JP6551013B2 - ケーブルハーネス装置、および電子機器 - Google Patents
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Description
また、ツイスト構造のケーブルハーネス部材を用いた差動信号の伝送については、例えば特許文献3のように、流れる電流による不要輻射を低減するために、差動信号ライン対の入力側および出力側の両方において、差動信号ライン対とそれぞれ電気的に接続された配線同士が、抵抗器を介して電気的に接続された差動信号伝送方法が知られていた。
図1は、実施形態1に係わるケーブルハーネス装置の原理を説明した概略構成図である。まず、本実施形態に係わるケーブルハーネス装置の概略構成について、図1を参照して説明する。本実施形態では、ケーブルハーネス装置を用いて、二つの回路基板を接続した例について述べる。
1/Z1=1/R1+1/R2 ・・・(式1)
Z1=R1×R2/(R1+R2) ・・・(式2)
とするとき、(式2)の右辺(抵抗体150と抵抗体250の合成抵抗値)は左辺Z1(IC110の信号の出力インピーダンス)に対して±20%の幅を持たせて設計することが好ましい。これは、発明者らのシミュレーション結果に基づくものである。即ち、R1,R2の抵抗値は、E24系などの定数値のチップ抵抗部品から設定されることになるので、上記Z1の±20%以内に入るように設定することになる。
ここで、プリンター800は、主として電磁気的に影響がある金属部分を抽出したモデルとなっており、第1の回路基板としてのメイン基板300(プリンターの機能を実現する回路)と第2の回路基板としてのサブ基板600(LCD:Liquid Crystal Displayなどの表示体を実装)を有している。また、ケーブルハーネス装置500は、メイン基板300とサブ基板600との間を電気的に接続するために実装されている。
同じくサブ基板600の外形は、X方向186mm、Y方向55mm、Z方向1.6mmであり、モデルの単純化のために銅単体で構成している。メイン基板300は、鋼板からなる金属フレーム400(外形:X方向380mm、Y方向74mm、Z方向112mm)に装着されており、ねじ止め301,302,303により電気的に金属フレーム400と接続されている。また、ケーブルハーネス装置500は、一方の端部がメイン基板300のコネクター部305に接続され、他方の端部はサブ基板600のコネクター部605に接続している。
以上の構成について、先ずFFC50を伝送する信号の波形品質を検討するため、FFC50のライン状配線51,52の各両端部とメイン基板300とサブ基板600のそれぞれのグランド配線パターンとの間に、直流から1GHzのSパラメーターを取得する計4個のポートを設定して電磁界シミュレーションを行った。
T>t ・・・(式3)
となる関係になっている。即ち伝送する信号は、FFC50の伝送路中に矩形波の電圧レベルの状態遷移が完了する状態であり、FFC50の長さの範囲内で信号の波長による電位分布が存在することを意味している。そのため、伝送路の終端部でインピーダンス不整合が生じると、終端部における電圧が設計値よりも高くなったり、低くなったりする現象が顕著になる。このような現象を解消するため、高周波回路設計の考え方として、信号の伝送路の特性インピーダンスと伝送する信号源のインピーダンスとを同一にすると共に、該伝送路終端の抵抗(負荷)も同一のインピーダンスとする、所謂インピーダンス整合を採用することが信号波形品質を維持する上で必要となる。
次に、本発明のケーブルハーネス装置を実装したプリンターにおいて、不要輻射の状況についてシミュレーション検討を行った。検討したシミュレーションモデルは図2と略同じであるが、ケーブルハーネス装置500のメイン基板300上のコネクター部305において、FFC50の差動対の各信号ラインにそれぞれ信号源(各信号源インピーダンスは50Ω)の一方を接続し、各信号源の他方をメイン基板300上(グランド配線パターン)で接地接続させ、且つ該信号源間の信号の位相差が180度となるようにした。これにより、差動信号源としての信号の出力インピーダンスを100Ωとすることができる。さらに、本発明に合致するケーブルハーネス装置の構成とするために、コネクター部305付近において、FFC50の差動対の信号ライン間に430Ωの抵抗体(R1)を電気的に接続させた。
これは、FFC50の差動対の信号ラインに生じる定在波の電圧振幅レベルが、ケーブルハーネス装置500の構成により低減されたためである。その傾向は、図5に対して図4の信号波形におけるリンギングのレベルの低減からも確認できる。
上記実施形態(図2参照)では、メイン基板300とサブ基板600とを電気的に接続するFFC50を略直線状に配置した構成として説明したが、この構成に限定するものではなく、FFCは屈曲や湾曲を有していても良い。以下、変形例1に係わるケーブルハーネス装置501として、屈曲を有するFFC59について説明する。なお、実施形態1と同一の構成部位については、同一の番号を附し、重複する説明は省略する。
図9は、ケーブルハーネス装置501における、伝送する差動信号のアイパターンを示した図である。ケーブルハーネス装置500におけるアイパターン(図4)と比較して、信号の劣化が小さいことが分かる。また、従来の構成である図5に対しては、依然良好なレベルが保たれている。以上に述べたように、本変形例に係わるケーブルハーネス装置501によれば、上記実施形態での効果に加えて以下の効果を得ることができる。
ケーブルハーネス装置を収容、設置する空間が限られ、ケーブルハーネス部材(FFC)を屈曲または湾曲させて実装しても、伝送する信号波形の品質が維持可能な電子機器を提供することができる。
上記実施形態の電子機器はプリンターを例に説明したが、本発明のケーブルハーネス装置は、筐体内に複数の回路基板を有する電子機器、または回路基板を有する複数の電子機器において、それら基板間の差動信号の伝送に適用できる。従って、例えばスキャナー、プロジェクター、HMD(Head Mounted Display)などのウェアラブル端末、携帯電話、小型情報端末、ゲーム機、AV(Audio Visual)機器、撮影機器などにも、上記実施形態および変形例のケーブルハーネス装置を用いることが可能であり、同様の作用効果を得ることができる。
以上により、本変形例によれば上記実施形態での効果、即ち簡素、且つ安価な構成で、伝送する信号の波形品質を維持すると共に、不要輻射ノイズを低減する効果を備えた、多種多様な電子機器を提供することができる。
Claims (8)
- 第1の回路基板と、第2の回路基板と、前記第1の回路基板および前記第2の回路基板を電気的に接続する複数の導電ラインと、を含んだケーブルハーネス装置であって、
前記複数の導電ラインは、第1の信号ラインと第2の信号ラインとにより差動信号を伝送する差動信号ライン対を有し、
前記第1の回路基板上で差動信号ライン対をなす第1の配線パターンおよび第2の配線パターンは、前記第1の信号ラインおよび前記第2の信号ラインの一方の端部とそれぞれ電気的に接続し、
前記第1の配線パターンと前記第2の配線パターンとが、第1の抵抗体を介して電気的に接続され、
前記第2の回路基板上で差動信号ライン対をなす第3の配線パターンおよび第4の配線パターンは、前記第1の信号ラインおよび前記第2の信号ラインの他方の端部とそれぞれ電気的に接続し、
前記第3の配線パターンと前記第4の配線パターンとが、第2の抵抗体を介して電気的に接続され、
前記第1の抵抗体と前記第2の抵抗体とを並列接続したときの合成抵抗値を、前記第1の信号ラインおよび前記第2の信号ラインに差動信号を供給する、前記第1の回路基板上に実装され、前記第1の配線パターンおよび前記第2の配線パターンに差動信号を出力する電子デバイスの差動信号出力インピーダンス値の±20%以内に設定したことを特徴とする、ケーブルハーネス装置。 - 前記第1の回路基板と前記第2の回路基板との間における信号の送受信の関係が、前記第1の回路基板側が送信側であり、前記第2の回路基板側が受信側であって、
前記第2の抵抗体の抵抗値を、前記第1の信号ラインと前記第2の信号ラインとの間の差動伝送路インピーダンス値の±20%以内に設定したことを特徴とする、請求項1に記載のケーブルハーネス装置。 - 前記ケーブルハーネス装置におけるケーブルハーネス部材の長さが、前記ケーブルハーネス部材の長さに由来する、伝送する信号の伝達時間T、および、前記伝送する信号となる波形の電圧レベル状態の遷移時間tに関して、T>tとなる関係式を満たすことを特徴とする、請求項1または請求項2に記載のケーブルハーネス装置。
- 前記第1の回路基板と前記第2の回路基板とが、異なる電子機器にそれぞれ実装され、異なる電子機器間で信号の送受信を行うことを特徴とする、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のケーブルハーネス装置。
- 前記第1の回路基板と前記第2の回路基板とが、同一の電子機器内に実装され、前記電子機器内で信号の送受信を行うことを特徴とする、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のケーブルハーネス装置。
- 複数の前記差動信号ライン対を有することを特徴とする、請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のケーブルハーネス装置。
- 前記ケーブルハーネス部材が、テープ状で可撓性を有する絶縁材料上に、前記複数の導電ラインを前記ケーブルハーネス部材の長手方向に並列させることを特徴とする、請求項3または請求項3を引用する請求項4から請求項6のいずれか一項に記載のケーブルハーネス装置。
- 請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の、ケーブルハーネス装置を備えることを特徴とする電子機器。
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