[二液吐出型エアゾール製品]
<第1の実施形態>
本発明の一実施形態の二液吐出型エアゾール製品(以下、エアゾール製品という)について、図面を参照しながら説明する。図1は、本実施形態のエアゾール製品1の模式的な断面図である。図2は、本実施形態のエアゾール製品1の拡大された断面図である。エアゾール製品1は油性原液C1と、含水原液C2と、油性原液C1および含水原液C2を加圧する加圧剤とが容器本体に充填されたエアゾール製品である。より具体的には、エアゾール製品1は、加圧剤が充填される外部容器2と、外部容器2に収容され、油性原液C1が充填される第1内部容器3と、含水原液C2が充填される第2内部容器4とからなる容器本体と、容器本体(外部容器2)に取り付けられるバルブ機構5と、バルブ機構5に取り付けられる吐出部材6とを主に備える。以下、それぞれについて説明する。
(外部容器2)
外部容器2は、後述する加圧剤が充填される耐圧容器である。外部容器2は、汎用の形状であってよい。本実施形態の外部容器2は、上部に開口が形成された有底筒状である。開口は、後述するバルブ機構5が取り付けられる。
外部容器2の材質は特に限定されない。このような材質としては、ポリエチレンテレフタレート等の各種合成樹脂、アルミニウム、ブリキ等の金属、耐圧ガラス等が例示される。外部容器2は、底部と、筒状の胴部と、テーパー状の肩部と、肩部の上端から上方に延びる円筒状の首部とからなり、首部の上部に半径方向外側に突出するフランジ部が形成されている。フランジ部の下部に、後述するカバーキャップ10が固着される。
(第1内部容器3)
第1内部容器3は、外部容器2に収容される容器である。また、第1内部容器3は、圧力差により収縮する可撓性を有する袋体(パウチ容器)とその開口部に取り付けられる取付治具31とからなり、油性原液C1が気密充填される。袋体は2枚以上のシートを重ね合わせ、または、1枚以上のシートを折り合わせた後、周縁部を熱溶着や接着により貼り合わせることにより成形できる。取付治具31は、その上部が後述するバルブ機構5の第1バルブ機構7に取り付けられる。
第1内部容器3の袋体の材質は特に限定されない。一例を挙げると、袋体は、ポリエチレンやポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、エチレン−ビニルアルコール共重合樹脂、ポリアミド、フッ素樹脂等の合成樹脂シート、アルミ箔などの金属シートからなる単層体およびこれらの積層体である。
(第2内部容器4)
第2内部容器4は、含水原液C2が充填される容器である。第2内部容器4の構成は、上記した第1内部容器3と同様である。すなわち、第2内部容器4は、圧力差により収縮する可撓性を有する袋(パウチ容器)であり、油性原液C1に代えて含水原液C2が充填される。
(バルブ機構5)
バルブ機構5は、第1バルブ機構7と、第2バルブ機構8と、第1バルブ機構7および第2バルブ機構8が取り付けられるバルブ本体部9と、バルブ本体部9を外部容器2の開口に固着するためのカバーキャップ10とを主に備える。
・第1バルブ機構7
第1バルブ機構7は、第1内部容器3に充填された油性原液C1を取り出すための機構である。第1バルブ機構7は、バルブ本体部9に保持されるハウジング71と、ハウジング71内に上下動自在に収容されるステム72と、ステム72に形成されたステム孔73を開閉するためのステムラバー74と、ステム孔73がステムラバー74によってシールされるようにステム72を常時上向きに付勢する弾性部材75とを主に備える。
ハウジング71は、略円筒状であり、底部に第1内部容器3に充填されている油性原液C1をハウジング71内に取り込むための取込口が形成されている。ハウジング71の下部には、下方に延設された円筒状のチューブ取付部76が形成されている。チューブ取付部76には、第1内部容器用ディップチューブ77が取り付けられる。第1内部容器用ディップチューブ77は、比較的長尺の略円筒状部材である。第1内部容器用ディップチューブ77は、チューブ取付部76に挿し込まれる上端と、第1内部容器3に充填された油性原液C1に浸漬され、油性原液C1を取り込むための開口が形成された下端とを有する。なお、第1内部容器用ディップチューブ77は、必須ではない。すなわち、第1内部容器3内の油性原液C1は、袋体が収縮したときに袋体内の油性原液C1を外部に吐出するための通路を確保できる部材であればよい。そのため、本実施形態で例示している略円筒状の第1内部容器用ディップチューブ77に代えて、表面に凸部や溝などの通路が形成された棒状部材が取り付けられてもよい。
ハウジング71と第1内部容器3とは、取付治具31を介して接続されている。取付治具31は、略円筒状の部材であり、チューブ取付部76が挿入される挿入口が形成された上端と、第1内部容器3の上端が溶着される下端とを備える。
ステム72は、ハウジング71内を上下方向に摺動する部材である。ステム72は、略棒状の部位であり、吐出時にハウジング71内に取り込まれた油性原液C1が通過するステム内通路78を有する。ステム72には、ハウジング71内の空間とステム内通路78とを連通するステム孔73が形成されている。ステム孔73は、非吐出時には、ステムラバー74の内周面により閉止される。ステム72の上端には、ステム内通路78の上端が開口している。また、ステム72の上端には、ハウジング71に取り込まれた油性原液C1を吐出するための吐出部材6が取り付けられる。ステム72のうち、軸方向の略中央部分には、段部が形成されている。段部には、弾性部材75の上端が取り付けられる。
ステムラバー74は、ステム孔73の周囲に取り付けられ、ハウジング71の内部空間と外部とを遮断するための部材である。また、ステムラバー74は、中心にステム72が挿通される挿通孔が形成された円盤状の部材である。ステムラバー74の内径は、ステム72のうちステム孔73が形成されている箇所の外径よりもわずかに小さく、非吐出時において、内周面をステム72の外周面と密着させて、ステム孔73を閉止する。
弾性部材75は、ステム72を上方向へ常時付勢するために、ハウジング71内に圧縮状態で保持される部材である。本実施形態において、弾性部材75は、スプリングであり、ステム72の段部に接続される上端と、ハウジング71の内底面に接続される下端とを有する。
・第2バルブ機構8
第2バルブ機構8は、第2内部容器4に充填された含水原液C2を取り出すための機構である。第2バルブ機構8は、第1内部容器用ディップチューブ77に代えて第2内部容器用ディップチューブ79が設けられている以外は、第1バルブ機構7と同様の構成である。そのため、第2バルブ機構8の構成のうち、第1バルブ機構7と同様の構成に関しては、同一の参照符号が付され、適宜説明が省略される。
第2内部容器用ディップチューブ79は、比較的長尺の略円筒状部材である。第2内部容器用ディップチューブ79は、チューブ取付部76に挿し込まれる上端と、第2内部容器4に充填された含水原液C2に浸漬され、含水原液C2を取り込むための開口が形成された下端とを有する。
・バルブ本体部9
バルブ本体部9は、外部容器2の開口を閉止するように取り付けられる略円柱状の部材である。バルブ本体部9には、第1バルブ機構7および第2バルブ機構8がそれぞれ嵌め込まれる取付孔が形成されている。第1バルブ機構7および第2バルブ機構8は、取付孔に嵌め込まれることにより、バルブ本体部9に取付けられ、適切に位置決めされる。
バルブ本体部9の外周面には、周状のフランジ部が形成されている。フランジ部は、下面が外部容器2の首部の上面と当接するよう配置される。フランジ部から下方に延びる筒状の挿入部は、外部容器2の首部に挿入される。挿入部の外周面に設けられたOリングは、首部の内周面との間で圧縮されてシールする。
・カバーキャップ10
カバーキャップ10は、第1バルブ機構7、第2バルブ機構8およびバルブ本体部9を外部容器2の開口に固着するための部材である。カバーキャップ10は、概略円盤状であり、外周縁において下方に延設された略円筒状の縁部を有する。カバーキャップ10の上面には、第1バルブ機構7および第2バルブ機構8のそれぞれのステム72が挿通される挿入孔が形成されている。カバーキャップ10は、上面で第1バルブ機構7および第2バルブ機構8を押圧し、第1バルブ機構7および第2バルブ機構8とバルブ本体部9との間をシールする。縁部の下端は、首部の外周面に沿うよう湾曲形状に塑性変形されている。
なお、本実施形態では、カバーキャップ10の外周面を覆う円筒状の保護部材11がさらに設けられている。保護部材11の周面のうち、下端近傍は、外部容器2のフランジ部の外周面に沿うように湾曲形状に塑性変形されている。また、保護部材11の上端は、後述する吐出部材6の上面よりもわずかに上方位置にまで延びている。また、保護部材11の周面のうち、吐出部材6の吐出孔66が対応する位置と、その反対側の位置は、切欠きが形成されている。そのため、使用者は、たとえば手のひらで外部容器2を把持し、かつ、指で吐出部材6を押し下げする動作を行いやすい。また、吐出孔66から吐出されるエアゾール組成物は、保護部材11によって吐出が妨げられない。
(吐出部材6)
吐出部材6は、2つのステム72の上端に取り付けられる部材である。吐出部材6は、略円柱状の本体部61と、本体部61と一体的に形成され、本体部61の周面から水平方向に延設された略円筒状のノズル部62とからなる。ノズル部62には、ノズル部62内を複数の空間に区画する吐出治具12が装着される。
・本体部61
本体部61は、第1内部容器3から取り込まれる油性原液C1が通過する第1通路63と、第2内部容器4から取り込まれる含水原液C2が通過する第2通路64とが形成されている。第1通路63は、第1バルブ機構7のステム72の上端に形成された開口と連通する一端と、ノズル部62内の空間への開口が形成された他端とを有する管路である。第2通路64は、第2バルブ機構8のステム72の上端に形成された開口と連通する一端と、ノズル部62内の空間への開口が形成された他端とを有する管路である。本体部61の周面のうち、ノズル部62が形成された位置は、吐出治具12の筒部122が装着されるよう落ち窪んでいる(嵌合部65)。
・ノズル部62
ノズル部62は、本体部61と一体的に形成された、略円筒状の部位である。ノズル部62には、吐出治具12が内挿される。これにより、ノズル部62内の空間は、複数に区画される(第1室R1a、R1b、R1c、および、第2室R2a、R2b、R2b)。
・吐出治具12
吐出治具12は、ノズル部62に内挿される部材である。図2に加え、図3および図4を参照して吐出治具12について説明する。図3は、吐出治具12の模式的な斜視図である。図4は、図2に示される吐出部材6を切断線IV−IVに沿って切断した場合の断面図である。
図3に示されるように、吐出治具12は、略円盤状の天面部121と、天面部121の表面に天面部121より径方向内側に縮径した円筒状の筒部122と、天面部121の裏面から延設された隔壁123とからなる。隔壁123の数は特に限定されない。本実施形態では、6個の隔壁123が形成されている。図2および図3に示されるように、それぞれの隔壁123は、扁平な直方体状である。より詳細には、隔壁123の寸法は、厚みd1が天面部121と同程度であり、縦(短辺)の長さd2がノズル部62の内径の略半分であり、横(長辺)の長さd3がノズル部62の水平方向の長さと同程度である。また、それぞれの隔壁123は、長辺が互いに接合され、かつ、ノズル部62内において等間隔に配置されている。その結果、吐出治具12は、ノズル部62に内挿された状態において、ノズル部62内を6つの空間(3つの第1室(第1室R1a、R1bおよびR1c)と、3つの第2室(第2室R2a、R2bおよびR2c))とに区画する。第1室R1a〜R1cは、後述するとおり、油性原液が一時的に通過する空間である。一方、第2室R2a〜R2cは、後述するとおり、含水原液が一時的に通過する空間である。
図4に示されるように、筒部122の長さd4は、本体部61の嵌合部65の深さd5よりもわずかに長い。そのため、吐出治具12がノズル部62内に内挿された状態において、嵌合部65の底面と、天面部121の表面とは密着せずに離間し、空間Sが形成される。また、吐出治具12がノズル部62に内挿された状態において、本体部61の第2通路64の他端は、筒部122の内周側に開口する。一方、本体部61の第1通路63の他端は、筒部122の外周側に開口する。
ここで、天面部121の外周には、切欠き124が形成されている。そのため、第1通路63の他端から天面部121の外側に吐出される油性原液C1は、天面部121の表面に形成された空間Sに沿って天面部121の径方向に拡がると共に、切欠き124を通過してノズル部62の吐出孔66方向に進行する。一方、筒部122の内側において、天面部121は、第2室R2a、R2bおよびR2cに対応する位置に、貫通孔125が形成されている。そのため、第2通路64の他端から筒部122の内側に吐出される含水原液C2は、貫通孔125を通過してノズル部62の吐出孔66方向に進行する。このように、吐出治具12がノズル部62に内挿された状態において、油性原液C1は切欠き124を通過してノズル部62内の空間(第1室R1a〜R1c)に吐出される。一方、含水原液C2は、貫通孔125を通過してノズル部62内の空間(第2室R2a〜R2c)に吐出される。油性原液C1が吐出される第1室R1a〜R1cと、含水原液C2が吐出される第2室R2a〜R2cとは、いずれも隔壁123によって区画されている。そのため、油性原液C1と含水原液C2とはノズル部62内において混合されない。
(油性原液C1)
油性原液C1は、第1内部容器3に充填される内容物である。油性原液C1は、油分を主たる溶媒とする。また、油性原液C1は乳化増粘剤を含む。
・油分
油分としては特に限定されない。一例を挙げると、油分は、エステル油、油脂、炭化水素油、シリコーンオイル、液状の高級脂肪酸、液状の高級アルコールなどの25℃において液状である液状油、固形の高級脂肪酸、固形の高級アルコールや、ロウなどの25℃において固形である固形油等である。これらは2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
エステル油としては特に限定されない。一例を挙げると、エステル油は、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸ミリスチル、オレイン酸デシル、ラウリン酸イソステアリル、ミリスチン酸イソセチル、ミリスチン酸イソステアリル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸オクチル、ステアリン酸オクチル、オレイン酸オクチルドデシル、イソステアリン酸エチル、イソオクタン酸セチル、ジオクタン酸エチレングリコール、ジオレイン酸エチレングリコール、ジカプリル酸プロピレングリコール、ジオレイン酸プロピレングリコール、トリカプリル酸グリセリル、トリ(カプリル・カプリン酸)グリセリル、トリイソステアリン酸グリセリル、トリ2−エチルへキサン酸トリメチロールプロパン、ネオペンタン酸オクチルドデシル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、乳酸セチル、クエン酸トリエチル、コハク酸ジオクチル、アジピン酸ジイソプロピル、コハク酸ジエトキシエチル等である。
油脂としては特に限定されない。一例を挙げると、油脂は、アボガド油、ツバキ油、タートル油、マカデミアナッツ油、トウモロコシ油、ミンク油、オリーブ油、ナタネ油、ゴマ油、ヒマシ油、アマニ油、サフラワー油、ホホバ油、麦芽油、ヤシ油、パーム油、米サラダ油などが好ましい。
炭化水素油としては特に限定されない。一例を挙げると、炭化水素油は、ノルマルペンタン、イソペンタン、ノルマルヘキサン、イソヘキサン、ケロシン、流動パラフィン、スクワレン、イソパラフィン等である。
シリコーンオイルとしては特に限定されない。一例を挙げると、シリコーンオイルは、メチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、メチルポリシクロシロキサン等である。
液状の高級脂肪酸としては特に限定されない。一例を挙げると、液状の高級脂肪酸は、オレイン酸、イソステアリン酸、リノール酸、リノレイン酸等である。
液状の高級アルコールとしては特に限定されない。一例を挙げると、液状の高級アルコールは、オレイルアルコール、イソステアリルアルコール等である。
高級脂肪酸としては特に限定されない。一例を挙げると、高級脂肪酸は、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸等である。
高級アルコールとしては特に限定されない。一例を挙げると、高級アルコールは、ラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ミリスチルアルコール等の直鎖アルコール、ラノリンアルコール、ヘキシルドデカノール、セトステアリルアルコール、オクチルドデカノール等の分枝鎖アルコール等である。
ロウとしては特に限定されない。一例を挙げると、ロウは、ミツロウ、ラノリン、カンデリラロウ、カルナウバロウ等である。
油分の含有量は特に限定されない。一例を挙げると、油分の含有量は、油性原液C1中40質量%以上であることが好ましく、50質量%以上であることがより好ましく、60質量%以上であることがさらに好ましい。また、油分の含有量は、90質量%以下であることが好ましく、85質量%以下であることがより好ましく、80質量%以下であることがさらに好ましい。油分の含有量が40質量%未満である場合、油分と水性原液を混合した際に乳化、増粘しにくい傾向がある。一方、油分の含有量が90質量%を超える場合、他の成分を含有しにくくなる傾向がある。
乳化増粘剤は、油性原液C1が含水原液C2と混合する際に、乳化しやすくする、含水原液中の水を吸収し、膨張することでより増粘する作用を有するものである。
乳化増粘剤としては特に限定されない。一例を挙げると、乳化増粘剤は、各種カチオン性ポリマー、アニオン性ポリマー等のイオン性ポリマーと前述の炭化水素油、エステル油、油脂などの油分と後述する界面活性剤を含む混合部が例示される。カチオン性ポリマーとしては、ポリクオタニウムファミリーのポリマー、アクリル酸やメタクリル酸などのポリマーが例示される。
乳化増粘剤が含有される場合の含有量は特に限定されない。一例を挙げると、乳化増粘剤の含有量は、油性原液C1中1質量%以上であることが好ましく、5質量%以上であることがより好ましい。また、乳化増粘剤の含有量は、30質量%以下であることが好ましく、25質量%以下であることがより好ましい。乳化増粘剤の含有量が1質量%未満である場合、油性原液C1が含水原液C2と混合しても増粘しない傾向がある。一方、乳化増粘剤の含有量が30質量%を超える場合、油性原液C1が含水原液C2と混合すると、粘度が高くなり過ぎて取扱いにくくなる傾向がある。
・任意成分
油性原液C1は、上記油分および乳化増粘剤のほか、エアゾール製品1の性能や目的等に応じて、適宜任意成分が含まれてもよい。任意成分としては、改質剤、界面活性剤、有効成分、アルコール、親油性粘度調整剤、粉体等が例示される。
・改質剤
改質剤は、油性原液C1および後述する含水原液C2が吐出された際に、得られる混合物がワックス状に増粘するよう配合される。改質剤としては、各種デンプン、シリコーンパウダー等が例示される。
さらに、デンプンとしては特に限定されない。一例を挙げると、デンプンは、各種穀類デンプン、イモ類デンプン、豆類デンプン、野草類デンプン、幹茎デンプンおよびこれらの改質デンプン(加工デンプン)である。より具体的には、デンプンは、コーンスターチ、タピオカデンプン、馬鈴薯デンプン、甘藷デンプン、サゴデンプンおよびこれらの改質デンプンである。なお、本明細書において、改質デンプンとは、デンプンに対して、アセチル化、エーテル化、エステル化、グラフト化、架橋化等の誘導体化処理、焙焼、酵素変性、酸化、酸処理等の分解処理、α化、部分α化、造粒処理、多孔質化等の加工を施すことにより、デンプン本来の物性を人為的に変化させたものをいう。これらの中でも、粘度が増加しやすくワックス感をより得られる点から、デンプンは、加工デンプンであることが好ましく、トウモロコシ由来の加工デンプンであることがより好ましい。
シリコーンパウダーとしては特に限定されない。一例を挙げると、シリコーンパウダーは、ジメチコンクロスポリマー、(ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマーである。
改質剤の含有量は特に限定されない。一例を挙げると、改質剤の含有量は、油性原液C1中1質量%以上であることが好ましく、5質量%以上であることがより好ましい。また、改質剤の含有量は、20質量%以下であることが好ましく、15質量%以下であることがより好ましい。改質剤の含有量が1質量%未満である場合、改質剤を配合する効果が得られにくくなる傾向がある。一方、改質剤の含有量が20質量%を超える場合、粘度が高くなりすぎる傾向がある。
・界面活性剤
界面活性剤は、油性原液C1および含水原液C2が吐出後に混合された際に、油性原液C1と含水原液C2中の水とが乳化しやすくなるよう配合される。
界面活性剤としては、ノニオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、両性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、シリコーン系界面活性剤、天然系界面活性剤、アミノ酸系界面活性剤等が例示される。
ノニオン性界面活性剤としては特に限定されない。一例を挙げると、ノニオン性界面活性剤は、モノオレイン酸ジグリセリル、モノステアリン酸ジグリセリル、モノステアリン酸ジグリセリル、モノラウリン酸ジグリセリル、モノカプリン酸ジグリセリル、モノラウリン酸ヘキサグリセリル、モノミリスチン酸ヘキサグリセリル、モノラウリン酸ペンタグリセリル、モノミリスチン酸ペンタグリセリル、モノオレイン酸ペンタグリセリル、モノステアリン酸ペンタグリセリル、ヘキサステアリン酸ペンタグリセリル、トリミリスチン酸ペンタグリセリル、トリオレイン酸ペンタグリセリル、モノラウリン酸デカグルセリル、モノミリスチン酸デカグリセリル、モノステアリン酸デカグリセリル、モノイソステアリン酸デカグリセリル、モノオレイン酸デカグリセリル、モノリノール酸デカグリセリル、ペンタステアリン酸デカグリセリル、ペンタオレイン酸デカグリセリル、などのポリグリセリン脂肪酸エステル;POE・POPセチルエーテル、POE・POPデシルテトラデシルエーテルなどのポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル;POEセチルエーテル、POEステアリルエーテル、POEオレイルエーテル、POEラウリルエーテル、POEベヘニルエーテル、POEオクチルドデシルエーテル、POEイソセチルエーテル、POEイソステアリルエーテルなどのポリオキシエチレンアルキルエーテル;モノラウリン酸ポリエチレングリコール、モノステアリン酸ポリエチレングリコールなどのポリエチレングリコール脂肪酸エステル;POE硬化ヒマシ油などのポリオキシエチレン硬化ヒマシ油;モノステアリン酸POEグリセリル、モノオレイン酸POEグリセリルなどのポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル;ステアリン酸POEセチルエーテル、イソステアリン酸POEラウリルエーテルなどのポリオキシエチレンアルキルエーテル脂肪酸エステル;モノヤシ油脂肪酸POEソルビタン、モノステアリン酸POEソルビタン、モノオレイン酸POEソルビタンなどのポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル;モノラウリン酸POEソルビット、テトラステアリン酸POEソルビット、テトラオレイン酸POEソルビットなどのポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル;POEラノリンアルコールなどのポリオキシエチレンラノリンアルコール;ヤシ油脂肪酸N−メチルエタノールアミドなどのアルキルアルカノールアミドなどのアルキルアルカノール型;等である。
アニオン性界面活性剤としては特に限定されない。一例を挙げると、アニオン性界面活性剤は、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸トリエタノールアミンなどのポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩;ポリオキシエチレンラウリルエーテルリン酸などのポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩;アシルメチルタウリン酸;ラウリルスルホ酢酸ナトリウムなどのスルホン酸塩;等である。
両性界面活性剤としては特に限定されない。一例を挙げると、両性界面活性剤は、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン(ラウリルベタイン)、ステアリルベタイン、ラウリン酸アミドプロピルベタイン、ラウリルヒドロキシスルホベタイン、ステアリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ドデシルアミノメチルジメチルスルホプロピルベタイン、オクタデシルアミノメチルジメチルスルホプロピルベタインなどのアルキルベタイン、ヤシ酸アミドプロピルベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン(コカミドプロピルベタイン)、コカミドプロピルヒドロキシスルタインなどの脂肪酸アミドプロピルベタインなどのベタイン型;2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン(ココアンホ酢酸)などのアルキルイミダゾール型;ラウリルジメチルアミンN−オキシド、オレイルジメチルアミンN−オキシドなどのアミンオキシド型;等である。
カチオン性界面活性剤としては特に限定されない。一例を挙げると、カチオン性界面活性剤は、塩化セチルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム、塩化ラウリルトリメチルアンモニウムなどのアルキルアンモニウム塩;アルキルベンジルアンモニウム塩;ステアリルアミンアセテート;ポリオキシエチレンラウリルアミン、ポリオキシエチレンステアリルアミンなどのポリオキシエチレンアルキルアミン;等である。
シリコーン系界面活性剤としては特に限定されない。一例を挙げると、シリコーン系界面活性剤は、ポリオキシエチレン・メチルポリシロキサン共重合体、ポリオキシプロピレン・メチルポリシロキサン共重合体、ポリ(オキシエチレン・オキシプロピレン)・メチルポリシロキサン共重合体等である。
天然系界面活性剤としては特に限定されない。一例を挙げると、天然系界面活性剤は、サーファクチンナトリウム、シクロデキストリン、水添酵素大豆レシチン等である。
アミノ酸系界面活性剤としては特に限定されない。一例を挙げると、アミノ酸系界面活性剤は、N−ヤシ油脂肪酸アシル−L−グルタミン酸トリエタノールアミン、N−ヤシ油脂肪酸アシル−L−グルタミン酸カリウム、N−ヤシ油脂肪酸アシル−L−グルタミン酸ナトリウム、N−ラウロイル−L−グルタミン酸トリエタノールアミン、N−ラウロイル−L−グルタミン酸カリウム、N−ラウロイル−L−グルタミン酸ナトリウム、N−ミリストイル−L−グルタミン酸カリウム、N−ミリストイル−L−グルタミン酸ナトリウムおよびN−ステアロイル−L−グルタミン酸ナトリウムなどのN−アシルグルタミン酸塩;N−ヤシ油脂肪酸アシル−L−グルタミン酸、N−ラウロイル−L−グルタミン酸、N−ステアロイル−L−グルタミン酸などのN−アシルグルタミン酸;N−ヤシ油脂肪酸アシルグリシンカリウム、N−ヤシ油脂肪酸アシルグリシンナトリウムなどのN−アシルグリシン塩;N−ヤシ油脂肪酸アシル−DL−アラニントリエタノールアミンなどのN−アシルアラニン塩;等である。
界面活性剤の含有量は特に限定されない。一例を挙げると、界面活性剤の含有量は、油性原液C1中0.1質量%以上であることが好ましく、0.5質量%以上であることがより好ましい。また、界面活性剤の含有量は、20質量%以下であることが好ましく、15質量%以下であることがより好ましい。界面活性剤の含有量が0.1質量%未満である場合、混合時に含水原液C2中の水と乳化しにくい傾向がある。一方、界面活性剤の含有量が20質量%を超える場合、界面活性剤は、塗布面上で残留しやすく、皮膚に使用した場合は刺激が強くなりやすい傾向がある。
有効成分としては特に限定されない。一例を挙げると、有効成分は、ポリビニルアルコール、ビニルピロリドン−酢酸ビニル共重合体、(アクリレーツ/アクリル酸アルキル/メタクリル酸エチルアミンオキシド)コポリマー、ビニルピロリドン/N,N−ジメチルアミノエチルメタクリル酸共重合体ジエチル硫酸塩、(アクリル酸オクチルアミド/アクリル酸ヒドロキシプロピル/メタクリル酸ブチルアミノエチル)コポリマー、N−ビニルピロリドン/メタクリルアミド/N−ビニルイミダゾール共重合体、(ジメチルアクリルアミド/アクリル酸ヒドロキシエチル/アクリル酸メトキシエチル)コポリマーなどのスタイリング用樹脂;コラーゲン、キシリトール、ソルビトール、マルチトール、ヒアルロン酸、ヒアルロン酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、dl−ピロリドンカルボン酸塩、ケラチン、カゼイン、レシチン、尿素などの保湿剤;パラメトキシケイ皮酸エチルヘキシル、パラメトキシケイ皮酸イソプロピル、パラメトキシケイ皮酸オクチル、ジメトキシベンジリデンジオキソイミダゾリジンプロピオン酸オクチル、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル、t−ブチルメトキシジベンゾイルメタン、エチルヘキシルトリアゾン、オクトクレリン、オキシベンゾン、ヒドロキシベンゾフェノンスルホン酸、ジヒドロキシベンゾフェノンスルホン酸ナトリウム、ジヒドロキシベンゾフェノン、パラアミノ安息香酸などの紫外線吸収剤;α−トコフェロール、ジブチルヒドロキシトルエンなどの酸化防止剤;レチノール、dl−α−トコフェロールなどのビタミン類;緑茶エキス、柿タンニン、銀、ポリフェノールなどの消臭成分;シャクヤクエキス、ヘチマエキス、バラエキス、レモンエキス、アロエエキス、ショウブ根エキス、ユーカリエキス、セージエキス、茶エキス、海藻エキス、プラセンタエキス、シルク抽出液などの各種抽出液;パラオキシ安息香酸エステル、フェノキシエタノール、塩化ベンザルコニウムなどの防腐剤;香料;等が例示される。
有効成分が含有される場合の含有量は特に限定されない。一例を挙げると、有効成分の含有量は、油性原液C1中0.01質量%以上であることが好ましく、0.1質量%以上であることがより好ましい。また、有効成分の含有量は、20質量%以下であることが好ましく、15質量%以下であることがより好ましい。有効成分の含有量が0.01質量%未満である場合、有効成分を含有する効果が得られにくい傾向がある。一方、有効成分の含有量が20質量%を超える場合、有効成分を含有する効果が向上しない傾向がある。
アルコール類は、油分や水に溶解しにくい有効成分の溶媒として適宜含有される。アルコール類としては特に限定されない。一例を挙げると、アルコール類は、エタノール、イソプロパノールなどの1価アルコール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ヘキシレングリコールなどの2価アルコール、グリセリンなどの3価アルコールである。
アルコール類が含有される場合の含有量は、油性原液C1中0.1質量%以上であることが好ましく、0.5質量%以上であることがより好ましい。また、アルコール類の含有量は、20質量%以下であることが好ましく、15質量%以下であることがより好ましい。アルコール類の含有量が0.1質量%未満である場合、アルコール類を含有する効果が得られにくい傾向がある。一方、アルコール類の含有量が20質量%を超える場合、油性原液C1と含水原液C2を混合しても乳化しにくくなり増粘しにくい傾向がある。
親油性粘度調整剤は、油性原液C1の粘度を調整するために適宜配合される。親油性粘度調整剤としては特に限定されない。一例を挙げると、親油性粘度調整剤は、デキストリン、水添(スチレン/イソプレン)コポリマー、(ベヘン酸/エイコサン二酸)グリセリル、トリ(ベヘン酸/イソステアリン酸/エイコサン二酸)グリセリルなどが挙げられる。デキストリンとしては特に限定されない。一例を挙げると、デキストリンは、パルミチン酸デキストリン、ミリスチン酸デキストリン等である。
親油性粘度調整剤が含有される場合の含有量は、油性原液C1中0.1質量%以上であることが好ましく、0.5質量%以上であることがより好ましい。また、親油性粘度調整剤の含有量は、10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましい。親油性粘度調整剤の含有量が0.1質量%未満である場合、親油性粘度調整剤を含有する効果が得られにくい傾向がある。一方、親油性粘度調整剤の含有量が10質量%を超える場合、油性原液C1は、べたつきやすくなる傾向がある。
粉体は、塗り広げるときの滑りを良くするためなど使用感の改善などに適宣配合される。粉体としては特に限定されない。一例を挙げると、粉体は、タルク、カオリン、雲母、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、ケイ酸亜鉛、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸カルシウム、シリカ、ゼオライト、セラミックパウダー、炭粉末、ナイロンパウダー、シルクパウダー、ウレタンパウダー、ポリエチレンパウダー等である。
粉体が含有される場合の含有量は、油性原液C1中0.05質量%以上であることが好ましく、0.1質量%以上であることがより好ましい。また、粉体の含有量は、10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましい。粉体の含有量が0.05質量%未満である場合、粉体を含有する効果が得られにくい傾向がある。一方、粉体の含有量が10質量%を超える場合、エアゾール製品1は、油性原液C1の吐出時に目詰まりを起こしやすい傾向がある。
油性原液C1の粘度は特に限定されない。一例を挙げると、油性原液C1の粘度は、25℃において5000mPa・s以上であることが好ましく、7500mPa・s以上であることがより好ましい。また、油性原液C1の粘度は、25℃において50000mPa・s以下であることが好ましく、45000mPa・s以下であることがより好ましい。油性原液C1の粘度が5000mPa・s未満である場合、両原液を混合する際に垂れ落ちやすくなる傾向がある。一方、油性原液C1の粘度が50000mPa・sを超える場合、粘度が高すぎて吐出しにくい、さらには吐出時に吐出部材6の吐出通路内で詰まりを生じる可能性がある。
(含水原液C2)
含水原液C2は、第2内部容器4に充填される内容物である。含水原液C2は、水を主たる溶媒とする。また、含水原液C2は、油分を含む。
・水
水としては特に限定されない。一例を挙げると、水は、精製水、イオン交換水、生理食塩水、海洋深層水等である。
水の含有量は、特に限定されない。一例を挙げると、水は、含水原液C2中50質量%以上であることが好ましく、60質量%以上であることがより好ましい。また、水は、含水原液C2中95質量%以下であることが好ましく、90質量%以下であることがより好ましい。水の含有量が50質量%未満である場合、油性原液C1が含水原液C2と混合しても油性原液中の乳化増粘剤による水の吸着、乳化増粘剤の膨潤が起こりにくいため増粘しにくい傾向がある。一方、水の含有量が95質量%を超える場合、その他の成分を含有しにくくなる傾向がある。
・油分
油分は、油性原液C1の説明において上記した油分である。含水原液C2に含有される油分は、油性原液C1に含有される油分と同じであってもよく、異なってもよい。油分は、なかでも、前述の固形の高級脂肪酸、固形の高級アルコールや、ロウなどの25℃において固形である固形油等であることが好ましく、特には、固形油とケン化剤としてトリエタノールアミンなどの有機アルカリ;水酸化ナトリウムなどの無機アルカリ等を含有し脂肪酸石鹸であることが好ましい。
油分の含有量は特に限定されない。一例を挙げると、油分の含有量は、含水原液C2中0.1質量%以上であることが好ましく、0.5質量%以上であることがより好ましい。また、油分の含有量は、20質量%以下であることが好ましく、15質量%以下であることがより好ましい。油分の含有量が0.1質量%未満である場合、油分を含有する効果が得られにくい傾向がある。一方、油分の含有量が20質量%を超える場合、べたつきやすくなる傾向がある。
含水原液C2は、油性原液C1の説明において上記した改質剤および任意成分を適宜含有してもよい。含水原液C2における改質剤および任意成分の含有量は、油性原液C1の説明において上記したとおりである。含水原液C2は、前述した成分以外にも親水性粘度調整剤を含有してもよい。
親水性粘度調整剤は、含水原液C2の粘度を調整するために適宜配合される。親水性粘度調整剤としては特に限定されない。一例を挙げると、親水性粘度調整剤は、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウムなどのセルロース系高分子、キサンタンガム、カラギーナン、アラビアゴム、トラガントゴム、カチオン化グアガム、グアガム、ジェランガム、ローカストビーンガムなどのガム質、デキストラン、カルボキシメチルデキストランナトリウム、ペクチン、アルギン酸ナトリウム、カルボキシビニルポリマー等である。
親水性粘度調整剤が含有される場合の含有量は、含水原液C2中0.1質量%以上であることが好ましく、0.5質量%以上であることがより好ましい。また、親水性粘度調整剤の含有量は、5質量%以下であることが好ましく、3質量%以下であることがより好ましい。粘度調整剤の含有量が0.1質量%未満である場合、粘度調整剤を含有する効果が得られにくい傾向がある。一方、粘度調整剤の含有量が5質量%を超える場合、含水原液C2は、べたつきやすくなる傾向がある。
油性原液C1と含水原液C2との配合割合は特に限定されない。一例を挙げると、油性原液C1と含水原液C2との配合割合は、1/9〜9/1である。油性原液C1と含水原液C2との配合割合は、2/8〜8/2であることが好ましく、3/7〜7/3であることがより好ましい。油性原液C1と含水原液C2との配合割合は、なるべく同程度である方が吐出後に混合させやすく、かつ、一方のみが使い尽くされることがない。なお、第1内部容器3および第2内部容器4の容積を調整するか、または、第1バルブ機構7および第2バルブ機構8の寸法(たとえばステム孔の寸法)を調整することにより、油性原液C1および含水原液C2の吐出量を調整してもよい。
含水原液C2の粘度は特に限定されない。一例を挙げると、含水原液C2の粘度は、25℃において5000mPa・s以上であることが好ましく、7500mPa・s以上であることがより好ましい。また、含水原液C2の粘度は、25℃において50000mPa・s以下であることが好ましく、45000mPa・s以下であることがより好ましい。含水原液C2の粘度が5000mPa・s未満である場合、両原液を混合する際に垂れ落ちやすくなる傾向がある。一方、含水原液C2の粘度が50000mPa・sを超える場合、粘度が高すぎて吐出しにくい、さらには吐出時に吐出部材6の吐出通路内で詰まりを生じる可能性がある。
本実施形態において、含水原液C2は、吐出後に油性原液C1と混合されると、あたかもワックス状に増粘する。すなわち、吐出部材6の吐出通路(第1通路63および第2通路64)が所定粘度以下の流体を通過させ得る通路である場合、油性原液C1および含水原液C2は、好適にはいずれも当該所定粘度以下に調整されている。そのため、油性原液C1および含水原液C2は、いずれも吐出時に後述する加圧剤により加圧されると、吐出部材6の吐出通路(第1通路63および第2通路64)を通過して吐出孔66より吐出され得る。そして、油性原液C1および含水原液C2は、吐出された後に指等により混合されることにより、容易に増粘し得る。その結果、得られる混合物は、上記した吐出通路が許容する所定粘度を超えて増粘され得る。したがって、本実施形態によれば、あたかもワックスのような高粘度な吐出物が、エアゾール製品の形態で提供し得る。なお、本明細書において、「ワックス状」とは、以下の試験で測定した硬さが2000mNを超えるものをいう。
(試験方法)
円筒の筒(直径:22mm、高さ40mm)に所定の原液、または2液混合しワックス状にしたものを20mmの高さまで充填し、円筒の筒(直径20mm)で10mm押しつぶした時の荷重を測定する。なお、原液または混合したワックス状のものは20℃に調整した後に測定する。
上記した所定粘度は特に限定されない。一例を挙げると、所定粘度は50000mPa・sであり、好ましくは45000mPa・sである。所定粘度が50000mPa・sである場合、好適には粘度の上限が50000mPa・sである油性原液C1および含水原液C2は、いずれも吐出通路を通過し得る。また、吐出後に混合された吐出物の粘度は特に限定されない。一例を挙げると、吐出物の粘度は、油性原液または含水原液の粘度よりも1.5倍以上高くなることが好ましく、2.0倍以上高くなることがより好ましい。詳しくは25℃において70000mPa・s以上であることが好ましく、100000mPa・s以上であることがより好ましい。混合後の吐出物の粘度が混合前の原液の粘度の1.5倍を超えない場合、原液と混合した吐出物の状態の変化が分りにくい傾向がある。
(加圧剤)
加圧剤は、第1内部容器3に充填された油性原液C1および第2内部容器4に充填された含水原液C2を押圧して、外部に吐出するための噴射剤である。加圧剤としては、炭酸ガス、窒素ガス、圧縮空気、酸素ガス、亜酸化窒素ガス等の圧縮ガスが例示される。
加圧剤の圧力は、第1内部容器3に充填された油性原液C1および第2内部容器4に充填された含水原液C2を押圧して外部に吐出することができる程度であればよく、特に限定されない。一例を挙げると、加圧剤の圧力は、外部容器2内の20℃における圧力が0.3MPa以上となるよう使用することが好ましく、0.4MPa以上となるよう使用することがより好ましい。また、加圧剤の圧力は、外部容器2内の20℃における圧力が1.0MPa以下となるように使用することが好ましく、0.8MPa以下となるように使用することがより好ましい。加圧剤の圧力が0.3〜1.0MPaとなるよう外部容器2に充填されることにより、エアゾール製品1は、バルブ機構5が開放された際に、第1内部容器3内の油性原液C1および第2内部容器4内の含水原液C2を適度に押圧し得る。その結果、油性原液C1および含水原液C2は、バルブ機構5のハウジング71に取り込まれるよう促される。その後、油性原液C1および含水原液C2は、ステム内通路78を通過し、吐出部材6に送られ、吐出される。
以上、本実施形態のエアゾール製品1によれば、吐出される油性原液C1および含水原液C2は、混合されることによりワックス状に増粘する。その結果、ワックス状の高粘度な吐出物が、エアゾール製品の形態で提供され得る。
<エアゾール製品1の使用方法>
次に、本実施形態のエアゾール製品1を用いた本発明の一実施形態の使用方法について説明する。まず、エアゾール製品1は、吐出部材6が押し下げられると、第1バルブ機構7および第2バルブ機構8のそれぞれのステム72が下方に押し下げられる。これにより、それぞれのステムラバー74が下方に撓み、それぞれのステム孔73が開放される。その結果、第1内部容器3内と外部とが連通されるとともに、第2内部容器4内と外部とが連通される。
第1内部容器3内と外部とが連通し、第2内部容器4内と外部とが連通すると、外部容器2内の加圧剤によって、可撓性である第1内部容器3の外周面は、外側から内側に向かって押圧される。同様に、第2内部容器4の外周面は、外側から内側に向かって押圧される。その結果、第1内部容器3内の油性原液C1および第2内部容器4内の含水原液C2は、それぞれステム内通路78を通過し、吐出部材6に送られるよう促される。吐出部材6に取り込まれた油性原液C1は、第1通路63を通過し、その後、ノズル部62内の第1室R1a、R1bおよびR1cに取り込まれる。また、吐出部材6に取り込まれた含水原液C2は、第2通路64を通過し、その後、ノズル部62内の第2室R2a、R2bおよびR2cに取り込まれる。
図2および図3に示されるように、ノズル部62内の空間は、吐出治具12が装着されることにより、第1室R1a、R1bおよびR1cと第2室R2a、R2bおよびR2cとが交互に隣り合うよう形成されている。そのため、得られる吐出物は、油性原液C1と含水原液C2とが交互に隣り合うよう同時に吐出される。得られる吐出物は、指等で容易に混合され得る。その結果、油性原液C1と含水原液C2とは容易に混合され、あたかもワックスのような高粘度の吐出物が得られる。また、本実施形態のエアゾール製品1によれば、油性原液C1および含水原液C2は、それぞれ別々に吐出され、吐出時に混合されることがない。そのため、吐出部材6内において油性原液C1と含水原液C2が混ざりにくい。その結果、吐出部材6内で油性原液C1および含水原液C2が増粘することが防がれ、吐出通路(第1通路63または第2通路64)は閉塞されにくい。また、油性原液C1および含水原液C2は、1回の吐出操作により同時に吐出され得る。そのため、エアゾール製品1は、使用時の利便性がよい。
<第2の実施形態>
本発明の一実施形態のエアゾール製品について、図面を参照しながら説明する。図5は、本実施形態のエアゾール製品1aの模式的な断面図である。図6は、本実施形態のエアゾール製品1aの拡大された断面図である。エアゾール製品1aは、油性原液C1と含水原液C2と加圧剤とが充填された容器本体と、容器本体に取り付けられるバルブ機構5aと、バルブ機構5aに取り付けられる吐出部材6aとを主に備える。容器本体は、外部容器2と、外部容器2内に収容される第1内部容器3aと、第1内部容器3a内に収容される第2内部容器4aとからなる。以下、それぞれについて説明する。なお、以下の説明において、第1の実施形態において上記したエアゾール製品1(図1参照)と同様の構成は、同様の参照符号が付され、説明が適宜省略される。
(外部容器2)
外部容器2は、第1の実施形態において上記した外部容器2(図1参照)と同様の部材である。外部容器2には、第1の実施形態において上記した含水原液C2(図1参照)と同様の含水原液C2が充填される。
(第1内部容器3a)
第1内部容器3aは、外部容器2に収容される容器である。また、第1内部容器3aは、圧力差により適宜膨張し得る可撓性を有する袋体である。第1内部容器3aは、第1内部容器3aと外部容器2との間の空間に含水原液C2が充填される前の状態では、外部容器2の内面と当接する形状、すなわち、外部容器2の内面と実質的に同一形状を呈している。第1内部容器3aは、底部と、円筒状の胴部と、胴部の上端からテーパー状に縮径する肩部と、その上端から延びる円筒状の首部と、その上端の口部と、口部から径方向の外側に延びるフランジ部とから構成されている。また、第1内部容器3aには、図6に示されるように、フランジ部の下面から首部の外周にかけて、含水原液C2が充填される外部容器2と第1内部容器3aとの間の空間と外部とを連通するための溝31aが形成されている。溝31aは、含水原液C2が外部に吐出される際の吐出経路を構成する。口部には、後述するバルブ機構5aが取り付けられる。なお、第1内部容器3a内には上記した加圧剤が充填される。
このような第1内部容器3aは、ポリエチレンテレフタレート、ポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレート等のポリエステル、ナイロン等のポリアミド、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィンといった合成樹脂から二軸延伸ブローなどにより可撓性を有するように成形される。外部容器2と第1内部容器3aとは同じ材質であってもよく、異なる材質であってもよい。また、外部容器2と第1内部容器3aとを同時にブロー成形してもよい。
(第2内部容器4a)
第2内部容器4aは、第1内部容器3aに収容される容器であり、圧力差により適宜膨張し得る可撓性を有する袋体である。第2内部容器4aには、第1の実施形態において上記した油性原液C1(図1参照)と同様の油性原液C1が充填される。第2内部容器4aは、底部と、円筒状の胴部と、胴部の上端からテーパー状に縮径する肩部と、その上端から延びる円筒状の首部とから構成されている。首部は、後述するバルブ機構5aの取付部98aに嵌め込まれている。
第2内部容器4aの材質は特に限定されない。第2内部容器4aの材質は、第1内部容器3aと同様の材質から適宜選択され得る。
(バルブ機構5a)
バルブ機構5aは、外部容器2、第1内部容器3aおよび第2内部容器4aの開口を閉止して、外部容器2、第1内部容器3aおよび第2内部容器4aを密封するための部材である。バルブ機構5aは、外部容器2および第1内部容器3aの開口を閉止するよう固着されるカバーキャップ10と、第2内部容器4aの開口を閉止するとともに、カバーキャップ10によって保持され、外部容器2内の所定の位置に保持されるバルブ本体部9aとを主に備える。
カバーキャップ10は、バルブ機構5aを外部容器2および第1内部容器3aに取り付けるための部材である。カバーキャップ10は、バルブ本体部9aを保持するキャップ本体と、キャップ本体の外周縁において下方に延設された略円筒状の縁部とを有する。キャップ本体は、中心に後述するステム92aが挿通される挿通孔が形成されている。縁部の内面には、外部容器2の首部の外周面に形成されたネジと螺合するネジが形成されている。
バルブ本体部9aは、ハウジング91aと、外部容器2および第2内部容器4aの内外をそれぞれ連通するステム孔(第1ステム孔95aおよび第2ステム孔96a)が形成されたステム92aと、第1ステム孔95aの周囲に取り付けられ、第1ステム孔95aを閉止するための第1ステムラバー93aと、第2ステム孔96aの周囲に取り付けられ、第2ステム孔96aを閉止するための第2ステムラバー94aとを主に備える。
ハウジング91aは、ステム92aが収容される部材である。ハウジング91aは、上部が開口した略円筒状の筒部と、筒部の上端から径方向の外側に延設されたフランジ部を主に備える。筒部の内底面には、ステム92aを上方向へ付勢する樹脂製の弾性部材97aが形成されている。また、筒部の内底面は、第2内部容器4aの油性原液C1をハウジング91a内に取り込むための取込孔が形成されている。さらに、内底面の裏面には、円筒状の取付部98aが設けられている。取付部98aの外径は、第2内部容器4aの首部の内径よりもわずかに大きい。そのため、取付部98aは、第2内部容器4aの首部に嵌め込まれる。これにより、第2内部容器4aは、ハウジング91aに取り付けられる。フランジ部は、円盤状の天面部と、天面部の上面から上方に延設された上面側延設部と、下面から下方に延設された下方側延設部とを備える。下方側延設部は、略円筒状の部位である。下方側延設部の外周面は、第1内部容器3aの内周面と接触している。
ステム92aは、ハウジング91a内を上下方向に摺動する部材であり、上部ステム13aと、下部ステム14aとからなる。
上部ステム13aは、二重円筒状の部位であり、吐出時にハウジング91a内に取り込まれた含水原液C2が通過する第1ステム内通路131aと、吐出時に第2内部容器4aから取り込まれる油性原液C1が通過する第2ステム内通路132aとを有する。上部ステム13aにおいて、第2ステム内通路132aの下端は、第1ステム内通路131aの下端よりも下方まで形成されている。第2ステム内通路132aの下端近傍には、ハウジング91a内の空間と第2ステム内通路132aとを連通する第2ステム孔96aが形成されている。また、第1ステム内通路131aの下端近傍には、外部容器2内の空間と第1ステム内通路131aとを連通する第1ステム孔95aが形成されている。
第1ステム孔95aは、非吐出時には、第1ステムラバー93aの内周面により閉止される。第2ステム孔96aは、非吐出時には、第2ステムラバー94aの内周面により閉止される。上部ステム13aの上端には、第1ステム内通路131aおよび第2ステム内通路132aの上端が開口している。また、上部ステム13aの上端には、含水原液C2および油性原液C1を噴射するための吐出部材6aが取り付けられる。
下部ステム14aは、上部ステム13aの下端に一体的に設けられた部位であり、球状に膨出している。下部ステム14aは、弾性部材97aにより上方向に付勢される。
第1ステムラバー93aは、第1ステム孔95aの周囲に取り付けられ、外部容器2の内部空間と外部とを適宜遮断するための部材である。また、第1ステムラバー93aは、中心に上部ステム13aが挿通される挿通孔が形成された円盤状の部材である。第1ステムラバー93aの内径は、上部ステム13aのうち、第1ステム孔95aが形成されている箇所の外径よりもわずかに小さく、非吐出時において、内周面を上部ステム13aの外周面と密着させて、第1ステム孔95aを閉止する。第1ステムラバー93aの外周近傍は、上方側延設部の内周面に設けられた段部および上方側延設部の内側に配設されたスペーサ133aの上面と、カバーキャップ10の下面とにより挟持されている。これにより、第1ステムラバー93aは、バルブ機構5a内において適切に位置決めされる。
第2ステムラバー94aは、第2ステム孔96aの周囲に取り付けられ、ハウジング91aの内部空間と外部とを適宜遮断するための部材である。また、第2ステムラバー94aは、中心に上部ステム13aが挿通される挿通孔が形成された円盤状の部材である。第2ステムラバー94aの内径は、上部ステム13aのうち、第2ステム孔96aが形成されている箇所の外径よりもわずかに小さく、非吐出時において、内周面を上部ステム13aの外周面と密着させて、第2ステム孔96aを閉止する。第2ステムラバー94aの外周近傍は、ハウジング91aの筒部の上部と、第1ステムラバー93aとスペーサ133aの下面とにより挟持されている。これにより、第2ステムラバー94aは、バルブ機構5a内において適切に位置決めされる。
弾性部材97aは、ハウジング91a内に圧縮状態で保持され、スプリングの作用をする板状部材である。弾性部材97aは、筒部の内底面から上方へ延設された4つの突片から構成される。それぞれの突片の上端は、下部ステム14aと当接している。弾性部材97aは、非吐出時において、ステム92aを上方向へ付勢する。また、弾性部材97aを構成するそれぞれの突片は樹脂製であり、ステム92aが押し下げられることにより、容易に変形し得る。
(吐出部材6a)
吐出部材6aは、含水原液C2および油性原液C1を吐出するための部材であり、ステム92aの上端に取り付けられる。吐出部材6aは、ノズル部62aと、使用者が指等により操作する操作部62bとを主に備える。ノズル部62aは、二重円筒状の部位であり、含水原液C2が通過する円環状の第1通路63aと、油性原液C1が通過する第2通路64aとが形成されている。第1通路63aは、第2通路64aの外周を覆うよう形成されている。そのため、第1通路63aの上端に形成された開口(第1吐出孔66a)から吐出される含水原液C2は、第2通路64aの上端に形成された開口(第2吐出孔67a)から吐出される油性原液C1を環状に覆うよう吐出され得る。
以上、本実施形態のエアゾール製品1aによれば、吐出される油性原液C1および含水原液C2は、混合されることによりワックス状に増粘する。その結果、ワックス状の高粘度な吐出物が、エアゾール製品の形態で提供され得る。
<エアゾール製品1aの使用方法>
次に、本実施形態のエアゾール製品1aを用いた本発明の一実施形態の使用方法について説明する。まず、エアゾール製品1aは、吐出部材6a(操作部62b)が押し下げられると、バルブ機構5aのステム92aが下方に押し下げられる。これにより、第1ステムラバー93aおよび第2ステムラバー94aが下方に撓み、第1ステム孔95aおよび第2ステム孔96aが開放される。その結果、外部容器2内と外部とが連通されるとともに、第2内部容器4aと外部とが連通される。
外部容器2内と外部とが連通すると、第1内部容器3a内の加圧剤によって、可撓性である第1内部容器3aの外周面は、内側から外側に向かって膨張する。これと同様に、第2内部容器4aと外部とが連通すると、第1内部容器3a内の加圧剤によって、第2内部容器4aの外周面は、外側から内側に向かって押圧される。その結果、外部容器2内の含水原液C2および第2内部容器4a内の油性原液C1は、それぞれ第1ステム内通路131aおよび第2ステム内通路132aを通過し、吐出部材6aに送られるよう促される。吐出部材6aに取り込まれた含水原液C2は、第1通路63aを通過し、その後、第1吐出孔66aから吐出される。また、吐出部材6aに取り込まれた油性原液C1は、第2通路64aを通過し、その後、第2吐出孔67aから吐出される。得られる吐出物は、指等で容易に混合され得る。その結果、油性原液C1と含水原液C2とは容易に混合され、あたかもワックスのような高粘度の吐出物が得られる。
以上、本発明の一実施形態について説明した。本発明は、たとえば次のような変形実施形態を採用することができる。
(1)上記実施形態(第1の実施形態)では、ノズル部内の空間が、6つの隔壁を備える吐出治具によって6つの空間(3つの第1室および3つの第2室)に区画されている場合について例示した。これに代えて、本発明は、吐出治具の隔壁の数が6つ以外であってもよい。また、第1室および第2室の数は同じであってもよく、異なっていてもよい。さらに、吐出治具は省略されてもよい。この場合、ノズル部内の空間において油性原液と含水原液とが混合されて増粘し、ノズル部を閉塞する可能性がある。そのため、ノズル部は、吐出部材の本体部から適宜取り外し可能な使い捨ての部材であることが好ましい。
(2)上記実施形態(第2の実施形態)では、吐出部材のノズル部に吐出治具が装着される場合について例示した。これに代えて、吐出部材は、ノズル部を取り外し可能な別部材としてもよい。また、取り外し可能なノズル部は、吐出治具が装着された状態に一体成形されてもよい。
(3)上記実施形態(第2の実施形態)では、外部容器に含水原液が充填され、第2内部容器に油性原液が充填されている場合について例示した。これに代えて、外部容器に油性原液が充填され、第2内部容器に含水原液が充填されてもよい。
また、上記実施形態のエアゾール容器(容器本体)に代えて、従来公知の2本のエアゾール容器にそれぞれの原液を充填し、2本セットして使う二液吐出装置(特開2012−82012号公報の図1等)や、外容器の中に内容器が挿入され、内容器の中に隔壁部材を挿入し、内容器内を2室に分けそれぞれの部屋にそれぞれの原液を充填する複数内容物吐出用の包装容器(国際公開第2003/91128号)が用いられてもよい。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明する。本発明は、これら実施例に何ら限定されない。
<実施例1>
以下の表1に示される処方にしたがって油性原液を調製し、表2に示される処方にしたがって含水原液を調製した。図1に示される容器本体を用い、外部容器2内に窒素ガス(加圧剤の一例)を充填し、バルブ機構5を固定した。バルブ機構5のステム72から第1内部容器3に油性原液60gを充填し、第2内部容器4に含水原液60gを充填した。ステム72に吐出部材6を取り付け、二液吐出型エアゾール製品1を製造した。なお、粘度は原液を円筒状容器に入れ20℃の環境下で静置して液温が20℃となるよう調整し、回転粘度計(ブルックフィールド社製 型番:LV)を用いて測定し、硬さは、第1の実施形態において上記した方法で測定した。
*1:ハイコールK−350(商品名)、カネダ(株)製
*2:クロピュア OL(商品名)、クローダジャパン(株)製
*3:O.D.O(商品名)、日清オイリオグループ(株)製
*4:サルケアSC96(商品名)、BASF社製
*5:Tinovis ADM(商品名)、BASF社製
*6:NIKKOL TL−10(商品名)、日光ケミカルズ(株)製
*7:レオパールMKL2(商品名)、千葉製粉(株)製
*8:DRYFLO PURE(商品名)、アクゾノーベル(株)製
*9:NIKKOL MGS−ASE(商品名)、日光ケミカルズ(株)製
*10:アミソフトGS−11P(F)(商品名)、味の素(株)製
<実施例2>
実施例1の油性原液に使用した乳化増粘剤の代わりに「アクリレーツコポリマーNa/ミネラルオイル/PPG−1トリデセス−6」(*5)を用いた以外は、実施例1と同様に二液吐出型エアゾール製品を製造した。
<実施例3>
含水原液に改質剤を使用しなかった以外は、実施例1と同様に二液吐出型エアゾール製品を製造した。
<実施例4>
実施例1の油性原液に使用した油分の代わりに「オリーブ油」(*2)を用いた以外は、実施例1と同様に二液吐出型エアゾール製品を製造した。
<実施例5>
実施例1の油性原液に使用した油分の代わりに「トリ(カプリル・カプリン酸)グリセリル」(*3)を用いた以外は、実施例1と同様に二液吐出型エアゾール製品を製造した。
<比較例1>
油性原液に乳化増粘剤を使用しなかった以外は、実施例1と同様に二液吐出型エアゾール製品を製造した。
<比較例2>
油性原液に乳化増粘剤を加えず、含水原液に乳化増粘剤を加えた以外は、実施例2と同様に二液吐出型エアゾール製品を製造した。
<比較例3>
含水原液に、油分とケン化剤を使用しなかった以外は、実施例1と同様に二液吐出型エアゾール製品を製造した。
<比較例4>
含水原液に、油分とケン化剤を使用せず、親水性粘度調整剤を使用した以外は、実施例1と同様に二液吐出型エアゾール製品を製造した。
実施例1〜5および比較例1〜4で調製したエアゾール製品について、以下の評価方法にしたがって、吐出安定性および吐出物を混合した時の状態変化を評価した。結果を表3に示す。
(吐出安定性)
エアゾール製品を25℃の恒温水槽中に1時間浸漬した後に、5秒間吐出し、吐出を止め、その後、再度5秒間吐出する操作を、内容物が無くなるまで繰り返し、下記の評価基準にしたがって吐出安定性を評価した。
(評価基準)
○:エアゾール製品は、吐出物が詰まることなく全量吐出することができた。
×:エアゾール製品は、途中で通路が詰まり、全量吐出することができなかった。
(吐出物を混合した時の状態変化)
エアゾール製品を25℃の恒温水槽中に1時間浸漬した後に、手のひらに5g吐出し、指で吐出物を混合した際に下記の評価基準にしたがって評価した。
(評価基準)
◎:2液を混合するとワックス状に変化し、粘度が混合前と比べて2倍以上増加した。
○:2液を混合するとワックス状に変化し、粘度が混合前と比べて1.5〜1.9倍増加した。
×:2液を混合しても状態変化せずに、粘度が混合前と比べてほぼ変化が無いか、または、低くなった。
表3に示されるように、実施例1〜5のエアゾール製品は、全量を吐出することができ、かつ、吐出物を混合すると、ワックス状に増粘した。その結果、ワックス状の高粘度な吐出物を、エアゾール製品の形態で提供し得ることが分かった。
一方、油性原液に乳化増粘剤を配合しなかった比較例1のエアゾール製品は、2液を混合した場合であってもほとんど増粘せず、ワックス状の吐出物が得られなかった。また、油性原液に乳化増粘剤を配合せず、含水原液に乳化増粘剤を配合した比較例2のエアゾール製品は、含水原液がワックス状になり、数回吐出すると、吐出通路で詰まり全量吐出することができず、かつ、2液を混合した場合であっても増粘せず、ワックス状の吐出物が得られなかった。また、含水原液に油分とケン化剤を使用しなかった比較例3のエアゾール製品は、2液を混合した場合であっても増粘せず、ワックス状の吐出物が得られなかった。さらに、含水原液に油分とケン化剤を使用せず、親水性粘度調整剤を配合した比較例4のエアゾール製品は、2液を混合した場合であってもほとんど増粘せず、ワックス状の吐出物が得られなかった。