JP6544888B2 - 液晶ポリエステルの製造方法、熱硬化性液晶ポリエステル組成物の製造方法、及び硬化物の製造方法 - Google Patents
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Description
前記アシル化工程で得られたアシル化物と、芳香族ジカルボン酸及び/又は芳香族ヒドロキシカルボン酸とをエステル交換するエステル交換工程とを含む液晶ポリエステルの製造方法であって、
前記アシル化工程及び/又はエステル交換工程は、触媒の存在下で行われ、
前記触媒は、酢酸ランタン(III)、ジアザビシクロウンデセン、ビス(2,4−ペンタンジオナト)モリブデンジオキシド、ビス(2,4−ペンタンジオナト)亜鉛(II)、酢酸セリウム(III)、トリス(2,4−ペンタンジオナト)コバルト(III)、1−メチルイミダゾール、及びN,N−ジメチル−4−アミノピリジンからなる群から選択される少なくとも1種であり、
前記液晶ポリエステル中に含まれる、エステル結合以外の異種結合量が0〜200mmol/kgである液晶ポリエステルの製造方法。
本発明における液晶性ポリエステルとは、溶融加工性ポリエステルであり、溶融時に光学的異方性を示す。溶融異方性の性質は直交偏光子を利用した慣用の偏光検査方法により確認することができる。より具体的には溶融異方性の確認は、オリンパス社製偏光顕微鏡を使用しリンカム社製ホットステージにのせた試料を溶融し、窒素雰囲気下で150倍の倍率で観察することにより実施できる。液晶性ポリマーは光学的に異方性であり、直交偏光子間に挿入したとき光を透過させる。試料が光学的に異方性であると、例えば溶融静止液状態であっても偏光は透過する。
(1)主として芳香族ヒドロキシカルボン酸及び/又はその誘導体の1種又は2種以上からなるポリエステル
(2)主として芳香族ヒドロキシカルボン酸及び/又はその誘導体の1種又は2種以上、芳香族ジカルボン酸、脂環族ジカルボン酸及び/又はその誘導体の1種又は2種以上、並びに、芳香族ジオール、脂環族ジオール、脂肪族ジオール及び/又はその誘導体の少なくとも1種又は2種以上とからなるポリエステル
(3)主として芳香族ヒドロキシカルボン酸及び/又はその誘導体の1種又は2種以上、芳香族ヒドロキシアミン、芳香族ジアミン及び/又はその誘導体の1種又は2種以上、並びに、芳香族ジカルボン酸、脂環族ジカルボン酸及び/又はその誘導体の1種又は2種以上とからなるポリエステルアミド
(4)主として芳香族ヒドロキシカルボン酸及び/又はその誘導体の1種又は2種以上、芳香族ヒドロキシアミン、芳香族ジアミン及び/又はその誘導体の1種又は2種以上、芳香族ジカルボン酸、脂環族ジカルボン酸及び/又はその誘導体の1種又は2種以上、並びに、芳香族ジオール、脂環族ジオール、脂肪族ジオール及び/又はその誘導体の少なくとも1種又は2種以上とからなるポリエステルアミド等が挙げられる。
本発明の製造方法においては、アシル化工程及び/又はエステル交換工程で所定の触媒を使用する。具体的には、酢酸ランタン(III)、ジアザビシクロウンデセン、ビス(2,4−ペンタンジオナト)モリブデンジオキシド、ビス(2,4−ペンタンジオナト)亜鉛(II)、酢酸セリウム(III)、トリス(2,4−ペンタンジオナト)コバルト(III)、1−メチルイミダゾール、及びN,N−ジメチル−4−アミノピリジンからなる群から選択される少なくとも1種が使用される。本発明の効果を奏しやすいという点で、触媒は、トリス(2,4−ペンタンジオナト)コバルト(III)、及び1−メチルイミダゾールからなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。
本発明の製造方法から得られた液晶性ポリエステルを使用して、熱硬化性液晶ポリエステル組成物を調製してもよい。熱硬化性液晶ポリエステル組成物は、液晶ポリエステルと、水酸基及び/又はアシルオキシ基と反応する官能基並びに熱重合性官能基を分子内に有する化合物とを混合することで得られる。
本発明における熱硬化性液晶ポリエステル組成物を加熱等によって硬化させる(硬化反応を進行させる)ことにより、硬化物が得られる。加熱によって主に、水酸基及び/又はアシルオキシ基と反応する官能基並びに熱重合性官能基を分子内に有する化合物に起因する熱重合性官能基同士の反応(重合反応)が進行し、硬化物が形成される。加熱の手段としては、公知乃至慣用の手段を利用することができ、特に限定されない。
コンデンサーと撹拌機を取り付けた500mLのフラスコに、4−ヒドロキシ安息香酸94.3g(0.682mol)、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸102.7g(0.546mol)、4,4’−ジヒドロキシビフェニル25.4g(0.136mol)、無水酢酸156.3g(1.53mol)、及び、表1中の「触媒の種類」の項に示す触媒10.0mg(0.10mol)を入れ、窒素雰囲気下で140℃まで徐々に温度を上げた後、温度を維持しながら3時間反応させてアシル化反応を完結させた。次いで、0.8℃/分の速度で340℃まで昇温しながら酢酸及び未反応の無水酢酸を留去した。その後、340℃の温度で30分撹拌することでエステル交換反応を完結させ、液晶ポリエステルを得た。
上記で得られた液晶ポリエステルの融点(Tm)を、示差走査熱量分析装置(「DSC6200」、エスアイアイ・ナノテクノロジー(株)製)にて、20℃/分の昇温条件(窒素気流下)で測定した。その結果は、表1の「Tm」の項に示すとおりであった。
上記で得られた液晶ポリエステルの重合度を、該液晶ポリエステルの末端数の算出(特開平5−271394号公報に記載のアミン分解HPLC法による)、及びGPC測定に基づき、算出した。その結果は、表1の「重合度」の項に示すとおりであった。
各液晶ポリエステルの異種結合量(エステル結合以外の結合の量)は、Polymer Degradation and Stability 76 (2002) 85−94に記載される、ガスクロマトグラフィーによって算出した。
上記で得られた液晶ポリエステル200gと、溶媒(o−ジクロロベンゼン)130g中に分散させたメチレンビスマレイミド(「MBPM」とも称され、「水酸基及び/又はアシルオキシ基と反応する官能基並びに熱重合性官能基を分子内に有する化合物」に相当する)65gとを、170℃で30分混合し、混合物を得た。MBPMの使用量は、溶媒100質量部に対して50質量部である。その後、溶媒を10torrの真空下で除去することで、熱硬化性液晶ポリエステル組成物を得た。
得られた熱硬化性液晶ポリエステル組成物の溶融粘度及び熱硬化性を下記のように評価した。
各熱硬化性液晶ポリエステル組成物の溶融粘度は、回転型粘度計(アントンパール社製MCR301)を用い、温度170℃、せん断速度5sec−1で測定した。その結果は、表1の「溶融粘度」の項に示すとおりであった。
各熱硬化性液晶ポリエステル組成物の熱硬化性は、回転型粘度計(アントンパール社製MCR301)を用い、温度250℃、30分間、せん断速度5sec−1で測定したときの複素粘性率を測定し、以下の基準に基づき判定した。その結果は、表1の「熱硬化性」の項に示すとおりであった。
○:>5×103Pa・s
×:≦5×103Pa・s
Claims (4)
- 芳香族ジオール及び/又は芳香族ヒドロキシカルボン酸のフェノール性水酸基を、脂肪酸無水物でアシル化してアシル化物を得るアシル化工程と、
前記アシル化工程で得られたアシル化物と、芳香族ジカルボン酸及び/又は芳香族ヒドロキシカルボン酸とをエステル交換するエステル交換工程とを含む液晶ポリエステルの製造方法であって、
前記アシル化工程及び/又はエステル交換工程は、触媒の存在下で行われ、
前記触媒は、トリス(2,4−ペンタンジオナト)コバルト(III)又は1−メチルイミダゾールであり、
前記液晶ポリエステル中に含まれる、エステル結合以外の異種結合量が0〜200mmol/kgであり、
前記液晶ポリエステルの平均重合度は、5以上15以下である液晶ポリエステルの製造方法。 - 液晶ポリエステルと、水酸基及び/又はアシルオキシ基と反応する官能基並びに熱重合性官能基を分子内に有する化合物とを溶融混合する溶融混合工程を含む熱硬化性液晶ポリエステル組成物の製造方法であって、
前記液晶ポリエステルは、
芳香族ジオール及び/又は芳香族ヒドロキシカルボン酸のフェノール性水酸基を、脂肪酸無水物でアシル化してアシル化物を得るアシル化工程と、
前記アシル化工程で得られたアシル化物と、芳香族ジカルボン酸及び/又は芳香族ヒドロキシカルボン酸とをエステル交換するエステル交換工程とを含む液晶ポリエステルの製造方法であって、
前記アシル化工程及び/又はエステル交換工程は、触媒の存在下で行われ、
前記触媒は、トリス(2,4−ペンタンジオナト)コバルト(III)であり、
前記液晶ポリエステル中に含まれる、エステル結合以外の異種結合量が0〜200mmol/kgであり、
前記液晶ポリエステルの平均重合度は、5以上15以下である液晶ポリエステルの製造方法により製造したものである、
熱硬化性液晶ポリエステル組成物の製造方法。 - 液晶ポリエステルと、水酸基及び/又はアシルオキシ基と反応する官能基並びに熱重合性官能基を分子内に有する化合物とを、溶媒の存在下で混合する混合工程を含む熱硬化性液晶ポリエステル組成物の製造方法であって、
前記液晶ポリエステルは、
芳香族ジオール及び/又は芳香族ヒドロキシカルボン酸のフェノール性水酸基を、脂肪酸無水物でアシル化してアシル化物を得るアシル化工程と、
前記アシル化工程で得られたアシル化物と、芳香族ジカルボン酸及び/又は芳香族ヒドロキシカルボン酸とをエステル交換するエステル交換工程とを含む液晶ポリエステルの製造方法であって、
前記アシル化工程及び/又はエステル交換工程は、触媒の存在下で行われ、
前記触媒は、トリス(2,4−ペンタンジオナト)コバルト(III)であり、
前記液晶ポリエステル中に含まれる、エステル結合以外の異種結合量が0〜200mmol/kgであり、
前記液晶ポリエステルの平均重合度は、5以上15以下である液晶ポリエステルの製造方法により製造したものである、
熱硬化性液晶ポリエステル組成物の製造方法。 - 請求項2又は3に記載の製造方法により製造した熱硬化性液晶ポリエステル組成物を硬化する硬化工程を含む硬化物の製造方法。
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