JP7036443B2 - 吊具の位置の測定方法および測定装置および吊具 - Google Patents

吊具の位置の測定方法および測定装置および吊具 Download PDF

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Description

本発明は、吊具の位置を測定する測定方法および測定装置および吊具に関するものであり、詳しくは吊具の水平方向における位置を精度良く測定できる測定方法および測定装置および吊具に関するものである。
吊具の位置を測定する位置測定装置が種々提案されている(例えば特許文献1参照)。特許文献1に記載の位置測定装置は、予め定められた形状を有するターゲットを備えているので、レーザ距離計から照射されるレーザ光によりターゲットの位置を高い精度で測定することができていた。この位置測定装置は、例えば横行方向に沿ってレーザ光を走査する場合は、横行方向における吊具の位置を精度よく測定できていた。しかし横行方向を水平面上において直角に横断する走行方向における吊具の位置を測定することは困難であった。
日本国特開2014-091619号公報
本発明は上記の問題を鑑みてなされたものであり、その目的は吊具の水平方向における位置を精度良く測定できる測定方法および測定装置および吊具を提供することである。
上記の目的を達成するための吊具の位置の測定方法は、吊具の上面に設置されていてレーザ光を反射する構成を有するターゲットにレーザ距離計からレーザ光を照射して前記吊具の位置を測定する測定方法において、前記吊具が水平方向に延びる第一方向に間隔をあけて配置される一対の前記ターゲットを備えていて、前記第一方向を直角に横断する第二方向における前記ターゲットの一端側から他端側に向かって前記ターゲットどうしの上下方向における位置の差が大きくなる状態で一対の前記ターゲットが前記吊具に配置されていて、前記レーザ距離計から前記ターゲットにレーザ光を照射して前記ターゲットの位置情報を取得して、取得された前記位置情報から前記ターゲットどうしの上下方向における位置の差を算出してこの値に基づき前記第二方向における前記吊具の位置を決定するとともに、前記位置情報から前記第一方向における前記吊具の位置を決定することを特徴とする。
上記の目的を達成するための測定装置は、吊具の上面に設置されていてレーザ光を反射する構成を有するターゲットと、このターゲットにレーザ光を照射して前記ターゲットまでの距離を測定するレーザ距離計と、このレーザ距離計から得られる値に基づき前記吊具の位置を算出する演算部とを備えていて前記吊具の位置を測定する測定装置において、前記ターゲットが水平方向に延びる第一方向に間隔をあけて配置される一対のターゲットで構成されていて、一対の前記ターゲットが、前記第一方向を直角に横断する第二方向における前記ターゲットの一端側から他端側に向かって前記ターゲットどうしの上下方向における位置の差が大きくなる状態で前記吊具に設置されていることを特徴とする。
上記の目的を達成するための吊具は、レーザ光を反射する構成を有する位置測定用のターゲットを上面に配置された吊具において、水平方向に延びる第一方向に間隔をあけて配置される一対の前記ターゲットを備えていて、一対の前記ターゲットが、前記第一方向を直角に横断する第二方向における前記ターゲットの一端側から他端側に向かって前記ターゲットどうしの上下方向における位置の差が大きくなる状態で前記吊具に設置されていることを特徴とする。
本発明によれば、一対のターゲットの上下方向における位置の差が第二方向に沿って変化するので、ターゲットの高さの差から吊具の第二方向における位置を測定することができる。そのため第一方向に沿ってのみレーザ光が走査される場合であっても、第一方向に加えて第二方向における吊具の位置を測定することができる。吊具の位置を精度良く測定するには有利である。
測定装置を斜視で例示する説明図である。 図1のAA断面を例示する説明図である。 図2のターゲット近傍を拡大して例示する説明図である。 図1の吊具を平面視で例示する説明図である。 図1の吊具を側面視で例示する説明図である。 図5の吊具が移動した状態を例示する説明図である。 図6のターゲットどうしの上下方向における位置の差と吊具の変位量との関係を示すグラフである。 図6のターゲットの変形例を例示する説明図である。 図8のターゲットどうしの上下方向における位置の差と吊具の変位量との関係を示すグラフである。 図2の吊具が傾いた状態を例示する説明図である。 図10における測定ポイント間の長さの関係を例示する説明図である。 図1のターゲットの変形例を例示する説明図である。 図12の吊具を平面視で例示する説明図である。
以下、吊具の位置を測定する測定方法および測定装置および吊具を図に示した実施形態に基づいて説明する。図中では水平方向に延びる第一方向を矢印x、この第一方向を直角に横断する第二方向を矢印y、上下方向を矢印zで示している。
図1に例示するように吊具1は、例えばコンテナクレーンのスプレッダで構成される。このスプレッダは、コンテナクレーンの水平梁に沿って横行するトロリ2からロープで懸吊される。図1では説明のためロープを省略している。吊具1はこれに限らず、石炭や鉄鉱石等のバラ荷を荷役するグラブバケットで構成されてもよい。
吊具1の位置を測定する測定装置3は、吊具1の上面に設置される一対のターゲット4と、このターゲット4に向かってレーザ光を照射するレーザ距離計5と、レーザ距離計5で取得した値に基づき演算を行う演算部6とを備えている。図では説明のためターゲット4に照射されるレーザ光の一部を一点鎖線で示している。
位置測定用のターゲット4は、レーザ距離計5から照射されるレーザ光を反射する構成を有している。ターゲット4は例えば三角柱形状の部材で構成される。一対のターゲット4は第一方向xに間隔をあけて配置されている。この実施形態ではターゲット4を構成する三角柱形状の部材の軸方向が第二方向yに沿っている状態となる。本明細書においてターゲット4が第二方向yに沿う状態とは、吊具1に配置されているターゲット4の第二方向yの長さが第一方向xの長さよりも長い状態であることをいう。なおターゲット4が第二方向yに沿う状態であることは本発明の必須要件ではなく、一対のターゲット4が第一方向xに間隔をあけて配置されていればターゲット4が第一方向xに沿う状態であってもよい。
例えばクレーンの走行方向を第二方向yとして、トロリ2の横行方向を第一方向xとして設定できる。クレーンの走行方向を第一方向xとして、トロリ2の横行方向を第二方向yとして設定してもよい。またクレーンの走行方向からトロリ2の横行方向に向かって例えば45度など所定の角度で傾いた方向を第二方向yとして、この第二方向yを直角に横断する方向を第一方向xとして設定してもよい。
図1に例示するように一対のターゲット4は第一方向xに並べて配置されている。第二方向yにおいてターゲット4の一端側から他端側に向かって、一対のターゲット4どうしの上下方向zにおける位置の差が順次大きくなる状態で吊具1に固定されている。つまり一方のターゲット4に対する他方のターゲット4の高さが第二方向yに沿って変化する。この実施形態では一方のターゲット4は水平となる状態で吊具1に設置されていて、他方のターゲット4は支柱等の部材で上方に持ち上げられ上下方向zに傾いた状態で吊具1に設置されている。
一対のターゲット4は、第一方向xの間隔が一定となる状態で吊具1に設置されている。この実施形態では一対のターゲット4が平面視で互いに平行となる状態で吊具1に設置されている。本発明は一対のターゲット4の第一方向xの間隔が変化する状態で吊具1に設置される構成を除外しない。
図2に例示するようにレーザ距離計5は、例えばトロリ2の下面に設置される。吊具1は、トロリ2からロープRで懸吊されている。レーザ距離計5は下方のターゲット4に向かってレーザ光を照射する。レーザ距離計5は、レーザ光の照射角度αと、レーザ距離計5からターゲット4までの距離Lとを取得する構成を有している。照射角度αは例えば上下方向zに対するレーザ光の傾きを示す。
この実施形態ではレーザ距離計5は、第一方向xに沿ってレーザ光を走査する構成を有している。つまりレーザ距離計5は、照射角度αを例えば-30°~+30°の範囲で変化させながら第一方向xに沿って複数のレーザ光を照射してそれぞれ距離Lを取得する構成を有している。そのためレーザ光は一対のターゲット4を第一方向xに横断する状態で照射される。レーザ距離計5は例えば2Dレーザスキャナで構成することができる。
図2に例示する実施形態ではレーザ距離計5は、第二方向yと平行となる方向に沿ってレーザ光を走査しているがこの構成に限らない。レーザ距離計5はレーザ光を一対のターゲット4に照射させる構成を有していればよく、例えば第二方向yから第一方向xに向かって傾いた方向に沿ってレーザ光を走査する構成をレーザ距離計5は有していてもよい。
演算部6は、レーザ距離計5から得られる値に基づき吊具1の位置を算出する構成を有している。演算部6とレーザ距離計5とは有線または無線の信号線で接続されている。この実施形態では演算部6はトロリ2に設置されている。演算部6を設置する場所は上記に限らず、例えばコンテナクレーンの場合はクレーンの運転室や機械室など任意の場所に設置することができる。
レーザ距離計5が設置される位置もトロリ2に限らない。レーザ距離計5の設置位置は、吊具1の上面に設置されているターゲット4にレーザ光を照射できる位置であればよい。例えばトロリ2が横行する水平梁などにレーザ距離計5が設置される構成としてもよい。
図3に例示するようにレーザ距離計5が第一方向xに沿ってレーザ光を走査する。レーザ光はターゲット4で反射されて、反射光はレーザ距離計5に到達する。ターゲット4においてレーザ光を反射した場所を以下、測定ポイントPという。レーザ距離計5はレーザ光を照射して反射光が戻ってくるまでの時間を計測する構成を有している。レーザ距離計5は、この時間に基づきレーザ距離計5からターゲット4までの距離Lを算出する。つまりレーザ距離計5はターゲット4の位置を示す位置情報としての極座標(Ln,αn)を得られる構成を有している。
演算部6は、レーザ距離計5から得られる極座標(Ln,αn)を変換して、測定ポイントPの直交座標(Lnsinαn,Lncosαn)を算出する。これにより測定装置3は一対のターゲット4の位置座標を取得できる。直交座標はレーザ距離計5の位置を原点としている。直交座標の算出はレーザ距離計5で行う構成としてもよく、演算の一部をレーザ距離計5が行い演算の残りを演算部6が行う構成としてもよい。
ターゲット4のより正確な位置座標を取得するために、上下方向zにおけるターゲット4の上端部または下端部の位置座標を測定ポイントPの位置座標から算出する構成を演算部6が有することが望ましい。ターゲット4の端部の位置座標を算出する構成は、出願人が特開2014-91619号公報にて既に公開している。
ターゲット4の形状は三角柱形状に限定されない。ターゲット4の端部の位置座標を算出できないため精度は低下するが、四角柱形状など他の形状であってもよい。ターゲット4はレーザ光を反射する構成を有していればよく、必ずしも立体形状を有している必要はない。例えばターゲット4はレーザ光を反射する反射テープ等で構成してもよい。この場合反射テープ等以外の部分でレーザ光が反射されないように、吊具1の上面は例えばレーザ光を反射しない塗料等で覆うなど、レーザ光を反射しないまたはレーザ光を反射し難くなる加工を行う必要がある。
図3に例示するように演算部6は、一対のターゲット4の位置座標からターゲット4どうしの上下方向zにおける位置の差(以下、高さの差ということがある)ΔHを算出する。ターゲット4どうしの高さの差ΔHはΔH=L1cosα1-L2cosα2で求めることができる。
図4および図5に例示するように吊具1に対する一対のターゲット4の位置は既知である。また図5に例示するようにターゲット4どうしの高さの差ΔHは第二方向yに沿ってΔHminからΔHmaxに変化する。そのためターゲット4どうしの高さの差ΔHから第二方向yにおける吊具1の位置を決定することができる。図4および図5に例示する吊具1の位置を以下、基準位置ということがある。このとき第二方向yにおける吊具1の変位量Δyは0となる。また吊具1が基準位置にあるときのターゲット4どうしの高さの差ΔHを以下、基準値ΔH0ということがある。
図5では高さの差ΔHが、ターゲット4の下端部どうしの位置の差として図示している。ターゲット4の上端部どうしの位置の差を高さの差ΔHとしてもよい。上下方向zにおけるターゲット4の厚みを小さくして薄板で構成すると、ターゲット4の厚みの影響をほとんど受けることなく高さの差ΔHを得られる。測定装置3の測定精度を向上するには有利である。
例えば図6に例示するように吊具1がレーザ距離計5に対して相対的に図6の右方に移動すると、算出される高さの差ΔH1は基準値ΔH0より小さくなる。第二方向yにおける一対のターゲット4の位置が一つに決まる状態で高さの差ΔHは第二方向yに沿って変化
する。つまりターゲット4どうしの高さの差ΔHから、第二方向yにおける吊具1の位置を測定装置3は決定することができる。図4、図5および図6では説明のためレーザ距離計5から走査されるレーザ光の軌跡を二点鎖線で示している。また図6では説明のため移動前の吊具1およびターゲット4等の位置を破線で示している。
図7に例示するように高さの差ΔHは、第二方向yにおける吊具1の変位量Δyに応じて変化する。例えば高さの差ΔHが基準値ΔH0より小さいΔH1のときは、変位量Δyは0より大きい+Δy1となり、吊具1が基準位置より右方に移動していることがわかる。同様に高さの差ΔHが基準値ΔH0より大きいときは、変位量Δyは0より小さくなり、吊具1が基準位置より左方に移動していることがわかる。
一対のターゲット4の形状および吊具1への設置位置は上記に限らない。レーザ距離計5により測定されるターゲット4どうしの高さの差ΔHと吊具1の変位量Δyとが一対一で決定される構成であればよい。ΔH=L1cosα1-L2cosα2の式から求められる一対のターゲット4どうしの高さの差ΔHの値がプラスからマイナスに変化する状態であってもよい。このとき一対のターゲット4は側面視で互いに交差する状態に配置される。一対のターゲット4の両方が上下方向zに傾いた状態で吊具1に配置される構成であってもよい。
一対のターゲット4が第一方向xに間隔をあけて配置される構成により、測定装置3はレーザ距離計5から得られる値がいずれのターゲット4に対応するものかを容易に判定することができる。
図8に例示するようにターゲット4が側面視(xy平面)において湾曲した形状を有していてもよい。このとき変位量Δyと高さの差ΔHの関係は図9に例示するように曲線で定義される。
図8に例示するように吊具1がレーザ距離計5に対して相対的に図8の右方に移動すると、算出される高さの差ΔH1は基準値ΔH0より大きくなる。図8では説明のためレーザ距離計5から走査されるレーザ光の軌跡を二点鎖線で示している。また図8では説明のため移動前の吊具1およびターゲット4の位置を破線で示している。
図9に例示するように高さの差ΔHが基準値ΔH0より大きいΔH1のときは、変位量Δyは0より大きい+Δy1となり、吊具1が基準位置より右方に移動していることがわかる。
上述のように演算部6は、予めデータとして演算部6に格納されている高さの差ΔHと変位量Δyとの関係に基づき、高さの差ΔHから第二方向yにおける吊具1の位置を決定する。その後、第一方向xにおけるターゲット4の位置情報であるL1sinα1とL2sinα2とから第一方向xにおける吊具1の位置を決定する。以上より第二方向yおよび第一方向xにおける吊具1の位置が測定装置3により測定される。
演算部6が吊具1の位置を測定する方法は上記に限らず、まず第一方向xにおける吊具1の位置を決定した後に、第二方向yにおける吊具1の位置を決定する方法であってもよい。
第一方向xにのみ走査するレーザ距離計5であっても、吊具1の位置は第一方向xにおける位置に加えて、第二方向yにおける位置も測定できる。この場合、複数の方向に走査するレーザ距離計よりも簡易な構成であるにもかかわらず、水平方向における吊具1の位置を測定できる。吊具1の位置を精度良く測定するには有利である。
レーザ距離計5の走査方向が第一方向xのみである場合、レーザ光を走査させる際の周期を短くできる。そのためほとんど遅れなく吊具1の位置を測定することができる。レーザ距離計5を3Dレーザセンサで構成してもよいが、取得される測定ポイントPの数が多くなるため測定に必要な時間が増加するとともに、値の演算に必要な時間も増加する。そのため吊具1の位置を遅れなく取得したい場合には、レーザ距離計5を走査方向が第一方向xのみである2Dレーザスキャナで構成する方が望ましい。
演算部6が一対のターゲット4の第一方向xにおける間隔Dを算出する構成を有していてもよい。図3に例示するように測定ポイントPの直交座標(Lnsinαn,Lncosαn)から一対のターゲット4の第一方向xにおける間隔Dは、D=L1sinα1+L2sinα2となる。この実施形態では一対のターゲット4は、図4に例示するように互いに平行となる状態で設置されているので、吊具1の位置にかかわらず間隔Dは一定の値となる。
図10に例示するように吊具1が第二方向yを中心軸として傾いている場合には算出される見かけ上の間隔D’が実際の間隔Dと異なる大きさとなる。測定装置3の演算部6は、見かけ上の間隔D’の値から吊具1の傾きの状態を推定することが可能となる。吊具1が傾いている場合は算出される見かけ上の高さの差ΔH’は、実際の高さの差ΔHとは異なる値となる。
吊具1が傾くと一対のターゲット4どうしの見かけ上の間隔D’は、実際の間隔Dよりも小さい又は大きい値として算出される。例えば図10に例示するように一対のターゲット4のうち高い位置にあるターゲット4の側(図10左側)に吊具1が傾くと、見かけ上の間隔D’は実際の間隔Dよりも大きい値となる。また低い位置にあるターゲット4の側(図10右側)に吊具1が傾くと、見かけ上の間隔D’は実際の間隔Dよりも小さい値となる。つまり吊具1が第二方向yを中心に反時計回りに傾くと見かけ上の間隔D’は大きくなり時計回りに傾くと見かけ上の間隔D’は小さくなる。吊具1の傾きθが大きいほど、見かけ上の間隔D’は実際の値から大きく異なる値として算出される。一対のターゲット4の見かけ上の間隔D’の値に基づいて、測定装置3により得られる見かけ上の高さの差ΔH’の精度を評価することができる。
例えば実際の間隔Dの値に対して見かけ上の間隔D’の値が所定の範囲内であるときは測定精度が高い状態である旨を測定装置3がクレーンオペレータ等に通知する構成にすることができる。同様に見かけ上の間隔D’の値が所定の範囲を超える場合には測定精度が低い状態である旨を測定装置3が通知する構成にすることができる。クレーンオペレータは測定装置3が通知する測定精度の状態に応じて、測定された吊具1の水平方向における位置を信頼して作業を行うか、参考程度とするかを判断できる。
見かけ上の間隔D’の値の所定の範囲とは、例えば実際の間隔Dの長さに対して±15%の範囲に設定することができる。一対のターゲット4どうしの間隔Dが例えば1000mmに設定されている場合、見かけ上の間隔D’が850~1150mmの範囲にある場合は測定精度が高い状態となり、850mmよりも小さいときおよび1150mmよりも大きいときは測定精度が低い状態となる。所定の範囲は上記に限らず、適宜設定することができる。
自動運転によりクレーンが動作する場合には、見かけ上の間隔D’の値の所定の範囲外となったときに、測定装置3により得られる吊具1の水平方向における位置に基づく制御を中止するなどの措置をとることができる。
見かけ上の間隔D’に基づいて演算部6が補正演算を行う構成としてもよい。測定装置3により算出される見かけ上の間隔D’と見かけ上の高さの差ΔH’から実際の高さの差ΔHを算出することができる。図11に例示するように見かけ上の間隔D’と見かけ上の高さの差ΔH’は直角三角形を形成する。実際の間隔Dと実際の高さの差ΔHは直角三角形を形成して、前述の直角三角形と斜辺を共通とする。そのため下記の数式(1)により実際の高さの差ΔHを算出することができる。この補正演算により吊具1が傾いている場合であっても、測定装置3は実際の高さの差ΔHから吊具1の水平方向における位置を精度良く算出することができる。
Figure 0007036443000001
見かけ上の高さの差ΔH’と見かけ上の間隔D’は測定により得られる値であり、実際の間隔Dは一対のターゲット4を吊具1に設置する際に決定される既知の値である。吊具1の傾きを検知するこの実施形態では、一対のターゲット4は間隔Dが一定となる状態で吊具1に配置される構成が必須となる。
第一方向xにおいてそれぞれのターゲット4は吊具1の縁部近傍に配置されることが望ましい。一対のターゲット4どうしが離れた状態で吊具1に設置されているほど、見かけ上の間隔D’および見かけ上の高さの差ΔH’から実際の高さの差ΔHを算出する際の誤差を抑制しやすくなる。一対のターゲット4どうしが第一方向xにおいて離れて設置されているほど、吊具1の傾きθに対して見かけ上の間隔D’および見かけ上の高さの差ΔH’の値が変化しやすくなる。見かけ上の高さの差ΔH’から実際の高さの差ΔHを算出する際の誤差を抑制するには有利である。
平面視においてレーザ距離計5を挟んで両側に一対のターゲット4が配置される構成が望ましい。例えば吊具1が傾いた場合であっても、二つのターゲット4の位置情報を取得しやすくなる。また三角柱形状のターゲット4を利用して、ターゲット4の端部の位置座標を精度よく取得しやすくなる。ただし平面視においてレーザ距離計5の一方側に一対のターゲット4の両方が配置されている構成を除外するものではない。
一対のターゲット4は、例えば一部が連結される等ひとつながりの部材で構成されるものも含む。実質的に一対のターゲット4を構成する部分を含んでいれば本発明の効果は得られる。
図12および図13に例示するように本発明の一対のターゲット4は、ターゲット規定部材7により規定される仮想的なターゲット4を含む。この実施形態ではターゲット部材規定7は、第一方向xを軸方向とする円錐台であり、軸方向と平行であり且つ互いに直交する二つの面で四分割した部材で構成されている。この部材は円錐台を軸周りに90度切り出した形状ともいえる。第二方向yにおいてターゲット規定部材7の両側に仮想のターゲット4が形成される。図12および図13では説明のため仮想的なターゲット4を破線で示している。また図13ではレーザ距離計5から走査されるレーザ光の軌跡を二点鎖線で示している。
この実施形態ではターゲット規定部材7は、レーザ距離計5から照射されるレーザ光を反射する構成を有している。吊具1の上面に形成される側の仮想的なターゲット4はレーザ光を反射する構成を有していてもよく、有していなくてもよい。ターゲット規定部材7は上端に形成されて第一方向xの一端側から他端側に向かって下り傾斜となる縁部8と、下端に形成されていて水平方向に延びる縁部8とを有している。
レーザ距離計5でターゲット規定部材7の位置や上端および下端にそれぞれ形成される縁部8どうしの上下方向zの位置の差ΔHを測定することで、あたかも一対のターゲット4が設置されている場合と同様にその位置や高さの差ΔHを測定する場合と同様の結果を得ることができる。つまりターゲット規定部材7をレーザ距離計5で直接測定することで、仮想の一対のターゲット4の位置および高さの差ΔHを間接的に測定できる。吊具1に一つのターゲット規定部材7を設置することで、一対のターゲット4を設置する場合と同様の効果を得ることができる。
ターゲット規定部材7の形状は上記の円錐台に限定されない。第一方向xに沿って上下方向zにおける高さが大きくなる形状であればよい。例えば軸方向と平行な面で二分割された角錐台のほか円錐や角錐で構成してもよい。またターゲット規定部材7を凹状の形状で構成してもよい。
図13に例示するように一対のターゲット4が吊具1の周縁部に配置される構成にしてもよい。一対のターゲット4を吊具1に配置する際の自由度が向上する。
1 吊具
2 トロリ
3 測定装置
4 ターゲット
5 レーザ距離計
6 演算部
7 ターゲット規定部材
8 縁部
x 第一方向
y 第二方向
z 上下方向
R ロープ
L 距離
P 測定ポイント
ΔH 上下方向におけるターゲットどうしの位置の差(高さの差)
ΔH0 基準値
D (ターゲットどうしの)間隔
Δy 変位量
θ (吊具の)傾き

Claims (6)

  1. 吊具の上面に設置されていてレーザ光を反射する構成を有するターゲットにレーザ距離計からレーザ光を照射して前記吊具の位置を測定する測定方法において、
    前記吊具が水平方向に延びる第一方向に間隔をあけて配置される一対の前記ターゲットを備えていて、
    前記第一方向を直角に横断する第二方向における前記ターゲットの一端側から他端側に向かって前記ターゲットどうしの上下方向における位置の差が大きくなる状態で一対の前記ターゲットが前記吊具に配置されていて、
    前記レーザ距離計から前記ターゲットにレーザ光を照射して前記ターゲットの位置情報を取得して、取得された前記位置情報から前記ターゲットどうしの上下方向における位置の差を算出してこの値に基づき前記第二方向における前記吊具の位置を決定するとともに、前記位置情報から前記第一方向における前記吊具の位置を決定することを特徴とする測定方法。
  2. 吊具の上面に設置されていてレーザ光を反射する構成を有するターゲットと、このターゲットにレーザ光を照射して前記ターゲットまでの距離を測定するレーザ距離計と、このレーザ距離計から得られる値に基づき前記吊具の位置を算出する演算部とを備えていて前記吊具の位置を測定する測定装置において、
    前記ターゲットが水平方向に延びる第一方向に間隔をあけて配置される一対のターゲットで構成されていて、
    一対の前記ターゲットが、前記第一方向を直角に横断する第二方向における前記ターゲットの一端側から他端側に向かって前記ターゲットどうしの上下方向における位置の差が大きくなる状態で前記吊具に設置されていることを特徴とする測定装置。
  3. 前記演算部が、前記レーザ距離計から得られる値に基づき一対の前記ターゲットのそれぞれの位置を算出して、算出された前記ターゲットの位置に基づき一対の前記ターゲットの上下方向における位置の差を算出してこの値に基づき前記第二方向における前記吊具の位置を決定するとともに、前記ターゲットの位置から前記第一方向における前記吊具の位置を決定する構成を備える請求項2に記載の測定装置。
  4. レーザ光を反射する構成を有する位置測定用のターゲットを上面に配置された吊具において、
    水平方向に延びる第一方向に間隔をあけて配置される一対の前記ターゲットを備えていて、
    一対の前記ターゲットが、前記第一方向を直角に横断する第二方向における前記ターゲットの一端側から他端側に向かって前記ターゲットどうしの上下方向における位置の差が大きくなる状態で前記吊具に設置されていることを特徴とする吊具。
  5. 前記第二方向における前記ターゲットの一端側から他端側に向かって前記ターゲットどうしの前記第一方向における間隔が一定に設定されている請求項4に記載の吊具。
  6. 吊具の上面に設置されていてレーザ光を反射する構成を有するターゲット規定部材にレーザ距離計からレーザ光を照射して前記吊具の位置を測定する測定方法であって、
    前記吊具が水平方向に延びる第一方向に間隔をあけて配置される一対の縁部を有する前記ターゲット規定部材を備えていて、
    前記第一方向を直角に横断する第二方向における前記ターゲット規定部材の一端側から他端側に向かって一対の前記縁部の上下方向における位置の差が大きくなる状態で前記ターゲット規定部材が構成されていて、
    前記レーザ距離計から前記ターゲット規定部材にレーザ光を照射して前記ターゲット規
    定部材の位置情報を取得して、取得された前記位置情報から一対の前記縁部の上下方向における位置の差を算出してこの値に基づき前記第二方向における前記吊具の位置を決定するとともに、前記位置情報から前記第一方向における前記吊具の位置を決定することを特徴とする測定方法。
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