JP3169911B2 - 重錘式鋼管中掘打込み装置およびこれを用いた重錘式鋼管中掘打込み工法 - Google Patents

重錘式鋼管中掘打込み装置およびこれを用いた重錘式鋼管中掘打込み工法

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JP3169911B2 JP33082498A JP33082498A JP3169911B2 JP 3169911 B2 JP3169911 B2 JP 3169911B2 JP 33082498 A JP33082498 A JP 33082498A JP 33082498 A JP33082498 A JP 33082498A JP 3169911 B2 JP3169911 B2 JP 3169911B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、砂層、シルト、粘
土層などの地層と転石層、巨礫層、岩盤層などの地層と
からなる複合地盤を対象として、打込みと中掘りとを併
用しながら前記複合地盤に対して鋼管杭を連続的に貫入
させるようにした重錘式鋼管中掘打込み装置およびこれ
を用いた重錘式鋼管中掘打込み工法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、鋼管杭を岩盤または礫層など
の支持層まで貫入させるためには、まず上層側のシル
ト、粘性土などの沖積層に対してバイブロハンマーやデ
ィーゼルパイルハンマーなどによって杭頭に振動や衝撃
を与えながら岩盤または礫層からなる支持地盤の直前ま
で貫入し、その後ロータリー式削孔機によって所定の根
入れ深さまで掘削した後、再びバイブロハンマーまたは
ディーゼルパイルハンマーによって鋼管杭を貫入させる
手順によって鋼管杭の打設を行っていた。
【0003】しかし、この方法では杭貫入工程が実質的
に3工程になるとともに、各工程毎に異なる施工機械を
必要とするため、施工機械の取替えに手間が掛かり作業
が効率化しない、施工設備が多岐に亘るため施工費が嵩
むとともに、工期も長期化するなどの問題があった。
【0004】このような問題を一挙に解決するものとし
て提案されたのが重錘式鋼管中掘打込み工法である。こ
の工法に係るものとしては、たとえば特公昭60−39
809号公報、特公平2−15694号公報などを挙げ
ることができる。
【0005】この工法の開発当初は、専ら陸上部におけ
る鋼管杭貫入を対象として施工が行われており、三点式
杭打ち機のリーダーに、中掘り用重錘、掘削ズリ排出用
ズリ排出管および鋼管杭打撃用油圧ハンマーを装備し、
中掘りと打込みとを併行して行いながら大口径鋼管杭を
岩盤に直接貫入させるようにしていた。
【0006】その後、海上施工に対する要求のために開
発されたのが重錘式鋼管中掘併用吊打ち工法である。具
体的には、大型基礎構造物を海峡部に築造するためのジ
ャケット式桟台を周囲に構築するために採用されたもの
で、図13に示されるように、三点式杭打ち機のリーダ
ーに代わるフレーム枠体状の架構50(以下、フライン
グリーダーという。)内に中空型油圧ハンマー51を組
込むとともに、ズリ排出管52を中央に縦方向に長手通
しで固定配置し、このズリ排出管52の下端部に対して
このズリ排出管52を貫通させた状態で中掘り用重錘5
3を設け、この中掘り用重錘53を引き上げ/落下する
ためにワイヤー54によって吊持した装置である。
【0007】鋼管杭Pの打込みに当たっては、前記重錘
式中掘吊打ち装置49を起重機船56によって吊り上げ
るとともに、前記中掘り用重錘53の引き上げを行うた
め起重機船56上に艤装された重錘用油圧ウインチに対
して前記ワイヤー54を巻き掛けした後(図示せず)、
油圧ハンマー51の下端側に連結された雇い杭(ヤット
コ)55を地盤上に直立支持された鋼管杭Pの頭部に貫
入し、かつ前記起重機船56によって重錘式中掘吊打ち
装置49を吊り状態で保持したまま、鋼管杭Pの内部で
前記中掘り用重錘53を引き上げては自由落下を繰り返
すことによって鋼管杭先端の岩盤を打撃破砕するととも
に、油圧ハンマー51によって鋼管杭頭部に打撃を与え
ることにより最終深さまで鋼管杭Pを貫入させるように
する。なお、中掘り用重錘53によって破砕されたズリ
は、ズリ排出管52を通じて系外に排出される。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記重
錘式鋼管中掘併用吊打ち工法の場合には、鋼管杭Pの打
込み開始から終了までの間、起重機船56によってフラ
イングリーダー50を吊り続けていなければならず、1
台の重錘式中掘吊打ち装置49に対して1台の起重機船
56を張り付けて配置しなければならないなどの問題が
あった。すなわち、一般的に杭打ち作業は、作業の効率
化を図るため、複数台の重錘式中掘吊打ち装置49によ
って併行的に行われるため、重錘式中掘吊打ち装置49
の数だけ大型の起重機船56を用意しなければならず、
起重機船56の損料が嵩み、施工費が膨大となるなどの
問題が生じていた。
【0009】また、中掘り用重錘53の引き上げ・落下
を行うためのワイヤ操作は、起重機船56に設置された
重錘用油圧ウインチによって行うようにしていたため、
ワイヤの延長が長くなり、中掘り用重錘53を吊り上げ
ている2本のワイヤ54,54を均等に同調させて操作
することが困難となり、片方のワイヤ54に過度の張力
が作用したり、ワイヤ54に捻れが発生するなどしてワ
イヤ寿命が非常に短くなってしまうなどの問題も生じて
いた。
【0010】そこで本発明の主たる課題は、起重機船の
拘束を最小限にし、1台の起重機船によって複数台の重
錘式中掘杭打ち装置による施工を可能として作業の効率
化並びに工費削減を図るようにするとともに、中掘り用
重錘操作用ワイヤの操作延長を短くすることによりワイ
ヤ張力の均一化を図り、従来頻繁に発生していたワイヤ
交換の手間を省力化すること、さらには異なる径の鋼管
杭に対して汎用的に使 用可能とすることにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決し得る
求項1記載の重錘式鋼管中掘打込み装置は、打込みされ
る鋼管杭の頭部に対して直接的または他部材を介在させ
て間接的に搭載され、鋼管杭に対して打撃を加えること
によって前記鋼管杭を地盤中に貫入させる杭用打撃装置
と、この杭用打撃装置からの衝撃を吸収可能な状態で杭
用打撃装置の周りに一体的に取り付けられたフレーム枠
体状の架構と、このフレーム枠体状の架構より垂下さ
れ、鋼管杭の内部に挿入されるズリ排出管と、中央に軸
貫通孔部を有し前記ズリ排出管が貫通された状態で前記
ズリ排出管の下端部に配置された中掘り用重錘と、前記
フレーム枠体状の架構に対して一体的に設けられた機器
設置架台と、この機器設置架台上に配置されたパワーユ
ニット、ウインチ類、各種シーブ類等の少なくとも前記
杭用打撃装置および中掘り用重錘を稼働できる設備機器
一式と、前記フレーム枠体状の架構下部に設けられた各
種鋼管杭径に適合させるためのアジャスタブルガイド装
置と、から構成されたことを特徴とするものである。
【0012】また、請求項2記載の重錘式鋼管中掘打込
み装置は、打込みされる鋼管杭の頭部に対して直接的ま
たは他部材を介在させて間接的に搭載され、鋼管杭に対
して打撃を加えることによって前記鋼管杭を地盤中に貫
入させる杭用打撃装置と、この杭用打撃装置からの衝撃
を吸収可能な状態で杭用打撃装置の周りに一体的に取り
付けられたフレーム枠体状の架構と、このフレーム枠体
状の架構より垂下され、鋼管杭の内部に挿入されると共
に管長手方向に伸縮自在に構成されたズリ排出管と、中
央に軸貫通孔部を有し前記ズリ排出管が貫通された状態
で前記ズリ排出管の下端部に配置された中掘り用重錘
と、前記フレーム枠体状の架構に対して一体的に設けら
れた機器設置架台と、この機器設置架台上に配置された
パワーユニット、ウインチ類、各種シーブ類等の少なく
とも前記杭用打撃装置および中掘り用重錘を稼働すると
ともに、前記ズリ排出管の伸縮操作を行うための設備機
器一式とから構成されたことを特徴とするものである。
この場合、前記第1の重錘式 鋼管中掘打込み装置と同様
に、前記フレーム枠体状の架構下部に各種鋼管杭径に適
合させるためのアジャスタブルガイド装置を設けてある
ことが望ましい(請求項3)。また、前記伸縮自在のズ
リ排出管は、内管および外管からなる伸縮管路部を1ま
たは複数段に亘って備えており、伸縮操作ワイヤの下端
部を最下段伸縮管路部の下端部に連結固定し、前記伸縮
操作ワイヤの巻き上げ/繰り出し操作によってズリ排出
管長が制御されるようにした構造とすることができる。
(請求項4)。
【0013】本発明装置と従来装置との大きな相違点
は、本発明装置の場合には基本的に起重機船によって吊
り保持されていなくても、及びウインチやパワーユニッ
トなどの機器類が配置された起重機船や台船などが傍に
居なくても装置単独で杭打撃装置および中掘り用重錘を
稼働でき、杭打ちが出来るようにした点にある。具体的
には、フレーム枠体状の架構に対して一体的に機器設置
架台を設け、この機器設置架台上に装置の稼働に必要な
設備一式を配置するようにしている。また、従来装置の
場合には常に装置全体を吊り上げた状態で前記油圧ハン
マーを稼働させるという前提の下、フレーム枠体状架構
と油圧ハンマーとはボルト等によって堅固に一体化さ
れ、フレーム枠体状架構に伝播される振動や衝撃に対す
る配慮は一切成されていないが、本発明装置の場合に
は、フレーム枠体状架構に機器設置架台が設けられ、施
工に必要な機器類が装備されているため、極力、油圧ハ
ンマーからの振動や衝撃がフレーム枠体状の架構に伝わ
らないように、フレーム枠体状架構と油圧ハンマーとは
衝撃を吸収できるような構造により一体化されている。
たとえば、後述のように、フレーム枠体状の架構内部に
油圧ハンマーを上吊りワイヤと下吊りワイヤとによって
中空位置に保持することによって振動や衝撃が伝わらな
いようになっている。この場合、フレーム枠体状の架構
を起重機船で吊り上げた状態では、上吊りワイヤによっ
て油圧ハンマーが吊持され、油圧ハンマーが鋼管杭頭部
に搭載された状態では、下吊りワイヤによってフレーム
枠体状の架構が吊持される。
【0014】前記請求項2記載の重錘式鋼管中掘打込み
装置は、特にズリ排出管を長手方向に伸縮自在としたも
のであり、後述のように、ズリ排出管を収縮させた状態
で油圧ハンマーによって鋼管杭の貫入を行い、鋼管杭を
自立させた後、ズリ排出管を伸ばしながら中掘り用重錘
を鋼管杭の下端近傍まで下降させることができるように
なっている。
【0015】また本発明では、フレーム枠体状の機器設
置架台上に置かれたウインチから繰り出されるワイヤに
よって中掘り用重錘が昇降制御されるようになるため、
中掘り用重錘用ワイヤの操作延長が短くなり、ワイヤ張
力の均一化が図れると共に、捻れなどが防止されるよう
になるため、従来頻繁に発生していたワイヤ交換の手間
が省力化されるようになる。さらに、フレーム枠体状の
架構下部に各種鋼管杭径に適合させるためのアジャスタ
ブルガイド装置を設けることにより、異なる径の鋼管杭
に対して汎用的に使用可能となる。
【0016】他方、第1態様に係る鋼管杭の打込み方法
は、打込みされる鋼管杭の頭部に対して直接的または他
部材を介在させて間接的に搭載され、鋼管杭に対して打
撃を加えることによって前記鋼管杭を地盤中に貫入させ
る杭用打撃装置と、この杭用打撃装置からの衝撃を吸収
可能な状態で杭用打撃装置の周りに一体的に取り付けら
れたフレーム枠体状の架構と、このフレーム枠体状の架
構より垂下され、鋼管杭の内部に挿入されるズリ排出管
と、中央に軸貫通孔部を有し前記ズリ排出管が貫通され
た状態で前記ズリ排出管の下端部に配置された中掘り用
重錘と、前記フレーム枠体状の架構に対して一体的に設
けられた機器設置架台と、この機器設置架台上に配置さ
れたパワーユニット、ウインチ類、各種シーブ類等の少
なくとも前記杭用打撃装置および中掘り用重錘を稼働で
きる設備機器一式と、から構成された重錘式鋼管中掘打
込み装置を用いた鋼管杭の打込み方法であって、杭下端
部を地盤に当接させた状態で打込み対象の鋼管杭を直立
的に保持し、前記重錘式鋼管中掘打込み装置を起重機船
によって吊持して前記鋼管杭の頭部に搭載するととも
に、前記起重機船によって重錘式鋼管中掘打込み装置を
吊り状態で保持したまま、前記杭用打撃装置および/ま
たは中掘り用重錘を稼働することによって前記鋼管杭を
所定の深さ位置まで貫入させたならば、前記起重機船に
よる吊り保持を解放し、その後、頂部に重錘式鋼管中掘
打込み装置を搭載した自立状態のままで鋼管杭の打込み
を継続して行うことを特徴とするものである。
【0017】また、第2態様に係る鋼管杭の打込み方法
は、前記請求項2〜4いずれかに記載される重錘式鋼管
中掘打込み装置を用いた鋼管杭の打込み方法であって、
杭下端部を地盤に当接させた状態で打込み対象の鋼管杭
を直立的に保持し、前記重錘式鋼管中掘打込み装置を起
重機船によって吊持して前記鋼管杭の頭部に搭載すると
ともに、前記起重機船によって重錘式鋼管中掘打込み装
置を吊り状態で保持したまま、前記ズリ排出管を収縮さ
せた状態として前記杭用打撃装置を稼働することによっ
て前記鋼管杭を所定の深さ位置まで貫入させたならば、
前記起重機船による吊り保持を解放し、次いで鋼管貫入
深さを現位置に留めた状態で、中掘り用重錘の引き上げ
と落下とを繰り返し前記ズリ排出管を伸長させながら中
掘り用重錘を鋼管杭の下端近傍位置まで下降させ、その
後、頂部に重錘式鋼管中掘打込み装置を搭載した自立状
態のままで鋼管杭の打込みを継続して行うことを特徴と
するものである。
【0018】これらの鋼管杭の打込み工法においては、
前記鋼管杭を直立的に保持するために、海面近傍に鋼管
杭ガイド枠を予め設置するのが望ましい。
【0019】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て図面を参照しながら詳述する。図1は本発明に係る重
錘式中掘併用杭打ち装置1の上部側側面図、図2はその
下部側縦断面図であり、図3はその全体図である。
【0020】前記重錘式中掘併用杭打ち装置1は、主
に、フレーム枠体状の架構たるフライングリーダー2
と、このフライングリーダー2の上部および下部に一体
的に設けられた機器設置架台3,4と、これら機器設置
架台3,4上に設置されたパワーユニット、ウインチ
類、エアホース用リール、各種シーブ類等の設備機器一
式と、前記フライングリーダー2内に宙吊り状態で配置
された中空油圧ハンマー5と、この中空油圧ハンマー5
の中空を通して縦通しで配置された伸縮可能なズリ排出
管6と、ズリ排出管6を貫通させた状態でズリ排出管6
の下部位置に配設された中掘り用重錘7とから構成され
ている。
【0021】以下、具体的に詳述すると、前記フライン
グリーダー2は、フレーム枠よりなるリーダー本体10
の下部側に鋼管杭P頭部の挿入孔11を有し、かつこの
挿入孔11の周囲には鋼管杭Pの外面に当接する複数の
アジャスタブルガイド装置12,12…を備えている。
このアジャスタブルガイド装置12は、押圧板12a
と、この押圧板12aを前後進させるためのジャッキ1
2bとからなり、貫入される鋼管杭Pの外径に応じて前
記押圧板12aの位置を調整することによって径が異な
っても鋼管杭Pに外面に対して前記押圧板12aをきっ
ちりと押圧接触させることが出来るようにしたものであ
る。後述するように、自立した鋼管杭Pの頭部に対して
中空油圧ハンマー5を搭載させる際に、前記押圧板12
a、12a…が鋼管杭Pの外面に対して押圧させること
によってフライングリーダー2が堅固に支持されるよう
になっている。なお、中空油圧ハンマー5の直下部には
複数径の鋼管杭Pに対応できるように接合用ブロック金
物16が固定されており、この接合用ブロック金物16
の下面に鋼管径毎に設けられた所定の係合溝に対して鋼
管杭Pの頭部縁が係合するようになっている。
【0022】一方、フライングリーダー2の頂部4カ所
には、それぞれ吊りピース13,13…が設けられてお
り、起重機船によって吊持できるようになっている。
【0023】このフライングリーダー2の内部に配置さ
れる中空油圧ハンマー5は、フライングリーダ2の上部
と中空油圧ハンマー5の上部との間に掛け渡されたワイ
ヤーロープ14,14と、中空油圧ハンマー5の上部と
フライングリーダー2の下部との間に掛け渡されたワイ
ヤーロープ15,15…によってフライングリーダー2
の内部に宙吊り状態で支持されている。すなわち、起重
機船でフライングリーダー2を吊持した際には中空油圧
ハンマー5が吊り支持され、鋼管杭Pの頭部に中空油圧
ハンマー5を搭載させた際には逆にフライングリーダー
2が中空油圧ハンマー5によって吊り状態で支持される
ようになっている。
【0024】他方、前記フライングリーダー2の上部お
よび下部にはそれぞれ機器設置架台3,4が一体的に設
けられている。この機器設置架台3,4には、杭打ち作
業に必要なパワーユニット、ウインチ類、エアホース用
リール、各種シーブ類等の機器が設置される。具体的に
は、上部機器設置架台3には、ズリ排出管6に供給され
るリフト用エアを供給するためのエアホースリール1
7,17と、中掘り重錘操作ワイヤー用シーブ18と、
伸縮自在のズリ排出管6のズリ管長を調整するためのズ
リ排出管操作ワイヤー用シーブ19などが設置されてい
る。また、下部機器設置架台4には中掘り重錘用ウイン
チ21と、ズリ排出管用ウインチ22と、ウインチ用パ
ワープラント23と、油圧ハンマー用パワープラントな
どの機器が設置されている。これらの機器設置架台3,
4には、作業員が機器操作や点検保守などのために昇る
ことがあるため、落下防止のために周囲にはすべて柵が
設けられている。
【0025】他方、ズリ排出管6は中空油圧ハンマー5
およびフライングリーダー2を上下方向に貫通する上部
固定管路部16Aと、伸縮管路部16Bと、下部上段固
定管路部16Cと、下部下段固定管路部16Dとから構
成されている。図3(A)がズリ搬出管6を全伸長した
状態の全体図であり、図3(B)はズリ排出管6を全収
縮した状態の全体図である。
【0026】前記伸縮管路部16Bは、詳細には図4に
示されるように、上部側から上部接続管25,第1伸縮
管26、中間接続管27,第2伸縮管28,中間接続管
29、第3伸縮管30、下部接続管31の順に構成され
ており、前記第1〜第3伸縮管26,28,30が管長
手方向に伸縮できるようになっている。代表的に第1伸
縮管26について説明すると、第1伸縮管26は内管3
2と外管33とから構成されており、前記内管32は上
部側に位置する上部接続管25の下面側にボルトによっ
て連結され、一方外管33は内径をほぼ内管32と同じ
くし、内面側にシールのためにOリングが配設された第
1外管部33Aとその下側に連設された内管外径よりも
若干内径の大きい第2外管部33Bと、さらにこの第2
外管部33Bの下端側に連設された第3外管部34とか
ら構成され、前記第1及び第2外管部33A、33Bに
対して内管32が挿入されることによって管長手方向に
伸縮可能となっている。
【0027】前記伸縮管路部16Bの伸縮制御は、前記
機器設置架台4に設置されたズリ排出管用ウインチ22
から繰り出された2条の伸縮管操作ワイヤ35A、35
Bを前記第3伸縮管30の下端部に連結固定し、伸縮管
操作ワイヤ35A、35Bの巻き上げ/繰り出し操作に
よって前記伸縮管路部16Bの長さが制御されるように
なっている。
【0028】一方、前記ズリ排出管6には、その長手方
向に沿って2本のエア供給ホース36A、36Bが配設
され、これらのエア供給ホース36A、36Bは、下部
上段固定管路部16Cの下端部に接続され、破砕したズ
リをエアリフト方式によって循環水と共に前記ズリ排出
管6を通じて系外に排出するようになっている。排出さ
れたズリと循環水とは、スクリーンによって循環水とズ
リとに大別され、一方のズリは残土タンクに排出され、
他方の循環水(砂分含む。)はサンドポンプによりサイ
クロンに送られ、ここで循環水と砂分とに分離される。
そして、サイクロンオーバーした低比重循環水が再びズ
リ排出管6の上部に送られるようになっている。
【0029】なお、前記エア供給ホース36A、36B
は、伸縮管路部16Bの外管33に対して固定金具37
によって固定され、伸縮管路部16Bの伸縮に同調する
ようになっており、前記固定金具37の上部側では、図
5および図6に示されるように、前記伸縮管操作ワイヤ
35A、35Bとエア供給ホース36A、36Bとは保
護管38の内部に収容されているとともに、この保護管
38の上下端部に配設されたガイドガイドローラ39が
配設され、伸縮管操作ワイヤ35A、35Bとエア供給
ホース36A、36Bとの伸縮が円滑に行われるように
なっている。
【0030】他方、ズリ排出管6の最下部となる下部下
段固定管路部16Dに対して設けられた中掘り用重錘7
は、図7に示されるように、下端部にビット42aを備
えた摺動管42の周囲に対して、同じく下端縁にビット
41,41…を固設した重錘板40、40…を平面視で
放射状に多数固設したものであり、この中掘り用重錘7
の上部側には下部下段固定管路部16Dに外嵌するイコ
ライザ43が設けられ、2条のチェーン44,44に連
結されている。前記イコライザ43には、中掘り重錘用
ウインチ21から中掘り重錘操作ワイヤー用シーブ18
を介して繰り出された2条の重錘用操作ワイヤ45A、
45Bの下端が連結固定されており、前記中掘り重錘用
ウインチ21における巻きドラムの回転制御によって下
部下段固定管路部16Dをガイド管として中掘り用重錘
7が上方に引き上げられた後、一気に張力が解放される
ことにより自由落下し、岩盤を衝撃によって破砕する。
破砕されたズリは、下部下段固定管路部16Dの下端に
設けられたズリ取り込み口16dより管の内部に取り込
まれ、ズリ排出管6を通して外部に排出される。
【0031】以下、前述した重錘式中掘併用杭打ち装置
1を用いて海底に鋼管杭Pを打ち込む方法について、図
8〜図12に基づいて詳述することとする。
【0032】先ず、鋼管杭Pが傾斜した状態で地盤中に
打ち込まれるのを防止するため、準備工として海面近傍
に鋼管杭ガイド枠50を設置する。鋼管杭ガイド枠50
は、図11に示されるように、鋼管杭Pの列方向に沿っ
てかつ中心列線Sを挟んでその両側に導杭52,52…
を打設するとともに、この導杭52,52…の内側に鋼
管杭P方向に沿って縦導枠51、51を配設し、かつ鋼
管杭P分の空間を空けて縦導枠51,51の間に横導枠
53,53…を掛け渡すことによって構成されている。
【0033】なお、前記鋼管杭ガイド枠としては、前記
例に限らずたとえば図12に示されるように、起重機船
または台船60の端縁部より外がわに突出して、縦導枠
61A、61Bおよび横導枠62A、62Bとから構成
された鋼管杭ガイド枠59を設け、貫入させる鋼管杭P
毎に保持するようにしてもよい。
【0034】前記鋼管杭ガイド枠50の中に鋼管杭Pを
挿入して下端部を海底に当接させたならば、鋼管杭Pの
頭部に起重機船によって吊り上げた重錘式中掘併用杭打
ち装置1を設置する。
【0035】前記起重機船によって重錘式中掘併用杭打
ち装置1を吊り状態で保持したまま、図8に示されるよ
うに、中空油圧ハンマー5を稼働し、鋼管杭Pに打撃を
与えながら鋼管杭Pを海底地盤中に貫入させる。この状
態では、ズリ排出管6は収縮させておき、少なくとも鋼
管杭Pが地盤に貫入される際に海底に接触したり、鋼管
杭Pの貫入を阻害しないようにしておく。
【0036】前記鋼管杭Pが任意の所定深さL、本例で
は自立貫入深さLまで達したならば、起重機船によるフ
ライングリーダー2の吊り保持を解放する。この時点
で、起重機船は自由となり別の鋼管杭Pの打設作業に入
ることができるようになる。鋼管杭Pを起重機船によっ
て自立貫入深さLまで貫入させることによって、起重機
船による吊り支持が無くなっても鋼管杭Pは倒れること
なく自立し、その後も鉛直状態を維持したまま安全に杭
打ちが行えるようになる。
【0037】次いで、図9に示されるように、鋼管貫入
深さLを現位置に留めた状態で、中掘り用重錘7の引き
上げと落下とを繰り返し、かつズリ排出管6を伸長させ
ながら中掘り重錘7を鋼管杭Pの下端近傍位置まで下降
させる。
【0038】その後は、図10に示されるように、油圧
ハンマー5によって鋼管杭Pに対する打撃打込みと、中
掘り重錘7の引き上げと落下とを繰り返すことによる中
掘り掘削とを併用しながら鋼管杭Pを予定深さ位置まで
貫入させる。この中掘り・打込み工程においては、地盤
種別に応じて、中掘りおよび打込みの内の一方を先行さ
せながら杭の貫入を行ったり、鋼管杭Pの先端部で中掘
りと打込みとを同時に行うことができる。すなわち、硬
質地盤の場合には中掘りを打込みに先行させることによ
って、鋼管杭Pの先端地盤にクラックを誘発することが
でき、小さな打撃力で鋼管杭Pを打ち込むことができる
ようになり、また軟質地盤の場合には打込みを先行させ
ることにより鋼管杭Pの貫入効率を向上させ得るように
なる。また、中間程度の硬さの地盤の場合には、中掘り
と打込みとを同時に行うことにより貫入効率が向上す
る。
【0039】鋼管杭Pの貫入を前述要領によって継続し
て行い、鋼管杭Pの先端が支持岩盤に達したならば、中
掘りを先行して行った後、油圧ハンマー5による打込み
を行い所定の根入れ深さKまで鋼管杭Pを貫入させたな
らば本鋼管杭の貫入作業を終了し、次の鋼管杭の貫入作
業に入る。
【0040】なお、本例では、鋼管杭Pの貫入鉛直精度
を確保するため、海面付近に鋼管杭ガイド枠50を用い
たが、鋼管杭Pの設置精度が要求されないような場合に
は、前記鋼管杭ガイド枠50を省略し、鋼管杭Pを起重
機船などにより一時的に鉛直保持するようにしてもよ
い。もちろん、この場合には他の支持がなくても鋼管杭
Pが自立できる程度に初期貫入深さLを十分に取る必要
がある。
【0041】以上、ズリ排出管を伸縮自在とした重錘式
鋼管中掘打込み装置1について、その装置構成および施
工方法について説明したが、ズリ排出管を固定長とした
ままとすることもできる。この場合には、初期の油圧ハ
ンマー5による鋼管杭Pの貫入時にズリ排出管が海底に
当接することになるため、前記起重機船によって重錘式
鋼管中掘打込み装置1を吊り状態で保持したまま、中空
油圧ハンマー5による打撃打込みと、中掘り用重錘7に
よる中掘り掘削とを併用しながら鋼管杭Pを所定の深さ
位置まで貫入させた後に、前記起重機船による吊り保持
を解放するようにすればよい。
【0042】
【発明の効果】以上詳説のとおり本発明によれば、起重
機船の拘束を最小限にし、1台の起重機船によって複数
台の重錘式中掘杭打ち装置による施工が可能となるた
め、作業の効率化が図れるようになるとともに、起重機
船の損料軽減により工費削減が図るようになる。また、
中掘り用重錘用ワイヤの操作延長を短くすることがで
き、ワイヤ張力の均一化や捻れ防止により、従来頻繁に
発生していたワイヤ交換の手間を省力化することができ
るようになる。さらには、異なる径の鋼管杭に対して汎
用的に使用可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る重錘式中掘併用杭打ち装置1の上
部側側面図である。
【図2】その下部縦断面図である。
【図3】その全体図であり、(A)はズリ排出管6の全
伸時、(B)はズリ排出管6の全縮時である。
【図4】ズリ排出管6の伸縮管路部16Bの縦断面図で
ある。
【図5】図4のV−V線矢視図である。
【図6】図4のVI−VI線矢視図である。
【図7】中掘り用重錘7部の拡大側面図である。
【図8】鋼管杭の杭打ち手順図(その1)である。
【図9】鋼管杭の杭打ち手順図(その2)である。
【図10】鋼管杭の杭打ち手順図(その3)である。
【図11】鋼管杭ガイド枠の平面図である。
【図12】他の方法による鋼管杭ガイド枠の設置要領図
であり、(A)は側面図、(B)は平面図である。
【図13】重錘式鋼管中掘併用吊打ち装置49の側面図
である。
【図14】従来の重錘式鋼管中掘併用吊打ち工法による
施工要領図である。
【符号の説明】
1…重錘式中掘併用杭打ち装置、2…フライングリーダ
ー、3…上部機器設置架台、4…下部機器設置架台、5
…中空油圧ハンマー、6…ズリ排出管、7…中掘り用重
錘、10…リーダー本体、12…アジャスタブルガイド
装置、17…エアホースリール、18…中掘り重錘操作
ワイヤー用シーブ、19…ズリ排出管操作ワイヤー用シ
ーブ、21…中掘り重錘用ウインチ、22…ズリ排出管
用ウインチ、16A…上部固定管路部、16B…伸縮管
路部、16C…下部上段固定管路部、16D…下部下段
固定管路部、32…内管、33…外管、35A・35B
…伸縮管操作ワイヤ、36A・36B…エア供給ホー
ス、50…鋼管杭ガイド枠、52…導杭、51…縦導
枠、53…横導枠、L…自立貫入深さ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平9−177075(JP,A) 特開 昭52−48210(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) E02D 7/06 E02D 7/16 E02D 7/28 E02D 5/28

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】打込みされる鋼管杭の頭部に対して直接的
    または他部材を介在させて間接的に搭載され、鋼管杭に
    対して打撃を加えることによって前記鋼管杭を地盤中に
    貫入させる杭用打撃装置と、この杭用打撃装置からの衝
    撃を吸収可能な状態で杭用打撃装置の周りに一体的に取
    り付けられたフレーム枠体状の架構と、このフレーム枠
    体状の架構より垂下され、鋼管杭の内部に挿入されるズ
    リ排出管と、中央に軸貫通孔部を有し前記ズリ排出管が
    貫通された状態で前記ズリ排出管の下端部に配置された
    中掘り用重錘と、前記フレーム枠体状の架構に対して一
    体的に設けられた機器設置架台と、この機器設置架台上
    に配置されたパワーユニット、ウインチ類、各種シーブ
    類等の少なくとも前記杭用打撃装置および中掘り用重錘
    を稼働できる設備機器一式と、前記フレーム枠体状の架
    構下部に設けられた各種鋼管杭径に適合させるためのア
    ジャスタブルガイド装置と、から構成されたことを特徴
    とする重錘式鋼管中掘打込み装置。
  2. 【請求項2】打込みされる鋼管杭の頭部に対して直接的
    または他部材を介在させて間接的に搭載され、鋼管杭に
    対して打撃を加えることによって前記鋼管杭を地盤中に
    貫入させる杭用打撃装置と、この杭用打撃装置からの衝
    撃を吸収可能な状態で杭用打撃装置の周りに一体的に取
    り付けられたフレーム枠体状の架構と、このフレーム枠
    体状の架構より垂下され、鋼管杭の内部に挿入されると
    共に管長手方向に伸縮自在に構成されたズリ排出管と、
    中央に軸貫通孔部を有し前記ズリ排出管が貫通された状
    態で前記ズリ排出管の下端部に配置された中掘り用重錘
    と、前記フレーム枠体状の架構に対して一体的に設けら
    れた機器設置架台と、この機器設置架台上に配置された
    パワーユニット、ウインチ類、各種シーブ類等の少なく
    とも前記杭用打撃装置および中掘り用重錘を稼働すると
    ともに、前記ズリ排出管の伸縮操作を行うための設備機
    器一式とから構成されたことを特徴とする重錘式鋼管中
    掘打込み装置。
  3. 【請求項3】前記フレーム枠体状の架構下部に各種鋼管
    杭径に適合させるためのアジャスタブルガイド装置を設
    けてある請求項記載の重錘式鋼管中掘打込み装置。
  4. 【請求項4】前記伸縮自在のズリ排出管は、内管および
    外管からなる伸縮管路部を1または複数段に亘って備え
    ており、伸縮操作ワイヤの下端部を最下段伸縮管路部の
    下端部に連結固定し、前記伸縮操作ワイヤの巻き上げ/
    繰り出し操作によってズリ排出管長が制御されるように
    してある請求項2、3いずれかに記載の重錘式鋼管中掘
    打込み装置。
  5. 【請求項5】打込みされる鋼管杭の頭部に対して直接的
    または他部材を介在させて間接的に搭載され、鋼管杭に
    対して打撃を加えることによって前記鋼管杭を地盤中に
    貫入させる杭用打撃装置と、この杭用打撃装置からの衝
    撃を吸収可能な状態で杭用打撃装置の周りに一体的に取
    り付けられたフレーム枠体状の架構と、このフレーム枠
    体状の架構より垂下され、鋼管杭の内部に挿入されるズ
    リ排出管と、中央に軸貫通孔部を有し前記ズリ排出管が
    貫通された状態で前記ズリ排出管の下端部に配置された
    中掘り用重錘と、前記フレーム枠体状の架構に対して一
    体的に設けられた機器設置架台と、この機器設置架台上
    に配置されたパワーユニット、ウインチ類、各種シーブ
    類等の少なくとも前記杭用打撃装置および中掘り用重錘
    を稼働できる設備機器一式と、から構成された重錘式鋼
    管中掘打込み装置を用いた鋼管杭の打込み方法であっ
    て、 杭下端部を地盤に当接させた状態で打込み対象の鋼管杭
    を直立的に保持し、前記重錘式鋼管中掘打込み装置を起
    重機船によって吊持して前記鋼管杭の頭部に搭載すると
    ともに、前記起重機船によって重錘式鋼管中掘打込み装
    置を吊り状態で保持したまま、前記杭用打撃装置および
    /または中掘り用重錘を稼働することによって前記鋼管
    杭を所定の深さ位置まで貫入させたならば、前記起重機
    船による吊り保持を解放し、 その後、頂部に重錘式鋼管中掘打込み装置を搭載した自
    立状態のままで鋼管杭の打込みを継続して行うことを特
    徴とする重錘式鋼管中掘打込み工法。
  6. 【請求項6】請求項2〜4いずれかに記載の重錘式鋼管
    中掘打込み装置を用いた鋼管杭の打込み方法であって、 杭下端部を地盤に当接させた状態で打込み対象の鋼管杭
    を直立的に保持し、前記重錘式鋼管中掘打込み装置を起
    重機船によって吊持して前記鋼管杭の頭部に搭載すると
    ともに、前記起重機船によって重錘式鋼管中掘打込み装
    置を吊り状態で保持したまま、前記ズリ排出管を収縮さ
    せた状態として前記杭用打撃装置を稼働することによっ
    て前記鋼管杭を所定の深さ位置まで貫入させたならば、
    前記起重機船による吊り保持を解放し、 次いで鋼管貫入深さを現位置に留めた状態で、中掘り用
    重錘の引き上げと落下とを繰り返し前記ズリ排出管を伸
    長させながら中掘り用重錘を鋼管杭の下端近傍位置まで
    下降させ、その後、頂部に重錘式鋼管中掘打込み装置を
    搭載した自立状態のままで鋼管杭の打込みを継続して行
    うことを特徴とする重錘式鋼管中掘打込み工法。
  7. 【請求項7】前記鋼管杭を直立的に保持するために、海
    面近傍に鋼管杭ガイド枠を予め設置するようにする請求
    項5,6いずれかに記載の重錘式鋼管中掘打込み工法。
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