JP6536380B2 - 車両前部構造 - Google Patents

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Description

本発明は、車両前部構造に関する。
下記特許文献1には、フロントサイドメンバ構造に関する発明が開示されている。このフロントサイドメンバ構造では、フロントサイドメンバの前部における前端部側の部分が車両前方上側に傾斜している。このため、フロントサイドメンバに車両前方側から衝突荷重が入力されると、フロントサイドメンバの前部に沿って伝達される衝突荷重の向きは、車両後方下側となり、フロントサイドメンバの前部に衝突荷重の車両下方側への分力が作用する。そして、この分力によって、衝突荷重でフロントサイドメンバに発生する曲げモーメントが相殺され、その結果、フロントサイドメンバの前部が潰れ変形する確度を向上させて衝突荷重の吸収効率を高めることができる。
特開2003−261065号公報
しかしながら、上記特許文献1に記載された先行技術による場合、フルラップ衝突(以下、「正突」と称する)等の車両幅方向の荷重成分の割合が小さい衝突荷重に対しては有効に機能するものの、正突と比べて車両幅方向の荷重成分の割合が大きい衝突荷重の吸収効率を高めることは困難であることが考えられる。つまり、上記特許文献1に記載された先行技術では、車両がフロントサイドメンバよりも車両幅方向外側で前面衝突(以下、「微小ラップ衝突」と称する)する場合や、車両前部に対して車両斜め前方側から衝突体が衝突(以下、「オブリーク衝突」と称する)する場合等において、フロントサイドメンバによる衝突荷重の吸収効率を向上させる点では改善の余地がある。
本発明は上記事実を考慮し、微小ラップ衝突時やオブリーク衝突時等において、フロントサイドメンバによる衝突荷重の吸収効率を向上させることができる車両前部構造を得ることが目的である。
請求項1に記載の本発明に係る車両前部構造は、車両前後方向に延在する前部と、当該前部と連続し、かつ車両後方下側に向かって傾斜して設けられたキック部と、を含んで構成されたフロントサイドメンバと、前記キック部の車両幅方向外側で車体に取り付けられて当該車体を補強するアウタトルクボックスと、前記キック部の車両幅方向内側で前記車体に取り付けられて当該車体を補強するインナトルクボックスと、前記キック部の内面で当該キック部に取り付けられると共に、車両後方側でかつ車両幅方向外側の部分が当該キック部と共に前記アウタトルクボックスに取り付けられ、車両後方側でかつ車両幅方向内側の部分が当該キック部と共に前記インナトルクボックスに取り付けられた補強部材と、を有し、前記フロントサイドメンバの車両幅方向外側の部分における前記前部と前記キック部との境界部に車両幅方向内側に凹んだ凹部が設けられている
請求項1に記載の本発明によれば、車両前後方向に延在する前部と、当該前部と連続し、かつ車両後方下側に向かって傾斜して設けられたキック部とを含んでフロントサイドメンバが構成されている。また、車体におけるキック部の車両幅方向外側には、アウタトルクボックスが取り付けられており、当該アウタトルクボックスによって当該車体におけるキック部の車両幅方向外側の部分が補強されている。一方、車体におけるキック部の車両幅方向内側には、インナトルクボックスが取り付けられており、当該インナトルクボックスによって当該車体におけるキック部の車両幅方向内側の部分が補強されている。
ところで、車両が微小ラップ衝突する場合やオブリーク衝突する場合等では、フロントサイドメンバの前部が車両幅方向に折れ変形することで衝突荷重が吸収される。つまり、車両が微小ラップ衝突する場合やオブリーク衝突する場合等において、フロントサイドメンバによる衝突荷重の吸収効率を高めるには、フロントサイドメンバの前部の車両幅方向への折れ変形の変形量を確保することが有効である。
ここで、本発明では、フロントサイドメンバのキック部の内面で当該キック部に補強部材が取り付けられており、当該キック部の変形に必要な変形荷重を大きくすることができる。さらに、補強部材の車両後方側でかつ車両幅方向外側の部分がキック部と共にアウタトルクボックスに取り付けられると共に、当該補強部材の車両後方側でかつ車両幅方向内側の部分が当該キック部と共にインナトルクボックスに取り付けられている。このため、キック部に入力された衝突荷重がアウタトルクボックス及びインナトルクボックスで支持され、フロントサイドメンバが当該キック部側から変形していくのを抑制することができる。その結果、車両が微小ラップ衝突する場合やオブリーク衝突する場合等において、衝突荷重はフロントサイドメンバの前部側に集中することとなり、当該前部の車両幅方向への折れ変形の変形量を確保することができる。
以上説明したように、請求項1に記載の本発明に係る車両前部構造は、微小ラップ衝突時やオブリーク衝突時等において、フロントサイドメンバによる衝突荷重の吸収効率を向上させることができるという優れた効果を有する。
本実施形態に係る車両前部構造が適用されたフロントサイドメンバの要部を示す拡大正面図(図2の1方向矢視図)である。 本実施形態に係る車両前部構造が適用されたフロントサイドメンバの要部を車両幅方向外側から見た拡大断面図(図3の2−2線に沿って切断した状態を示す部分断面図)である。 本実施形態に係る車両前部構造が適用されたフロントサイドメンバの構成を示す車両上方側から見た断面図(図4の3−3線に沿って切断した状態を示す断面図)である。 本実施形態に係る車両前部構造が適用された車体前部を車両下方側から見た斜視図である。 本実施形態に係る車両前部構造が適用されたフロントサイドメンバの衝突荷重入力前後の状態を示す平面図であり、(A)は衝突荷重入力前の状態を示しており、(B)は衝突荷重入力後の状態を示している。
以下、図1〜図5を用いて、本発明に係る車両前部構造の実施形態の一例について説明する。なお、各図に適宜示される矢印FRは車両前方側を示しており、矢印UPは車両上方側を示しており、矢印OUTは車両幅方向外側を示している。
まず、図2〜図4を用いて、本実施形態に係る車両前部構造が適用された「車両10」の「車体12」の概略構成について説明する。なお、本実施形態では、車体12は基本的に左右対称の構成とされているため、車体12の車両幅方向左側の部分の構成を中心に説明していくこととする。
車体12の車両前方側の部分を構成する車体前部14には、図示しないパワーユニットが収容されるパワーユニット室16が設けられており、当該パワーユニット室16は、ダッシュパネル18によって車室20と区画されている。ダッシュパネル18は、車両幅方向及び車両上下方向に延在するプレス成型部材で構成されており、当該ダッシュパネル18の図示しない車両下方側の端部には、車室20の床部を構成する図示しないフロアパネルが取り付けられている。このフロアパネルは、車両幅方向及び車両前後方向に延在するプレス成形部材で構成されると共に、その車両前方側の端部がダッシュパネル18とスポット溶接等による図示しない接合部で接合されることで当該ダッシュパネル18と一体化されている。
また、フロアパネルの車両幅方向両側のそれぞれの周縁部には、当該周縁部に沿って車両前後方向に延在する図示しないロッカが取り付けられており、当該ロッカは、車両前後方向に延在する閉断面構造を成している。なお、ロッカは、フロアパネルにスポット溶接等による接合部で接合されている。
一方、パワーユニット室16の車両幅方向両側には、車体12の骨格を構成する左右一対の「フロントサイドメンバ22」が、それぞれ長手方向を車両前後方向とされて配置されている。このフロントサイドメンバ22は、車両前後方向に延在する「前部22A」と、フロアパネルに沿って配置されると共に車両前後方向に延在する図示しない後部と、当該前部22Aと当該後部とに架け渡された「キック部22B」とを含んで構成されている。つまり、キック部22Bは、前部22Aと連続し、かつ当該前部22Aの車両後方側から車両後方下側に向って傾斜して設けられている。なお、フロントサイドメンバ22の車両前方側の端部には、図示しないクラッシュボックスが配置されており当該クラッシュボックスの先端部同士には、バンパリインフォースメントが架け渡されている。
より詳しくは、前部22Aは、その主な部分がアウタパネル24とインナパネル26とで構成されており、その車両幅方向外側の部分がアウタパネル24で構成されると共に、その車両幅方向内側の部分がインナパネル26で構成されている。そして、前部22Aにおけるアウタパネル24とインナパネル26とで構成された部分は、車両前後方向に見て矩形枠状の閉断面を成す閉断面構造とされている。
一方、キック部22Bは、その車両上方側の部分を構成するアッパパネル28と、その車両下方側の部分を構成するロアパネル30とを含んで構成されている。アッパパネル28は、ダッシュパネル18の車両下方側の面に沿って延在しており、車両上方側から見て車両前後方向に延びる板状に構成されている。
ロアパネル30は、底壁部30A、内側側壁部30B、外側側壁部30C、内側フランジ部30D及び外側フランジ部30Eを含んで、車両前後方向に見た断面視で、車両上方側に開口した略ハット状に構成されている。より詳しくは、底壁部30Aは、ロアパネル30の車両下方側を構成すると共に、板厚方向を車両上下方向とされて車両前後方向に延びる車両上下方向に見て矩形の板状に構成されている。この底壁部30Aの車両幅方向内側の周縁部からは、当該周縁部に沿って板厚方向を車両幅方向とされて内側側壁部30Bが車両上方側に延出されている。そして、内側側壁部30Bの車両上方側の周縁部からは車両幅方向内側に内側フランジ部30Dが延出されている。
また、底壁部30Aの車両幅方向外側の周縁部からは、当該周縁部に沿って板厚方向を車両幅方向とされて外側側壁部30Cが車両上方側に延出されている。そして、外側側壁部30Cの車両上方側の周縁部からは車両幅方向外側に外側フランジ部30Eが延出されている。
上記のように構成されたアッパパネル28とロアパネル30とは、ロアパネル30の内側フランジ部30D及び外側フランジ部30Eとアッパパネル28の車両前後方向に沿う周縁部とがそれぞれスポット溶接等による図示しない接合部で接合されている。そして、アッパパネル28とロアパネル30とで構成されたキック部22Bの断面形状は、車両前後方向に見て矩形枠状の閉断面を成している。
また、アッパパネル28とロアパネル30とで仕切られた空間における車両前方側の部分には、アウタパネル24及びインナパネル26の車両後方側の部分が所定長さ挿入された状態となっている。つまり、キック部22Bの車両前方側の部分は、アウタパネル24及びインナパネル26を一部含んで構成されている。そして、インナパネル26の車両後方側の端部に設けられた内側フランジ部26Aが、ロアパネル30の内側フランジ部30Dに車両上方側から載置された状態で当該内側フランジ部30Dにスポット溶接等による接合部32で接合されている。一方、アウタパネル24の車両後方側の端部に設けられた外側フランジ部24Aは、ロアパネル30の外側フランジ部30Eに車両上方側から載置された状態で当該外側フランジ部30Eにスポット溶接等による接合部34で接合されている。
さらに、アウタパネル24の車両幅方向外側を構成する外側側壁部24Bにおける前部22Aとキック部22Bとの境界部には、凹部36が形成されている。この凹部36は、車両上下方向に見て、車両幅方向内側に凸となるようにかつ車両幅方向外側に向かうに従って拡幅された台形状に外側側壁部24Bが屈曲されて構成されている。
一方、キック部22Bの車両幅方向外側には、「アウタトルクボックス38」が取り付けられると共に、当該キック部22Bの車両幅方向内側には、「インナトルクボックス40」が取り付けられている。そして、アウタトルクボックス38及びインナトルクボックス40によって車体12が補強されている。
詳しくは、アウタトルクボックス38は、ダッシュパネル18の車両前方側に配置されると共に、上述したロッカの車両前方側の端部とキック部22Bとの間に架け渡されている。このアウタトルクボックス38は、車両幅方向に見た断面視で、車両後方側が開放された略ハット状に構成されており、その周縁部を構成するフランジ部38Aがスポット溶接等による図示しない接合部でダッシュパネル18及びキック部22Bに接合されている。これにより、アウタトルクボックス38とダッシュパネル18とで車両幅方向に延在する閉断面構造が構成され、車体12におけるアウタトルクボックス38の周辺部に高剛性部が構成される(以下、この部分を「外側高剛性部42」と称する)。
一方、インナトルクボックス40は、ダッシュパネル18の車両前方側に配置されると共に、上述したフロアパネルの車両幅方向中央部に設けられた車両前後方向に延在するトンネル部とキック部22Bとの間に架け渡されている。このインナトルクボックス40は、車両幅方向に見た断面視で、車両後方側が開放された略ハット状に構成されており、その周縁部を構成するフランジ部40Aがスポット溶接等による図示しない接合部でダッシュパネル18及びキック部22Bに接合されている。これにより、インナトルクボックス40とダッシュパネル18とで車両幅方向に延在する閉断面構造が構成され、車体12におけるインナトルクボックス40の周辺部に高剛性部が構成される(以下、この部分を「内側高剛性部44」と称する)。
ここで、本実施形態では、フロントサイドメンバ22の内側に「補強部材46」が取り付けられている点に特徴がある。以下、本実施形態の要部を構成する補強部材46の構成について詳細に説明する。
図2及び図3に示されるように、補強部材46は、当該補強部材46の本体部を構成する下側補強部材48と当該下側補強部材48に車両上方側から重ねられた上側補強部材50とが接合されることで構成されている。下側補強部材48は、その車両下方側の部分を構成する底壁部48Aと、その車両幅方向内側の部分を構成する内側側壁部48Bと、その車両幅方向外側の部分を構成する外側側壁部48Cとを含んで構成されている。
詳しくは、底壁部48Aは、板厚方向を車両上下方向とされると共に、全体的には車両上下方向に見て、車両後方側から車両前方側に向かうに従って縮幅された矩形(台形)の板状とされている。この底壁部48Aは、アウタパネル24の車両下方側を構成する底壁部24C及びインナパネル26の車両下方側を構成する底壁部26Bに沿って配置されている。そして、底壁部48Aの車両後方側の端部48A1は、底壁部24C及び底壁部26Bの車両後方側の端部と揃えて配置されている。
また、底壁部48Aの端部48A1から車両前方側に所定距離隔てた箇所は、当該底壁部48Aの幅方向内側にくびれているくびれ部48A2とされており、当該くびれ部48A2の車両後方側には、「内側延出部48D及び外側延出部48E」が設けられている。内側延出部48Dは、底壁部48Aの端部48A1からその板厚方向をロアパネル30の内側フランジ部30Dの板厚方向とされて車両幅方向内側に延出されると共に、その先端部が半円状とされた略矩形の板状に構成されている。一方、外側延出部48Eは、底壁部48Aの端部48A1からその板厚方向をロアパネル30の外側フランジ部30Eの板厚方向とされて車両幅方向内側に延出されると共に、内側延出部48Dと同様の構成とされている。つまり、内側延出部48Dは、補強部材46の車両後方側でかつ車両幅方向内側の部分であり、外側延出部48Eは、補強部材46の車両後方側でかつ車両幅方向外側の部分である。
さらに、底壁部48Aの車両前後方向中央部では、当該底壁部48Aの車両幅方向外側の周縁部48A3が車両幅方向内側に凸となる矩形状に沿った形状となっている。換言すれば、底壁部48Aの周縁部48A3の車両前後方向中央部は、車両上方側から見て、車両幅方向外側が開放された矩形状に切り欠かれた状態とされている(以下、この部分を便宜的に「切欠部52」と称する)。なお、下側補強部材48は、車両上方側から見て、アウタパネル24の凹部36の車両幅方向内側に切欠部52が位置するように配置されている。
一方、内側側壁部48Bは、底壁部48Aの車両幅方向内側の周縁部からその板厚方向を車両幅方向とされて車両上方側に延出されると共に、くびれ部48A2の車両前方側から当該底壁部48Aの車両前方側の端部48A4まで設けられている。この内側側壁部48Bは、その車両上下方向の幅がその長手方向中央部で最も大きくなるように構成されている。また、内側側壁部48Bは、くびれ部48A2から車両前方側に所定距離隔てた位置では、車両上方側が開放された矩形状に、車両上方側から見て切欠部52の車両幅方向内側にあたる位置では、車両上方側が開放された三角形状に、それぞれ切り欠かれた状態となっている。
また、外側側壁部48Cは、底壁部48Aの車両幅方向外側の周縁部からその板厚方向を車両幅方向とされて車両上方側に延出されると共に、くびれ部48A2の車両前方側から切欠部52の車両後方側の周縁部52Aまで設けられている。つまり、下側補強部材48の車両前後方向に見た断面形状は、その車両前方側の端部から切欠部52の周縁部52AまでがL字状とされており、当該周縁部52Aからその車両後方側の端部までがU字状とされている。なお、直接図示していないが、外側側壁部48Cは、その車両上下方向の幅がその長手方向中央部で最も大きくなるように構成されると共に、くびれ部48A2から車両前方側に所定距離隔てた位置で車両上方側が開放された矩形状に切り欠かれた状態とされている。
上側補強部材50は、その車両下方側の部分を構成する底壁部50Aと、その車両幅方向内側の部分を構成する内側側壁部50Bとを含んで構成されており、車両前後方向に見た断面視でL字状に構成されている。この上側補強部材50は、基本的には下側補強部材48における切欠部52の周縁部52Aよりも車両前方側の部分と同様の構成とされているものの、その車両後方側の部分の構成が、下側補強部材48の当該部分の構成と異なっている。具体的には、内側側壁部50Bにおける切欠部52よりも車両後方側の部分は、車両上方側に向かって拡幅されかつ車両上方側が開放された台形状に切り欠かれた状態となっている。さらに、底壁部50Aの車両後方側の周縁部は、車両前方外側から車両後方内側に向かって延びており、当該底壁部50Aの切欠部52よりも車両後方側の部分は、車両上方側から見て略三角形状とされている。
上記のように構成された下側補強部材48と上側補強部材50とは、当該上側補強部材50における底壁部50Aの車両後方側の周縁部に沿って隅肉溶接等による接合部54で接合されることで一体化されている。そして、補強部材46における切欠部52よりも車両前方側の部分がフロントサイドメンバ22における前部22Aの内側に接合されている。詳しくは、補強部材46における前部22A側の部分が、スポット溶接等による接合部56でインナパネル26の底壁部26B、当該インナパネル26の車両幅方向内側を構成する内側側壁部26C及びアウタパネル24の底壁部24Cに接合されている。一方、補強部材46における切欠部52よりも車両後方側でかつ内側延出部48D及び外側延出部48E以外の部分は、キック部22Bにおけるアウタパネル24及びインナパネル26を含んで構成された部分の内側に接合されている。詳しくは、補強部材46における上記部分は、スポット溶接等による接合部56でインナパネル26の底壁部26B及び内側側壁部26C、アウタパネル24の外側側壁部24B及び底壁部24Cに接合されている。
ここで、本実施形態では、図1及び図2に示されるように、内側延出部48Dがロアパネル30における内側フランジ部30Dの車両上方側に配置されると共に、外側延出部48Eがロアパネル30の外側フランジ部30Eの上方側に配置されている。つまり、内側延出部48D及び外側延出部48Eは、アッパパネル28とロアパネル30とに挟持された状態とされている。そして、内側延出部48D及び外側延出部48Eは、この状態でアッパパネル28及びロアパネル30にスポット溶接等による接合部60で接合されている。
また、内側延出部48Dは、車両上下方向に見て、インナトルクボックス40のフランジ部40Aと重なるように配置されており、当該内側延出部48Dは、内側フランジ部30Dを介した状態でフランジ部40Aと接合部60で接合されている。換言すれば、内側延出部48Dは、キック部22Bと共にインナトルクボックス40、ひいては内側高剛性部44に取り付けられている。
一方、外側延出部48Eは、車両上下方向に見て、アウタトルクボックス38のフランジ部38Aと重なるように配置されており、当該外側延出部48Eは、外側フランジ部30Eを介した状態でフランジ部38Aと接合部60で接合されている。換言すれば、外側延出部48Eは、キック部22Bと共にアウタトルクボックス38、ひいては外側高剛性部42に取り付けられている。
(本実施形態の作用及び効果)
次に、本実施形態の作用及び効果を説明する。
本実施形態では、図5(A)に示されるように、車両前後方向に延在する前部22Aと、当該前部22Aと連続し、かつ車両後方下側に向かって傾斜して設けられたキック部22Bとを含んでフロントサイドメンバ22が構成されている。また、車体12におけるキック部22Bの車両幅方向外側には、アウタトルクボックス38が取り付けられており、当該アウタトルクボックス38によって当該車体12におけるキック部の車両幅方向外側の部分が補強されている。一方、車体12におけるキック部22Bの車両幅方向内側には、インナトルクボックス40が取り付けられており、当該インナトルクボックス40によって当該車体12におけるキック部22Bの車両幅方向内側の部分が補強されている。
ところで、車両10が微小ラップ衝突する場合やオブリーク衝突する場合等では、フロントサイドメンバ22の前部22Aが車両幅方向に折れ変形することで衝突荷重が吸収される。具体的には、図5(B)に示されるように、車両10が微小ラップ衝突する場合やオブリーク衝突する場合等において、フロントサイドメンバ22の前部22Aは、凹部36が配置されている箇所の近傍を基点として折れ変形する。そして、前部22Aとキック部22Bとの境界部に車両幅方向内側に向かって延びる塑性関節62が発生し、当該塑性関節62の変形量(長さ)Lに応じて衝突荷重が吸収されることとなる。つまり、車両10が微小ラップ衝突する場合やオブリーク衝突する場合等において、フロントサイドメンバ22による衝突荷重の吸収効率を高めるには、フロントサイドメンバ22の前部22Aの車両幅方向への折れ変形の変形量を確保することが有効である。
ここで、本実施形態では、フロントサイドメンバ22のキック部22Bの内面で当該キック部22Bに補強部材46が取り付けられており、当該キック部22Bの変形に必要な変形荷重を大きくすることができる。さらに、補強部材46の外側延出部48Eがキック部22Bと共にアウタトルクボックス38に取り付けられると共に、当該補強部材46の内側延出部48Dが当該キック部22Bと共にインナトルクボックス40に取り付けられている。
このため、キック部22Bに入力された衝突荷重がアウタトルクボックス38及びインナトルクボックス40で支持され、フロントサイドメンバ22が当該キック部22B側から変形していくのを抑制することができる。その結果、車両10が微小ラップ衝突する場合やオブリーク衝突する場合等において、衝突荷重はフロントサイドメンバ22の前部22A側に集中することとなり、当該前部22Aの車両幅方向への折れ変形の変形量を確保することができる。そして、フロントサイドメンバ22に補強部材46を設けていない場合と比し、塑性関節62の変形量Lを増加させることができる。したがって、本実施形態では、微小ラップ衝突時やオブリーク衝突時等において、フロントサイドメンバ22による衝突荷重の吸収効率を向上させることができる。しかも、補強部材46には、切欠部52が設けられているため、塑性関節62の発生が当該補強部材46によって規制されることを抑制することができる。
なお、上述した実施形態では、車体12が左右対称の構成とされており、一対のフロントサイドメンバ22の両方に補強部材46が設けられていたが、車種や運転環境に応じて車両幅方向一方側のフロントサイドメンバ22に補強部材46を設ける構成も取り得る。
10 車両
12 車体
22 フロントサイドメンバ
22A 前部
22B キック部
38 アウタトルクボックス
40 インナトルクボックス
46 補強部材
48D 内側延出部(車両後方側でかつ車両幅方向内側の部分)
48E 外側延出部(車両後方側でかつ車両幅方向外側の部分)

Claims (1)

  1. 車両前後方向に延在する前部と、当該前部と連続し、かつ車両後方下側に向かって傾斜して設けられたキック部と、を含んで構成されたフロントサイドメンバと、
    前記キック部の車両幅方向外側で車体に取り付けられて当該車体を補強するアウタトルクボックスと、
    前記キック部の車両幅方向内側で前記車体に取り付けられて当該車体を補強するインナトルクボックスと、
    前記キック部の内面で当該キック部に取り付けられると共に、車両後方側でかつ車両幅方向外側の部分が当該キック部と共に前記アウタトルクボックスに取り付けられ、車両後方側でかつ車両幅方向内側の部分が当該キック部と共に前記インナトルクボックスに取り付けられた補強部材と、
    を有し、
    前記フロントサイドメンバの車両幅方向外側の部分における前記前部と前記キック部との境界部に車両幅方向内側に凹んだ凹部が設けられている、
    車両前部構造。
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