(A)第1の実施形態
以下、本発明による取引装置の第1の実施形態を、図面を参照しながら詳述する。この実施形態では、本発明の取引装置をATMに適用した例について説明する。
(A−1)第1の実施形態の構成
図2は、第1の実施形態のATMの外観構成を示す斜視図である。図2において、第1の実施形態のATM1は、スピーカ2(2−1、2−3)、撮像装置3、カード入出口4、通帳入出口5、レシート排出口6、紙幣入出口7、硬貨入出口8、操作表示部9、近接センサ10、キャビネット11を有する。
スピーカ2(2−1、2−3)は、顧客の操作を誘導するためのメッセージ等を音声として出力するものである。
撮像装置3は、ATM1を利用する顧客の顔を撮像するものである。なお、撮像装置3は、動画像を撮像できるものであっても良いし、静止画像を撮像するものであっても良い。
カード入出口4は、顧客がキャッシュカードを挿入したり、キャッシュカードを取り出したりするものである。
通帳入出口5は、顧客が通帳を挿入したり、通帳を取り出したりするものである。
レシート排出口6は、取引内容を印刷したレシートを排出するものである。
紙幣入出口7は、顧客が紙幣を挿入したり、紙幣を取り出したりするものである。紙幣入出口7は、例えば、開閉可能な開閉体を有するバケットタイプのものを用いることができる。顧客が紙幣を投入するときには、顧客はバケットの開口部に紙幣を投入し、その後ATM1は、開閉体が閉じて投入された紙幣を取り込む。またATM1が紙幣を返却するときには、ATM1はバケットに紙幣を繰り出し、その後、開閉体が開放する。
硬貨入出口8は、顧客が硬貨を投入したり又は硬貨を取り出したりするものである。硬貨入出口8も、例えば、開閉可能なバケットタイプのものを用いることができる。この場合も、紙幣入出口7と同様に、顧客が硬貨を投入するときには、顧客はバケットの開口部に硬貨を投入し、その後ATM1は、開閉体を閉じて投入された硬貨を取り込む。またATM1が硬貨を返却するときには、ATM1はバケットに硬貨を繰り出し、その後、開閉体が開放する。
表示部としての操作表示部9は、例えば、取引種類の選択メニュー画面、各取引の操作画面、取引内容の確認画面等を表示したり、顧客が入力した入力情報を取り込んだりするものである。操作表示部9は、例えば、LCDタッチパネル方式の操作表示部を適用することができる。なお、操作表示部9は、操作部と表示部とが一体となったLCDタッチパネル方式のものに限らず、操作部と表示部とがそれぞれ物理的に別の構成のものであってもよい。
近接センサ10は、ATM1への人の接近を検知するセンサである。
キャビネット11は、熱や衝撃に対し一定の強度を有する鉄材で作られたATM1本体を保護するものである。
図1は、第1の実施形態のATMの内部構成を示す内部構成図である。図1において、ATM1は、制御部20、カードリード・ライト部30、レシート印字部40、通帳印字部50、通帳発行部60、紙幣入出金部70、硬貨入出金部80、音声案内部90、操作表示部9、近接センサ10、記憶部100、電源110、上位インタフェース120を有する。なお、図1における操作表示部9、近接センサ10は、先に説明したので、その説明を省略する。
制御部20は、ATM1内の各部の動作を制御する機能を担っている。制御部20は、例えば、プロセッサやメモリ等を含むプログラムの実施構成に実施形態の取引プログラム等をインストールすることにより実現することができる。
制御部20は、取引処理部21を有している。取引処理部21は、顧客との取引を行うための情報処理(顧客への情報の提示や操作受付に伴う処理を含む)や取引処理に伴うATM1内の各構成要素の制御等を行う。
カードリード・ライト部30は、制御部20の制御に応じて、顧客からカード入出口4に挿入されたカード(キャッシュカード)を取り込んで当該カードの記録データ(磁気記録データ、ICチップ等に記録されたデータ)を読み込んだり、書き込んだりする処理等を行う。
レシート印字部40は、取引内容をレシートに印字してレシート排出口6から排出する。
通帳印字部50は、取引内容を通帳に印字して通帳入出口5から排出する。
通帳発行部60は、新規の通帳を発行する処理を行う。
紙幣入出金部70は、制御部20からの制御に応じて紙幣の入金を受付けて格納する処理や、格納している紙幣の出金(排出)を行う。紙幣入出金部70は、紙幣入出口7で、紙幣の入金及び出金を行う。
硬貨入出金部80は、制御部20からの制御に応じて硬貨の入金を受付けて格納する処理や、格納している硬貨の出金(排出)を行う。硬貨入出金部80は、硬貨入出口8で、硬貨の入金及び出金を行う。
音声案内部90は、スピーカ2(2−1、2−3)を介して、顧客の操作を誘導する処理を行う。
記憶部100は、制御部20が動作するために必要なプログラムやパラメータ等のデータを保持する記憶手段である。例えば、記憶部100は、撮像装置3により撮像されたデータを記憶する。また、記憶部100としては、例えば、ハードディスクドライブやフラッシュメモリ等の不揮発メモリが適用できる。
電源110は、ATM1に対して蓄積している電力を供給する。
上位インタフェース120は、ATM1が外部装置としてのホスト200と通信するためのネットワークインタフェースである。
次に、紙幣入出金部70の詳細構成について、図3を挙げて説明する。
図3は、第1の実施形態の紙幣入出金部の内部構成を示す内部構成図である。図3において、紙幣入出金部70は、紙幣入出口7、紙幣制御部71、認識部72、一時保留部73、取忘収納庫74、偽造券収納庫75、リジェクト庫76、紙幣収納庫77(77−1〜77−4)、シャッタ78、搬送路79を有する。
紙幣制御部71は、制御部20と同様、例えば、プロセッサを中心に構成されており、図示しないROMやフラッシュメモリ等から所定のプログラムを読み出して実行することにより、紙幣の搬送先を決定する処理や各部の動作を制御する処理等、種々の処理を行う。
認識部72は、紙幣入出口7から送り出された紙幣を1枚ずつ鑑別するものである。認識部72は、例えば、真偽判別、正損判別、紙幣計数処理等を行うものである。認識部72は、入金された紙幣に付されている記番号を読み取る記番号読取部72aを有する。そして、認識部72は、記番号読取部72aにより読み取られた入金紙幣の記番号を制御部20(取引処理部21)に与える。また、認識部72は、偽造券の蓋然性の高い紙幣を、偽造券として取り扱う。認識部72が行う判定処理の具体的な方式は、限定されるものでは無く、種々様々な方式を適用できる。なお、この実施形態では、説明を簡易とするため、認識部72が行う真券か否かの要件をチェックする判定処理(以下、「真券判定処理」とも呼ぶ)において、真券と判定された紙幣を、「真券」とし、真券と判定出来なかった紙幣を、「偽造券」として取り扱う。つまり、真券と判定出来なかった紙幣は、偽造券の蓋然性が高いため、「偽造券」の定義に含まれることになる。ATM1は、取引処理部21と認識部72により判定部を実現する。また、認識部72は、計数部の一例である。
一時保留部73は、認識部72の鑑別処理が終了した紙幣を一時的に収容するものである。
取忘収納庫74は、顧客が紙幣入出口7から返却された紙幣を受け取らずにATM1から離れたことが近接センサ10により検出されたときに、回収して保管するものである。
偽造券収納庫75は、認識部72による鑑別の結果、偽造券と判定された紙幣を収納するものである。
リジェクト庫76は、認識部72による鑑別の結果、異常(偽造券以外の破損等の異常理由)と判定された紙幣を収納するものである。
紙幣収納庫77(77−1〜77−4)は、出金に用いる紙幣、入金された紙幣を金種別に収納する収納庫である。
シャッタ78は、紙幣入出口7の上方向に備えられており、制御部20からの指示により開閉可能な開閉体である。
搬送路79は、紙幣入出金部70の各構成要素の間で紙幣を搬送するものであり、例えば、紙幣を搬送するベルト及びローラ等で構成されている。
なお、硬貨入出金部80も、図3で示す紙幣入出金部70と同様の構成を有するが、その説明は、省略する。
次に、取引処理部21の詳細処理について説明する。
取引処理部21は、口座への入金を行う入金取引を行う際に、顧客に対して、入金する紙幣に関する注意を喚起する画面(以下、「注意喚起画面」と呼ぶ)を表示(表示出力)する。この注意喚起画面は、顧客により入金される紙幣が、認識部72の鑑別結果により偽造券であると判定された場合には、係員が紙幣を確認する場合がある等の偽造券の使用を抑制する文言を表示して、顧客に対して予め注意を喚起するものである。
図4は、注意喚起画面の一例である。図4の例では、偽造券の使用を抑制する文言(係員が紙幣を確認する場合があります)と、顧客による表示内容の確認を受け付ける確認ボタン(キー)が示されている。この注意喚起画面を出すタイミングは、限定されるものでは無いが、例えば、シャッタ78が開閉される前後のタイミングで、操作表示部9に表示して良い。最も顧客に対して、偽造券の使用を抑制させる意味では、顧客が紙幣を投入する前のシャッタ78開閉前が、この注意喚起画面を表示する最適なタイミングと言える。また、操作表示部9に表示される注意喚起画面の文言についても限定されるものではなく、例えば、「同じ記番号の紙幣が存在する場合には警察に通報されます。」等の文言を表示して良い。
取引処理部21は、顧客により紙幣入出金部70に紙幣が投入されると、投入された紙幣を1枚ずつ認識部72により鑑別させる制御を行う。その結果、投入された紙幣に偽造券が含まれていると判定された場合には、取引処理部21は、顧客に対して、入金した紙幣が偽造券である可能性を喚起(示唆)する画面(以下、「偽造券注意喚起画面」と呼ぶ)を表示(表示出力)する。
図5は、偽造券注意喚起画面の一例である。図5の例では、偽造券の可能性を喚起する文言(偽造紙幣の可能性があります。係員が参ります。)と、顧客による表示内容の確認を受け付ける確認ボタン(キー)が示されている。この偽造券注意喚起画面を出すタイミングは、限定されるものでは無いが、例えば、投入された紙幣の全ての鑑別が終了して、その計数結果を、操作表示部9に表示する前後のタイミングで、操作表示部9に表示して良い。また、操作表示部9に表示される偽造券注意喚起画面の文言についても限定されるものではなく、例えば、「偽造紙幣の可能性があります。係員が参ります。」等の文言を表示して良い。
取引処理部21は、入金取引に際して、注意喚起画面と偽造券注意喚起画面の二つの表示を行っても良く、いずれか一方のみを表示するすように制御しても良い。
(A−2)第1の実施形態の動作
次に、以上のような構成を有する第1の実施形態のATM1の動作を説明する。
図6は、第1の実施形態に係るATM(取引処理部)で入金取引が行われる際の動作について示したフローチャートである。
取引処理部21は、操作表示部9に挨拶を表示する画面(例えば、「いらっしゃいませ」の文言)を表示する(S101)。
取引処理部21は、近接センサ10により顧客の到来が検知されると、操作表示部9にキャッシュカードを用いた取引の選択を受付けるための操作画面(以下、「取引選択画面」と呼ぶ)を表示させる。以下では、取引処理部21は、取引選択画面で、顧客から入金取引を受付けたものとする(S102)。
取引処理部21は、カードリード・ライト部30に対して、吸入指示を出し、カード入出口4からカードの挿入を待つ(S103)。同時に、取引処理部21は、操作表示部9にカードの挿入を待ち受けるカード挿入画面を表示させる。
取引処理部21は、カード入出口4を介してカードが挿入されると、カードリード・ライト部30により、カード挿入の通知と読み取ったカード情報を受け取る(S104)。続いて、取引処理部21は、受け取ったカード情報に基づき、自行、他行等の取引種別を判別し、記憶部100から該当する入金取引に係る取引手数料を取得する。そして、取引処理部21は、操作表示部9に取得した取引手数料の確認画面を表示する。以下では、取引処理部21は、取引手数料の確認画面で、顧客から確認(OK)を受付けたものとする。
取引処理部21は、暗証番号の入力を受付けるための操作画面(以下、「暗証番号入力画面」と呼ぶ)を操作表示部9に表示させて、顧客から暗証番号の入力を受付ける(S105)。
取引処理部21は、顧客から暗証番号の入力を受け付けると、入金金額(取引金額)の入力を受付けるための操作画面(以下、「入金金額入力画面」と呼ぶ)を操作表示部9に表示させて、顧客から入金金額の入力を受付ける(S106)。
取引処理部21は、入力を受け付けた後、上位インタフェース120を介してホスト200に接続して、ホスト200において管理されている顧客情報、口座情報、金額情報を確認する(S107)。
取引処理部21は、ホスト200に対して確認が取れた場合には、紙幣入出金部70のシャッタ78を開ける様に指示を出す(S108)。同時に、取引処理部21は、操作表示部9に紙幣の挿入(投入)を受付けるための画面(以下、「紙幣挿入画面」と呼ぶ)を表示させて、顧客から紙幣の挿入を受付ける。以下では、取引処理部21は、紙幣入出口7を介して顧客から紙幣の挿入を受付けたものとする。
取引処理部21は、操作表示部9に先述の注意喚起画面を表示して顧客からの確認を受け付ける(S109)。
取引処理部21は、注意喚起画面の確認(OK)を受け付けると、認識部72に対して、入金紙幣の計数(鑑別を含む)を行う様に指示する(S110)。同時に、取引処理部21は、操作表示部9に入金紙幣が計数中である事を周知させる画面(例えば、「現在、計数中です。しばらくお待ちください」等の文言)を表示する。そして、認識部72は、入金紙幣の計数が終了すると、その結果を取引処理部21に通知する。
取引処理部21は、認識部72から入金紙幣の計数完了の通知を受け取ると、操作表示部9に、その計数結果を表示して、顧客からの計数結果の確認を受け付ける(S111)。
取引処理部21は、顧客による計数結果の確認を受け付けた後に、計数結果に偽造券が存在するか否かを判定する(S112)。取引処理部21は、判定した結果、投入紙幣に偽造券の存在が認められた場合には、次のステップS113の処理を行い、偽造券が存在しなかった場合には、ステップS115の処理(正常系処理)を行う。
取引処理部21は、先述のステップS112の処理により偽造券を検知した場合には、操作表示部9に先述の偽造券注意喚起画面を表示して、係員からの介在待ちとする(S113)。顧客は、この偽造券注意喚起画面の表示を参照することにより、投入した紙幣が、偽造券である事を知ることができる。この間、取引処理部21は、挿入したカードを取り込んだままにしても良く、顧客に対して返却しても良い。また、取引処理部21は、投入した紙幣を、一時保留部73から紙幣入出口7に移動させる。このとき、取引処理部21は、閉じたシャッタ78を開く制御を行い、顧客が取り出せるようにしても良く、シャッタ78を閉じたままにして顧客が取り出せないようにしても良い。
取引処理部21は、近接センサ10により顧客が検出されていないことを確認し(つまり、顧客は、ATM1から立ち去った状態)、また、操作表示部9に対して画面操作が無い事を確認すると、所定時間経過後に顧客のカードを取り込むように制御を行う(S114)。同時に、取引処理部21は、計数した紙幣を、偽造券収納庫75又はリジェクト庫76に収納するよう制御を行う。以上により、偽造券混入の入金取引を中断して、ATM1(取引処理部21)は、他の取引の受付けを開始する。
また、取引処理部21は、ステップS112の処理により入金紙幣が偽造券ではないと判断されると、上位インタフェース120を介してホスト200と通信を行い、入金取引を確定する(S115)。
取引処理部21は、レシート印字部40により取引内容をレシートに印字し、レシート排出口6により印字したレシートを排出する制御を行う(S116)。
取引処理部21は、カードリード・ライト部30に対しカード入出口4からキャッシュトカード排出する制御を行う(S117)。
取引処理部21は、操作表示部9にお礼を表示する画面(例えば、「ありがとうございました」の文言)を表示して入金取引を終了する(S118)。
(A−3)第1の実施形態の効果
この実施形態によれば、以下のような効果を奏することができる。
取引処理部21は、入金取引の際に、入金する紙幣に不正があった場合には、係員が紙幣を確認する等の注意喚起画面を予め表示することにより、悪意のある顧客の偽造紙幣の使用を思い留まらせ、不正な取引を未然に防止できる。また、不正取引を行うことが減少することにより、ATM1は、稼働率を向上させることができる。
(B)第2の実施形態
以下、本発明による取引装置の第2の実施形態を、図面を参照しながら詳述する。この実施形態では、本発明の取引装置及び取引システムをATMに適用した例について説明する。
(B−1)第2の実施形態の構成
第2の実施形態のATM1の構成についても、第1の実施形態と同様に図1〜図3を用いて示すことができる。
以下では、第2の実施形態のATM1の構成について、第1の実施形態との差異を中心に説明する。
第1の実施形態の取引処理部21は、入金取引の所定のタイミングで、操作表示部9に、注意喚起画面、又は偽造券注意喚起画面を表示して顧客に注意を促していた。一方、第2の実施形態の取引処理部21は、上記画面表示に加えて、音声案内部90に対して、音声案内の処理を行せることにより、音声による注意喚起も行う。第2の実施形態の取引処理部21の詳しい動作については、動作の項で明らかにする。
(B−2)第2の実施形態の動作
次に、第2の実施形態に係るATM1の動作を説明する。
第2の実施形態のATM1の動作も、第1の実施形態と同様に図6を用いて説明することができる。上述の通り、第2の実施形態のATM1では、ステップS109、ステップS113の処理で音声案内も行う点で第1の実施形態と異なる。
第2の実施形態の取引処理部21は、ステップS113の処理において、先述の注意喚起画面の表示に加えて、音声案内部90に対して音声案内を行うよう指示を行う。音声案内部90は、取引処理部21の指示に従い、注意喚起画面の表示と同時に、注意喚起画面に表示される文言の音声案内を行う。なお、音声案内部90は、顧客に対して、注意を喚起するために、大音量でスピーカ2(2−1、2−3)から音声を出力しても良く、また、後述するステップS113のときよりもレベルを下げて音声を出力しても良い。
同様に、第2の実施形態の取引処理部21は、ステップS113の処理において、先述の偽造券注意喚起画面の表示に加えて、音声案内部90に対して音声案内を行うよう指示を行う。音声案内部90は、取引処理部21の指示に従い、偽造券注意喚起画面の表示と同時に、偽造券注意喚起画面に表示される文言の音声案内を行う。なお、音声案内部90は、顧客に対して、注意を喚起するために、大音量でスピーカ2(2−1、2−3)から音声を出力する。
(B−3)第2の実施形態の効果
この実施形態によれば、第1の実施形態の効果に加え、以下のような効果を奏することができる。
注意喚起画面の表示と供に音声案内が流れることにより、悪意のある顧客は、偽造券の使用を思い止まるため、ATM1の不正使用の抑止力が第1の実施形態よりも高まる。
また、偽造券注意喚起画面の表示と供に音声案内が流れることにより、偽造券を意図的に使用してしまった顧客が仮にその場から逃亡したとしても、周囲の人は、より注意深く周辺を観察することになるため、逃亡者の特徴を記憶する可能性が高まる。つまり、不正使用の証拠(人的証拠)を獲得する可能性が第1の実施形態よりも高まる。
(C)第3の実施形態
以下、本発明による取引装置の第3の実施形態を、図面を参照しながら詳述する。この実施形態では、本発明の取引装置及び取引システムをATMに適用した例について説明する。
(C−1)第3の実施形態の構成
第3の実施形態のATM1の構成についても、第1の実施形態と同様に図1〜図3を用いて示すことができる。
以下では、第3の実施形態のATM1の構成について、第1の実施形態との差異を中心に説明する。
第1の実施形態の取引処理部21は、入金取引の所定のタイミングで、操作表示部9に、注意喚起画面を常に表示して顧客に注意を促していた。一方、第3の実施形態の取引処理部21は、操作表示部9に、注意喚起画面を常に表示するのでは無く、例えば、入金紙幣について、認識部72により計数された紙幣が所定の枚数を超えた場合等、所定の条件に合致した場合のみ注意喚起画面を表示する。第3の実施形態の取引処理部21の詳しい動作については、動作の項で明らかにする。
(C−2)第3の実施形態の動作
次に、第3の実施形態に係るATM1の動作を説明する。
図7は、第3の実施形態に係るATM(取引処理部)で入金取引が行われる際の動作について示したフローチャートである。以下では、第3の実施形態のATM1の動作について、第1の実施形態との差異を中心に説明する。
ステップS201〜S208の処理は、上述のステップS101〜S108の処理と同様の処理であるため、詳しい説明は省略する。
取引処理部21は、認識部72に対して、入金紙幣の計数(鑑別を含む)を行うよう指示する(S209)。同時に、取引処理部21は、操作表示部9に入金紙幣が計数中である事を周知させる画面(例えば、「現在、計数中です。しばらくお待ちください」等の文言)を表示する。そして、認識部72は、入金紙幣の計数が終了すると、その結果を取引処理部21に通知する。
取引処理部21は、入金紙幣の計数結果(合計枚数)が、所定の閾値を超えているか否かを判定する(S210)。この閾値は、限定されるものではなく、種々の値を設定することができる。例えば、この閾値は、紙幣の金種(一万円券、五千円券、千円券)ごとに設定して良く、取引処理部21は、入金紙幣が全て一万円券の場合には、一万円券の閾値を判定に利用する。また、取引処理部21は、一万円券の他に五千円券、千円券が使用されていた場合には、五千円券、千円券の各閾値を判定に利用する。また、取引処理部21は、金種に依存せず、入金紙幣の計数結果が、単一の閾値を超える否かで判定しても良い。さらに、取引処理部21は、ステップS206の処理で顧客により入力された金額を考慮しても良く、例えば、入金金額が高額の場合にのみ、計数結果と所定の閾値との比較を行っても良い。また、取引処理部21は、入金金額(又は入金紙幣の枚数)が何らかの理由(法律、紙幣収納庫77のサイズ等)で制限されている場合には、これらの理由を考慮した制限値、又は制限値の何%かを、閾値に用いて良い。
取引処理部21は、入金紙幣の枚数が、所定の閾値を超えていると判定された場合には、ステップS211の処理(注意喚起画面の表示)を行い、所定の閾値未満と判定された場合には、ステップS212の処理(計数結果の表示)を行う。ステップS211の処理は、ステップS109の処理と同様のため、その説明を省略する。
また、その後の処理であるステップS212〜S219の処理も、上述のステップS111〜S118の処理と同様の処理であるため、詳しい説明は省略する。
(C−3)第3の実施形態の効果
この実施形態によれば、第1の実施形態の効果に加え、以下のような効果を奏することができる。
取引処理部21は、投入紙幣が所定の閾値を超えた場合のみ注意喚起画面の表示を行うため、不正使用の可能性が高い顧客に対してのみ注意喚起を行うことが可能となった。偽造券を使用する場合には、一度に大量の紙幣を使用する場合が殆どのため、この実施形態のATM1の構成は、こうした事例に特に有効である。また、取引処理部21は、取扱い枚数の少ない顧客(言い換えれば、不正使用の可能性が少ない通常顧客)に対しては、注意喚起画面の表示を行わないために、入金取引を効率良く行うことができる。また、注意喚起画面の表示を行わないことにより、通常の顧客は、心理的な圧迫を受けずに入金取引を行う事ができる。
(D)第4の実施形態
以下、本発明による取引装置の第4の実施形態を、図面を参照しながら詳述する。この実施形態では、本発明の取引装置及び取引システムをATM及び簡易モニタに適用した例について説明する。
(D−1)第4の実施形態の構成
第4の実施形態のATM1の構成についても、第1の実施形態と同様に図1〜図3を用いて示すことができる。
以下では、本発明の取引システムとして、ATM1と連動する簡易モニタ300の説明を行う。
図8は、第4の実施形態の簡易モニタの内部構成を示す内部構成図である。図8において、簡易モニタ300は、制御部310、インタフェース部320、顧客操作部330、タッチパネル340、LCDディスプレイ350、音声案内部360、記憶部370、電源380を有する。
監視装置としての簡易モニタ300は、ATM1から通知される状態(例えば、取引内容)をリアルタイムに表示する。また、簡易モニタ300は、監視者(オペレータ)の指示により、ネットワークを通じて、ATM1に対して直接制御を行う。
制御部310は、簡易モニタ300内の各部の動作を制御する機能を担っている。制御部310は、例えば、プロセッサやメモリ等を含むプログラムの実施構成に実施形態の取引プログラム等をインストールすることにより実現することができる。
制御部310は、取引監視部311を有している。取引監視部311は、ATM1を介して顧客が行う取引の監視や監視処理に伴う簡易モニタ300内の各構成要素の制御等を行う。
インタフェース部320は、監視対象であるATM1と通信するためのネットワークインタフェースである。
顧客操作部330は、スイッチ、キーボード等で構成され、監視者からの操作により指示を受け付ける。
タッチパネル340は、LCDディスプレイ350と連動して、監視者からの操作により指示を受け付ける。
情報表示部としてのLCDディスプレイ350は、ATM1で行われる取引に関する種々の情報を表示する。
音声案内部360は、音声により監視者の操作を誘導する処理を行う。また、音声案内部360は、音声出力装置として、例えば、スピーカ(図示せず)を構成要素に有する。
記憶部100は、制御部310が動作するために必要なプログラムやパラメータ等のデータを保持する記憶手段である。また、記憶部100としては、例えば、ハードディスクドライブやフラッシュメモリ等の不揮発メモリが適用できる。記憶部100は、簡易モニタ300に内蔵しても良いし、又、外部に接続する方式でも良い。
電源380は、簡易モニタ300に対して蓄積している電力を供給する。
(D−2)第4の実施形態の動作
次に、以上のような構成を有する第4の実施形態の簡易モニタ300、ATM1の動作を説明する。
図9は、第4の実施形態に係るATMで偽造券の使用を検知した際における簡易モニタ、ATMの動作を示すシーケンス図である。
ATM1(取引処理部21)は、入金取引において、顧客による偽造券の使用を検出する(S301)。例えば、第1の実施形態のステップS112の偽造券の判定処理において、取引処理部21が、認識部72により鑑別された紙幣の内、同一の記番号の紙幣を少なくとも1枚発見した場合に該当する。ATM1(取引処理部21)は、偽造券の使用を検出した場合には、ネットワークを介して接続される簡易モニタ300に、不正取引に係る情報を送信する。また、取引処理部21は、次の処理を行う。
取引処理部21は、操作表示部9に、先述の偽造券注意喚起画面(表示する文言は、例えば、「偽造券が検出されました。取引センターで取引内容を確認しています。しばらく、お待ち下さい。」)を表示して、係員からの介在待ちとする(S302)。同時に、取引処理部21は、操作表示部9に、確認ボタンを表示する。
取引処理部21は、顧客により確認ボタンが押下されると、取引の中止を決定する取引中止ボタンを表示する(S303)。
取引処理部21は、顧客により取引中止ボタンが押下された否かの判定を行う(S304)。取引処理部21は、顧客により取引中止ボタンが押下されたと判定した場合には、次のステップS305の処理(媒体返却)を行い、取引中止ボタン押下されていないと判定した場合には、再度取引中止ボタン押下の判定処理を行う。
取引処理部21は、所定時間経過後に、挿入したカードを返却する処理をカードリード・ライト部30に指示する。また、取引処理部21は、投入した紙幣を、一時保留部73から紙幣入出口7に移動させる指示を行う。そして、取引処理部21は、シャッタ78を開ける指示を行い、顧客が取り出せるようにする。上記の所定時間は、簡易モニタ300により、監視する監視員が取引の内容を確認できる時間(例えば、数分間)を考慮して定められる。
次に簡易モニタ300(取引監視部311)側の動作を中心に説明する。
取引監視部311は、インタフェース部320を介してATM1から不正取引に係る情報を取得する(S306)。なお、取引監視部311は、監視者に不正取引に係る情報を取得した事を喚起させるために、音声案内部360に対して、警告音を発するように指示をしても良い。
取引監視部311は、LCDディスプレイ350にATM1が偽造券を検知した事を通知する画面を表示する(S307)。つまり、取引監視部311は、通常の監視モードから偽造券検出モードに移行する。
取引監視部311は、LCDディスプレイ350に確認ボタンを表示する(S308)。
取引監視部311は、確認ボタンが押下されると、LCDディスプレイ350に不正取引に係る情報を表示する(S309)。この間、監視者は、ATM1から通知された不正取引に係る情報の確認を行い、ATM1に強制的に取引の中止を指示するか否かを決定する。なお、不正取引に係る情報には、例えば、重複した記番号の紙幣のイメージ画像、偽造紙幣の枚数、顧客が過去に偽造紙幣を使用した履歴情報等が含まれている。また、取引監視部311は、取引中止ボタンを表示する。
取引監視部311は、監視者により取引中止ボタンが押下されたか否かを判定する(S310)。取引監視部311は、取引中止ボタンが押下されたと判定した場合には、ATM1に対して取引の強制中止指示を行う。また、取引監視部311は、LCDディスプレイ350に表示された不正取引に係る情報と、監視者の操作履歴を記憶部370に記憶する。一方、取引監視部311は、取引中止ボタンが押下されていないと判定した場合には、所定時間経過後に偽造券検出モードから通常監視モードに切り替えて偽造券の検出を終了する(S315)。なお、取引監視部311は、LCDディスプレイ350に通常の監視モードに切り替えるモード切替ボタンを表示して、このモード切替ボタンの押下により、通常監視モードに切り替えるようにしても良い。
簡易モニタ300により、取引の強制中止指示を受けたATM1は、一切の操作ができなくなり係員からの介在待ちとなる(S311)。
ATM1内(例えば、紙幣入出口7)に存在する紙幣(偽造券)は、係員により確認される(S312)。
ATM1(取引処理部21)は、係員により紙幣が確認された結果、異常が存在したか否かを判定する(S313)。ATM1(取引処理部21)は、係員により異常が受け付けられなかった場合(つまり、投入紙幣は、偽造券では無い)には、簡易モニタ300に対して、その旨を通知する。そして、簡易モニタ300(取引監視部311)は、ATM1からの異常が無かった旨の通知により、先述のステップ315の処理(通常監視モードに切り替え)を行う。また、ATM1(取引処理部21)は、現在行っている取引を継続するか、若しくは他の取引の受付けを開始する。
一方、ATM1は、係員により異常が受け付けられた場合(つまり、投入紙幣は、偽造券である)には、偽造券を偽造券収納庫75に回収して、証拠を保全する。ただし、偽造券は、偽造券収納庫75に回収せず、係員が保全しても良い。偽造券は、最終的には関係機関(例えば警察)により回収されることになる。
(D−3)第4の実施形態の効果
この実施形態によれば、第1の実施形態の効果に加え、以下のような効果を奏することができる。
簡易モニタ300は、ATM1に偽造券の使用をリアルタイムに監視することにより、事件性の高い不正取引(例えば、偽造紙幣大量投入)の場合には、取引の強制中止指示を遠隔的に行うことができる。また、簡易モニタ300は、事件性の低い不正取引の場合には、顧客に取引を中止するように促す。以上により、ATM1と簡易モニタ300により連動するシステムは、効率的な偽造券使用の抑制を行うことができる。
(E)第5の実施形態
以下、本発明による取引装置の第5の実施形態を、図面を参照しながら詳述する。この実施形態では、本発明の取引装置をATM及び簡易モニタに適用した例について説明する。
(E−1)第5の実施形態の構成
第5の実施形態のATM1の構成についても、第1の実施形態と同様に図1〜図3を用いて示すことができる。また、第5の実施形態の簡易モニタ300の構成についても、第4の実施形態と同様に図8を用いて示すことができる。
(E−2)第5の実施形態の動作
図10は、第5の実施形態に係るATMで偽造券の使用を検知した際における簡易モニタ、ATMの動作を示すシーケンス図である。以下では、第4の実施形態のATM1、簡易モニタ300の動作について、第1の実施形態との差異(ステップS410)を中心に説明する。図9、図10と重複する符号に係るスッテプについては、同一の処理のため、その説明を省略する。
取引監視部311は、偽造券の使用の違法性を判断するため、不正取引に係る情報から偽造券の枚数が所定の閾値を超えているかを判定する(S410)。なお、取引監視部311は、偽造券の使用の違法性を判断するために、過去に偽造券の使用を行った履歴があるか、ATM1の設置場所等の情報を加味して総合的に違法性を判断しても良い。取引監視部311は、所定の閾値を超えていないと判定した場合には、先述のステップ315の処理を行う。一方、取引監視部311は、所定の閾値を超えていると判定した場合には、ATM1に対して取引の強制中止指示を行い一旦終了する(その後は、係員、警備員の介在待ちとなる)。また、取引監視部311は、ATM1を管理する警備会社の端末に対して、電子メール等による通報を行って、偽造券の回収を指示して良い。ステップS410のような処理を行う取引監視部311は、取引中止判定部の一例である。
(E−3)第5の実施形態の効果
この実施形態によれば、第4の実施形態の効果に加え、以下のような効果を奏することができる。
簡易モニタ300(取引監視部311)は、偽造券使用の枚数と所定の閾値とを比較することにより、事件性の高い不正取引(偽造紙幣大量投入)を、自動的に判断することが可能となった。
(F)第6の実施形態
以下、本発明による取引装置の第6の実施形態を、図面を参照しながら詳述する。この実施形態では、本発明の取引装置をATMに適用した例について説明する。
(F−1)第6の実施形態の構成
第6の実施形態のATM1の構成についても、第1の実施形態と同様に図1〜図3を用いて示すことができる。
以下では、第6の実施形態のATM1の構成について、第1の実施形態との差異を中心に説明する。
第6の実施形態の取引処理部21は、入金取引に加えて、両替取引を行う機能を有する。実際に両替を行うまでの両替元の紙幣を鑑別する処理・機構については、第1の実施形態と同様であるので、その説明を省略する。また、先述の注意喚起画面、偽造券注意喚起画面を表示するタイミング等については、後述動作の項で明らかにする。
(F−2)第6の実施形態の動作
次に、以上のような構成を有する第6の実施形態のATM1の動作を説明する。
図11は、第6の実施形態に係るATM(取引処理部)で両替取引が行われる際の動作について示したフローチャートである。
取引処理部21は、操作表示部9に挨拶を表示する画面(例えば、「いらっしゃいませ」の文言)を表示して、顧客からの両替取引の開始を受ける(S501)。また、取引処理部21は、操作表示部9に取扱通貨の為替レート情報(例えば、米ドル・円の為替レート)も表示する。
取引処理部21は、両替通貨の選択を受付けるための選択画面(以下、「両替通貨選択画面」と呼ぶ)を操作表示部9に表示させて、顧客から両替通貨の選択を受付ける(S502)。
取引処理部21は、顧客により両替通貨が選択(例えば、米ドルから円への両替)されると、取引に係る注意事項(例えば、1回の取引における限度額等)を表示する(S503)。同時に、取引処理部21は、注意事項の確認ボタンを表示する。以下では、取引処理部21は、顧客から確認(OK)を受付けたものとする。
取引処理部21は、操作表示部9に先述の注意喚起画面を表示して顧客からの確認を受け付ける(S504)。注意喚起画面に表示される文言としては、種々様々な文言を適用することができるが、例えば、「買取紙幣(外貨)を確認させて頂く場合がございます。」等の文言である。
取引処理部21は、注意喚起画面の確認(OK)を受け付けると、紙幣入出金部70のシャッタ78を開けるよう指示を出す(S505)。同時に、取引処理部21は、操作表示部9に紙幣の挿入を受付けるための画面(以下、「紙幣挿入画面」と呼ぶ)を表示させて、顧客から紙幣の挿入を受付ける。以下では、取引処理部21は、紙幣入出口7を介して顧客から紙幣の挿入を受付けたものとする。
取引処理部21は、顧客から計数の開始を受け付けると、認識部72に対して、入金紙幣の計数(鑑別を含む)を行う様に指示する(S506)。同時に、取引処理部21は、操作表示部9に入金紙幣が計数中である事を周知させる画面(例えば、「現在、計数中です。しばらくお待ちください」等の文言)を表示する。そして、認識部72は、入金紙幣の計数が終了すると、その結果を取引処理部21に通知する。
取引処理部21は、認識部72から入金紙幣の計数完了の通知を受け取ると、計数結果に偽造券が存在するか否かを判定する(S507)。取引処理部21は、判定した結果、投入紙幣に偽造券の存在が認められた場合には、次のステップS508の処理を行い、偽造券が存在しなかった場合には、ステップS510の処理(正常系処理)を行う。
取引処理部21は、先述のステップS507の処理により偽造券を検出した場合には、操作表示部9に先述の偽造券注意喚起画面を表示して、係員からの介在待ちとする(S508)。顧客は、この偽造券注意喚起画面の表示を参照することにより、投入した紙幣が、偽造券である事を知ることができる。この間、取引処理部21は、投入した紙幣を、一時保留部73から紙幣入出口7に移動させる。このとき、取引処理部21は、シャッタ78を開けたままにして顧客が取り出せるままにしても良く、シャッタを閉じたままにして顧客が取り出せないようにしても良い。
取引処理部21は、近接センサ10により顧客が検出されていないことを確認し(つまり、顧客は、ATM1から立ち去った状態)、また、操作表示部9に対して画面操作が無い事を確認すると、計数した紙幣を、偽造券収納庫75又はリジェクト庫76に収納するよう制御を行う(S509)。以上により、偽造券混入の両替取引を中断して、ATM1(取引処理部21)は、他の取引の受付けを開始する。
また、取引処理部21は、ステップS507の処理により入金紙幣が偽造券ではないことが確認されると、レシート印字部40により取引内容をレシートに印字し、レシート排出口6により印字したレシートを排出する制御を行う(S510)。
取引処理部21は、紙幣収納庫77から両替先の紙幣(例えば、円)を紙幣入出口7に移動させ、シャッタ78を開ける制御を行う(S511)。
取引処理部21は、顧客が両替先の紙幣を受け取ったことを確認すると、操作表示部9にお礼を表示する画面(例えば、「ありがとうございました」の文言)を表示して両替取引を終了する(S512)。
(F−3)第6の実施形態の効果
この実施形態によれば、第1の実施形態の効果と同様の効果を奏することができる。
(G)他の実施形態
本発明は、上記の各実施形態に限定されるものではなく、以下に例示するような変形実施形態も挙げることができる。
(G−1)上記の各実施形態では、ATM1の設置場所に関わらず、取引処理部21は、注意喚起画面を表示していたが、例えば、空港免税エリア外、市街地等に設置されている場合のみ、注意喚起画面を表示するようにしても良い。
(G−2)上記の各実施形態では、顧客が過去に偽造券を使用したか否かに関わらず、取引処理部21は、注意喚起画面を表示していた。例えば、ATM1、ホスト200、外部サーバ等が、過去に偽造券を使用した顧客の履歴(ブラックリスト)を保持している場合には、取引処理部21は、入金又は両替取引を行う顧客がブラックリストに存在している場合のみ注意喚起画面を表示するようにしても良い。
(G−3)上記の各実施形態では、認識部72は、先述の真券判定処理において、真券と判定されなかった紙幣を偽造券として取り扱っていた。しかしながら、認識部72は、真券判定処理において「真券」と判定されて紙幣について、認識部72が行う偽造券か否かの要件をチェックする判定処理において、偽造券と判定された場合には、真券判定処理において「真券」と判定されて紙幣を偽造券として取り扱って良い(偽造券の疑いが存在するため)。例えば、認識部72は、記番号読取部72aにより読み取られた入金紙幣の記番号と、過去に使用された偽造券の記番号との比較により偽造券のチェックを行う。ATM1は、過去に使用された偽造券の記番号のリストが外部サーバに保持されている場合には、外部サーバにアクセスしてリストを取得する。また、認識部72は、当該リストにヒットしない場合であっても、投入された紙幣の中に同一の記番号の紙幣が複数発見された場合には、その紙幣を偽造券として取り扱っても良い。
(G−4)上記の各実施形態では、ATM1に投入される現金について、紙幣のみを例に挙げて説明したが、ATM1に硬貨が投入される場合についても、同様に本発明を適用することができる。
(G−5)上記第6の実施形態では、両替機能を有するATMを本発明に適用する例として説明した。しかしながら、両替機能のみを有する専用機(両替機)についても、同様に本発明に適用することができる。