JP6547743B2 - 検知システム、検知装置、検知方法及びコンピュータ読み取り可能記録媒体 - Google Patents

検知システム、検知装置、検知方法及びコンピュータ読み取り可能記録媒体 Download PDF

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Description

この発明は、検知システム、検知装置、検知方法、及びコンピュータ読み取り可能記録媒体に関する。
山の斜面や、線路の盛土や土手の盛土等における斜面(以下、これらを合わせて「斜面等」とする)が崩壊する条件の中では、含水率の増加の影響が大きい。そこで、この含水率を計測することで、斜面等の崩壊の予兆を検知する手法が検討されている。斜面等の崩壊の予兆とみなすことができる含水率は、斜面等の場所、土質、斜面角度などの状況に応じて異なる。特許文献1には、起振源と受振器を離して設置し、起振源から受振器までの経路上の含水率を推算することで、場所に依存せずに斜面等の崩壊危険性を検知する手法が記載されている。
特開2005−30843号公報
特許文献1に記載の手法は、推算した体積含水率から崩壊危険性を評価するにあたり、経験、過去の実例、地質データ等が必要である。そのため、特許文献1に記載の手法では、斜面等の崩壊の危険性の算出方法が斜面等によって異なり、また、危険性の閾値設定においても事前のデータが必要となる。すなわち、特許文献1に記載の手法は、新たに崩壊の危険性を評価する斜面等において、崩壊の危険性を検知することが困難である。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、新たに崩壊の危険性を評価する斜面等においても斜面等の崩壊の危険性を検知することができる検知システム、検知方法、検知装置及びコンピュータ読み取り可能記録媒体を提供する。
本発明の一態様における検知システムは、複数のセンシング部と、複数のセンシング部で検出した振動に基づいて土壌の状態を判定する検知装置とを備え、検知装置は、複数のセンシング部で検出した振動の各々の減衰率を算出する減衰率算出手段と、所定の期間における減衰率に基づいて、関係モデルを生成する関係モデル生成手段と、関係モデルより導出した減衰率に関する予測値及び減衰率算出手段で算出した減衰率に基づいて、土壌の状態を判定する判定手段とを有するものである。
また、本発明の一態様における検知装置は、複数のセンシング部で検出した振動の各々の減衰率を算出する減衰率算出手段と、所定の期間における減衰率に基づいて、関係モデルを生成する関係モデル生成手段と、関係モデルより導出した減衰率に関する予測値及び減衰率算出手段で算出した減衰率に基づいて、土壌の状態を判定する判定手段とを有するものである。
また、本発明の一態様における判定方法は、複数のセンシング部で検出した振動の各々の減衰率を算出し、所定の期間における減衰率に基づいて、関係モデルを生成し、関係モデルより導出した減衰率に関する予測値及び算出した減衰率に基づいて、土壌の状態を判定するものである。
また、本発明の一態様におけるコンピュータ読み取り可能記録媒体は、コンピュータに、複数のセンシング部で検出した振動の各々の減衰率を算出する処理と、所定の期間における減衰率に基づいて、関係モデルを生成する処理と、関係モデルより導出した減衰率に関する予測値及び算出した減衰率に基づいて、土壌の状態を判定する処理とを実行させるプログラムを非一時的に格納したものである。
本発明によると、新たに崩壊の危険性を評価する斜面等においても斜面等の崩壊の危険性を検知することができる検知システム、検知装置、検知方法及びコンピュータ読み取り可能記録媒体を提供することができる。
本発明の第1の実施形態における検知システム及び検知装置の構成を示すブロック図である。 本発明の第1の実施形態における検知システムに含まれる検知装置の動作を示すフローチャートである。 本発明の第2の実施形態における検知システム及び検知装置の構成を示すブロック図である。 本発明の第1の実施形態における検知システムに含まれる検知装置の動作を示すフローチャートである。 本発明の第2の実施形態における検知システムに含まれる検知装置の減衰率算出部の動作を示すフローチャートである。 本発明の第2の実施形態における検知システムに含まれる検知装置の関係モデル生成部の動作を示すフローチャートである。 本発明の第2の実施形態における検知システムに含まれる検知装置の判定部の動作を示すフローチャートである。 本発明の実施例1における崩壊危険度検知システムの構成を示すブロック図である。 本発明の実施例1における加速度センサの配置を示す図である。 本発明の実施例1における崩壊危険度検知システムの振動の減衰率に関する図である。 本発明の実施例2における加速度センサの配置を示す図である。 本発明の各実施形態における検知システムに含まれる検知装置等を実現する情報処理装置の構成例を示す図である。
本発明の各実施形態について、添付の図面を参照して説明する。最初に、本発明で利用する斜面崩壊予知の原理について説明し、その後、本発明の各実施形態について説明する。
なお、本発明の各実施形態において、各装置の各構成要素は、機能単位のブロックを示している。各装置の各構成要素は、例えば図12に示すような情報処理装置1000とソフトウェアとの任意の組み合わせにより実現することができる。情報処理装置1000は、一例として、以下のような構成を含む。
・CPU(Central Processing Unit)1001
・ROM(Read Only Memory)1002
・RAM(Ramdom Access Memory)1003
・RAM1003にロードされるプログラム1004
・プログラム1004を格納する記憶装置1005
・記憶媒体1006の読み書きを行うドライブ装置1007
・通信ネットワーク1009と接続する通信インターフェース1008
・データの入出力を行う入出力インターフェース1010
・各構成要素を接続するバス1011
また、各装置の実現方法には様々な変形例がある。例えば、各装置は、専用の装置として実現することができる。また、各装置は、複数の装置の組み合わせにより実現することができる。
最初に、本発明で利用する斜面崩壊予知の原理を説明する。斜面の安定は、斜面方向に働くせん断力と、せん断力による滑落を阻止するせん断強さとの関係で評価することができる。せん断力が大きくなり、せん断強さが小さくなると、斜面崩壊の可能性が高まる。
せん断力は、斜面の土塊に加わる重力と斜面勾配角度に基づいて決定される。これに対し、せん断強さは、土壌がもつ粘着力と、垂直応力に基づく抵抗力に基づいて決定される。
垂直応力は、土壌への重力、斜面勾配角度及び有効摩擦係数で決定される。また、土壌は、土の粒子、粒子間の隙間に介在する間隙空気及び間隙水で構成される。そして、土壌の重量を支える抗力として、土粒子による垂直抗力、間隙空気圧及び間隙水圧が作用する。土塊の重量を支える抗力のうち、土粒子による垂直抗力のみがせん断強さに寄与する。そのため、せん断強さを算出する場合には、間隙水圧と間隙空気圧を土粒子による垂直抗力から差し引いて得られる見かけの垂直応力が用いられる必要がある。そして、土壌の含水率が大きくなると、間隙水圧が高まる。したがって、土壌の含水率が大きくなると、見かけのせん断強さは小さくなる。すなわち、斜面崩壊の可能性が高まる。
一方、垂直応力に乗じて評価される有効摩擦係数及び粘着力は、斜面が滑落する場合にせん断力とせん断強さが釣り合うように設定される係数である。この値は、土壌の含水率の上昇とともに減少することが知られている。また、斜面等における土壌の含水率が増加すると、単位体積当たりの土壌の質量が大きくなる。このため、土壌の含水率が増加すると、せん断力が大きくなり、せん断強さが小さくなる。したがって、土壌の含水率が増加すると、斜面等の崩壊の可能性が高まる。以上から、体積含水率の変化に基づいて、斜面等の崩壊の危険性を検知することができる。
本発明の各実施形態では、一態様として、体積含水率の変化を振動の減衰率に基づいて検知する手法が用いられる。斜面等における土壌の含水率が増加すると、単位体積当たりの土壌の質量が大きくなる。そのため、土壌の共振周波数が変化する。これにより、土壌の共振周波数に関する共振尖鋭度が変化する。共振尖鋭度と振動波形の減衰率は反比例関係にあるため、共振先鋭度が変化すると、振動波形の減衰率が変化する。そのため、振動波形の減衰率は、単位体積当たりの土壌の質量の変化に伴い変化する。
以上より、斜面等における振動波形の減衰率の変化は、斜面等の体積含水率の変化、すなわち斜面等の崩壊の危険性の変化として捉えることができる。
(第1の実施形態)
続いて、本発明の第1の実施形態について説明する。図1は、本発明の第1の実施形態における検知システム及び検知装置の構成を示すブロック図である。図2は、本発明の第1の実施形態における検知システムに含まれる検知装置の動作を示すフローチャートである。
図1に示す通り、本発明の第1の実施形態における検知システム100は、複数のセンシング部101−1〜101−nと、複数のセンシング部101−1〜101−nで検出した振動に基づいて土壌の状態を判定する検知装置110とを備える。また、検知装置110は、減衰率算出部120と、関係モデル生成部130と、判定部140とを有する。減衰率算出部120は、複数のセンシング部101−1〜101−nの各々で検出した振動の減衰率を算出する。関係モデル生成部130は、所定の期間における減衰率に基づいて、関係モデルを生成する。判定部140は、関係モデルより導出した減衰率に関する予測値及び減衰率算出部120で算出した減衰率に基づいて、土壌の状態を判定する。なお、一例として、検知装置110は、CPU及びメモリを含むコンピュータ装置として実現できる。別の例として、検知装置110のうち減衰率算出部120は、信号処理を行うアナライザ装置により実現できる。また、検知装置110のうち関係モデル生成部130及び判定部140は、ネットワークに接続されたサーバ、PC(Personal Computer)又はマイクロコンピュータ等で実行されるプログラムとして実現できる。関係モデル生成部130及び判定部140は、それぞれハードウエアの論理回路として実現することもできる。
複数のセンシング部101−1〜101−nは、斜面等における土壌の状態を判定するために必要となる事象を検知するものであり、例えば斜面等の振動を検知する。一例として、複数のセンシング部101−1〜101−nは、圧電式加速度センサを用いることができる。複数のセンシング部101−1〜101−nの数は任意であり、2つ以上の任意の数とすることができる。複数のセンシング部101−1〜101−nの数は、判定対象となる斜面等の状況に応じて適宜定めることができる。なお、複数のセンシング部101−1〜101−nが斜面等の振動を検知する場合、複数のセンシング部101−1〜101−nにて検知する振動としては、例えば自然の降雨により斜面等に生じる振動がある。この場合には、複数のセンシング部101−1〜101−nは、例えば雨の個々の水滴が地面に到達する際に生じる振動をそれぞれ1回の振動として検知する。別の例として、複数のセンシング部101−1〜101−nにて検知する振動としては、斜面等に設けられた加振機構により斜面等に生じる振動がある。加振機構としては、いわゆる獅子脅しのように、一定の水量が溜まった場合に水滴が滴下して斜面等を加振するような機構が一例として挙げられる。また、複数のセンシング部101−1〜101−nにて検知したデータは、有線又は無線の通信手段を含む任意の手段により、検知装置110に送られる。
検知装置110において、減衰率算出部120は、複数のセンシング部101−1〜101−nの各々で検出した振動の減衰率を算出する。減衰率算出部120は、一例として、複数のセンシング部101−1〜101−nの各々が検出した1回の振動ごとに、振動の減衰率を算出する。
関係モデル生成部130は、所定の期間における減衰率に基づいて、関係モデルを生成する。関係モデル生成部130は、関係モデルを、複数のセンシング部101−1〜101−nに含まれる2つのセンシング部にて検知した振動に基づく減衰率から生成することができる。複数のセンシング部101−1〜101−nの数が3つ以上である場合、その中の任意の2つのセンシング部を選択し、当該センシング部にて検知した振動に基づく減衰率から生成することができる。また、関係モデル生成部130は、関係モデルとして、例えばARX(Auto−Regressive eXogenous)モデル等の公知のモデルを生成することができる。
判定部140は、関係モデル生成部130にて生成した関係モデルより導出した減衰率に関する予測値と、減衰率算出部120で算出した減衰率に基づいて、土壌の状態を判定する。一例として、判定部140は、減衰率算出部120で算出した実測値である減衰率と、予測値との間の相違から、斜面等の状態が変化したと判断することができる。より詳しくは、判定部140は、減衰率算出部120で算出した減衰率と、予測値との間の差が所定の変化判定閾値を超えた場合に、斜面等の状態が変化したと判断することができる。
次に、図2を用いて、本発明の第1の実施形態における検知システム100の動作を説明する。
検知システム100において、検知装置110は、まず、複数のセンシング部101−1〜101−nが検知した斜面等の振動に関するデータを取得する(ステップS201)。
続いて、減衰率算出部120は、ステップS201で取得した斜面等の振動に関するデータから、振動の減衰率を算出する(ステップS202)。このステップにおいて、一例として、減衰率算出部120は、後述する関係モデルを生成するために必要なデータ長となるために十分な期間の振動の減衰率を算出する。
続いて、関係モデル生成部130は、ステップS202で算出した所定の期間における振動の減衰率に基づいて、関係モデルを生成する(ステップS203)。
続いて、判定部140は、ステップS203で生成した関係モデルより導出した減衰率に関する予測値と、ステップS202で算出した振動の減衰率とに基づいて、斜面等における土壌の状態を判定する(ステップS204)。このステップにおいて、判定部140は、先に説明したとおり、一例として、減衰率算出部120で算出した減衰率と、予測値との間の相違が所定の変化判定閾値を超えた場合に、斜面等における土壌の状態が変化したと判断することができる。
以上の通り、本実施形態における検知システム100は、関係モデルに基づいて減衰率の予測値を算出し、予測値及び減衰率の実測値に基づいて斜面等における土壌の状態を判定する。検知システム100は、経験、過去の実例、地質データ等を用いなくとも斜面等の状態を分析することができる。したがって、本実施形態における検知システム100は、新たに崩壊の危険性を評価する斜面等においても、斜面等の崩壊の危険性を検知することができる。また、本実施形態における検知システム100の構成要素である検知装置110は、同様の作用及び効果を奏することができる。
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。図3は、本発明の第2の実施形態における検知システム及び検知装置の構成を示すブロック図である。図4は、本発明の第2の実施形態における検知システムに含まれる検知装置の動作を示すフローチャートである。図5は、本発明の第2の実施形態における検知システムに含まれる検知装置の減衰率算出部の動作を示すフローチャートである。図6は、本発明の第2の実施形態における検知システムに含まれる検知装置の関係モデル生成部の動作を示すフローチャートである。図7は、本発明の第2の実施形態における検知システムに含まれる検知装置の判定部の動作を示すフローチャートである。
図3に示す通り、本発明の第2の実施形態における検知システム300は、複数のセンシング部301−1〜301−nと、複数のセンシング部301−1〜301−nで検出した振動に基づいて土壌の状態を判定する検知装置310とを備える。また、検知装置310は、減衰率算出部320と、モデル化期間選定部330と、関係モデル生成部331と、判定部340と、記憶部350とを有する。減衰率算出部320は、複数のセンシング部301−1〜301−nの各々で検出した振動の減衰率を算出する。モデル化期間選定部330は、関係モデル生成部331において関係モデルを導出するために用いる減衰率の測定期間を選定する。関係モデル生成部331は、所定の期間における減衰率に基づいて、関係モデルを生成する。判定部340は、関係モデルより導出した減衰率に関する予測値及び減衰率算出部320で算出した減衰率の実測値に基づいて、土壌の状態を判定する。記憶部350は、減衰率、関係モデル、及び判定部において判定の基準となる変化判定閾値を記憶する。なお、一例として、第1の実施形態における検知装置110の場合と同様に、本実施形態における検知装置310のうち減衰率算出部320は、信号処理を行うアナライザ装置により実現することができる。また、検知装置310のうちモデル化期間選定部330、関係モデル生成部331及び判定部340は、ネットワークに接続されたサーバ、PC又はマイクロコンピュータ等で実行されるプログラムとして実現することができる。
本実施形態において、複数のセンシング部301−1〜301−nは、第1の実施形態における複数のセンシング部101−1〜101−nと基本的に同様の構成である。複数のセンシング部301−1〜301−nにて検知したデータは、有線又は無線の通信手段を含む任意の手段により、検知装置310に送られる。
同様に、本実施形態において、検知装置310に含まれる減衰率算出部320は、下記に説明する機能以外に関しては、基本的に第1の実施形態における減衰率算出部120と、同様の機能を有する。関係モデル生成部331及び判定部340に関しても、下記に説明する内容以外に関しては、基本的に第1の実施形態における関係モデル生成部130及び判定部140と、それぞれ同様の機能を有する。
次に、図3及び図4を用いて、本発明の第2の実施形態における検知システム300の動作を説明する。
検知システム300において、検知装置310の減衰率算出部320は、まず、複数のセンシング部301−1〜301−nが検知した斜面等の振動に関するデータを取得する(ステップS401)。この場合において、検知装置310は、複数のセンシング部301−1〜301−nが検知した斜面等の振動に関するデータから、ノイズを除去するフィルタリング処理を行うことができる。
続いて、減衰率算出部320は、ステップS401で取得した斜面等の振動に関するデータから、振動の減衰率を算出する(ステップS402)。この算出手順の詳細は後述する。
続いて、モデル化期間選定部330は、関係モデルを生成するために用いる振動の減衰率の計測期間(つまり、前述した所定の期間)を選定する(ステップS403)。モデル化期間選定部330が選定する振動の減衰率の計測期間は、それまでの状態の判定状況等に応じて決定される。例えば、次ステップにて関係モデル生成部331が初めて関係モデルを生成する場合、モデル化期間選定部330は、複数のセンシング部301−1〜301−nが計測を開始してから一定の期間を選定することができる。
続いて、関係モデル生成部331は、ステップS403で選定した期間における振動の減衰率に基づいて、関係モデルを生成する(ステップS404)。この生成手順の詳細についても後述する。
続いて、検知装置310は、まず、複数のセンシング部301−1〜301−nが検知した斜面等の振動に関するデータを取得する(ステップS405)。この場合の算出手順は、ステップS401における取得手順と同様に取得することができる。
続いて、減衰率算出部320は、ステップS404で取得した斜面等の振動に関するデータから、振動の減衰率を算出する(ステップS406)。この場合の算出手順は、ステップS402における算出手順と同様に算出することができる。
続いて、判定部340は、ステップS405及び406にて算出した実測値である振動の減衰率が、ステップS404で生成された関係モデルから導出される予測値と変化判定閾値以上に相違するかを判定する(ステップS407)。この判定手順の詳細については後述する。判定の結果、減衰率の実測値が予測値と変化判定閾値以上に相違する場合には、斜面等における土壌の状態に変化があると判定する(ステップS408)。判定した結果は、例えば図示しない通知部などにより外部に通知される。また、この場合には、検知装置310は、計測を継続するかを判断する(ステップS409)。計測を継続すると判断した場合、検知装置310は、処理を継続する。
なお、ステップS409において、計測を継続するか否かを判断するための条件として、例えば、検知装置310は、判定対象となる斜面等が崩壊した場合に計測を終了することができる。しかしながら、この例に限られず、検知装置310は、その他の条件により計測を継続するかを判断してもよい。
また、ステップS409において、計測を継続すると判断した場合、繰り返し後のステップS403において、モデル化期間選定部330は、振動の減衰率の計測期間として、それまでとは異なる計測期間を新たに選定する。一例として、モデル化期間選定部330は、先に説明した減衰率と予測値との相違(つまり、予測誤差)の変化がなくなった時点を、それまでと異なる計測期間の開始時点として選定することができる。モデル化期間選定部330は、先に説明した減衰率と予測値との相違の変化がなくなった時点を、当該減衰率と予測値との差の微分値が0でない期間の終了時点を導出することにより求めることができる。
更に、ステップS406において、減衰率の実測値が予測値と変化判定閾値以上に相違しない場合には、検知装置310は、ステップS404に戻り、動作を継続する。
次に、図5を用いて、本発明の第2の実施形態における減衰率算出部320の具体的な動作の一例を説明する。減衰率算出部320は、以下に説明する動作を、複数のセンシング部301−1〜301−nの各々に対して行う。
減衰率算出部320は、まず、複数のセンシング部301−1〜301−nの各々が検知した斜面等の振動に関するデータを取得する(ステップS501)。この場合において、検知装置310は、複数のセンシング部301−1〜301−nが検知した斜面等の振動に関するデータから、ノイズを除去するフィルタリング処理を行うことができる。
続いて、減衰率算出部320は、取得したデータから、複数のセンシング部301−1〜301−nの各々が検知した1回分の振動に関するデータを切出す(ステップS502)。切出し対象とするデータの期間は、複数のセンシング部301−1〜301−nの各々が検知した振動の種類から適宜定めることができる。
続いて、減衰率算出部320は、切出した1回分の振動に関するデータから振動のピーク値を検出する(ステップS503)。振動のピーク値は、切出した1回分の振動に関するデータにおいて、振動の振幅が最大となる場合の振幅とすることができる。
続いて、減衰率算出部320は、振動の第2ピーク値を検出する(ステップS504)。振動の第2ピーク値は、切出した1回分の振動に関するデータにおいて、振動の振幅が2番目に大きい場合の振幅とすることができる。この場合において、検出対象となるデータは、切出した1回分の振動に関するデータにおいて、振動のピーク値を検知した時刻よりも遅い時刻のデータである。なお、減衰率算出部320は、切出した1回分の振動に関するデータにおいて、振動の振幅が3番目に大きい場合の振幅である、振動の第3ピーク値を求めてもよい。また、減衰率算出部320は、それ以降のピーク値を求めてもよい。算出する振動のピーク値の範囲は、必要とされる振動の減衰率の精度などに応じて適宜定めることができる。
続いて、減衰率算出部320は、振動の減衰率を算出する(ステップS505)。振動の減衰率は、ステップS503及びステップS504にて求めた振動の各々のピーク値に基づいて求めることができる。例えば、振動の減衰率は、振動のピーク値と、振動の第2ピーク値との差や比等から算出することができる。また、振動の減衰率は、振動の第3ピーク値以降のピーク値を用いて算出することもできる。算出された振動の減衰率は、記憶部350に記憶される。
続いて、減衰率算出部320は、ステップS505にて算出した振動の減衰率を、減衰率時系列データに追加する(ステップS506)。減衰率時系列データは、振動の減衰率を時系列として集めたデータである。減衰率時系列データは、記憶部350に記憶される。この場合において、減衰率時系列データは、一定間隔毎の振動の減衰率を集めてもよいし、不定間隔にて振動の減衰率を集めてもよい。
続いて、減衰率算出部320は、減衰率時系列データが十分な長さであるかを判定する(ステップS507)。減衰率時系列データは、関係モデルを生成するために必要なデータ長よりも大きい(長い)場合に、十分な長さであるとすることができる。減衰率時系列データが十分な長さである場合には、減衰率算出部320は、減衰率の算出処理を終了する。減衰率時系列データが十分な長さではない場合には、減衰率算出部320は、ステップS501に戻って処理を継続する。この場合には、減衰率算出部320は、ステップS502にて1回分の振動に関するデータを切出す際に、前回のステップS502での処理で切出した振動に関するデータより遅い時刻に生じた振動に関するデータを切出すようにする。
次に、図6を用いて、本発明の第2の実施形態における関係モデル生成部331の具体的な動作の一例を説明する。なお、図6では、複数のセンシング部301−1〜301−nの数はn個であるとして説明する。
関係モデル生成部331は、まず、処理に必要な内部変数i、jの初期化を行う(ステップS601)。続いて、関係モデル生成部331は、複数のセンシング部301−1〜301−nから、1つ目のセンシング部の減衰率時系列データを選択して記憶部350から取得する(ステップS602)。続いて、関係モデル生成部331は、複数のセンシング部301−1〜301−nから、2つ目のセンシング部の減衰率時系列データを選択して記憶部350から取得する(ステップS603)。この場合において、関係モデル生成部331は、1つ目のセンシング部の減衰率時系列データと、2つ目のセンシング部の減衰率時系列データとが、同じセンシング部からのデータであるかを調べる(ステップS604)。同じセンシング部からのデータである場合は、関係モデル生成部331は、ステップS603に戻り、異なるセンシング部である2つ目のセンシング部の減衰率時系列データを改めて選択して記憶部350から取得する。
続いて、関係モデル生成部331は、これまでに選択した減衰率時系列データに基づいて、関係モデルを生成する(ステップS605)。算出された関係モデルは、記憶部350に記憶される。関係モデルの一例として、関係モデル生成部331は、ARX(Auto−Regressive eXogenous)モデルを生成する。ただし、関係モデル生成部331は、ARXモデル以外のモデルを生成してもよい。ARXモデルは、一方の値を他方のデータを用いて予測するモデルである。センサA、Bの時刻tにおける減衰率をδA(t)、δB(t)とすると、δB(t)の予測値は、以下(1)式のように、センサA及びBの減衰率を用いて表すことができる。δA(t)の予測値も、センサA及びBの減衰率を用いて表すことができる。
^δB(t)=a0・δA(t)+a1・δA(t−1)+a2・δA(t−2)+…+an・δA(t−n)+b1・δB(t−1)+b2・δB(t−2)+…+bm・δB(t−m)+c・・・(1)
なお、式中の記号の意味は次の通りである。
^:予測値を表す。
a0、a1、…、an、b1、b2、…、bn、c:モデル学習時の学習対象となる定数である。
続いて、関係モデル生成部331は、変化判定閾値を算出する(ステップS606)。算出された変化判定閾値は、記憶部350に記憶される。関係モデル生成部331は、ステップS605にて生成した関係モデルや、関係モデルの生成に用いた減衰率時系列データ等を用いて、変化判定閾値を算出することができる。一例として、閾値は、ステップS605にて関係モデルを生成する場合に用いた減衰率時系列データの実測値と、ステップS605にて生成した関係モデルから導出した減衰率の予測値との差分が所定の範囲となるように定めることができる。
続いて、関係モデル生成部331は、ステップS605にて生成した関係モデル及びステップS606にて算出した変化判定閾値を記憶部350に記憶する(ステップS607)。
続いて、関係モデル生成部331は、複数のセンシング部301−1〜301−nから異なるセンシング部を対象とするため、内部変数の処理を行う(ステップS608、ステップS609)。そして、関係モデル生成部331は、ステップS602又はステップS603に戻り、関係モデルの生成及び変化判定閾値の算出処理を繰り返す。関係モデル生成部331は、関係モデルの生成及び変化判定閾値の算出処理を、複数のセンシング部301−1〜301−nの中の2つのセンシング部の組み合わせ全てに対して行うまで繰り返す。
なお、図6では、関係モデル生成部331は、複数のセンシング部301−1〜301−nの中の2つのセンシング部の組み合わせ全てに対して関係モデルの生成及び変化判定閾値の算出を行うものとした。しかしながら、斜面等の状態により、複数のセンシング部301−1〜301−nのうち判定対象とするセンシング部を絞り込む場合は、関係モデル生成部331の動作はこれに限られない。すなわち、関係モデル生成部331は、複数のセンシング部301−1〜301−nのうち判定対象とするセンシング部間の関係モデルの生成及び変化判定閾値の算出のみを行うことができる。判定対象とするセンシング部の絞り込みは、判定対象とする斜面等や、必要とされる判定精度等に応じて適宜行うことができる。
次に、図7を用いて、本発明の第2の実施形態における判定部340の具体的な動作の一例を説明する。
判定部340は、まず、処理に必要な内部変数の初期化を行う(ステップS701)。続いて、判定部340は、複数のセンシング部301−1〜301−nから、1つ目のセンシング部の減衰率時系列データを選択し、記憶部350から取得する(ステップS702)。続いて、判定部340は、複数のセンシング部301−1〜301−nから、2つ目のセンシング部の減衰率時系列データを選択し、記憶部350から取得する(ステップS703)。この場合において、判定部340は、1つ目のセンシング部の減衰率時系列データと、2つ目のセンシング部の減衰率時系列データとが、同じセンシング部からのデータであるかを調べる(ステップS704)。同じセンシング部からのデータである場合は、異なるセンシング部からのデータを選択するよう、判定部340は、ステップS703に戻り、2つ目のセンシング部の減衰率データを改めて選択する。
続いて、判定部340は、それまでのステップで減衰率時系列データを選択した2つのセンシング部に対応する関係モデルを記憶部350から取得する(ステップS705)。
続いて、判定部340は、それまでのステップで選択した減衰率時系列データと、ステップS704にて取得した関係モデルを用いて、減衰率の予測値を算出する(ステップS706)。
続いて、判定部340は、減衰率時系列データに含まれる減衰率の実測値と、ステップS706にて算出した減衰率の予測値が変化判定閾値以上に相違するか判定する(ステップS707)。この場合において、判定部340は、関係モデル生成部331にて予め算出し、記憶部350に記憶した変化判定閾値を記憶部350から取得して用いることができる。また、判定部340は、上述する予測値と実測値との差を算出して、変化判定閾値と比較することができる。上述する予測値と実測値とが変化判定閾値以上に相違する場合、判定部340は、状態が変化したと判定する(ステップS708)。判定した結果は、任意の通知手段を用いるなどして外部へ通知することができる。
続いて、判定部340は、複数のセンシング部301−1〜301−nから異なるセンシング部を対象とするため、内部変数の処理を行う(ステップS709、ステップS710)。続いて、判定部340は、ステップS702又はステップS703に戻り、判定処理を繰り返す。判定部340は、判定処理を、複数のセンシング部301−1〜301−nの中の2つのセンシング部の組み合わせ全てに対して行うまで繰り返す。ただし、判定部340は、複数のセンシング部301−1〜301−nのうち判定対象とするセンシング部間に対してのみ関係モデルが生成されている場合、当該センシング部間の判定処理のみを行うことができる。
以上の通り、本実施形態における検知システム300は、第1の実施形態における検知システム100と同様に、関係モデルに基づいて減衰率の予測値を算出し、予測値と減衰率の実測値に基づいて斜面等における土壌の状態を判定する。検知システム300は、経験、過去の実例、地質データ等を用いなくとも斜面等における土壌の状態を分析することができる。したがって、本実施形態における検知システム300は、新たに崩壊の危険性を評価する斜面等において、斜面等の崩壊の危険性を検知することができる。更に、本実施形態における検知システム300は、例えば関係モデルの予測誤差の変動に基づき、異なる計測期間における振動の減衰率を用いて、繰り返し関係モデルを生成することができる。そのため、本実施形態における検知システム300は、斜面等の変化をより正確に判定できる。また、本実施形態における検知システム300の構成要素である検知装置310は、同様の作用及び効果を奏することができる。
(第2の実施形態の変形例)
本実施形態に対しては、種々の変形を施すことが可能である。一例として、本実施形態における検知システム300は、複数のセンシング部301−1〜301−nにて取得したデータからノイズを除去するノイズフィルタリング部を更に備えることができる。ノイズフィルタリング部は、例えば、ローパスフィルタやハイパスフィルタ機能を備えたロガーにより実現することができる。
また、別の一例として、複数のセンシング部301−1〜301−nは、土中水分計を用いることができる。土中水分計は、例えば土壌の含水率を検知する。このようにすることで、検知装置310は、斜面等に生じる振動を求めなくとも、斜面等における土壌の状態を判定することができる。この場合の一例として、検知装置310に含まれる減衰率算出部320は、土中水分計が検知した土壌の含水率に関するデータを取得し、当該データの時系列データを作成する。そして、減衰率算出部320は、土壌の含水率に関する時系列データ長が十分な長さであるかの判断を行う構成とすることができる。すなわち、減衰率算出部320は、図5に示す処理のうち、ステップS502からステップS505までの処理を省略することができる。この変形例においても、検知装置310は、本実施形態の検知装置310と同様の効果を奏する。
(実施例1)
次に、本発明における検知システムの実施例である崩壊危険度検知システムについて説明する。図8は、本発明における検知システムを用いた崩壊危険度検知システム800の構成を示すブロック図である。図9は、本実施例における加速度センサの配置を示す図である。図10は、本実施例における崩壊危険度検知システム800の振動の減衰率に関する図である。
図8に示す通り、本発明の第1の実施形態における崩壊危険度検知システム800は、加速度センサA801−1と、加速度センサB801−2と、FFT(Fast Fourier Transform)アナライザ802と、PC(Personal Computer)803と、ディスプレイ804とを有する。
加速度センサA801−1及び加速度センサB801−2は、本発明の各実施形態における複数のセンシング部に相当する。FFTアナライザ802及びPC803は、本発明の各実施形態における検知装置を構成する。具体的には、FFTアナライザ802は、本発明の各実施形態における減衰率算出部に相当する。また、PC803は、本発明の各実施形態におけるモデル化期間選定部、関係モデル生成部、判定部及び記憶部を構成する。
本実施例においては、加速度センサA801−1は、斜面の一地点において深さ10cm(センチメートル)の位置に埋設される。また、加速度センサB801−2は、斜面の加速度センサA801−1が埋設された地点と同一地点において深さ30cmの位置に埋設される。加速度センサA801−1及び加速度センサB801−2は、無線にてFFTアナライザ802と通信する機能を有する。すなわち、加速度センサA801−1及び加速度センサB801−2は、計測データを無線にてFFTアナライザ802へ送信する。
続いて、図8から図10の各図面を参照して、本実施例における崩壊危険度検知システム800の動作を説明する。この動作例においては、斜面に時間的に連続して降雨が生じているとする。
斜面に連続して降雨が生じている場合、時刻がt1、t2、t3の順に経過すると、斜面内の地下水位が図9に示す各々の時刻に対する水位線のように上昇していく。この場合において、崩壊危険度検知システム800は、時刻t1より前の時点で加速度センサA801−1及び加速度センサB801−2のデータを計測する。加速度センサA801−1及び加速度センサB801−2にて計測されるデータは、雨が斜面等に当たる際の振動に関するデータが含まれる。
FFTアナライザ802は、本発明の実施形態における減衰率算出部として、加速度センサA801−1及び加速度センサB801−2が計測したデータから、図5に示す手順にて減衰率をそれぞれ算出する。算出された減衰率は、図10(A)において、実測値A及び実測値Bとして示される。
続いて、PC803は、図6に示す手順にて、加速度センサA801−1及び加速度センサB801−2間の関係モデルであるARXモデルを導出する。導出されるARXモデルは、加速度センサA801−1及び加速度センサB801−2が時刻t1より前の時点で計測したデータに基づいて、加速度センサB801−2が計測するデータに基づき算出される減衰率を予測するものである。
また、PC803は、生成されたARXモデルと、モデル生成のために用いたデータとに基づいて、加速度センサB801−2が計測するデータに基づき算出される減衰率の予測値を算出する。この予測値は、図10(A)において、予測値(1)として示される。そして、PC803は、予測値と実測値との差の絶対値の最大値を、斜面における土壌の変化判定時の予測誤差の変化判定閾値とする。
モデルが生成されると、崩壊危険度検知システム800は、加速度センサA801−1及び加速度センサB801−2によるデータ計測、FFTアナライザ802による減衰率算出、PC803による減衰率と予測値との相違の確認動作を繰り返す。これは図4におけるステップS404からステップS406の動作に相当する。図10(A)に示すように、崩壊危険度検知システム800は、時刻t1では、減衰率と予測値とが変化判定閾値以上に相違しないため、斜面における土壌の状態に変化があるとは判定しない。しかしながら、図9に示すように、時刻t2では、センサB801−2が埋設されている地点まで水位が到達する。その結果、センサB801−2が計測するデータに変化が生じる。そして、図10(A)に示すように、時刻t2付近において、減衰率の実測値と予測値とが変化判定閾値以上に相違する。そのため、PC803は、斜面における土壌の状態に変化が起きたと判定する。変化が起きたとの判定結果は、例えばディスプレイ804にて表示される。
その後、崩壊危険度検知システム800は、改めて、加速度センサA801−1及び加速度センサB801−2間の関係モデルであるARXモデルを生成する。ARXモデルの導出において、モデルを生成するために用いられるデータは、図10(B)に示すように、次に説明する期間のデータが用いられる。すなわち、予測誤差である先に説明した減衰率Bと予測値B’の差の微分値d(B’−B)/dtが0でない期間(予測誤差に変化が生じている期間)2×ΔTの後であり、かつ、予測誤差の微分値が0でない期間の半分の期間ΔTのデータがモデルを生成するために用いられる。PC803は、加速度センサA801−1及び加速度センサB801−2が当該期間に計測したデータにおける減衰率に基づいて、再度関係モデルであるARXモデルを生成する。また、PC803は、再度生成されたARXモデルと、モデル生成のために用いたデータとに基づいて、加速度センサB801−2が計測するデータに基づき算出される減衰率の予測値を算出する。この予測値は、図10(A)において、予測値(2)として示される。
ARXモデルが新たに生成されると、崩壊危険度検知システム800は、加速度センサA801−1及び加速度センサB801−2によるデータ計測、FFTアナライザ802による減衰率算出、PC803による減衰率と予測値との相違の確認動作を繰り返す。この動作を繰り返していると、図9に示すように、時刻t3において、センサA801−1が埋設されている地点まで水位が到達する。したがって、図10(A)に示すように、時刻t3付近において、減衰率の実測値と新たに生成されたARXモデルに基づく予測値とが変化判定閾値以上に相違する。そのため、PC803は、斜面における土壌の状態に再度変化が起きたと判定する。変化が起きたとの判定結果は、例えばディスプレイ804にて表示される。以降、崩壊危険度検知システム800は、ARXモデルの再生成等の動作を繰り返す。崩壊危険度検知システム800は、このような動作を、例えば降雨がなくなったり、斜面が崩壊したりするまで繰り返すことができる。
以上の通り、本実施例における崩壊危険度検知システム800は、斜面の土中水位の変化に応じて、斜面の状態に変化が生じたことを通知することができる。すなわち、崩壊危険度検知システム800は、土砂災害の予兆検知に利用することができる。
(実施例2)
次に、本発明における検知システムの別の実施例である崩壊危険度検知システムについて説明する。図11は、本実施例における加速度センサの配置を示す図である。
本実施例における崩壊危険度検知システム800は、基本的には実施例1における崩壊危険度検知システムと同一の構成を有する。
一方、本実施例において、加速度センサA801−1は、斜面長10m(メートル)の斜面において、法肩から3m下の地点の深さ20cmの位置に埋設される。また、加速度センサB801−2は、斜面の法尻から3m上の深さ20cmの位置に埋設される。このように加速度センサA801−1及び加速度センサB801−2を配置しても、崩壊危険度検知システム800は、実施例1の場合と同様に、土砂災害の予兆検知に利用することができる。
以上、実施形態(及び実施例)を参照して本願発明を説明したが、本願発明は上記実施形態(及び実施例)に限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、本願発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
この出願は、2014年5月29日に出願された日本出願特願2014−110784を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。
本願発明の一部または全部は、以下の付記のように記載されうるが、これに限られない。
(付記1)
複数のセンシング部で検出した振動の各々の減衰率を算出する減衰率算出手段と、
所定の期間における前記減衰率に基づいて、関係モデルを生成する関係モデル生成手段と、
前記関係モデルより導出した減衰率に関する予測値及び前記減衰率算出手段で算出した前記減衰率に基づいて、土壌の状態を判定する判定手段とを有する、検知装置。
(付記2)
前記判定手段は、前記減衰率と、前記減衰率に関する予測値とが所定の閾値以上に相違する場合に土壌の状態が変化したと判定する、付記1に記載の検知装置。
(付記3)
前記関係モデル生成手段は、前記複数のセンシング部のうち、2つのセンシング部の各々にて検出した振動から前記減衰率算出手段で算出した前記減衰率の関係に基づいて前記関係モデルを生成する、付記1又は2に記載の検知システム。
(付記4)
前記関係モデル生成手段は、前記複数のセンシング部のうち、全ての2つのセンサの組について、各々にて検出した振動から前記減衰率算出手段で算出した前記減衰率の関係に基づいて前記関係モデルを生成する、付記1から3のいずれか一項に記載の検知装置。
(付記5)
前記減衰率算出手段は、前記所定の期間以降の期間において前記複数のセンシング部で検出した振動の各々の減衰率を算出し、
前記判定手段は、前記関係モデルより導出した減衰率に関する予測値と、前記減衰率算出手段が前記所定の期間以降の期間において前記複数のセンシング部で検出した振動の前記減衰率とに基づいて土壌の状態を判定する、付記1から4のいずれか一項に記載の検知装置。
(付記6)
前記関係モデル生成手段は、前記判定手段が前記土壌の状態に変化がありと判断した場合に関係モデルを生成する、付記1から5のいずれか一項に記載の検知装置。
(付記7)
前記関係モデル生成手段は、所定の期間における前記減衰率に基づいて関係モデルを生成した後に前記判定手段が前記土壌の状態に変化がありと判断した場合に、前記所定の期間とは異なる所定の期間における前記減衰率に基づいて関係モデルを生成する、付記1から6のいずれか一項に記載の検知装置。
(付記8)
前記関係モデル生成手段は、前記減衰率と、前記減衰率に関する予測値とに相違が生じている期間が終了した時点を、前記所定の期間の開始時点とする、付記1から7のいずれか一項に記載の検知装置。
(付記9)
複数のセンシング部と、
付記1から8のいずれか一項に記載の検知装置とを備える、検知システム。
(付記10)
複数のセンシング部で検出した振動の各々の減衰率を算出し、
所定の期間における前記減衰率に基づいて、関係モデルを生成し、
前記関係モデルより導出した減衰率に関する予測値及び算出した前記減衰率に基づいて、土壌の状態を判定する、判定方法。
(付記11)
コンピュータに、
複数のセンシング部で検出した振動の各々の減衰率を算出する処理と、
所定の期間における前記減衰率に基づいて、関係モデルを生成する処理と、
前記関係モデルより導出した減衰率に関する予測値及び算出した前記減衰率に基づいて、土壌の状態を判定する処理とを実行させる、プログラム。
(付記12)
複数のセンシング部と、
前記複数のセンシング部で検出した土壌の状態を判定するために必要となる事象に関する情報に基づいて土壌の状態を判定する検知装置とを備え、
前記検知装置は、
所定の期間において前記複数のセンシング部の各々で検出した前記情報に基づいて、関係モデルを生成する関係モデル生成手段と、
前記関係モデルより導出した前記情報に関する予測値及び前記情報に基づいて、土壌の状態を判定する判定手段とを有する、
検知システム。
(付記13)
前記情報は、土壌の含水率に関する情報である、付記12に記載の検知システム。
100、300 検知システム
101、301 センシング部
110、310 検知装置
120、320 減衰率算出部
130、331 関係モデル生成部
140、340 判定部
330 モデル化期間選定部
350 記憶部
800 崩壊危険度検知システム
801−1、801−2 加速度センサ
802 FFTアナライザ
803 PC
804 ディスプレイ
1000 情報処理装置
1001 CPU
1002 ROM
1003 RAM
1004 プログラム
1005 記憶装置
1006 記憶媒体
1007 ドライブ装置
1008 通信インターフェース
1009 通信ネットワーク
1010 入出力インターフェース
1011 バス

Claims (10)

  1. 複数のセンシング部で検出した振動の各々の減衰率を算出する減衰率算出手段と、
    所定の期間における前記減衰率に基づいて、関係モデルを生成する関係モデル生成手段と、
    前記関係モデルより導出した減衰率に関する予測値及び前記減衰率算出手段で算出した前記減衰率に基づいて、土壌の状態を判定する判定手段とを有する、検知装置。
  2. 前記判定手段は、前記減衰率と、前記減衰率に関する予測値とが所定の閾値以上に相違する場合に土壌の状態が変化したと判定する、請求項1に記載の検知装置。
  3. 前記関係モデル生成手段は、前記複数のセンシング部のうち、2つのセンシング部の各々にて検出した振動から前記減衰率算出手段で算出した前記減衰率の関係に基づいて前記関係モデルを生成する、請求項1又は2に記載の検知装置。
  4. 前記関係モデル生成手段は、前記複数のセンシング部のうち、全ての2つのセンサの組について、各々にて検出した振動から前記減衰率算出手段で算出した前記減衰率の関係に基づいて前記関係モデルを生成する、請求項1から3のいずれか一項に記載の検知装置。
  5. 前記減衰率算出手段は、前記所定の期間以降の期間において前記複数のセンシング部で検出した振動の各々の減衰率を算出し、
    前記判定手段は、前記関係モデルより導出した減衰率に関する予測値と、前記減衰率算出手段が前記所定の期間以降の期間において前記複数のセンシング部で検出した振動の前記減衰率とに基づいて土壌の状態を判定する、請求項1から4のいずれか一項に記載の検知装置。
  6. 前記関係モデル生成手段は、所定の期間における前記減衰率に基づいて関係モデルを生成した後に前記判定手段が前記土壌の状態に変化がありと判断した場合に、前記所定の期間とは異なる所定の期間における前記減衰率に基づいて関係モデルを生成する、請求項1から4のいずれか一項に記載の検知装置。
  7. 前記関係モデル生成手段は、前記減衰率と、前記減衰率に関する予測値とに相違が生じている期間が終了した時点を、前記所定の期間の開始時点とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の検知装置。
  8. 複数のセンシング部と、
    請求項1から7のいずれか一項に記載の検知装置とを備える、検知システム。
  9. 複数のセンシング部で検出した振動の各々の減衰率を算出し、
    所定の期間における前記減衰率に基づいて、関係モデルを生成し、
    前記関係モデルより導出した減衰率に関する予測値及び算出した前記減衰率に基づいて、土壌の状態を判定する、判定方法。
  10. コンピュータに、
    複数のセンシング部で検出した振動の各々の減衰率を算出する処理と、
    所定の期間における前記減衰率に基づいて、関係モデルを生成する処理と、
    前記関係モデルより導出した減衰率に関する予測値及び算出した前記減衰率に基づいて、土壌の状態を判定する処理とを実行させるプログラム
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