JP6540304B2 - 車輪連結構造及び自動車 - Google Patents
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Description
また、スモールオーバーラップ衝突時が車体構造に及ぼす影響は容易に予測することが困難であるうえ、スモールオーバーラップ衝突がフロントサイドフレームよりも外側で生じた場合には、クラッシュボックス等による衝突エネルギーの吸収が充分にできない可能性があり、フロントサイドフレーム等に設けられた補強部材も充分に機能しない可能性がある。
請求項1に記載の発明は、車輪を車体に支持する車輪連結構造であって、前記車輪を車体の前進方向に対してキングピン軸線周りに回動可能に支持するとともに回転支持部によって前記車輪を回転可能に支持する車輪支持部材と、前記キングピン軸線よりも後方で前記車輪支持部材と連結され前記車輪支持部材に連結される車輪後方部押出し機構と、を備え、前記車輪後方部押出し機構は、車体幅方向の内方側の少なくとも一部が前記車輪支持部材との連結部より後方に変位する押出し作用部が形成された車輪後方部押出し部材と、前記車輪後方部押出し部材の後方側を支持可能に形成された押圧支持部材と、を備え、前記押出し作用部は、前記車体幅方向外方から内方に向かうにしたがって後方に傾斜する突張部と、屈曲部又は湾曲部により形成され前記突張部に接続される押出し変形部と、を備え、前記車体が衝突して前記車輪が進行方向後方に移動した場合に、前記押圧支持部材が前記車輪後方部押出し部材の変形力入力部と当接して、前記押出し変形部を押圧することによって前記車輪後方部押出し部材の前記車体幅方向長さを延伸して、車輪後方部を前記車体幅方向外方に押し出すように構成され、前記変形力入力部は、前記押出し変形部よりも硬さが高く設定され、前記変形力入力部の後方側が前記押圧支持部材と当接して押圧された場合に、前記押出し変形部が優先して変形するように構成されている。
ことを特徴とする。
その結果、スモールオーバーラップ衝突がフロントサイドフレームよりも外側で生じるような場合を含めて、より広い衝突形態においてキャビン内の乗員の安全性を向上することができる。
また、車輪後方部押出し機構が、車体幅方向の内方側の少なくとも一部が車輪支持部材との連結部より後方に変位する押出し作用部が形成された車輪後方部押出し部材と、車輪後方部押出し部材の後方側を支持可能に形成された押圧支持部材と、を備え、車体が衝突して車輪が進行方向後方に移動した場合に、押圧支持部材が車輪後方部押出し部材の変形力入力部と当接して、押し出変形部を押圧することによって車輪後方部押出し部材の車体幅方向長さを延伸して、車輪後方部を車体幅方向外方に押し出すので、車輪の後方部が車体幅方向内方に向くのを抑制する。
その結果、車輪の後方部を効率的に車体幅方向外方に向かせることができる。
また、タイロッドが前輪(回転軸)よりも後方に配置されている場合に、タイロッドよりもさらに後方に配置させて適用することができる。
また、タイロッドを車輪後方部押出し部材として用いる必要がないので、ステアリング操作に影響を及ぼすことがなく、車輪支持部材に対する取付位置をレバー長等により調整することで、スモールオーバーラップ衝突の際に、車輪前側を早いタイミングで引き寄せることができる。
なお、タイロッドが車輪(回転軸)よりも前方に配置される場合には、タイロッドが破断しやすい構成とすることが好適である。
また、タイロッドが前輪(回転軸)よりも後方に位置される車輪連結構造に適用する場合には、タイロッドを破断しやすい構成とすることが好適である。
その結果、スモールオーバーラップ衝突がフロントサイドフレームよりも外側で生じるような場合を含めて、より広い衝突形態においてキャビン内の乗員の安全性を向上することができる。
以下、図1〜図4を参照して、本発明の第1の実施形態に係る車輪連結構造について説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る車輪連結構造の概略構成の一例を説明する図であり、前輪駆動車における例を示している。また、図2は、第1の実施形態に係るタイロッドの一例を示す概略構成図であり、図3は第1の実施形態に係る車輪後方部押出し機構の概略構成の一例を説明する図である。図1において、符号1は車輪連結構造を、符号15はタイロッドを示している。
また、第1の実施形態において、車輪後方部押出し機構は、例えば、タイロッド(車輪後方部押出し部材)15と、押圧支持部材16とを備えた構成とされている。
また、スピンドル111の中央部には、スピンドル111と同軸とされた貫通孔111Hが形成されている。
また、スピンドル111に支持された車輪WHは、貫通孔111Hを通じて挿入されたアクスルシャフト(車軸)12が連結されており、トランスアクスル等の駆動源から入力される回転力が、アクスルシャフト12を通じて車輪WHに伝達されるように構成されている。
なお、突張部151と、屈曲部(押出し変形部)155は、押出し作用部を構成している。
屈曲部155は、衝突時に塑性変形して、突張部151とストレート部150の交差角度を変化させるようになっている。
なお、タイロッド15のストレート部150、突張部151、変形力入力部152、屈曲部155の断面形状や形成範囲、その他の特性については、機能を発揮する範囲で、任意に設定することが可能である。
そして、押圧支持部材16は、ステアリング操作された際に、矢印T方向に進退するタイロッド15を案内するように構成されている。
また、押圧支持部材16は、フロントサイドフレームFFの衝突時に車両進行方向に変位しない位置に設けることが好適である。
また、車体を平面視視したときにおける車輪WHの回転軸よりも車両進行方向後方を基準としてもよい。
図4は、第1の実施形態に係る車輪連結構造1の作用を説明する図であり、スモールオーバーラップ衝突後における車輪連結構造1の状態の一例を示す概念図である。
車輪WH等が衝突時移動方向に移動すると、タイロッド15の変形力入力部152が押圧支持部材16の当接押出し部16Sと当接する。
そして、タイロッド15の屈曲部155の屈曲の度合いが小さく(車両進行方向Fに対する傾斜が大きく)なって突張部151が拡がり、タイロッド15の車体幅方向における長さが延伸される。
その結果、車輪WHの後方部が車体幅方向外方の押出し力が発生して、車輪WHに矢印R方向のモーメントが発生して車輪WHの後方部が車体幅方向外方を向くこととなる。
その結果、スモールオーバーラップ衝突がフロントサイドフレームFFよりも外側で生じるような場合を含めて、より広い衝突形態においてキャビン内の乗員の安全性を向上することができる。
以下、図5、図6を参照して、本発明の第2の実施形態に係る車輪連結構造について説明する。
図5は、本発明の第2の実施形態に係る車輪連結構造の概略構成の一例を説明する図であり、後輪駆動車における例を示している。
図5において、符号2は車輪連結構造を、符号15はタイロッドを示している。
また、第1の実施形態において、車輪後方部押出し機構は、例えば、タイロッド(車輪後方部押出し部材)15と、押圧支持部材16とを備えた構成とされている。
図6は、第2の実施形態に係る車輪連結構造2の作用を説明する図であり、スモールオーバーラップ衝突後における車輪連結構造1の状態の一例を示す概念図である。
車輪WH等が衝突時移動方向に移動すると、タイロッド15の変形力入力部152が押圧支持部材16の当接押出し部16Sと当接する。
そして、タイロッド15の屈曲部155の屈曲の度合いが小さく(車両進行方向Fに対する傾斜が大きく)なって、タイロッド15の車体幅方向における長さが延伸される。
その結果、車輪WHの後方部が車体幅方向外方の押出し力が発生して、車輪WHに矢印R方向のモーメントが発生して車輪WHの後方部が車体幅方向外方を向くこととなる。
その結果、スモールオーバーラップ衝突がフロントサイドフレームFFよりも外側で生じるような場合を含めて、より広い衝突形態においてキャビン内の乗員の安全性を向上することができる。
以下、図7〜図10を参照して、本発明の第3の実施形態に係る車輪連結構造について説明する。
図7は、本発明の第3の実施形態に係る車輪連結構造の概略構成の一例を説明する図であり、前輪駆動車における例を示している。また、図8は、第3の実施形態に係る車輪後方部押出しロッドの一例を示す概略構成図であり、図8は第1の実施形態に係る車輪後方部押出し機構の概略構成の一例を説明する図である。図7において、符号3は車輪連結構造を、符号35は車輪後方部押出しロッド(車輪後方部押出し部材)を示している。
また、第3の実施形態において、車輪後方部押出し機構は、例えば、車輪後方部押出しロッド(車輪後方部押出し部材)35と、押圧支持スリーブ(押圧支持部材)36とを備えている。
また、スピンドル311の中央部には、スピンドル311と同軸とされた貫通孔311Hが形成されている。
また、スピンドル311に支持された車輪WHは、貫通孔311Hを通じて挿入されたアクスルシャフト(車軸)32が連結されており、トランスアクスル等の駆動源から入力される回転力が、アクスルシャフト32を通じて車輪WHに伝達されるように構成されている。
また、ナックル31は、車輪後方部押出しロッド35を介して押出しロッド取付部312と連結されるとともに、タイロッド取付部314を介してタイロッド34に連結されている。
なお、突張部351と、屈曲部(押出し変形部)355は、押出し作用部を構成している。
屈曲部355は、衝突時に塑性変形して、突張部351とストレート部350の交差角度を変化させるようになっている。
そして、押圧支持スリーブ36は、ステアリング操作された際に、矢印T2方向に進退する車輪後方部押出しロッド35が抜け落ちることがないように案内するとともに係止端部36Tに車輪後方部押出しロッド35のストッパ35Pが当接して、車輪後方部押出しロッド35が車体幅方向に移動し過ぎないように構成されている。
また、押圧支持スリーブ36は、フロントサイドフレームFFの衝突時に車両進行方向に変位しない位置に設けることが好適である。
また、車体を平面視視したときにおける車輪WHの回転軸よりも車両進行方向後方を基準としてもよい。
図10は、第3の実施形態に係る車輪連結構造3の作用を説明する図であり、スモールオーバーラップ衝突後における車輪連結構造3の状態の一例を示す概念図である。
車輪WH等が衝突時移動方向に移動すると、車輪後方部押出しロッド35の変形力入力部352が押圧支持スリーブ36の当接押出し部36Sと当接する。
その結果、車輪WHの後方部が車体幅方向外方の押出し力が発生して、車輪WHに矢印R方向のモーメントが発生して車輪WHの後方部が車体幅方向外方を向くこととなる。
その結果、スモールオーバーラップ衝突がフロントサイドフレームFFよりも外側で生じるような場合を含めて、より広い衝突形態においてキャビン内の乗員の安全性を向上することができる。
以下、図11、図12を参照して、本発明の第4の実施形態に係る車輪連結構造について説明する。
図11は、本発明の第4の実施形態に係る車輪連結構造の概略構成の一例を説明する図であり、後輪駆動車における例を示している。図11において、符号4は車輪連結構造を、符号35は車輪後方部押出しロッド(車輪後方部押出し部材)を示している。
また、第4の実施形態において、車輪後方部押出し機構は、例えば、車輪後方部押出しロッド(車輪後方部押出し部材)35と、押圧支持スリーブ(押圧支持部材)36とを備えている。
また、ナックル41は、押出しロッド取付部412を介して車輪後方部押出しロッド35に連結されるとともに、タイロッド取付部414を介してタイロッド44に連結されている。
図12は、第4の実施形態に係る車輪連結構造4の作用を説明する図であり、スモールオーバーラップ衝突後における車輪連結構造4の状態の一例を示す概念図である。
車輪WH等が衝突時移動方向に移動すると、車輪後方部押出しロッド35の変形力入力部352が押圧支持スリーブ36の当接押出し部36Sと当接する。
その結果、車輪WHの後方部が車体幅方向外方の押出し力が発生して、車輪WHに矢印R方向のモーメントが発生して車輪WHの後方部が車体幅方向外方を向くこととなる。
その結果、スモールオーバーラップ衝突がフロントサイドフレームFFよりも外側で生じるような場合を含めて、より広い衝突形態においてキャビン内の乗員の安全性を向上することができる。
また、車体を平面視視したときにおける車輪WHの回転軸よりも車両進行方向前方を基準としてもよい。
また、タイロッド15、車輪後方部押出しロッド35を形成するための工法については、周知の工法を任意に適用することができる。
C 衝突時移動方向
FF フロントサイドフレーム
WH 車輪
T、T1 タイロッドの進退方向
T2 車輪後方部押出しロッド(車輪後方部押出し部材)の進退方向
O1 キングピン軸線
1、2、3、4 車輪連結構造
11、21、31、41 ナックル(車輪支持部材)
111、211、311、411 スピンドル(回転支持部)
111H、311H 貫通孔
112、212、314、414 タイロッド取付部
113、213、313、413 キングピン取付部
12、32 アクスルシャフト(車軸)
15 タイロッド(車輪後方部押出し部材)
151、351 突張部(押出し作用部)
152、352 変形力入力部
155、355 屈曲部(押出し変形部、押出し作用部)
16 押圧支持部材
16S 当接押出し部
312、412 押出しロッド取付部
34 タイロッド
35 車輪後方部押出しロッド(車輪後方部押出し部材)
35P ストッパ(係止部)
36 押圧支部スリーブ(押圧支持部材)
36T 係止端部
36S 当接押出し部
Claims (4)
- 車輪を車体に支持する車輪連結構造であって、
前記車輪を車体の前進方向に対してキングピン軸線周りに回動可能に支持するとともに回転支持部によって前記車輪を回転可能に支持する車輪支持部材と、
前記キングピン軸線よりも後方で前記車輪支持部材と連結され前記車輪支持部材に連結される車輪後方部押出し機構と、
を備え、
前記車輪後方部押出し機構は、
車体幅方向の内方側の少なくとも一部が前記車輪支持部材との連結部より後方に変位する押出し作用部が形成された車輪後方部押出し部材と、
前記車輪後方部押出し部材の後方側を支持可能に形成された押圧支持部材と、
を備え、
前記押出し作用部は、
前記車体幅方向外方から内方に向かうにしたがって後方に傾斜する突張部と、屈曲部又は湾曲部により形成され前記突張部に接続される押出し変形部と、を備え、
前記車体が衝突して前記車輪が進行方向後方に移動した場合に、
前記押圧支持部材が前記車輪後方部押出し部材の変形力入力部と当接して、前記押出し変形部を押圧することによって前記車輪後方部押出し部材の前記車体幅方向長さを延伸して、車輪後方部を前記車体幅方向外方に押し出すように構成され、
前記変形力入力部は、
前記押出し変形部よりも硬さが高く設定され、前記変形力入力部の後方側が前記押圧支持部材と当接して押圧された場合に、前記押出し変形部が優先して変形するように構成されている
ことを特徴とする車輪連結構造。 - 請求項1に記載の車輪連結構造であって、
前記車輪後方部押出し部材は、タイロッドであることを特徴とする車輪連結構造。 - 請求項1に記載の車輪連結構造であって、
前記車輪後方部押出し部材は、前記車両進行方向に対する前記車輪の向きに応じて、所定範囲内で前記車体幅方向に進退可能とされた車輪方向制御ロッドであることを特徴とする車輪連結構造。 - 請求項1〜3のいずれか1項に記載の車輪連結構造を備えることを特徴とする自動車。
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