JP6537778B2 - 環境負荷軽減装置および施工方法 - Google Patents
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図12〜図15に基づいて、従来の桟橋施工について説明する。
図12は、従来の桟橋施工を示す斜視図であって、桟橋パネル71をクレーンで設計位置(延設予定位置)に運搬して吊り降ろしている様子を示している。
図13は、図12の後工程を示す斜視図であって、延設した桟橋パネル71をガイドに利用し、管状杭73を地盤に打ち込んでいる様子を示している。
図14は、桟橋施工をはじめとする各種杭打設工で用いる削孔装置90を示している。
図15は、削孔装置90を利用して管状杭73を打設している様子を示している。
次に、図14に基づいて、上述した桟橋施工などにおける杭打設で用いる削孔装置について説明する。
ドリルロッド93はダウンザホールハンマ94を含んで構成されており、該ハンマは、打撃力発生用のピストンを内部に具備している。ドリルロッド93の上端側は、略スリーブ状の排土キャップ92の内側を通って、回転駆動装置91に連結されている。一方、ドリルロッド93の下端にはハンマービット95が設けられている。
杭打ちの際には、図14に示すように管状杭73の内空部にドリルロッド93を挿通させ、管状杭73の先端からハンマービット95を突き出した状態・拡径させた状態で対象地盤を掘削する。
図14及び図15は、桟橋施工において、削孔装置90(施工機材)を用いて対象地盤を削孔すると同時に、該削孔装置で管状杭73を地盤に打ち込んでいる様子を示している。
防音機能および掘削ずり飛散防止機能の少なくとも一方を具備する遮蔽手段を前記導材の下方に吊設する工程と、
打設または削孔の対象地盤の上方に前記導材を設置する工程と、
前記導材に前記施工機材および/または前記杭材を通して前記遮蔽手段で遮蔽した状態で打設または削孔を実施する工程と、を含む施工方法によって達成される。
打設または削孔の対象地盤の上方に前記導材を設置する工程と、
防音機能および掘削ずり飛散防止機能の少なくとも一方を具備する遮蔽手段を前記導材の下方に吊設する工程と、
前記導材に前記施工機材および/または前記杭材を通して前記遮蔽手段で遮蔽した状態で打設または削孔を実施する工程と、を含む施工方法によって達成される。
このような遮蔽手段を備えることで、打設する杭材やその際に利用する施工機材などを当該遮蔽手段で周辺環境から遮って、杭打設工や削孔などで生ずる様々な騒音を低減させることができるとともに、掘削ずりの飛散を防止できるので、周辺環境に配慮した施工が可能になる。したがって、上述のような多岐にわたる事由により周辺環境に配慮した施工が求められる現場においても、ダウンザホールハンマなどをはじめとする各種の打設機材を利用することが可能になる。
また、吊設手段を備えることで、導材の下方に遮蔽手段を吊り下げることが可能になり、導材を用いた打設工や削孔において遮蔽手段等のセッティングが容易になる。
吊設した遮蔽手段は、風の影響などを受けると靡くため、特に強風時には使い難くなる虞がある。しかし例えば、導材下方に吊設した遮蔽手段を、杭材打設や削孔などの作業開始前までは縮退状態(コンパクトに畳み込んだ状態)に固定しておくことで風の影響などを受け難くなるので、強風時などにおいて遮蔽手段が破損するといった事態を可及的に防止することが可能になる。
また、遮蔽手段を伸縮自在に構成することで、該遮蔽手段に施工機材や杭材を通した後で容易に伸展させることができるので、該遮蔽手段を伸縮自在に構成してもその防音機能や飛散防止機能を妨げることはない。
また、本発明の杭打設方法では、導材に杭材や施工機材を通した状態で打設や削孔を行うようになっているので、当該導材によって杭材や施工機材の直進性が維持されるとともに、これを遮蔽する遮蔽手段によって周辺環境の保全(騒音低減や掘削ずりの飛散防止など)が図られるといった格別の効果が達成される。
また、このような方法によれば、シートなどを人力にて手作業で巻き付けるために導材の下方に専用足場などを設ける必要が無くなるので、省力で環境保全効果を得ることができる。
なお、本発明の杭打設方法では、遮蔽手段を取り付ける工程と、導材を所定位置に設置する工程の実施順序や前後関係は特に限定されない。例えば、はじめに、施工対象地盤の上方に導材を設置し、その後で、該導材の下方に遮蔽手段を吊設するようにしてもよい。
また、作業員が高所から地盤面に降りて遮蔽シートなどを巻き付ける、といった煩雑な作業が不要になるので、防音のための準備作業が省力で簡単である。
したがって、掘削ずりの飛散を抑制することで、人跡未踏の傾斜地に生息する希少植物の植生を保護したり、稀に地層により自然由来の人体に有害な影響を及ぼす虞のある重金属など物質が含まれることのある掘削ずりの拡散を抑止することで作業者の安全と環境負荷の軽減を図るなどという、特段の技術的意義のある優れた作用効果が得られる。
はじめに、図1及び図2に基づいて環境負荷軽減装置の構成について説明する。
図1は、環境負荷軽減装置の筒状カバー1を導材31(ガイド手段)の下方に吊設した状態を示す正面図である。
図2は、環境負荷軽減装置の一部を構成する筒状カバー(遮蔽手段)を示す分解図である。
周辺環境に対する負荷について具体例を挙げて説明すると、例えば、
(1) 杭材打設時や削孔時の騒音(掘削や杭の打ち込みの際の打撃音など)、
(2) 杭材打設時や削孔時に生じる掘削ずり等の周辺への飛散、
などが挙げられる。
打設する杭材35が挿通可能な遮蔽手段である伸縮自在の筒状のカバー1と、
導材31の下方にカバー1を吊設するための吊設手段であるワイヤー3と、
このワイヤー3を介してカバー1を上げ下げするための手動式ウインチ5と、
を有している。
(1) 打設や削孔用の機材を(例えば削孔装置や打ち込み装置)をガイドするための導材、
(2) 杭打設や削孔時に併用する鋼管類(例えば孔壁保護管)をガイドするための導材、
(3) 打設する鋼管類(例えば桟橋の支持杭)をガイドするための導材、
(4) 土留杭、抑止杭などの各種杭材の打設時に利用する導材(地盤面との間に離隔を空ける導材)、
などの、各種導材に広く適用することができる。
また、遮蔽手段が具備する防音機能および/または掘削ずり飛散防止機能は、必ずしも
、施工現場の全周に及ぶものでなくてもよく、例えば、一方向(正面側など)に対してのみ防音機能および/または掘削ずり飛散防止機能を発揮するように構成してもよい。したがって、本発明における遮蔽手段の構成は、必ずしも本実施形態で採用するような筒状カバーに限定されるものではなく、スクリーン状(面状)の遮蔽シートで構成してもよい。また、このようなスクリーン状のシートを複数組み合わせて周囲を囲う遮蔽手段を構成してもよい。
また、遮蔽手段として筒状カバー1を採用する場合、その断面形状の輪郭は必ずしも円形に限定されるものでなく、断面略楕円形や断面略多角形状などの筒状カバーを採用することも可能である。
次に、本発明の適用事例として桟橋工における支持杭の打設を挙げて、添付図面に基づいて杭打設方法の具体的手順について説明する。なお、本実施形態はあくまでも一例であって、本発明の適用対象は桟橋工に限定されるものではなく、土留杭や抑止杭などの各種杭材を打設する施工や削孔に広く適用可能であることに留意されたい。
はじめに、桟橋構築完了部分(図12参照)の橋面上に、H形鋼などからなる受け材41を敷き並べ、その上に導材31(ガイド手段/桟橋パネル)を地組みする。図4に完成状態の導材31の拡大平面図を示す。なお、この工程で組み立てる導材31は、従来技術との関係で説明した図12及び図13に示す桟橋パネル71と同様の構成を備えている。
続いて、図3Bに示すように、受け桁41の上で地組みした導材31に、専用足場37を設置する。
なお参考までに、図5の拡大平面図には、導材31に専用足場37を設置した状態を示し、図6には、それを分解した状態を示す。
図5及び図6に示すように、専用足場37には、導材31の杭ガイド管53の真上に位置するように開口部38が形成されており、この開口部38と導材の杭ガイド管53に杭材35を通した状態で、当該杭材が打設される。
また図6に示すように、専用足場37の開口部38のそれぞれの周囲には、前述した環境負荷軽減装置の一部をなす「一対の手動式ウインチ5,5」が取り付けられている。
続いて、受け桁41の上で地組みした導材31の下方に、前述した環境負荷軽減装置の一部をなす筒状カバー1を三基ぶら下げて吊設する。このとき必要であれば、一体となった導材31及び専用足場37を吊り上げて、導材1の真下で吊設作業を進めるようにしてもよい。
図3Dに示す桟橋構築完了部分は、主として、上部構造とそれを支える下部構造とで構成されている。桟橋構築完了部分は、図12及び図13に示す従来技術と同様に、完成予定の桟橋全体の一部分の構造物であるが、構築済みの当該部分(図示する構造物部分)だけであっても、上部構造と下部構造を具備する構台として機能する。したがって、桟橋構築完了部分は機械足場として利用可能であり、各種施工用機材や重機をその上に搬入することが可能である。
次に、専用足場37の開口部38と(図5及び図6参照)、片持ち状態の導材31の杭ガイド管53と、筒状カバー1のそれぞれに杭材35を通して、該杭材を杭心位置にセットする。次いで、当該杭材35を打設するための施工機材である「削孔装置」を、この杭材に挿入し、削孔位置にセットする。なお、前述したとおり、この工程で筒状カバー1に杭材35を通した後で、この筒状カバーを筒状に伸展させてもよい。
上述した作業を経て、杭材35と削孔装置90のセッティングと打設開始の準備が完了したら、ウインチ5のワイヤー3を繰り出して(図1参照)、筒状に伸展させた状態の蛇腹構造のカバー1を吊り降ろし、削孔装置90からの騒音発生位置(想定される打撃音等の騒音発生位置)に近づける。本実施形態では、一例として、図3Fに示すとおり、筒状カバー1の下端が地盤面に接地して削孔部の上端を覆い、地盤面から約数mの高さの杭材部分が筒状カバー1で取り囲まれるように、当該筒状カバー1を吊り降ろして所定の防音位置・飛散防止位置にセットしている。
上記工程を経て、必要本数の杭材(本実施形態では導材1つあたり杭材3本)の打設が完了したら、杭材35から削孔装置90を引き抜き、続いて、繰り出していたワイヤー3をウインチ5で巻き戻して(図1参照)、筒状カバー1を導材31の近くまで吊り上げる。
次に、専用足場37上にいる作業員が引掛け棒などの器具を使い、図3H(1)に示すように、筒状カバー1のそれぞれから2本の止めワイヤー28を引抜く。すると、2つの半割れ部分21,22の連結状態が解けて、図3H(2)に示すように筒状カバー1が二分して、半割れ部分21,22が相互に離隔する。続いて、図3H(3)に示すように、半割れ部分21,22がそれぞれ専用足場37に連結された状態のまま、該専用足場37をクレーンで吊り上げて導材31から撤去する。そして、この工程で回収した筒状カバー1は、次回延設予定の導材31を地組みする際に再利用され、その下方に吊設される。
打設したすべての杭材35の各頭部を、導材31の杭ガイド管53に進入した状態で固定して一体化させる。これにより、導材31及びその上に載せる各種機材や重機等の荷重が、打設された杭材35によって支持される。
上述した実施形態は、本発明の実施形態の一例であって、本発明は様々な形態で実施することが可能である。以下、本発明のその他の実施形態について説明する。
例えば図9に示すように、遮蔽手段をなす垂れ幕状の4枚の遮蔽スクリーン1bを、導材の下方において四方に吊り下げ、この遮蔽スクリーン1bによって施工時の周辺環境への負荷(騒音や掘削ずりの飛散)を軽減するようにしてもよい。
なお、上記スクリーン格納ケージ7は、遮蔽スクリーン1dの下端に取り付けられていることにより、ちょうどロールスクリーン(ロールカーテン)のウエイトバーのように機能し、風などの影響による遮蔽スクリーン1dのよれ、ねじれ、はためき、ばたつき等を抑制することができる。このことにより、本技術分野の現場に常時発生する可能性がある山谷風、海風、ビル風などの影響による遮蔽スクリーン設置・固定の困難を緩和・解消でき、より効率良く確実に施工の環境負荷低減の目的を達成することができる。
また、「施工機材」とは、上述した実施形態で用いたダウンザホールハンマドリルを具備する削孔装置のほか、導材によってガイド可能な各種削孔装置や掘削装置、打設装置、打ち込み用の装置などを広く含むものである。
さらに、上記施工機材には、孔壁保護管などのケーシングを具備する削孔装置や掘削装置も含まる。このケーシング(孔壁保護管)は、削孔後に地中に残置されてもよく、あるいは、施工機材とともに地中から引き抜いてもよい。
1b 遮蔽スクリーン(遮蔽手段/防音手段/掘削ずり飛散防止手段)
1c 包囲カバー(遮蔽手段/防音手段/掘削ずり飛散防止手段)
1d 遮蔽スクリーン(遮蔽手段/防音手段/掘削ずり飛散防止手段)
3 ワイヤー(吊設手段)
4 ワイヤー(吊設手段)
5 ウインチ(上げ下げ手段)
6 ワイヤー(吊設手段)
7 スクリーン格納ケージ(籠状構造物)
21 半割れパイプ状の半割れ部分
22 半割れパイプ状の半割れ部分
23 略C字状の骨材
25 遮蔽シート
26 止め金具(孔あきプレート)
27 引掛けリング(環状部材)
28 止めワイヤー
31 導材(桟橋パネル/ガイド手段)
31’ 桟橋パネル
35 杭材(管状杭/支持杭)
35’ 杭材(管状杭/支持杭)
37 専用足場
38 開口部
41 受け材
43 反力ポール
44 チェーンブロック
51 メインフレーム
52 横桁
53 杭ガイド管(杭頭固定管)
55 連結部材
71 桟橋パネル
73 管状杭(支持杭)
90 削孔装置(打設装置/施工機材)
91 回転駆動装置(オーガー/掘進機)
92 排土キャップ
93 ドリルロッド
94 ダウンザホールハンマ
95 ハンマービット
Claims (8)
- 施工機材および/または杭材をガイド可能な導材を用いた工事で利用される装置であって、周辺環境に対する負荷を軽減する装置において、
前記導材を利用した施工時における防音のための、および/または、前記導材を利用した施工時における掘削ずり飛散防止のための遮蔽手段と、
前記導材の下方に前記遮蔽手段を吊設するための吊設手段と、
前記遮蔽手段を上げ下げするためのウインチと、
を有する環境負荷軽減装置。 - 前記遮蔽手段は、
一方向または複数方向に対する防音機能、および/または、一方向または複数方向に対する掘削ずり飛散防止機能を具備するように構成されている、ことを特徴とする請求項1に記載の環境負荷軽減装置。 - 前記遮蔽手段は、前記導材と地盤面との間において施工機材および/または杭材の少なくとも一部を遮蔽可能に構成されている、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の環境負荷軽減装置。
- 前記遮蔽手段は分割可能または開閉可能に構成されている、ことを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の環境負荷軽減装置。
- 前記遮蔽手段は伸縮自在に構成されている、ことを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の環境負荷軽減装置。
- 打設または削孔を伴う工事であって、施工機材および/または杭材をガイド可能な導材を用いるとともに、請求項1に記載の環境負荷軽減装置を用いる工事の施工方法において、
前記導材を利用した施工時における防音のための、および/または、前記導材を利用した施工時における掘削ずり飛散防止のための遮蔽手段を前記導材の下方に吊設する工程と、
打設または削孔の対象地盤の上方に前記導材を設置する工程と、
前記導材に前記施工機材および/または前記杭材を通して前記遮蔽手段で遮蔽した状態で打設または削孔を実施する工程と、を含む施工方法。 - 打設または削孔を伴う工事であって、施工機材および/または杭材をガイド可能な導材を用いるとともに、請求項1に記載の環境負荷軽減装置を用いる工事の施工方法において、
打設または削孔の対象地盤の上方に前記導材を設置する工程と、
前記導材を利用した施工時における防音のための、および/または、前記導材を利用した施工時における掘削ずり飛散防止のための遮蔽手段を前記導材の下方に吊設する工程と、
前記導材に前記施工機材および/または前記杭材を通して前記遮蔽手段で遮蔽した状態で打設または削孔を実施する工程と、を含む施工方法。 - 前記遮蔽手段を地盤面に近づくように吊り降ろした状態で打設または削孔を実施する、ことを特徴とする請求項6又は7に記載の施工方法。
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