以下、本実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。図1は、本発明の実施の形態に係る画像形成装置1の全体構成を概略的に示す図である。図2は、本実施の形態に係る画像形成装置1の制御系の主要部を示す。図1、2に示す画像形成装置1は、電子写真プロセス技術を利用した中間転写方式のカラー画像形成装置である。すなわち、画像形成装置1は、感光体ドラム413(本発明の「像担持体」に対応)上に形成されたY(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、K(ブラック)の各色トナー像を中間転写ベルト421に転写(一次転写)し、中間転写ベルト421上で4色のトナー像を重ね合わせた後、用紙Sに転写(二次転写)することにより、画像を形成する。
また、画像形成装置1には、YMCKの4色に対応する感光体ドラム413を中間転写ベルト421の走行方向に直列配置し、中間転写ベルト421に一回の手順で各色トナー像を順次転写させるタンデム方式が採用されている。
図2に示すように、画像形成装置1は、画像読取部10、操作表示部20,画像処理部30、画像形成部40(本発明の「調整部」に対応)、用紙搬送部50、定着部60および制御部100を備える。
制御部100は、CPU(Central Processing Unit)101、ROM(Read Only Memory)102、RAM(Random Access Memory)103等を備える。CPU101は、ROM102から処理内容に応じたプログラムを読み出してRAM103に展開し、展開したプログラムと協働して画像形成装置1の各ブロックの動作を集中制御する。このとき、記憶部72に格納されている各種データが参照される。記憶部72は、例えば不揮発性の半導体メモリ(いわゆるフラッシュメモリ)やハードディスクドライブで構成される。本実施の形態では、記憶部72は、画像形成部40により実行される印刷ジョブ(画像形成処理)に関する画像形成情報を記憶する。画像形成情報は、例えば印刷枚数および入力画像の印字率等の情報を含む。
制御部100は、通信部71を介して、LAN(Local Area Network)、WAN(WideArea Network)等の通信ネットワークに接続された外部の装置(例えばパーソナルコンピューター)との間で各種データの送受信を行う。制御部100は、例えば、外部の装置から送信された入力画像データを受信し、この入力画像データに基づいて用紙Sに画像を形成させる。通信部71は、例えばLANカード等の通信制御カードで構成される。
画像読取部10は、ADF(Auto Document Feeder)と称される自動原稿給紙装置11および原稿画像走査装置12(スキャナー)等を備えて構成される。
自動原稿給紙装置11は、原稿トレイに載置された原稿Dを搬送機構により搬送して原稿画像走査装置12へ送り出す。自動原稿給紙装置11により、原稿トレイに載置された多数枚の原稿Dの画像(両面を含む)を連続して一挙に読み取ることが可能となる。
原稿画像走査装置12は、自動原稿給紙装置11からコンタクトガラス上に搬送された原稿又はコンタクトガラス上に載置された原稿を光学的に走査し、原稿からの反射光をCCD(Charge Coupled Device)センサー12aの受光面上に結像させ、原稿画像を読み取る。画像読取部10は、原稿画像走査装置12による読取結果に基づいて入力画像データを生成する。この入力画像データには、画像処理部30において所定の画像処理が施される。
操作表示部20は、例えばタッチパネル付の液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)で構成され、表示部21及び操作部22として機能する。表示部21は、制御部100から入力される表示制御信号に従って、各種操作画面、画像の状態、各機能の動作状況等の表示を行う。操作部22は、テンキー、スタートキー等の各種操作キーを備え、ユーザーによる各種入力操作を受け付けて、操作信号を制御部100に出力する。
画像処理部30は、入力画像データに対して、初期設定またはユーザー設定に応じたデジタル画像処理を行う回路等を備える。例えば、画像処理部30は、制御部100の制御下で、階調補正データ(階調補正テーブル)に基づいて階調補正を行う。また、画像処理部30は、入力画像データに対して、階調補正の他、色補正、シェーディング補正等の各種補正処理や、圧縮処理等を施す。これらの処理が施された画像データに基づいて、画像形成部40が制御される。
画像形成部40は、入力画像データに基づいて、Y成分、M成分、C成分、K成分の各有色トナーによる画像を形成するための画像形成ユニット41Y、41M、41C、41K、中間転写ユニット42等を備える。
Y成分、M成分、C成分、K成分用の画像形成ユニット41Y、41M、41C、41Kは、同様の構成を有する。図示および説明の便宜上、共通する構成要素は同一の符号で示し、それぞれを区別する場合には符号にY、M、C、またはKを添えて示すこととする。図1では、Y成分用の画像形成ユニット41Yの構成要素についてのみ符号が付され、その他の画像形成ユニット41M、41C、41Kの構成要素については符号が省略されている。
画像形成ユニット41は、露光装置411、現像装置412(本発明の「滑剤収容部」に対応)、感光体ドラム413、帯電装置414、ドラムクリーニング装置415および荷電量調整部416等を備える。
感光体ドラム413は、例えばドラム状の金属基体の外周面に、有機光導電体を含有させた樹脂よりなる感光層が形成された有機感光体よりなる。感光層を構成する樹脂として、例えばポリカーボネート樹脂、シリコーン樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン受信、塩化ビニル樹脂、メラミン樹脂等が挙げられる。
制御部100が感光体ドラム413を回転させる駆動モーター(図示略)に供給される駆動電流を制御することにより、感光体ドラム413は一定の周速度で回転する。
帯電装置414は、例えば帯電チャージャーであり、コロナ放電を発生させることにより、光導電性を有する感光体ドラム413の表面を一様に負極性(例えば、−500[V]:背景部)に帯電させる。
露光装置411は、例えば半導体レーザーで構成され、感光体ドラム413に対して各色成分の画像に対応するレーザー光を照射する。その結果、感光体ドラム413の表面のうちレーザー光が照射された画像部(例えば、−50[V])には、背景部との電位差(例えば、−450[V])により各色成分の静電潜像が形成される。
現像装置412は、二成分逆転方式の現像装置であり、感光体ドラム413の表面に各色成分のトナーを付着させることにより静電潜像を現像(可視化)してトナー像を形成する。具体的には、現像装置412は、感光体ドラム413と現像領域を介して対向するよう配置された現像スリーブを備えている。現像スリーブには、例えば帯電装置414の帯電極性と同極性の直流現像バイアス(例えば、−400[V])、または交流電圧に帯電装置414の帯電極性と同極性の直流電圧が重畳された現像バイアス、すなわち静電潜像を現像するためにトナーを現像スリーブから感光体ドラム413へ移行させる現像電界を形成するための電圧が印加される。その結果、露光装置411によって形成された静電潜像にトナーを付着させる反転現像が行われる。
ドラムクリーニング装置415は、感光体ドラム413の表面に当接され、弾性体よりなる平板状のドラムクリーニングブレード415A等を有し、中間転写ベルト421に転写されずに感光体ドラム413の表面に残留するトナーを除去する。
荷電量調整部416は、感光体ドラム413の回転方向におけるドラムクリーニングブレード415Aの上流側、かつ、一次転写ニップの下流側に設けられ、所定の電圧を印加して、中間転写ベルト421に転写されずに感光体ドラム413の表面に残留するトナーの帯電量を調整する。帯電量調整部416は、コロナ放電を利用したコロトロンチャージャー、スコロトロンチャージャー、除電針、不織布等を用いた除電布、または、微小な空隙を設けて感光体ドラム413に対向させた電極やローラー、または、接触式のローラーなど、トナーの帯電量を調整できるものであれば何でも良い。
中間転写ユニット42は、中間転写ベルト421、一次転写ローラー422、複数の支持ローラー423、二次転写ローラー424およびベルトクリーニング装置426等を備える。
中間転写ユニット42は、無端状ベルトで構成され、複数の支持ローラー423にループ状に張架される。複数の支持ローラー423のうちの少なくとも一つは駆動ローラーで構成され、その他は従動ローラーで構成される。例えば、K成分用の一次転写ローラー422よりもベルト走行方向下流側に配置されるローラー423Aが駆動ローラーであることが好ましい。これにより、一次転写ニップにおけるベルトの走行速度を一定に保持しやすくなる。駆動ローラー423Aが回転することにより、中間転写ベルト421は矢印A方向に一定速度で走行する。
中間転写ベルト421は、導電性および弾性を有するベルトであり、表面に体積抵抗率が8〜11[logΩ・cm]である高抵抗層を有する。中間転写ベルト421は、制御部100からの制御信号によって回転駆動される。なお、中間転写ベルト421については、導電性および弾性を有するものであれば、材質、厚さおよび硬度を限定しない。
一次転写ローラー422は、各色成分の感光体ドラム413に対向して、中間転写ベルト421の内周面側に配置される。中間転写ベルト421を挟んで、一次転写ローラー422が感光体ドラム413に圧接されることにより、感光体ドラム413から中間転写ベルト421へトナー像を転写するための一次転写ニップが形成される。
二次転写ローラー424は、駆動ローラー423Aのベルト走行方向下流側に配置されるローラー423Bに対向して、中間転写ベルト421の外周面側に配置される。中間転写ベルト421を挟んで、二次転写ローラー424がバックアップローラー423Bに圧接されることにより、中間転写ベルト421から用紙Sへトナー像を転写するための二次転写ニップが形成される。
一次転写ニップを中間転写ベルト421が通過する際、感光体ドラム413上のトナー像が中間転写ベルト421に順次重ねて一次転写される。具体的には、一次転写ローラー422に一次転写バイアスを印加し、中間転写ベルト421の裏面側(一次転写ローラー422と当接する側)にトナーと逆極性の電荷を付与することにより、トナー像は中間転写ベルト421に静電的に転写される。
その後、用紙Sが二次転写ニップを通過する際、中間転写ベルト421上のトナー像が用紙Sに二次転写される。具体的には、二次転写ローラー424に二次転写バイアスを印加し、用紙Sの裏面側(二次転写ローラー424と当接する側)にトナーと逆極性の電荷を付与することにより、トナー像は用紙Sに静電的に転写される。トナー像が転写された用紙Sは定着部60に向けて搬送される。
ベルトクリーニング装置426は、二次転写後に中間転写ベルト421の表面に残留する転写残トナーを除去する。なお、二次転写ローラー424に代えて、二次転写ローラーを含む複数の支持ローラーに、二次転写ベルトがループ状に張架された構成(いわゆるベルト式の二次転写ユニット)を採用してもよい。
定着部60は、用紙Sの定着面(トナー像が形成されている面)側に配置される定着面側部材を有する上側定着部60A、用紙Sの裏面(定着面の反対の面)側に配置される裏面側支持部材を有する下側定着部60B、および加熱源60C等を備える。定着面側部材に裏面側支持部材が圧接されることにより、用紙Sを挟持して搬送する定着ニップが形成される。
定着部60は、トナー像が二次転写され、搬送されてきた用紙Sを定着ニップで加熱、加圧することにより、用紙Sにトナー像を定着させる。定着部60は、定着器F内にユニットとして配置される。また、定着器Fには、エアを吹き付けることにより、定着面側部材または裏面側支持部材から用紙Sを分離させるエア分離ユニットが配置されていても良い。
用紙搬送部50は、給紙部51、排紙部52および搬送経路部53等を備える。給紙部51を構成する3つの給紙トレイユニット51a〜51cには、坪量やサイズ等に基づいて識別された用紙S(規格用紙、特殊用紙)が予め設定された種類毎に収容される。搬送経路部53は、レジストローラー体53a等の複数の搬送ローラーを有する。
給紙トレイユニット51a〜51cに収容されている用紙Sは、最上部から一枚ずつ送出され、搬送経路部53により画像形成部40に搬送される。このとき、レジストローラー体53aが配設されたレジストローラー部により、給紙された用紙Sの傾きが補正されるとともに搬送タイミングが調整される。そして、画像形成部40において、中間転写ベルト421のトナー像が用紙Sの一方の面に一括して二次転写され、定着部60において定着工程が施される。画像形成された用紙Sは、排紙ローラー52aを備えた排紙部52により機外に排紙される。
次に、現像装置412の具体的な構成について説明する。図3に示すように、現像装置412は、感光体ドラム413上に形成された静電潜像にトナーを現像する(すなわち現像装置412内のトナーが消費される)と、現像剤ホッパー417から、潤滑性を有する第1および第2滑剤が添加されたトナーおよびキャリアーの供給を受ける。第1および第2滑剤については後述する。現像装置412は、供給を受けたトナーとキャリアーとを攪拌スクリュー412Aにて攪拌してトナーを帯電させる。攪拌後の現像剤(トナーおよびキャリアー)は、供給スクリュー412Bにより供給ローラー412Cに搬送される。
供給ローラー412Cは、回転可能な供給スリーブと、供給スリーブの内部に配置された供給マグネットロールとを備える。供給マグネットロール内には、磁界を発生させる複数の磁極が配置されている。この磁極が発生する磁界によって、現像剤は、供給スリーブの外周面に担持され、供給スリーブが回転することにより、現像ローラー412Dまで搬送される。
現像ローラー412Dでは、固定状態になったマグネットローラーの周囲を現像スリーブが所定速度で回転しており、供給ローラー412Cによって現像スリーブの外周面に現像剤が供給される。現像スリーブの外周面に供給される現像剤が現像スリーブの外周面を移動する際、マグネットローラーに設けられた磁極の磁力によってキャリアーが磁気ブラシを形成する。磁気ブラシに付着したトナーは、感光体ドラム413上の静電潜像に付着する。すなわち、感光体ドラム413の静電潜像がトナーによって現像される。現像ローラー412Dの近傍に設けられた規制板412Eは、現像スリーブによって所定量の現像剤が搬送されるように、現像スリーブの外周面に付着する現像剤の厚みを規制する。
次に、第1および第2滑剤について説明する。第1滑剤は、例えば5[μm]以下の平均粒子径を有する脂肪酸金属塩(小径滑剤)である。第2滑剤は、例えば10[μm]以上の平均粒子径を有する脂肪酸金属塩(大径滑剤)である。第1および第2滑剤としては、高い潤滑性を有する脂肪酸金属塩を用いることが好ましい。現像装置412内において、第1および第2滑剤の帯電極性は、攪拌後のトナーの帯電極性(本実施の形態では、マイナス極性)と逆極性(本実施の形態では、プラス極性)である。なお、第1および第2滑剤としては、脂肪酸金属塩の他に、シリコーンオイル、フッ素系樹脂等を用いることができる。
図4Aは、現像剤ホッパー417から現像装置412に供給された直後の現像剤を示す図である。図4Aに示すように、トナー120(トナー粒子)は、キャリアー110に付着している。また、第1滑剤130Aおよび第2滑剤130Bは、トナー120に付着している。
図4Bは、現像装置412内で攪拌された後の現像剤を示す図である。図4Bに示すように、攪拌スクリュー412Aの攪拌動作によって、第1滑剤130Aはトナー120に付着しているものの、第2滑剤130Bはトナー120から離脱する。
図5は、第1および第2滑剤130A,130Bの挙動を説明する説明図である。ここでは、用紙Sに画像を形成する画像形成処理において、感光体ドラム413上の画像部電位(露光電位)および背景部電位(帯電電位)がそれぞれ−50[V]、−500[V]に設定され、現像スリーブに印加される現像バイアスが−400[V]に設定される場合について説明する。この場合、トナー120および当該トナー120に付着している第1滑剤130Aは、現像スリーブと感光体ドラム413との間に作用する現像電界(静電引力)を受けて、現像スリーブから感光体ドラム413上の画像部へ移行する。すなわち、第1滑剤130Aは、現像電界に対してトナー120と同じ挙動を示す。また、トナー120から離脱した第2滑剤130Bは、現像スリーブと感光体ドラム413との間に作用する現像電界を受けて、現像スリーブから感光体ドラム413上の背景部へ移行する。すなわち、第2滑剤130Bは、現像電界に対してトナー120と異なる挙動を示す。
図5を参照して説明したように、画像形成処理の実行によって第1滑剤130Aが現像スリーブから感光体ドラム413上の画像部へ移行するととともに、第2滑剤130Bが現像スリーブから感光体ドラム413上の背景部へ移行することによって、当該画像形成処理にかかる入力画像の印字率に関係なく、感光体ドラム413上の画像形成領域の全面に亘って滑剤が被覆される。これにより、感光体ドラム413表面に供給される滑剤量ひいては被覆率が低下し、クリーニング不良ひいてはFDスジ等の画像不良が発生することを防止することができる。また、感光体ドラム413上において滑剤の被覆量が多い部分と少ない部分とが生じなくなるため、感光体ドラム413上の表面電位が不均一となり画像濃度段差(画像不良)が発生してしまうことも防止することができる。
ただし、低印字率または高印字率の画像を印字し続けると、現像装置412内において、第1滑剤130Aおよび第2滑剤130Bの何れか一方が他方に比べて早く枯渇してしまうおそれがある。そこで本実施の形態では、制御部100は、現像装置412内における第1滑剤130Aおよび第2滑剤130Bの重量比率を適切に調整することによって、画像形成処理にかかる入力画像の印字率に関係なく、感光体ドラム413上に安定して滑剤を供給するための制御(以下、滑剤調整制御)を行う。
図6は、本実施の形態における画像形成装置1の滑剤調整制御動作を示すフローチャートである。図6における処理は、例えば制御部100が印刷ジョブの実行指示を受け付け
まず、制御部100は、記憶部72に記憶される画像形成情報を読み出し、印刷ジョブにかかる入力画像の印字率を取得する(ステップS100)。
次に、制御部100は、ステップS100にて取得した印字率に応じて、現像装置412内における第1滑剤130Aおよび第2滑剤130Bの目標重量比率である第1重量比率(=第1滑剤130Aの重量/第2滑剤130Bの重量)を決定する(ステップS110)。具体的には、制御部100は、以下の表1に示すように、印字率が大きくなるにつれて第1重量比率が大きくなるように第1重量比率を決定する。例えば、印字率が10[%]である場合、制御部100は、第1重量比率の値として0.11を設定する。
制御部100が第1重量比率を設定する際に参照する一例として表1を示したが、制御部100は任意に第1重量比率を設定するようにしても良い。
次に、制御部100は、現像装置412から感光体ドラム413への第1滑剤130Aの排出重量(例えば、累積印字枚数×当該累積印字枚数を印字したときの平均の印字率)を取得する(ステップS120)。
次に、制御部100は、現像装置412から感光体ドラム413への第2滑剤130Bの排出重量(例えば、累積印字枚数×(1−当該累積印字枚数を印字したときの平均の印字率))を取得する(ステップS130)。
次に、制御部100は、現像剤ホッパー417から現像装置412への第1滑剤130Aの供給重量(例えば、累積印字枚数×当該累積印字枚数を印字したときの平均の印字率×現像装置412における第1滑剤130Aの割合)を取得する。なお、制御部100は、第1滑剤130Aの供給重量として、制御部100から現像剤ホッパー417に出力された現像剤の補給信号(すなわち累積印字枚数×当該累積印字枚数を印字したときの平均の印字率に相当)×現像装置412における第1滑剤130Aの割合を取得しても良い。さらに、制御部100は、現像剤ホッパー417から現像装置412への第2滑剤130Bの供給重量(例えば、累積印字枚数×当該累積印字枚数を印字したときの平均の印字率×現像装置412における第2滑剤130Bの割合)を取得する(ステップS140)。なお、制御部100は、第2滑剤130Bの供給重量として、制御部100から現像剤ホッパー417に出力された現像剤の補給信号(すなわち累積印字枚数×当該累積印字枚数を印字したときの平均の印字率に相当)×現像装置412における第2滑剤130Bの割合を取得しても良い。
次に、制御部100は、ステップS120〜S140にて取得した排出重量および供給重量に応じて、現像装置412内における現在の第1滑剤130Aおよび第2滑剤130Bの実重量比率である第2重量比率(=第1滑剤130Aの重量/第2滑剤130Bの重量)を算出する(ステップS150)。
次に、制御部100は、ステップS110にて決定した第1重量比率が、ステップS150にて算出した第2重量比率と等しいか否かについて判定する(ステップS160)。判定の結果、第1重量比率が第2重量比率と等しい場合(ステップS160、YES)、制御部100は、現像装置412内における第1滑剤130Aおよび第2滑剤130Bの重量が、感光体ドラム413上に安定して滑剤を供給する観点から適量であると判断する。そして、画像形成装置1は、図6における処理を終了する。
一方、第1重量比率が第2重量比率と等しくない場合(ステップS160、NO)、制御部100は、第1重量比率が第2重量比率未満であるか否かについて判定する(ステップS170)。判定の結果、第1重量比率が第2重量比率未満である場合(ステップS170、YES)、制御部100は、現像装置412から感光体ドラム413へ第1滑剤130Aを排出する制御を行う(ステップS180)。具体的には、制御部100は、帯電装置414により一様に帯電された感光体ドラム413の表面における滑剤排出領域の全面に、露光装置411により光を選択的に照射させるとともに、現像スリーブに現像バイアスを印加させることにより、滑剤排出領域(画像部)にトナー120および第1滑剤130Aを排出させる。図7に示すように、滑剤排出領域150は、感光体ドラム413の表面のうち感光体ドラム413の回転方向において、入力画像データに対応するトナー像が形成されるトナー像形成領域140間、すなわちトナー像形成領域140とその次のトナー像形成領域140との間(像間)に位置する。また、滑剤排出領域150は、感光体ドラム413の軸方向(主走査方向)において、トナー像形成領域140と同じである。滑剤排出領域にトナー120および第1滑剤130Aを排出させると、現像剤ホッパー417から現像装置412へ新しいトナー120、第1滑剤130Aおよび第2滑剤130Bが補給される。これにより、第2重量比率を第1重量比率に近づけつつ、現像装置412中の滑剤量の低下は抑制することができる。その後、処理はステップS200に遷移する。
一方、第1重量比率が第2重量比率未満でない場合(ステップS170、NO)、制御部100は、現像装置412から感光体ドラム413へ第2滑剤130Bを排出する制御を行う(ステップS190)。具体的には、制御部100は、帯電装置414により一様に帯電された感光体ドラム413の表面における滑剤排出領域の全面に、露光装置411により光を選択的に照射させることなく、現像スリーブに現像バイアスを印加させることにより、滑剤排出領域(背景部)に第2滑剤130Bを排出させる。滑剤排出領域に第2滑剤130Bを排出させると、現像剤ホッパー417から現像装置412へ新しいトナー120、第1滑剤130Aおよび第2滑剤130Bが補給される。これにより、第2重量比率を第1重量比率に近づけつつ、現像装置412中の滑剤量の低下は抑制することができる。その後、処理はステップS200に遷移する。
ステップS200では、制御部100は、ステップS180,S190における第1滑剤130A、第2滑剤130Bの排出重量を取得し、ステップS150と同様に、第2重量比率を算出する。その後、処理はステップS160の前に戻り、第1重量比率が第2重量比率と等しいか否かについての判定処理が行われる(ステップS160)。
以上詳しく説明したように、本実施の形態における画像形成装置1は、感光体ドラム413と、感光体ドラム413に形成された静電潜像をトナー120で現像するための現像電界に対してトナー120と同じ挙動を示す第1滑剤130Aと、トナー120と異なる挙動を示す第2滑剤130Bとを収容する現像装置412とを備える。このように構成した本実施の形態によれば、画像形成処理の実行によって第1滑剤130Aが現像スリーブから感光体ドラム413上の画像部へ移行するととともに、第2滑剤130Bが現像スリーブから感光体ドラム413上の背景部へ移行することによって、当該画像形成処理にかかる入力画像の印字率に関係なく、感光体ドラム413上の画像形成領域の全面に亘って滑剤が被覆される。これにより、感光体ドラム413表面に供給される滑剤量ひいては被覆率が低下し、クリーニング不良ひいてはFDスジ等の画像不良が発生することを防止することができる。また、感光体ドラム413上において滑剤の被覆量が多い部分と少ない部分とが生じなくなるため、感光体ドラム413上の表面電位が不均一となり画像濃度段差(画像不良)が発生してしまうことも防止することができる。さらに言えば、従来技術と異なり、滑剤塗布手段を設ける必要がないため、装置の大型化や制御の複雑化を招くことがない。
また、本実施の形態では、制御部100は、現像装置412における画像形成情報に応じた第1および第2滑剤130A,130Bの第1重量比率と、現像装置412における現在の第1および第2滑剤130A,130Bの第2重量比率とに基づいて、現像装置412における第1および第2滑剤130A,130Bの重量を調整する。具体的には、制御部100は、トナー120を伴って第1滑剤130Aを感光体ドラム413上に供給(排出)し、トナー120を伴わずに第2滑剤130Bを感光体ドラム413上に供給(排出)することによって、第1および第2滑剤130A,130Bの重量を調整する。この構成により、画像形成処理にかかる入力画像の印字率に関係なく、現像装置412内において第1滑剤130A、第2滑剤130Bが枯渇してしまうことを防止し、感光体ドラム413上に安定して滑剤(第1滑剤130A、第2滑剤130B)を供給することができる。
なお、上記実施の形態では、現像装置412内において、第1および第2滑剤130A,130Bの帯電極性は、攪拌後のトナー120の帯電極性と逆極性である例について説明したが、本発明はこれに限らない。例えば、第1滑剤130Aの帯電極性は、トナー120の帯電極性と同極性である一方、第2滑剤130Bの帯電極性は、トナー120の帯電極性と逆極性であっても良い。これにより、攪拌による現像剤へのストレスなどにより第1滑剤130Aがトナーから離脱しても、トナーと共に第1滑剤130Aを現像スリーブから感光体ドラム413上の画像部に供給させることができる。
また、上記実施の形態では、制御部100は、印刷ジョブにかかる入力画像の印字率を取得し、取得した印字率に応じて第1重量比率を決定する例について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、制御部100は、印刷ジョブにかかる入力画像の印字率を間接的に示す感光体ドラム413の表面電位を公知の手段(例えば、表面電位検出センサー)により取得し、取得した表面電位、より具体的にはトナー像形成領域140において露光部分を占める割合に応じて第1重量比率を決定しても良い。
また、上記実施の形態において、制御部100は、トナー120を伴って第1滑剤130Aを感光体ドラム413上に排出し、トナー120を伴わずに第2滑剤130Bを感光体ドラム413上に排出することによって、現像装置412内における第1および第2滑剤130A,130Bの重量を調整する例について説明したが、本発明はこれに限らない。例えば、第1滑剤130Aを現像装置412に供給し、第2滑剤130Bを現像装置412に供給することによって、現像装置412における第1および第2滑剤130A,130Bの重量を調整しても良い。これにより、第1および第2滑剤130A,130Bの重量を調整するためだけの余分なトナー消費を抑制することができる。また、トナー像形成領域140間のタイミングを狙って第1および第2滑剤130A,130Bを排出する場合と比べて、任意のタイミングで第1および第2滑剤130A,130Bを供給することができるため、短期間で効率的に現像装置412における第1および第2滑剤の重量比率を調整することができる。この場合の構成について、図8を参照し説明する。
図8に示すように、現像装置412には、現像剤ホッパー417A,417Bが接続されている。現像剤ホッパー417A(本発明の「第1滑剤収容部」に対応)は、トナー120および第1滑剤130Aを含む第1現像剤を収容する。現像剤ホッパー417B(本発明の「第2滑剤収容部」に対応)は、トナー120および第2滑剤130Bを含む第2現像剤を収容する。制御部100は、現像剤ホッパー417A,417Bを制御し、現像剤ホッパー417Aから第1現像剤を現像装置412に供給し、現像剤ホッパー417Bから第2現像剤を現像装置412に供給させることによって、現像装置412における第1および第2滑剤130A,130Bの重量を調整する。
例えば、制御部100は、入力画像の印字率が低くなるにつれて、現像剤ホッパー417Aから現像装置412に供給される第1滑剤130Aの重量である第1滑剤供給重量と比べて、現像剤ホッパー417Bから現像装置412に供給される第2滑剤130Bの重量である第2滑剤供給重量がより多くなるように調整する。その一態様として、制御部100は、以下の表2に示すように、第1滑剤供給重量/(第1滑剤供給重量+第2滑剤供給重量)と印字率とが比例するように調整しても良い。これにより、第1重量比率と同じ滑剤比率で第1および第2滑剤130A,130Bが供給され、現像装置412内の第1および第2滑剤130A,130Bの重量比率を短期間で第1重量比率に近づけることができる。
なお、図8の構成において、現像剤ホッパー417Bは、第2滑剤130Bのみを収容しても良い。この場合、制御部100は、現像剤ホッパー417A,417Bを制御し、現像剤ホッパー417Aから第1現像剤を現像装置412に供給し、現像剤ホッパー417Bから第2滑剤130Bを現像装置412に供給させることによって、現像装置412における第1および第2滑剤130A,130Bの重量を調整する。この構成により、低印字率の画像を印字し続けた場合、すなわちトナー120の消費量が少なく感光体ドラム413への第2滑剤130Bの供給重量が多い場合において、現像剤ホッパー417Bから第2滑剤130Bのみを現像装置412に供給することができ、好適である。
図9は、図8の構成を備える画像形成装置1の滑剤調整制御動作を示すフローチャートである。図9におけるステップS300,S420の処理は、例えば制御部100が印刷ジョブの実行指示を受け付ける毎に実行される。
まず、制御部100は、記憶部72に記憶される画像形成情報を読み出し、印刷ジョブにかかる入力画像の印字率を取得する(ステップS300)。次に、制御部100は、ステップS100にて取得した印字率に応じて第1重量比率を決定する(ステップS310)。
次に、制御部100は、図6のステップS120と同様の手段によって、現像装置412から感光体ドラム413への第1滑剤130Aの排出重量を取得する(ステップS320)。次に、制御部100は、図6のステップS130と同様の手段によって、現像装置412から感光体ドラム413への第2滑剤130Bの排出重量を取得する(ステップS330)。
次に、制御部100は、現像剤ホッパー417Aから現像装置412への第1滑剤130Aの供給重量(例えば、制御部100から現像剤ホッパー417Aに出力された第1滑剤130Aの補給信号の積算回数×当該補給信号1回あたりに供給される第1および第2滑剤130A、130Bにおける第1滑剤130Aの割合)を取得する(ステップS340)。次に、制御部100は、現像剤ホッパー417Bから現像装置412への第2滑剤130Bの供給重量(例えば、制御部100から現像剤ホッパー417Bに出力された第2滑剤130Bの補給信号の積算回数×当該補給信号1回あたりに供給される第1および第2滑剤130A,130Bにおける第2滑剤130Bの割合)を取得する(ステップS350)。
次に、制御部100は、ステップS320〜S350にて取得した排出重量および供給重量に応じて、現像装置412内における現在の第1滑剤130Aおよび第2滑剤130Bの実重量比率である第2重量比率を算出する(ステップS360)。その後、処理は、ステップS370およびS430に遷移する。
ステップS370では、制御部100は、ステップS310にて決定した第1重量比率が、ステップS350にて算出した第2重量比率と等しいか否かについて判定する。判定の結果、第1重量比率が第2重量比率と等しい場合(ステップS370、YES)、制御部100は、現像装置412内における第1滑剤130Aおよび第2滑剤130Bの重量が、感光体ドラム413上に安定して滑剤を供給する観点から適量であると判断する。そして、画像形成装置1は、図9における処理を終了する。
一方、第1重量比率が第2重量比率と等しくない場合(ステップS370、NO)、制御部100は、第1重量比率が第2重量比率未満であるか否かについて判定する(ステップS380)。判定の結果、第1重量比率が第2重量比率未満である場合(ステップS380、YES)、制御部100は、現像装置412から第1滑剤130Aを排出する制御を行う(ステップS390)。その後、処理はステップS410に遷移する。
一方、第1重量比率が第2重量比率未満でない場合(ステップS380、NO)、制御部100は、現像装置412から第2滑剤130Bを排出する制御を行う(ステップS400)。その後、処理はステップS410に遷移する。
ステップS410では、制御部100は、ステップS390,S400における第1滑剤130A、第2滑剤130Bの供給重量を取得し、ステップS360と同様に、第2重量比率を算出する。その後、処理はステップS370の前に戻り、第1重量比率が第2重量比率と等しいか否かについての判定処理が行われる(ステップS370)。
ステップS420では、制御部100は、例えば現像装置412内に設けられたトナー濃度検出センサーの濃度検出結果(例えば、トナー濃度が所定濃度以下になった等)に基づいて、現像剤補給信号を出力する必要があるか否かについて判定する(ステップS420)。判定の結果、現像剤補給信号を出力する必要がない場合(ステップS420、NO)、画像形成装置1は、図9における処理を終了する。
一方、現像剤補給信号を出力する必要がある場合(ステップS420、YES)、制御部100は、第1重量比率が第2重量比率と等しいか否かについて判定する(ステップS430)。判定の結果、第1重量比率が第2重量比率と等しい場合(ステップS430、YES)、画像形成装置1は、図9における処理を終了する。
一方、第1重量比率が第2重量比率と等しくない場合(ステップS430、NO)、制御部100は、第1重量比率が第2重量比率未満であるか否かについて判定する(ステップS440)。判定の結果、第1重量比率が第2重量比率未満である場合(ステップS440、YES)、制御部100は現像剤ホッパー417Bから第2滑剤130Bを現像装置412に供給する制御を行う(ステップS450)。一方、第1重量比率が第2重量比率未満でない場合(ステップS440、NO)、制御部100は、現像剤ホッパー417Aから第1滑剤130Aを現像装置412に供給する制御を行う(ステップS460)。
その他、上記実施の形態は、何れも本発明の実施するにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその要旨、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
本発明は、画像形成装置を含む複数のユニットで構成される画像形成システムに適用できる。複数のユニットには、例えば後処理装置、ネットワーク接続された制御装置等の外部装置が含まれる。