JP6542118B2 - 熱歪測定方法および熱歪測定装置 - Google Patents

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Description

本発明は、感圧素子を用いた機器の熱歪測定方法および熱歪測定装置に関する。
従来、内燃機関に装着されて燃焼室内の圧力を検出するために、圧力を計測する感圧素子として圧電体を構成要素とする圧電素子を用いた圧電型圧力検出装置や、感圧素子としてひずみゲージを用いたピエゾ抵抗型圧力検出装置、感圧素子として離間した電極を用いた静電容量型圧力検出装置が知られている。
例えば特許文献1には、筒状のハウジングと、ハウジングの先端側に設けられるダイアフラムと、ハウジング内の軸方向であってダイアフラムの後端側に配置され、ダイアフラムを介して作用する圧力を検知する圧電素子と、ハウジング内の軸方向であってダイアフラムと圧電素子との間にて圧電素子に当接して設けられ、ダイアフラムを介して作用する圧力を圧電素子に伝達する圧力伝達部と、圧力伝達部をハウジングの軸方向に向けて加圧するようにハウジングに固定されることで圧電素子に荷重を作用させる加圧部材と、を備える圧力検出装置が記載されている。
特開2013−205307号公報
ここで、ダイアフラムが受けた圧力を感圧素子に伝達する構成を採用した場合、ダイアフラムに圧力とともに熱が加えられると、ダイアフラムが熱膨張によって変形し、ダイアフラムから感圧素子に伝達される圧力が、本来伝達されるべき大きさに比べて増加または減少するという事態が生じる。すると、感圧素子の変形量に応じて変化する出力が、本来出力されるべき大きさに比べて増加または減少することになってしまい、感圧素子の出力に基づいて求められる圧力に誤差が含まれることになってしまう。
このような現象は、それぞれの機器において生じるが、その圧力の変化の大きさは、部品の精度や部品の取り付け精度等により、機器毎に異なる。このため、機器毎に、ダイアフラムの熱膨張に起因して生じる圧力の変化に関する評価基準の設定が求められている。
本発明は、実際の圧力の測定対象に機器を装着しない状態で、ダイアフラムの熱膨張に起因して生じる圧力の変化を取得することを目的とする。
かかる目的のもと、本発明の熱歪測定方法は、外部からの圧力を受けて変形するダイアフラムと当該ダイアフラムを介して作用する圧力に応じた出力を発生する感圧素子とを有する機器の当該ダイアフラムに対し、当該ダイアフラムが融けない照射条件にてレーザ光を照射する照射工程と、前記ダイアフラムにレーザ光が照射されたときに前記感圧素子から取得した出力を用いて、当該感圧素子に生じた圧力変化を算出する算出工程とを含む。
ここで、前記照射工程では、集光したレーザ光をレーザ光の焦点から外れた位置にて前記ダイアフラムに照射するとよい。
また、前記照射工程では、パルス発振させたレーザ光を照射するとよい。
さらに、前記照射工程では、レーザ光のパルス幅をmsecオーダーとするとよい。
さらにまた、前記算出工程では、前記ダイアフラムに1パルス目のレーザ光が照射されたときに前記感圧素子から取得した出力を用いて、当該感圧素子に生じた圧力変化を算出するとよい。
そして、前記照射工程では、トップハットパターンを呈するレーザ光を前記ダイアフラムに照射するとよい。
また、他の観点から捉えると、本発明の熱歪測定装置は、外部からの圧力を受けて変形するダイアフラムと当該ダイアフラムを介して作用する圧力に応じた出力を発生する感圧素子とを有する機器が取り付けられる取付部と、前記取付部に取り付けられた前記機器の前記ダイアフラムに対し、当該ダイアフラムが融けない照射条件にてレーザ光を照射する照射部と、前記ダイアフラムにレーザ光が照射されたときに前記感圧素子から取得した出力を用いて、当該感圧素子に生じた圧力変化を算出する算出部とを含む。
ここで、前記照射部は、レーザを発振させる発振器と、当該発振器が発振したレーザ光を導く導光部と、当該導光部にて導かれたレーザ光を前記機器の前記ダイアフラムに射出する射出部とを含むとよい。
また、前記射出部は、レーザ光を集光するとともに、レーザ光の焦点から外れた位置にてレーザ光を前記ダイアフラムに照射するとよい。
さらに、前記照射部は、パルス発振させたレーザ光を照射するとよい。
さらにまた、前記照射部は、照射するレーザ光のパルス幅をmsecオーダーとするとよい。
そして、前記算出部は、前記ダイアフラムに1パルス目のレーザ光が照射されたときに前記感圧素子から取得した出力を用いて、当該感圧素子に生じた圧力変化を算出するとよい。
さらにまた、前記導光部は、ガウシアンパターンを呈するレーザ光を、トップハットパターンを呈するレーザ光として出力する方形ファイバからなるとよい。
本発明によれば、実際の圧力の測定対象に機器を装着しない状態で、ダイアフラムの熱膨張に起因して生じる圧力の変化を取得することができる。
内燃機関の概略構成図である。 図1のII部の拡大図である。 圧力検出装置の概略構成図である。 図3のIV−IV部の断面図である 図4のV部の拡大図である。 (a)は、内燃機関に装着された圧力検出装置による筒内圧力の測定結果の一例を示す図であり、(b)は、(a)に示す筒内圧力の測定結果から得た圧力誤差の算出結果の一例を示す図である。 本実施の形態の圧力検出装置における熱歪の発生メカニズムを説明するための図である。 本実施の形態の熱歪測定装置の全体構成を示す図である。 熱歪測定装置におけるレーザ射出部の構成を示す図である。 (a)、(b)は、熱歪測定装置におけるレーザビームと圧力検出装置のダイアフラムヘッドとの関係を説明するための図である。 (a)〜(d)は、4つの異なる圧力検出装置を、共通の内燃機関に装着して得られた実機圧力誤差の算出結果を示す図である。 (a)〜(d)は、4つの異なる圧力検出装置を、共通の熱歪測定装置に装着して得られた照射圧力変化量の測定結果を示す図である。 レーザ出力を一定としたときの、実機圧力誤差測定結果と照射圧力変化量測定結果との相関を説明するための図である。 レーザ出力を異ならせたときの、実機圧力誤差測定結果と照射圧力変化量測定結果との相関を説明するための図である。
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
図1は、本実施の形態に係る内燃機関1の概略構成図である。
図2は、図1のII部の拡大図である。
内燃機関1は、シリンダ2aを有するシリンダブロック2と、シリンダ2a内を往復動するピストン3と、シリンダブロック2に締結されてシリンダ2aおよびピストン3などとともに燃焼室Cを形成するシリンダヘッド4と、を備えている。また、内燃機関1は、シリンダヘッド4に装着されて燃焼室C内の圧力を検出する圧力検出装置5と、圧力検出装置5が検出した圧力に基づいて内燃機関1の作動を制御する制御装置6と、圧力検出装置5とシリンダヘッド4との間に介在して燃焼室C内の気密性を保つためのシール部材7と、圧力検出装置5と制御装置6との間で電気信号を伝送する伝送ケーブル8と、を備えている。
シリンダヘッド4には、燃焼室Cと外部とを連通する連通孔4aが形成されている。連通孔4aは、燃焼室C側から、第1の孔部4bと、第1の孔部4bの孔径から徐々に径が拡大している傾斜部4cと、第1の孔部4bの孔径よりも孔径が大きい第2の孔部4dと、を有している。第2の孔部4dを形成する周囲の壁には、圧力検出装置5に形成された後述するハウジング30の雄ねじ332aがねじ込まれる雌ねじ4eが形成されている。
以下に、機器の一例としての圧力検出装置5について詳述する。
図3は、圧力検出装置5の概略構成図である。図4は、図3のIV−IV部の断面図である。図5は、図4のV部の拡大図である。
圧力検出装置5は、燃焼室C内の圧力を電気信号に変換する圧電素子10を有するセンサ部100と、センサ部100からの電気信号を処理する信号処理部200と、信号処理部200を保持する保持部材300と、を備えている。この圧力検出装置5をシリンダヘッド4に装着する際には、センサ部100の後述するダイアフラムヘッド40の方から先に、シリンダヘッド4に形成された連通孔4aに挿入していく。以下の説明において、図4の左側を圧力検出装置5の先端側、右側を圧力検出装置5の後端側とする。
先ずは、センサ部100について説明する。
センサ部100は、受けた圧力を電気信号に変換する圧電素子10と、筒状であってその内部に圧電素子10などを収納する円柱状の孔が形成されたハウジング30と、を備えている。以下では、ハウジング30に形成された円柱状の孔の中心線方向を、単に中心線方向と称す。
また、センサ部100は、ハウジング30における先端側の開口部を塞ぐように設けられて、燃焼室C内の圧力が作用するダイアフラムヘッド40と、ダイアフラムヘッド40と圧電素子10との間に設けられた第1の電極部50と、圧電素子10に対して第1の電極部50とは反対側に配置された第2の電極部55と、を備えている。
また、センサ部100は、第2の電極部55を電気的に絶縁するアルミナセラミック製の絶縁リング60と、絶縁リング60よりも後端側に設けられて、信号処理部200の後述する覆い部材23の端部を支持する支持部材65と、第2の電極部55と後述する伝導部材22との間に介在するコイルスプリング70と、を備えている。
また、センサ部100は、第1の電極部50、圧電素子10、第2の電極部55、絶縁リング60および支持部材65などの外周を覆うとともに、第1の電極部50の先端側の面と接触して第1の電極部50を加圧する加圧部材80を備えている。
感圧素子の一例としての圧電素子10は、圧電縦効果の圧電作用を示す圧電体を有している。圧電縦効果とは、圧電体の電荷発生軸と同一方向の応力印加軸に外力を作用させると、電荷発生軸方向の圧電体の表面に電荷が発生する作用をいう。本実施形態に係る圧電素子10は、中心線方向が応力印加軸の方向となるようにハウジング30内に収納されている。
次に、圧電素子10に圧電横効果を利用した場合を例示する。圧電横効果とは、圧電体の電荷発生軸に対して直交する位置にある応力印加軸に外力を作用させると、電荷発生軸方向の圧電体の表面に電荷が発生する作用をいう。薄板状に薄く形成した圧電体を複数枚積層して構成しても良く、このように積層することで、圧電体に発生する電荷を効率的に集めてセンサの感度を上げることができる。圧電単結晶としては、圧電縦効果及び圧電横効果を有するランガサイト系結晶(ランガサイト、ランガテイト、ランガナイト、LGTA)や水晶、ガリウムリン酸塩などを使用することを例示することができる。なお、本実施形態の圧電素子10には、圧電体としてランガサイト単結晶を用いている。
ハウジング30は、先端側に設けられた第1のハウジング31と、後端側に設けられた第2のハウジング32と、を有する。
第1のハウジング31は、基本的に円筒状の部材であり、外周面には、中心線方向の中央部に、外周面から突出する突出部315が周方向の全域に渡って設けられている。突出部315は、先端部に、先端側から後端側にかけて徐々に径が大きくなる傾斜面315aを有し、後端部に、中心線方向に垂直な垂直面315bを有している。第1のハウジング31の内周面は、加圧部材80の外周面がしまりばめで嵌合(圧入)されるように、その内径が加圧部材80の外周面の径以下となるように設定されている。
第2のハウジング32は、内部に、先端側から後端側にかけて段階的に径が異なるように形成された円柱状の孔320が形成された筒状の部材であり、外部に、先端側から後端側にかけて段階的に径が異なるように形成された外周面330が設けられている。
孔320は、先端側から後端側にかけて順に形成された、第1の孔321と、第1の孔321の孔径よりも小さな孔径の第2の孔322と、第2の孔322の孔径よりも大きな孔径の第3の孔323と、第3の孔323の孔径よりも大きな孔径の第4の孔324と、第4の孔324の孔径よりも大きな孔径の第5の孔325と、から構成される。
第2のハウジング32における先端部は、第1のハウジング31における後端部にしまりばめで嵌合(圧入)されるように、第1の孔321の孔径は、第1のハウジング31の外周面の径以下となるように設定されている。
外周面330は、先端側から後端側にかけて、第1の外周面331と、第1の外周面331の外径よりも大きな外径の第2の外周面332と、第2の外周面332の外径よりも大きな外径の第3の外周面333と、第3の外周面333の外径よりも大きな外径の第4の外周面334と、第4の外周面334の外径よりも小さな外径の第5の外周面335と、から構成される。第2の外周面332における先端部には、シリンダヘッド4の雌ねじ4eにねじ込まれる雄ねじ332aが形成されている。第3の外周面333には、後述する第1のシール部材71がすきまばめで嵌め込まれ、第3の外周面333の外径と第1のシール部材71の内径との寸法公差は、例えば零から0.2mmとなるように設定される。第4の外周面334における後端部は、周方向に等間隔に6つの面取りを有する正六角柱に形成されている。この正六角柱に形成された部位が、圧力検出装置5をシリンダヘッド4に締め付ける際に、締付用の工具が嵌め込まれ、工具に付与された回転力が伝達される部位となる。第5の外周面335における中心線方向の中央部には、外周面から凹んだ凹部335aが全周に渡って形成されている。
また、第2のハウジング32は、第4の孔324から第5の孔325への移行部分であり、第5の孔325における先端部には、信号処理部200の後述する覆い部材23の基板被覆部232における先端側の端面が突き当たる突当面340が設けられている。突当面340には、後述する信号処理部200のプリント配線基板210の第2の接続ピン21bが差し込まれるピン用凹部340aが形成されている。
第1のハウジング31および第2のハウジング32は、燃焼室Cに近い位置に存在するため、少なくとも、−40〜350〔℃〕の使用温度環境に耐える材料を用いて製作することが望ましい。具体的には、耐熱性の高いステンレス鋼材、例えば、JIS規格のSUS630、SUS316、SUS430等を用いることが望ましい。
また、第1のハウジング31と第2のハウジング32とは、嵌合された後、さらに、溶接により強固に固定される。
ダイアフラムの一例としてのダイアフラムヘッド40は、円筒状の円筒状部41と、円筒状部41の内側に形成された内側部42と、を有している。
円筒状部41における後端部は、ハウジング30の第1のハウジング31における先端部としまりばめで嵌合(圧入)されて、この先端部の内部に入り込む進入部41aと、この先端部における端面31aと同形状に形成され、嵌合された際にこの端面31aが突き当たる突当面41bと、を有している。
内側部42は、円筒状部41における先端側の開口を塞ぐように設けられた円盤状の部材であり、後端側の面における中央部にはこの面から圧電素子10側に突出する突出部42aが設けられている。また、内側部42の、先端側の面における中央部にはこの面から圧電素子10側に凹んだ凹部42bが設けられている。
ダイアフラムヘッド40の材料としては、高温でありかつ高圧となる燃焼室C内に存在するため、弾性が高く、かつ耐久性、耐熱性、耐触性等に優れた合金製であることが望ましく、例えばSUH660であることを例示することができる。
また、ダイアフラムヘッド40と第1のハウジング31とは、嵌合された後、さらに、溶接により強固に固定される。
第1の電極部50は、基本的には円柱状の部材であり、先端側の外周には面取りが施されている。そして、先端側の端面がダイアフラムヘッド40の内側部42の突出部42aに設けられた端面42cと、後端側の端面が圧電素子10における先端側の面である第1電極部側端面10aとに接触するように配置される。外周面が加圧部材80の内周面と接触すること、および/または先端側の端面がダイアフラムヘッド40と接触することによって、圧電素子10における先端部は、ハウジング30と電気的に接続される。
第1の電極部50は、燃焼室C内の圧力を圧電素子10に作用させるものであり、圧電素子10側の端面である後端側の端面が圧電素子10の端面の全面を押すことが可能な大きさに形成される。また、第1の電極部50は、ダイアフラムヘッド40から受ける圧力を均等に圧電素子10に作用させることができるように、中心線方向の両端面が平行(中心線方向に直交)かつ平滑面に形成されている。
第1の電極部50の材質としては、ステンレスであることを例示することができる。
第2の電極部55は、円柱状の部材であり、先端側の端面が圧電素子10における後端側の端面に接触し、一方の端部側の端面が絶縁リング60に接触するように配置される。第2の電極部55における後端側の端面には、この端面から後端側に突出する円柱状の突出部55aが設けられている。突出部55aは、端面側の基端部と、この基端部の外径よりも小さな外径の先端部と、を有する。突出部55aの外径は絶縁リング60の内径よりも小さく設定されるとともに、突出部55aの長さは絶縁リング60の幅(中心線方向の長さ)よりも長く設定され、突出部55aの先端が絶縁リング60から露出している。この第2の電極部55は、第1の電極部50との間で圧電素子10に対して一定の荷重を加えるように作用する部材であり、圧電素子10側の端面は、圧電素子10の端面の全面を押すことが可能な大きさに形成されるとともに平行かつ平滑面に形成されている。第2の電極部55の外径は加圧部材80に設けられた孔の孔径よりも小さくなるように設定されており、第2の電極部55の外周面と第1のハウジング31の内周面との間には隙間がある。
第2の電極部55の材質としては、ステンレスであることを例示することができる。
絶縁リング60は、アルミナセラミックス等により形成された円筒状の部材であり、内径(中央部の孔径)は、第2の電極部55の突出部55aの基端部の外径よりもやや大きく、外径は、加圧部材80に設けられた孔の孔径と略同じに設定されている。第2の電極部55は、突出部55aが絶縁リング60の中央部の孔に挿入されて配置されることで、中心位置と加圧部材80に設けられた孔の中心とが同じになるように配置される。
支持部材65は、先端側から後端側にかけて、内部に、径が異なる複数の円柱状の孔650が形成され、外周面が同一の、筒状の部材である。
孔650は、先端側から後端側にかけて順に形成された、第1の孔651と、第1の孔651の孔径よりも大きな孔径の第2の孔652と、第2の孔652の孔径よりも大きな孔径の第3の孔653と、から構成される。第1の孔651の孔径は、第2の電極部55の突出部55aの基端部の外径よりも大きく、この突出部55aが支持部材65の内部まで露出する。第2の孔652の孔径は、後述する信号処理部200の伝導部材22における先端部の外径よりも大きい。第3の孔653の孔径は、後述する信号処理部200の覆い部材23の端部の外径よりも小さく、この覆い部材23が第3の孔653を形成する周囲の壁にしまりばめで嵌合される。これにより、支持部材65は、覆い部材23の端部を支持する部材として機能する。
また、支持部材65の外周面には、加圧部材80に形成された後述する雌ねじ81aにねじ込まれる雄ねじ65aが形成されている。
コイルスプリング70は、内径が、第2の電極部55の突出部55aの先端部の外径以上で基端部の外径より小さく、外径が、後述する伝導部材22の挿入孔22aの径よりも小さい。コイルスプリング70の内側に第2の電極部55の突出部55aの先端部が挿入されるとともに、コイルスプリング70は、後述する伝導部材22の挿入孔22aに挿入される。コイルスプリング70の長さは、第2の電極部55と伝導部材22との間に圧縮した状態で介在することができる長さに設定されている。コイルスプリング70の材質としては、弾性が高く、かつ耐久性、耐熱性、耐触性等に優れた合金を用いるとよい。また、コイルスプリング70の表面に金メッキを施すことで、電気伝導を高めるとよい。
加圧部材80は、第1の電極部50、圧電素子10、第2の電極部55、絶縁リング60および支持部材65などの外周を覆う筒状の部位である筒状部81と、この筒状部81における先端部から内側へ延出する延出部82とを有する。筒状部81における後端側の内周面には、支持部材65の外周面に形成された雄ねじ65aがねじ込まれる雌ねじ81aが形成されている。また、延出部82には、ダイアフラムヘッド40の内側部42の突出部42aを通す貫通孔82aが形成されている。さらに、延出部82の後端側には、端面82bが形成されている。なお、筒状部81は、円筒(丸筒)であっても角筒であってもよい。
なお、加圧部材80の筒状部81における後端部が円筒状である場合、その外周面が第1のハウジング31の内周面に対してしまりばめで嵌合(圧入)されるように、その外径が第1のハウジング31の内周面の径以上となるように設定されている。そして、加圧部材80と第1のハウジング31とは、嵌合された後、さらに、溶接により強固に固定される。
次に、信号処理部200について説明する。
信号処理部200は、センサ部100の圧電素子10から得られる微弱な電荷である電気信号を少なくとも増幅処理する回路基板部21と、圧電素子10に生じた電荷を回路基板部21まで導く棒状の伝導部材22と、これら回路基板部21、伝導部材22などを覆う覆い部材23と、回路基板部21などを密封するOリング24と、を備えている。
回路基板部21は、センサ部100の圧電素子10から得られる微弱な電荷を増幅するための回路を構成する電子部品などが実装されたプリント配線基板210を有する。プリント配線基板210における先端部には、伝導部材22における後端部を電気的に接続するための第1の接続ピン21aと、接地用および位置決め用の第2の接続ピン21bとが半田付けなどにより接続されている。また、プリント配線基板210における後端部には、伝送ケーブル8の先端部のコネクタ8aを介して制御装置6と電気的に接続する第3の接続ピン21cが3つ、半田付けなどにより接続されている。3つの第3の接続ピン21cは、それぞれ、制御装置6からプリント配線基板210への電源電圧およびGND電圧の供給、プリント配線基板210から制御装置6への出力電圧の供給に用いられる。
伝導部材22は、棒状(円柱状)の部材であり、先端部には、第2の電極部55の突出部55aの先端部およびコイルスプリング70が挿入される挿入孔22aが形成されている。伝導部材22における後端部は、回路基板部21のプリント配線基板210に、導線を介して電気的に接続される。伝導部材22の材質としては、真鍮及びベリリウム銅等を例示することができる。この場合、加工性およびコストの観点からは、真鍮が望ましい。これに対して、電気伝導性、高温強度、信頼性の観点からは、ベリリウム銅が望ましい。
覆い部材23は、伝導部材22の外周を覆う伝導部材被覆部231と、回路基板部21のプリント配線基板210の側面および下面を覆う基板被覆部232と、プリント配線基板210に接続された第3の接続ピン21cの周囲を覆うとともに伝送ケーブル8の先端部のコネクタ8aが嵌め込まれるコネクタ部233と、を有している。
伝導部材被覆部231は、中心線方向には、伝導部材22における先端部を露出するように覆っており、先端側から後端側にかけて段階的に径が異なるように形成された外周面240が設けられている。外周面240は、先端側から後端側にかけて、第1の外周面241と、第1の外周面241の外径よりも大きな外径の第2の外周面242と、第2の外周面242の外径よりも大きな外径の第3の外周面243と、第3の外周面243の外径よりも大きな外径の第4の外周面244と、から構成される。第1の外周面241の径は、支持部材65の第3の孔653の孔径よりも大きく、伝導部材被覆部231における先端部が、支持部材65の第3の孔653を形成する周囲の壁にしまりばめで嵌合(圧入)される。第2の外周面242の径は、第2のハウジング32の第2の孔322の孔径よりも小さく形成され、第3の外周面243の径は、第2のハウジング32の第3の孔323の孔径よりも小さく形成されている。また、第4の外周面244の径は、第2のハウジング32の第4の孔324の孔径よりも大きく、伝導部材被覆部231における後端部が、第2のハウジング32の第4の孔324を形成する周囲の壁にしまりばめで嵌合(圧入)される。これらにより、伝導部材被覆部231は、少なくとも中心線方向の両端部が、それぞれ支持部材65、第2のハウジング32に接触することで支持されているので、劣悪な振動環境であっても、伝導部材22に与える悪影響を抑制することができ、振動に起因して伝導部材22の接続部の断線や接触不良等を回避することが可能になっている。
基板被覆部232は、基本的には円筒状の部位であり、その側面には、プリント配線基板210を内部に設置するための矩形の開口部232aが設けられている。また、基板被覆部232における後端側には、ハウジング30内およびプリント配線基板210設置部を密封するためのOリング24用のリング溝232bが形成されている。
コネクタ部233は、基板被覆部232における後端側の端面232cから突出し、プリント配線基板210に接続された3つの第3の接続ピン21cの周囲を覆うように形成された薄肉の部位である。コネクタ部233における後端部は開口しており、内部に伝送ケーブル8の先端部に設けられたコネクタ8aを受け入れることが可能になっている。また、コネクタ部233における後端側には、内部と外部とを連通する孔233aが形成されており、伝送ケーブル8のコネクタ8aに設けられたフックがこの孔233aに引っ掛ることで、伝送ケーブル8のコネクタ8aがコネクタ部233から脱落することが抑制される。
以上のように構成された覆い部材23は、樹脂などの絶縁性を有する材料にて成形されている。また、覆い部材23は、伝導部材22、第1の接続ピン21a、第2の接続ピン21bおよび3つの第3の接続ピン21cとともに一体成形されている。より具体的には、覆い部材23は、これら伝導部材22、第1の接続ピン21a、第2の接続ピン21bおよび3つの第3の接続ピン21cをセットした金型に加熱した樹脂が押し込まれることで成形される。
信号処理部200をユニット化するにあたっては、成形された覆い部材23の開口部232aから、回路基板部21のプリント配線基板210を挿入し、基板被覆部232の中央部に設置する。プリント配線基板210を設置する際、板厚方向に貫通されたスルーホールに、第1の接続ピン21a、第2の接続ピン21bおよび3つの第3の接続ピン21cの先端を通し、半田付けする。その後、第1の接続ピン21aと伝導部材22とを導線を用いて接続する。また、覆い部材23の基板被覆部232のリング溝232bにOリング24を装着する。Oリング24は、フッ素系ゴムからなる周知のO状のリングである。
次に、保持部材300について説明する。
保持部材300は、薄肉円筒状の部材であり、後端部に内周面から内側に突出した突出部300aが設けられている。保持部材300は、第2のハウジング32に装着された後、外部から、第5の外周面335に設けられた凹部335aに対応する部位が加圧されることでかしめられる。これにより、保持部材300は、ハウジング30に対して移動し難くなり、信号処理部200がハウジング30に対して移動することを抑制する。
以上のように構成された圧力検出装置5は、以下に示すように組み立てられる。
先ず、第1のハウジング31の端面31aとダイアフラムヘッド40の突当面41bとが接触するまで、第1のハウジング31とダイアフラムヘッド40とを嵌合(圧入)する。その後、第1のハウジング31の端面31aとダイアフラムヘッド40の突当面41bとが接触している部位に、中心線方向に交差する方向(例えば中心線方向に直交する方向)からレーザビームを照射して、第1のハウジング31とダイアフラムヘッド40とを溶接する。
その後、第1のハウジング31における後端側の開口部から、加圧部材80を、ダイアフラムヘッド40の内側部42の突出部42aにおける後端側の端面42cと、加圧部材80の延出部82における後端側の端面82bとが同一面上となるまで挿入する。その位置で、第1のハウジング31と加圧部材80とを固定する。固定方法としては、第1のハウジング31の外部から、中心線方向に交差する方向(例えば中心線方向に直交する方向)から、レーザビームを照射することを例示することができる。レーザビームは、円周方向の全周に照射してもよいし、円周方向に等間隔に部分的に照射してもよい。
その後、加圧部材80における後端側の開口部から、第1の電極部50および圧電素子10を挿入する。その後、第2の電極部55の突出部55aの先端部にコイルスプリング70を装着するとともに、第2の電極部55の突出部55aに絶縁リング60を挿入した状態の物を、第1のハウジング31における後端側の開口部から挿入する。その後、支持部材65を第1のハウジング31における後端側の開口部から挿入する。
その後、圧電素子10の感度および直線性を高めるべく、第1のハウジング31内の圧電素子10に、予め定められた荷重(予荷重)を作用させる。すなわち、支持部材65の外周面に形成された雄ねじ65aを、加圧部材80に形成された雌ねじ81aに対してねじ込んでいき、支持部材65にて、絶縁リング60、第2の電極部55、圧電素子10、第1の電極部50を、後端側から先端側に向けて中心線方向に加圧する。そして、ダイアフラムヘッド40の内側部42における先端側の端面の中心線方向の変位量が、支持部材65にて加圧する前から予め定められた長さとなるまで加圧する。そして、ダイアフラムヘッド40の内側部42の先端側の端面が予め定められた長さ変位したところで、支持部材65と加圧部材80とを固定する。固定方法としては、第1のハウジング31の外部から、中心線方向に交差する方向(例えば中心線方向に直交する方向)に、レーザビームを照射することを例示することができる。レーザビームは、円周方向の全周に照射してもよいし、円周方向に等間隔にスポット的に照射してもよい。支持部材65と加圧部材80とを固定すると、第1のハウジング31内の圧電素子10に予荷重が作用した状態となる。
その後、第1のハウジング31の突出部315の垂直面315bと第2のハウジング32における先端側の端面とが接触するまで、第1のハウジング31と第2のハウジング32とを嵌合(圧入)する。その後、第1のハウジング31の垂直面315bと第2のハウジング32の端面とが接触している部位に、中心線方向に交差する方向(例えば中心線方向に直交する方向)からレーザビームを照射して、第1のハウジング31と第2のハウジング32とを溶接する。
その後、信号処理部200の覆い部材23の基板被覆部232における先端側の端面が第2のハウジング32の突当面340に突き当たるまで、信号処理部200を、第2のハウジング32における後端側の開口部から挿入する。その際、信号処理部200の伝導部材22の挿入孔22aに、第2の電極部55の突出部55aに装着されたコイルスプリング70が入り込むとともに、第2のハウジング32の突当面340に形成されたピン用凹部340aに、プリント配線基板210に接続された第2の接続ピン21bが入り込むように、信号処理部200を挿入する。
その後、信号処理部200の基板被覆部232の端面232cに保持部材300の突出部300aが突き当たるまで、保持部材300を、後端側から信号処理部200に嵌め込んでいく。信号処理部200の端面232cと保持部材300の突出部300aとが接触した状態で、保持部材300における、第2のハウジング32の第5の外周面335の凹部335aに対応する部位が加圧されることで、保持部材300が第2のハウジング32にかしめられる。これにより、保持部材300がハウジング30に対して移動し難くなり、信号処理部200がハウジング30に対して移動し難くなる。
このようにして圧力検出装置5は組み立てられる。
ここで、上述した圧力検出装置5における電気的な接続構造について説明する。
先ず、圧電素子10における先端側の端面(第1電極部側端面10a)は、金属製の第1の電極部50、およびダイアフラムヘッド40または加圧部材80を介して、金属製のハウジング30と電気的に接続される。
これに対し、圧電素子10における後端側の端面は、金属製の第2の電極部55と電気的に接続され、第2の電極部55は、突出部55aを介して金属製のコイルスプリング70と電気的に接続される。また、コイルスプリング70は、金属製の伝導部材22と電気的に接続され、伝導部材22は、プリント配線基板210と電気的に接続される。他方、第2の電極部55の突出部55aの外径は支持部材65の第1の孔651の孔径よりも小さく、伝導部材22における先端部の外径は支持部材65の第2の孔652の孔径よりも小さい。つまり、第2の電極部55、コイルスプリング70および伝導部材22は、支持部材65と電気的に接続されていない。それゆえ、第2の電極部55からコイルスプリング70および伝導部材22を介してプリント配線基板210へと至る電荷信号の伝送経路は、それぞれが絶縁体で構成された、絶縁リング60および覆い部材23によって、金属製のハウジング30と電気的に絶縁される。
以上のように構成された圧力検出装置5をシリンダヘッド4に装着する際には、センサ部100のダイアフラムヘッド40の方から先にシリンダヘッド4に形成された連通孔4aに挿入していき、ハウジング30の第2のハウジング32に形成された雄ねじ332aをシリンダヘッド4の連通孔4aに形成された雌ねじ4eにねじ込む。
圧力検出装置5をシリンダヘッド4に装着することにより、ハウジング30は、金属製のシリンダヘッド4と電気的に接続される。このシリンダヘッド4は、電気的に接地された状態にあるため、圧力検出装置5では、ハウジング30を介して、圧電素子10における先端部が接地される。ここで、この例では、圧電素子10の側面とハウジング30の内壁面とが接触し得る構造になっているが、圧電素子10が絶縁体で構成されていることにより抵抗値が極めて大きいことと、圧力変化に伴って発生する電荷が、圧電素子10における中心線方向の両端部に発生することとにより、特に問題とはならない。
そして、内燃機関1の作動時には、センサ部100のダイアフラムヘッド40の内側部42に、燃焼室C内で発生した燃焼圧が付与する。ダイアフラムヘッド40に付与された燃焼圧が、第1の電極部50と第2の電極部55とによって挟まれた圧電素子10に作用することにより、この圧電素子10に燃焼圧に応じた電荷が生じる。そして、圧電素子10に生じた電荷は、第2の電極部55、コイルスプリング70、伝導部材22を介して回路基板部21に付与される。回路基板部21に付与された電荷は、回路基板部21にて増幅処理がなされた後、その電荷に応じた電圧が、回路基板部21に接続された第3の接続ピン21c、伝送ケーブル8を介して制御装置6に供給される。
次に、図1乃至図5を参照して、シール部材7について説明する。
シール部材7は、シリンダヘッド4における連通孔4aを形成する周囲の壁のセンサ部100締め付け方向の端面と、圧力検出装置5のハウジング30の第3の外周面333と第4の外周面334とを接続する接続面との間に配置された第1のシール部材71を有している。また、シール部材7は、シリンダヘッド4の連通孔4aの傾斜部4cと、圧力検出装置5のハウジング30の第1のハウジング31の傾斜面315aとの間に配置された第2のシール部材72を有している。
第1のシール部材71は、銅、ステンレス、アルミなどの金属板を打ち抜いて成形されたメタルガスケットであることを例示することができる。断面形状はS字状、または略矩形に形成されているとよい。第1のシール部材71は、圧力検出装置5がシリンダヘッド4に締め付けられる際に、締め付け方向の力を受けて、締め付け方向の長さが短くなるように変形し、燃焼室C内の気密性を高める。すなわち、圧力検出装置5がシリンダヘッド4にねじ込まれることで、第1のシール部材71とシリンダヘッド4との間に生じる接触圧力、および第1のシール部材71と圧力検出装置5のハウジング30との間に生じる接触圧力が高まる。これにより、第1のシール部材71とシリンダヘッド4との間、および第1のシール部材71と圧力検出装置5のハウジング30との間から燃焼ガスが漏れることが抑制される。
第2のシール部材72は、材質がフッ素ゴム(FKM)の、断面が円形であるリング状のOリングであることを例示することができる。第2のシール部材72は、圧力検出装置5がシリンダヘッド4に締め付けられる際に、シリンダヘッド4の連通孔4aの傾斜部4cと、ハウジング30の第1のハウジング31の傾斜面315aとにより、締め付け方向とは交差する方向の力を受けて変形し、燃焼室C内の気密性を高める。すなわち、圧力検出装置5がシリンダヘッド4にねじ込まれることで、第2のシール部材72とシリンダヘッド4の連通孔4aの傾斜部4cとの間に生じる接触圧力、および第2のシール部材72とハウジング30の第1のハウジング31の傾斜面315aとの間に生じる接触圧力が高まる。これにより、第2のシール部材72とシリンダヘッド4との間、および第2のシール部材72と圧力検出装置5のハウジング30との間から燃焼ガスが漏れることが抑制される。
図6(a)は、内燃機関1に装着された圧力検出装置5による筒内圧力の測定結果の一例を示す図である。また、図6(b)は、図6(a)に示す筒内圧力の測定結果から得た圧力誤差の算出結果の一例を示す図である。
まず、図6(a)は、内燃機関1のクランク角θと圧力検出装置5により測定される燃焼室C内の筒内圧力(実機筒内圧力Peと称する)との関係を示している。ここで、測定時の内燃機関1の回転数は3200[rpm]である。
例えば4サイクルの内燃機関1では、クランクが2回転(720°)する間に、吸気→圧縮→燃焼(膨張)→排気の4行程が行われる。そして、吸気行程では、実機筒内圧力Peがほぼ0[MPa]となる。また、吸気行程に続く圧縮行程では、実機筒内圧力Peが急激に(この例では、3.5[MPa]〜5.0[MPa]程度まで)増大する。さらに、吸気行程に続く着火後の燃焼(膨張)行程では、実機筒内圧力Peが急激に減少する。そして、燃焼(膨張)行程に続く最後の排気行程では、実機筒内圧力Peがほぼ0[MPa]に戻る。
ここで、図6(a)には、3つ(クランク6回転分)のパターン(実線、破線、一点鎖線)を例示している。そして、図6(a)より、燃焼(膨張)行程および排気行程では、吸気行程および圧縮行程に比べて、実機筒内圧力Peのばらつき(ずれ)が大きくなっていることがわかる。
また、図6(b)は、内燃機関1のクランク角θと圧力誤差(実機圧力誤差ΔPeと称する)との関係を示している。
ここで、実機圧力誤差ΔPeは、圧力検出装置5により測定される燃焼室C内の筒内圧力(図6(a)に示す実機筒内圧力Pe)と、基準として用いられる基準センサ(図示せず)により測定される同じ燃焼室C内の筒内圧力(基準筒内圧力Ps)との差分(ΔPe=Pe−Ps)として表される。ここで、本実施の形態の圧力検出装置5は、冷却機構を備えていないが、図示しない基準センサは、水冷による冷却機構を備えている。そして、この例では、燃焼(膨張)行程における実機圧力誤差ΔPeのばらつきRの最大値が、ほぼ0.6[MPa]となっている。
ここで、図6(b)に示す、燃焼(膨張)行程における実機圧力誤差ΔPeには、内燃機関1の燃焼に伴う熱が圧力検出装置5に加えられることで、圧力検出装置5に生じた構造的な歪みに起因するものが含まれる。このように、燃焼による熱の影響によって、圧力検出装置5の出力が歪む現象を、「熱歪」と呼ぶ。ただし、この例では、内燃機関1を動作させながら圧力検出装置5で測定した実機筒内圧力Pe(および基準筒内圧力Ps)から実機圧力誤差ΔPeを得ているため、実機圧力誤差ΔPeには、上記熱歪に起因するものだけでなく、例えば内燃機関1の燃焼のばらつきに起因する誤差や、内燃機関1側に起因する他の誤差(各種センサを用いたフィードバック制御等に伴う状態変化に起因する誤差等)が含まれ得る。このように、燃焼(膨張)行程における実機圧力誤差ΔPeには、上述した複数の誤差要因が重畳された状態で含まれることから、そのばらつきRが大きくなってしまうものと考えられる。
また、この例では、上述したように測定時の内燃機関1の回転数が3200[rpm]に設定されているが、燃焼(膨張)行程における実機圧力誤差ΔPeのばらつきRの最大値の発生タイミングは、クランク角θが0°(燃焼開始)から200°(燃焼終了)に至る時間(10.4msec)よりも早く、しかも、クランク角θが0°(燃焼開始)から100°に至る時間(5.2msec)よりも早い。すなわち、内燃機関1に装着された圧力検出装置5における熱歪は、発生から消滅に至る期間が、msecオーダー(最大でも10〜20msec程度)であるものと推定される。
図7は、本実施の形態の圧力検出装置5における熱歪の発生メカニズムを説明するための図である。
ある程度冷えた状態のダイアフラムヘッド40に対し、その表面すなわち凹部42bの形成面(表面と呼ぶ)側から熱Hが加えられると、ダイアフラムヘッド40の表面が、熱膨張によって図中に破線で示すように開く方向に変形する。これに伴ってダイアフラムヘッド40の内側部42の中央が表面側に引っ張られ、ダイアフラムヘッド40の内側部42の中央の裏面側に位置する突出部42aの端面42cと圧電素子10との間にかかる荷重(予荷重)が低下する。その結果、圧電素子10からの出力は、予荷重が低下した分、本来出力すべき値よりも低下してしまうことになる。なお、反対に、ダイアフラムヘッド40の表面に凸部が設けられている場合は、ダイアフラムヘッド40の熱膨張に伴い、圧電素子10からの出力が、本来出力すべき値よりも増加してしまうこともある。
本発明者は、圧力検出装置5で発生する熱歪を、内燃機関1に取り付けない状態で評価する手法について検討を行った。そして、本発明者は、圧力検出装置5のダイアフラムヘッド40に対し、msecオーダーで熱を供給することが可能な熱供給源としてレーザに着目し、以下に説明する熱歪測定装置を開発した。
図8は、本実施の形態の熱歪測定装置500の全体構成を示す図である。
この熱歪測定装置500は、圧力検出装置5を保持するXYZステージ510と、XYZステージ510に保持された圧力検出装置5にレーザビームBm(レーザ光の一例)を照射するレーザ照射部520と、XYZステージ510を覆うカバー530と、XYZステージ510に保持された圧力検出装置5から送られてくる出力信号(データ)を解析するデータ解析部540とを備えている。
まず、取付部の一例としてのXYZステージ510は、設置対象(例えば実験台)等に積載される台座511と、台座511の上面に取り付けられ、台座511に対して水平方向(X方向およびY方向)に移動自在に設けられるXYステージ512と、台座511の上面に取り付けられ、台座511に対して垂直方向(Z方向)に移動自在に設けられるZステージ513とを有する。
また、照射部の一例としてのレーザ照射部520は、レーザ発振によりレーザビームBmを出力するレーザ発振器521と、レーザ発振器521に接続され、レーザ発振器521から出力されるレーザビームBmを導く光ファイバケーブル522と、光ファイバケーブル522に接続され、光ファイバケーブル522によって導かれたレーザビームBmを外部に射出するレーザ射出部523とを有する。
ここで、圧力検出装置5は、XYZステージ510におけるXYステージ512に取り付けられ、レーザ照射部520におけるレーザ射出部523は、XYZステージ510におけるZステージ513に取り付けられる。このとき、圧力検出装置5は、ダイアフラムヘッド40が鉛直上方を向くようにXYステージ512に取り付けられ、レーザ射出部523は、レーザビームBmの射出面が鉛直下方を向くようにZステージ513に取り付けられる。
ここで、発振器の一例としてのレーザ発振器521は、照射対象となる圧力検出装置5のダイアフラムヘッド40が吸収する波長のレーザビームBmを出力できるものであればよく、各種レーザ(固体レーザ、液体レーザ、気体レーザ、半導体レーザ)を使用できる。なお、この例では、レーザ発振器521として、半導体レーザを用いている。
また、導光部の一例としての光ファイバケーブル522としては、コアの形状が矩形を呈する方形ファイバが用いられている。本実施の形態において、レーザ発振器521から出力されたレーザビームBmのビームプロファイルはガウシアンパターンであるが、方形ファイバからなる光ファイバケーブル522を通過することにより、レーザビームBmの強度分布にムラが生じ難いトップハットパターン(矩形)を呈するものとなる。
なお、光ファイバケーブル522として、方形ファイバではなく、コアの形状が円形を呈する円形ファイバを用いてもよい。ただし、この場合には、円形ファイバからなる光ファイバケーブル522を通過したレーザビームBmのビームプロファイルはガウシアンパターン(円形)となり、光ファイバケーブル522として上記方形ファイバを用いた場合と比べて、レーザビームBmの強度分布にムラが生じやすくなる。
さらに、射出部の一例としてのレーザ射出部523は、レーザビームBmを、圧力検出装置5に対して適切な範囲にて照射するための光学系を内蔵している。なお、レーザ射出部523の詳細な構成については後述する。
カバー530は、圧力検出装置5およびレーザ射出部523を装着したXYZステージ510全体を覆う。また、カバー530は、XYZステージ510に対する圧力検出装置5の取り付けおよび取り外し時に、XYZステージ510に対して着脱できるようになっている。そして、カバー530は、例えば透明なアクリル樹脂等で構成されており、XYZステージ510に対してカバー530を装着した状態で、カバー530の外部から内部に配置されたXYZステージ510等の観察を可能としている。
算出部の一例としてのデータ解析部540は、圧力検出装置5から送られてくる出力信号(電圧値)を順次蓄積して保存するデータロガー541と、データロガー541から取得した出力信号(電圧値)を圧力に変換することで、レーザビームBmの照射に起因する圧力の変化量(以下では、照射圧力変化量ΔPiと称する)を算出するPC(パーソナルコンピュータ)542とを備えている。
図9は、熱歪測定装置500におけるレーザ射出部523の構成を示す図である。
本実施の形態のレーザ射出部523は、光ファイバケーブル522におけるレーザビームBmの射出面と対向して配置され、光ファイバケーブル522から射出されることに伴ってビーム径が拡大するレーザビームBmを平行光に変換するコリメータレンズ523aと、コリメータレンズ523aの下方でコリメータレンズ523aと対向して配置され、コリメータレンズ523aを通過したレーザビームBm(平行光)を焦点距離fにて焦点Fに集光する集光レンズ(ここでは平凸レンズ)523bとを備えている。また、レーザ射出部523は、レーザビームBmの射出面側から下方を撮影するビデオカメラ(図示せず)を有している。
図10(a)、(b)は、熱歪測定装置500におけるレーザビームBmと圧力検出装置5のダイアフラムヘッド40との関係を説明するための図である。
図10(a)は、XYZステージ510の側方(Y方向上流側)からみた、レーザ射出部523の集光レンズ523bと、レーザビームBmと、圧力検出装置5のダイアフラムヘッド40との関係を示している。
本実施の形態では、熱歪測定装置500で圧力検出装置5の熱歪を測定する際に、レーザ射出部523の集光レンズ523bから圧力検出装置5のダイアフラムヘッド40に至る照射距離Lを、集光レンズ523bの焦点距離fよりも大きく設定している(L>f)。ここで、本実施の形態における照射距離Lは、焦点距離fと焦点はずし距離fdとの和で表される(L=f+fd)。
また、図10(b)は、図10(a)のXB−XB部の断面図であり、XYZステージ510の上方(Z方向下流側)からみた、レーザビームBmと、圧力検出装置5のダイアフラムヘッド40との関係を示している。
圧力検出装置5におけるダイアフラムヘッド40の外径(直径)は、機種によってそれぞれ異なるが、通常は、例えば4mm〜10mmの範囲から選択される。ここで、本実施の形態では、ダイアフラムヘッド40に照射されるレーザビームBmの照射領域Dの外径が、ダイアフラムヘッド40の外径よりも大きくなるように、照射距離L(焦点はずし距離fd)が決定される。そして、決定された照射距離Lに基づき、圧力検出装置5に対するレーザ射出部523の、Z方向の位置決めが行われる。
また、本実施の形態では、ダイアフラムヘッド40の表面の全域がレーザビームBmの照射領域Dに含まれるように、レーザ射出部523に対する圧力検出装置5の、X方向およびY方向の位置決めが行われる。
次に、本実施の形態の熱歪測定装置500を用いた、圧力検出装置5の熱歪測定の手順について説明を行う。なお、ここでは、初期状態において、XYZステージ510のZステージ513に、レーザ照射部520のレーザ射出部523が取り付けられており、また、XYZステージ510がカバー530で覆われているものとする。
(1)熱歪測定装置500に対する圧力検出装置5の取り付け
まず、熱歪測定装置500においてXYZステージ510を覆うカバー530が取り外される。続いて、XYZステージ510におけるXYステージ512に、測定対象となる圧力検出装置5が取り付けられる。このとき、圧力検出装置5におけるダイアフラムヘッド40が上方を向くように、XYステージ512に対して圧力検出装置5が装着される。また、圧力検出装置5に設けられた伝送ケーブル8の出力端が、データロガー541に接続される。
(2)レーザ射出部523に対する圧力検出装置5のXY方向位置決め
次に、圧力検出装置5が取り付けられたXYステージ512を、台座511上において、X方向または−X方向、および、Y方向または−Y方向に移動させることで、レーザ射出部523の直下に圧力検出装置5のダイアフラムヘッド40を位置させるXY方向位置決めが行われる。このとき、レーザ射出部523に設けられたビデオカメラ(図示せず)による撮影画像を参照しつつ、XY方向の位置決めを行うとよい。そして、XY方向の位置決めが完了すると、圧力検出装置5は、XYステージ512を介して台座511上に固定される。
(3)圧力検出装置5に対するレーザ射出部523のZ方向位置決め
続いて、レーザ射出部523が取り付けられたZステージ513を、台座511上において、Z方向または−Z方向に移動させることで、レーザ射出部523に設けられた集光レンズ523bから圧力検出装置5のダイアフラムヘッド40に至る距離を、照射距離Lに設定するZ方向位置決めが行われる。このとき、レーザ射出部523に設けられたビデオカメラ(図示せず)による撮影画像を参照しつつ、Z方向の位置決めを行うとよい。ここで、照射距離Lは、図10等を用いて説明したように、ダイアフラムヘッド40に照射されるレーザビームBmの照射領域Dの外径が、ダイアフラムヘッド40の外径よりも大きくなるように決められる。そして、Z方向の位置決めが完了すると、レーザ射出部523は、Zステージ513を介して台座511上に固定される。
以上により、熱歪測定装置500における、レーザ射出部523および圧力検出装置5の位置決めが完了する。そして、レーザ射出部523および圧力検出装置5の位置決めが完了した状態で、XYZステージ510が、カバー530にて覆われる。
(4)レーザビームBmの照射およびデータ収集(照射工程の一例)
それから、レーザ発振器521が操作され、レーザ発振器521からレーザビームBmが出力される。このレーザビームBmは、レーザ発振器521から光ファイバケーブル522を介してレーザ射出部523に出力され、レーザ射出部523から圧力検出装置5のダイアフラムヘッド40に照射される。この間、レーザ発振器521から出力されたガウシアンパターンを呈するレーザビームBmは、方形ファイバからなる光ファイバケーブル522を通過することにより、その強度分布がトップハットパターンを呈するようになる。また、光ファイバケーブル522を通過することでトップハットパターンを呈するようになったレーザビームBmは、レーザ射出部523にて、コリメータレンズ523aを通過することで平行光とされた後、集光レンズ523bを通過することで集光される。ただし、本実施の形態では、集光レンズ523bを通過したレーザビームBmが、焦点距離fよりも長い照射距離Lにて圧力検出装置5のダイアフラムヘッド40に照射されることになる。その結果、ダイアフラムヘッド40における表面の全域に、強度が均一な状態に近いレーザビームBmが照射される。そして、圧力検出装置5は、レーザビームBmの照射に伴って発生した出力信号(電圧値)を、伝送ケーブル8を介してデータロガー541に送信する。また、データロガー541は、圧力検出装置5から受け取った出力信号を順次蓄積して保存していく。
(5)データ解析(算出工程の一例)
PC542は、データロガー541から出力信号(電圧値)を取得する。また、PC542は、取得した出力信号を圧力に変換することで、照射圧力変化量ΔPiを算出する。
(6)熱歪測定装置500からの圧力検出装置5の取り外し
上記(4)に示すレーザビームBmの照射およびデータ収集が終了した後(上記(5)に示すデータ解析が終了した後でもよい)、熱歪測定装置500においてXYZステージ510を覆うカバー530が取り外される。続いて、XYZステージ510におけるXYステージ512から、測定対象となっていた圧力検出装置5が取り外される。また、圧力検出装置5に設けられた伝送ケーブル8の出力端が、データロガー541から取り外される。
以上により、熱歪測定装置500を用いた、圧力検出装置5の熱歪測定が完了する。
図11は、4つの異なる圧力検出装置5を、共通の内燃機関1に装着して得られた実機圧力誤差ΔPeの算出結果を示す図である。ここで、図11(a)は圧力検出装置5として第1サンプルS1を用いた場合を、図11(b)は圧力検出装置5として第2サンプルS2を用いた場合を、図11(c)は圧力検出装置5として第3サンプルS3を用いた場合を、図11(d)は圧力検出装置5として第4サンプルS4を用いた場合を、それぞれ示している。
そして、図11(a)〜(d)は、それぞれ、内燃機関1のクランク角θと圧力検出装置5における実機圧力誤差ΔPeとの関係を示している。ここで、図11(a)〜(d)には、それぞれ、3つ(クランク6回転分)のパターン(実線、破線、一点鎖線)を例示している。なお、測定時の内燃機関1の回転数は、図6に示す例と同じく3200[rpm]である。
まず、図11(a)より、第1サンプルS1では、クランク角θが0°となった以降(燃焼(膨張)行程および排出行程)における実機圧力誤差ΔPeが小さいことがわかる。また、図11(b)より、第2サンプルS2では、燃焼(膨張)行程および排出行程における実機圧力誤差ΔPeがやや小さい(第1サンプルS1より大きい)ことがわかる。さらに、図11(c)より、第3サンプルS3では、燃焼(膨張)行程および排出行程における実機圧力誤差ΔPeがやや大きい(第2サンプルS2より大きい)ことがわかる。さらにまた、図11(d)より、第4サンプルS4では、燃焼(膨張)行程および排出行程における実機圧力誤差ΔPeが大きい(第3サンプルS3よりも大きい)ことがわかる。
このように、内燃機関1を用いて得られる圧力検出装置5の実機圧力誤差ΔPeは、第1サンプルS1、第2サンプルS2、第3サンプルS3、第4サンプルS4の順で大きくなっていることが理解される。すなわち、圧力検出装置5の耐久性と実機圧力誤差ΔPeとは、相反する関係にあり、耐久性を向上させようとすると実機圧力誤差ΔPeが増大することになり、実機圧力誤差ΔPeを減少させようとすると耐久性が低下することになる。
図12は、4つの異なる圧力検出装置5を、共通の熱歪測定装置500に装着して得られた照射圧力変化量ΔPiの測定結果を示す図である。ここで、図12(a)は圧力検出装置5として第1サンプルS1を用いた場合を、図12(b)は圧力検出装置5として第2サンプルS2を用いた場合を、図12(c)は圧力検出装置5として第3サンプルS3を用いた場合を、図12(d)は圧力検出装置5として第4サンプルS4を用いた場合を、それぞれ示している。
そして、図12(a)〜(d)は、それぞれ、(経過)時間tと圧力検出装置5における照射圧力変化量ΔPiとの関係を示している。ここで、図12(a)〜(d)には、それぞれ、1つ(1回分)のパターン(実線)を例示している。なお、熱歪測定装置500における測定条件は、以下の通りとした。
[測定条件]
・レーザビームBmの発振波長:980nm
・光ファイバケーブル522のコアのサイズ:0.6mm×0.6mm(正方形)
・集光レンズ523bの焦点距離f:60mm
・照射距離L:75mm
・レーザビームBmの照射時間:10msec(1回)
・レーザビームBmの出力(レーザ出力と称する):10W
まず、図12(a)より、第1サンプルS1では、レーザビームBmの照射後における照射圧力変化量ΔPiが小さいことがわかる。また、図12(b)より、第2サンプルS2では、レーザビームBmの照射後における照射圧力変化量ΔPiがやや小さい(第1サンプルS1より大きい)ことがわかる。さらに、図12(c)より、第3サンプルS3では、レーザビームBmの照射後における照射圧力変化量ΔPiがやや大きい(第2サンプルS2より大きい)ことがわかる。さらにまた、図12(d)より、第4サンプルS4では、レーザビームBmの照射後における照射圧力変化量ΔPiが大きい(第3サンプルS3より大きい)ことがわかる。
このように、熱歪測定装置500を用いて得られる圧力検出装置5の照射圧力変化量ΔPiは、第1サンプルS1、第2サンプルS2、第3サンプルS3、第4サンプルS4の順で大きくなっていることが理解される。
図13は、レーザ出力を一定としたときの、実機圧力誤差ΔPeと照射圧力変化量ΔPiとの相関を説明するための図である。ここで、図13は、図11に示す実機圧力誤差ΔPeと、図12に示す照射圧力変化量ΔPiとの関係を示している。したがって、図13は、第1サンプルS1〜第4サンプルS4のそれぞれに対するレーザ出力を10Wに設定した場合における、実機圧力誤差ΔPeと照射圧力変化量ΔPiとの相関を示すものとなっている。なお、ここでは、すべての測定条件を同じに設定した。
図13より、レーザ出力を10Wで一定とした場合、実機圧力誤差ΔPeと照射圧力変化量ΔPiとは、ほぼ正比例の関係にあることがわかる。ここで、図13に示す結果から相関係数を求めたところ、相関係数の値は0.999となり、実機圧力誤差ΔPeと照射圧力変化量ΔPiとには、強い正の相関が存在することが判明した。
図14は、レーザ出力を異ならせたときの、実機圧力誤差ΔPeと照射圧力変化量ΔPiとの相関を説明するための図である。より具体的に説明すると、図14は、上記図13とは異なり、第1サンプルS1〜第4サンプルS4のそれぞれに対するレーザ出力を、10W、25W、30Wおよび40Wに設定した場合における、実機圧力誤差ΔPeと照射圧力変化量ΔPiとの相関を示すものとなっている。なお、第4サンプルS4については、レーザ出力を30Wに設定した場合および40Wに設定した場合に、圧力検出装置5からの出力が許容範囲を超えてしまい、測定が行えなかった。
ここで、熱歪測定装置500を用いた照射圧力変化量ΔPiの測定において、圧力検出装置5の出力は、レーザビームBmのレーザ出力と照射距離L(焦点Fからの距離である焦点はずし距離fd)とから求まる、ダイアフラムヘッド40に照射されるレーザビームBmの強度(光エネルギーの密度)によって決まる。なお、本実施の形態では、レーザビームBmの照射に伴って、ダイアフラムヘッド40が融けたり、ダイアフラムヘッド40の表面にレーザ痕が形成されたりしないように、レーザビームBmの照射条件が決定されている。
図14より、レーザ出力を10W、25W、30W、40Wのそれぞれで一定とした場合、実機圧力誤差ΔPeおよび照射圧力変化量ΔPiは、ほぼ正比例の関係にあることがわかる。ここで、図14に示す結果から相関係数を求めたところ、最も相関が弱いレーザ出力40Wの条件においても、相関係数の値は0.9を超えるものとなり、実機圧力誤差ΔPeと照射圧力変化量ΔPiとには、やはり強い正の相関が存在することが確認された。
そして、図13および図14に示す結果から、図8に示す熱歪測定装置500を用いて圧力検出装置5の照射圧力変化量ΔPiを測定することで、この圧力検出装置5を内燃機関1に装着した状態で得られる実機圧力誤差ΔPeを推定できることがわかる。ここで、照射圧力変化量ΔPiは、圧力検出装置5にレーザビームBmを照射することによって得られるものであることから、実機圧力誤差ΔPeとは異なり、内燃機関1の燃焼のばらつきや、その他内燃機関1側に起因する誤差要因を含まないものとなる。その結果、照射圧力変化量ΔPiを測定することで、圧力検出装置5の構成そのものに起因する熱歪の状態を評価することが可能になる。
特に、本実施の形態では、圧力検出装置5に設けられたダイアフラムヘッド40の表面側にレーザビームBmを照射する、という手法を採用することで、内燃機関1に取り付けられた圧力検出装置5において、燃焼室Cからダイアフラムヘッド40の表面側に熱が加えられたときと同等の環境を作り出すことができた。それゆえ、本実施の形態の手法を用いることで、内燃機関1に取り付けられた状態と同等の環境下にて、圧力検出装置5の構成そのものに起因する熱歪の状態を評価することができるようになった。
なお、本実施の形態では、レーザ発振器521がパルス発振でレーザビームBmを発生させることで、レーザビームBmの照射時間を10msecとしていたが、これに限られるものではなく、10msecよりも短くしてもよいし、長くしてもかまわない。また、本実施の形態では、レーザ発振器521がパルス発振でレーザビームBmを発生させていたが、これに限られるものではなく、連続発振でレーザビームBmを発生させるようにしてもかまわない。
さらに、本実施の形態では、照射距離Lを焦点距離fと焦点はずし距離fdとの和とする(L=f+fd)ことで、照射距離Lを焦点距離fよりも長くしていた(L>f)が、これに限られない。例えば、照射距離Lを焦点距離fと焦点はずし距離fdとの差とする(L=f−fd)ことで、照射距離Lを焦点距離fよりも短く(L<f)してもかまわない。
さらにまた、本実施の形態では、照射距離Lを焦点距離fから外すようにしていたが、これに限られない。例えば、焦点距離fにおけるレーザビームBmの照射領域Dの直径がダイアフラムヘッド40の外径(直径)よりも大きい場合には、照射距離Lを焦点距離fとしてもよい。
そして、本実施の形態では、熱歪測定装置500で熱歪に対応する照射圧力変化量ΔPiを測定する対象として、内燃機関1内の燃焼圧を測定する圧力検出装置5を例として説明を行ったが、測定の対象は、これに限られない。すなわち、外部から受ける力を、ダイアフラムを介して感圧素子に伝達する構成を有する機器であれば、熱歪測定装置500による測定の対象となり得る。ここで、圧電体以外の感圧素子としては、例えばひずみゲージや離間した電極等が挙げられる。
1…内燃機関、2…シリンダブロック、3…ピストン、4…シリンダヘッド、5…圧力検出装置、6…制御装置、7…シール部材、8…伝送ケーブル、10…圧電素子、30…ハウジング、40…ダイアフラムヘッド、50…第1の電極部、55…第2の電極部、60…絶縁リング、65…支持部材、70…コイルスプリング、80…加圧部材、100…センサ部、200…信号処理部、300…保持部材、500…熱歪測定装置、510…XYZステージ、511…台座、512…XYステージ、513…Zステージ、520…レーザ照射部、521…レーザ発振器、522…光ファイバケーブル、523…レーザ射出部、523a…コリメータレンズ、523b…集光レンズ、530…カバー、540…データ解析部、541…データロガー、542…PC、Bm…レーザビーム、C…燃焼室、D…照射領域、Pe…実機筒内圧力、Ps…基準筒内圧力、ΔPe…実機圧力誤差、ΔPi…照射圧力変化量

Claims (13)

  1. 外部からの圧力を受けて変形するダイアフラムと当該ダイアフラムを介して作用する圧力に応じた出力を発生する感圧素子とを有する機器の当該ダイアフラムに対し、当該ダイアフラムが融けない照射条件にてレーザ光を照射する照射工程と、
    前記ダイアフラムにレーザ光が照射されたときに前記感圧素子から取得した出力を用いて、当該感圧素子に生じた圧力変化を算出する算出工程と
    を含む熱歪測定方法。
  2. 前記照射工程では、集光したレーザ光をレーザ光の焦点から外れた位置にて前記ダイアフラムに照射することを特徴とする請求項1記載の熱歪測定方法。
  3. 前記照射工程では、パルス発振させたレーザ光を照射することを特徴とする請求項1または2記載の熱歪測定方法。
  4. 前記照射工程では、レーザ光のパルス幅をmsecオーダーとすることを特徴とする請求項3記載の熱歪測定方法。
  5. 前記算出工程では、前記ダイアフラムに1パルス目のレーザ光が照射されたときに前記感圧素子から取得した出力を用いて、当該感圧素子に生じた圧力変化を算出することを特徴とする請求項3または4記載の熱歪測定方法。
  6. 前記照射工程では、トップハットパターンを呈するレーザ光を前記ダイアフラムに照射することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項記載の熱歪測定方法。
  7. 外部からの圧力を受けて変形するダイアフラムと当該ダイアフラムを介して作用する圧力に応じた出力を発生する感圧素子とを有する機器が取り付けられる取付部と、
    前記取付部に取り付けられた前記機器の前記ダイアフラムに対し、当該ダイアフラムが融けない照射条件にてレーザ光を照射する照射部と、
    前記ダイアフラムにレーザ光が照射されたときに前記感圧素子から取得した出力を用いて、当該感圧素子に生じた圧力変化を算出する算出部と
    を含む熱歪測定装置。
  8. 前記照射部は、レーザを発振させる発振器と、当該発振器が発振したレーザ光を導く導光部と、当該導光部にて導かれたレーザ光を前記機器の前記ダイアフラムに射出する射出部とを含むことを特徴とする請求項7記載の熱歪測定装置。
  9. 前記射出部は、レーザ光を集光するとともに、レーザ光の焦点から外れた位置にてレーザ光を前記ダイアフラムに照射することを特徴とする請求項8記載の熱歪測定装置。
  10. 前記照射部は、パルス発振させたレーザ光を照射することを特徴とする請求項7乃至9のいずれか1項記載の熱歪測定装置。
  11. 前記照射部は、照射するレーザ光のパルス幅をmsecオーダーとすることを特徴とする請求項10記載の熱歪測定装置。
  12. 前記算出部は、前記ダイアフラムに1パルス目のレーザ光が照射されたときに前記感圧素子から取得した出力を用いて、当該感圧素子に生じた圧力変化を算出することを特徴とする請求項10または11記載の熱歪測定装置。
  13. 前記導光部は、ガウシアンパターンを呈するレーザ光を、トップハットパターンを呈するレーザ光として出力する方形ファイバからなることを特徴とする請求項8記載の熱歪測定装置。
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