JP6539910B2 - 研磨パッド及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、研磨パッドの製造方法に関する。特には、光学材料、半導体デバイス、ハードディスク、ガラス基板等の化学機械研磨(CMP)加工用研磨パッドの製造方法に関する。
光学材料、半導体デバイス、ハードディスク、ガラス基板などの材料の表面には平坦性が求められるため、研磨パッドを用いた遊離砥粒方式の研磨が行われている。遊離砥粒方式は、研磨パッドと被研磨物の間に砥粒を含むスラリー(研磨液)を供給しながら被研磨物の加工面を研磨加工する方法である。
半導体デバイス用の研磨パッドには、その研磨パッド表面に、砥粒を保持するための開孔と、半導体デバイス表面の平坦性を維持する剛性と、半導体デバイス表面のスクラッチを防止する弾性とが要求される。これらの要求に応える研磨パッドとして、ウレタン樹脂発泡体から製造された研磨層を有する研磨パッドが利用されている。
ウレタン樹脂発泡体は、通常、ポリウレタン結合含有イソシアネート化合物を含むプレポリマと硬化剤との反応により硬化して成形される(乾式法)。そして、この発泡体をシート状にスライスすることにより研磨パッドが形成される。このように乾式法で成形された硬質の研磨層を有する研磨パッド(以下、硬質(乾式)研磨パッドと略すことがある)は、ウレタン樹脂硬化成形時に発泡体内部に比較的小さな略球状の気泡が形成されるため、スライスにより形成される研磨パッドの研磨表面には、研磨加工時にスラリーを保持することができる開孔(開口)が形成される。
研磨パッドには、高い平坦性や優れた研磨傷発生抑制性などの研磨特性や、高いドレス処理性が求められる。これまで、上記特性に着目した研磨パッドとして、30℃におけるtanδ30を0.1以下とし且つ30℃のtanδ30と60℃のtanδ60との比を1〜2とすることで、ドレス処理性、平坦性及び研磨傷発生抑制性を向上させた研磨パッドが知られている(特許文献1)。また、40〜60℃におけるtanδの最大値を0.2以上とすることで平坦性と研磨傷発生抑制性を向上させた研磨パッドが知られている(特許文献2)。
特開2006−142439号公報 特開2006−142340号公報
特許文献1及び2に記載されているように、tanδ、tanδのピーク値及び/又はtanδのピーク温度は研磨特性やドレス処理性に関与している。しかしながら、特許文献1及び2からは、研磨パッドのtanδを所望の値にするにはどのようにすればよいのか把握できず、所望のtanδピーク値、ピーク温度を有する研磨パッドを得るまでに試行錯誤が必要となる。
もし所望のtanδピーク温度及び/又はtanδピーク値を有する研磨パッドを容易に製造する方法があれば、所望の研磨特性及び/又はドレス処理性を有する研磨パッドが容易に得られることになり、従来行われてきた試行錯誤が不要なものとなる。したがって、所望のtanδピーク温度及び/又はtanδピーク値を有する研磨パッドの製造方法に対する高い需要が存在する。
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、所望のtanδピーク温度を有するポリウレタン樹脂シートを備えた研磨パッドの製造方法を提供することを目的とする。また、所望のtanδピーク値を有するポリウレタン樹脂シートを備えた研磨パッドの製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は、鋭意努力の結果、高分子量ポリオールの数平均分子量Mnがtanδのピーク温度と一定の関連性を有することを見出した。また、プレポリマとしてのポリウレタン結合含有イソシアネート化合物の末端に存在するイソシアネート基に対する、硬化剤に存在する活性水素基の当量比Rがtanδのピーク値と一定の関連性を有することを見出した。本発明は、上記知見に基づくものであり、具体的には以下の構成を有する。
[1] ポリイソシアネート化合物(B)と数平均分子量Mnの高分子量ポリオールを含むポリオール化合物(C)とを反応させてなるプレポリマとしてのポリウレタン結合含有イソシアネート化合物(A)と、硬化剤(D)とを反応させて得られるポリウレタン樹脂シートを備える研磨パッドであって、
前記ポリウレタン樹脂シートは、測定周波数10ラジアン/秒および引っ張りモードの動的粘弾性試験で測定したtanδのピーク温度Tpeakが下記式(1)を満たし、且つ
前記ポリウレタン結合含有イソシアネート化合物(A)の末端に存在するイソシアネート基に対する、硬化剤(D)に存在する活性水素基の当量比をRとするとき、tanδのピーク値tanδpeakが下記式(2)を満たす、前記研磨パッド。
−4.0×10-5×Mn2+0.15Mn−48<Tpeak<−4.0×10-5×Mn2+0.15Mn−28・・・(1)
tanδpeak=C(R+1)(式中、Cは下記式(3)を満たす数値である)・・・(2)
1.2×10-7×Mn2−3.6×10-4×Mn+0.29<C<1.2×10-7×Mn2−3.6×10-4×Mn+0.31・・・(3)
[2] 前記高分子量ポリオールの数平均分子量Mnが、600〜2500の範囲内にあり、
当量比Rが、0.6〜1.3の範囲内にある、[1]に記載の研磨パッド。
[3] 前記ポリイソシアネート化合物が、2,4−トリレンジイソシアネートおよび/または2,6−トリレンジイソシアネートであり、
前記高分子量ポリオールが、ポリ(オキシテトラメチレン)グリコールであり、且つ、
前記硬化剤が、3,3’−ジクロロ−4,4’−ジアミノジフェニルメタンである、[1]又は[2]に記載の研磨パッド。
[4] ターゲットとするtanδのピーク温度がTpeakであるポリウレタン樹脂シートを備えた研磨パッドの製造方法であって、
高分子量ポリオールの数平均分子量Mnを、下記式(1)に基づいて決定する工程;
ポリイソシアネート化合物(B)と式(1)に基づいて決定された数平均分子量Mnを有する高分子量ポリオールを含むポリオール化合物(C)とを反応させることにより、プレポリマとしてのポリウレタン結合含有イソシアネート化合物(A)を調製する工程;
少なくともプレポリマとしてのポリウレタン結合含有イソシアネート化合物(A)と硬化剤(D)とを混合して成形体成形用混合液を得る工程;及び、
前記成形体成形用混合液からポリウレタン樹脂成形体を成形してポリウレタン樹脂シートを得る工程、
を含み、
前記tanδは、周波数10ラジアン/秒および引っ張りモードの動的粘弾性試験で測定した貯蔵弾性率E’に対する損失弾性率E”の割合である、前記製造方法。
−4.0×10-5×Mn2+0.15Mn−48<Tpeak<−4.0×10-5×Mn2+0.15Mn−28・・・(1)
[5] 前記ポリイソシアネート化合物(B)が、2,4−トリレンジイソシアネートおよび/または2,6−トリレンジイソシアネートであり、
前記高分子量ポリオールが、ポリ(オキシテトラメチレン)グリコールであり、且つ
前記硬化剤(D)が、3,3’−ジクロロ−4,4’−ジアミノジフェニルメタンである、[4]に記載の方法。
[6] 前記ポリウレタン樹脂シートの、プレポリマとしてのポリウレタン結合含有イソシアネート化合物(A)の末端に存在するイソシアネート基に対する、硬化剤(D)に存在する活性水素基の当量比Rが、0.6〜1.3の範囲内にある、[4]又は[5]に記載の方法。
[7] ターゲットとするtanδのピーク値がtanδpeakであるポリウレタン樹脂シートを備えた研磨パッドの製造方法であって、
前記ポリウレタン樹脂シートの、ポリイソシアネート化合物(B)と数平均分子量Mnの高分子量ポリオールとを反応させてなるプレポリマとしてのポリウレタン結合含有イソシアネート化合物(A)の末端に存在するイソシアネート基に対する、硬化剤(D)に存在する活性水素基の当量比Rを、下記式(2)に基づいて決定する工程;
前記式(2)に基づいて決定した当量比Rとなるようにプレポリマとしてのポリウレタン結合含有イソシアネート化合物(A)と硬化剤(D)とを用意する工程;
少なくともプレポリマとしてのポリウレタン結合含有イソシアネート化合物(A)と硬化剤(D)とを混合して成形体成形用混合液を得る工程;及び、
前記成形体成形用混合液からポリウレタン樹脂成形体を成形してポリウレタン樹脂シートを得る工程、
を含み、
前記tanδは、周波数10ラジアン/秒および引っ張りモードの動的粘弾性試験で測定した貯蔵弾性率E’に対する損失弾性率E”の割合である、前記製造方法。
tanδpeak=C(R+1)(式中、Cは下記式(3)を満たす数値である)・・・(2)
1.2×10-7×Mn2−3.6×10-4×Mn+0.29<C<1.2×10-7×Mn2−3.6×10-4×Mn+0.31・・・(3)
[8] 前記ポリイソシアネート化合物(B)が、2,4−トリレンジイソシアネートおよび/または2,6−トリレンジイソシアネートであり、
前記ポリオール化合物(C)が、ポリ(オキシテトラメチレン)グリコールであり、且つ
前記硬化剤(D)が、3,3’−ジクロロ−4,4’−ジアミノジフェニルメタンである、[7]に記載の方法。
[9] ポリ(オキシテトラメチレン)グリコールの数平均分子量Mnが、600〜2500の範囲内にある、[8]に記載の方法。
本発明によれば、所望のtanδピーク温度又はtanδピーク値を有するポリウレタン樹脂シートを備えた研磨パッドを容易に製造することができる。
実施例1〜4における温度とtanδの関係を示す図である。 実施例1〜4のポリ(オキシテトラメチレン)グリコールの数平均分子量Mnとtanδのピーク温度Tpeakから導き出される近似式を示す図である。 実施例5〜9における温度とtanδの関係を示す図である。 実施例5〜9のR値とtanδのピーク値tanδpeakから導き出される近似式を示す図である。
以下、本発明を実施するための形態を説明する。
(tanδ、貯蔵弾性率E’、損失弾性率E”)
本明細書及び特許請求の範囲において、tanδとは、貯蔵弾性率E’に対する損失弾性率E”の割合であり、ある温度条件での粘性の程度を表す指標である。
本明細書及び特許請求の範囲において、貯蔵弾性率E’とは、正弦的に変化する応力をポリウレタン樹脂シートに加えた場合における、貯蔵され完全に回復するエネルギーの尺度である。また、損失弾性率E”とは、特性振動数の正弦波のひずみを加えたときのひずみよりπ/2だけ位相が遅れた応力成分の大きさを意味する。
貯蔵弾性率E’及び損失弾性率E”は、それぞれ、JIS K7244に準じ、所定の温度(℃)、測定周波数10ラジアン/秒、引っ張りモードにおける、貯蔵弾性率E’及び損失弾性率E”である。
(tanδのピーク温度)
本明細書及び特許請求の範囲において、tanδのピーク温度とは、温度を変化させながらそれぞれの温度でtanδを測定したときにtanδの値が最大となるときの温度(すなわち、tanδがピーク値となるときの温度)を意味する。ポリウレタン樹脂シートのtanδの値は、ある温度までは増大するものの、該温度を超えると逆に減少する。したがって、tanδのピーク温度が存在することになる。
また、「ターゲットとするtanδのピーク温度」とは、製造されるポリウレタン樹脂シートが有するtanδのピーク温度として所望される温度である。
(tanδのピーク値)
本明細書及び特許請求の範囲において、tanδのピーク値とは、温度を変化させながらそれぞれの温度でtanδを測定したときのtanδの最大値を意味する。
また、「ターゲットとするtanδのピーク値」とは、製造されるポリウレタン樹脂シートが有するtanδのピーク値として所望される値である。
<<第1の態様>>
本発明の第1の態様は、ポリイソシアネート化合物(B)と数平均分子量Mnの高分子量ポリオールを含むポリオール化合物(C)とを反応させてなるプレポリマとしてのポリウレタン結合含有イソシアネート化合物(A)と、硬化剤(D)とを反応させて得られるポリウレタン樹脂シートを備える研磨パッドであって、
前記ポリウレタン樹脂シートは、測定周波数10ラジアン/秒および引っ張りモードの動的粘弾性試験で測定したtanδのピーク温度Tpeakが下記式(1)を満たし、且つ
前記ポリウレタン結合含有イソシアネート化合物(A)の末端に存在するイソシアネート基に対する、硬化剤(D)に存在する活性水素基の当量比をRとするとき、tanδのピーク値tanδpeakが下記式(2)を満たす、前記研磨パッドである。
−4.0×10-5×Mn2+0.15Mn−48<Tpeak<−4.0×10-5×Mn2+0.15Mn−28・・・(1)
tanδpeak=C(R+1)(式中、Cは下記式(3)を満たす数値である)・・・(2)
1.2×10-7×Mn2−3.6×10-4×Mn+0.29<C<1.2×10-7×Mn2−3.6×10-4×Mn+0.31・・・(3)
<<第2の態様>>
本発明の第2の態様は、ターゲットとするtanδのピーク温度がTpeakであるポリウレタン樹脂シートを備えた研磨パッドの製造方法であって、
高分子量ポリオールの数平均分子量Mnを、下記式(1)に基づいて決定する工程;
ポリイソシアネート化合物(B)と式(1)に基づいて決定された数平均分子量Mnを有する高分子量ポリオールを含むポリオール化合物(C)とを反応させることにより、プレポリマとしてのポリウレタン結合含有イソシアネート化合物(A)を調製する工程;
少なくともプレポリマとしてのポリウレタン結合含有イソシアネート化合物(A)と硬化剤(D)とを混合して成形体成形用混合液を得る工程;及び、
前記成形体成形用混合液からポリウレタン樹脂成形体を成形してポリウレタン樹脂シートを得る工程、を含み、
前記tanδは、周波数10ラジアン/秒および引っ張りモードの動的粘弾性試験で測定した貯蔵弾性率E’に対する損失弾性率E”の割合である、前記製造方法である。
−4.0×10-5×Mn2+0.15Mn−48<Tpeak<−4.0×10-5×Mn2+0.15Mn−28・・・(1)
<<第3の態様>>
本発明の第3の態様は、ターゲットとするtanδのピーク値がtanδpeakであるポリウレタン樹脂シートを備えた研磨パッドの製造方法であって、
前記ポリウレタン樹脂シートの、ポリイソシアネート化合物(B)と数平均分子量Mnの高分子量ポリオールとを反応させてなるプレポリマとしてのポリウレタン結合含有イソシアネート化合物(A)の末端に存在するイソシアネート基に対する、硬化剤(D)に存在する活性水素基の当量比Rを、下記式(2)に基づいて決定する工程;
前記式(2)に基づいて決定した当量比Rとなるようにプレポリマとしてのポリウレタン結合含有イソシアネート化合物(A)と硬化剤(D)とを用意する工程;
少なくともプレポリマとしてのポリウレタン結合含有イソシアネート化合物(A)と硬化剤(D)とを混合して成形体成形用混合液を得る工程;及び、
前記成形体成形用混合液からポリウレタン樹脂成形体を成形してポリウレタン樹脂シートを得る工程、を含み、
前記tanδは、周波数10ラジアン/秒および引っ張りモードの動的粘弾性試験で測定した貯蔵弾性率E’に対する損失弾性率E”の割合である、前記製造方法である。
tanδpeak=C(R+1)(式中、Cは下記式(3)を満たす数値である)・・・(2)
1.2×10-7×Mn2−3.6×10-4×Mn+0.29<C<1.2×10-7×Mn2−3.6×10-4×Mn+0.31・・・(3)
上記各態様におけるポリウレタン樹脂シートは、少なくとも2つ以上のウレタン結合を分子内に有するシート状の樹脂である。前記ポリウレタン樹脂シートは、好ましくは、少なくとも2つ以上のウレタン結合と少なくとも2つ以上のウレア結合を分子内に有する。本発明のポリウレタン樹脂シート及び該樹脂シートを含む研磨パッドは、例えば、後述する本発明の製造方法に従って製造することが出来る。
また、ポリウレタン樹脂シートは、略球状の微小気泡を有することが好ましい。略球状とは、乾式法で成形される成形体に存在する通常の気泡形状(等方性があり、球状、楕円状、あるいはこれらに近い形状である)を意味する概念であり、湿式法で成形される成形体に含まれる気泡形状(異方性があり、研磨パッドの研磨層表面から底部に向けて径が大きい構造を有する)とは明確に区別される。
第2の態様の製造方法は、ポリイソシアネート化合物(B)と式(1)に基づいて決定された数平均分子量Mnを有する高分子量ポリオールを含むポリオール化合物(C)とを反応させることにより、プレポリマとしてのポリウレタン結合含有イソシアネート化合物(A)を調製する工程(プレポリマ調製工程);少なくともプレポリマとしてのポリウレタン結合含有イソシアネート化合物(A)と硬化剤(D)とを混合して、成形体成形用混合液を得る工程(混合工程);及び、前記成形体成形用混合液からポリウレタン樹脂成形体を成形してポリウレタン樹脂シートを得る工程(成形体成形工程)、を含む。
第3の態様の製造方法は、少なくともプレポリマとしてのポリウレタン結合含有イソシアネート化合物(A)と硬化剤(D)とを混合して、成形体成形用混合液を得る工程(混合工程);及び、前記成形体成形用混合液からポリウレタン樹脂成形体を成形してポリウレタン樹脂シートを得る工程(成形体成形工程)、を含む。
第3の態様の製造方法におけるプレポリマとしてのポリウレタン結合含有イソシアネート化合物(A)は、例えば、第2の態様のプレポリマ調製工程に記載されているようにして、ポリイソシアネート化合物(B)とポリオール化合物(C)とを反応させることにより調製することができる。
また、第3の態様の製造方法における、式(2)に基づいて決定した当量比Rとなるようにプレポリマとしてのポリウレタン結合含有イソシアネート化合物(A)と硬化剤(D)とを用意する工程は、ポリウレタン結合含有イソシアネート化合物(A)と硬化剤(D)との量比を調整することにより容易に行うことができる。
以下、各工程について説明する。
<プレポリマ調製工程>
プレポリマ調製工程では、ポリイソシアネート化合物(B)とポリ(オキシテトラメチレン)グリコールを含むポリオール化合物(C)とを反応させることにより、プレポリマとしてのポリウレタン結合含有イソシアネート化合物(A)を調製する。
以下、各成分について説明する。
[(A)ポリウレタン結合含有イソシアネート化合物]
プレポリマとしてのポリウレタン結合含有イソシアネート化合物(A)は、下記ポリイソシアネート化合物(B)とポリオール化合物(C)とを、通常用いられる条件で反応させることにより得られる化合物であり、ポリウレタン結合とイソシアネート基を分子内に含むものである。また、本発明の効果を損なわない範囲内で、他の成分がポリウレタン結合含有イソシアネート化合物に含まれていてもよい。
プレポリマを調製するためのポリイソシアネート化合物(B)とポリオール化合物(C)との反応に特に制限はなく、ポリウレタン樹脂の製造において公知の方法及び条件を用いて付加重合反応すればよい。例えば、40℃に加温したポリオール化合物に、窒素雰囲気にて撹拌しながら50℃に加温したポリイソシアネート化合物を添加し、30分後に80℃まで昇温させ更に80℃にて60分間反応させるといった方法で製造することが出来る。
[(B)ポリイソシアネート化合物]
本明細書及び特許請求の範囲において、ポリイソシアネート化合物とは、分子内に2つ以上のイソシアネート基を有する化合物を意味する。
ポリイソシアネート化合物(B)としては、分子内に2つ以上のイソシアネート基を有していれば特に制限されるものではない。例えば、分子内に2つのイソシアネート基を有するジイソシアネート化合物としては、m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート(2,6−TDI)、2,4−トリレンジイソシアネート(2,4−TDI)、ナフタレン−1,4−ジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート(MDI)、4,4’−メチレン−ビス(シクロヘキシルイソシアネート)(水添MDI)、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ビフェニルジイソシアネート、3,3’−ジメチルジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、キシリレン−1,4−ジイソシアネート、4,4’−ジフェニルプロパンジイソシアネート、トリメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、プロピレン−1,2−ジイソシアネート、ブチレン−1,2−ジイソシアネート、シクロヘキシレン−1,2−ジイソシアネート、シクロヘキシレン−1,4−ジイソシアネート、p−フェニレンジイソチオシアネート、キシリレン−1,4−ジイソチオシアネート、エチリジンジイソチオシアネート等を挙げることができる。
ポリイソシアネート化合物としては、ジイソシアネート化合物が好ましく、中でも2,4−TDI、2,6−TDI、MDIがより好ましく、2,4−TDI、2,6−TDIがさらにより好ましく、2,4−TDIが特に好ましい。
これらのポリイソシアネート化合物(B)は、単独で用いてもよく、複数のポリイソシアネート化合物を組み合わせて用いてもよい。
[(C)ポリオール化合物]
本明細書及び特許請求の範囲において、ポリオール化合物とは、分子内に2つ以上のアルコール性水酸基(OH)を有する化合物を意味する。
プレポリマとしてのポリウレタン結合含有イソシアネート化合物の合成に用いられるポリオール化合物(C)は、ポリ(オキシテトラメチレン)グリコール(PTMG)を含む。ポリオール化合物(C)は、ポリ(オキシテトラメチレン)グリコールのみであってもよく、ポリ(オキシテトラメチレン)グリコール以外のポリオール化合物を含んでいてもよい。ポリ(オキシテトラメチレン)グリコール以外のポリオール化合物としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール(DEG)、ブチレングリコール等のジオール化合物、トリオール化合物等;ポリ(オキシテトラメチレン)グリコール(PTMG)以外のポリエーテルポリオール化合物;エチレングリコールとアジピン酸との反応物やブチレングリコールとアジピン酸との反応物等のポリエステルポリオール化合物;ポリカーボネートポリオール化合物、ポリカプロラクトンポリオール化合物等を挙げることができる。また、エチレンオキサイドを付加した3官能性プロピレングリコールを用いることもできる。
上記ポリ(オキシテトラメチレン)グリコール以外のポリオール化合物は単独で用いてもよく、複数のポリオール化合物を組み合わせて用いてもよい。
これらの中でも、ポリオール化合物(C)は、PTMGを含むことが好ましく、PTMG又はPTMGとDEGの組み合わせであることがより好ましい。PTMGとDEGとを組み合わせて用いる場合には、PTMG1000質量部に対してDEGの質量比が50〜300質量部であることが好ましく、100〜200質量部であることがより好ましい。
PTMGの数平均分子量(Mn)は、600〜2500であることが好ましく、600〜2200であることがより好ましく、800〜1200であることがさらにより好ましく、800〜1000であることがさらにより好ましく、800〜900であることが特に好ましい。PTMGの数平均分子量が上記範囲内であると、tanδのピーク温度Tpeakを、式(1)に基づいて制御しやすくなる。
数平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(Gel Permeation Chromatography:GPC)により測定することができる。なお、ポリウレタン樹脂に含まれるポリオール化合物の数平均分子量を測定する場合は、アミン分解等の常法により各成分を分解した後、GPCによって推定することもできる。
(プレポリマのNCO当量)
また、“(ポリイソシアネート化合物(B)の質量部+ポリオール化合物(C)の質量部)/[(ポリイソシアネート化合物(B)1分子当たりの官能基数×ポリイソシアネート化合物(B)の質量部/ポリイソシアネート化合物(B)の分子量)−(ポリオール化合物(C)1分子当たりの官能基数×ポリオール化合物(C)の質量部/ポリオール化合物(C)の分子量)]”で求められるプレポリマのNCO当量は、NCO基1個当たりのPP(プレポリマ)の分子量を示す数値である。該NCO当量は、200〜800であることが好ましく、300〜700であることがより好ましく、400〜600であることがさらにより好ましく、500〜600であることが特に好ましい。
<混合工程>
混合工程では、ポリウレタン樹脂シートの原料として、少なくともプレポリマとしてのポリウレタン結合含有イソシアネート化合物(A)及び硬化剤(D)を混合する。また、本発明の効果を損なわない範囲で、上記以外の成分を併せて用いてもよい。
以下、ポリウレタン結合含有イソシアネート化合物(A)以外の成分について説明する。
[(D)硬化剤]
本発明の製造方法では、混合工程において硬化剤(鎖伸長剤ともいう)をポリウレタン結合含有イソシアネート化合物などと混合させる。硬化剤を加えることにより、その後の成形体成形工程において、プレポリマとしてのポリウレタン結合含有イソシアネート化合物の主鎖末端が硬化剤と結合してポリマー鎖を形成し、硬化する。
硬化剤としては、例えば、ポリアミン化合物(D−1)及び/又はポリオール化合物(D−2)を用いることが出来る。
((D−1)ポリアミン化合物)
本明細書及び特許請求の範囲において、ポリアミン化合物とは、分子内に2つ以上のアミノ基を有する化合物を意味する。
ポリアミン化合物(D−1)としては、脂肪族や芳香族のポリアミン化合物、特にはジアミン化合物を使用することができ、例えば、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、イソホロンジアミン、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジアミン、3,3’−ジクロロ−4,4’−ジアミノジフェニルメタン(メチレンビス−o−クロロアニリン)(以下、MOCAと略記する。)、MOCAと同様の構造を有するポリアミン化合物等を挙げることができる。また、ポリアミン化合物が水酸基を有していてもよく、このようなアミン系化合物として、例えば、2−ヒドロキシエチルエチレンジアミン、2−ヒドロキシエチルプロピレンジアミン、ジ−2−ヒドロキシエチルエチレンジアミン、ジ−2−ヒドロキシエチルプロピレンジアミン、2−ヒドロキシプロピルエチレンジアミン、ジ−2−ヒドロキシプロピルエチレンジアミン等を挙げることができる。
ポリアミン化合物としては、ジアミン化合物が好ましく、MOCA、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルホンがより好ましく、MOCAが特に好ましい。
ポリアミン化合物(D−1)は、単独で用いてもよく、複数のポリアミン化合物(D−1)を組み合わせて用いてもよい。
ポリアミン化合物(D−1)は、他の成分と混合し易くするため及び/又は後の成形体形成工程における気泡径の均一性を向上させるために、必要により加熱した状態で減圧下脱泡することが好ましい。減圧下での脱泡方法としては、ポリウレタンの製造において公知の方法を用いればよく、例えば、真空ポンプを用いて0.1MPa以下の真空度で脱泡することができる。
硬化剤(鎖伸長剤)として固体の化合物を用いる場合は、加熱により溶融させつつ、減圧下脱泡することができる。
((D−2)プレポリマ合成後に用いられてもよいポリオール化合物)
また、本発明においては、前記プレポリマとしてのイソシアネート基含有化合物を形成するために用いられるポリオール化合物(C)とは別に、硬化剤としてポリオール化合物(D−2)を用いてもよい。
該ポリオール化合物(D−2)としては、ジオール化合物やトリオール化合物等の化合物であれば特に制限なく用いることができる。また、プレポリマを形成するのに用いられるポリオール化合物(C)と同一であっても異なっていてもよい。
具体例としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオールなどの低分子量ジオール、ポリテトラメチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどの高分子量のポリオール化合物などが挙げられる。
上記ポリオール化合物(D−2)は単独で用いてもよく、複数のポリオール化合物(D−2)を組み合わせて用いてもよい。
硬化剤(D)としては、ポリアミン化合物(D−1)を用いてもよく、ポリオール化合物(D−2)を用いてもよく、これらの混合物を用いてもよい。なかでも、ポリアミン化合物(D−1)を用いることが好ましく、MOCAを用いることが特に好ましい。
(R値)
本発明の研磨パッドの製造方法では、プレポリマとしてのポリウレタン結合含有イソシアネート化合物(A)の末端に存在するイソシアネート基に対する、硬化剤(D)に存在する活性水素基(アミノ基及び水酸基)の当量比であるR値が、0.60〜1.40となるように各成分を混合することが好ましい。R値は、0.65〜0.1.30が好ましく、0.70〜1.20がより好ましい。
R値が上記範囲内であると、tanδのピーク値tanδpeakを、式(2)に基づいて制御しやすい。
[その他の任意成分]
本発明の研磨パッド製造方法においては、中空体を用いて、ポリウレタン樹脂成形体内部に気泡を内包させてもよい。
中空体とは、空隙を有する微小球体を意味する。微小球体には、球状、楕円状、及びこれらに近い形状のものが含まれる。中空体の例としては、熱可塑性樹脂からなる外殻(ポリマー殻)と、外殻に内包される低沸点炭化水素とからなる未発泡の加熱膨張性微小球状体を、加熱膨張させたものが挙げられる。中空体の平均粒径は、例えば、5〜130μmであってもよい。平均粒径は、例えば、レーザー回折式粒度分布測定装置(例えばスペクトリス(株)製、マスターサイザー2000)により測定することができる。
前記ポリマー殻としては、特開昭57−137323号公報等に開示されているように、例えば、アクリロニトリル−塩化ビニリデン共重合体、アクリロニトリル−メチルメタクリレート共重合体、塩化ビニル−エチレン共重合体などの熱可塑性樹脂を用いることができる。同様に、ポリマー殻に内包される低沸点炭化水素としては、例えば、イソブタン、ペンタン、イソペンタン、石油エーテル等を用いることができる。
また、上記の成分以外に、本発明の効果を損なわない範囲において、従来使用されている発泡剤を添加してもよく、下記混合工程中に前記各成分に対して非反応性の気体を吹き込んでもよい。該発泡剤としては、水や、炭素数5又は6の炭化水素を主成分とする発泡剤が挙げられる。該炭化水素としては、例えば、n−ペンタン、n−ヘキサンなどの鎖状炭化水素や、シクロペンタン、シクロヘキサンなどの脂環式炭化水素が挙げられる。
また、前記各成分に加えて、公知の整泡剤、難燃剤、着色剤、可塑剤等を添加してもよい。
混合工程では、少なくともプレポリマとしてのポリウレタン結合含有イソシアネート化合物(A)及び硬化剤(D)を、混合機内に供給して攪拌・混合する。混合順序に特に制限はないが、ポリウレタン結合含有イソシアネート化合物(A)を混合した混合液と、硬化剤(D)及び必要に応じて他の成分を混合した混合液とを用意し、両混合液を混合器内に供給して混合撹拌することが好ましい。このようにして、成形体成形用の混合液が調製される。混合工程は、上記各成分の流動性を確保できる温度に加温した状態で行われる。
例えば、40℃〜80℃に加温したプレポリマ(ポリウレタン結合含有イソシアネート)溶液と、40℃〜130℃に加温した硬化剤(D)とを攪拌することが出来る。必要に応じ攪拌機付きジャケット付きのタンクに混合液を受けて熟成させても良い。攪拌時間は混合機の歯数や回転数、クリアランス等によって適宜調整するが、例えば0.5〜4.0秒である。
<成形体成形工程>
成形体成形工程では、前記混合工程で調製された成形体成形用混合液を50〜100℃の型枠内に流し込み、硬化させることによりポリウレタン樹脂を成形する。このとき、プレポリマと硬化剤が反応してポリウレタン樹脂を形成することにより、該混合液は硬化する。
前記成形体成形工程により得られたポリウレタン樹脂成形体は、その後シート状にスライスされてポリウレタン樹脂シートを形成する。スライスされることにより、シート表面に開孔が設けられることになる。このとき、耐摩耗性に優れ目詰まりしにくい研磨面の開孔を形成するために、80〜120℃で1時間〜10時間程度エイジングしてもよい。
このようにして得られたポリウレタン樹脂シートは、その後、研磨面とは反対側の面に両面テープが貼り付けられ、所定形状、好ましくは円板状にカットされて、研磨パッドとして完成する。両面テープに特に制限はなく、当技術分野において公知の両面テープの中から任意に選択して使用することが出来る。
また、研磨パッドは、ポリウレタン樹脂シートの単層構造であってもよく、ポリウレタン樹脂シートの研磨面とは反対側の面に他の層(下層、支持層)を貼り合わせた複層からなっていてもよい。他の層の特性は特に限定されるものではないが、研磨面の反対側の面にポリウレタン樹脂シートよりも軟らかい(A硬度又はD硬度の小さい)層が張り合わされていることが好ましい。ポリウレタン樹脂シートよりも軟らかい層が設けられることにより、研磨平坦性が更に向上する。
複層構造を有する場合には、複数の層同士を両面テープや接着剤などを用いて、必要により加圧しながら接着・固定すればよい。この際用いられる両面テープや接着剤に特に制限はなく、当技術分野において公知の両面テープや接着剤の中から任意に選択して使用することが出来る。
さらに、研磨パッドは、必要に応じて、研磨面及び/又は裏面を研削処理したり、溝加工やエンボス加工や穴加工(パンチング加工)を研磨面に施してもよく、基材及び/又は粘着層をポリウレタン樹脂シートと張り合わせてもよく、光透過部を備えてもよい。
研削処理の方法に特に制限はなく、公知の方法により研削することができる。具体的には、サンドペーパーによる研削が挙げられる。
溝加工及びエンボス加工の形状に特に制限はなく、例えば、格子型、同心円型、放射型などの形状が挙げられる。
研磨パッドを使用するときは、ポリウレタン樹脂シートの研磨面が被研磨物と向き合うようにして研磨パッドを研磨機の研磨定盤に取り付ける。そして、研磨剤スラリーを供給しつつ、研磨定盤を回転させて、被研磨物の加工表面を研磨する。
本発明の方法により得られる研磨パッドは、ハードディスク、ガラス基板、薄型ディスプレイ用マザーガラス、半導体ウェハ、半導体デバイスなどを研磨するのに好適に用いられる。これらの中でも、研磨パッドは、半導体デバイスを化学機械研磨(CMP)加工するのに特に好適に用いられる。
(厚み)
研磨パッドにおけるポリウレタン樹脂シートの厚みに特に制限はないが、例えば、0.2〜3.0mm、好ましくは0.5〜1.5mmの範囲で用いることができる。
上記の通り、本発明の方法を用いて、所望のtanδのピーク温度Tpeak及び/又はtanδのピーク値tanδpeakを有する研磨パッドを容易に得ることができる。特許文献1及び2に記載の通り、tanδのピーク温度やピーク値は、研磨特性やドレス処理性と関連している。したがって、本発明の方法により、研磨特性やドレス処理性に優れた研磨パッドを容易に製造することが可能となる。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。
各実施例及び比較例において、特段の指定のない限り、「部」とは「質量部」を意味するものとする。
また、表1〜2の各略号は以下のものを意味する。
NCO当量とは、“(ポリイソシアネート化合物(B)の質量(部)+ポリオール化合物(C)の質量(部))/[(ポリイソシアネート化合物(B)1分子当たりの官能基数×ポリイソシアネート化合物(B)の質量(部)/ポリイソシアネート化合物(B)の分子量)−(ポリオール化合物(C)1分子当たりの官能基数×ポリオール化合物(C)の質量(部)/ポリオール化合物(C)の分子量)]”で求められるNCO基1個当たりのプレポリマ(PP)の分子量を示す数値である。
R値とは、上述したように、プレポリマ中の末端イソシアネート基に対する、硬化剤に存在する活性水素基(アミノ基及び水酸基)の当量比を示す数値である。
[実施例1]
トリレンジイソシアネート(2,4−TDI)770部を数平均分子量650のPTMG1000部とジエチレングリコール155部の混合グリコールに反応させて得られたイソシアネート基末端ウレタンプレポリマを第1液タンクに仕込み、80℃で保温した。硬化剤としてMOCAを第2液タンクに仕込み120℃で保温した。第1液タンク(1000部),第2液タンク(238部)の夫々の液体を注入口を2つ具備した混合機に夫々の注入口から前記比率で注入し、2液を混合攪拌しながら80℃に予熱した成形機の金型へ注入した後、型締めをし、30分間、型温度80℃で加熱し一次硬化させた。一次硬化させた成形物を脱型後、オーブンにて120℃で5時間二次硬化し、ウレタン成形物を得た。得られたウレタン成形物を1.3mmの厚みにスライスし、研磨パッドを得た。プレポリマのイソシアネートと硬化剤のアミンの当量比を表わすR値は、1.23であった。
[実施例2]
分子量850のPTMGを用いた以外は、実施例1と同様の方法で作製し、研磨パッドを得た。
[実施例3]
分子量1000のPTMGを用いた以外は、実施例1と同様の方法で作製し、研磨パッドを得た。
[実施例4]
分子量2000のPTMGを用いた以外は、実施例1と同様の方法で作製し、研磨パッドを得た。
Figure 0006539910
[実施例5]
トリレンジイソシアネート(2,4−TDI)770部を数平均分子量850のPTMG1000部とジエチレングリコール155部の混合グリコールに反応させて得られたイソシアネート基末端ウレタンプレポリマを第1液タンクに仕込み、60℃で保温した。MOCAを170部第2液タンクに仕込み120℃で保温した。R値が0.7となる比率で混合し、以降の工程は実施例1と同様に行い、研磨パッドを得た。
[実施例6]
MOCAの部数を194部とした以外は、実施例5と同様の方法で作製し、研磨パッドを得た。R値は、0.80であった。
[実施例7]
MOCAの部数を218部とした以外は、実施例5と同様の方法で作製し、研磨パッドを得た。R値は、0.90であった。
[実施例8]
MOCAの部数を238部とした以外は、実施例5と同様の方法で作製し、研磨パッドを得た。R値は、0.98であった。
[実施例9]
MOCAの部数を291部とした以外は、実施例5と同様の方法で作製し、研磨パッドを得た。R値は、1.20であった。
Figure 0006539910
<物性>
上記の各実施例及び比較例について、ティー・エイ・インスツルメント社製のRSAIIIにより、初期荷重10〜700g、歪範囲0.1〜1.0%、測定周波数10ラジアン/秒、昇温速度3℃/分にて20℃から100℃まで昇温させたときの試験片5mm×10mmにおける貯蔵弾性率E’、損失弾性率E”、tanδを測定した。細かい条件は以下の通りである。
測定装置:ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン RSAIII
試験方向:引っ張り
試験片:5×10mm
荷重:200g
歪:0.1%
周波数:10ラジアン/秒(=1.59Hz)
温度:20〜100℃
試料厚み:1.3
<結果1>
実施例1〜4の研磨パッドについて、各温度におけるtanδの値をプロットしたものを図1に示す(図1中、横軸は温度(℃)であり、縦軸はtanδである)。
その結果、PTMGの数平均分子量Mnを変えることで、tanδのピーク温度Tpeak及びtanδのピーク値が変化することが判った。
そこで、実施例1〜4におけるPTMGの数平均分子量Mnとtanδのピーク温度Tpeakとの間に相関関係がないか検討したところ、図2に示す様に2次関数的な相関(相関係数0.99以上)がみられた(図2中、横軸はPTMGの数平均分子量Mnであり、縦軸はtanδのピーク温度Tpeakである)。
以上から、ポリウレタン樹脂シートのtanδのピーク温度Tpeakは、PTMGの数平均分子量Mnを大きくするほど大きくなり、具体的には前記数平均分子量Mnを用いて下記式(1)により制御できることが判った。
−4.0×10-5×Mn2+0.15Mn−48<Tpeak<−4.0×10-5×Mn2+0.15Mn−28・・・(1)
<結果2>
実施例5〜9の研磨パッドについて、各温度におけるtanδの値をプロットしたものを図3に示す(図3中、横軸は温度(℃)であり、縦軸はtanδである)。
その結果、R値を変えることで、tanδのピーク値tanδpeakが変化することが判った。
そこで、実施例5〜9におけるR値とtanδのピーク値tanδpeakとの間に相関関係がないか検討したところ、図4に示す様に1次関数的な相関(相関係数0.99以上)がみられた(図4中、横軸はR値であり、縦軸はtanδのピーク値tanδpeakである)。
数平均分子量850のPTMGを用いた実施例5〜9においては、図4に示す様に、R値とtanδのピーク値tanδpeakの間には、
0.076R+0.076≦tanδpeak≦0.093R+0.093
で表現される関係があることが分かった。
また、PTMGの数平均分子量を変えて同様の測定を行ったところ、R値とtanδのピーク値tanδpeakの間に
tanδpeak=C(R+1) (CはPTMGの数平均分子量Mnによって変動する下記の値)・・・(2)
で表現される1次相関があることが分かった。
(数平均分子量650では定数C=0.110〜0.127、分子量850ではC=0.076〜0.093、分子量1000ではC=0.051〜0.068、分子量2000ではC=0.041〜0.058)
上記式(2)におけるCは、PTMGの数平均分子量Mnを用いて、以下の式(3)により表されることが分かった。
1.2×10-7×Mn2−3.6×10-4×Mn+0.29<C<1.2×10-7×Mn2−3.6×10-4×Mn+0.31・・・(3)
以上から、ポリウレタン樹脂シートのtanδのピーク値tanδpeakは、R値を大きくするほど大きくなり、具体的にはR値を用いて上記式(2)により制御できることが判った。
本発明によれば、所望のtanδピーク温度及び/又はtanδピーク値を有するポリウレタン樹脂シートを備えた研磨パッドを容易に製造することができる。よって、本発明は、産業上の利用可能性を有する。

Claims (4)

  1. ターゲットとするtanδのピーク温度がTpeakであるポリウレタン樹脂シートを備えた研磨パッドの製造方法であって、
    高分子量ポリオールの数平均分子量Mnを、下記式(1)に基づいて決定する工程;
    ポリイソシアネート化合物(B)と式(1)に基づいて決定された数平均分子量Mnを有する高分子量ポリオールを含むポリオール化合物(C)とを反応させることにより、プレポリマとしてのポリウレタン結合含有イソシアネート化合物(A)を調製する工程;
    少なくともプレポリマとしてのポリウレタン結合含有イソシアネート化合物(A)と硬化剤(D)とを混合して成形体成形用混合液を得る工程;及び、
    前記成形体成形用混合液からポリウレタン樹脂成形体を成形してポリウレタン樹脂シートを得る工程、
    を含み、
    前記ポリイソシアネート化合物(B)が、2,4−トリレンジイソシアネートであり、
    前記高分子量ポリオールが、ポリ(オキシテトラメチレン)グリコールであり、
    前記硬化剤(D)が、3,3’−ジクロロ−4,4’−ジアミノジフェニルメタンであり、且つ
    前記tanδは、周波数10ラジアン/秒および引っ張りモードの動的粘弾性試験で測定した貯蔵弾性率E’に対する損失弾性率E”の割合である、前記製造方法。
    −4.0×10-5×Mn2+0.15Mn−48<Tpeak<−4.0×10-5×Mn2+0.15Mn−28・・・(1)
  2. 前記ポリウレタン樹脂シートの、プレポリマとしてのポリウレタン結合含有イソシアネート化合物(A)の末端に存在するイソシアネート基に対する、硬化剤(D)に存在する活性水素基の当量比Rが、0.6〜1.3の範囲内にある、請求項に記載の方法。
  3. ターゲットとするtanδのピーク値がtanδpeakであるポリウレタン樹脂シートを備えた研磨パッドの製造方法であって、
    前記ポリウレタン樹脂シートの、ポリイソシアネート化合物(B)と数平均分子量Mnの高分子量ポリオールを含むポリオール化合物(C)とを反応させてなるプレポリマとしてのポリウレタン結合含有イソシアネート化合物(A)の末端に存在するイソシアネート基に対する、硬化剤(D)に存在する活性水素基の当量比Rを、下記式(2)に基づいて決定する工程;
    前記式(2)に基づいて決定した当量比Rとなるようにプレポリマとしてのポリウレタン結合含有イソシアネート化合物(A)と硬化剤(D)とを用意する工程;
    少なくともプレポリマとしてのポリウレタン結合含有イソシアネート化合物(A)と硬化剤(D)とを混合して成形体成形用混合液を得る工程;及び、
    前記成形体成形用混合液からポリウレタン樹脂成形体を成形してポリウレタン樹脂シートを得る工程、
    を含み、
    前記ポリイソシアネート化合物(B)が、2,4−トリレンジイソシアネートであり、
    前記高分子量ポリオールが、ポリ(オキシテトラメチレン)グリコールであり、
    前記硬化剤(D)が、3,3’−ジクロロ−4,4’−ジアミノジフェニルメタンであり、且つ
    前記tanδは、周波数10ラジアン/秒および引っ張りモードの動的粘弾性試験で測定した貯蔵弾性率E’に対する損失弾性率E”の割合である、前記製造方法。
    tanδpeak=C(R+1)(式中、Cは下記式(3)を満たす数値である)・・・(2)
    1.2×10-7×Mn2−3.6×10-4×Mn+0.29<C<1.2×10-7×Mn2−3.6×10-4×Mn+0.31・・・(3)
  4. ポリ(オキシテトラメチレン)グリコールの数平均分子量Mnが、600〜2500の範囲内にある、請求項に記載の方法。
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