JP6550224B2 - 摺動部材およびその製造方法 - Google Patents
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Description
図1、さらには図2に示すように、焼結軸受1は、円筒状の焼結体からなり、内径側の摺動層2と外径側のベース層3とを互いに接触させた状態で一体に有する。図示例では、焼結軸受1が摺動層2およびベース層3のみからなり、何れの層も筒状、特に円筒状を成している。焼結軸受1の内周面1aを構成する摺動層2の内周面は、軸方向にストレートな断面真円状をなし、内周に挿入されるピン4の軸部(以下、軸4と称する)を相対回転自在に支持する摺動面A(軸受面)を構成する。焼結軸受1の外周面1b(本実施形態ではベース層3の外周面)は、軸方向にストレートな断面真円状をなし、第二アーム7等の他部材に取り付けられる取り付け面Bを構成する。焼結軸受1の軸方向両端面は、軸方向と直交する方向に延びる平坦面である。焼結軸受1の軸方向両端面と内周面2aおよび外周面3aとの間には、それぞれ面取りが設けられている。
以上に述べた基本的構成を有する焼結軸受1は、以下の対策(1)〜(3)をとることで改良することができる。
一般に合金鋼粉で鉄系焼結体を形成する場合、合金鋼粉に、焼入れ性を向上させる上記の合金元素(Ni,Mo,Mn,およびCrの中から選択される何れか1種または2種以上)だけを含む単体粉(合金元素単体粉)を添加する場合が多い。合金鋼粉は通常は硬質で圧縮性に劣るため、焼結体を高密度化することが困難となるが、合金鋼粉に合金元素単体粉を添加することで、より高密度の焼結体を得ることが可能となる。
摺動層2を構成する第二粉末M2に添加する銅粉としては、小粒径のものを使用するのが好ましい。これは、以下の理由による。
基本的構成の焼結軸受1では、摺動層2に低融点金属を包含させていないが、摺動層2を構成する第二粉末M2には、上述した何れかの低融点金属(例えばSn)を加えることもできる。これにより、焼結時に、第二粉末M2に含まれるCuがFe組織中に拡散し易くなり、Fe粒子同士の結合強度が高まるため、摺動層2、さらには焼結軸受1全体の機械的強度を向上させることができる。第二粉末M2における銅粉に対する低融点金属の割合は、0.5wt%以上で5.0wt%以下、好ましくは1.0wt%以上で3.0wt%以下とする。この比が上限値を上回ると、偏析の問題を生じ、下限値を下回ると、強度低下の問題を生じるためである。
以上に述べた対策(1)〜(3)の効果を確認するため、以下の試験片No.1〜No.5を製作し、それぞれについてドライ密度、含油率、圧環強さ、ビッカース硬さ、ロックウェル硬さのそれぞれを測定した。なお、試験片No.1〜No.5は、第二粉末M2(摺動層2に対応)の組成のみが異なっており、第一粉末M1(ベース層3に対応)の組成、試験片の成形条件、および焼結条件は何れも同じである。なお、第一粉末M1の組成は、何れの試験片でも、銅粉:3.0wt%、黒鉛粉:0.8wt%とし、残りを鉄−リンの合金鋼粉および鉄粉としている。
試験片No.2…ベース粉+Ni単体粉1.0wt%+Sn粉0.8wt%
試験片No.3…ベース粉+Ni単体粉1.0wt%+Sn粉0.5wt%
試験片No.4…ベース粉のみ(Ni単体粉0%、Sn粉0%)
試験片No.5…ベース粉+Ni単体粉1.0wt%(Sn粉0%)
・試験片No.4と試験片No.5の対比から、Ni単体粉の添加を省略すれば、圧環強さが向上する。
・Cu組織と空孔の分散状態は試験片No.4が最も良好である。
・試験片No.1〜No.3と試験片No.5の対比から、Sn粉を添加すれば、圧環強さが向上する。ただし、その効果は、試験片No.4よりも劣る。
以上の実施形態では、焼結軸受1の内周面1aに摺動面Aが形成される場合を示したが、これに限らず、例えば図15に示すように、焼結軸受1の外周面1bに摺動面Aを形成し、内周面1aに取り付け面Bを形成することもできる。この場合、摺動層2が焼結軸受1の外径側に形成され、ベース層3が焼結軸受1の内径側に形成されることになる。摺動層2およびベース層3の構成および機能は、先に述べた実施形態での摺動層2およびベース層3と共通する。この他、図1において、焼結軸受1の端面が第一アーム6と高面圧で摺動する場合には、焼結軸受の端面に摺動面Aを形成することもできる。
1a 内周面
1b 外周面
2 摺動層
3 ベース層
4 ピン(軸)
6 第一アーム
7 第二アーム
20 焼結炉
31 Fe系組織(Fe−C合金相)
32 Cu系組織(Cu相)
33 黒鉛組織(黒鉛相)
34 空孔
35 Fe系組織(Fe−C合金相)
36 フェライト
37 セメンタイト
A 摺動面(軸受面)
B 取り付け面
M 圧粉体
M’ 焼結体
M1 第一粉末
M2 第二粉末
Claims (12)
- 焼結体で形成され、他部材と摺動する摺動面を有する摺動部材であって、
Cu:1.0〜5.0wt%、C:0.5〜0.8wt%、およびCuよりも低融点の低融点元素を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物で構成され、Feに対する前記低融点元素の含有量が0.1〜0.6wt%であり、パーライトを有するFe系組織で形成され、前記低融点元素がSn、Zn、Pの何れかであるベース層と、
Cu:10〜30wt%、C:0.5〜2.0wt%、Ni:1.0〜4.0wt%、およびMo:0.5〜1.5wt%を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物で構成され、ベース層と接した状態でベース層と共に焼結され、前記摺動面を有し、マルテンサイト変態およびベイナイト変態したFe系組織と、Cu系組織と、黒鉛組織とで形成され、Cuの含有量がベース層よりも多い摺動層とを備え、
前記摺動層の半径方向の肉厚が前記焼結体の半径方向の肉厚の1〜20%であり、
摺動層に含まれるNiおよびMoを全てFe系組織と合金化させたことを特徴とする摺動部材。 - 前記ベース層がCu系組織を有しない請求項1記載の摺動部材。
- 摺動層のCu系組織が、70〜100%を粒径45μm未満とする銅粉によって形成されている請求項1記載の摺動部材。
- 摺動層がさらに0.5wt%以上5.0wt以下の前記低融点元素を含む請求項1記載の摺動部材。
- ベース層に含まれる前記低融点元素がPである請求項1記載の摺動部材。
- 建設機械のアームの関節部の軸受として使用される請求項1に記載の摺動部材。
- パーライトを有するFe系組織で形成され、Cu:1.0〜5.0wt%、C:0.5〜0.8wt%、およびCuよりも低融点の低融点元素を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物で構成され、Feに対する前記低融点元素の含有量が0.1〜0.6wt%であり、前記低融点元素がSn、Zn、Pの何れかであるベース層と、
ベース層と接した状態でベース層と共に焼結され、他部材と摺動する摺動面を有し、Cu:10〜30wt%、C:0.5〜2.0wt%、Ni:1.0〜4.0wt%、およびMo:0.5〜1.5wt%を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物で構成され、マルテンサイト変態およびベイナイト変態したFe系組織と、Cu系組織と、黒鉛組織とで形成され、Cuの含有量がベース層よりも多い摺動層とを備え、前記摺動層の半径方向の肉厚が前記焼結体の半径方向の肉厚の1〜20%である摺動部材を製造するための方法であって、
Fe系粉末、1.0〜5.0wt%のCu、前記低融点元素、およびCを含む第一粉末と、前記NiおよびMoを含むFe系粉末、CuおよびCを含み、Cuの含有量が第一粉末よりも多く、かつ前記NiおよびMoの各単体粉を含まない第二粉末とで2層構造の圧粉体を形成し、
前記圧粉体を焼結して、第一粉末に対応した組成の前記ベース層と、第二粉末に対応した組成の前記摺動層とを一体に形成し、
その後、少なくとも前記摺動面にサイジングを施すことを特徴とする摺動部材の製造方法。 - 前記ベース層がCu系組織を有しない請求項7記載の摺動部材の製造方法。
- 圧紛体を焼結する際に1070℃〜1120℃で焼結する請求項7記載の摺動部材の製造方法。
- 第二粉末中のCuとして、70〜100%が粒径45μm未満の銅粉を用いる請求項7記載の摺動部材の製造方法。
- 第二粉末にさらに0.5wt%以上5.0wt以下の前記低融点元素を含有させる請求項7記載の摺動部材の製造方法。
- 第一粉末の見かけ密度を第二粉末の見かけ密度よりも小さくする請求項7記載の摺動部材の製造方法。
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