JP6544944B2 - 吊り下げ対象物の位置計測方法及び計測システム - Google Patents
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Description
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、吊り下げ対象物の水中での位置を、より正確に安定して計測することにある。
以下の発明の態様は、本発明の構成を例示するものであり、本発明の多様な構成の理解を容易にするために、項別けして説明するものである。各項は、本発明の技術的範囲を限定するものではなく、発明を実施するための最良の形態を参酌しつつ、各項の構成要素の一部を置換し、削除し、又は、更に他の構成要素を付加したものについても、本願発明の技術的範囲に含まれ得るものである。
本項に記載の吊り下げ対象物の位置計測方法は、位置計測手段としてレーザ距離計を使用する。このレーザ距離計は、例えば、水平方向に扇状の範囲にレーザ光を射出し、計測対象物に反射して戻ってきた反射レーザ光を受けることで、計測対象物までの距離及び角度を計測するものである。従って、設置の際に把握できるレーザ距離計の設置位置の情報と、レーザ距離計による複数のワイヤまでの距離及び角度の計測結果とから、複数のワイヤの位置が判明する。このため、複数のワイヤの位置を、より正確に計測するものとなる。
本項に記載の吊り下げ対象物の位置計測方法は、水平方向の位置を計測する複数のワイヤとして、吊り下げ対象物を支持する少なくとも2本の支持ワイヤを含む2本以上のワイヤを対象とする。そして、これら複数のワイヤの位置計測結果から、平面視で少なくとも2本の支持ワイヤ間の中心位置を求め、この中心位置を、複数のワイヤの中心位置であるワイヤ中心位置に設定する。そして、算出したワイヤ中心位置を利用して、吊り下げ対象物の水平方向の位置及び回転角度を算出するものである。
本項に記載の吊り下げ対象物の位置計測方法は、複数のワイヤの位置計測結果から、複数のワイヤが成す所定形状として、平面視で少なくとも2本の支持ワイヤの位置を通る直線を算出する。又、吊り下げ対象物が回転していない状態で複数のワイヤが成す所定形状を、水平方向にシフト移動した仮想形状として、平面視でクレーンの正面方向と直交すると共に、複数のワイヤの計測位置から算出したワイヤ中心位置を通る、回転基準線を算出する。そして、算出したワイヤ中心位置において交わる、支持ワイヤの位置を通る直線と、回転基準線とが成す角度を算出し、この角度を、吊り下げ対象物の回転角度とするものである。このように、吊り下げ対象物を支持している少なくとも2本の支持ワイヤが成す直線形状を利用して、吊り下げ対象物の回転角度を効率よく算出するものである。
本項に記載の吊り下げ対象物の位置計測方法は、複数のワイヤにより吊り下げる吊り下げ対象物として、浚渫作業用のグラブバケットを用いるものである。このグラブバケットは、船上のクレーンのブームから吊り下げられる、支持ワイヤと開閉ワイヤとを含む複数のワイヤにより、上下位置及び開閉動作が制御される。このようなグラブバケットの水中への投入位置を、グラブバケットを吊持している複数のワイヤの水平方向の位置から計測することで、水流等の影響を受けることなく安定して計測を行い、浚渫位置の記録等をより正確に行うものである。
本項に記載の吊り下げ対象物の位置計測方法は、位置計測手段として用いるレーザ距離計を、正面視でブームの中心線上に設置することで、計算の効率化を図るものである。すなわち、本項に記載の吊り下げ対象物の位置計測方法と異なり、レーザ距離計を正面視でブームの中心線上に設置しない場合は、レーザ距離計の設置位置に応じたオフセット量を考慮して、演算を行う必要がある。しかしながら、本項に記載の吊り下げ対象物の位置計測方法は、レーザ距離計を、正面視でブームの中心線上の、例えば、ブームの根元近傍に、計測範囲の水平方向中心をブームの中心線に合わせて設置する。これにより、ブームの略中心線上に位置するシーブから吊り下げられるワイヤの位置計測を、ブームの中心線上から行うこととなるため、オフセット量に係る演算が省略され、計算の効率化が図られる。従って、吊り下げ対象物の位置の計算を、より正確に実行するものとなる。
(9)上記(8)項において、前記位置計測手段が、前記複数のワイヤまでの距離及び角度を計測するレーザ距離計である吊り下げ対象物の位置計測システム(請求項8)。
(11)上記(10)項において、前記ブームに設置され、該ブームの傾斜角度を計測するための傾斜角計測手段と、前記複数のワイヤのうち、少なくとも1本のワイヤのワイヤドラムに設置され、前記少なくとも1本のワイヤの繰り出し量を計測する繰り出し量計測手段と、を含み、前記制御手段は、前記傾斜角計測手段の計測結果から、前記ブーム先端に具備され前記複数のワイヤが掛け回されるシーブの位置を算出し、前記繰り出し量計測手段の計測結果から、前記シーブから前記吊り下げ対象物までのワイヤ長さを算出し、前記ワイヤ中心位置と、前記シーブの位置と、前記ワイヤ長さとを利用して、前記吊り下げ対象物の水平方向の位置を算出するものである吊り下げ対象物の位置計測システム(請求項10)。
(13)上記(8)から(12)項において、前記吊り下げ対象物が、支持ワイヤと開閉ワイヤとを含む前記複数のワイヤにより上下位置及び開閉動作が制御される、浚渫作業用のグラブバケットである吊り下げ対象物の位置計測システム(請求項12)。
(14)上記(8)から(13)項において、前記レーザ距離計が、正面視で前記ブームの中心線上に設置されている吊り下げ対象物の位置計測システム。
そして、(8)〜(14)項の吊り下げ対象物の位置計測システムは、各々、上記(1)〜(7)項に記載の吊り下げ対象物の位置計測方法に利用されることで、上記(1)〜(7)項の吊り下げ対象物の位置計測方法に対応する同等の作用を奏するものである。
図1〜図3は、夫々、本発明の実施の形態に係る吊り下げ対象物の位置計測システム10の構成と、吊り下げ対象物の位置計測システム10を搭載した作業船24と、作業船24のクレーン26近傍とを示している。まず、図2を参照して、吊り下げ対象物の位置計測システム10を搭載する作業船24の構成について、簡単に説明する。
位置計測手段12は、図3に示すように、ブーム30の旋回動作に追従し、ブーム30の起伏動作に追従しない箇所、図示の例では、ブーム30の根元近傍に設置されている。本発明の実施の形態に係る吊り下げ対象物の位置計測システム10では、位置計測手段12として、正面視(図3の右から見る方向)でブーム30の中心線上に、レーザ距離計が設置されている。このレーザ距離計12は、詳しくは後述するが、ブーム30のシーブ36から吊り下がっている複数のワイヤ32の、レーザ距離計12からの距離及び角度を計測するものである。なお、位置計測手段12の設置位置は、ブーム30の旋回動作に追従し、ブーム30の起伏動作に追従しない位置であればよく、例えば、クレーン26の操縦室28の前方に設置されていてもよい。
又、繰り出し量計測手段16は、複数のワイヤ32のうちの、少なくとも1本のワイヤのワイヤドラム38に設置され、設置されたワイヤドラム38から繰り出されるワイヤの繰り出し量を計測するものである。繰り出し量計測手段16には、ワイヤの繰り出し量を計測可能な任意の計測機器を用いることができる。
又、制御手段20は、上述した位置計測手段12、傾斜角計測手段14、繰り出し量計測手段16、旋回角計測手段18の各々に接続されており、各計測手段を制御すると共に、各計測手段から計測結果を取得する。そして、詳しくは後述するが、取得した計測結果に基づいて、吊り下げ対象物34の水中での位置を求めるための、様々な演算を行うものである。制御手段20は、操縦室28等の適切な位置に設置され、種々のコンピュータで構成することができる。
S20(クレーン情報登録):クレーン26の諸元等に関する各情報を、制御手段20に設定する。例えば、ブーム30の長さ、ワイヤドラム38からシーブ36までのワイヤの長さ等を設定する。更に、これらの情報に加えて、レーザ距離計12の設置位置の情報を設定する。
S60(ブーム傾斜角度計測):図3に示すように、ブーム30に設置した傾斜角計測手段14により、ブーム30の傾斜角度αを計測する。
S70(シーブ位置算出):制御手段20により、上記S60での計測結果から、シーブ36の位置を算出する。すなわち、ブーム30の傾斜角度α、予め設定されるブーム30の長さ等から、例えば、浚渫船24に対する相対座標として、シーブ36の位置を算出する。
S90(ワイヤ長さ算出):制御手段20により、上記S80での計測結果から、シーブ36からグラブバケット34までのワイヤ長さを算出する。すなわち、ワイヤの繰り出し量、予め設定されるワイヤドラム38からシーブ36までのワイヤの長さ等から、シーブ36からグラブバケット34までのワイヤ長さd1を算出する。
続いて、レーザ距離計12から、鉛直に吊り下がっていると仮定したときのワイヤ中心位置c’までの距離d2と、レーザ距離計12からワイヤ中心位置cまでの距離d2+d3とに基づき、距離d3を算出する。すなわち、鉛直に吊り下がっていると仮定したときのワイヤ中心位置c’から、計測時の4本のワイヤ32のワイヤ中心位置cまでの、ワイヤの前方向への移動量d3を算出する。
S120:(回転基準線算出):制御手段20により、上記S110で算出した2本の支持ワイヤ32aを通る直線の傾きを算出するための、比較対象となる回転基準線を算出する。具体的には、図6に示すように、平面視でクレーン26の正面方向(図中上方向)と直交し、かつ、上記S50で算出したワイヤ中心位置cを通る直線L2を、回転基準線として算出する。なお、クレーン26が旋回した状態である場合は、平面視で旋回したクレーン26の正面方向と直交すると共に、ワイヤ中心位置cを通る直線L2を、回転基準線として算出する。
なお、上記の実施例では、複数のワイヤ32の計測位置から、吊り下げ対象物34の水平方向の位置を算出しているが、当然のことながら、ワイヤの繰り出し量やワイヤ長さd1等に基づいて、吊り下げ対象物34の水中での深度を算出することも可能である。
Claims (6)
- 作業船上のクレーンのブームを介して複数のワイヤにより吊り下げられると共に上下位置が制御される吊り下げ対象物の水中での位置を計測する方法であって、
前記クレーンの、前記ブームの旋回動作にのみ追従する箇所に、位置計測手段を設置し、
該位置計測手段により、前記複数のワイヤの各々の、前記吊り下げ対象物との接続部から上方へと延びる部分の水平方向の位置を計測し、
該位置計測結果に基づいて、前記吊り下げ対象物の水平方向の位置及び回転角度を算出することを特徴とする吊り下げ対象物の位置計測方法。 - 前記位置計測手段としてレーザ距離計を使用し、該レーザ距離計により前記複数のワイヤまでの距離及び角度を計測して、該計測結果から前記複数のワイヤの水平方向の位置を算出することを特徴とする請求項1記載の吊り下げ対象物の位置計測方法。
- 前記吊り下げ対象物として、支持ワイヤと開閉ワイヤとを含む前記複数のワイヤにより上下位置及び開閉動作が制御される、浚渫作業用のグラブバケットを用いることを特徴とする請求項1又は2記載の吊り下げ対象物の位置計測方法。
- 作業船上のクレーンのブームを介して複数のワイヤにより吊り下げられると共に上下位置が制御される吊り下げ対象物の水中での位置を計測するシステムであって、
前記クレーンの、前記ブームの旋回動作にのみ追従する箇所に設置され、前記複数のワイヤの各々の、前記吊り下げ対象物との接続部から上方へと延びる部分の水平方向の位置を計測するための位置計測手段と、
該位置計測手段による計測結果に基づいて、前記吊り下げ対象物の水平方向の位置及び回転角度を算出する制御手段と、を含むことを特徴とする吊り下げ対象物の位置計測システム。 - 前記位置計測手段が、前記複数のワイヤまでの距離及び角度を計測するレーザ距離計であることを特徴とする請求項4記載の吊り下げ対象物の位置計測システム。
- 前記吊り下げ対象物が、支持ワイヤと開閉ワイヤとを含む前記複数のワイヤにより上下位置及び開閉動作が制御される、浚渫作業用のグラブバケットであることを特徴とする請求項4又は5記載の吊り下げ対象物の位置計測システム。
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