次に、本発明を実施するための形態について、図面に基づいて説明する。なお以下に説明する各実施形態は、例えば自動車の部品を流れ作業により塗装又は組み立て等を行う製造ラインにおいて、その作業を行う作業員に対する作業指示を行う作業指示システムに対して本発明を適用した場合の実施の形態である。また以下の説明において、上記塗装又は組み立て等を、単に「組み立て等」と称する。
(I)第1実施形態
初めに、本発明に係る第1実施形態について、図1乃至図6を用いて説明する。なお、図1は第1実施形態に係る作業指示システム全体の概要構成を示す図であり、図2は当該作業指示システムにおける一工程分の概要構成を示す図である。また、図3は第1実施形態に係る管理サーバの概要構成を示すブロック図であり、図4は第1実施形態に係る作業指示データ及び管理コード等を例示する図である。更に、図5は第1実施形態に係る作業台の概要構成を示すブロック図であり、図6は第1実施形態に係る作業指示処理を示すフローチャートである。
図1に示すように、第1実施形態に係る作業指示システムSが備えられている製造ラインLは、上記作業員による組み立て等の対象となる半製品OBを搭載等しつつ各工程間を移動する作業台W1、作業台W2、作業台W3、…、作業台Wn(nは自然数。以下、同様。)を備えている。これら作業台W1、作業台W2、作業台W3、…、作業台Wnは、例えば図1に例示する工程Aから工程○○まで移動することで各工程が一巡すると、それまで搭載等していた半製品OBが卸下され、新たな半製品OBが搭載等された後、元の工程Aが実行される位置まで移動される。以上の流れが周回的に繰り返されることにより、製造ラインL上において、複数の半製品OBに対して必要な組み立て等が作業員により施される。なお以下の説明において、作業台W1、作業台W2、作業台W3、…、作業台Wnに共通する事項を説明する場合、これらを纏めて単に「作業台W」と称する。
これに加えて製造ラインLは、図1に示すように、各作業台Wとの間で例えば無線による種々のデータの授受が可能な管理サーバSVと、各工程に設けられ且つ管理サーバSVとの間で例えば有線によりデータの授受が可能なカメラCM1、カメラCM2、カメラCM3、…、カメラCMnと、を備えている。なお以下の説明において、カメラCM1、カメラCM2、カメラCM3、…、カメラCMnに共通する事項を説明する場合、これらを纏めて単に「カメラCM」と称する。ここで、各作業台Wとの間を有線により接続するように構成してもよいし、また管理サーバSVとカメラCMとの間を無線で接続するように構成することもできる。更に、上記管理サーバSVが、本発明に係る「情報処理装置」の一例に相当する。
一方各作業台Wは、例えば電子ペーパーを表示媒体とするディスプレイD1、ディスプレイD2、ディスプレイD3、…、ディスプレイDnを備える。なお以下の説明において、ディスプレイD1、ディスプレイD2、ディスプレイD3、…、ディスプレイDnに共通する事項を説明する場合、これらを纏めて単に「ディスプレイD」と称する。また当該ディスプレイDが、本発明に係る「表示手段」の一例に相当する。各作業台WのディスプレイDには、後述するように、対応する作業台Wが位置する工程において作業員により実行されるべき組み立て等の作業の内容を指示する作業指示IT1、作業指示IT2、作業指示IT3、…、作業指示ITnが、それぞれ表示される。各工程を実行する作業員は、当該ディスプレイDに表示される作業指示IT1等を見ながら、当該作業指示IT1等により示されている内容に対応した実際の組み立て等の作業を実行する。
ここで、上記作業指示IT1等に相当する作業指示データは、上記管理サーバSVから作業台Wごとに送信され、これを対応する各作業台Wにおいて受信することで、それに相当する作業指示IT1等をディスプレイDに表示する。なお以下の説明において、作業指示IT1、作業指示IT2、作業指示IT3、…、作業指示ITnに共通する事項を説明する場合、これらを纏めて単に「作業指示IT」と称する。
これに加えて第1実施形態に係る作業指示システムSでは、管理サーバSVから各作業台Wに送信される上記作業指示データに、各工程の作業員に対して表示されるべき上記作業指示IT自体に相当する内容データと、当該内容データに対応付けられた管理コードデータと、が含まれている。この管理コードデータに相当する第1実施形態に係る管理コードは、それに相当する管理コードデータが対応付けられている内容データに相当する作業指示ITが表示されるべきディスプレイD上に、当該作業指示ITと共に表示される。この管理コードは、それが対応する上記作業指示ITが表示されるべきディスプレイDの表示を当該作業指示ITに相当する内容データを用いて書き換えるに当たり、当該内容データを他の作業指示ITに相当する内容データから識別するための管理コードである。言い換えれば、第1実施形態に係る管理コードは、管理サーバSVからの書き換え指示に対応した作業指示ITを、その書き換え指示と共に、他の作業指示IT及び他の書き換え指示から識別するためのものである。
より具体的には、上記作業指示IT1、作業指示IT2、作業指示IT3、…、作業指示ITnのそれぞれに対して一対一に対応する管理コードC1、管理コードC2、管理コードC3、…、管理コードCnがあり、これらは図1及び図2に例示するように、対応する作業指示ITと共に、例えば二次元バーコードの態様でディスプレイD上に表示される。なお以下の説明において、管理コードC1、管理コードC2、管理コードC3、…、管理コードCnに共通する事項を説明する場合、これらを纏めて単に「管理コードC」と称する。そして、ディスプレイD上の作業指示ITが新たな作業指示ITに書き換えられる度に、管理コードCも新たな管理コードCに書き換えられる。
以上の構成を備える作業指示システムSにおいて、上記内容データ及び管理コードデータが作業指示データとして管理サーバSVから各作業台Wに送信されると、これにより、作業台WごとにディスプレイD上の表示が書き換えられる。この表示には、当該書き換え後の上記作業指示ITと、これに対応する内容の上記管理コードCと、が含まれている(図1及び図2参照)。一方、当該表示が書き換えられたディスプレイDを備える作業台Wが位置している工程のカメラCMは、当該書き換え後のディスプレイDの表示をディスプレイD外から撮像し、その撮像結果に相当する撮像データを例えば有線により管理サーバSVに送信する。これにより管理サーバSVは、ある作業台Wに上記作業指示データとして上記内容データと共に送信した管理コードデータと、その作業指示データに基づいて書き換えられた当該作業台WのディスプレイDの撮像結果として得られた管理コードCの撮像データの内容と、を比較する。そしてこれらが一致している場合、管理サーバSVは、当該作業指示データの内容データを用いたディスプレイD(即ち、その作業指示データを受信した作業台WのディスプレイD)の表示の書き換えが正常に行われていると判定する。
これに対し、上記管理コードデータと、それに対応した管理コードCの撮像データの内容と、が一致しないか、又は管理コードCの撮像データ自体が得られない場合、管理サーバSVは、ディスプレイDの表示の書き換えが全く行われていないか、又は書き換え異常が発生したと判定する。ここで、上記管理コードデータと、管理コードCの撮像データの内容と、が一致しない場合としては、例えばディスプレイDを構成する電子ペーパーにおいて、表示の書き換え時に「掠れ」が生じた場合、又は書き換え自体に不具合が生じて誤った内容の書き換えとなった場合が考えられる。また管理コードCの撮像データ自体が得られない場合とは、例えばディスプレイDの一部又は全部について、必要な書き換え自体が行われなかった場合が考えられる。
以上の動作により、ディスプレイDの表示の書き換えが全く行われていないか、又は書き換え異常が発生したと判定した場合、管理サーバSVは、例えば再書き換えのための作業指示データを、当該判定の対象となったディスプレイDを備える作業台Wに送信する処理を行う。このとき、当該書き換えが全く行われていないか、又は書き換え異常が発生した旨の警告表示を、その作業台Wの図示しない例えば所定の警告灯を用いて作業員に対して告知するように構成してもよい。
次に、第1実施形態に係る作業指示システムSの構成及び動作について、より具体的に図1乃至図6を用いて説明する。
初めに、第1実施形態に係る作業指示システムSに含まれる管理サーバSVの細部構成及び動作について、図3及び図4を用いて説明する。
図3に示すように、第1実施形態に係る管理サーバSVは、無線インターフェース1Wと、有線インターフェース1Lと、CPU2と、ハードディスク又はROM(Read Only Memory)等の不揮発性領域及びRAM(Random Access Memory)等の揮発性領域を備える記録部3と、キーボード及びマウス等からなる操作部4と、液晶ディスプレイ等からなるディスプレイ5と、により構成されている。このとき、有線インターフェース1Lが本発明に係る「取得手段」の一例に相当し、ディスプレイ5が本発明に係る「出力手段」の一例に相当し、CPU2が本発明に係る「表示制御手段」の一例及び「判定手段」にそれぞれ相当する。
以上の構成において無線インターフェース1Wは、CPU2の制御の下、各作業台Wとの間の上記作業指示データ(上記内容データ及び管理コードデータを含む作業指示データ)の無線による授受を制御する。一方有線インターフェース1Lは、CPU2の制御の下、各カメラCMから管理コードCを撮像した上記撮像データを取得する。
他方記録部3には、図3及び図4に例示するように、各工程の位置に移動した作業台Wに対して無線インターフェース1Wを介して送信されるべき作業指示データDT1、作業指示データDT2、作業指示データDT3、…、を含む作業指示データベースDBが、不揮発性に記録されている。なお以下の説明において、作業指示データDT1、作業指示データDT2、作業指示データDT3、…、に共通する事項を説明する場合、これらを纏めて単に「作業指示データDT」と称する。そして一の作業指示データDTは、作業台WのディスプレイDを介して作業員に提示されるべき上記作業指示ITに相当する上記内容データITDと、その作業指示ITに対応する上記管理コードCに相当する上記管理コードデータCDと、により構成されている。
そしてCPU2は、操作部4における指示操作に基づき、第1実施形態に係る作業指示処理を統括制御する。具体的にCPU2は、記録部3に記録されている上記作業指示データDTを、無線インターフェース1Wを介して、当該作業指示データDT内の内容データITDに相当する作業指示ITが表示されるべき作業台Wに対して送信する。このとき、当該送信先たる作業台Wは、例えばその作業台Wの後述する無線インターフェースに対応付けられているMAC(Media Access Control)アドレスを手掛かりとして特定される。
この点についてより具体的には、例えば各工程に位置している作業台WのMACアドレスを所定の方法によりCPU2において一括して取得し、これに基づいて、各作業台Wの製造ラインL上の現在位置をCPU2が認識する。この作業台Wの製造ラインL上の現在位置とは、換言すれば、その作業台Wが位置している工程である。これにより、その工程の作業台Wに送信すべき作業指示データDTに対してその作業台Wに対応するMACアドレスを対応付けた後、その作業指示データDTを当該作業台Wに向けて送信する。これにより、当該作業台Wが製造ラインL上のいずれの位置にあったとしても、確実に所望の作業指示データDTをその作業台Wに送信することができる。
そして、この作業指示データDTを受信した作業台WのディスプレイDには、図4右に例示するように、元の内容データITDに相当する内容の作業指示ITと、元の管理コードデータCDに相当する例えば二次元バーコード型の管理コードCと、が同時に表示されることになる。
次に、作業指示IT及び管理コードCが表示されているディスプレイDは、それが備えられている作業台Wが位置する工程のカメラCMにより、所定のタイミングで撮像され、その撮像データが有線インターフェース1Lを介してCPU2に送信される。これによりCPU2は、当該撮像されたディスプレイDに表示されているべき管理コードCの内容(管理コードデータCD)と、上記撮像データとして取得された管理コードCの画像の内容と、を比較する。これによりCPU2は、当該作業指示データDTの内容データITD及び管理コードデータCDを用いたディスプレイDの表示の書き換えが正常に行われたか否かを、上記管理コードデータCDと、それに対応した管理コードCの撮像データの内容と、の一致/不一致、又は管理コードCの撮像データ自体が得られたか否か、に基づいて、上述したように判定する。
そしてCPU2は、ディスプレイDの表示の書き換えが全く行われていないか、又は書き換え異常が発生したと判定した場合、上述したように、例えば再書き換えのための作業指示データDTを、当該判定の対象となったディスプレイDを備える作業台Wに送信する。
次に、例えば工程ごとの作業内容の変更により、例えば作業指示データDT1に含まれる内容データITDに相当する作業指示ITが変更(更新)される場合は、図4に白抜き矢印及び破線楕円で例示するように、当該更新に対応するように内容データITDが書き換えられると共に、それに対応して管理コードデータCDも書き換えられる。この書換処理は、例えば操作部4における操作に基づき、CPU2の制御の下で実行される。そして、当該変更後の作業指示データDT1が、当該作業指示データDT1内の(書き換えられた)内容データITDに相当する作業指示ITが表示されるべき作業台Wに対して送信されると、当該書き換え後の作業指示IT及び管理コードCがそのディスプレイDにそれぞれ表示される(図1及び図2参照)。その後、当該書き換え後の少なくとも管理コードCがカメラCMにより撮像されることにより、上述したようにディスプレイDの表示の良否がCPU2により判定される。
次に、第1実施形態に係る作業指示システムSに含まれる作業台Wの細部構成及び動作について、図5を用いて説明する。なお図5においては、製造ラインLを構成する作業台Wのうち、第1実施形態に係る作業台Wとしての機能発揮に必要な構成部材のみを例示している。
図5に示すように、第1実施形態に係る各作業台Wはそれぞれ、無線インターフェース10と、CPU11と、不揮発性領域及び揮発性領域を備えるメモリ13と、操作ボタン等からなる操作部12と、例えば電子ペーパーを表示媒体とする上記ディスプレイDと、により構成されている。
以上の構成において無線インターフェース10は、CPU11の制御の下、管理サーバSVとの間の上記作業指示データDTの無線による授受を制御する。
一方メモリ13には、管理サーバSVから無線インターフェース10を介して作業指示データDTが送信されてきた場合、当該送信されてきた作業指示データDT等が一時的又は不揮発性に記憶される。そしてCPU11は、当該記憶されている作業指示データDTを、所定のタイミングでディスプレイDに出力し、当該作業指示データDTに含まれている内容データITDに相当する作業指示IT、及び当該含まれている管理コードデータCDに相当する管理コードCを表示する。この表示された管理コードCがカメラCMにより撮像され、管理サーバSVにおけるディスプレイDの表示の良否の判定に用いられる。この他CPU11は、それが備えられている作業台Wとしての工程間移動等を統括制御する。
次に、上述してきた第1実施形態に係る作業指示システムSにおける作業指示処理について、纏めて図6を用いて説明する。
管理サーバSVにおける第1実施形態に係る作業指示処理は、例えば管理サーバSVに対して電源が投入されたタイミングから開始される。管理サーバSVにおいて新たな作業指示データDTが生成されて記録部3に記録されると(ステップS1)、CPU2は、当該作業指示データDTに含まれている内容データITDに相当する作業指示ITを表示すべき作業台Wに向けて、その作業指示データDTを送信する(ステップS2)。その後CPU2は、カメラCMからの撮像データの送信を待機する(ステップS3、S3;NO)。
一方各作業台Wにおける第1実施形態に係る作業指示処理は、例えば作業台Wに対して電源が投入されたタイミングから開始される。作業指示処理が開始されると、作業台WのCPU11は、当該作業台Wを、必要な工程が実行される所定の位置に移動させつつ、管理サーバSVからの新たな作業指示データDTの送信を待機する(ステップS20)。ステップS20の待機中に新たな作業指示データDTが受信されない場合(ステップS20;NO)、CPU11は後述するステップS22に移行する。
他方、ステップS20の判定において、新たな作業指示データDTが受信された場合(ステップS20;YES)、CPU11は、当該受信した作業指示データDTに含まれている内容データITDに相当する作業指示ITと、同様に含まれている管理コードデータCDに相当する管理コードCと、をそのディスプレイDに表示する(図1又は図2参照。ステップS21)。その後CPU11は、作業台Wの電源がオフとされたか否かを判定し(ステップS22)、電源がオフとされたときは(ステップS22;YES)、作業台Wとしての第1実施形態に係る作業指示処理を終了する。またステップS22の判定において電源がオフとされない場合(ステップS22;NO)、CPU11は上記ステップS20の処理に戻り、新たな作業指示データDTの受信を待機する。
次に各カメラCMにおける第1実施形態に係る作業指示処理は、例えばカメラCMに対して電源が投入されたタイミングから開始される。当該作業指示処理が開始されると、各カメラCMは、その撮像範囲内にあるディスプレイD上に表示されている管理コードCを所定のタイミングで撮像し(ステップS10)、その結果としての撮像データを管理サーバSVに送信する(ステップS11)。この場合の撮像は、例えば管理サーバSVからの撮像指示により実行されるようにしてもよいし、予め設定されたタイミングで定期的に行われるように構成してもよい。その後カメラCMは、その電源がオフとされたか否かを判定し(ステップS12)、電源がオフとされたときは(ステップS12;YES)、カメラCMとしての第1実施形態に係る作業指示処理を終了する。またステップS12の判定において電源がオフとされない場合(ステップS12;NO)、カメラCMは次の撮像に備える。
次に、管理サーバSVのCPU2は、カメラCMから撮像データが送信されてくると(ステップS3;YES)、撮像データに含まれている管理コードCの撮像結果の内容と、当該撮像データとして撮像されたディスプレイDを備える作業台Wに送信した作業指示データDTに含まれていた管理コードデータCDの内容と、を、比較し(ステップS4)、それらの一致/不一致を判定する(ステップS5)。そしてCPU2は、ステップS5の判定結果として両者が一致している場合、CPU2は、当該作業指示データDTの内容データITDを用いたディスプレイD(即ち、その作業指示データDTを受信した作業台WのディスプレイD)の表示の書き換えが正常に行われていると判定し(ステップS6)、そのまま後述するステップS7の処理に移行する。
これに対し、上記管理コードデータCDと、それに対応した管理コードCの撮像データの内容と、が一致しないか、又は管理コードCの撮像データ自体が得られない場合、CPU2は、ディスプレイDの表示の書き換えが全く行われていないか、又は書き換え異常が発生したと判定する(ステップS6)。そしてCPU2は、ディスプレイDの表示の書き換えが全く行われていないか、又は書き換え異常が発生したと判定した場合、例えば再書き換えのための作業指示データDTを、当該判定の対象となったディスプレイDを備える作業台Wに送信する処理等を行う(ステップS6)。その後CPU2は、管理サーバSVの電源がオフとされたか否かを判定し(ステップS7)、電源がオフとされたときは(ステップS7;YES)、管理サーバSVとしての第1実施形態に係る作業指示処理を終了する。またステップS7の判定において電源がオフとされない場合(ステップS7;NO)、CPU2は上記ステップS1の処理に戻り、新たな作業指示データDTの生成等を待機する。
以上それぞれ説明したように、第1実施形態に係る作業指示システムSの動作及び処理によれば、ディスプレイDに表示されている作業指示ITに含まれている管理コードCをディスプレイD外から撮像して得られた撮像データと管理コードデータCDとを比較して、作業指示ITのディスプレイD上における表示結果の良否を判定する。よって、ディスプレイD上に実際に表示されている管理コードCを撮像し、それに対応する管理コードデータCDと比較することで、作業指示ITが所望の表示結果をもって表示されていることを確実に認識することができる。
また、新たな作業指示ITが表示される都度に取得された撮像データを用いて、当該作業指示ITごとに表示結果の良否を判定するので、新たな作業指示ITが表示される度に、その表示結果の良否をその作業指示IT及び管理コードCに対応付けて認識することができる。
更に、作業指示データDTに内容データITDと管理コードデータCDとが含まれていることに対応して撮像データに含まれている管理コードCの画像と、その管理コードCに相当する管理コードデータCDと、を比較することにより、その作業指示ITの表示結果の良否を判定する。よって、内容データITDとは別個に管理コードデータCDを設け、これに相当する撮像データを用いて表示結果の良否を判定するので、例えば内容データITDが複雑であっても、確実に作業指示ITの表示結果の良否を認識することができる。
更にまた、ディスプレイDにおける表示媒体が、表示の更新時にのみ電力を要し、更新後の表示の維持には電力を要しない電子ペーパーであるので、このようなディスプレイDであっても、作業指示データDTによる更新後の表示結果が所望の表示結果であることを確実に認識することができる。
(II)第2実施形態
次に、本発明に係る他の実施形態である第2実施形態について、図7及び図8を用いて説明する。なお、図7は第2実施形態に係る作業指示データ及び管理コードを例示する図であり、図8は第2実施形態に係る作業指示処理を示すフローチャートである。
上述した第1実施形態においては、各工程にカメラCMがそれぞれ備えられており、各作業台WにおいてディスプレイDの表示が作業指示データDTにより書き換えられる都度に、その時に表示されている作業指示IT及び管理コードCを撮像する構成とされていた。これに対して以下に説明する第2実施形態では、ディスプレイDにおいて複数回の書き換えが実行された後にその表示結果を撮像し、その良否を判定する。なお以下の説明では、ディスプレイDの表示が三回書き換えられる都度、カメラCMにより撮像する場合について説明する。
また図7において、第1実施形態に係る作業指示データDT等と同一の部材については、同一の部材番号を付して細部の説明は省略する。更に図8において、第1実施形態に係る作業指示処理と同一の処理については、同一のステップ番号を付して細部の説明は省略する。
第2実施形態に係る作業台WのディスプレイDは、第1実施形態に係るディスプレイDと同様に、電子ペーパーをその表示媒体としている。そして第2実施形態に係るディスプレイDには、第1実施形態と同様の作業指示ITが表示される領域に加えて、管理コード領域CAが設けられている。この管理コード領域CAには、複数の管理コードCが並んで表示される。
即ち、第2実施形態に係るディスプレイDでは、例えば図7(a)に示すように、一の作業指示IT1により表示が書き換えられると、当該作業指示IT1に対応した内容の管理コードデータCDにより、一の管理コードC1が管理コード領域CAの一部に表示される。次に、この作業指示IT1が新たな作業指示IT2に書き換えられると、例えば図7(b)に示すように、元の管理コードC1の表示が管理コード領域CA内に残されたまま、作業指示IT2に対応した内容の管理コードデータCDにより、新たな管理コードC2が管理コード領域CAの他の一部に表示される。更に、この作業指示IT2が新たな作業指示IT3に再度書き換えられると、例えば図7(c)に示すように、元の管理コードC1及び管理コードC2の表示が管理コード領域CA内にそれぞれ残されたまま、作業指示IT3に対応した内容の管理コードデータCDにより、新たな管理コードC3が管理コード領域CAの更に他の一部に表示される。このように、第2実施形態に係るディスプレイDでは、新たな作業指示ITが書き換えられて表示される都度、それ以前に表示されていた作業指示ITに対応する管理コードCを管理コード領域CAに残したまま、新たな管理コードCが追加的に順次表示される。このような部分的な書換処理は、ディスプレイDが電子ペーパーを表示媒体とするものであっても可能である。そして第2実施形態に係る作業指示処理では、ディスプレイDの表示が三回書き換えられた後、三つの異なる管理コードCが管理コード領域CAに残った状態の表示を、カメラCMで撮像し、その撮像結果に対応する撮像データを管理サーバSVに送信する。これにより管理サーバSVのCPU2は、管理コードC三つ分の撮像データの内容と、それらに相当する各管理コードデータCDの内容と、をそれぞれ比較し、三回分の作業指示ITの書き換えの良否を纏めて判定する。
次に、上述した第2実施形態に係る作業指示システムにおける作業指示処理について、纏めて図8を用いて説明する。
管理サーバSVにおける第2実施形態に係る作業指示処理は、例えば管理サーバSVに対して電源が投入されたタイミングから開始される。管理サーバSVにおいて第一番目の作業指示データDTが生成されて記録部3に記録されると(ステップS11)、CPU2は、当該作業指示データDTに含まれている内容データITDに相当する作業指示IT(例えば図7(a)に例示する作業指示IT1)を表示すべき作業台Wに向けて、その作業指示データDTを送信する(ステップS21)。
一方作業台Wにおける作業指示処理は、例えば作業台Wに対して電源が投入されたタイミングから開始される。作業指示処理が開始されると、作業台WのCPU11は、当該作業台Wを所定の位置に移動させつつ、管理サーバSVからの新たな作業指示データDTの送信を待機する(ステップS201)。ステップS201の待機中に新たな作業指示データDTが受信されない場合(ステップS201;NO)、CPU11は後述するステップS22に移行する。
他方、ステップS201の判定において、新たな作業指示データDTが受信された場合(ステップS201;YES)、CPU11は、当該受信した作業指示データDTに含まれている内容データITDに相当する例えば作業指示IT1をそのディスプレイDに表示すると共に、当該作業指示データDTに含まれている管理コードデータCDに相当する例えば管理コードC1を、そのディスプレイDの管理コード領域CAの一部に表示する(図7(a)参照。ステップS211)。
次に管理サーバSVのCPU2は、第二番目の作業指示データDTが生成されて記録部3に記録されると(ステップS12)、当該作業指示データDTに含まれている内容データITDに相当する作業指示IT(例えば図7(b)に例示する作業指示IT2)を表示すべき作業台W(即ち、上記作業指示IT1がその時に表示されている作業台W)に向けて、その作業指示データDTを送信する(ステップS22)。
これにより、上記作業指示IT1をディスプレイDに表示している作業台WのCPU11は、当該作業台Wを次の工程の位置(換言すれば、作業指示IT2が作業員に提示されるべき工程の位置)に移動させつつ、管理サーバSVからの新たな作業指示データDTの送信を待機する(ステップS202)。ステップS202の待機中に新たな作業指示データDTが受信されない場合(ステップS202;NO)、CPU11は後述するステップS22に移行する。
他方、ステップS202の判定において、新たな作業指示データDTが受信された場合(ステップS202;YES)、CPU11は、当該受信した作業指示データDTに含まれている内容データITDに相当する例えば作業指示IT2をそのディスプレイDに表示すると共に、当該作業指示データDTに含まれている管理コードデータCDに相当する例えば管理コードC2を、そのディスプレイDの管理コード領域CAの他の一部に表示する(図7(a)参照。ステップS212)。このとき、管理コード領域CAに既に表示されている管理コードC1は、そのまま残置される。
更に管理サーバSVのCPU2は、第三番目の作業指示データDTが生成されて記録部3に記録されると(ステップS13)、当該作業指示データDTに含まれている内容データITDに相当する作業指示IT(例えば図7(c)に例示する作業指示IT3)を表示すべき作業台W(即ち、上記作業指示IT2がその時に表示されている作業台W)に向けて、その作業指示データDTを送信する(ステップS23)。
これにより、上記作業指示IT2をディスプレイDに表示している作業台WのCPU11は、当該作業台Wを次の工程の位置(換言すれば、作業指示IT3が作業員に提示されるべき工程の位置)に移動させつつ、管理サーバSVからの新たな作業指示データDTの送信を待機する(ステップS203)。ステップS203の待機中に新たな作業指示データDTが受信されない場合(ステップS203;NO)、CPU11は後述するステップS22に移行する。
他方、ステップS203の判定において、新たな作業指示データDTが受信された場合(ステップS203;YES)、CPU11は、当該受信した作業指示データDTに含まれている内容データITDに相当する例えば作業指示IT3をそのディスプレイDに表示すると共に、当該作業指示データDTに含まれている管理コードデータCDに相当する例えば管理コードC3を、そのディスプレイDの管理コード領域CAの更に他の一部に表示する(図7(c)参照。ステップS213)。このとき、管理コード領域CAに既に表示されている管理コードC1及び管理コードC2は、そのまま残置される。
以上の一連の処理が実行された場合、ディスプレイDの管理コード領域CAには、図7(c)に例示されるように、三つの管理コードC1乃至管理コードC3が並列に表示されていることになる。その後作業台WのCPU11は、第1実施形態に係る作業指示処理におけるステップS22と同様の処理に移行する。
一方、管理サーバSVのCPU2は、三つの作業指示データDTを作業台Wに送信した後は(上記ステップS21、ステップS22及びステップS23参照)、その作業台WのディスプレイDを撮像するカメラCMからの撮像データの送信を待機する(ステップS3、S3;NO)。
他方、そのカメラCMにおける第2実施形態に係る作業指示処理は、例えばそのカメラCMに対して電源が投入されたタイミングから開始される。当該作業指示処理が開始されると、カメラCMは、第1実施形態に係るカメラCMと同様のタイミングで、その撮像範囲内にあるディスプレイD上に残置表示されている管理コードC1乃至管理コードC3を纏めて撮像し(ステップS10)、その結果としての撮像データを管理サーバSVに送信する(ステップS11)。その後カメラCMは、第1実施形態に係る作業指示処理におけるステップS12と同様の処理に移行する。
最後に、管理サーバSVのCPU2は、カメラCMから撮像データが送信されてくると(ステップS3;YES)、撮像データに含まれている三つの管理コードC1乃至管理コードC3それぞれの撮像結果の内容と、当該撮像データとして撮像されたディスプレイDを備える作業台Wにそれぞれ送信した三つの作業指示データDTにそれぞれ含まれていた管理コードデータCDの内容と、を、比較し(ステップS4)、それらの一致/不一致を、管理コードデータCDごとに判定する(ステップS5)。そしてCPU2は、ステップS5の三つの判定結果としてそれぞれが一致している場合、CPU2は、当該三つの作業指示データDTの内容データITDをそれぞれ用いたディスプレイDにおける三回の表示書き換えが全て正常に行われていると判定し(ステップS6)、そのまま、第1実施形態に係る作業指示処理におけるステップS7と同様の処理に移行する。
これに対し、上記三つの管理コードデータCDのいずれかと、それらに対応した管理コードC1乃至管理コードC3いずれかの撮像データの内容と、が一致しないか、又は管理コードC1乃至管理コードC3いずれかの撮像データ自体が得られない場合、CPU2は、ディスプレイDの表示の書き換えのうちいずれかの回が全く行われていないか、又は当該回において書き換え異常が発生したと判定する(ステップS6)。より具体的にCPU2は、例えば二番目の作業指示データDTの管理コードデータCDと、それに対応した管理コードC2の撮像データの内容と、が一致しないか、又は管理コードC2の撮像データ自体が得られない場合、CPU2は、ディスプレイDの表示の書き換えのうち二回目の書き換えが全く行われなかったか、又は当該二回目において書き換え異常が発生していたと判定する。そしてCPU2は、いずれかの回においてディスプレイDの表示の書き換えが全く行われなかったか、又は書き換え異常が発生していたと判定した場合、例えばその旨の警告表示を、例えば所定の警告灯を用いて作業員又は製造ラインLの管理者等に対して告知する。その後CPU2は、第1実施形態に係る作業指示処理におけるステップS7と同様の処理に移行する。
以上それぞれ説明したように、第2実施形態に係る作業指示システムSの動作及び処理によれば、ディスプレイDに表示されている作業指示ITに含まれている管理コードCをディスプレイD外から撮像して得られた撮像データと管理コードデータCDとを比較して、作業指示ITのディスプレイD上における表示結果の良否を判定する。よって、ディスプレイD上に実際に表示されている管理コードCを撮像し、それに対応する管理コードデータCDと比較することで、作業指示ITが所望の表示結果をもって表示されていることを確実に認識することができる。
また、複数の作業指示ITそれぞれの少なくとも一部である管理コードC1乃至管理コードC3に対応した撮像データを用いて、ディスプレイDの書き換えごとにその表示結果の良否を判定するので、撮像回数を減らすことができると共に、当該撮像のためのカメラCM等を削減又は簡略化することができる。
更に、各作業指示データDTに内容データITDと管理コードデータCDとが含まれていることに対応して撮像データに含まれている管理コードC1乃至管理コードC3の画像と、それぞれの管理コードCに相当する各管理コードデータCDと、を比較することにより、各作業指示ITの表示結果の良否を判定する。よって、内容データITDとは別個に管理コードデータCDをそれぞれ設け、これらに相当する撮像データを用いて表示結果の良否を判定するので、例えば内容データITDが複雑であっても、確実に作業指示ITの表示結果の良否を認識することができる。
なお上述した第2実施形態では、作業指示ITを三回書き換える度に、ディスプレイDの表示を撮像して当該書き換えの良否を判定した。しかしながらこれに限らず、管理コード領域CAに追加的に管理コードCが書き込める数だけ書き換えた後に、纏めてその良否を判定するように構成してもよい。
また上述した各実施形態では、作業指示ITとは別個の管理コードCを同時にディスプレイDに表示し、これをカメラCMにより撮像して得られた撮像データを用いてディスプレイDの表示結果の良否を判定したが、これ以外に、管理コードCを設けず(表示せず)、作業指示IT自体を撮像して得られた撮像データの内容と、元の作業指示ITに対応する内容データITDの内容と、を比較することにより、上記表示結果の良否を判定するように構成してもよい。この場合は、ディスプレイD上に管理コードCを表示する必要がないため、ディスプレイDにおける表示領域を広く有効に活用することができると共に、管理コードCの生成、更新及び撮像に係る処理を削減することができる。
更に上述した各実施形態では、ディスプレイDにおける表示媒体として電子ペーパーを用いる場合について説明したが、これ以外に、例えば液晶ディスプレイを表示媒体とするディスプレイを備える作業台を含む製造ラインに対して本発明を適用することもできる。この場合は、ディスプレイDの液晶ディスプレイ上に上記作業指示IT及び管理コードCを表示した後、これらを撮像することにより、その表示結果の良否を判定することになる。
更にまた、上記作業指示ITに相当する内容データITDについては、記録部3に予め記録しておく他に、作業台Wにおける表示の書き換えの都度、外部の例えばサーバ装置から取得するように構成してもよい。
また、図6又は図8にそれぞれ示すフローチャートに対応するプログラムを、例えば光ディスク等の記録媒体に記録しておき、或いは例えばインターネット等のネットワークから取得して記録しておき、これらを汎用のマイクロコンピュータ等で読み出して実行させることにより、当該マイクロコンピュータ等を、各実施形態に係るCPU2及びCPU11として機能させるように構成してもよい。