JP6535356B2 - 身体状態判定装置、身体支持装置、及び身体状態判定方法 - Google Patents
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Description
特許文献2のエアマット装置では、マット部とベースとの間に、使用者をサポートするためのサポートセル(エアセル)が設けられている。サポートセルは、エアマット装置の右側及び左側にそれぞれ配置されている。
(1)本発明に係る身体状態判定装置は、使用者の体重による圧力分布を複数検出する検出部と;前記検出部が検出した前記複数の圧力分布同士を比較することにより、前記使用者の身体の状態を判定する判定部と;を備えることを特徴とする。
(12)本発明に係る身体状態判定方法は、使用者の体重による圧力分布を複数検出し;検出した前記複数の圧力分布同士を比較することにより、前記使用者の身体の状態を判定することを特徴とする。
これらの発明によれば、例えば複数の圧力分布同士を比較することで、1つの圧力分布に基づいて判定する場合に比べて、使用者の身体の状態を精度良く判定することができる。
この場合、同一時刻における使用者の身体の状態を、身体のより広い範囲にわたり精度良く判定することができる。
この場合、複数の領域ごとに使用者の身体の状態を検出することができる。
この場合、使用者の圧力分布を、使用者の頭部、頭部以外の上半身、臀部、及び足部に分けて検出し、使用者の身体の状態を使用者の頭部等ごとに判定することができる。
この場合、足部領域のうちで検出部により圧力が検出される範囲に基づいて、使用者の身体の状態が下肢拘縮であると判定することができる。
この場合、検出部が検出する上半身領域の各圧力分布の全荷重の第一の方向の偏りに基づいて、使用者の身体の状態が円背であると判定することができる。
この場合、検出部が検出する領域の第二の方向における各圧力分布による全荷重の大小関係に基づいて、その領域における使用者の向きを判定することができる。
この場合、使用者の身体のある部位における時刻による状態の変化を、精度良く判定することができる。
この場合、変化率に基づいて使用者の身体の状態の変化の速さを判定することができる。
この発明によれば、検圧力分布の検出を安定した状態で行うことができる。
この場合、流体調整部が判定部の判定に基づいて供給排出部を駆動することで、複数の流体セルを使用者の身体の状態に応じた形状にすることができる。
以下、本発明に係る身体支持装置の第1実施形態を、身体支持装置がエアマット装置である場合を例にとって、図1から図20を参照しながら説明する。
図1及び図2に示す本実施形態のエアマット装置1は、例えば、医療環境下(介護環境下を含む)において利用することができる。図1以降において、矢印Hは、エアマット装置1に仰臥位で寝る使用者Pに対して頭側となる向きを示す。また、矢印F、R、Lは仰臥位で寝る使用者Pに対して足側、右側(一方側)、左側(他方側)となる向きを示している。後述する各エアセル22には、グループ毎にハッチングを付して示している。
以下の説明においては、頭側H及び脚側Fを含む方向を頭足方向(第一の方向)D1、右側R及び左側Lを含む方向を左右方向(第二の方向)D2と称する。左右方向D2は、頭足方向D1に直交(交差)する方向である。
エアマット装置1のマット部21は、例えば公知の寝台装置101に支持される。寝台装置101は、図示はしないがパネル部材が頭足方向D1に複数に分割され、これらのパネル部材の角度が変化することで背上げ及び脚上げ(膝上げ)動作が可能であるものであってもよい。
複数の圧力センサ15aは、例えば頭足方向D1及び左右方向D2に沿って碁盤目状に配置されている。なお、複数の圧力センサ15aは、特定の部分だけ設けなかったり、後述する上半身領域A2、臀部領域A3、又は使用者Pの腰やかかと等に対応する部分にピンポイント(局所的)に1つ又は複数設けたりしてもよい。
各圧力センサ15aにより、圧力(圧力値)が検出される。検出された圧力を圧力センサ15aの位置に碁盤目状に配置することで、圧力分布が検出される。
なお、複数の領域A1、A2、A3、A4は頭部領域A1、上半身領域A2、臀部領域A3、及び足部領域A4の少なくとも1つを含むように構成してもよい。処理部16が検出可能な圧力分布の分割数は4つに限られず、2つ、3つでもよいし、5つ以上でもよい。
頭部領域A1は、使用者Pの身体の頭部による圧力分布が検出される領域である。同様に、上半身領域A2は使用者Pの身体の頭部以外の上半身による圧力分布が検出される領域であり、臀部領域A3は使用者Pの身体の臀部による圧力分布が検出される領域であり、足部領域A4は使用者Pの身体の足部による圧力分布が検出される領域である。
領域A1、A2、A3、A4の圧力分布は、使用者Pの身体のうち、頭部、頭部以外の上半身等の互いに異なる部位での圧力分布である。
足部領域A4は、頭側Hから脚側Fに向けて足部第一領域A41、足部第二領域A42を有する。足部第一領域A41は、足部領域A4のうち頭足方向D1の中央部よりも臀部領域A3寄りの領域である。足部第二領域A42は、足部領域A4のうち頭足方向D1の中央部よりも臀部領域A3とは反対寄りの領域である。
各領域A1、A2、A3、A4、A21、A22、A41、A42の頭足方向D1の長さは、エアマット装置1を使用する複数の使用者の体型等に応じて適切な値に設定されている。
処理部16のメモリには、各圧力センサ15aが占める面積、各圧力センサ15aが属する頭部領域A1等の種類等が記憶されている。さらに、このメモリには、各圧力センサ15aから送信された圧力の検出結果が記憶される。すなわち、メモリには頭部領域A1等の圧力分布が記憶される。
演算回路は、メモリに記憶された複数の圧力から、頭部領域A1等に作用する全荷重等を演算することができる。
なお、処理部16はセンサ部15に取付けられてもよい。
各主エアセル22は、例えば塩化ビニル又はウレタン製のフィルムを袋状に溶着して製造することができる。頭足方向D1に隣接して配置された主エアセル22同士は、互いに固定されていてもよいし、互いに固定されていなくてもよい。各主エアセル22は、複数の主エアセル22を一体に覆う図示しないカバーに、ボタンや紐等を介して固定すること等もできる。
主マット部21Aは、センサ部15よりも下方に配置されている。なお、主マット部21Aは、センサ部15よりも上方に配置されてもよい。
この例では、同一グループに属する主エアセル22が、主マット部21Aにおいて頭足方向D1に沿って交互に配置されている。第一グループG1に属する主エアセル22の内部は、連通路29Aを通して互いに連通されている。このため、第一グループG1に属する主エアセル22では、互いの内圧が同期して変動する。連通路29Aには、塩化ビニル等の樹脂製のエアーチューブ等を好適に使用することができる。
第二グループG2に属する主エアセル22も同様に構成され、第二グループG2に属する主エアセル22の内部は、連通路29Bを通して互いに連通されている。
図2に示すように、補助エアセル23Aは、例えば左右方向D2に延びるとともに凹部23Aaが脚側Fを向くように配置されている。補助エアセル23Aは、使用者Pの例えば首部に接触するように、センサ部15の上半身領域A2おける左右方向D2の中央部の上部に配置されている。
補助エアセル23Bは、頭足方向D1に延びるとともに凹部23Baが左側Lを向くように配置されている。補助エアセル23Bは、使用者Pの例えば右肩部に接触するように、センサ部15の上半身領域A2における右側Rの部分に配置されている。
補助エアセル23Cは、補助エアセル23Bに対して左右方向D2に対向するように配置されている。
補助エアセル23Eは、補助エアセル23Dに対して左右方向D2に対向するように配置されている。
補助エアセル23Fは、頭足方向D1に延びるとともに凹部23Faが左側Lを向くように配置されている。補助エアセル23Fは、使用者Pの例えば右ひざ部に接触するように、センサ部15の足部第一領域A41における右側Rの部分に配置されている。
補助エアセル23Gは、補助エアセル23Fに対して左右方向D2に対向するように配置されている。
補助エアセル23A〜23Gは、例えば主マット部21Aとセンサ部15との間に配置される。
判定部13のメモリには、使用者Pの体重に対する割合を表す第四の割合、上半身領域A2、臀部領域A3の左右に作用する全荷重の割合を表す第五の割合、第六の割合が予め記憶されている。なお、第一の割合から第三の割合は、後述するように主制御部47に記憶されている。
第四〜六の割合は、例えば「10%」等の値や、「20%以上30%以下」等の範囲として設定することができる。
判定部13の制御フローについては、後述する。
接続路34は、主エアセル22のグループG1、G2に対応して2つ設けられた分岐路37A、37Bと、補助エアセル23A〜23Gに対応して7つ設けられた分岐路38A〜38Gと、分岐路37A、37B、38A〜38Gが共通して接続される共通路39と、を有している。分岐路37Aは連通路29Aに接続され、分岐路37Bは連通路29Bに接続されている。なお、分岐路37Aは、第一グループG1の主エアセル22に直接接続されてもよい。分岐路37Bも同様である。
共通路39は、分岐路37A、37B、38A〜38Gとポンプ32及び排気弁33との間を各別に接続している。
開閉弁35Aは、分岐路37Aと、ポンプ32及び排気弁33と、の間を互いに連通した開状態と、この連通が解除された閉状態とに切り替える。開閉弁35B、36A〜36Gについても、分岐路37B、38A〜38Gと、ポンプ32及び排気弁33と、の間で同様の切り替え動作をする。
すなわち、例えば第一グループG1の各主エアセル22に給気(空気の供給)を行う場合には、開閉弁35Aを開状態にするとともに、開閉弁35B、36A〜36G、排気弁33を閉状態にする。ポンプ32を駆動することで、共通路39、分岐路37A、連通路29Aを通して、第一グループG1の各主エアセル22内に空気が給気される。給気された空気は、各主エアセル22内に収容される。
一方で、第一グループG1の各主エアセル22の排気(空気の排出)を行う場合には、開閉弁35Aを開状態にするとともに、開閉弁35B、36A〜36Gを閉状態にする。排気弁33を開状態にすることで、第一グループG1の各主エアセル22内に空気が、連通路29A、分岐路37A、及び共通路39を通して、排気弁33から外部に排出される。
第二グループG2の各主エアセル22、各補助エアセル23についても、同様に給気及び排気をすることができる。
バス43には、前述の判定部13、ポンプ32、排気弁33、開閉弁35A、35B、36A〜36Gが接続されている。
すなわち、本実施形態では、圧力センサ44は各主エアセル22及び補助エアセル23に対して1つ設けられている。内圧検出部51は、接続路34を通してグループG1、G2の主エアセル22内、及び各補助エアセル23内の圧力を検出する。
例えば内圧検出部51が第一グループG1の各主エアセル22内の圧力を検出する場合には、開閉弁35Aを開状態にするとともに、開閉弁35B、36A〜36Gを閉状態にして、第一グループG1の各主エアセル22内の圧力を検出する。
なお、内圧検出部51は、各グループG1の主エアセル22、及び各補助エアセル23に対応してそれぞれ設けられてもよい。
主制御部47は、エアマット装置1についての全般的な制御を行う。主制御部47のメモリには、使用者Pの体重に対する割合を表す第一の割合、第二の割合、及び第三の割合が予め記憶されている。各割合は、前述の第四〜六の割合と同様に設定することができる。
介助者が入出力部45の入力装置を操作すると、エアマット装置1が起動される。エアマット装置1を起動した後、センサ部15上に使用者Pが仰臥位で乗る前の初期状態において、流体調整部26は以下のように動作する。すなわち、流体調整部26は、ポンプ32を駆動するとともに排気弁33、開閉弁35A、35B、36A〜36Gを切り替えて、各主エアセル22及び補助エアセル23A〜23Gを初期状態にする。初期状態では、各主エアセル22内の空気の圧力が比較的高圧(例えば、4〜5kPaG(キロパスカル・ゲージ))に制御される。
これにより、例えば、エアマット装置1の最大使用荷重の使用者Pが仰臥位で乗ったときであっても、使用者Pの底付きを抑えることができる。
一方で、初期状態では、各補助エアセル23内には空気が供給されていなく、各補助エアセル23は平坦な状態になっている。
処理部16の演算回路は、例えば頭部領域A1に属する各圧力センサ15aの検出した圧力に、圧力センサ15aが占める面積を掛けた値を足し合わせること等により、頭部領域A1の圧力分布による(作用する)全荷重を演算する。同様に、各領域A21、A22、A3、A41、A42の圧力分布による全荷重を演算する。上半身第一領域A21の圧力分布による全荷重に上半身第二領域A22の圧力分布による全荷重を足すことで、上半身領域A2の圧力分布による全荷重を演算する。同様に、足部第一領域A41の圧力分布による全荷重に足部第二領域A42の圧力分布による全荷重を足すことで、足部領域A4の圧力分布による全荷重を演算する。
これらの各領域A1、A2、A3、A4の圧力分布による全荷重を合計することで、使用者Pの体重を演算する。
この際に、上半身領域A2における圧力分布を、上半身領域A2内で最も広い範囲にわたり連続した圧力分布が生じている領域である主領域R21と、主領域R21から離間して圧力分布が生じている領域である離間領域R22とに分けてもよい。そして、圧力中心位置を、上半身領域A2の主領域R21における圧力を検出した圧力センサ15aの位置の重心としてもよい。
同様に、演算回路は、臀部領域A3における圧力分布の圧力中心位置P3を算出する。
演算回路は、臀部領域A3の圧力中心位置P3に対する右側Rの臀部右側領域A33の圧力分布による全荷重と、上半身領域A2の圧力中心位置P3に対する左側Lの臀部左側領域A34の圧力分布による全荷重と、をそれぞれ演算する。
演算された各領域A23、A24、A33、A34ごとの圧力分布による全荷重は、処理部16のメモリに記憶される。
以上で、使用者Pの身体の状態を判定するための基礎となる演算が終了する。
次に、身体の状態を判定する前に、使用者Pの初期の位置を調節する初期工程(図3のステップS1)を行う。
なお、以下で説明する初期工程S1におけるステップS2の工程は、センサ部15に対して使用者Pが寝る頭足方向D1の位置が、使用者Pの臀部を中心に一意に定まると考えるために行う工程である。また、初期工程S1におけるステップS3の工程は、センサ部15上に使用者Pを正しく寝させるための工程である。
ステップS2でYESと判断したときには、ステップS3に移行する。一方で、ステップS2でNOと判断したときには、ステップS4に移行する。
ステップS3でYESと判断したときには、初期工程S1を終了してステップS11に移行する。一方で、ステップS3でNOと判断したときには、ステップS4に移行する。
ステップS2でYESと判断され、さらに、ステップS3でYESと判断されるまで、ステップS2、S3、S4の工程を繰り返し行う。
なお、ステップS12では、圧力分布検出部12が検出した上半身第一圧力分布等の複数の圧力分布同士を比較して、上半身領域A2に作用する荷重の偏りを判断してもよい。
ステップS12でYESと判断したときには、ステップS13に移行する。一方で、ステップS12でNOと判断したときには、ステップS14に移行する。
ステップS13では、判定部13が使用者Pの身体が屈曲していて使用者Pの身体の状態が円背であると判定する。そして、ステップS11の全ての工程を終了し、ステップS21に移行する。ステップS14では、判定部13は使用者Pが円背でないと判定する。そして、ステップS11の全ての工程を終了し、ステップS21に移行する。
足部第一圧力分布がいずれかの位置で0Paよりも大きいとは、足部第一領域A41に対応する複数の圧力センサ15aのいずれかが0Paよりも大きい圧力を検出することを意味する。足部第二圧力分布がいずれの位置においても0Paに等しいとは、足部第二領域A42に対応する複数の圧力センサ15aのいずれも0Paの圧力を検出することを意味する。
ステップS22でYESと判断したときには、ステップS23に移行する。一方で、ステップS22でNOと判断したときには、ステップS24に移行する。
ステップS23では、判定部13が使用者Pの身体の状態が下肢拘縮であると判定する。そして、ステップS21の全ての工程を終了し、ステップS31に移行する。
ステップS24でYESと判断したときには、ステップS23に移行する。一方で、ステップS24でNOと判断したときには、ステップS25に移行する。
ステップS25では、判定部13は使用者Pが下肢拘縮でないと判定する。そして、ステップS21の全ての工程を終了し、ステップS31に移行する。
ステップS32で、上半身全荷重の和に対する第一圧力分布による全荷重が第五の割合よりも小さいと判断したときには、ステップS33に移行する。ステップS32で、上半身全荷重の和に対する第一圧力分布による全荷重が第五の割合よりも大きいと判断したときには、ステップS34に移行する。そして、ステップS32で、上半身全荷重の和に対する第一圧力分布による全荷重が第五の割合に入ると判断したときには、ステップS35に移行する。
ステップS42で、臀部全荷重の和に対する第一圧力分布による全荷重が第六の割合よりも小さいと判断したときには、ステップS43に移行する。ステップS42で、臀部全荷重の和に対する第一圧力分布による全荷重が第六の割合よりも大きいと判断したときには、ステップS44に移行する。そして、ステップS42で、臀部全荷重の和に対する第一圧力分布による全荷重が第六の割合に入ると判断したときには、ステップS45に移行する。
例えば、上半身向き判定工程S31で第一、二圧力分布による全荷重を比較して使用者Pの上半身が右向きと判定し、下半身向き判定工程S41で第一、二圧力分布による全荷重を比較して使用者Pの下半身が仰向け又は左向きと判定することで、使用者の身体の捻じれを判定することができる。上半身向き判定工程S31で使用者Pの上半身が左向きと判定し、下半身向き判定工程S41で使用者Pの下半身が仰向け又は右向きと判定した場合、及び、上半身向き判定工程S31で使用者Pの上半身が仰向けと判定し、下半身向き判定工程S41で使用者Pの下半身が右向き又は左向きと判定した場合も同様に、使用者の身体の捻じれを判定することができる。
使用者Pの身体の水平位からの屈曲及び捻じれに応じて、使用者Pが作用させた圧力分布が変化する。この圧力分布の偏りや分布等を分析することで、使用者Pの身体が水平位から屈曲したり、捻じれている状態が分かる。
例えば、判定部13が、使用者Pが円背であると判定したとする。このときに、流体調整部26は平坦になっている補助エアセル23Aを膨らませる(補助エアセル23Aを膨らませた状態は、図8参照)ことで使用者Pの首部に補助エアセル23Aを接触させる。これにより、複数のエアセル22、23が使用者Pの円背に応じた形状になる。使用者Pの首部に接触するマット部21の面積が広がり、使用者Pの体圧が分散される。
内圧検出部51で第一グループG1の各主エアセル22内の圧力を検出しながら各主エアセル22内に給気し、第一グループG1の各主エアセル22を初期状態にする。
このように、各グループG1、G2の主エアセル22を交互に排気させる(いわゆる交互膨縮をさせる)ことで、使用者Pの身体の同一箇所に圧力がかかり続けるのを抑制することができる。
以下では、本発明の実施例を具体的に示してより詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
本実施形態のエアマット装置1及び身体状態判定方法を用いて、実験を行った。この実施例では、センサ部15として頭足方向D1に沿って144個、左右方向D2に沿って48個(図11参照)の圧力センサ15aを碁盤目状に配置した。
頭部領域A1、上半身領域A2、臀部領域A3、及び足部領域A4の頭足方向D1の長さの比は、1:2:2:4とした。上半身第一領域A21、上半身第二領域A22の頭足方向D1の長さの比は、1:1とした。足部第一領域A41、足部第二領域A42の頭足方向D1の長さの比は、1:1とした。
このため、頭足方向D1において、No.1〜16の圧力センサ15aが頭部領域A1となる。同様に、No.17〜48の圧力センサ15aが上半身領域A2となり、No.49〜80の圧力センサ15aが臀部領域A3となり、No.81〜144の圧力センサ15aが足部領域A4となる。
左右方向D2において、No.1〜24の圧力センサ15aが左側Lとなり、No.25〜48の圧力センサ15aが右側Rとなる。
なお、第一の割合から第六の割合は、これらの範囲に限定されず、適切な範囲に設定することができる。
〔サンプル1〕
使用者Pの円背、下肢拘縮、上半身及び下半身の向きを評価した。図10に示すように、エアマット装置1のセンサ部15上で、使用者Pに仰臥位で寝て(横たわって)もらった。なお、図10及び後述する図13、図15、図17、図19では、エアマット装置1は、主に関連する構成のみ示している。この使用者Pは、わずかに円背であり、下肢拘縮である。使用者Pは、上半身は仰向け、下半身は右向きの状態で寝ていた。
圧力分布検出部12が検出した圧力分布を、図11に示す。図11では、約0Paの圧力が検出された部分を白色で示し、検出された圧力が高くなるのにしたがって濃い灰色で示す。後述する図12、図14、図16、図18、及び図20も同様である。
使用者Pの身体の水平位からの屈曲及び捻じれに応じて、使用者Pの体重による圧力分布が変化する。
・使用者Pの体重:43.6kg
・頭部領域A1に作用する荷重:3.5kg(8%)
・上半身領域A2に作用する荷重:18.3kg(42%)
上半身第一領域A21に作用する荷重:6.0kg(14%)
上半身第二領域A22に作用する荷重:12.3kg(28%)
上半身右側領域A23の圧力分布による全荷重:9.1kg(21%)
上半身左側領域A24の圧力分布による全荷重:9.2kg(21%)
・臀部領域A3に作用する荷重:18.7kg(43%)
臀部右側領域A33の圧力分布による全荷重:6.3kg(14%)
臀部左側領域A34の圧力分布による全荷重:12.4kg(29%)
・足部領域A4に作用する荷重:3.0kg(7%)
図11より足部第一圧力分布及び足部第二圧力分布がいずれかの位置でそれぞれ0Paよりも大きいため、ステップS22においてNOと判断した。足部領域A4に体重の7%(第四の割合は0%以上10%以下)の荷重が分布していることから、ステップS24においてYESと判断し、使用者Pが下肢拘縮であると判定した。
上半身全荷重の和に対する第一圧力分布による全荷重が50%(第五の割合は45%以上55%以下)であることから、ステップS32において上半身全荷重の和に対して第一圧力分布による全荷重が第五の割合に入ると判断し、使用者Pの上半身が仰向けと判定した。
臀部全荷重の和に対する第一圧力分布による全荷重が34%(第六の割合は45%以上55%以下)であることから、ステップS42において臀部全荷重の和に対して第一圧力分布による全荷重が第六の割合よりも小さいと判断し、使用者Pの下半身が右向きと判定した。
使用者Pの上半身が仰向けであり下半身が左向きと判定したときには、使用者Pの身体の軸が捻じれていることが分かる。この場合には、例えば使用者Pの下半身が仰向けになるように、流体調整部26は補助エアセル23Eや補助エアセル23Gを膨らませてもよい。このようにすることで、使用者Pの身体の軸の捻じれを無くし、使用者Pの姿勢を矯正することができる。
使用者Pが寝ている状態は示さないが、使用者Pは円背及び下肢拘縮がなく、上半身は仰向け、下半身は仰向けの状態で寝ていた。圧力分布検出部12が検出した圧力分布を、図12に示す。
検出した使用者Pの圧力分布から、圧力分布検出部12は以下のように演算した。
・使用者Pの体重:59kg
・頭部領域A1に作用する荷重:3.3kg(6%)
・上半身領域A2に作用する荷重:23.8kg(40%)
上半身第一領域A21に作用する荷重:12.4kg(21%)
上半身第二領域A22に作用する荷重:11.4kg(19%)
上半身右側領域A23の圧力分布による全荷重:12.2kg(21%)
上半身左側領域A24の圧力分布による全荷重:11.6kg(20%)
・臀部領域A3に作用する荷重:25.2kg(43%)
臀部右側領域A33の圧力分布による全荷重:12.9kg(22%)
臀部左側領域A34の圧力分布による全荷重:12.3kg(21%)
・足部領域A4に作用する荷重:6.8kg(12%)
図12より足部第一圧力分布及び足部第二圧力分布がいずれかの位置でそれぞれ0Paよりも大きいため、ステップS22においてNOと判断した。足部領域A4に体重の12%(第四の割合は0%以上10%以下)の荷重が分布していることから、ステップS24においてNOと判断し、使用者Pが下肢拘縮でないと判定した。
上半身全荷重の和に対して第一圧力分布による全荷重が51%(第五の割合は45%以上55%以下)であることから、ステップS32において上半身全荷重の和に対する第一圧力分布による全荷重が第五の割合に入ると判断し、使用者Pの上半身が仰向けと判定した。
臀部全荷重の和に対して第一圧力分布による全荷重が51%(第六の割合は45%以上55%以下)であることから、ステップS42において臀部全荷重の和に対する第一圧力分布による全荷重が第六の割合に入ると判断し、使用者Pの下半身が仰向けと判定した。
図13に示すように、エアマット装置1のセンサ部15上で、円背である使用者Pに仰臥位で寝てもらった。各主エアセル22及び各補助エアセル23は、前述の初期状態になっている。
このとき、圧力分布検出部12が検出した圧力分布を、図14に示す。図14及び後述する図16中には、補助エアセル23Aの位置を示した。圧力分布検出部12が検出した圧力の最大値は45.7mmHg(1mmHgは133.3Pa(パスカル))であった。
図17に示すように、エアマット装置1のセンサ部15上で、下肢拘縮である使用者Pに仰臥位で寝てもらった。各主エアセル22及び各補助エアセル23は、前述の初期状態になっている。
このとき、圧力分布検出部12が検出した圧力分布を、図18に示す。図18及び後述する図20中には、補助エアセル23Fの位置を示した。圧力分布検出部12が検出した圧力の最大値は54mmHgであった。
さらに、使用者Pの身体の軸の捻じれが改善され、捻じれによって生じる筋緊張を緩和し、拘縮の進行を抑えることができる。
身体の状態が分かれば、例えばその判定結果に基づいて身体を支持しているマット部21を変形させることで、使用者Pの体圧の最大値を減らすように体圧を分散させたり、使用者Pの姿勢を矯正したりできる。
圧力分布検出部12は、頭足方向D1に沿って位置する領域A1、A2、A3、A4ごとに圧力分布を検出する。このため、複数の領域A1、A2、A3、A4ごとに使用者Pの身体の状態を検出することができる。
判定部13が、足部第一圧力分布がいずれかの位置で0Paよりも大きく、足部第一圧力分布がいずれの位置においても0Paに等しいことが検出されたときに、使用者Pの身体の状態が下肢拘縮であると判定する。このため、足部領域A4のうちで圧力分布検出部12により圧力が検出される範囲に基づいて、使用者Pの身体の状態が下肢拘縮であると判定することができる。
判定部13は、圧力分布検出部12が検出する上半身領域A2及び臀部領域A3の左右方向D2における各圧力分布による全荷重の大小関係に基づいて、上半身領域A2及び臀部領域A3における使用者Pの向きを判定することができる。
支持部が複数のエアセル22、23を有するマット部21であり、さらにエアマット装置1が供給排出部25及び流体調整部26を備える。流体調整部26が判定部13の判定に基づいて供給排出部25を駆動することで、複数のエアセル22、23を使用者Pの身体の状態に応じた形状にすることができる。
次に、本発明の第2実施形態について図21を参照しながら説明するが、前記実施形態と同一の部位には同一の符号を付してその説明は省略し、異なる点についてのみ説明する。
図21に示すように、本実施形態のエアマット装置2は、第1実施形態の各構成に加えて記憶部53を備えている。記憶部53はメモリ等を有していて、バス43に接続されている。
記憶部53は、エアマット装置2のセンサ部15上に寝た使用者の身体の自重による頭部領域A1等における圧力分布を記憶する。
なお、圧力分布を記憶される使用者は前述の使用者Pと同一人物であってもよいし、使用者Pとは異なる人物であってもよい。
センサ部15上に使用者Pが寝ると、圧力分布検出部12は、使用者Pの身体の自重による頭部領域A1等における圧力分布を検出する。検出された頭部領域A1等における圧力分布は、記憶部53に記憶される。
一定の時間が経過すると、圧力分布検出部12は使用者Pの身体の自重による頭部領域A1等における圧力分布を検出する。
判定部13は、例えば新たに検出された上半身領域A2における圧力分布と、記憶部53に記憶された上半身領域A2における圧力分布とに基づいて(比較して)、使用者Pの身体の状態である姿勢の時間による変化等を判定する。この場合、両圧力分布は、互いに異なる時刻における使用者Pの身体のうち、上半身領域A2という同一の部位での圧力分布である。
なお、本実施形態で圧力分布を検出する領域は上半身領域A2に限られず、頭部領域A1や臀部領域A3等でもよい。
すなわち、例えば第一時刻t1において圧力分布検出部12が使用者Pの圧力分布Q1を検出したときに、記憶部53は、第一時刻t1及び圧力分布Q1を組みにした情報の束(t1,Q1)を記憶する。第一時刻t1よりも後の第二時刻t2において、圧力分布検出部12が使用者Pの圧力分布Q2を検出したときに、記憶部53は、第二時刻t2及び圧力分布Q2を組みにした情報の束(t2,Q2)を記憶する。圧力分布Q1及び圧力分布Q2は、例えば上半身領域A2という同一領域の圧力分布である。
このとき、判定部13は、圧力分布Q1に対する圧力分布Q2の変化量を、時刻の差分で除した変化率に基づいて、使用者Pの身体の状態を判定してもよい。時刻の差分は、第二時刻t2と第一時刻t1との差(t2−t1)である。
例えば、前記実施形態では流体は空気であるとした。しかし、流体は空気に限定されず、水や油等でもよい。
図22(C)に示すように、補助エアセル58は、C字形でもよい。図示はしないが、補助エアセルはこの形以外にも、丸形、O字形、凹字形等でもよい。図22(D)に示すように、補助エアセル59はV字形(半円筒形)でもよい。図示はしないが、補助エアセルはこの形以外にも、山字形等でもよい。
身体支持装置が例えばロボットである場合には、身体状態判定装置は、使用者の身体の立位からの屈曲及び捻じれの少なくとも一方を判定する。ここで言う立位とは、身体を鉛直方向に沿って伸ばしている状態を意味する。
身体支持装置が椅子等である場合も同様である。
11 身体状態判定装置
12 圧力分布検出部(検出部)
13 判定部
21 マット部(支持部)
22 主エアセル(流体セル)
23、56、57、58、59 補助エアセル(流体セル)
25 供給排出部
26 流体調整部
A1 頭部領域
A2 上半身領域
A3 臀部領域
A4 足部領域
D1 頭足方向(第一の方向)
D2 左右方向(第二の方向)
L 左側(他方側)
P 使用者
P2、P3 圧力中心位置
R 右側(一方側)
Claims (9)
- 使用者の体重による圧力分布として、前記使用者の身体の複数の部位に対応する複数の領域である頭部領域、上半身領域、臀部領域、及び足部領域それぞれについての圧力分布である複数の第1圧力分布を検出する複数の検出部と;
前記検出部が検出した前記複数の第1圧力分布による荷重が、前記使用者の体重の所定の割合の荷重範囲に含まれるか否かを判断する主制御部と;
前記検出部が検出した前記複数の第1圧力分布による荷重が、前記使用者の体重の所定の割合の荷重範囲に含まれると前記主制御部が判断したときに、所定領域に対応する前記第1圧力分布のうち、選択された前記領域上に設定された前記検出部により検出される圧力分布である複数の第2圧力分布を比較することにより、前記使用者の身体の状態を判定する判定部と;
を備える
身体状態判定装置。 - 前記複数の第2圧力分布は、同一時刻における前記使用者の身体のうち、互いに異なる部位での圧力分布である
請求項1に記載の身体状態判定装置。 - 前記検出部は、第一の方向に沿って横たわる前記使用者の体重を支持しつつ、前記第一の方向に沿った、前記使用者の身体の複数の部位に対応する前記複数の領域ごとに前記複数の第1圧力分布を検出する
請求項2に記載の身体状態判定装置。 - 前記上半身領域のうち前記第一の方向の中央部よりも前記頭部領域寄りの領域の圧力分布を上半身第一圧力分布とし、さらに、
前記上半身領域のうち前記中央部よりも前記臀部領域寄りの領域の圧力分布を上半身第二圧力分布とした場合に、
前記判定部が、前記複数の第2圧力分布としての前記上半身第一圧力分布と前記上半身第二圧力分布とを比較し、前記上半身第一圧力分布による全荷重よりも前記上半身第二圧力分布による全荷重の方が大きいと判断したときに、前記使用者の身体の状態が円背であると判定する
請求項3に記載の身体状態判定装置。 - 前記検出部に沿うとともに前記第一の方向に直交する方向を第二の方向と規定し、さらに、
前記領域における圧力中心位置に対する前記第二の方向の各側の圧力分布を第一中心圧力分布、第二中心圧力分布とした場合に、
前記判定部が、前記複数の第2圧力分布としての前記第一中心圧力分布による全荷重と前記第二中心圧力分布による全荷重とを比較し、前記使用者の前記領域における向きを判定する
請求項3または4に記載の身体状態判定装置。 - 前記検出部は、前記複数の第1圧力分布を異なる時刻で検出し、
前記複数の第2圧力分布は、互いに異なる時刻において検出された前記複数の第1圧力分布のうち、同一の部位での圧力分布である
請求項1に記載の身体状態判定装置。 - 請求項1から6のいずれか一項に記載に記載の身体状態判定装置と;
前記検出部を含む支持部と;
を備える
身体支持装置。 - 前記支持部は、流体を収容可能な複数の流体セルを有するマット部であり;
それぞれの前記流体セルへの前記流体の供給及び前記流体セルからの前記流体の排出を行う供給排出部と;
前記判定部の判定に基づいて前記供給排出部を駆動する流体調整部と;
を備える
請求項7記載の身体支持装置。 - 使用者の体重による圧力分布として、前記使用者の身体の複数の部位に対応する複数の領域である頭部領域、上半身領域、臀部領域、及び足部領域それぞれについての圧力分布である複数の第1圧力分布を複数の検出部により検出し;
検出した前記複数の第1圧力分布による荷重が、前記使用者の体重の所定の割合の荷重範囲に含まれるか否かを判断し;
検出した前記複数の第1圧力分布による荷重が、前記使用者の体重の所定の割合の荷重範囲に含まれると判断したときに、所定領域に対応する前記第1圧力分布のうち、選択された前記領域上に設定された前記検出部により検出される圧力分布である複数の第2圧力分布を比較することにより、前記使用者の身体の状態を判定する;
身体状態判定方法。
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