JP6545227B2 - 歯車の空転を利用するストッパ - Google Patents
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Description
複数の楔形の空間部SPは、隣接する空間部SPにおいて距離Xの周方向の変化が逆となるように設定されており、隣接する空間部SPが一対の組み合わせ空間部PSPをなしている。組み合わせ空間部PSPは回転体RBの外周に周方向に間隔を置いて3組配置されている。そして、一組の組み合わせ空間部PSPには、板ばねSによる押圧に抗して一対の転動体REを距離Xが増大する方向に相互に移動させる操作手段MMが設置されている。操作手段MMは、一対の転動体REの各々に当接する一対の押圧片PP、この一対の押圧片PPの中央に置かれた楕円形状のカム体CB、及びカム体CBに固着されたレバーLを備えている。
この状態では、操作手段MMが設置された一組の組み合わせ空間部PSPにおいては、設置された転動体(ローラー)REは、板ばねSにより押圧されて距離Xの減少する方向への移動が可能となる。そのため、回転体RBが回転しようとしたときは、ローラー型の一方向クラッチと同様に、回転体RBの回転方向に応じていずれか一方の空間部SP内で、板ばねSにより押圧された転動体REが直ちにハウジングHGのカム面CSと回転体RBの外周面との間に噛み込むこととなる。他の組み合わせ空間部PSPおいても、回転体RBが回転しようとする方向に応じて、いずれか一方の空間部SP内で転動体REの噛み込みが生じる。これにより、回転体RBが正転するときも逆転するときも、組み合わせ空間部PSPを構成する一対の空間部SPのいずれかに設置された転動体REが噛み込み、回転体RBは停止状態となる。
これにより、操作手段MMが設置された組み合わせ空間部PSPにおいては、各々の転動体REが押圧片PPによって板ばねSに抗して距離Xが増大する方向に各々の空間部SP内を移動させられ、転動体REのカム面CSと回転体RBの外周面との間での噛み込みが解除される。このとき、転動体REの噛み込みにより図の上方に撓んでいた回転体RBは、操作手段MMが設置された組み合わせ空間部PSPに向かって僅かに変位するため、操作手段MMが設置されていない組み合わせ空間部PSPにおいては、転動体REの噛み込み作用に必要な反力が喪失して、やはり転動体REと回転体RBとの間の噛み込みが解除される。従って、回転体RBは、正・逆どちらの回転方向であっても自由に回転可能な状態となる。
「回転体を回転可能な状態と回転不能な状態とに切り換えるストッパであって、
前記回転体の外周を取り囲んで設置された固定部材を備え、前記固定部材には固定歯車が形成され、かつ、前記固定部材の内側には、前記固定歯車と噛み合う遊星歯車を有する遊星歯車体と、前記遊星歯車体を軸支するキャリア体とが配置され、
前記遊星歯車体には、軸方向に突出し断面形状が円形の突出部が設けられると共に、前記回転体には、前記突出部が挿入される空間部が設けられ、前記空間部の縁部には、前記突出部の外周面との距離が変化するカム面が形成されており、さらに、
前記キャリア体に対し所定の摩擦力を付与する位置とその摩擦力を解除する位置とに切り換え可能な操作手段が設置され、
前記操作手段により前記キャリア体に所定の摩擦力を付与した場合は、前記回転体が回転しようとしたときに、前記回転体の前記カム面と前記遊星歯車体の前記突出部の外周面との間で噛み合いが生じて回転体が回転不能となり、摩擦力を解除した場合は、前記遊星歯車体の自転が許容されて回転体が回転可能となる」
ことを特徴とするストッパである。
前記空間部の半径方向内側又は外側の縁部には、周方向に見て相互に離隔する方向にそれぞれ半径方向外側又は内側に傾斜して延びる一対のカム面が形成されている構成とすること、又は、前記回転体には、半径方向内側又は外側の縁部がそれぞれ周方向に見て相互に離隔する方向に半径方向内側又は外側に傾斜して延びるカム面を有する前記空間部が、対となって設置されている構成とすること。
前記カム面は前記空間部の径方向内側の縁部に設けられていること。
前記操作手段には、雄ねじが形成されていると共に、前記固定部材には、雌ねじが形成されており、前記雄ねじと前記雌ねじとのねじ結合により、前記操作手段の一部が前記固定部材の内側に進入して前記キャリア体に当接することで前記所定の摩擦力を付与すること。
前記キャリア体には、前記遊星歯車体を挟んで対向する位置に、キャリア補助板が一体的に結合されていること。
一方、操作手段によってキャリア体に所定の摩擦力を付与した場合には、後に図3を参照して詳述するとおり、遊星歯車体には、回転体の回転方向と反対向きに、摩擦力の分力に加えて操作手段による摩擦力も作用する。この摩擦力の合計は、押圧力の分力よりも大きくなるように設定されており、遊星歯車体の公転及び自転が阻止されて、回転体は回転不能な状態となる。
固定部材4とキャリア体8とは、キャリア体8の基部28が固定部材4の第一の空間部14内に位置するようにして組み合わされる。遊星歯車体6は、軸孔38がキャリア軸30に対して回転可能に嵌合されると共に、遊星歯車34が固定部材4の固定歯車24と噛み合った状態で固定部材4の内側に配置される。回転体2は、主部40が固定部材4の端板部12の中央穴及びキャリア体8の基部28の中央穴を貫通すると共に、円板部42が固定部材4の第三の空間部18内に位置するようにして固定部材4と組み合わされる。このとき、円板部42の空間部44の夫々には、遊星歯車体6の突出部36と共にキャリア体8のキャリア軸30が挿入される。
図示の実施例においては、突出部36は、空間部44の周方向中央において、カム面48及び50と近接乃至当接している。そして、空間部44の径方向内側の縁部と突出部36の外周面との距離は、周方向中央から周方向両側に向かって小さくなる。
さらに、固定部材4の端板部12に操作手段9を、雄ねじ60と雌ねじ26とをねじ結合させて取り付ける。この際には、つまみ部54と固定部材4の端板部12との間に緩み止め部材64を配置して、振動等により、雄ねじ60と雌ねじ26との相対的位置が予期せず変化するのを防止する。
雄ねじ60を緩めて操作手段9の当接面62をキャリア体8の基部28から離隔させると、操作手段9はキャリア体8に対して何らの摩擦力も付与しない。この場合において、回転体2を図1の中央縦断面図の右方向から見て時計方向に回転した状態を示すのが図2である。
図2において、回転体2を時計方向に回転させようとすると、回転体2のカム面48が遊星歯車体6の突出部36の外周面と当接し、接触部拡大図に示すとおり、回転体2のカム面48と突出部36の外周面との当接点Pにおいて突出部36には法線方向の力Nが作用し、周方向にはその分力であるNsinαが作用する(α:カム面48が周方向に対して傾斜する角度)。一方、遊星歯車体6は固定歯車24により反時計方向に自転させられるので、カム面48と突出部36の外周面との間には摩擦力μNが作用し(μ:静止摩擦係数)、周方向にはその分力のμNcosαが反時計方向に作用する。本発明のストッパでは、Nsinα>μNcosαとなるよう、カム面48の傾斜角や摩擦係数が設定されており、操作手段9がキャリア体8に対して摩擦力を付与しないときには、回転体2の回転が許容されることとなる。これは、回転体2が反時計方向に回転するときでも同様である。
Nsinα<μNcosα+R
の式が成立する値となるとき、すなわち、時計方向向きの周方向の分力Nsinαが、反時計方向向きの摩擦力μNの分力と抗力Rとの合計値よりも小さい状態となるときは、回転体2は突出部36を時計方向に移動させることができない。このように、操作手段9によりキャリア体8に所定の摩擦力を付加した場合には、回転体2のカム面48と遊星歯車体6の突出部36の外周面との間で、摩擦力による噛み合いが生じた状態となり、遊星歯車体6の自転及び公転はロックされ、回転体2は回転不能となる。
そして、回転の許容と阻止を切り換える操作手段9は、遊星歯車体6に対して直接的に作用するのではなく、これを軸支するキャリア体8に対して作用するものであるから、回転体2を回転不能な状態から回転可能な状態に切り換える際に、カム面48と突出部36の噛み合い状態とは関係なく、容易に操作することができる。従って、本発明のストッパをシャッターのような重量物に適用した場合であっても操作手段を容易に操作することが可能となる。
4:固定部材
6:遊星歯車体
8:キャリア体
24:固定歯車
26:雌ねじ
30:キャリア軸
34:遊星歯車
44:空間部
46:カム面
48:片側部分
50:他側部分
52:操作手段
60:雄ねじ
Claims (6)
- 回転体を回転可能な状態と回転不能な状態とに切り換えるストッパであって、
前記回転体の外周を取り囲んで設置された固定部材を備え、前記固定部材には固定歯車が形成され、かつ、前記固定部材の内側には、前記固定歯車と噛み合う遊星歯車を有する遊星歯車体と、前記遊星歯車体を軸支するキャリア体とが配置され、
前記遊星歯車体には、軸方向に突出し断面形状が円形の突出部が設けられると共に、前記回転体には、前記突出部が挿入される空間部が設けられ、前記空間部の縁部には、前記突出部の外周面との距離が変化するカム面が形成されており、さらに、
前記キャリア体に対し所定の摩擦力を付与する位置とその摩擦力を解除する位置とに切り換え可能な操作手段が設置され、
前記操作手段により前記キャリア体に所定の摩擦力を付与した場合は、前記回転体が回転しようとしたときに、前記回転体の前記カム面と前記遊星歯車体の前記突出部の外周面との間で噛み合いが生じて回転体が回転不能となり、摩擦力を解除した場合は、前記遊星歯車体の自転が許容されて回転体が回転可能となる、ことを特徴とするストッパ。 - 前記空間部の半径方向内側又は外側の縁部には、周方向に見て相互に離隔する方向にそれぞれ半径方向外側又は内側に傾斜して延びる一対のカム面が形成された請求項1に記載のストッパ。
- 前記回転体には、半径方向内側又は外側の縁部がそれぞれ周方向に見て相互に離隔する方向に半径方向内側又は外側に傾斜して延びるカム面を有する前記空間部が、対となって設置された請求項1に記載のストッパ。
- 前記カム面は前記空間部の径方向内側の縁部に設けられている、請求項1乃至3のいずれかに記載のストッパ。
- 前記操作手段には、雄ねじが形成されていると共に、前記固定部材には、雌ねじが形成されており、前記雄ねじと前記雌ねじとのねじ結合により、前記操作手段の一部が前記固定部材の内側に進入して前記キャリア体に当接することで前記所定の摩擦力を付与する、請求項1乃至4のいずれかに記載のストッパ。
- 前記キャリア体には、前記遊星歯車体を挟んで対向する位置に、キャリア補助板が一体的に結合されている、請求項1乃至5のいずれかに記載のストッパ。
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Family Applications (1)
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JP2017157932A Active JP6545227B2 (ja) | 2017-08-18 | 2017-08-18 | 歯車の空転を利用するストッパ |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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2017
- 2017-08-18 JP JP2017157932A patent/JP6545227B2/ja active Active
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