JP2005083061A - ワイヤロープの付着物を除去するための付着物除去装置、及びこれを用いた基礎工事の施工方法 - Google Patents

ワイヤロープの付着物を除去するための付着物除去装置、及びこれを用いた基礎工事の施工方法 Download PDF

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Abstract

【課題】水掘りによる基礎工事(掘削工事)において生じている泥水等の飛散の問題点を解決すること。
【解決手段】付着物除去装置1は、筒状の装置本体10と、ワイヤロープ105に付着した泥水等の付着物を擦り落とすための弾性プレート41〜46と、を有している。弾性プレート41〜46は、ワイヤロープ105を巻き上げている間において掘削装置に連結されたワイヤロープ105に接触するように、装置本体10に取り付けられている。そして、掘削装置を引き上げるためにワイヤロープ105が巻き上げられた際には、このワイヤロープが装置本体10に対して相対的に移動するとともに、弾性プレート41〜46がワイヤロープ105に付着した付着物を擦り落とすようになっている。その結果、ワイヤロープ105を巻き上げる際に、現場周辺の民家や車両等が、ワイヤロープから飛散する泥水等によって汚染されるという事態が生じるのを防止することができる。
【選択図】図5

Description

本発明は、付着物除去装置及び当該装置を用いた基礎工事の施工方法に関し、具体的には、水掘りによる掘削工事において用いられ、水中から引き上げられたワイヤロープに付着した付着物を除去するための付着物除去装置、及び当該装置を用いる基礎工事の施工方法に関する。
従来より、建築工事等のための基礎工事においては、工事中にヒービングやボイリング等の発生を防ぐ目的で、地盤の所定部位に凹所(孔)を設け、当該凹所に対して水を張設して孔壁等を支持させながら、当該水を介して地盤掘削を行う方法(所謂「水掘り」)が採用されている。以下、図11に基づいて、この水掘りを利用した従来の基礎工事の施工方法の一例について説明する。
図11に示すように、水掘りを利用した従来の基礎工事(掘削工事)を実施する際には、たとえば、地上に設置した図示しないチュービングジャッキ(ケーシングパイプ回転圧入引抜装置)等を利用して、ケーシングパイプ201を回転させながら地盤203の中に押し込む。同時に、ハンマーグラブ141を利用して、ケーシングパイプ201の内側にある土砂(掘削土)を地上に排出して、当該ケーシングパイプの内側に所定深度の凹所を形成する。次に、形成された凹所において、図11に示すように水205を張設し、この水を介して水掘りによる掘削工事を行う。
水205を介して掘削作業を行う際には、まず、ワイヤロープ105を巻き上げて、ハンマーグラブ141を所定の高さ(水面より上)にまで吊り上げる。次に、ウインチ(主巻装置)103を開放してワイヤロープ105を繰り出し、3.5トン程度の重さのハンマーグラブ141を自然落下させる。その結果、ハンマーグラブ141は、自重によって勢いよく水中へ進入して、その先端(シェル142)が水底の土砂に食い込む。次に、ワイヤロープ105のウインチ操作により、ハンマーグラブ141のシェル142の内側へ土砂を蓄えてすくい上げる。次に、ハンマーグラブ141が掴み取った土砂を排土するために、ワイヤロープ105を巻き上げて、土砂を掴み取った状態のハンマーグラブ141を水中から引き上げる。
しかしながら、上述した従来の基礎工事の施工方法には、以下のような問題がある。
すなわち、ハンマーグラブ141のシェル142内に蓄えられた土砂を排土する際には、水中からハンマーグラブ141を引き上げるために、ワイヤロープ105を巻き上げる。そのとき、水中から巻き上げられるワイヤロープ105には、泥水や汚泥等が大量に付着している。また、基礎工事においてベントナイトを使用している場合には、水中から巻き上げられるワイヤロープ105には、ベントナイト泥水が大量に付着している。(以下、汚泥や泥水(ベントナイト泥水を含む)等を単に「泥水」という。)
ワイヤロープ105に大量に付着した泥水は、当該ワイヤロープが水中から引き上げられた後においても、巻き上げに伴って当該ワイヤロープに随伴して上昇し続ける。そして、ワイヤロープ105がクレーン101のシーブ102を通過する位置において、泥水の一部が、ワイヤロープ105から滴下する。ワイヤロープ105から滴下した泥水は、工事現場周辺に飛び散るだけでなく、風にのって周辺の民家や車両等に向かって飛び散る。
また、ワイヤロープ105には、巻き上げられる際に、長さ方向を回転軸とする自転が生ずるようになっている。(この回転は、ワイヤロープ105の撚りに起因する自転トルクによって生ずる。)そのため、ワイヤロープ105を巻き上げる際には、当該ワイヤロープに付着した泥水に、強い遠心力が作用する。したがって、ワイヤロープ105を巻き上げる際に、当該ワイヤロープに付着した泥水が、遠心力によって広範囲に飛散する。
また、ワイヤロープ105は、ハンマーグラブ141を操作する際に、シーブ102とウインチ103との間、及びシーブ102とハンマーグラブ141との間で大きく振れるようにようになっている。したがって、上述したワイヤロープ105の回転だけでなく、当該ワイヤロープの振れによっても、ワイヤロープに付着した泥水が広範囲に飛散する。
また、ハンマーグラブ141の水中からの引き上げ作業が完了して、ワイヤロープ105の巻上げを停止すると、当該ワイヤロープとハンマーグラブ141を連結しているスイベルジョイント121が、ワイヤロープ105の撚りを戻すために一気に高速で回転し始める。そのため、泥水は、ワイヤロープ105からだけでなく、ワイヤロープ105の巻上げを停止した直後のスイベルジョイント121からも大量に飛散する。
また、ワイヤロープ105に付着した泥水の一部は、ワイヤロープ105に付着した付着したままの状態でウインチ103に巻き取られる。そのため、ワイヤロープ105を巻き取った後に再びハンマーグラブ141を落下させるときにも、ワイヤロープ105が勢い良く繰り出していくため、下降するワイヤロープからも泥水が飛散する。
したがって、上述した従来の基礎工事の施工方法によれば、工事現場の周囲に在る住宅、走行中・駐車中の車両、通行人等に向けて、泥水を撒き散らすことによって、周辺環境に多大の迷惑をかけるという問題が生じている。また、水中から巻き上げられたワイヤロープから小石等が飛散した場合には、当該小石等が通行人等に衝突する危険性がある。
このような問題に対処するため、ワイヤーロープ105を中心とする工事現場の周囲に、泥水飛散防止用の防護シート、防護ネット、シールド壁等を設けることも検討、実施されている。しかしながら、このような泥水飛散防止手段は、防護シート等を設置するための大掛かりな作業を必要とするため、基礎工事の作業性を悪化させる。また、周囲を防護シート等で囲む方法では、クレーンのウインチとシーブとの間のワイヤロープ、及びシーブと掘削装置との間のワイヤロープのすべてを完全に覆うことは実質的に困難である。そのため、このような防護シート等を使用する泥水飛散防止方法では、周辺環境への泥水の飛散を効果的に防止することは難しい。さらに、防護壁等を設置するためのコストが高いために、基礎工事を低コストで実施することができないという不都合もある。
なお、下記特許文献1には、基礎工事中における抽出岩盤や硬質岩盤を粉砕することを主目的とする技術が開示されている。しかしながら、この特許文献1が開示する技術は、泥水飛散防止を図ることを目的とするものではない。したがって、特許文献1に記載された技術によっては、上述した従来技術の問題点を解決することができない。
特開2000−80876号公報
上述した従来技術に鑑み、本発明の目的は、水掘りによる基礎工事(掘削工事)において生じている泥水等の飛散の問題点を解決する装置を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、水掘りによる基礎工事において生じている泥水等の飛散の問題点を解決する基礎工事の施工方法を提供することにある。
このような目的は、下記(1)〜(9)の本発明により達成される。
(1) 内側に所定空間を有する筒状に形成され、クレーンのシーブを介して垂下されたワイヤロープが当該内側の所定空間を介して延出するようになっている中空の装置本体と、
少なくともワイヤロープを巻き上げている間において当該ワイヤロープに接触するように前記装置本体に取付けられ、当該ワイヤロープに付着した付着物を除去するための付着物除去手段と、を有することを特徴とするワイヤロープの付着物を除去するための付着物除去装置。
(2) 内側に所定空間を有する筒状に形成され、クレーンのシーブを介して垂下されたワイヤロープが当該内側の所定空間を介して延出するようになっている中空の装置本体と、
少なくともワイヤロープを巻き上げている間において当該ワイヤロープに接触するように前記装置本体に取付けられ、当該ワイヤロープに付着した付着物を擦り落とすための擦り落とし手段と、を有することを特徴とするワイヤロープの付着物を除去するための付着物除去装置。
(3) 地盤の所定部位に凹所を設け、当該凹所に対して水を張設し、クレーンによって吊設された掘削装置を利用して、水を介して地盤掘削を行う基礎工事において用いられる装置であって、
クレーンのシーブ側を臨むようになっている上方側と、当該クレーンのシーブを介して垂下されたワイヤロープに連結された掘削装置側を臨むようになっている下方側と、を有しており、内側に所定空間を備え、筒状に形成された中空の装置本体と、
前記装置本体の上方に形成され、前記所定空間に通じる上開口部と、
前記装置本体の下方に形成され、前記所定空間を介して前記上開口部に通じる下開口部と、
前記装置本体に取付けられ、前記ワイヤロープに付着した付着物を擦り落とすための擦り落とし手段と、を有しており、
前記上開口部,所定空間,及び下開口部は、クレーンのシーブを介して垂下されたワイヤロープが延出する通路を構成しており、
前記掘削装置は、前記上開口部,所定空間,及び下開口部を介して垂下されたワイヤロープに連結されるようになっており、
前記擦り落とし手段は、少なくともワイヤロープを巻き上げている間において前記掘削装置に連結されたワイヤロープに接触するように、前記装置本体に取り付けられており、
前記掘削装置を水中から引き上げるために前記クレーンによって前記ワイヤロープが巻き上げられた際には、当該ワイヤロープが前記装置本体に対して相対的に移動するとともに、前記擦り落とし手段が当該ワイヤロープに付着した付着物を擦り落とすようになっていることを特徴とするワイヤロープの付着物を除去するための付着物除去装置。
(4) 前記擦り落とし手段は、弾性材料から構成されていることを特徴とする上記(3)記載のワイヤロープの付着物を除去するための付着物除去装置。
(5) 前記掘削装置は、前記上開口部,所定空間,及び下開口部を経て垂下されたワイヤロープに対して、スイベルジョイントを介して連結されており、
前記装置本体の所定空間は、前記スイベルジョイントを収容可能な大きさを有するように形成されており、
前記掘削装置を水中から引き上げるために前記クレーンによって前記ワイヤロープが巻き上げられた際には、前記スイベルジョイントが、前記装置本体の下開口部を介して前記所定空間に進入して、当該所定空間に収容されるようになっていることを特徴とする上記(3)又は(4)記載のワイヤロープの付着物を除去するための付着物除去装置。
(6) 前記擦り落とし手段は、全体として、所定径の孔が形成された板状又は筒状に形成されており、
前記擦り落とし手段の孔の径は、前記ワイヤロープの径よりも小さい寸法を有しており、
前記ワイヤロープは、前記擦り落とし手段の当該孔を介して延出するようになっていることを特徴とする上記(3)乃至(5)の何れかに記載のワイヤロープの付着物を除去するための付着物除去装置。
(7) 前記擦り落とし手段は、前記装置本体に対して、着脱自在に取付けられていることを特徴とする上記(3)乃至(6)の何れかに記載のワイヤロープの付着物を除去するための付着物除去装置。
(8) 地盤の所定部位に凹所を設け、当該凹所に対して水を張設し、クレーンによって吊設された掘削装置を利用して、水を介して地盤掘削を行う基礎工事施工方法であって、
クレーンのシーブから垂下されたワイヤロープに対して、掘削装置を、スイベルジョイントを介して連結し、
前記ワイヤロープが上開口部,所定空間,及び下開口部を介して延出し、且つ、擦り落とし手段が当該ワイヤロープと接触するように、上記(1)乃至(7)の何れかに記載の付着物除去装置を、前記スイベルジョイントと前記シーブとの間において、当該ワイヤロープに取り付け、
前記除去装置の擦り落とし手段が前記ワイヤロープに接触した状態において、前記掘削装置を水中から引き上げるために前記クレーンによって前記ワイヤロープを巻き上げることを特徴とする基礎工事の施工方法。
(9) さらに、前記掘削装置の引き上げに伴って上昇してきた前記スイベルジョイントを、当該スイベルジョイントが装置本体によって囲繞されるように、前記付着物除去装置の装置本体の所定空間に収容し、
スイベルジョイントのほぼ全体が、前記付着物除去装置の装置本体の所定空間に収容された状態において、掘削装置の水中からの引き上げを完了することを特徴とする上記(8)記載の基礎工事の施工方法。
上述した付着物除去装置及びこの装置を利用した基礎工事の施工方法によれば、装置本体の内側に取付けられた擦り落とし手段は、ワイヤロープを巻き上げている間において、掘削装置に連結されたワイヤロープに接触するようになっている。そして、この掘削装置を水中から引き上げるためにワイヤロープを巻き上げた際には、当該ワイヤロープが装置本体に対して相対的に移動して、擦り落とし手段がワイヤロープに付着した泥水や汚泥等の付着物を擦り落とすように(除去するように)なっている。
したがって、付着物が随伴した状態でワイヤロープが巻き上げられた場合であっても、当該付着物がクレーンのシーブにおいて滴下する前及びワイヤロープの回転に伴う遠心力によって飛散する前に、ほとんどの付着物を擦り落とし手段によって擦り落とすことが可能になる。
その結果、ワイヤロープを引き上げる際に、基礎工事を行う作業現場、工事現場周辺の民家、走行中・駐車中の車両、通行人等が、当該ワイヤロープから飛散した泥水等によって汚染されるという事態が生じるのを防止することができる。したがって、本発明によれば、近隣に迷惑をかけることなく、且つ、周辺環境を汚染することなく、円滑に基礎工事を完了することが可能になる。
また、従来技術との関係で説明したように、掘削装置の水中からの引き上げが完了して、ワイヤロープの巻上げを停止すると、ワイヤロープと掘削装置を連結しているスイベルジョイントが、ワイヤロープの撚りを戻すために一気に高速で回転し始める。そのため、泥水等の付着物は、ワイヤロープからだけでなく、当該ワイヤロープの巻上げを停止した後のスイベルジョイントからも飛散することとなる。ところが、上述した本発明によれば、スイベルジョイントは装置本体の内側空間に収容されるようになっている。しかも、収容されたスイベルジョイントは、装置本体によって囲繞されるようになっている。したがって、スイベルジョイントが内側空間に収容された状態において、掘削装置の水中からの引き上げを完了することによって、スイベルジョイントからの付着物の飛散を効果的に防止することが可能になる。
したがって、本発明によれば、水掘りによる基礎工事を施工する際に、住宅や駐車中の自動車や通行人に汚染が及ぶような虞が全くないので、クリーンな作業現場を維持した状態で、作業が進めることができる。その結果、従来と比較して、作業効率を改善することが可能になるので、基礎工事を設計通りの期間において完了することが可能になる。
以下、添付図面に基づいて、本発明の付着物除去装置、及び当該装置を利用した基礎工事の施工方法の一実施形態について詳細に説明する。
(付着物除去装置の構成)
まず最初に、図1乃至図3に基づいて、本発明の付着物除去装置の構成について説明する。図1は、本発明の付着物除去装置1の閉じた状態を示す斜視図である。図2は、図1に示す付着物除去装置1の開いた状態、及び当該装置の内部構成の概略を示す斜視図である。図3は、図1に示す付着物除去装置1の装置本体10の第1部分(第1ハーフ)11が内側に備える各種部材を拡大した状態で示す斜視図である。この図3において、図3(A)は、装置本体10の第1部分11の上方に設けられた位置決め部材61を示す拡大斜視図である。また、図3(B)は、装置本体10の第1部分11に設けられた第1弾性プレート41及びこれを挟持する挟持板17を示す拡大斜視図である。また、図3(C)は、装置本体10の第1部分11に設けられた第2弾性プレート42及びこれを挟持する挟持板17を示す拡大斜視図である。また、図3(D)は、装置本体10の第1部分11に設けられた第3弾性プレート43及びこれを挟持する挟持板17を示す拡大斜視図である。なお、以下の説明において、従来技術の説明との関係で参照した図11に示す構成と同様の構成については、同じ符号を用い、適宜その説明を省略する。
図1乃至図3に示すように、本発明の付着物除去装置(水切り装置)1は、先細り筒状に形成された中空の装置本体10(図1参照)と、掘削装置に連結されたワイヤロープに付着した付着物を擦り落とすための複数の弾性プレート(擦り落とし手段/除去手段/水切り手段)41〜46と(図2参照)、装置本体10の内側を延出するワイヤロープの位置決めを行うためのシリコン製の位置決め部材61,62と、を有している。(以下、付着物除去装置を、単に「装置」と称する。)
この装置1は、水掘りによる基礎工事(すなわち、地盤の所定部位に凹所を設け、当該凹所に対して水を張設(注水)し、当該水を介して地盤掘削(水中孔内掘削)を行う基礎工事)において用いられる。なお、本明細書において、「水掘り」とは、純粋な水だけを利用する場合のみならず、安定液(たとえばベントナイト等を使った泥水)を利用する場合も含む趣旨であることに留意されたい。
装置1の上方側(図面上側)は、当該装置1の使用時において、掘削装置を吊設するためのクレーンのシーブ側を臨むようになっている。また、反対の下方側(図面下側)は、当該装置1の使用時において、クレーンのシーブから垂下されたワイヤロープに連結された掘削装置(たとえばドリリングバケットやハンマーグラブ等)側を臨むようになっている。
装置1の装置本体10は、剛性材料から形成されており、図2に示すように、主として、第1部分(第1ハーフ)11と第2部分(第2ハーフ)12とから構成されている。装置本体10の第1部分11は、先細り状の筒を縦方向において半分に切断したときの一方の側の形状を有しており、第2部分12は、その他方の側の形状を有している。第1部分11及び第2部分12は、互いに、複数の蝶番15によって開閉自在に連結されている。ただし、第1部分11及び第2部分12は、基礎工事において実際の使用に供されるときには、落下防止のために、ボルト18とナット19によって閉まった状態(図1に示す状態)に固定されるようになっている。
この装置本体10の上方には、第1部分11と第2部分12とを組み合わせた状態(図1に示す閉じた状態)において、上開口部23が形成されるようになっている。また、装置本体10の下方には、下開口部25が形成されるようになっている。この下開口部25は、一般的なスイベルジョイント(ワイヤロープと掘削装置とを連結する撚り戻し装置)が通過できる程度の寸法を有している。なお、本明細書において、「スイベルジョイント」とは、撚り戻し機能を備えたフックを含む趣旨であることに留意されたい。
また、装置本体10は、第1部分11及び第2部分12を閉じた状態において、内側に所定空間(内側空間)21を有するように形成されている。この内側空間21は、下開口部25を介して進入してきたスイベルジョイントを収容可能なサイズを有するように形成されている。なお、上述した上開口部23と下開口部25は、この内側空間21を介して通じている。すなわち、上開口部23,内側空間21,及び下開口部25は通路を構成している。そして、装置1が実際に使用される際には、クローラクレーン等のクレーンのシーブから垂下されたワイヤロープが、装置本体10の上開口部23,内側空間21,及び下開口部25を介して、延出するようになっている。
図2に示すシリコン製の位置決め部材(センター出し部材)61,62は、組み合わさった状態(図1に示す装置本体10を閉じた状態)においてリング形状を成すように形成,配置されている。この位置決め部材61,62が組み合わさることによって形成されるリング形状の開口部(中心孔)は、掘削工事において用いられるワイヤロープ(掘削装置を吊り下げるためのワイヤロープ)の径よりも、やや大きな径を有するようになっている。このような位置決め部材を設けることにより、当該ワイヤロープが直接に装置本体10に接触することが防止されるようになっている。その結果、装置本体10と接した際の摩擦に起因するワイヤロープの磨耗を防止することが可能になる。
上述したリング形状の一方の半分を成す位置決め部材61は、装置本体10の第1部分11の上方であって、上開口部23の近傍に設けられている(図2参照)。同様に、リング形状の他方の半分を成す第2部分12は、装置本体10の第2部分12の上方であって、上開口部23の近傍に設けられている。
複数の弾性プレート41〜46は、後述するように所定の弾性材料から形成されている。また、弾性プレート41〜46のそれぞれは、図3(B)〜(D)に示すように、半円状に形成されており、その円心付近には半円状の切り欠きが形成されている。これらの弾性プレート41〜46は、その半円状切り欠き部の近傍の縁領域において、水中から巻き上げられたワイヤーロープに付着した様々な付着物を擦り落とす(カットする)役割を担っている。なお、本明細書において「付着物」とは、基礎工事において凹所に張設した水に含まれる泥水や汚泥のみならず、ベントナイトを使用した場合に生じるベントナイト泥水等を含む趣旨である。
上述した構成を有する弾性プレート41〜46のうち、第1乃至第3の弾性プレート41〜43は、図2に示すように、装置本体10の第1部分11の内壁側に設けられている。また、第4乃至第6の弾性プレート44〜46は、装置本体10の第2部分12の内壁側に設けられている。
第1部分11の側において、第1乃至第3の弾性プレート41〜43のそれぞれは、2枚の挟持板17の間に差し込んであり、当該挟持板によって弾性プレートが着脱自在に挟持されている。これらの挟持板17は、装置本体10(第1部分11)の内壁に対して一体に設けられており、装置本体10と同様の剛性材料から形成されている。また、第2部分12の側にも、第1部分11の側と同様にして、第4乃至第6の弾性プレート44〜46が、挟持板17によって挟持されている。このように弾性プレート41〜46を着脱自在に設けることにより、ワイヤロープとの接触により磨り減った弾性プレートを、簡単に、新たな弾性プレートに交換することが可能になる。なお、実際に使用している間に挟持板17から弾性プレート41〜46が不意に抜け落ちないようにするために、弾性プレート41〜46のそれぞれは、図2及び図3に示すように、挟持板及び弾性プレートを貫通するボルト及びナットを用いて固定されていることが好ましい。
これらの弾性プレートのうち、第1及び第4弾性プレート41,44は、装置本体10を閉じた状態において組み合わさって、ドーナツ状(中空の円盤状)の弾性プレートを構成するようになっている。また、第1及び第4弾性プレート41,44は、それぞれ、図3(B)に示すように、ゴム製のプレート47とウレタンゴム製のプレート48とを積層することによって構成されている。このような構成を有する第1及び第4弾性プレート41,44は、ゴム製プレート47が上側(クレーンのシーブ側)を向くように、装置本体10に取り付けられている。
同様に、第2及び第5弾性プレート42,45は、装置本体10を閉じた状態において組み合わさって、ドーナツ状(中空の円盤状)の弾性プレートを構成するようになっている。また、第2及び第5弾性プレート42,45は、それぞれ、図3(C)に示すように、ゴム製のプレート47とウレタンゴム製のプレート48とを積層することによって構成されている。このような構成を有する第2及び第5弾性プレート42,45は、ゴム製プレート47が上側(クレーンのシーブ側)を向くように、装置本体10に取り付けられている。
また、第3及び第6弾性プレート43,46も、装置本体10を閉じた状態において組み合わさって、ドーナツ状(中空の円盤状)の弾性プレートを構成するようになっている。ただし、第3及び第6弾性プレート43,46の場合には、上述した弾性プレート41,42,44,45と異なり、各弾性プレートは、図3(D)に示すように、シリコン製のプレート49とウレタンゴム製のプレート48とを積層することによって構成されている。このような構成を有する第3及び第6弾性プレート43,46は、シリコン製プレート49が上側(クレーンのシーブ側)を向くように、装置本体10に取り付けられている。
上述した2枚の弾性プレートの組み合わせによって形成されるドーナツ状(中空の円盤状)の弾性プレートには、その中心付近において中空部分(孔)が形成されるようになっている。この中空部分は、掘削工事において用いられるワイヤロープ(掘削装置を吊り下げるためのワイヤロープ)の径よりも小さい径を有するようになっている。なお、装置1が実際に使用される際には、このドーナツ状の弾性プレートの中空部分を介して、ワイヤロープが延出するようになっている。このような形状を有する弾性プレート41〜46を用いることにより、当該弾性プレートの中心付近は、ワイヤーロープを巻き上げている間は常にワイヤーロープに接触(密着)することになる。その結果、より効果的に、ワイヤロープに付着した付着物を擦り落とすことが可能になる。
また、上述したように弾性プレート41〜46のそれぞれを弾性材料から構成することにより、ワイヤロープの動きに合わせて、当該弾性プレートが柔軟に動くようになる。その結果、弾性プレート41〜46の縁が、ワイヤロープの表面に対してより追従し易くなるので、より効果的にワイヤロープに付着した付着物を擦り落とすことが可能になる。また、ワイヤロープと接触する弾性プレート41〜46を弾性材料から構成することによって、当該弾性プレートとの摩擦によってワイヤロープが磨耗することを防止することが可能になる。
(付着物除去装置の取り付け)
次に、掘削装置の一例としてハンマーグラブを挙げ、図4乃至図6に基づいて、上述した構成を有する装置1のワイヤロープへの取り付け手順の一例について説明する。図4は、図1に示す装置1を、ハンマーグラブ141に連結されたワイヤロープ105に取り付けた状態を示す図である。図5は、図4に示す装置1を示す拡大図である(装置1については断面で示す)。図6は、図4に示すワイヤロープ105とハンマーグラブ141とを連結するスイベルジョイント121等を示す拡大図である。
装置1をワイヤロープへ取り付ける際には、予め、クレーン101のシーブ102から昇降自在に垂下されたワイヤロープ130に、ハンマーグラブ141を係脱自在に保持するための係脱機構を備えたクラウン(ハンマークラウン)131を連結する。また、シーブ102からクラウン131を介して昇降自在に垂下されたワイヤロープ105に、ハンマーグラブ141を連結する。さらに、開いた状態(図2に示す状態)の装置1を用意する。
次に、クレーン101のシーブ102から垂下されたワイヤロープ(シーブ102とクラウン131との間に位置する部分のワイヤロープ)105が、装置1の上開口部23から入って、内側空間21を通り、下開口部25から抜け出てくるように、ワイヤロープ105を張り渡す。具体的には、ワイヤロープ105が、下記(1)〜(4)のそれぞれを順番に通過するように、当該ワイヤロープを張り渡す。
(1)位置決め部材61,62の組み合わせから成るリング状部材の中心孔
(2)第1及び第4弾性プレート41,44の組み合わせから成るドーナツ状弾性プレートの中心孔
(3)第2及び第5弾性プレート42,45の組み合わせから成るドーナツ状弾性プレートの中心孔
(4)第3及び第6弾性プレート43,44の組み合わせから成るドーナツ状弾性プレートの中心孔
そして、上述したワイヤロープ105の設置が完了した際には、筒状の装置本体10によって当該ワイヤロープ105が囲繞されるように、装置1を閉じる。最後に、落下防止のために、装置1の第1部分11と第2部分12とを、ボルト18とナット19で固定する(図1参照)。以上の作業を経て、装置1は、ワイヤロープ105に取り付けられ、当該ワイヤロープ105に沿って自重により自由落下する状態に至る。
なお、ワイヤロープ105に取り付けられた装置1の下方には、ハンマーグラブ141を係脱自在に保持するためのクラウン131が、フック133及びチェーン135を介して、ワイヤロープ(メインワイヤ)105とは別のワイヤーロープ130によって吊設されている(図4及び図5参照)。したがって、装置1は、自重によってワイヤロープ105に沿って滑り落ちるが、クラウン131の上において停止するようになっている。すなわち、ワイヤロープ105に取り付けられた装置1は、ワイヤーロープ130に連結されたクラウン131の上に設置されるようになっている。このような構成により、ワイヤロープ105は、クラウン131によって支持された装置1の内側を介して、自在に昇降(巻き上げ・繰り出し)できるようになっている。
なお、本実施形態において、装置1及びクラウン131の下方においては、当該装置1及びクラウン131の内側を通って延出するワイヤロープ105に対して、ハンマーグラブ141が、図6に示すような連結機構を介して連結されている。
すなわち、開口部23,内側空間21及び下開口部25を介して延出するワイヤロープ105の一端は、所定のワイヤ締結具(かしめ部材)107を用いて、スイベルジョイント121の一端に連結されている。このワイヤ締結具107の上側近傍には、円柱状保護部材(当接部材)109が固定されており、当該保護部材109によって、ワイヤロープ105の巻上げ時にワイヤ締結具107が最下段の挟持板17に対して直接に衝突することが防止されるようになっている。
一方、ハンマーグラブ141から延出するワイヤーロープ106も、同様にして、ワイヤ締結具108によって、スイベルジョイント121の他端に連結されている。このようにして、ハンマーグラブ141は、スイベルジョイント121を介して、ワイヤロープ105に連結されている。
(付着物除去装置の作用)
次に、図1〜図6を適宜参照しながら、図7〜図10に基づいて、装置1の具体的な作用について説明する。図7は、実際に使用されている装置1の拡大した様子を示す部分断面図である。この図7において、図7(A)は、ハンマーグラブ141を水中へ向けて落下させているときに、当該ハンマーグラブの落下に伴ってワイヤロープ105が下降しているときの装置1の様子を示す部分断面図である。また、図7(B)は、ハンマーグラブ141を水中から引き上げるために、ワイヤロープ105を巻き上げているときの装置1の様子を示す部分断面図である。図8は、図4に示すハンマーグラブ141を水中から引き上げるために、ワイヤロープ105を巻き上げている様子を示す図である。図9は、図8に示すハンマーグラブ141を引き上げ続けた結果、スイベルジョイント121が装置1の内側に進入し、保護部材109が最下段の挟持板17に当接している様子を示す図である(装置1を断面で示す)。図10は、図9に示す状態からワイヤロープ105を僅かに繰り出した結果、クラウン131によってハンマーグラブ141が保持されている様子を示す図である(装置1を断面で示す)。
掘削作業を行う際には、まず、ハンマーグラブ141とクラウン131との係止状態を解除する。その結果、3.5t程度の重さのあるハンマーグラブ141がクラウン131から切り離され、自重により高速で落下する。その結果、図4に示すように、当該ハンマーグラブ141の先端(シェル142)が、水底の土砂に衝突して食い込む。
ハンマーグラブ141を落下させている間(すなわち、ワイヤロープ105を繰り出している間)は、位置決め部材61,62が、ワイヤロープ105が装置1のほぼ中心と通るように当該ワイヤロープの位置決め(センター出し)を行うようになっている(図7(A)参照)。このようにワイヤロープ105の位置決めを行うことによって、ワイヤロープ105が直接に装置1に接触することを防止することが可能になる。その結果、ワイヤロープ105と装置1(装置本体10)との摩擦によって生じ得るワイヤロープ105の磨耗を防ぐことができる。
また、ハンマーグラブ141を落下させている間は、弾性プレート41〜46のそれぞれが、下降するワイヤロープ105に追従するように、当該ワイヤロープに接触しながら下方に弾性変形するようになっている(図7(A)参照)。なお、ハンマーグラブ141を落下させている間において、第1及び第2弾性プレート41,42、並びに第4及び第5弾性プレート44,45については、上面側のゴム製プレート47の部分が、ワイヤロープ105に接触するようになっている(図3(B)及び(C)参照)。また、第3及び第6弾性プレート43,46については、上面側のシリコン製プレート49の部分が、ワイヤロープ105に接触するようになっている(図3(D)参照)。したがって、第3及び第6弾性プレート43,46は、ハンマーグラブ141を落下させている間は、上述した位置決め部材61,62と同様の位置決め部材としても機能するようになっている。
次に、排土作業を行う際には、まず、ワイヤロープ105を巻き上げることにより、掘削した土砂をハンマーグラブ141のシェル142の内側に閉じ込める。そして、ワイヤロープ105を更に巻き上げ続けることによって、ハンマーグラブ141の引き上げを開始する。すると、ワイヤーロープ105がクラウン131及び装置1の内側を通って上昇し始めるとともに、当該ワイヤーロープ105のうちの水中に浸かっていた部分が水中から脱し始める。
一方、クラウン131及び当該クラウンの上に設置してある装置1は、ワイヤーロープ105とは別のワイヤーロープ130によって吊設されているため、ワイヤーロープ105の巻き上げ操作に関係なく、所定高さの定位置(たとえば水面から2〜3mの高さ)に保持されている。したがって、ハンマーグラブ141を水中から引き上げるためにクレーン101によってワイヤロープ105が巻き上げられている間は、当該ワイヤロープ105が装置本体10に対して相対的に移動するようになっている(図4との比較において図8を参照)。
そして、ワイヤロープ105を巻き上げ続けている間(ハンマーグラブ141を引き上げている間)は、繰り出し時と同様に、位置決め部材61,62が、ワイヤロープ105の位置決め(センター出し)を行うようになっている。また、弾性プレート41〜46のそれぞれが、上昇するワイヤロープ105を追従するように、当該ワイヤロープ105に接触しながら上方に弾性変形するようになっている(図7(B)参照)。なお、ワイヤロープ105を巻き上げている間において、弾性プレート41〜46のそれぞれは、下面側のウレタンゴム製プレートの部分において(図3参照)、ワイヤロープ105に接触するようになっている。その結果、弾性プレート41〜46のそれぞれによって、ワイヤロープ105に付着した付着物のほとんどが擦り落とされる(しごき落とされる)。擦り落とされた付着物は、クラウン131の内側を通って、水中に落下するようになっている。
なお、上述したように、ワイヤロープ105の巻上げ時においては、耐磨耗性、耐衝撃性、耐荷重性、耐老化性等の点で優れた特性を有するウレタンゴム製プレート48の部分がワイヤロープ105に接触するようになっているので、ワイヤロープ105との接触・摩擦に因る弾性プレート41〜16の磨耗を最小限に抑えることができるようになっている。
図8に示す状態から更にワイヤロープ105を巻き上げ続けると、スイベルジョイント121が、装置本体10の下開口部25を介して内側空間21に進入して、当該内側空間に収容される。その結果、スイベルジョイント121の全体が、装置本体10によって囲繞される。
更にワイヤロープ105を巻き上げ続けると、ハンマーグラブ141のヘッドポール143がクラウン131の内側に進入するとともに、ワイヤロープ105に固定してある保護部材109が、装置1内の最下段に位置する挟持板17に当接する(図9参照)。
そして、この状態から僅かにハンマーグラブ141を下降させると、ヘッドポール143のフランジ部145がクラウン131の内側に設けられた係止機構(図示せず)によって係止され、当該ハンマーグラブ141がクラウン131によって保持される(図10参照)。そして、ハンマーグラブ141の水中からの引き上げが完了した時点において、スイベルジョイント121の全体は、装置本体10によって囲繞された状態で、装置1の内側空間21に収容されるようになっている。
次に、水中から引き上げられたハンマーグラブ141をクラウン131に保持させたままの状態でクレーン101を旋回させ、掘削土を廃棄する。以上説明した掘削・排土作業を繰り返し行って、ケーシングパイプ201内の土砂を掘削・排土する。
上述した装置1を利用した基礎工事の施工方法によれば、以下に述べる有利な効果が達成される。
すなわち、まず、上述した基礎工事の施工方法においては、水中から巻き上げられたワイヤロープ105に大量に付着した泥水や汚泥等の付着物は、当該ワイヤロープが水中から引き上げられた後においても、当該ワイヤロープに随伴して上昇し続けようとする。
ところが、上述した本発明によれば、装置本体10の内側に取付けられた弾性プレート41〜46は、ワイヤロープ105を巻き上げている間において、ハンマーグラブ141に連結されたワイヤロープ105に接触するようになっている。そして、このハンマーグラブ141を水中から引き上げるためにワイヤロープ105を巻き上げた際には、当該ワイヤロープが装置本体10に対して相対的に移動して、弾性プレート41〜46がワイヤロープ105に付着した泥水や汚泥等の付着物を擦り落とすように(除去するように)なっている。
したがって、付着物が随伴した状態でワイヤロープ105が巻き上げられた場合であっても、当該付着物がクレーン101のシーブ102において滴下する前及びワイヤロープ105の回転に伴う遠心力によって飛散する前に、ほとんどの付着物を弾性プレート41〜46によって擦り落とすことが可能になる。
その結果、ワイヤロープ105を引き上げる際に、基礎工事を行う作業現場、工事現場周辺の民家、走行中・駐車中の車両、通行人等が、当該ワイヤロープから飛散した泥水等によって汚染されるという事態が生じるのを防止することができる。したがって、本発明によれば、近隣に迷惑をかけることなく、且つ、周辺環境を汚染することなく、円滑に基礎工事を完了することが可能になる。
また、従来技術との関係で説明したように、ハンマーグラブ141の水中からの引き上げが完了して、ワイヤロープ105の巻上げを停止すると、ワイヤロープ105とハンマーグラブ141を連結しているスイベルジョイント121が、ワイヤロープの撚りを戻すために一気に高速で回転し始める。そのため、泥水等の付着物は、ワイヤロープ105からだけでなく、当該ワイヤロープの巻上げを停止した後のスイベルジョイント121からも飛散することとなる。ところが、上述した本発明によれば、スイベルジョイント121は装置本体10の内側空間21に収容されるようになっている。しかも、収容されたスイベルジョイント121は、装置本体10によって囲繞されるようになっている。したがって、スイベルジョイント121が内側空間21に収容された状態において、ハンマーグラブ141の水中からの引き上げを完了することによって、スイベルジョイント121からの付着物の飛散を効果的に防止することが可能になる。
したがって、本発明によれば、水掘りによる基礎工事を施工する際に、住宅や駐車中の自動車や通行人に汚染が及ぶような虞が全くないので、クリーンな作業現場を維持した状態で、作業が進めることができる。その結果、従来と比較して、作業効率を改善することが可能になるので、基礎工事を設計通りの期間において完了することが可能になる。
以上、本発明に係る付着物除去装置、及び当該装置を利用した基礎工事の施工方法について説明した。なお、上述した実施形態は、単なる一例であって、本発明を上述した実施形態に限定する趣旨ではないことに留意されたい。
たとえば、本発明において弾性プレート(擦り落とし手段)を構成すべき材料は、ウレタンゴムやシリコンに限定されず、各種の合成ゴム、天然ゴム、軟質合成樹脂等であってもよい。
また、本発明の特徴の一つを成す擦り落とし手段は、必ずしも、半円状の弾性プレートから構成されている必要はなく、たとえば、ワイヤロープが貫通する所定径の孔が形成された板や筒から構成されてもよい。また、擦り落とし手段は、ブラシ等から構成されてもよい。
また、本発明の装置を利用することが可能な基礎工事の工法は特に限定されず、オールケーシング工法、アースドリル工法、その他のあらゆる工法に基づく基礎工事において適用することが可能である。
本発明は、水掘りによる基礎工事(掘削工事)において生じている泥水等の飛散の問題点を解決するのに好適に用いられる。
本発明の付着物除去装置の閉じた状態を示す斜視図である。 図1に示す付着物除去装置の開いた状態、及び当該装置の内部構成の概略を示す斜視図である。 図1に示す付着物除去装置の装置本体の第1部分が内側に備える各種部材を拡大した状態で示す斜視図である。 図1に示す付着物除去装置を、ハンマーグラブに連結されたワイヤロープに取り付けた状態を示す図である。 図4に示す付着物除去装置を示す拡大図である(付着物除去装置については断面で示す)。 図4に示すワイヤロープとハンマーグラブとを連結するスイベルジョイント等を示す拡大図である。 実際に使用されている付着物除去装置の拡大した様子を示す部分断面図である。 図4に示すハンマーグラブを水中から引き上げるために、ワイヤロープを巻き上げている様子を示す図である。 図8に示すハンマーグラブを引き上げ続けた結果、スイベルジョイントが付着物除去装置の内側に進入して、保護部材が最下段の挟持板に当接している様子を示す図である(付着物除去装置を断面で示す)。 図9に示す状態からワイヤロープを僅かに繰り出した結果、クラウンによってハンマーグラブが保持されている様子を示す図である(付着物除去装置を断面で示す)。 従来より行われている水掘りによる基礎工事の一例を示す図である。
符号の説明
1 付着物除去装置
10 装置本体
11 第1部分
12 第2部分
15 蝶番
17 挟持板
18 ボルト
19 ナット
21 内側空間
23 上開口部
25 下開口部
41 第1弾性プレート
42 第2弾性プレート
43 第3弾性プレート
44 第4弾性プレート
45 第5弾性プレート
46 第6弾性プレート
47 ゴム製プレート
48 ウレタンゴム製プレート
49 シリコン製プレート
61 位置決め部材
62 位置決め部材
101 クレーン
102 シーブ
103 ウインチ
105 ワイヤロープ(メインワイヤ)
106 ワイヤロープ
107 ワイヤ締結具
108 ワイヤ締結具
109 保護部材(当接部材)
121 スイベルジョイント
130 ワイヤロープ
131 クラウン(ハンマークラウン)
133 フック
135 チェーン
141 ハンマーグラブ(掘削装置)
142 シェル
143 ヘッドポール
145 フランジ部
201 ケーシングパイプ
203 地盤
205 水

Claims (9)

  1. 内側に所定空間を有する筒状に形成され、クレーンのシーブを介して垂下されたワイヤロープが当該内側の所定空間を介して延出するようになっている中空の装置本体と、
    少なくともワイヤロープを巻き上げている間において当該ワイヤロープに接触するように前記装置本体に取付けられ、当該ワイヤロープに付着した付着物を除去するための付着物除去手段と、を有することを特徴とするワイヤロープの付着物を除去するための付着物除去装置。
  2. 内側に所定空間を有する筒状に形成され、クレーンのシーブを介して垂下されたワイヤロープが当該内側の所定空間を介して延出するようになっている中空の装置本体と、
    少なくともワイヤロープを巻き上げている間において当該ワイヤロープに接触するように前記装置本体に取付けられ、当該ワイヤロープに付着した付着物を擦り落とすための擦り落とし手段と、を有することを特徴とするワイヤロープの付着物を除去するための付着物除去装置。
  3. 地盤の所定部位に凹所を設け、当該凹所に対して水を張設し、クレーンによって吊設された掘削装置を利用して、水を介して地盤掘削を行う基礎工事において用いられる装置であって、
    クレーンのシーブ側を臨むようになっている上方側と、当該クレーンのシーブを介して垂下されたワイヤロープに連結された掘削装置側を臨むようになっている下方側と、を有しており、内側に所定空間を備え、筒状に形成された中空の装置本体と、
    前記装置本体の上方に形成され、前記所定空間に通じる上開口部と、
    前記装置本体の下方に形成され、前記所定空間を介して前記上開口部に通じる下開口部と、
    前記装置本体に取付けられ、前記ワイヤロープに付着した付着物を擦り落とすための擦り落とし手段と、を有しており、
    前記上開口部,所定空間,及び下開口部は、クレーンのシーブを介して垂下されたワイヤロープが延出する通路を構成しており、
    前記掘削装置は、前記上開口部,所定空間,及び下開口部を介して垂下されたワイヤロープに連結されるようになっており、
    前記擦り落とし手段は、少なくともワイヤロープを巻き上げている間において前記掘削装置に連結されたワイヤロープに接触するように、前記装置本体に取り付けられており、
    前記掘削装置を水中から引き上げるために前記クレーンによって前記ワイヤロープが巻き上げられた際には、当該ワイヤロープが前記装置本体に対して相対的に移動するとともに、前記擦り落とし手段が当該ワイヤロープに付着した付着物を擦り落とすようになっていることを特徴とするワイヤロープの付着物を除去するための付着物除去装置。
  4. 前記擦り落とし手段は、弾性材料から構成されていることを特徴とする請求項3記載のワイヤロープの付着物を除去するための付着物除去装置。
  5. 前記掘削装置は、前記上開口部,所定空間,及び下開口部を経て垂下されたワイヤロープに対して、スイベルジョイントを介して連結されており、
    前記装置本体の所定空間は、前記スイベルジョイントを収容可能な大きさを有するように形成されており、
    前記掘削装置を水中から引き上げるために前記クレーンによって前記ワイヤロープが巻き上げられた際には、前記スイベルジョイントが、前記装置本体の下開口部を介して前記所定空間に進入して、当該所定空間に収容されるようになっていることを特徴とする請求項3又は4記載のワイヤロープの付着物を除去するための付着物除去装置。
  6. 前記擦り落とし手段は、全体として、所定径の孔が形成された板状又は筒状に形成されており、
    前記擦り落とし手段の孔の径は、前記ワイヤロープの径よりも小さい寸法を有しており、
    前記ワイヤロープは、前記擦り落とし手段の当該孔を介して延出するようになっていることを特徴とする請求項3乃至5の何れかに記載のワイヤロープの付着物を除去するための付着物除去装置。
  7. 前記擦り落とし手段は、前記装置本体に対して、着脱自在に取付けられていることを特徴とする請求項3乃至6の何れかに記載のワイヤロープの付着物を除去するための付着物除去装置。
  8. 地盤の所定部位に凹所を設け、当該凹所に対して水を張設し、クレーンによって吊設された掘削装置を利用して、水を介して地盤掘削を行う基礎工事施工方法であって、
    クレーンのシーブから垂下されたワイヤロープに対して、掘削装置を、スイベルジョイントを介して連結し、
    前記ワイヤロープが上開口部,所定空間,及び下開口部を介して延出し、且つ、擦り落とし手段が当該ワイヤロープと接触するように、請求項1乃至7の何れかに記載の付着物除去装置を、前記スイベルジョイントと前記シーブとの間において、当該ワイヤロープに取り付け、
    前記除去装置の擦り落とし手段が前記ワイヤロープに接触した状態において、前記掘削装置を水中から引き上げるために前記クレーンによって前記ワイヤロープを巻き上げることを特徴とする基礎工事の施工方法。
  9. さらに、前記掘削装置の引き上げに伴って上昇してきた前記スイベルジョイントを、当該スイベルジョイントが装置本体によって囲繞されるように、前記付着物除去装置の装置本体の所定空間に収容し、
    スイベルジョイントのほぼ全体が、前記付着物除去装置の装置本体の所定空間に収容された状態において、掘削装置の水中からの引き上げを完了することを特徴とする請求項8記載の基礎工事の施工方法。
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JP2015190124A (ja) * 2014-03-27 2015-11-02 株式会社横山基礎工事 環境負荷軽減装置および施工方法

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