JP6138422B2 - 信号伝送線路とその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、例えば1GHz以上のクロック周波数を用いて広帯域の高速ディジタルベースバンド信号を伝送する信号伝送線路とその製造方法に関する。
近年、通信バンド幅がますます拡大して広帯域化し、メタル配線上で見ると、例えば1GHz以上のクロック周波数伝送する手段として、差動信号で一方向伝送(往路は別線路)にすると共に、クロックスキューに関係のないパケット通信が主力になっている。この方式はプリント配線ボード内のLSI間でも同様であり、筐体内ボード間でも同様である。最近ではパッケージ・オン・パッケージ(PoP)でも同様である。
例えば、特許文献1では、テーパー部分での高周波信号の反射を低減し、特性インピーダンスを一定に保持することが可能な伝送線路を実現するために、線路の幅がテーパー状に変化する伝送線路において、中央導体と、この中央導体の両端にギャップを介して形成された2つのグランドを備え、中央導体のテーパー部分の縁の形状を微分可能な曲線の形状とすることを特徴としている。
特開2003−163510号公報 特開2006−038803号公報 特開2006−071462号公報
Howard Johnson et al., "High-speed Signal Propagation, Advanced Black Magic", Prentice Hall, pp.41-43, 2003.
しかしながら、この配線長が100mmを超えるとクロック周波数で1.5GHz(バンド幅で3Gbps/ピン)以上では信号劣化が激しく、アイパターンの目が潰れて、伝送することは困難を極めている。信号劣化を成形するリピータを置くなどの工夫が必要となるが、この工夫は価格高で、もっぱら各部品類を小型にし、配線長を短くすることで対応している。しかしシステム機能が拡大するとその通信能力の増大が求められ、クロック周波数の増大だけでなく、制限配線長の伸張も求められている。
また、上述の特許文献1では、テーパー部分での高周波信号の反射を低減し、特性インピーダンスを一定に保持することが可能な伝送線路を実現することができるが、非常に複雑な演算や方法を必要とするという問題点があった。なお、特許文献1では、伝送する信号のクロック周波数は考慮されていない。
本発明の目的は以上の問題点を解決し、例えば1GHz以上のクロック周波数を用いて広帯域高速信号を伝送可能な信号伝送線路であって、従来技術に比較して簡単な方法で、特性インピーダンスが入力側から見て一定になるような信号伝送線路とその製造方法を提供することにある。
第1の発明に係る信号伝送線路は、線路入力端と線路出力端との間で直流抵抗を有する少なくとも1対の線路導体を備え、線路入力端から線路出力端に向けて一方向で信号を伝送する信号伝送線路であって、
時間領域反射法を用いて線路入力端から線路出力端までの特性インピーダンスを実質的に一定になるように、
(1)上記各線路導体の線路幅を上記各線路導体の長さ方向で漸増的に広くし、
(2)上記各線路導体の厚さを上記各線路導体の長さ方向で漸増的に厚くし、もしくは、
(3)上記各線路導体間の誘電体の厚さを上記各線路導体の長さ方向で漸減的に薄くすることにより、上記各線路導体の直流抵抗のために線路入力側から見た特性インピーダンスが増大することを防止することを特徴とする。
上記信号伝送線路において、上記信号伝送線路は、マイクロストリップ線路、スタックトペア線路、プレーナペア線路、プレーナペア線路、ストリップ線路、又はコプレーナ線路であることを特徴とする。
また、上記信号伝送線路において、上記信号伝送線路は、同軸ケーブル又は円形対ケーブルを用いて形成されたことを特徴とする。
さらに、上記信号伝送線路において、上記信号伝送線路の線路導体は、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、銅合金、金、銀、ニッケル、ニッケル合金、又は例えばITOなどの透明電極であることを特徴とする。
またさらに、上記信号伝送線路において、上記信号伝送線路の線路導体は、印刷又はインジェクションによって形成される金属分散等方性導電ペースト、銀又は銅及び銅合金金属粉末分散エポキシペースト又はカーボン、カーボンナノチューブ粉末分散有機物ペースト、印刷又はインジェクションで線路導体形成加工後樹脂を硬化した線路導体の配線であることを特徴とする。ここに記載された線路導体は一般に抵抗が高く、本発明が特に有効に作用する分野である。
また、上記信号伝送線路において、上記信号伝送線路は、半導体チップ、Siあるいはセラミックあるいは有機インターポーザ、半導体パッケージ、プリント配線基板、透明電極基板、又はフラットケーブルに設けられたことを特徴とする。
さらに、上記信号伝送線路において、上記信号伝送線路は、1Gbps以上の高速ディジタルベースバンド信号を伝送するために用いることを特徴とする。
第2の発明に係る信号伝送線路の製造方法は、線路入力端と線路出力端との間で直流抵抗を有する少なくとも1対の線路導体を備え、線路入力端から線路出力端に向けて一方向で信号を伝送する信号伝送線路の製造方法であって、
時間領域反射法を用いて線路入力端から線路出力端までの特性インピーダンスを実質的に一定になるように、
(1)上記各線路導体の線路幅を上記各線路導体の長さ方向で漸増的に広くし、
(2)上記各線路導体の厚さを上記各線路導体の長さ方向で漸増的に厚くし、もしくは、
(3)上記各線路導体間の誘電体の厚さを上記各線路導体の長さ方向で漸減的に薄くするステップを含み、
これにより、上記各線路導体の直流抵抗のために線路入力側から見た特性インピーダンスが増大することを防止することを特徴とする。
従って、本発明に係る信号伝送線路とその製造方法によれば、時間領域反射法を用いて線路入力端から線路出力端までの特性インピーダンスを実質的に一定になるように、
(1)上記各線路導体の線路幅を上記各線路導体の長さ方向で漸増的に広くし、
(2)上記各線路導体の厚さを上記各線路導体の長さ方向で漸増的に厚くし、もしくは、
(3)上記各線路導体間の誘電体の厚さを上記各線路導体の長さ方向で漸減的に薄くすることにより、上記各線路導体の直流抵抗のために線路入力側から見た特性インピーダンスが増大することを防止する。それ故、従来技術に比較して簡単な方法で、特性インピーダンスが入力側から見て一定になるような信号伝送線路を提供することができ、反射損失を大幅に低減でき、例えば1GHz以上のクロック周波数を用いて広帯域高速信号を伝送することができる。
(a)は一般的なプレーナペア線路の構造を示す一部透視斜視図であり、(b)は両端線路をコモンモードで伝送する一般的なコプレーナ線路の構造を示す一部透視斜視図であり、(c)は一般的なマイクロストリップ線路の構造を示す一部透視斜視図である。 (a)は一般的なスタックトペア線路の構造を示す一部透視斜視図であり、(b)は上下線路をコモンモードで伝送する一般的なガードスタックトペア線路の構造を示す一部透視斜視図であり、(c)は上下線路をコモンモードで伝送する一般的なストリップ線路の構造を示す一部透視斜視図である。 線路直流抵抗Rを考慮した信号伝送線路のラダーモデルの回路図である。 特性インピーダンスが不整合であり信号反射が発生する信号伝送線路モデルのブロック図である。 図4の信号伝送線路モデルにおける多重反射波の状態を示す図である。 本発明の実施形態に係るTDR(Time Domain Reflection)法を用いたTDR測定装置100を用いた特性インピーダンスの測定回路を示すブロック図である。 図6AのTDR測定装置100を用いて特性インピーダンスを測定した実施形態に係るスタックトペア線路(低抵抗配線)の断面図である。 図6AのTDR測定装置100を用いて特性インピーダンスを測定した比較例に係るスタックトペア線路(高抵抗配線)の断面図である。 図6Bのスタックトペア線路を図6AのTDR装置100を用いて特性インピーダンスを測定した測定結果を示す図である。 図6Cのスタックトペア線路を図6AのTDR装置100を用いて特性インピーダンスを測定した測定結果を示す図である。 図6Bのスタックトペア線路(低抵抗配線)における8Gbps及び10Gbpsのランダムパルスのアイパターン出力波形、並びに図6Cのスタックトペア線路(高抵抗配線)における8Gbpsのランダムパルスのアイパターン出力波形を示す図である。 実施例1に係る高抵抗プレーナペア線路(平行線路)のシミュレーションモデルを示す一部透視斜視図である。 図9のプレーナペア線路のTDRシミュレーション結果を示す図である。 図9のプレーナペア線路において線路間隔を線路終端に向かって狭めたとき(不平行線路)の信号伝送線路モデルを示す平面図である。 図11のプレーナペア線路の比較例に係るTDRシミュレーション特性を示すグラフである。 図11のプレーナペア線路の実施例に係るTDRシミュレーション特性を示すグラフである。 実施例2に係る150mmの平行線路及び不平行線路のプレーナペア線路の通過係数S21の周波数特性を示すグラフである。 実施例2に係る150mmの平行線路及び不平行線路のプレーナペア線路のTDRシミュレーション特性を示すグラフである。 実施例2に係る150mmの平行線路のプレーナペア線路における20Gbpsのランダムパルスのアイパターン出力波形を示す図である。 実施例2に係る150mmの不平行線路のプレーナペア線路における20Gbpsのランダムパルスのアイパターン出力波形を示す図である。 実施例3に係る同一線路間隔で線路幅を終端に向かって広げ又は狭めたプレーナペア線路のTDRシミュレーション特性の第1の例を示すグラフである。 実施例3に係る同一線路間隔で線路幅を終端に向かって広げ又は狭めたプレーナペア線路のTDRシミュレーション特性の第2の例を示すグラフである。 本発明の実施形態に係るプレーナペア線路における特性インピーダンスの調整方法を示す一部透過斜視図である。 本発明の第1の変形例に係る両端線路をコモンモードで伝送するコプレーナ線路における特性インピーダンスの調整方法を示す一部透過斜視図である。 本発明の第2の変形例に係るマイクロストリップ線路における特性インピーダンスの調整方法を示す一部透過斜視図である。 本発明の第3の変形例に係るスタックトペア線路における特性インピーダンスの調整方法を示す一部透過斜視図である。 本発明の第4の変形例に係るガードスタックトペア線路における特性インピーダンスの調整方法を示す一部透過斜視図である。 本発明の第5の変形例に係る上下線路をコモンモードで伝送するストリップ線路における特性インピーダンスの調整方法を示す一部透過斜視図である。
以下、本発明に係る実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下の各実施形態において、同様の構成要素については同一の符号を付している。
本発明の要点.
本発明は、目標として400mm配線長さで10Gbps/ピン、100mm配線長で20Gbps/ピンを目指し、それを達成する手段を提供するものである。本発明者らは、一方向、差動伝送線路の信号減衰原因は、線路直流抵抗に原因する線路特性インピーダンスの漸増による信号の微分的多重反射であることを突き止め、少なくとも1線路の線路幅を徐々に拡大する、あるいは差動線路間隔を徐々に狭めることで特性インピーダンスが入力側から見て一定になるように、図6AのTDR測定装置100を用いて、公知の時間領域反射測定法(以下、TDR(Time Domain Reflection)法という。例えば、特許文献2及び3参照)により特性インピーダンスを測定しながら構造的工夫を加えた線路構造を提供するものである。この線路構造を保持することができれば長さの制限がなく、100m以上のケーブルでも適用できる。
実施形態.
本発明の実施形態に係る信号伝送線路は、少なくとも1対の線路導体を備え、線路入力端(線路始端)から線路出力端(線路終端)に向けて一方向で信号を伝送する信号伝送線路であって、TDR法によりTDR測定装置100を用いて線路入力端(線路始端)から線路出力端(線路終端)までの特性インピーダンスを実質的に一定になるように、
(1)上記各線路導体の線路幅を上記各線路導体の長さ方向で漸増的に広くし、
(2)上記各線路導体の厚さを上記各線路導体の長さ方向で漸増的に厚くし、もしくは、
(3)上記各線路導体間の誘電体の厚さを上記各線路導体の長さ方向で漸減的に薄くすることにより、上記各線路導体が持つ直流抵抗のために線路入力側から見た特性インピーダンスが増大することを防止することを特徴としている。
信号伝送線路とは差動伝送信号を伝送可能な、例えば1対のペア線路で、信号(電磁波)伝送方向に直角な断面構造が長さに対して変化しない構造にあるとき、その特性インピーダンスが一定であるものを規定している。実用上、折れ曲がり部を設けて線路引き回しの自由度を保有している。この代表的な線路の構造を示すと図1(a)〜図2(c)のようになる。この例は均質な絶縁材料(例えば誘電体基板又は誘電体層40)の中、すなわち上記の内層に相当するが、上部配線が絶縁板から露出していても適用可能で、それを表層配線と名づけている。
図1(a)は一般的なプレーナペア線路の構造を示す一部透視斜視図である。図1(a)において、当該プレーナペア線路は、誘電体層40内において、導体間隔sの1対のストリップ導体(線路導体)11,12により構成されたペア線路LP1と、導体間隔sの1対のストリップ導体(線路導体)13,14により構成されたペア線路LP2とが同一平面上で互いに線路間隔2sで離隔して形成されて構成される。
図1(b)は両端線路をコモンモードで伝送する一般的なコプレーナ線路の構造を示す一部透視斜視図である。図1(b)において、当該コプレーナ線路は、誘電体層40内において、1本のストリップ導体(線路導体)11を1対のストリップ接地導体15,16で挟設されてなる第1のコプレーナ線路LC1と、1本のストリップ導体(線路導体)12を1対のストリップ接地導体17,18で挟設されてなる第2のコプレーナ線路LC2とが同一平面上で互いに線路間隔sで離隔して形成されて構成される。
図1(c)は一般的なマイクロストリップ線路の構造を示す一部透視斜視図である。図1(c)において、当該マイクロストリップ線路は、誘電体層40内において、接地導体19上であってかつ接地導体19から所定の間隔sだけ離隔して、2本のストリップ導体11,12が互いに導体間隔2sだけ離隔して同一平面上で形成されて構成される。
図2(a)は一般的なスタックトペア線路の構造を示す一部透視斜視図である。図28a)において、当該スタックトペア線路は、誘電体層40内において、上下方向の導体間隔sの1対のストリップ導体(線路導体)11,21により構成されたペア線路LP3と、上下方向の導体間隔sの1対のストリップ導体(線路導体)12,22により構成されたペア線路LP4とが互いに線路間隔2sで離隔して形成されて構成される。
図2(b)は上下線路をコモンモードで伝送する一般的なガードスタックトペア線路の構造を示す一部透視斜視図である。図2(b)において、当該ガードスタックトペア線路は、誘電体層40内において、誘電体層40内において、1本のストリップ導体(線路導体)11を上下方向で1対のストリップ接地導体15,16で挟設されてなる第1のコプレーナ線路LC3と、1本のストリップ導体(線路導体)12を上限方向で1対のストリップ接地導体17,18で挟設されてなる第2のコプレーナ線路LC4とが互いに線路間隔sで離隔して形成されて構成される。
図2(c)は上下線路をコモンモードで伝送する一般的なストリップ線路の構造を示す一部透視斜視図である。図2(c)において、当該ストリップ線路は、誘電体層40内において、互いに導体間隔2sで離隔された1対のストリップ導体11,12が上下から1対の接地導体19a,19bにより挟設されて構成される。
以上説明した図1(a)〜図2(c)の信号伝送線路は、はすべて1対の線路となっていて、1対の線路間の距離sに対して他対の線路間はそれぞれの伝送線路で各図に示された間隔s又は2sの距離以上離すことが、クロストークを防止するために必要な好ましい値とされている。
図3は線路直流抵抗Rを考慮した信号伝送線路のラダーモデルの回路図である。上述の信号伝送線路の電気回路としての表示は図3のようなLCRGのラダーモデルで代表して表すことができる。このように塊のモデル(lumped model)として表現すると、共振周波数を持つが、信号伝送線路は共振周波数を持たない。従って、この解釈は無限に小さく細分化して、インダクタンスL、キャパシタンスC、抵抗R及びコンダクタンスGが同じ場所に同時に存在するというモデルが正しく、表現上ラダー回路となっている。すなわち、単位長さ当たりのインダクタンスL、キャパシタンスC、抵抗R及びコンダクタンスGはそれぞれ一定であることから、これらをそれぞれL、C、R、Gと表現する。これを用いて特性インピーダンスZを表現すると、次式で表される。
Figure 0006138422
式(1)から明らかなように、特性インピーダンスZは実数部分と虚数部分に分かれる。しかしながら、単位はΩであり、長さに関係なく、水のパイプの間口のコンダクタンスの逆数に相当するイメージを持つ。この特性インピーダンスZは、周波数変化と長さによる変化要因を持つ。いま、コンダクタンスGは無視できるため、それを非特許文献1に開示された数学的近似式であらわすと、次式で表される。
Figure 0006138422
抵抗Rの周波数依存が表皮効果であり、表皮厚みδとすると、交流抵抗RACは次式で表される。
Figure 0006138422
ここでσは導電率、pは断面の有効表面長さ、kはカップリング強さ、kは表面粗度に関与する定数である。以上の式では長さ方向の要素xが考慮されていないため、それを配慮すると次式で表される。
Figure 0006138422
抵抗Rの長さの依存による抵抗Rは、本発明者らの新しく導いた原理である。すなわち、単純に考えて、次式で表される。
Figure 0006138422
交流抵抗RACと、長さに依存する抵抗Rは単純に合成できないが、特性インピーダンスZは長さに対して変化するという概念は信号伝送に対して非常に重要で次のような問題を提起する。いま、仮に特性インピーダンスZの周波数依存を無視し、実数のみと仮定すると、x点から見たx+dxの特性インピーダンスは次式で表される。
Figure 0006138422
入力側から信号伝送線路を見たときの特性インピーダンスZ0in(x)は距離により変化することとなる。すなわち、次式で表される。
Figure 0006138422
図4は特性インピーダンスが不整合であり信号反射が発生する信号伝送線路モデルのブロック図である。図4において、特性インピーダンスの不連続部分の影響は、図4のように50Ωの信号伝送線路L1,L3の途中にZΩの信号伝送線路L2が挿入されると、特性インピーダンスの不整合部分で信号エネルギーは反射する。信号伝送線路L2の両端(信号伝送線路L1,L3との接続点)において反射を繰り返して、信号伝送線路L1から信号伝送線路L3へとすべてが伝送される。以下、これについて説明する。
上記の仮定であるとすれば、信号伝送線路L2から信号伝送線路L1へ反射をすべて合算するならば、零とならなくては、エネルギー的に矛盾が生じる。そこで、信号伝送線路L2から信号伝送線路L1へ戻る電流を合算すればゼロになることを確認する。
(1)50Ωの信号伝送線路L1からZΩの信号伝送線路L2への反射係数Γは次式で表される。
Γ=(Z−50)/(Z+50) (8)
(2)ZΩの信号伝送線路L2から50Ωの信号伝送線路L1への反射係数Γ’は次式で表される。
Γ’=(50−Z)/(50+Z)=−Γ (9)
従って、初期電圧Vが信号伝送線路L2に行く電圧V12は次式で表される。
12=V(1+Γ) (10)
しかし、ここで、信号伝送線路L2を通る際の損失は無視する。そこで、信号伝送線路L2側から信号伝送線路L3側まで行き反射して帰る分の電圧V321は次式で表される。
321=−ΓV(1+Γ) (11)
そして、信号伝送線路L1の端面まで戻ってきて、信号伝送線路L1に通過して行く電圧(V121)は次式で表される。
AB1=−ΓV(1+Γ)(1+(−Γ))=−ΓV(1−Γ) (12)
再度、信号伝送線路L3方向へ反射してゆく電圧V211は次式で表される。
211=−ΓV(1+Γ)x(−Γ)=ΓV(1+Γ) (13)
以上のように反射を何段も繰り返す様子を図5に示す。図5は図4の信号伝送線路モデルにおける多重反射波の状態を示す図である。
上記信号伝送線路L2に入ってから信号伝送線路L1へ戻ってくる電圧の合計S(Snでn→∞)は次式で表される。

=−ΓV(1−Γ)−ΓV(1−Γ)−ΓV(1−Γ)−ΓV(1−Γ)−…
=−ΓV(1−Γ)(1+Γ+Γ+Γ+Γ+Γ10+…)
=−ΓV(1−Γ)/(1−Γ
=−ΓV (14)
そして、当初、信号伝送線路L1から信号伝送線路L2の入口で反射されてしまっていた電圧ΓVを加えると、次式で表される。
ΓV−ΓV=0 (15)
重要な結論は、途中の信号伝送線路L2のインピーダンス不整合が起こっても、エネルギーは時間が経てば(反射を繰り返すことによる時間経過)すべて通過することになる。しかし、繰り返し反射の過渡期の現象が波形の乱れを伴い、時間遅れで送信される。波形がなまるという現象が起こる。
以上の現象により、信号伝送線路の入力端から見た特性インピーダンスZ0in(x)が距離と共に累積で大きくなるということは、微分的に微小な多重反射を繰り返していることになる。小さな直流抵抗であってもこの現象による波形なまりが大きく、高速信号伝送の妨げになっていることを従来は知られていない。本発明はここに注目したものである。
図6Aは本発明の実施形態に係るTDR(Time Domain Reflection)法を用いたTDR測定装置100を用いた特性インピーダンスの測定回路を示すブロック図である。また、図6Bは図6AのTDR測定装置100を用いて特性インピーダンスを測定した実施形態に係るスタックトペア線路(低抵抗配線)の断面図である。さらに、図6Cは図6AのTDR測定装置100を用いて特性インピーダンスを測定した比較例に係るスタックトペア線路(高抵抗配線)の断面図である。本実施形態では、直流抵抗の大きな配線を小さな配線と比較して、どの程度特性インピーダンスが異なるか、伝送特性が異なるかを比較した。配線長さはどちらも60mmである。
実施形態に係る図6Bのスタックトペア線路(低抵抗配線)において、誘電体基板30上であって誘電体層32〜35中において、1対のペア線路を構成するストリップ導体11,21と、1対のペア線路を構成するストリップ導体12,22が形成されている。ここで、ストリップ導体11,12の線路幅w1は0.44mmであり、ストリップ導体21,22の線路幅w2は0.37mmである。なお、誘電体基板30及び誘電体層32〜35の各厚さを図6Bに図示する。
また、比較例に係る図6Cのスタックトペア線路(高抵抗配線)において、誘電体基板30上であって誘電体層31〜35中において、1対のペア線路を構成するストリップ導体11,21と、1対のペア線路を構成するストリップ導体12,22が形成されている。ここで、ストリップ導体11,12の線路幅w1は33μmであり、ストリップ導体21,22の線路幅w2は25μmである。なお、誘電体基板30及び誘電体層31〜35の各厚さを図6Cに図示する。
そして、図6Aに図示するように、ストリップ導体11及びストリップ導体21(接地側)をTDR測定装置100に接続してTDR法により線路始端から線路終端までの特性インピーダンスを測定した。図6Bのスタックトペア線路(低抵抗配線)では、特性インピーダンスの最低値は50.2Ωであり、その最高値は52.3Ωであった。また、図6Cのスタックトペア線路(高抵抗配線)では、特性インピーダンスの最低値は39.1Ωであり、その最高値は70.5Ωであった。
図7Aは図6Bのスタックトペア線路を図6AのTDR装置100を用いて特性インピーダンスを測定した測定結果を示す図である。また、図7Bは図6Cのスタックトペア線路を図6AのTDR装置100を用いて特性インピーダンスを測定した測定結果を示す図である。図7A及び図7Bから明らかなように、どちらも出発点はZ=50Ωにもかかわらず、線路終端では直流抵抗の低いスタックトペア線路は52.3Ω、抵抗の高いスタックトペア線路は70.5Ωとなって、徐々に特性インピーダンスが上昇している。非特許文献1において開示された式(3)ではこのような配慮が無い。ここで導入した式(7)の正しさがこのデータで証明されたことになる。
図8は図6Bのスタックトペア線路(低抵抗配線)における8Gbps及び10Gbpsのランダムパルスのアイパターン出力波形、並びに図6Cのスタックトペア線路(高抵抗配線)における8Gbpsのランダムパルスのアイパターン出力波形を示す図である。すなわち、図8では、信号伝送能力の指標としてよく用いられているランダムパルス入力時の出力アイパターンを示している。図8の左側のアイパターン出力波形では、スタックトペア線路(高抵抗配線)は8Gbpsの伝送能力を有するのに対して、図8の右側のアイパターン出力波形では、スタックトペア線路(低抵抗配線)は10Gbpsまで伸びていることがわかる。
半導体集積回路装置の微細化に伴い微再配線を余儀なくされ、悪い伝送特性になることから、高速性能が作れない欠点が出てきて、これが大きな問題となる。本発明は、高抵抗配線であっても、低抵抗配線と同様な構造にする提案であり、材料系は全く変更なしに構造寸法を変更するだけのコストの高くならない方法を提供するものである。
上述したようにGHz帯域の伝送方式は、一方向伝送(往路は別線路)にすると共に、クロックスキューに関係のないパケット通信が主力になっていることから、入力端と出力端は固定されているため、本発明はこの一方向伝送方式により始めて実現できるものであり、従来考えられていなかった、新規な線路構造である。
本発明の基本原理は距離の関数となっている式(7)を、見かけ上距離に無関係に一定にするようにリアクタンス成分(L及びC)を調整をすることで達成できる。具体的な一例は、図6Cの33μm線幅のTDRプロファイルを、図6Bの0.44mm線幅のようにTDRプロファイルを再現するように調整することで達成できる。すなわち、TDR法を用いてTDR測定装置100を用いて、線路始端から線路終端までの特性インピーダンスが一定になるように、線路の線幅を調整することで達成することができる。
本発明者らは一つの例題をシミュレーションした。図1(a)のプレーナペア線路で抵抗を大きくするため、銅配線の100倍の抵抗率を持つ架空の材料としている。
図9は実施例1に係る高抵抗プレーナペア線路(平行線路)のシミュレーションモデルを示す一部透視斜視図である。また、図10は図9のプレーナペア線路(平行線路)のTDRシミュレーション結果を示す図である。図9において、誘電体基板30上にプレーナペア線路の1対のストリップ導体11,12を形成し、その上に誘電体層32を形成した。当該シミュレーションの仕様値は以下の表1の通りである。
[表1]
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
(1)導体金属は銅の導電率の1/100である。
(2)線路長さ=50mm
(3)線路導体幅=1mm
(4)線路導体間隔=0.4mm
(5)線路導体厚さ=50μm
(6)誘電体基板の材料=FR4(εr=4.4,tanδ=0.02)
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
なお、FR4は、Flame Retardant Type 4の略で、ガラス繊維の布にエポキシ樹脂をしみ込ませ熱硬化処理を施し板状にしたもので、難燃性と低導電率を両立した素材である。このFR4の板を基材として、これに銅箔を貼り付けたものが「ガラスエポキシ基板」であってプリント基板の材料として多用されている。
図10から明らかなように、図7Bの33μm線幅の線路の実測のように距離(電磁波伝送時間経過)と共に特性インピーダンスZ0in(x)が増大している。これを一定にするため、本発明者らは線路間隔0.4mmを変化させたものを2種類のシミュレーションを行った。
図11は図9のプレーナペア線路において線路間隔を線路終端に向かって狭めたとき(不平行線路)の信号伝送線路モデルを示す平面図であり、図11において、誘電体層32の図示を省略している。また、図12Aは図11のプレーナペア線路の比較例に係るTDRシミュレーション特性を示すグラフである。さらに、図12Bは図11のプレーナペア線路の実施例に係るTDRシミュレーション特性を示すグラフである。図11において、誘電体基板30上のストリップ導体11,12(線路幅w1は同一)の間隔を線路終端にs1からs2に狭めて不平行線路を構成し、以下の2種類のシミュレーションを行った。
(1)比較例に係る図12Aのシミュレーションにおいて、s1=0.4mm、s2=0.22mmである。
(2)実施例に係る図12Bのシミュレーションにおいて、s1=0.4mm、s2=0.31mmである。
図12A及び図12Bにおいて、入力側から見た特性インピーダンスZ0in(x)及び出力側から見た特性インピーダンスZ0in(x)を重ねて図示されている。図12Aのシミュレーション結果は調整のしすぎであり、この半分の角度調整で行った図12Bのシミュレーション結果は入力側から見た特性インピーダンスZ0in(x)は距離によらず一定となり、出力側から見ると特性インピーダンスZ0in(x)が増大している異方性線路となっている。基板配線上でこのような寸法制御は設計マスク上で実現すればよいわけで、プロセス上の工夫は全く不要であり、これで高周波対応ができるため、非常に有効な発見であるといえる。
次いで、本発明者らは、実施例2に係る20Gbps動作確認用基板を用いてシミュレーションを行った。当該シミュレーションでは、100Ωプレーナペア線路の線路間隔を調整して特性インピーダンスを線路始端から線路終端まで一定となるように整合させた。なお、線路導体として、35μmの線路幅を採用し、150mmの線路導体の直流抵抗は2.11Ωであった。また、調整前の線路間隔は88μmであり、調整後の線路間隔は線路始端で88μmで線路終端で80μmであった。さらに、調整前の特性インピーダンスは100Ωで、調整後の特性インピーダンスは線路始端で100Ωで線路終端で95.8Ωであった。
図13は実施例2に係る150mmの平行線路及び不平行線路のプレーナペア線路の通過係数S21の周波数特性を示すグラフである。図13から明らかなように、不平行線路の通過係数S21(132)は、平行線路の通過係数S21(131)に比較して、20GHzにおいて1dB程度の若干損失が増大していることがわかる。
図14は実施例2に係る150mmの平行線路及び不平行線路のプレーナペア線路のTDRシミュレーション特性を示すグラフである。図14から明らかなように、不平行線路のTDRの特性インピーダンス(142)は、平行線路のTDRの特性インピーダンス(141)に比較して平坦となって整合がとれており、ほぼ予想平均値(142A)に沿って調整できていることがわかる。
図15Aは実施例2に係る150mmの平行線路のプレーナペア線路における20Gbpsのランダムパルスのアイパターン出力波形を示す図である。また、図15Bは実施例2に係る150mmの不平行線路のプレーナペア線路における20Gbpsのランダムパルスのアイパターン出力波形を示す図である。図15A及び図15Bから明らかなように、図15Bの不平行線路は、図15Aの平行線路に比較して、アイパターンの開口部が大きくなっており、信号伝送を良好に行うことができることを示している。
なお、実施例2において、本発明者らは、上述と同様に300mmの平行線路及び不平行線路のプレーナペア線路についてシミュレーションを行った。TDRシミュレーション結果では、線路の4箇所の折り曲げ部でインピーダンス不整合が発生しているほかは、インピーダンス整合を行うことはでき、20Gbpsの高速信号の伝送に成功した。なお、線路導体として、35μmの線路幅を採用し、300mmの線路導体の直流抵抗は4.22Ωであった。また、調整前の線路間隔は88μmであり、調整後の線路間隔は線路始端で88μmで線路終端で74μmであった。さらに、調整前の特性インピーダンスは100Ωで、調整後の特性インピーダンスは線路始端で100Ωで線路終端で91.6Ωであった。
さらに、本発明者らは、実施例3に係る1対のプレーナペア線路において、線路間隔は同じであるが、線路幅を線路始端から線路終端に向けて大きくすることで、特性インピーダンスを線路始端から線路終端まで一定となるように整合させた。なお、シミュレーションでは、線路長さ方向を所定の間隔で32分割して行った。
図16Aは実施例3に係る同一線路間隔で線路幅を終端に向かって広げ又は狭めたプレーナペア線路のTDRシミュレーション特性の第1の例を示すグラフである。また、図16Bは実施例3に係る同一線路間隔で線路幅を終端に向かって広げ又は狭めたプレーナペア線路のTDRシミュレーション特性の第2の例を示すグラフである。各例の仕様値は、以下の表2及び表3の通りである。
[表2]
図16Aの第1の例
――――――――――――――――――――
Cu配線(58000000S/m)
線路間隔:50μm
線路長:50mm
(1)線路幅を広げた場合
線路始端の線路幅:35μm
線路終端の線路幅:70μm
(2)線路幅を狭めた場合
線路始端の線路幅:70μm
線路終端の線路幅:35μm
――――――――――――――――――――
[表3]
図16Bの第2の例
――――――――――――――――――――
はんだ配線(7000000S/m)
線路間隔:50μm
線路長:50mm
(1)線路幅を広げた場合
線路始端の線路幅:35μm
線路終端の線路幅:70μm
(2)線路幅を狭めた場合
線路始端の線路幅:70μm
線路終端の線路幅:35μm
――――――――――――――――――――
表2及び表3の比較から明らかなように、第1の例に係る線路導体のコンダクタンスが、第2の例に係る線路導体のコンダクタンスの約8倍となっている。
実施例3に係る第1の例において、図16Aの161は、線路始端から線路終端に向かって線路幅を広げた場合であって、特性インピーダンスは線路始端で111Ωであり、線路終端で110Ωである。また、図16Aの162は、線路始端から線路終端に向かって線路幅を狭めた場合であって、特性インピーダンスは線路始端で103Ωであり、線路終端で111Ωである。
実施例3に係る第2の例において、図16Bの163は、線路始端から線路終端に向かって線路幅を広げた場合であって、特性インピーダンスは線路始端で116Ωであり、線路終端で113Ωである。また、図16Bの164は、線路始端から線路終端に向かって線路幅を狭めた場合であって、特性インピーダンスは線路始端で107Ωであり、線路終端で120Ωである。
以上説明したように、プレーナペア線路において、線路始端から線路終端に向かって線路幅を広げ、もしくは狭めることにより、特性インピーダンスを調整することが可能であることを確認した。
実施形態及び変形例.
本発明の実施形態に係る基本原理から、図1及び図2のすべての伝送線路構造に対してその概念的信号伝送線路モデルを示すと、図17A〜図17Fのようになる。図17A〜図17Fにおいて、信号伝送線路の隣接対(2対)のうち1対を省略して1対のみ図示しているが、他方の線路も同様に調整を行う。
図17Aは本発明の実施形態に係るプレーナペア線路における特性インピーダンスの調整方法を示す一部透過斜視図である。図17Aにおいて、プレーナペア線路のペア線路LP1の1対のストリップ導体(線路導体)11,12の線路幅を線路始端から線路終端に向かって広くし、ストリップ導体(線路導体)11,12間の間隔をsからs−αにテーパー形状で狭めることで、TDR法によりTDR測定装置100を用いて線路始端から線路終端までの特性インピーダンスを実質的に一定になるように調整する。
図17Bは本発明の第1の変形例に係る両端線路をコモンモードで伝送するコプレーナ線路における特性インピーダンスの調整方法を示す一部透過斜視図である。図17Bにおいて、コプレーナ線路の各ストリップ導体11及びストリップ接地導体15,16のそれぞれの線路幅を線路始端から線路終端に向かって広くし、それらの隣接する線路間隔をsからs−αにテーパー形状で狭めることで、TDR法によりTDR測定装置100を用いて線路始端から線路終端までの特性インピーダンスを実質的に一定になるように調整する。
図17Cは本発明の第2の変形例に係るマイクロストリップ線路における特性インピーダンスの調整方法を示す一部透過斜視図である。図17Cにおいて、マイクロストリップ線路のストリップ導体11の線路幅を線路始端から線路終端に向かってwからw+αにテーパー形状で広くすることで、TDR法によりTDR測定装置100を用いて線路始端から線路終端までの特性インピーダンスを実質的に一定になるように調整する。
図17Dは本発明の第3の変形例に係るスタックトペア線路における特性インピーダンスの調整方法を示す一部透過斜視図である。図17Dにおいて、スタックトペア線路のペア線路LP3のストリップ導体11,21の線路幅を線路始端から線路終端に向かってwからw+αにテーパー形状で広くすることで、TDR法によりTDR測定装置100を用いて線路始端から線路終端までの特性インピーダンスを実質的に一定になるように調整する。
図17Eは本発明の第4の変形例に係るガードスタックトペア線路における特性インピーダンスの調整方法を示す一部透過斜視図である。図17Eにおいて、ガードスタックトペア線路のコプレーナ線路LC3のストリップ導体11,15,16の線路幅を線路始端から線路終端に向かってwからw+αにテーパー形状で広くすることで、TDR法によりTDR測定装置100を用いて線路始端から線路終端までの特性インピーダンスを実質的に一定になるように調整する。
図17Fは本発明の第5の変形例に係る上下線路をコモンモードで伝送するストリップ線路における特性インピーダンスの調整方法を示す一部透過斜視図である。図17Fにおいて、ストリップ線路のストリップ導体11の線路幅を線路始端から線路終端に向かってwからw+αにテーパー形状で広くすることで、TDR法によりTDR測定装置100を用いて線路始端から線路終端までの特性インピーダンスを実質的に一定になるように調整する。
以上の実施形態及び実施例において、TDR法を用いてTDR測定装置100を用いて線路入力端(線路始端)から線路出力端(線路終端)までの特性インピーダンスを実質的に一定になるように、
(1)上記各線路導体の線路幅を上記各線路導体の長さ方向で漸増的に広くし、もしくは
(2)上記各線路導体の厚さを上記各線路導体の長さ方向で漸増的に厚くすることにより、上記各線路導体が持つ直流抵抗のために線路入力側から見た特性インピーダンスが増大することを防止している。本発明はこれに限らず、TDR法を用いてTDR測定装置100を用いて線路入力端(線路始端)から線路出力端(線路終端)までの特性インピーダンスを実質的に一定になるように、
(3)上記各線路導体間の誘電体の厚さを上記各線路導体の長さ方向で漸減的に薄くすることにより、上記各線路導体が持つ直流抵抗のために線路入力側から見た特性インピーダンスが増大することを防止することができる。このことは、上記式(7)から、誘電体の厚さを薄くすれば、単位長さ当たりのキャパシタンスCが大きくなることから明らかである。
すなわち、プレーナペア線路とコプレーナ線路においては、対間線路の誘電体層の厚みを線路始端から線路終端に向けて減じる方向であり、必要に応じて線路幅の線路終端に向けて漸増することも併用できる。その他の線路構造では線路幅を線路終端に向けて増大することで、特性インピーダンスを調整でき、線路始端から線路終端までの間で特性インピーダンスを実質的に一定にすることができる。
線路導体の材料と線路断面積で直流抵抗は決まるため、その設定は例えば2.5次元電磁界シミュレータを用いて求める必要があるが、線路始端から見た整合条件を求めて、配線設計に反映するだけでよい。
同軸ケーブルあるいは対ケーブルにおいて線径を受信端側に向けて線路始端から見た特性インピーダンス漸増させるか線間の絶縁物厚みを漸減させる方法は製造上難しいが、実現する方法はある。例えば、より線であればより線の本数を少しずつ増やすという手段がある。あるいは被覆線の被覆工程の治具温度を徐々に上昇させながら被覆することで、被覆厚みを漸減させる方法などがある。その後厚みの漸減する単線を対にしてツイストすれば達成できる。
以上の実施形態、実施例及び変形例において、線路導体の材料は金属であり、例えばアルミニウム、アルミニウム合金、銅、銅合金、金、銀、ニッケル、ニッケル合金、又は例えばITOなどの透明電極である。
以上の実施形態、実施例及び変形例において、線路導体は、例えば印刷又はインジェクションによって形成される金属分散等方性導電ペーストである。また、線路導体は、例えば銀又は銅及び銅合金金属粉末分散エポキシペースト、カーボンあるいはカーボンナノチューブ粉末分散有機物ペーストである。さらに、線路導体は、印刷又はインジェクションで線路導体形成加工後樹脂を硬化した線路導体の配線である。ここに記載された線路導体は一般に抵抗が高く、本発明が特に有効に作用する分野である。
以上の実施形態、実施例及び変形例において、本発明の実施形態に係る信号伝送線路が適用される場所は、一方向で信号伝送する伝送線路を目的としたものであればその場所を問わない。例えば半導体チップ、Siあるいはセラミックあるいは有機インターポーザ、半導体パッケージ、プリント配線基板、透明電極基板(透明電極板上の配線)、又はフラットケーブルに設けて適用することができる。
以上の実施形態、実施例及び変形例において、信号伝送線路の線路として、同軸又は円形対ケーブルを用いて形成してもよい。線路始端から見た特性インピーダンスが一定になるようワイヤ径を線路終端側に向けて漸増させるか、対ケーブル絶縁厚みを漸減させるか、あるいはその両方を採用することで、線路始端から線路終端に向かって特性インピーダンスが一定になるように調整することができる。
以上の実施形態、実施例及び変形例において、本発明の実施形態に係る信号伝送線路は、例えば1Gbps以上の広帯域の高速ディジタルベースバンド信号を伝送するために用いることができる。
以上詳述したように、本発明に係る信号伝送線路とその製造方法によれば、時間領域反射法を用いて線路入力端から線路出力端までの特性インピーダンスを実質的に一定になるように、
(1)上記各線路導体の線路幅を上記各線路導体の長さ方向で漸増的に広くし、
(2)上記各線路導体の厚さを上記各線路導体の長さ方向で漸増的に厚くし、もしくは、
(3)上記各線路導体間の誘電体の厚さを上記各線路導体の長さ方向で漸減的に薄くすることにより、上記各線路導体の直流抵抗のために線路入力側から見た特性インピーダンスが増大することを防止する。それ故、従来技術に比較して簡単な方法で、特性インピーダンスが入力側から見て一定になるような信号伝送線路を提供することができ、反射損失を大幅に低減でき、例えば1GHz以上のクロック周波数を用いて広帯域高速信号を伝送することができる。
本発明に係る信号伝送線路は、特に、例えば1Gbps以上の広帯域の高速ディジタルベースバンド信号を伝送するために有用である。
11〜14…ストリップ導体、
15〜18…ストリップ接地導体、
19,19a,19b…接地導体、
30…誘電体基板、
31〜35…誘電体層、
40…誘電体層、
100…TDR測定装置、
L1,L3…50Ωの信号伝送線路、
L2…ZΩの信号伝送線路、
LC1〜LC4…コプレーナ線路、
LP1〜LP4…ペア線路。

Claims (4)

  1. 線路入力端と線路出力端との間で直流抵抗を有する少なくとも1対の線路導体を備え、線路入力端から線路出力端に向けて一方向で、1Gbps以上の高速ディジタルベースバンド信号を伝送する信号伝送線路であって、
    上記信号伝送線路の線路導体は、
    (1)印刷又はインジェクションによって形成される金属分散等方性導電ペーストである線路導体と、
    (2)銀又は銅及び銅合金金属粉末分散エポキシペーストである線路導体と、
    (3)カーボン又はカーボンナノチューブにてなる粉末分散有機物のペーストである線路導体と、
    (4)印刷又はインジェクションで線路導体を樹脂上に形成した後、当該樹脂を硬化することで上記信号伝送線路を形成したときの当該線路導体と
    のいずれかであり、
    上記信号伝送線路は、
    時間領域反射法を用いて線路入力端から線路出力端までの信号伝送線路の特性インピーダンスを、線路入力端から測定し、上記測定された特性インピーダンスが実質的に一定になるように、
    上記各線路導体(11,15,16,21)の線路間隔(s)を同一にし、かつ
    上記各線路導体(11,15,16,21)の線路幅(w〜w+α)を、線路入力端から線路出力端への上記各線路導体の長さ方向で漸増的に広くすることにより、
    上記各線路導体(11,15,16,21)の線路幅(w)が同一である場合に比較して、
    反射損失を低減して上記高速ディジタルベースバンド信号を伝送させることを特徴とする信号伝送線路。
  2. 上記信号伝送線路はスタックトペア線路、又はガードスタックトペア線路であることを特徴とする請求項1記載の信号伝送線路。
  3. 上記信号伝送線路は、
    (1)半導体チップと、
    (2)Siインターポーザと、
    (3)セラミックインターポーザと、
    (4)有機インターポーザと、
    (5)半導体パッケージと、
    (6)プリント配線基板と、
    (7)透明電極基板と、
    (8)フラットケーブルと
    (9)上記樹脂と
    のいずれかに設けられ、
    上記信号伝送線路が上記各インターポーザ又は上記フラットケーブルに設けられるときは、上記各インターポーザ自体又は上記フラットケーブル自体の信号線として設けられたことを特徴とする請求項1又は2記載の信号伝送線路。
  4. 線路入力端と線路出力端との間で直流抵抗を有する少なくとも1対の線路導体を備え、線路入力端から線路出力端に向けて一方向で、1Gbps以上の高速ディジタルベースバンド信号を伝送する信号伝送線路の製造方法であって、
    上記信号伝送線路の線路導体は、
    (1)印刷又はインジェクションによって形成される金属分散等方性導電ペーストである線路導体と、
    (2)銀又は銅及び銅合金金属粉末分散エポキシペーストである線路導体と、
    (3)カーボン又はカーボンナノチューブにてなる粉末分散有機物のペーストである線路導体と、
    (4)印刷又はインジェクションで線路導体を樹脂上に形成した後、当該樹脂を硬化することで上記信号伝送線路を形成したときの当該線路導体と
    のいずれかであり、
    上記製造方法は、
    時間領域反射法を用いて線路入力端から線路出力端までの信号伝送線路の特性インピーダンスを、線路入力端から測定するステップと、
    上記測定された特性インピーダンスが実質的に一定になるように、
    上記各線路導体(11,15,16,21)の線路間隔(s)を同一にし、かつ
    上記各線路導体(11,15,16,21)の線路幅(w〜w+α)を、線路入力端から線路出力端への上記各線路導体の長さ方向で漸増的に広くするステップとを含み、
    これにより、
    上記各線路導体(11,15,16,21)の線路幅(w)が同一である場合に比較して、
    反射損失を低減して上記高速ディジタルベースバンド信号を伝送させることを特徴とする信号伝送線路の製造方法
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