害されない限りはその添加が許容されることになる。
そこで、イリジウム(Ir)とタングステン(W)の最適組成比を調べるためにイリジウム(Ir)とタングステン(W)の組成をIr−2at%W、Ir−at10%W、Ir−20at%WおよびIr−23.5at%Wに変化させたものを熱処理をして得られたイリジウム基超
合金を1500℃の温度で100MPaで圧縮クリープ試験の結果を示したものが図1である。図1
からもわかるようにfcc単相であるIr−2at%WおよびIr−10at%Wはクリープ変形量(歪み量)が大きいのに対して、Ir−20at%W、Ir−23.5at%Wはクリープ変形量(歪み量)が抑えられて優れたクリープ強度を有することが示されている。
ところが、クリープ強度が優れている一方のIr−20at%Wは二相合金を形成しているのに対し、他方のIr−23.5at%Wはhcp単相を形成している。この二相合金のIr−20at%Wとhcp単相のIr−23.5at%Wの延性を比較すると、図2に示されているように二相合金のIr−20at%Wの延性はhcp単相を形成するIr−23.5at%Wに比較して明らかに
優れている。クリープ強度および延性のバランスを考慮するとイリジウム(Ir)に対するタングステン(W)の割合は19〜22at%の範囲が好ましいものと考えられる。
また、タングステン(W)の割合が19〜22at%のイリジウム基合金の製造に際しては、混合と溶製によるプロセスにおいてイリジウムにタングステンを添加した後に、1400℃〜1800℃の温度範囲で熱処理することが好ましいものと考えられる。この理由としては、熱処理温度が1400℃よりも低い温度では第二相hcp相の析出がするためには充分な温度で
はなく、また熱処理温度が1800℃を超えると析出した第二相hcpが粗大化してしまい微細
な組織が形成されないものと考えられる。なお、加熱のための時間の長さについては、加熱温度によっても相違するため特に限定的ではないが、一般的には20時間以上とすることが考慮され、さらには50時間以上、より好適には60時間〜80時間程度とすることが考慮される。
そこで以下に実施例を示し、さらに詳しくこの出願の発明について説明する。もちろん以下の例によって発明が制限されることはない。
イリジウム(Ir)とタングステン(W)とを、タングステンが20at%となるように添加混
合し、これを溶製して、Ir−20at%W合金インゴットを作製し、1500℃で72時間熱処理した。得られた超合金の組織の走査型電子顕微鏡写真を示したものが図3である。1500℃の熱処理により第二相hcpが板状に微細に生成していることが確認される。また、熱処理温
度を1100℃にして72時間熱処理を行い、生成した組織の走査型電子顕微鏡観察した時の写真が図4である。この図4からも明らかなように1100℃での熱処理組織では第二相hcp相
の析出は観察されない。この原因としては熱処理温度が低すぎるために組織が熱処理前のインゴットのままであると考えられる。そして、熱処理温度を2200℃まで上げて72時間熱処理を行い、生成した組織の走査型電子顕微鏡観察した時の写真が図5である。図5からは熱処理温度を2200℃まで上げると、第二相が粗大化してしまい微細な組織は形成されていないことが確認される。
図6はIr−20at%W合金を1500℃、1800℃および2200℃でそれぞれ72時間熱処理して得られたイリジウム基合金を1500℃の温度で100MPaの応力で圧縮クリープ試験(歪み)の結果を示したものである。
図6からも明らかなように、1500℃で熱処理されたIr−20at%W合金は試験時間は300
時間を経過しても歪みが1%以下の定常クリープが続いている。
このことから、微細な組織を形成するための好適な温度条件としては、熱処理温度を1400℃から1800℃の範囲とすることが最も好ましいことがわかる。
ただ、1800℃の熱処理では歪み率は大きくなっているが、2200℃の熱処理では再び1500℃の熱処理の歪み率に近くなっている。このことから、圧縮クリープ強度は熱処理の温度による顕著な差異はないものと考えられるが、熱処理温度を2300℃以上にすると溶融する
恐れがあり、安全をみて上限は2200℃程度にすることが好ましい。なお、図6では1400℃以下で熱処理するものが除かれているが、これは1400℃以下ではhcp単相になっておりhcp単相は圧縮クリープ強度が大きいことは予めわかっていることや、たとえ1400℃以下の低温で熱処理をしても1500℃のような高温で使用する場合には使用中に組織が変化するためである。
また、Ir−20at%W合金を1500℃で72時間熱処理して得られたイリジウム基合金とIr−15at%Nbの室温圧縮試験をした時の応力−歪み曲線を測定したグラフが図7であるが、図7から明らかなようにfcc+L12二相整合組織を有するIr−15at%Nbの圧縮破断歪みが10%であるのに対し、Ir−20at%W合金の圧縮破断歪みは16%であり、変形能に優
れていることが確認された。
Ir−W合金インゴットのクリープ特性の組成依存性を示したものである。 Ir−W合金インゴットの延性の組成依存性を示したものである。 Ir−20at%W合金インゴットを1500℃で72時間熱処理をした後の表面組織の走査型電子顕微鏡写真である。 Ir−20at%W合金インゴットを1100℃で72時間熱処理をした後の表面組織の走査型電子顕微鏡写真である。 Ir−20at%W合金インゴットを2200℃で72時間熱処理をした後の表面組織の走査型電子顕微鏡写真である。 Ir−20at%W合金インゴットを1500℃、1800℃および2200℃で72時間熱処理した処理材を1500℃で100MPaの条件で圧縮クリープ試験をした時のグラフである。 1500℃で72時間熱処理したIr−20at%W合金とIr−15at%Nb合金の室温圧縮試験における応力−歪曲線である。

Claims (3)

  1. タングステンと残部がイリジウムと不可避的不純物からなるイリジウム基合金であって、fcc構造をもつ母相中にhcp構造を持つ析出物が均一に析出し、タングステンが19〜22at%含有されていることを特徴とするイリジウム基合金。
  2. 請求項1のイリジウム基超合金の製造方法であって、イリジウムにタングステンを添加して合金を溶製した後に1400〜2200℃の温度範囲で熱処理することを特徴とするイリジウム基合金の製造方法。
  3. 熱処理温度が1400〜1800℃の温度範囲であることを特徴とする請求項2のイリジウム基合金の製造方法。
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