JP6540693B2 - 光学ガラス及び光学素子 - Google Patents

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Description

本発明は光学ガラス及び光学素子に関するものである。更に詳しくは、モールドプレス成形に適した光学ガラス及びその光学ガラスからなる光学素子に関するものである。
近年、光ディスク(CD,MD,BD等)用のピックアップレンズ、携帯電話に搭載される撮像用レンズ等の光学レンズとして、種々のタイプの光学ガラスからなる光学素子が広く用いられており、その高精度化が求められている。高い表面精度の製品が得られる方法としてはモールドプレス成形法が知られているが、モールドプレス成形法においても金型とガラスとが融着して表面精度が損なわれるという問題がある。その金型とガラスとの融着の原因としては以下の2つが挙げられる。
第1の原因は、ガラスの塩基性度にある。モールド成形中にガラスの成分が金型中に侵入し、界面付近の金型相中のガラス成分濃度が増加する。これによりガラス相と金型相との組成差が減少するため、親和性が増し、金型にガラスが融着すると考えられている。このガラス成分の金型への侵入のしやすさの度合いの指標として、塩基性度が用いられている。塩基性度が低いことは融着が発生しにくいということを意味するので、塩基性度を低くすることによってガラスの離型性を良くすることができる。
第2の原因は、ガラスの滴下温度にある。ガラスの滴下温度が高ければ高いほど、金型表面の劣化も進み、ガラスが融着しやすくなる。モールドプレス成形法には、ほぼ最終製品形状を有するプリフォームを軟化点以上に加熱し、加熱した上下一対の金型によりプレス成形して最終製品形状とする再加熱プレス成形法と、加熱した金型上にガラス溶融炉から溶融ガラス滴を直接滴下し、プレス成形することにより最終製品形状とするダイレクトプレス成形法と、の2種類ある。特にダイレクトプレス成形法では、溶融ガラスの滴下温度を結晶化が始まる温度である液相温度(LT)より高くする必要があり、滴下温度を下げるためには液相温度(LT)を低くする必要がある。したがって、液相温度(LT)を低くすれば、滴下温度を下げて金型表面の劣化を抑えることができるので、ガラスの離型性を良くすることができる。
モールドプレス成形用のガラスはこれまでにも提案されており、例えば、特許文献1,2には中屈折率・低分散域のリン酸塩ガラスが提案されている。
特開2011−57553号公報 特開2010−37154号公報
特許文献1に記載されているガラスには、液相温度(LT)が高いという問題がある。通常、ダイレクトプレス成形では、ガラスがノズルで失透して安定した滴下ができなくなることを防ぐため、ノズルの温度は液相温度(LT)又はそれ以上に設定される。そのため、液相温度(LT)が高いとノズルの温度も高くなり、金型に滴下されるガラスの温度(すなわち滴下温度)が高くなる。その結果、金型の表面酸化や金属組成の変化が生じやすくなり、レンズの表面精度が損なわれるばかりか、成形金型の寿命が短くなるため、生産コストの上昇を招くことになる。
特許文献1に記載されているガラスには、ガラス転移点(Tg)が高いという問題もある。モールドプレス成形法では、成形する光学ガラスのガラス転移点(Tg)近傍又はそれ以上の温度に、成形金型を加熱する必要がある。そのため、成形する光学ガラスのガラス転移点(Tg)が高いほど、成形金型の表面酸化や金属組成の変化が生じやすくなり、成形金型の寿命が短くなるため、生産コストの上昇を招くことになる。したがって、モールドプレス成形に用いる光学ガラスとしては、ガラス転移点(Tg)と液相温度(LT)ができるだけ低いものが望ましい。
特許文献2に記載されている中屈折率・低分散域のガラスは、低いガラス転移点(Tg)を有するものであり、いずれもガラス転移点(Tg)を下げることを重要視した成分比となっている。このため、塩基性度が高く、プレス成形した際の金型からの離型性が悪い、という問題がある。離型性が悪いガラスは、製造における歩留まりを低下させるばかりでなく、前述したように製品の表面精度を悪くするという問題がある。
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであって、その目的は、低い塩基性度及び液相温度(LT)によって金型との融着が抑えられた、離型性の良い光学ガラス及びその光学ガラスからなる光学素子を提供することにある。
上記目的を達成するために、第1の発明の光学ガラスは、モル%表示で、
25:10〜25%、
Al23:2〜5%、
23:15〜30%、
Li2O:0〜8%(ただし、0%を含まない。)、
Na2O:0〜8%、
2O:0〜7%、
2O:1〜15%(ただし、R2OはLi2OとNa2OとK2Oとの合計であり、2種以上を含む。)、
ZnO:25〜40%、
BaO:0〜10%、
SrO:0〜10%(ただし、BaO+SrOは15%を上限とする。)、
CaO:5〜15%、
の範囲で決定された組成を有する。以下、特に断りのない限り「%」は「モル%」を意味するものとする。
第2の発明の光学ガラスは、上記第1の発明において、液相温度(LT)が840℃以下であり、塩基性度が3以下である。
第3の発明の光学ガラスは、上記第1又は第2の発明において、ガラス転移点(Tg)が470℃以下である。
第4の発明の光学ガラスは、上記第1〜第3のいずれか1つの発明において、d線に対する屈折率(nd)が1.55〜1.63、アッベ数(νd)が53〜62の範囲の光学恒数を有する。
第5の発明の光学ガラスは、上記第1〜第4のいずれか1つの発明において、P25/B23≦1である。
第6の発明の光学ガラスは、上記第1〜第5のいずれか1つの発明において、ビッカース硬さ:Hv≧450である。
第7の発明の光学素子は、上記第1〜第6のいずれか1つの発明に係る光学ガラスからなる。このような光学素子の例としては、レンズ,プリズム,ミラーが挙げられる。
第8の発明の光学素子は、上記第1〜第のいずれか1つの発明に係る光学ガラスをモールドプレス成形してなる。
本発明に係るガラス組成であれば、低い塩基性度及び液相温度(LT)によって金型との融着が抑えられた、離型性の良い光学ガラス及びその光学ガラスからなる光学素子を実現することができる。また、本発明の光学素子は、前記光学ガラスのモールドプレス成形により作製可能であるため、前記光学ガラスの特性を有しながら、高い生産効率,低コスト化等を図ることができる。つまり、安定したプレス成形により精密な面を作製することが可能であるため、製品の品質と量産性の向上を達成することができる。
以下、本発明に係る光学ガラス及び光学素子を説明する。本発明に係る光学ガラスは、モル%表示で、P25:10〜25%、Al23:2〜5%、B23:15〜30%、Li2O:0〜8%(ただし、0%を含まない。)、Na2O:0〜8%、K2O:0〜7%、R2O:1〜15%(ただし、R2OはLi2OとNa2OとK2Oとの合計であり、2種以上を含む。)、ZnO:25〜40%、BaO:0〜10%、SrO:0〜10%(ただし、BaO+SrOは15%を上限とする。)、CaO:5〜15%、の範囲で決定された組成を有することを特徴としている。
本発明者は、前記目的を達成すべく鋭意検討を重ねた結果、所定の屈折率と分散の光学恒数を有する光学ガラスにおいて、P25,B23,ZnO,R2O(RはNa,K,Liのいずれかの元素であり、そのうちの1つ以上を有する。)を基本組成とし、光学ガラス成分を所定の範囲内に有することにより、モールドプレス成形に適した低い液相温度(LT)と塩基性度(離型性)、具体的には840℃以下の液相温度(LT)と3以下の塩基性度が得られることを見出し、本発明をなすに至った。
つまり、P25系のガラスにおいて、イオン価数が大きく、かつ、イオン半径の短いB23を多く導入することで、塩基性度を低くするとともにビッカース硬さ(Hv)を向上させることができる、という知見を得た。しかし、B23の含有量が増えると、化学耐久性が急激に悪化する。さらに液相温度(LT)も急激に高くなり、ガラスの安定性が悪くなり失透する。そこで、ZnOを多く導入することで液相温度(LT)を低くし、ガラスの安定性を向上させた。加えて、アルカリ金属酸化物やアルカリ土類金属酸化物等の含有量も調整し、さらに塩基性度を低く維持するため、P25/B23を1以下とすることで、低い液相温度(LT)であっても塩基性度を低くする組成範囲を見出した。
したがって、本発明に係るガラス組成であれば、低い塩基性度及び液相温度(LT)によって金型との融着が抑えられた、離型性の良い光学ガラス及びその光学ガラスからなる光学素子を実現することができる。また、本発明の光学素子は、前記光学ガラスのモールドプレス成形により作製可能であるため、前記光学ガラスの特性を有しながら、高い生産効率,低コスト化等を図ることができる。つまり、安定したプレス成形により精密な面を作製することが可能であるため、製品の品質と量産性の向上を達成することができる。
ダイレクトプレス成形では、成形後に光学素子(レンズ等)の外周を研削する芯取り加工を行うが、その際にビッカース硬さ(Hv)が450以下であると、ヒビ,カケ,ワレ等が発生するおそれがある。そのため、ビッカース硬さ(Hv)は450以上が好ましい。
また、成形金型は、光学素子に良好な光学面を転写できるようにするため、所定温度に加熱しておく必要がある。製造する光学素子の形状や大きさ等、種々の条件によって異なるが、光学ガラスのガラス転移点(Tg)近傍の温度に設定するのが一般的である。そのため、ガラス転移点(Tg)が高くなればなるほど成形金型の温度を高くする必要がある。例えば、クロムコーティングしたWC100の金型では470℃以上で劣化が進むため、470℃以下にする必要がある。したがって、ガラス転移点(Tg)は470℃以下にすることが好ましく、460℃以下にすることが更に好ましく、450℃以下にすることが最も好ましい。
次に、本発明に係る光学ガラスの各成分の含有量について、前記のように限定した理由等を詳細に説明する。なお、特に断らない限り、各成分の含有量はガラス成分全体に対する含有量(モル%表記)を表すものとする。
25はガラスを構成する主要成分であり、ガラスに製造可能な安定性を持たせ、ガラス転移点(Tg)と液相温度(LT)を小さくする作用が大きい。しかし、含有量が10%未満であると十分な効果が得られない。また、25%を超えて過剰に含有すると、化学的耐久性が悪化するおそれがある。このため、P25の含有量は10〜25%の範囲である。
Al23は、線熱膨張係数を小さくする効果とともに、ガラスの耐候性を向上させる効果を有している。しかし、含有量が2%未満であると十分な効果が得られない。また、含有量が5%を超えて多すぎるとガラスが不安定になり、液相温度(LT)が急激に上がって耐失透性も悪くなる。したがって、Al23の含有量は2〜5%の範囲である。
23は、ガラスを構成する主要成分であり、かつ、ガラスの溶融性の向上やガラスの均質化に非常に有効な成分である。それと同時に、塩基性度を低くして離型性を向上させ、ビッカース硬さ(Hv)を向上させる成分でもある。しかし、含有量が15%未満であると十分な効果が得られない。また、30%を超えて過剰に含有すると、ガラスが不安定になり耐失透性が低下する。このため、B23含有量は15〜30%の範囲である。
前述したように、ビッカース硬さ:Hv≧450であることが好ましい。また、ビッカース硬さ(Hv)を保つためには、P25/B23≦1であることが好ましい。液相温度(LT)とガラス転移点(Tg)を低くし、かつ、塩基性度を3以下に保つという点から、0.2≦P25/B23≦1であることが更に好ましい。
Li2O成分は、ガラス転移点(Tg)と屈伏点(At)を低下させ、プレス成形温度を低下させるために導入する成分である。また、混合したガラス原料の溶融を促進する効果がある。ただし、過剰の導入によりガラスの化学的耐久性が悪化し、屈折率も急激に低下してしまうおそれがあるため、その含有量は0〜8%(ただし、0%を含まない。)の範囲である。
Na2Oは、ガラスの耐失透性を向上させ、ガラス転移点(Tg),屈伏点(At),液相温度(LT)を低下させ、ガラスの高温溶融性を改善するために導入される成分である。しかし、B23が多く導入された組成系で、Na2Oを8%を超えて導入すると耐候性が悪化し、ガラスの安定性も低下する。このため、Na2Oの含有量は0〜8%の範囲である。
2Oは、ガラスの耐失透性を向上させ、ガラス転移点(Tg),屈伏点(At),液相温度(LT)を低下させ、ガラスの高温溶融性を改善するために導入される成分である。しかし、7%を超えて過剰に導入すると、ガラスの安定性が悪くなるばかりでなく、化学的耐久性も悪化し、屈折率も低下する。このため、K2Oの含有量は0〜7%の範囲である。
また、Li2O,Na2O,K2Oといったアルカリ金属酸化物の2種以上の導入は、混合アルカリ効果により、液相温度(LT)とガラス転移点(Tg)を低下させ、ガラスの成形性を向上させる。R2O(ただし、R2OはLi2OとNa2OとK2Oとの合計であり、2種以上を含む。)が1%未満になると、液相温度(LT)とガラス転移点(Tg)が大きくなる。しかし、R2Oの含有量が15%を超えると、ガラスの安定性が悪化し、失透するおそれがある。このため、R2Oの含有量は1〜15%の範囲である。
ZnOは、ビッカース硬さ(Hv)を大きく低下させることなく、ガラス転移点(Tg)と液相温度(LT)を低下させる効果を有している。また、線膨張係数(α)を増大させることもない。ただし、過剰のZnOの導入によりガラスの耐久性が悪化するおそれがある。しかし、その含有量が20%未満では十分な効果が得られない。このため、ZnOの含有量は25〜40%の範囲である。また、液相温度(LT)の低下の点から、ZnOの含有量は30〜40%が好ましく、30〜35%が更に好ましい。
BaO成分は、ガラスの屈折率を高め、液相温度(LT)を低下させる効果を有している。しかし、その量が多すぎると耐失透性が悪化しやすくなる。このため、BaOの含有量は0〜10%の範囲である。
SrOは、ガラスの低分散特性を損なわずにガラスの屈折率を高める有効な成分である。特に、ガラスの耐候性を高める成分として有効である。しかし、過剰のSrOを導入すると、ガラスの安定性が悪化し、液相温度(LT)も上昇する。このため、SrOの含有量は0〜10%の範囲である。
BaO,SrO成分は、液相温度(LT)を急激に下げ、さらに粘性を上げることによって安定したプレス成形を可能とする。しかし、過剰な導入はガラスの化学的耐久性を悪化させるばかりか、失透を導くおそれがある。このため、BaO,SrO成分の合計含有量(BaO+SrO)は15%を上限とする。
CaOは、適量でガラスの化学的耐久性を向上させ、液相温度(LT)を低下させる。しかし、5%未満では十分な効果が得られない。また、15%を超えて過剰に含有すると、ガラスの化学的耐久性を悪化させるばかりか、失透を導くおそれがある。このため、CaOの含有量は5〜15%の範囲である。
本発明に係る光学ガラスにおいては、溶融により形成される溶融ガラスと貴金属との接触角が67°以上であることが好ましく、70°以上であることが更に好ましい。これにより貴金属からなる離型膜がコートされた金型で光学ガラスをプレスする際に、離型膜と光学ガラスとの接触角が高められるため、離型膜と光学ガラスとの融着を低減し、金型の長寿命化と製品品質の向上を図ることができる。
各成分の組成範囲を上述したように限定することにより、d線に対する屈折率(nd):1.55〜1.63、アッベ数(νd):53〜62の範囲の光学恒数を有し、液相温度(LT):840℃以下、塩基性度:3以下、ガラス転移点(Tg):470℃以下であり、離型性,耐候性等に優れた光学ガラスを実現することができる。
本発明に係る光学ガラスを、デジタルカメラ,カメラ付き携帯電話等の光学機器に搭載される光学素子(レンズ,プリズム,ミラー等)の材料として用いれば、耐候性及び精密プレス成形性の向上による光学素子の生産性の向上と低コスト化が可能になるため、光学機器の低コスト化等に寄与することができる。
本発明の光学素子は、前記光学ガラスをモールドプレス成形することによって作製される。このモールドプレス成形法としては、前述したように、溶融したガラスをノズルから、所定温度に加熱された金型へ滴下しプレス成形するダイレクトプレス成形法、及びプリフォーム材を金型に載置してガラス軟化点以上に加熱してプレス成形する再加熱プレス成形法が挙げられる。このような方法によれば研削・研磨工程が不要となり、生産性が向上し、また自由曲面や非球面といった加工困難な形状の光学素子を得ることができる。したがって、低コスト化を図ることができる。
以下、本発明を実施した光学ガラスの構成等を、実施例1〜15及び比較例1〜8を挙げて更に具体的に説明する。
炭酸塩,硝酸塩,酸化物等のガラス原料を用いて、表1〜表3に示す目標組成(モル%)となるように、ガラス原料を調合し、粉末で十分に混合して調合原料とした。これらを1000〜1250℃に加熱された溶融炉に投入し、溶融・清澄後、撹拌均質化して予め加熱された金属製の鋳型に鋳込み、室温まで徐冷して各サンプル(実施例1〜15,比較例1〜8)を製造した。これらの各サンプルについて、d線に対する屈折率(nd),アッベ数(νd),ガラス転移点(Tg),屈伏点(At),100〜300℃間の平均線膨張係数α(×10-7/℃),液相温度(LT),ビッカース硬さ(Hv),耐候性,塩基性度及び接触角(°)を測定した。測定結果(物性)を表1〜表3に合わせて示す。
各サンプルの物性の測定は、日本光学硝子工業会規格(JOGIS)の試験方法等に準じて行った。屈折率(nd)とアッベ数(νd)は、溶融し鋳型に鋳込んだときの温度から室温まで−30℃/時間の冷却速度で徐冷したガラスを「KPR−2000」(カルニュー光学工業社製)で測定した。ガラス転移点(Tg),屈伏点(At),線膨張係数(α)は、熱機械的分析装置「TMA/SS6000」(Seiko Instruments Inc.社製)を用いて毎分10℃の昇温条件で測定した。
液相温度(LT)は、白金るつぼにガラス試料を50g入れ、1150℃での1時間の溶融の後、それぞれ920℃,910℃,900℃,890℃,880℃,870℃,860℃,850℃,840℃,830℃,820℃,810℃,800℃,790℃,780℃,770℃,760℃に12時間保温したものを冷却して結晶析出の有無を顕微鏡により観察した。そして、結晶の認められない最低温度を液相温度(LT)とした。
ビッカース硬さ(Hv)は、ビッカース硬度試験機(商品名:HM−113、アカシ社製)を用いて、荷重100g,負荷時間15secの条件下で測定した。耐候性の試験では、温度60℃,湿度90%の加速条件で168時間維持して、その後、顕微鏡により失透,白ヤケ,青ヤケ等の異常の有無を観察し、異常の認められたものを×、試験前後で変化のないものを○とした。
ここで測定した塩基性度は、式:(酸素原子のモル数の総和/陽イオンのField Strengthの総和)×100として定義されるものであり、式中のField Strength(以下、F.S.と表記する)は、式:F.S.=Z/r2(ただし、Z:イオン価数、r:イオン半径である。)により求められる。なお、ここでの測定におけるZ,rの数値は『化学便覧基礎編改訂2版(1975年 丸善株式会社発行)』を参照した。
ガラスの塩基性度は、ガラス中の酸素の電子がガラス中の陽イオンにどのくらい引きつけられているかを示す指標になる。塩基性度の高いガラスでは、ガラス中の陽イオンによる酸素の電子の引きつけが弱い。したがって、塩基性度の高いガラスは、電子を求める傾向の強い陽イオン(金型成分)と接した際、塩基性度の低いガラスに比べガラス中に金型からの陽イオンの侵入が起きやすい。金型成分である陽イオンがガラス中へ侵入(拡散)すると、界面付近のガラス相中の金型成分濃度が増加する。これによりガラス相と金型相の組成差が減少するため、両者の間の親和性が増し、ガラスが金型に濡れやすくなる。このような機構により、ガラスと金型とが融着すると考えられる。つまり、塩基性度が低くなるにしたがって、ガラス中に金型成分が侵入しにくくなり、ガラスと金型とは融着しなくなる。
接触角の測定では、貴金属(Cr)をコートした金型に粘度:2ポアズの溶融ガラスをおよそ0.1g滴下し、試料を作製した。その際の金型と試料との間の接触角(°)を測定した。表1〜表3中の接触角(°)は、金型温度が、Tg−20度,Tg,Tg+20度の場合のそれぞれ3回測定し、その平均値を示している。
表1及び表2に示した実施例1〜15の光学ガラスは、いずれも塩基性度が3以下、液相温度が840℃以下、ビッカース硬さ(Hv)は450以上、という良好な特性を有していることが確認された。これに対し、表3に示した比較例1〜8の光学ガラスは、いずれもビッカース硬さ(Hv)が450以下であった。また、液相温度(LT)が840℃以下であり、かつ、塩基性度が3以下であるものはなく、十分な特性を有していないものであった。
Figure 0006540693
Figure 0006540693
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Claims (8)

  1. モル%表示で、
    25:10〜25%、
    Al23:2〜5%、
    23:15〜30%、
    Li2O:0〜8%(ただし、0%を含まない。)、
    Na2O:0〜8%、
    2O:0〜7%、
    2O:1〜15%(ただし、R2OはLi2OとNa2OとK2Oとの合計であり、2種以上を含む。)、
    ZnO:25〜40%、
    BaO:0〜10%、
    SrO:0〜10%(ただし、BaO+SrOは15%を上限とする。)、
    CaO:5〜15%、
    の範囲で決定された組成を有する光学ガラス。
  2. 液相温度(LT)が840℃以下であり、塩基性度が3以下である請求項1記載の光学ガラス。
  3. ガラス転移点(Tg)が470℃以下である請求項1又は2記載の光学ガラス。
  4. d線に対する屈折率(nd)が1.55〜1.63、アッベ数(νd)が53〜62の範囲の光学恒数を有する請求項1〜3のいずれか1項に記載の光学ガラス。
  5. 25/B23≦1である請求項1〜4のいずれか1項に記載の光学ガラス。
  6. ビッカース硬さ:Hv≧450である請求項1〜5のいずれか1項に記載の光学ガラス。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の光学ガラスからなる光学素子。
  8. 請求項1〜のいずれか1項に記載の光学ガラスをモールドプレス成形してなる光学素子。
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