JP5504058B2 - 落石危険度判定方法及び装置、並びにプログラム - Google Patents

落石危険度判定方法及び装置、並びにプログラム Download PDF

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Description

本発明は、岩石等の浮石部と岩盤または地盤等の基盤部それぞれの振動を計測し、前記浮石部に関し落石危険度の判定を行う落石危険度判定方法及び装置並びにプログラムに関する。特に、得られた計測情報(振動記録)から算出される前記浮石部の振動特性と基盤部の振動特性の相関性を考慮して、前記浮石部の落石危険度を判定する技術に関する。
落石は、例えば高速道路や国道等をはじめとする道路を走行中の車両や周囲にある建造物等に甚大な被害を与えうるため、特に落石の危険性が高い危険箇所に対しては法面の補強や岩石の撤去あるいは防護柵の設置等を行ったり、当該箇所を定期的に監視したりするなどの何らかの対応を速やかにとらなければならない。そのため、落石の危険度が高いと思われる岩盤または地盤等については、実際に人がそうした現地に赴いて目視点検等により点検を行い落石危険度を判定することによって、何らかの対応が早急に必要な危険箇所として特定することが行われていた。
しかしながら、人手による目視点検(及び落石危険度の判定)には多大な労力を要することから、特に危険箇所が広範囲にわたるような現場では不向きである。また、それだけでなく目視点検等を行った点検作業員個々人の主観によってどうしても点検結果が異なるという欠点があり、客観的な危険度判定ができない点からも非常に都合が悪い。
そこで、上記問題点を解決するために、予め落石の恐れがある岩石に対して3軸(X軸,Y軸,Z軸)方向それぞれの加速値を計測可能な加速度計を設置しておき、当該岩石の移動に伴う加速度を検出して落石危険度を判定するようにしたシステムが従来から知られている。こうした人手によらずに落石危険度を判定する技術の一例を挙げると、例えば下記に示す特許文献1に記載のシステムなどがある。
また、別の例を挙げると、下記に示す非特許文献1に記載されている技術が提案されている。この非特許文献1に記載されている技術では、予め落石の恐れがある岩石(浮石部と呼ぶ)と直近の安定した岩盤または地盤(基盤部と呼ぶ)それぞれにそれらの振動を計測可能な振動計を設置しておき、例えば近辺を走行中の車両等から発生される道路交通振動を振動源として当該岩石と地盤それぞれが振動することに伴って計測されるそれぞれの振動波形の記録(振動記録)から、危険度判定の判定因子すなわちパラメータとして振動特性(具体的にはRMS(Root Mean Squareの略)速度振幅比、卓越周波数、減衰定数)を算出し、これらに基づき落石危険度を判定するようになっている。
ここで、危険度判定の判定因子であるRMS速度振幅比、卓越周波数、減衰定数について説明する。前記RMS速度振幅比は揺れの大きさを示す指標であり、浮石部の振動と基盤部の振動の大きさの比をとって数1により算出される。一般的に振動計から取得する計測情報には様々な方向から到来した波が含まれており、浮石部と基盤部の振動を個々に対応させることは困難であるが、前記RMS速度振幅比を用いることにより一定時間内の振動の全体的な傾向を統計量として示すことができる。例えば、RMS速度振幅比が1であれば浮石部と基盤部は同じ振幅で揺れていることを表し、RMS速度振幅比が大きな値であればその値に対応して浮石部が基盤部より大きな振幅で揺れていることを表す。
Figure 0005504058
前記卓越周波数及び減衰定数は、それぞれ揺れの速さ及び揺れ易さを示す指標である。詳細な手順については後述するが(図6参照)、これらの算定に際しては、浮石部と基盤部の振動計測の結果(振動記録)を用いてフーリエ変換(FFT)による周波数分析を行って各種スペクトルを求め、それらに基づいて数2による周波数応答関数を計算する。
Figure 0005504058
次に、前記求めた周波数応答関数に予め決めてある1質点系1自由度系の物理的なモデルをあてはめて、卓越周波数及び減衰定数を推定する。ここで、実測した観測スペクトルである周波数応答関数と前記物理的なモデルから予測される理論スペクトルとを比較して、前記観測スペクトルを最も良く説明する卓越周波数及び減衰定数の組を探索する。上記1質点系1自由度系の物理的なモデルは、数3によって表される。
Figure 0005504058
上記卓越周波数及び減衰定数の組を探索するために、モデル逆解析が行われる。モデル逆解析では、取得した振動記録から算出した周波数応答関数に最も近い形の理論的な応答倍率を与える卓越周波数と減衰定数とを求める。従来においては、非線形最小二乗法を用いてのモデル逆解析が行われている。この非線形最小二乗法によるモデル逆解析では、前記周波数応答関数の算出結果からピークとなる卓越周波数(具体的には、応答倍率が最大となる周波数)を技術者が適宜に推定(指定)する。そして、人によって適宜に推定された卓越周波数に合致する上記数3によって示される理論モデルを非線形最小二乗法により算定して、減衰定数を算出するようになっている(図10(a)参照)。
特開2008−215913号公報
土木学会論文集No.749/VI-61,123-125,2003.12
しかしながら、上記特許文献1に記載のシステムでは落石危険度の判定対象とする岩石(浮石部)が移動することのみに着目して、つまりは岩石の移動に応じて発生される加速度のみに基づいて落石危険度の判定を行っている。そのために、例えば当該岩石とその周囲の地盤(基盤部)とが密着した状態にあり、地盤そのものが移動したような場合には岩石のみが移動して落下する落石の可能性が低いにも関わらず、こうした落石の危険性が低いケースである地盤と共に岩石が移動したような場合であっても落石の危険性が高いと判定されてしまい、適切な落石危険度の判定ができないという問題があった。
他方、上記非特許文献1に記載の技術では岩石(浮石部)の振動だけでなくその周辺地盤(基盤部)の振動を考慮しているものの、上述したように危険度判定のパラメータである振動特性を算出するための解析手法が複雑であって、各振動計から得られる計測情報(振動波形)に基づき自動的に落石危険度を判定するには至っていない。すなわち、従来において解析手法として用いられている非線形最小二乗法によるモデル逆解析では、技術者自身が卓越周波数を推定(指定)することで全体的な傾向によらずピークを選定できるので、卓越周波数を適切に選定できるという利点があるが、個々の振動記録に対して技術者の判断が必要とされるために解析に多大な時間を要する。このように従来の非線形最小二乗法を用いた解析によっては、卓越周波数の設定等において熟練技術者の判断による設定や試行錯誤での設定を余儀なくされており、多くの時間と労力が必要とされていた。
上述したように、落石危険度判定処理における危険度判定の判定因子は、RMS速度振幅比、卓越周波数、減衰定数である。このうち、RMS速度振幅比は計測情報から定義式(上記数2)によって一意的に求めることができる。他方、卓越周波数と減衰定数は、測定記録の周波数分析を行って周波数応答関数を計算した後に、それを最も良く説明する理論モデルをあてはめること(モデル逆解析)によって求められる。その際に、従来用いられてきた非線形最小二乗法では、予め初期値の設定を要することや、検索する周波数範囲を調整しないと最適な解を求めることが必ずしも容易ではないことから、落石危険度の判定を自動的に行うことには適していない。
とくに、対象岩石の安定性が高く周波数応答関数に顕著なピークが認められないような場合には、従来の方法では技術者が目で見て落石の危険度が小さい安定領域にあると判断してモデル解析から除外していた。このような安定した岩石の場合でも、自動的に卓越周波数と減衰定数を求めることができれば調査効率を格段に向上させることは可能である。しかし、こうした安定度の高い岩石の場合、非線形最小二乗法によるモデル逆解析では、技術者が計算条件をいろいろと変えてみても収束しないことが多い。また、周波数応答関数に複数のピークがあるときに非線形最小二乗法を用いた場合、技術者が計算条件をいろいろに変えて妥当な解を得ることが必要で、技術者の判断を伴うことになり客観的な視点から問題がある。
また、振動計での振動計測において、計測現場ではすぐに計測値の有意性を判断することができなかった。そのために、得られた計測値の有意性が計測現場から持ち帰られた計測情報を解析する際にしかわからず、場合によっては計測情報の過不足を生じ得るという不都合もあった。
本発明は上述の点に鑑みてなされたもので、岩石等の浮石部とその周囲の地盤等の基盤部それぞれの振動を検出し、それらの振動特性の特徴から前記浮石部に関する落石の危険度を定量的にかつ客観的に判定することを自動的に行うことが可能な、落石危険度判定方法及び装置並びにプログラムを提供することを目的とする。
本発明に係る落石危険度判定方法は、任意の浮石部及びその周囲の基盤部に別々に設置された複数の振動計測機器から、前記浮石部の振動及び基盤部の振動それぞれの計測情報を取得するステップと、前記計測情報に基づいて、前記浮石部の振幅と前記基盤部の振幅の大きさの比を表すRMS速度振幅比を求めるステップと、前記計測情報を周波数分析して前記浮石部と前記基盤部それぞれの周波数スペクトルを求めるステップと、前記周波数スペクトルから前記浮石部と前記基盤部それぞれのパワースペクトルと、前記浮石部と前記基盤部間の相互スペクトルとを求めるステップと、前記パワースペクトル及び相互スペクトルから周波数応答関数とコヒーレンス関数とを求めるステップと、前記周波数応答関数に最も近似する所定の理論的な応答曲線を与える卓越周波数及び減衰定数を逆解析により求めるステップと、前記求めたRMS速度振幅比と前記卓越周波数及び減衰定数とに基づいて、前記浮石部に関する落石危険度を判定するステップとを具えてなり、前記逆解析により卓越周波数及び減衰定数を求めるステップは、前記卓越周波数及び減衰定数それぞれの仮定値を決定するステップと、前記周波数応答関数と前記決定した仮定値により与えられる前記理論的な応答曲線とを比較するステップとを繰り返し行い、前記周波数応答関数と前記理論的な応答曲線との差が最も小さいときの前記それぞれの仮定値を前記周波数応答関数に最も近似する所定の理論的な応答曲線を与える卓越周波数及び減衰定数に決定するステップとを有してなり、前記比較を行う際に前記周波数応答関数と前記理論的な応答曲線それぞれに対して前記コヒーレンス関数に従って重み付けを行うことを特徴とする。
本発明によれば、浮石部の振動及び基盤部の振動それぞれの計測情報に基づく周波数応答関数に最も近似する所定の理論的な応答曲線を与える卓越周波数及び減衰定数を逆解析により求める際に、前記周波数応答関数と前記理論的な応答曲線それぞれに対して前記コヒーレンス関数に従って重み付けを行ってから、前記重み付けされた後の周波数応答関数と理論的な応答曲線とを比較し、これらの差が最も小さいときの仮定値を卓越周波数及び減衰定数に決定する。すなわち、逆解析の方法として周波数応答関数とコヒーレンス関数とを組み合わせて卓越周波数及び減衰定数の最適解を求めるようにすることによって、従来見られた計算条件の設定などのような技術者の介在を必要とすることなく、落石危険度の判定対象とする浮石部とその周辺の基盤部との振動特性から落石危険度を自動的に判定できるようになる。また、従来の方法に比べてコヒーレンス関数の位置づけが明確になり、取得した振動記録の有意性の判断も自動的に組み込まれる。これにより、作業員や判定する技術者による差がなく均一な判定が可能となると共に、また危険度の判定を行うまでの解析作業や時間を大幅に短縮して労力や時間を低減できるので、早期に落石対策を施すことができる(現場での判定が可能となって効率的である)。
また、本発明の好ましい実施形態として、前記計測情報を取得するステップは、計測情報の取得に応じて前記浮石部の振幅と前記基盤部の振幅の大きさの比を表すRMS速度振幅比を求めるステップと、前記求めたRMS速度振幅比の母平均の信頼区間を算出するステップと、前記算出した母平均の信頼区間の幅が予め設定した基準値以内であるか否かを判定するステップとを有してなり、前記求めた母平均の信頼区間の幅が予め設定した基準値以内になるまで前記計測情報の取得を繰り返すことを特徴とする。これによれば、振動計測をどこで終了させれば良いのか、またそのときの測定値の精度はどの程度なのかを推し量ることが可能となり、計測現場における振動計測処理の時点で測定値の品質を確保しつつ、次の振動特性算出処理及び危険度判定処理へと処理を自動的に移行させて、落石危険度判定処理全体の自動化を実現することができるようになる。
本発明は方法の発明として構成し実施することができるのみならず、装置の発明として構成し実施することができる。また、本発明は、コンピュータまたはDSP等のプロセッサのプログラムの形態で実施することができるし、そのようなプログラムを記憶した記憶媒体の形態で実施することもできる。
本発明によれば、卓越周波数及び減衰定数を逆解析により求める際に、周波数応答関数と理論的な応答曲線それぞれに対してコヒーレンス関数に従って重み付けを行うようにしたことにより、落石危険度の判定対象とする浮石部とその周辺の基盤部との振動特性から落石危険度を自動的に判定できるようになるため、作業員や判定する技術者による差がなく均一な判定が可能となると共に、また危険度の判定を行うまでの解析作業や時間を大幅に短縮して労力や時間を低減できて早期に落石対策を施すことができるようになる、という効果を奏する。
また、予め設定したRMS速度振幅比の母平均の信頼区間の条件を満たした時点で自動的に計測情報の取得を終了させるようにしたことから、計測情報を取得しながら落石危険度判定の解析に必要な有意計測値を確保し、有意計測値の不足による再計測や不必要な計測を回避することができて落石危険度の判定を効率よく行うことができるようになる。
本発明に係る落石危険度判定方法を適用した落石危険度判定装置の全体構成の一実施例を示す概念図である。 振動計の設置態様の一例を示す概念図である。 落石危険度判定処理の一実施例を示すフローチャートである。 振動計測処理の一実施例を示すフローチャートである。 母平均の信頼区間を95%信頼区間、基準値となる母平均の信頼区間の幅を母平均の±10%とした場合の測定例を示す。 振動特性算出処理の一実施例を示すフローチャートである。 振動記録から計算により求められる周波数応答関数の一例を示すグラフである。 振動記録から計算により求められるコヒーレンスの一例を示すグラフである。 モデル逆解析処理の一実施例を示すフローチャートである。 モデル逆解析処理を説明するための解析結果を示すグラフである。 落石危険度判定図の一例を示す。 落石危険度判定図の別の例を示す。
以下、この発明の実施の形態を添付図面に従って詳細に説明する。
図1は、本発明に係る落石危険度判定方法を適用した落石危険度判定装置の全体構成の一実施例を示す概念図である。図2は、振動計の設置態様の一例を示す概念図である。本発明に係る落石危険度判定装置は、複数の振動計測機器(センサ端末)Aと落石危険度判定部Bとを具える。前記振動計測機器Aは振動計であって複数台用意されており、図2に示すようにそのうちの少なくとも1台の振動計Aが地盤(基盤部D)に埋め込まれるように設置され、当該基盤部Dの振動を計測する。残りの他の振動計Aは、危険度判定の対象とする前記地盤を同じくする1乃至多数の岩石(浮石部C)の各々に石膏などで1台ずつ固定されるように設置され、当該浮石部Cの振動をそれぞれ計測する。
各振動計Aで随時に計測される振動(詳しくは振動波形)は、例えばUSB(ユニバーサル・シリアル・バス)、IEEE1394(アイトリプルイー1394)、ブルートゥース(商標)、赤外線送受信器等の通信インタフェースからなる信号伝送路Lを介して、落石危険度判定部Bへと送信される。
前記振動計Aは微弱な振動であっても計測することができるように、可能な限り感度が高くかつ電気的ノイズや回路ノイズ等が発生することが少ないタイプであるとよい。また、落石危険度の判定が必要な箇所は急峻な地形であることが多く、そのような計測現場における機器設置の機動性をより高めるために、前記振動計Aは小型・軽量であること(例えば外径50mm高さ150mm重量400g程度の大きさ)、外部からの電源供給を必要としないことが望まれる。このような条件を満たすならば前記振動計Aは公知のどのような振動計であってもよいが、一例を挙げると例えば極微小地震観測等に用いられる、速度型動コイル方式の高感度地震計エレメント3つを直交させた3成分(X成分,Y成分,Z成分)振動計などがある。
上記振動計Aで計測する浮石部Cや基盤部Dを振動させる振動源に特別な制限はなく、多くの場合、付近の道路を走行する車両や鉄道などの交通振動、建設工事の重機などからの振動などの、人間生活に伴うあらゆる振動(雑振動)を利用する。ただし、山間地など人里離れた場所であって、非常に静穏な環境下にあって振動計Aから出力される振動波形(出力信号)が極端に微小であるような場合には、作業員が計測対象箇所周辺をカケヤ等で叩くなどして強制的な振動を与えて、これにより発生された浮石部Cの振動や基盤部Dの振動をそれぞれ計測すればよい。
なお、本実施形態では振動計Aを5つ具えたものを示したがこれに限らない。計測現場の地形や計測に携わる人員の数にもよるが、振動計Aの台数は例えばここに示すように最大5台程度とするのがよい。すなわち、振動計Aの台数は多ければ多いほど、一度に振動計測することのできる箇所が増えるので便利ではある。しかし、上述したように計測現場は急峻な地形であることが多いことに鑑みると、振動計Aの台数が多くなればそれらを含む当該落石危険度判定装置を運搬するのに係る労力が大きくなることから、振動計Aの台数を極端に多くするのは適当でない。また、振動計Aは上記したようなものに限られない。
落石危険度判定部Bは例えばパーソナルコンピュータ等であって、振動計測部B1と、振動特性算出部B2と、危険度判定部B3と、判定結果出力部B4と、振動記録部B5とを具える。また、図示を省略したが、上記した各部及び振動計Aに対して電力を供給する内部電池(動力源)を含んでいてよい。
振動計測部B1は、信号伝送路Lを介して浮石部Cに設置された振動計Aから出力されてくるX成分,Y成分,Z成分それぞれの振動波形と、基盤部Dに設置された振動計Aから出力されてくるX成分,Y成分,Z成分それぞれの振動波形を取得し、該取得した各振動波形を図示しないプリアンプやA/D変換器等を通して増幅やインピーダンス変換を行うと共にディジタル信号化して振動記録部B5に記録する。ここで、本実施形態における前記振動計測部B1では、振動記録部B5への振動波形(計測情報)の記録の開始及び停止を自動的に行い、また統計的に有意性のある振動波形のみを収集して記録するようになっている(詳しくは後述する図4参照)。
振動特性算出部B2は、前記振動記録部B5に記録されたX成分,Y成分,Z成分それぞれの振動波形に基づき危険度判定のパラメータとして振動特性(RMS速度振幅比、卓越周波数、減衰定数)を算出する。本実施形態においても、RMS速度振幅比は、浮石部Cの振動と基盤部Dの振動の大きさとの比をとって上述の数1により算出されるようになっている。他方、卓越周波数及び減衰定数の算定に際しては、まず浮石部Cと基盤部Dそれぞれの振動記録を用いてフーリエ変換による周波数分析を行い、上述の数2による周波数応答関数を計算する。そして、前記求めた周波数応答関数に1質点系1自由度系の物理的なモデルをあてはめて(上述の数3参照)卓越周波数及び減衰定数を推定するのであるが、本実施形態ではこの卓越周波数及び減衰定数の組を探索するためのモデル逆解析を行う手法が従来と異なる。
すなわち、従来においては非線形最小二乗法を用いてのモデル逆解析が行われるのであるが、本実施形態においてはコヒーレンス(コヒーレンス関数)による重み付けを行ったグリッドサーチ法(これは直接探索法に属する)を用いてのモデル逆解析が行われるようになっている(詳しくは後述する図6及び図9参照)。前記振動特性算出部B2によって算出された振動特性(RMS速度振幅比、卓越周波数、減衰定数)は、危険度判定部B3にて危険度判定のために参照(利用)される。
危険度判定部B3は落石危険度の判定を行って、前記振動特性算出部B2によって算出された振動特性(RMS速度振幅比、卓越周波数、減衰定数)をグラフ化した落石危険度判定図(後述する図11又は図12参照)を作成する。判定結果出力部B4は例えば液晶表示パネル(LCD)やCRT等から構成されるディスプレイなどの表示機器であって、前記作成された落石危険度判定図を表示することによって技術者に対し判定結果を報知する。勿論、上記したようなディスプレイに限らず、紙媒体などに前記落石危険度判定図をプロットすることが可能な機器などであってもよい。
次に、上記した落石危険度判定部Bによる具体的な落石危険度の判定処理手順について、図を用いて説明する。図3は、落石危険度判定処理の一実施例を示すフローチャートである。当該処理は、本装置の電源オンによって開始され、電源オフによって終了される。
ステップS1は上記振動計測部B1の処理に対応しており、振動計Aから浮石部Cの振動波形及び基盤部Dの振動波形を計測して記録する「振動計測処理」を実行する。ステップS2は上記振動特性算出部B2の処理に対応しており、記録されたX成分,Y成分,Z成分それぞれの振動波形に基づき振動特性(RMS速度振幅比、卓越周波数、減衰定数)を算出する「振動特性算出処理」を実行する。ステップS3は上記危険度判定部B3の処理に対応しており、算出された振動特性(RMS速度振幅比、卓越周波数、減衰定数)をグラフ化して、落石危険度の判定を行って落石危険度判定図を作成する。ステップS4は上記判定結果出力部B4の処理に対応しており、前記落石危険度の判定結果として作成された落石危険度判定図を出力(表示)する。以下、これらの各処理について順に詳細を説明する。
上記「振動計測処理」(図3のステップS1参照)について、図4を用いて詳細に説明する。図4は、振動計測処理の一実施例を示すフローチャートである。
ステップS11は、初期設定を実行する。この初期設定としては、例えば処理回数(n)に「1」をセットする、母平均の信頼区間を「95%信頼区間」または「99%信頼区間」のいずれかに設定する、基準値(α;例えば±10%や±15%など)を設定するなどがある。ステップS12は、振動計測の開始つまり振動計Aから送られてくる振動波形の振動記録部B5への記録を開始する。この振動計測の開始は、予め決めてある所定値以上に振幅値が大きくなったときを契機として自動的に開始する。ステップS13は、1回目の振動計測を実施してその間に振動記録部B5に記録された振動波形に基づきRMS速度振幅比を算出する。ここで、1回の振動計測は例えば20秒間続けて行われるように予め決められており、またサンプリング周波数が例えば500Hzに設定されているとすれば、1回の振動計測で振動記録部B5に記録される振動波形のサンプリング個数は10000個である。
ステップS14は、上記した1回目の振動計測の終了時から予め決めてある1回の振動計測にかける所定時間(例えば20秒間)経過したか否かを判定する。所定時間経過していないと判定した場合には(ステップS14のNO)、所定時間経過するまで処理を進行させずに待機する。その間、振動計Aから送られてくる振動波形は振動記録部B5に連続記録される(これはn回目の振動計測に該当する)。
一方、所定時間経過したと判定した場合には(ステップS14のYES)、ステップS15以降の処理の実行を開始する。ステップS15は、処理回数(n)に1を加算する。ステップS16は、上記n回目の振動計測の実施に伴いその間に振動記録部B5に記録された振動波形に基づきRMS速度振幅比を算出する。ステップS17は、前記算出したRMS速度振幅比の母平均の信頼区間を算出する。n回目の振動計測のRMS速度振幅比について標本平均値と不偏分散値(数4)とを求め、数5に示される両側検定によって前記RMS速度振幅比の母平均の信頼区間を求める。
Figure 0005504058
Figure 0005504058
ステップS18は、前記算出した母平均の信頼区間の幅が母平均に対して一定の基準値(α)以下であるか否かを判定する。前記算出した母平均の信頼区間の幅が母平均に対して(つまりは信頼区間幅/母平均が)一定の基準値(α)以下でないと判定した場合には(ステップS18のNO)、ステップS14の処理へ戻る。前記算出した母平均の信頼区間の幅が母平均に対して一定の基準値(α)以下であると判定した場合には(ステップS18のYES)、振動計測の終了つまり振動計Aから送られてくる振動波形の振動記録部B5への記録を停止する(ステップS19)
ここで、母平均の信頼区間を95%信頼区間、基準値(α)となる母平均の信頼区間の幅を母平均の±10%とした場合の測定例を図5に示す。RMS速度振幅比は、1回の計測毎に上記数1により算出される浮石部Cの振動と基盤部Dの振動の大きさの比である(標本)。ここでの標本平均は、前記複数回の計測毎に求められるRMS速度振幅比の平均値である。この図5に示す例では、10回目の計測で母平均の信頼区間の幅が±9.5%となっており、これは基準値(α)として設定された±10%をクリアしているから、その時点で振動計測処理つまりは振動記録部B5への振動波形の記録を終了する。ただし、こうした判定は統計的な目安であることから、さらに計測を行って前記基準値(α)のクリアを複数回(例えば3回など)続けた後に、振動計測処理を終了させるようにしてもよい。
この図5に示すように、振動計測処理を繰り返す度に数5によってRMS速度振幅比の母平均の信頼区間を求め、該求めたRMS速度振幅比の母平均の信頼区間幅が一定値(基準値)以下になるまで振動計測(つまりは振動記録)を繰り返すことによって、RMS速度振幅比の母平均の信頼性の検証が行われるようになっている。すなわち、上記数5により求められる前記RMS速度振幅比の母平均の信頼区間は、通常計測回数つまりは計測情報が増えるにつれて狭まっていく性質を持ち、通常の例では標本平均の±10%以内に収まれば、ほぼ安定したRMS速度振幅比が得られたと判断することができる(計測データの信頼性が確保される)。例えばRMS速度振幅比の平均値が「2」のとき、母平均が「2±0.2」である信頼度は95%である。上記数5による計算は比較的に短時間で実施することができるため、振幅記録の取得と並行しての計算が可能であって効率的である。
本実施形態の落石危険度判定処理は、浮石部Cと基盤部Dそれぞれの振動を比較して、前記浮石部Cの振動特性を明らかにしようとするものである。ただし、振動は不規則な現象であって定められた(決定論的な)表現で表すことができないことから、確率的にまたは統計的平均値をもって表す以外に方法がない。したがって、落石危険度判定処理において最も重要な判定因子(パラメータ)であるRMS速度振幅比も統計的な値として意味を持つものである。
落石危険度判定処理における1回の振動計測は、上記したように例えば20秒間である。こうした1回の振動測定から計算されるRMS速度振幅比は、浮石部Cの振動特性を十分に表した値であるかもしれないし特異な値であるかもしれない。続けてもう1回計測したとすれば、初めとあわせた2回分の振動記録(計測情報)のRMS速度振幅比を平均した値(図5の標本平均)を振動特性を代表するものとして採用できる。次から次に無限に振動計測を繰り返していけば、RMS速度振幅比の平均値はある値に近づいていくと予想される。すなわち、RMS速度振幅値は統計学上、正規分布であると考えられる(ただし、厳密には計測回数が30回以下のとき正規分布ではなくt分布である)。正規分布は、平均値と標準偏差で表すことができる。平均値は測定したい値そのもので、標準偏差はばらつきを示す量である。通常、正規分布は縦軸を確率密度にした関数で表示される。
計測の前に測定値(ここではRMS速度振幅比)の平均は未知であるが、計測を重ねるにしたがって分布の形状がだんだんと明らかになり、その分布から測定値や精度を推定することができる。すなわち、図4に示した振動計測処理を実行することによって、振動計測をどこで終了させれば良いのか、またそのときの測定値の精度はどの程度なのかを推し量ることが可能となって、これにより計測現場における振動計測処理の時点で測定値の品質を確保しつつ、次の振動特性算出処理及び危険度判定処理(図3のステップS2及びS3参照)へと処理を自動的に移行させる契機とすることができて、落石危険度判定処理全体の自動化を実現することができるようになる。
次に、上記「振動特性算出処理」(図3のステップS2参照)について、図6〜図8を用いて詳細に説明する。図6は、振動特性算出処理の一実施例を示すフローチャートである。図7は、振動記録から計算により求められる周波数応答関数の一例を示すグラフである。図8は、振動記録から計算により求められるコヒーレンスの一例を示すグラフである。
ステップS21は、振動記録部B5に記録されたn回分の振動記録を取得する。ステップS22は、前記取得したn回分の振動記録それぞれに基づき上記数1により算出されるRMS速度振幅比を平均した値を求める。ステップS23は、n回分の振動記録毎に数6により浮石部Cと基盤部Dそれぞれの振動記録の周波数分析(高速フーリエ変換(FFT)処理)を行い、フーリエ成分を求める。
Figure 0005504058
ステップS24は、数7により浮石部Cのパワースペクトルを算出する。ステップS25は、数8により基盤部Dのパワースペクトルを算出する。
Figure 0005504058
Figure 0005504058
前記パワースペクトルの計算時には、n回分の振動記録についてのスペクトルの平均を取ることにより時間領域における平滑化処理を行うと共に、数9に示されるハニングウィンドウを複数回掛けることにより周波数領域における平滑化処理を行う(ステップS26)。
Figure 0005504058
ステップS27は、数10により浮石部Cと基盤部D間の相互スペクトルを算出する。
Figure 0005504058
ステップS28は、周波数応答関数を算出する。周波数応答関数は、上記数7と数8により求められた浮石部Cと基盤部Dそれぞれのパワースペクトルと、数10により求められた浮石部Cと基盤部D間の相互スペクトルとから上記数2によって求められる。ステップS29は、数11によりコヒーレンス(コヒーレンス関数)を算出する。ステップS30は、モデル逆解析処理を実行する。
Figure 0005504058
上記コヒーレンスは浮石部Cと基盤部Dの振動特性の相関性を示す統計量であって、コヒーレンスが高いときには振動に共通の特性が多く含まれている場合であり、逆にコヒーレンスが低いときには異なった特性を持つ振動が混入している場合である。したがって、任意の周波数におけるコヒーレンスの大小は、得られた周波数応答関数の信頼性を表すことになる。
ここで、上記のようにして実測したある振動記録から計算により求められる周波数応答関数の一例を図7に、同じ振動記録から計算により求められるコヒーレンスの一例を図8にそれぞれ示す(ただし、X成分のみ示す)。図7に示すように、周波数応答関数は横軸が周波数で縦軸が応答倍率のグラフで表示される。この図7から理解できるように、実測した振動記録から計算される周波数応答関数は滑らかな曲線にはならず、変動が激しい曲線Oになるのが一般的である。図示の例では周波数12Hz付近に顕著なピークをもつ形状をしており、これは浮石の典型的な周波数応答関数である。ここに示した図7だけで考えるならば、卓越周波数を求めることは容易である。しかし、実際には顕著なピークのわかりづらい様々な周波数応答関数が得られ、そうした周波数応答関数にも対応した上で減衰定数を含めた自動分析を行うためには、後述するモデル逆解析処理(図9参照)を行うことが不可欠である。モデル逆解析処理によって卓越周波数と減衰定数を推定できれば、上記数3に従って理論的な応答曲線(図中におけるP)を計算することができるのは言うまでもない。
図8に示すように、コヒーレンス(コヒーレンス関数)は横軸が周波数で縦軸がコヒーレンスの値のグラフで表示される。この図8から理解できるように、コヒーレンスは0〜1の間の値をとる。コヒーレンスはふたつの振動記録(ここでは浮石部Cと基盤部D)の間に相関性が高いときには1近くになり、相関性が低いほど0に近づく特性がある。図8に示す例では、0Hzから12Hz付近までコヒーレンスが大きいが、それより高い周波数になるほどコヒーレンスが小さな値となっている。なお、この図8において30Hzと50Hz付近に鋭いピークが認められるが、これは機械的な振動や電気的なノイズの可能性が高く無視するのがよい。
上記「モデル逆解析処理」(図6のステップS30参照)について、図9及び図10を用いて説明する。図9は、モデル逆解析処理の一実施例を示すフローチャートである。本願発明では、モデル逆解析の手法に直接探索法に属するグリッドサーチ法を採用している(ただし、後述するようにコヒーレンスによる重み付けを行う)。
ステップS31は、比較値とする変数ε0に対して十分に大きな数を設定する。ステップS32は、仮定の卓越周波数に該当する変数f0に対して「0」をセットする。ステップS33は、変数f0に対して微小な周波数(Δf0;例えば0.2Hz)を加算する。ステップS34は、変数f0が「100」より大きいか否かを判定する。すなわち、ここでは検索する卓越周波数の範囲を0〜100Hzとする。変数f0が「100」より大きいと判定した場合には(ステップS34のYES)、当該処理を終了する。
他方、変数f0が「100」より大きくないと判定した場合には(ステップS34のNO)、仮定の減衰定数に該当する変数hに対して「0」をセットする(ステップS35)。ステップS36は、変数hに対して微小な変化(Δh;例えば0.002)を加算する。ステップS37は、変数hが「1.5」より大きいか否かを判定する。すなわち、ここでは検索する減衰定数の範囲を0〜1.5とする。変数hが「1.5」より大きいと判定した場合には(ステップS3のYES)、ステップS33の処理に戻る。変数hが「1.5」より大きくないと判定した場合には(ステップS37のNO)、以下に示す数12により求められるコヒーレンスによる重み付け残差RMS値(ε)が変数ε0以上であるか否かを判定する。
Figure 0005504058
上記のコヒーレンスによる重み付け残差RMS値(ε)が変数ε0以上でないと判定した場合には(ステップS38のNO)、ステップS36の処理に戻る。コヒーレンスによる重み付け残差RMS値(ε)が変数ε0以上であると判定した場合には(ステップS38のYES)、変数f0を卓越周波数に決定する(ステップS39)。また、変数hを減衰定数に決定する。
上記した図9のモデル逆解析処理は、以下の処理を実現する手順を具体的に示したものである。すなわち、検索する卓越周波数の範囲を「0〜100Hz」とし、周波数刻みを「0.2Hz」とする。検索する減衰定数の範囲を「0〜1.5」とし、減衰定数刻みを「0.002」とする。卓越周波数と減衰定数を仮定する。振動記録から計算した周波数応答関数とコヒーレンス、及び仮定した卓越周波数と減衰定数を上記した数3によって表される1質点系1自由度系の物理的なモデルにあてはめて得られる理論応答曲線を用いて、数12から残差RMS値(ε)を求める。0〜100Hzの周波数範囲について上記残差RMS値(ε)を求める計算を繰り返し、仮定した卓越周波数と減衰定数の組についてそれぞれ残差RMS値(ε)を求める。このようにして、卓越周波数「0〜100Hz」、減衰定数「0〜1.5」のなかで、最も小さな残差RMS値(ε)を与える卓越周波数と減衰定数の組を最適解として採用する。
図10は、上記したモデル逆解析処理を説明するための解析結果を示すグラフである。ただし、ここでは比較のために非線形最小二乗法による解析結果を図10(a)に、グリッドサーチ法(コヒーレンスによる重み付けなし)による解析結果を図10(b)に、コヒーレンスによる重み付けを行ったグリッドサーチ法による解析結果を図10(c)にそれぞれ図示している。
この図10から理解できるように、ピークが卓越しない場合はグリッドサーチ法のみによる結果(図10(b))は、異なった卓越周波数及び減衰定数を算定している。すなわち、卓越周波数が10〜30Hzであるにもかかわらず、それが第1ピークに相当しない場合には、図10(b)に示すような単純にグリッドサーチ法で計算した解析結果が図10(a)に示した非線形最小二乗法による解析結果とかけ離れることがあり、技術者の判断による卓越周波数の決定が行われる非線形最小二乗法のほうが解析手法として妥当のように思われる。このように、周波数応答関数の算出結果を単純に最適化する場合(単純なグリッドサーチ法はこの場合に該当する)、複数の周波数帯に卓越しているときには卓越周波数を適切に推定できないという不都合が生じ得る。一方、非線形最小二乗法によるモデル逆解析は、技術者により卓越周波数を推定することで全体的な傾向によらずにピークを選定することができるので、卓越周波数を適切に選定できるという利点があるが、既に説明したように、個々の計測データに対して技術者の判断が必要とされることから解析に多大な時間を要するという不都合がある。
そこで、本実施例においては、グリッドサーチ法に浮石部Cと基盤部Dの振動特性の相関性を示す統計量であるコヒーレンスによる重み付けを行った上述した解析手法を採用している。これによれば、コヒーレンスが低い周波数帯の寄与率は低く、コヒーレンスが高い周波数帯の寄与率は高くなるため、観測された周波数応答関数の信頼性を反映したモデル逆解析が可能となり、技術者の判断を必要とすることなく卓越周波数を適切に選定することが可能となる。
落石危険度は、前記算出したRMS速度振幅比とモデル逆解析により算定される卓越周波数及び減衰定数に基づき判定されて、前記RMS速度振幅比、卓越周波数、減衰定数をグラフ化した落石危険度判定図を判定結果として出力(表示)する(図3のステップS3及びS4参照)。そこで、図11に落石危険度判定図の一例を示す。
落石危険度判定図としては、横軸をRMS速度振幅比、縦軸を卓越周波数とした図11(a)に示すもの、横軸をRMS速度振幅比、縦軸を減衰定数とした図11(b)に示すものの2種類の図を作成し、予め決められたそれぞれの所定値を境に安定領域と不安定領域の区分を行っておき(図中において点線で区分した領域)、前記RMS速度振幅比と卓越周波数の組み合わせ、及び前記RMS速度振幅比と減衰定数の組み合わせで決定される位置がどの領域に属するかによって落石危険度を判定する。安定領域と不安定領域の区分は、例えばRMS速度振幅比は「2」、卓越周波数は「30Hz」、減衰定数は「0.2」を境界値として、RMS速度振幅比が「2」以上でありかつ卓越周波数が「30Hz」以下の領域、RMS速度振幅比が「2」以上でありかつ減衰定数が「0.2」以下の領域を不安定領域とする。これは、浮石部Cと基盤部Dとの間の抵抗力が小さく落石危険度が大きな領域では浮石部Cは揺れやすい状態にあるので、RMS速度振幅比は大きな値を示すこと、また浮石部Cと基盤部Dとの間の抵抗力が小さく危険な状態では浮石部Cはゆっくり揺れることから、卓越周波数は低い値を示すこと、さらに浮石部Cと基盤部Dとの間の抵抗力が小さく危険な状態では浮石部Cは揺れが収まり難いことから、減衰定数は低い値を示すことに基づく。
図11に示す例では、三角で示すY方向(成分)において安定領域からややはずれた領域に前記位置が属しており、また丸で示すX方向(成分)と四角で示すZ方向(成分)において不安定領域に前記位置が属していることから、落石の危険度が高いと判定される。落石の危険度が高い場合には、落石の危険度が低いと判定された場合とは異なる表示態様(表示色を変える等)で落石危険度判定図を表示して、技術者に対して明確に落石の危険度が高いことを報知する。より具体的には、波形記録に基づき算出されるRMS速度振幅比、卓越周波数、減衰定数と前記各境界値との比較によって落石の危険度が判定され、当該判定結果に応じて表示態様の異なる落石危険度判定図を表示する。
落石危険度判定図は図11に示したような表示形態のものに限らず、図12に示すような表示形態のものであってもよい。図12に示す落石危険度判定図は、図11に示した2種類の落石危険度判定図をひとつにまとめたもので、横軸と縦軸はそれぞれRMS速度振幅比と卓越周波数を示し、丸の大きさは減衰定数の逆数を示す。したがって、この場合には、前記位置が不安定領域に属しかつ大きい丸が表示されているものほど危険度が高いことになる。これによると、当該落石危険度判定図を表示することによって、技術者は明確に落石の危険度が高いか低いかを認知することができる。
以上のように、本発明では、浮石部の振動及び基盤部の振動それぞれの計測情報に基づく周波数応答関数に最も近似する所定の理論的な応答曲線を与える卓越周波数及び減衰定数を逆解析により求める際に、前記周波数応答関数と前記理論的な応答曲線それぞれに対して前記コヒーレンス関数に従って重み付けを行ってから、前記重み付けされた後の周波数応答関数と理論的な応答曲線とを比較し、これらの差が最も小さいときの仮定値を卓越周波数及び減衰定数に決定することによって、落石危険度の判定対象とする岩石と周辺地盤との振動特性から落石危険度を自動的に判定できるようにした。本発明の特徴は、モデル逆解析の方法として周波数応答関数とコヒーレンスとを組み合わせて卓越周波数及び減衰定数の最適解を求めることにある。これまで、コヒーレンスは取得した振動記録に対して当該落石危険度判定処理を適用することが妥当かどうかを判断する目安として用いられてきたもので、コヒーレンスのグラフを人が見て定性的にランク分けするだけに留まっていた。しかし、本実施形態ではモデル逆解析にコヒーレンスを導入することによって、有意な周波数帯の振動を優先的に分析に供することとなり、これは従来の方法に比べてコヒーレンスの位置づけが明確であって、取得した振動記録の有意性の判断も落石危険度判定処理に自動的に組み込まれることになる。これにより、作業員や判定する技術者による差がなく均一な判定が可能となると共に、また危険度の判定を行うまでの解析作業や時間を大幅に短縮して労力や時間を低減できるので、早期に落石対策を施すことができるようになる。
また、本実施形態における振動計測処理によれば、処理を繰り返すたびにRMS速度振幅比の母平均の信頼区間を算出し、母平均の信頼区間の幅が予め設定した基準値以内であるか否かによって振動計測つまりは振動記録を継続するか否かを判断するようにしたことから、振動計測をどこで終了させれば良いのか、またそのときの測定値の精度はどの程度なのかを推し量ることが可能となり、計測現場における振動計測処理の時点で測定値の品質を確保しつつ、次の振動特性算出処理及び危険度判定処理へと処理を自動的に移行させて、落石危険度判定処理全体の自動化を実現することができるようになる。さらには、RMS速度振幅比の母平均の信頼区間をはずれる振動記録を除外するといった、振動記録の自動選別が可能となるといった利点もある。
以上、図面に基づいて実施形態の一例を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、様々な実施形態が可能であることは言うまでもない。例えば、各振動計Aと落石危険度判定部Bとを結ぶ信号伝送路Lは(図2参照)、LAN(Local Area Network)やインターネット、電話回線等の有線あるいは無線の通信ネットワークを介して信号やデータ等を送受信することができるネットワークインタフェースであってもよい。こうしたネットワークインタフェース構成とした場合、遠く離れた多数の箇所に配置された多数の振動計A(少なくとも1箇所に2個)のそれぞれから通信ネットワークを介して振動波形を受信することで、各箇所毎での落石危険度の判定を行うことが1台の落石危険度判定部Bのみにより行うことができるようになる。そうすると、例えば落石危険度判定部Bを道路管制センター等に配置しておき、これと各地点に配置した多数の振動計Aとを有線又は無線の通信ネットワークで結ぶことによって、道路管制センター等で各箇所から出力された振動波形(出力信号)を集中的に管理して道路全体にわたって落石危険度の判定を定期的に行うことが、より簡易な構成であって持ち運び可能な小型の振動計Aのみを任意の箇所に設置するだけで実現することができ非常に便利である。
A…振動計測機器(振動計)
B…落石危険度判定部
B1…振動計測部
B2…振動特性算出部
B3…危険度判定部
B4…判定結果出力部
B5…振動記録部
C…浮石部
D…基盤部
L…信号伝送路

Claims (5)

  1. 任意の浮石部及びその周囲の基盤部に別々に設置された複数の振動計測機器から、前記浮石部の振動及び基盤部の振動それぞれの計測情報を取得するステップと、
    前記計測情報に基づいて、前記浮石部の振幅と前記基盤部の振幅の大きさの比を表すRMS速度振幅比を求めるステップと、
    前記計測情報を周波数分析して前記浮石部と前記基盤部それぞれの周波数スペクトルを求めるステップと、
    前記周波数スペクトルから前記浮石部と前記基盤部それぞれのパワースペクトルと、前記浮石部と前記基盤部間の相互スペクトルとを求めるステップと、
    前記パワースペクトル及び相互スペクトルから周波数応答関数とコヒーレンス関数とを求めるステップと、
    前記周波数応答関数に最も近似する所定の理論的な応答曲線を与える卓越周波数及び減衰定数を逆解析により求めるステップと、
    前記求めたRMS速度振幅比と前記卓越周波数及び減衰定数とに基づいて、前記浮石部に関する落石危険度を判定するステップと
    を具えてなり、
    前記逆解析により卓越周波数及び減衰定数を求めるステップは、前記卓越周波数及び減衰定数それぞれの仮定値を決定するステップと、前記周波数応答関数と前記決定した仮定値により与えられる前記理論的な応答曲線とを比較するステップとを繰り返し行い、前記周波数応答関数と前記理論的な応答曲線との差が最も小さいときの前記それぞれの仮定値を前記周波数応答関数に最も近似する所定の理論的な応答曲線を与える卓越周波数及び減衰定数に決定するステップとを有してなり、前記比較を行う際に前記周波数応答関数と前記理論的な応答曲線それぞれに対して前記コヒーレンス関数に従って重み付けを行うことを特徴とする落石危険度判定方法。
  2. 前記計測情報を取得するステップは、計測情報の取得に応じて前記浮石部の振幅と前記基盤部の振幅の大きさの比を表すRMS速度振幅比を求めるステップと、前記求めたRMS速度振幅比の母平均の信頼区間を算出するステップと、前記算出した母平均の信頼区間の幅が予め設定した基準値以内であるか否かを判定するステップとを有してなり、前記求めた母平均の信頼区間の幅が予め設定した基準値以内になるまで前記計測情報の取得を繰り返すことを特徴とする請求項1に記載の落石危険度判定方法。
  3. 前記判定した前記浮石部に関する落石危険度を報知するステップをさらに具えてなり、
    当該ステップは、前記求めたRMS速度振幅比と前記卓越周波数及び減衰定数とに従って前記浮石部に関する落石危険度を示す落石危険度判定図を作成し、該作成した落石危険度判定図を表示することを特徴とする請求項1又は2に記載の落石危険度判定方法。
  4. 任意の浮石部及びその周囲の基盤部に別々に設置された複数の振動計測機器から、前記浮石部の振動及び基盤部の振動それぞれの計測情報を取得する取得手段と、
    前記計測情報に基づいて、前記浮石部の振幅と前記基盤部の振幅の大きさの比を表すRMS速度振幅比を求める第1の特性算出手段と、
    前記計測情報を周波数分析して前記浮石部と前記基盤部それぞれの周波数スペクトルを求める周波数分析手段と、
    前記周波数スペクトルから前記浮石部と前記基盤部それぞれのパワースペクトルと、前記浮石部と前記基盤部間の相互スペクトルとを求めるスペクトル算出手段と、
    前記パワースペクトル及び相互スペクトルから周波数応答関数とコヒーレンス関数とを求める手段と、
    前記周波数応答関数に最も近似する所定の理論的な応答曲線を与える卓越周波数及び減衰定数を逆解析により求める第2の特性算出手段と、
    前記求めたRMS速度振幅比と前記卓越周波数及び減衰定数とに基づいて、前記浮石部に関する落石危険度を判定する判定手段と
    を具えてなり、
    前記第2の特性算出手段は、前記卓越周波数及び減衰定数それぞれの仮定値の決定と、前記周波数応答関数と前記決定した仮定値により与えられる前記理論的な応答曲線との比較を繰り返し行い、前記周波数応答関数と前記理論的な応答曲線との差が最も小さいときの前記それぞれの仮定値を前記周波数応答関数に最も近似する所定の理論的な応答曲線を与える卓越周波数及び減衰定数に決定するものであって、前記比較を行う際に前記周波数応答関数と前記理論的な応答曲線それぞれに対して前記コヒーレンス関数に従って重み付けを行うことを特徴とする落石危険度判定装置。
  5. コンピュータに、
    任意の浮石部及びその周囲の基盤部に別々に設置された複数の振動計測機器から、前記浮石部の振動及び基盤部の振動それぞれの計測情報を取得する手順と、
    前記計測情報に基づいて、前記浮石部の振幅と前記基盤部の振幅の大きさの比を表すRMS速度振幅比を求める手順と、
    前記計測情報を周波数分析して前記浮石部と前記基盤部それぞれの周波数スペクトルを求める手順と、
    前記周波数スペクトルから前記浮石部と前記基盤部それぞれのパワースペクトルと、前記浮石部と前記基盤部間の相互スペクトルとを求める手順と、
    前記パワースペクトル及び相互スペクトルから周波数応答関数とコヒーレンス関数とを求める手順と、
    前記周波数応答関数に最も近似する所定の理論的な応答曲線を与える卓越周波数及び減衰定数を逆解析により求める手順であって、当該手順は、前記卓越周波数及び減衰定数それぞれの仮定値を決定する手順と、前記周波数応答関数と前記決定した仮定値により与えられる前記理論的な応答曲線とを比較する手順とを繰り返し行い、前記周波数応答関数と前記理論的な応答曲線との差が最も小さいときの前記それぞれの仮定値を前記周波数応答関数に最も近似する所定の理論的な応答曲線を与える卓越周波数及び減衰定数に決定する手順とを含んでなり、前記比較を行う際に前記周波数応答関数と前記理論的な応答曲線それぞれに対して前記コヒーレンス関数に従って重み付けを行うものと、
    前記求めたRMS速度振幅比と前記卓越周波数及び減衰定数とに基づいて、前記浮石部に関する落石危険度を判定する手順と
    を実行させるためのプログラム。
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